No.580850

~少年が望んだ世界と力~

第三十一話 アリシア復活

2013-05-27 23:00:32 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3762   閲覧ユーザー数:3373

プレシアSide

目を覚ますと私はベッドに横たわり、見知らぬ天井が見えている。

 

「ん・・・・・ここは?」

 

「ここは時空管理局の船、アースラの医務室ですよ。プレシア・テスタロッサ」

 

私は体を起こし、声が聞こえた方を向くと見知らぬ子供が壁に凭れかかっていた。

 

「誰なの、貴方は?」

 

私は見知らぬ子供に尋ねた。

 

「野田健悟。先程の仮面ライダーフェニックスに変身していた者ですよ」

 

「!・・・貴方が?」

 

「えぇ」

 

野田健悟という名の子供が自分がさっきの仮面ライダーだと名乗った。

 

「冗談はやめなさい。あの時の仮面ライダーとか言うのは大人だったのよ。貴方みたいな子供じゃないわ」

 

明らかに身体の大きさが違うため私はこの子が嘘と言っていると思い睨みつけた。

 

「証拠を見せますよ」

 

そういうとさっきの仮面ライダーが持っていた銃を回しながら取り出し、銃に1枚のカードを入れた。

 

『KAMEN RIDE!』

 

「変身!」

 

『PHOENIX!』

 

「!!」

 

銃から音声が発せられ銃を上に向け、変身と叫びまた銃から音声が発せられると野田健悟の身体が大きくなり、さっきの仮面ライダーに姿を変えた。

 

「これで信じてもらえましたか?」

 

「・・・えぇ」

 

「ありがとうございます」

 

「フェニックス解除」

 

私が信じたことを告げると仮面ライダーから元の子供の姿に戻った。

 

「貴方のその力、仮面ライダーってなんなの?それにどうして私を助けたの?答えなさい」

 

「・・・分かりました。では、まず仮面ライダーについて簡単に説明させてもらいます」

 

私が訪ねると野田健悟は私に仮面ライダーについて説明していく。

 

「異世界に存在する戦士・・・」

 

「はい」

 

信じられないけど彼の力と姿を見る限り、そして話しを聞く限り野田健悟が嘘を言っているようではないようね。

 

「よく分かったわ。それでどうして私達を助けたの?」

 

「それは・・・!」

 

野田健悟から私を助けた理由を訊こうとした時、扉が開き誰かが入ってきた。

 

「母さん・・・健悟」

 

「フェイトか・・」

 

「・・・」

 

部屋に入ってきたのは時空管理局の執務官と白い魔導師の子供、そして私にとって娘代わりだったフェイトだった。

 

 

オーガンダム達との戦闘で庭園が崩壊した後、次元震の余波が収まるまでの間の数日はアースラで過ごした。

その間になのはとユーノが今回の事件で表彰されていた。

最初はリンディが俺も表彰したいと言ってくれたが俺の功績はなのはとユーノとクロノの物となっているから無意味と言って表彰を断った。

そしてようやく次元震の余波が弱まり地球に帰還出来ることになった今日、これまでの疲れもあったのか数日間眠っていたプレシアが目を覚ました。

目を覚ましたプレシアに俺は自分が仮面ライダーであることを教え、仮面ライダーについて説明をした。

仮面ライダーの説明を終えるとプレシアが助けた理由を尋ねてきたので助けた理由を話そうとした時、医務室の扉が開いた。

 

「母さん・・・健悟」

 

「フェイトか・・・」

 

「・・・」

 

医務室に入ってきたのはクロノに無理に頼んで牢屋から出してもらったフェイトだった。

それを見た俺はフェイトの名を呟き、プレシアは黙ったままだった。

フェイトに続きアルフ、クロノ、なのは、ユーノが入ってきた。

 

「・・・なんのようなのフェイト?」

 

プレシアはフェイトを見ながらゆっくりと話し出した。

 

「私は消えなさいと言ったはずよ。なのに何故来たの?」

 

「・・・」

 

プレシアの冷たい言葉にフェイトは黙り込んでしまう。

 

「・・・どうして?」

 

それを見ていたなのはがゆっくりと声を出し、尋ねた。

 

「どうしてそんなこと言うんですか?」

 

「高町・・・」

 

