幕間 違う風 (1回目)
ユウ達が通うのは、私立江樟杜学園。色々な意味でいい意味でも悪い意味でもワケ有な生徒が集められる学園である。いい意味では、大企業の跡継ぎや学生社長など。悪い意味では、隠し子や施設出身者など。
なので、社会一般の常識から外れたようなこともここでは珍しくもなかったりすることが多い。
それもあって、紘晄が3時限目途中に登校してきても誰も何も言わなかっし、気にもしなかった。
「よう。遅かったな。重役出勤か?」
「……ん、まあな」
予想外にノリの悪い返事にちらっと顔を見れば、紘晄はどこか疲れきったような表情をしていた。
「何かあったのか?」
「放課後にわかるだろう。それより、今教科書何ページだ?」
「あ、あぁ。15ページ目の30行目だけど」
「サンキューな」
少し強引に話を逸らされた気がする。それにしても、放課後にわかるということは姫花先輩絡みか、あるいは普通には話しにくい面倒な話のどちらかか。
気になって前の席に視線を向けるが、紘晄が振り返ることはなかった。
その日の放課後。
ユウと紘晄と楓夏の3人は旧校舎にいた。
「失礼します」
ノックをしてから入室すると、姫花が待っていた。そしてなぜか、由香里の姿もあった。
「呼び出して悪かったわ。とりあえず、そこ座って」
応接用のソファーに、紘晄と姫花に向かい合うようにしてユウ達は座った。
「えっと、僕たちに用があるって話ですが…」
ユウが尋ねると、少し言いよどんだ後、
「突然こんなこと頼むのもどうかと思うけど、貴方たちの家にしばらくの間、私たちを泊まらせて欲しいのよ」
会長は申し訳なさそうに頭を下げた。
ユウ達3人は視線を交わす。
『んー。部屋は余ってるけど……』
『どうする~? 私は別にいいんだけど』
『あの家は兄さんのものなんですから、わたしは兄さんの決定に従うだけです』
「あの、姫花先輩。1つ質問あるんですが」
「何でもどうぞ」
「さっき、『私たち』と言いましたけど、姫花先輩とあと他は?」
予想はついていたが、念のために確認を取ると
「……俺だ」
予想通りというか、紘晄が心苦しそうに告げた。
まあ、この2人なら何回か泊まっていったこともあるしいいよね、と3人に目で伝えると否定はなかったので
「いいですよ。ちょっと狭いかもしないですけど、それでよければ」
ユウは割りとあっさり許可を出した。
「いいの?」
「もちろん~。賑やかになっていいですよ~」
「姫花さん来るなら、少しはちゃんと生活しないと……」
と盛り上がる女子3人を他所に、
『スマン。恩に着る』と紘晄が伝えてくる。
今朝の彼の憔悴ぶりといい、何かトラブルでもあったのだろうが
(何かと世話になっているし、理由を聞くのも野暮ってもんかな?)
『気にしなくてもいいのに。いずれ倍返ししてもらうから』とだけ伝えると、『たわけが』と小突かれた。
なかがき
忙しくて、結局こんなけしか修正できなかったorz
もっと修正してからまとめてうpしてもいいんだろうが、これ以上投稿間隔空くとイヤだなぁと思い、思い切ってうpしました。ここまで読んでくれた皆さん、感謝感謝。
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ボツ原稿を無理やり修正していった結果できあがったシロモノです。1回手を離した原稿を加工するとどうなるかという実験(?)。物書きとしての禁忌を犯してみた、というorz