「フェイトちゃんはお母さんのために一生懸命頑張っていたのにどうしてそんな酷いことを言うんですか!?」

 

「黙りなさい!」

 

なのはの言葉にプレシアはなのはを睨み、怒鳴った。

 

「貴女に何が分かるの?私にとってアリシアは全てだったのよ!それなのに私は仕事であの子に寂しい思いをさせてしまった。仕事が片付けばまたアリシアと楽しい時間を過ごせると思っていたのに!」

 

「それでプロジェクトFの技術を使ってアリシアを蘇らせようとしたんですか?」

 

なのはに向って怒鳴っているプレシアに俺は尋ね、プレシアも俺の方を向いた。

 

「そうよ。でもさっきも言ったように所詮は作り物、同じ見た目で、記憶をあげてもこの子はアリシアになれなかった」

 

「だから貴女は本当にアリシアを蘇らせるためにアルハザードを求め、そこに向うためにフェイトを道具として扱い、ジュエルシードの回収を命じた」

 

「それがどうしたのよ!」

 

俺が何を言いたいのか理解出来ないプレシアが俺に怒鳴る。

 

「・・・・・あんた馬鹿?」

 

怒鳴られたことを気にせず俺はプレシアに思っていることを言う。

 

「お、おい!」

 

「野田君?!」

 

「なんですって?」

 

俺の発言にクロノとなのはが驚き、プレシアは更に険しい表情で睨み付けてくる。

 

「私が馬鹿ですって?」

 

「ああ。馬鹿だ馬鹿。大馬鹿ですよ貴女は!」

 

睨み付けられていることに動じず、今度は俺がプレシアに怒鳴った。

 

「同じ見た目で、記憶をあげてもフェイトはアリシアになれなかった?当たり前だろうがそんなもん。同じ見た目にしても感情や魂まで同じに出来るわけがない。生まれた生命にはそいつの感情、魂が宿る。そいつが生まれた時点で別の人間だ。記憶を与えてもフェイトがアリシアになれないのは当然だろう。例えば双子の子供がいたとしてそいつらは同じ見た目をしていて同じ時間を過ごし、同じ記憶を持っているがその双子は2人共全く同じ考えを持つか?同じ感情を持つか?同じ行動をするか?全部が全部全く同じって言えるのか?何処かで違う部分があるでしょう?どうなんですかプレシア・テスタロッサ?」

 

「・・・」

 

俺の言葉にプレシアは黙り込んでしまう。

 

「彼の言う通りだプレシア・テスタロッサ。どんなことをしても死者は蘇らない」

 

プレシアが黙っているとクロノが割り込んできた。

 

(あ!この馬鹿!)

 

「!ならどうしてあの時私を行かせてくれなかったの!?」

 

プレシアを興奮させないようにどう言おうか考えていたのにクロノの一言でまたプレシアが興奮し、怒鳴り声を上げた。

タイミングが悪すぎる。

空気読んでくれよクロ助。

 

「あの時のロボットが言ってたわ。アリシアを蘇らせられるって。貴方達が邪魔をしなければアリシアを・・・うっ!ゴホッ!ゴホッ!」

 

興奮して怒鳴ったことで負担がかかってしまいプレシアが苦しそうに咳込んだ。

 

「母さん!」

 

「!」

 

「あっ・・・」

 

心配したフェイトが近づこうとしたがプレシアに睨まれ、脅えて近づくのを止めた。

 

「もういいわ。どうせ私も長くはないわ。だからこのまま・・・」

 

自分の命が短いことが分かっており、生きることを諦めているプレシアに俺はあることを言った。

 

「・・・一つだけ方法があります。貴女の病を治すのとアリシアを生き返らせる手段が」

 

「!」

 

俺の言葉を聞いてプレシアが目を大きく見開く。

 

「な、何を言っているんだ君は?!死者を蘇らせることなど出来るわけが---「トランザムバースト」---ん?」

 

「そう呼ばれる特殊システムがある。そのシステムから放出された特殊な高濃度GN粒子なら可能性がある」

 

「GN・・・粒子?トランザムバースト?」

 

俺の発言にクロノが驚き、説明をする。

説明を終えると聞いたことがない単語が出てきたためユーノが首を傾げている。

 

「GN粒子は俺が変身したガンダム、エクシア、デュナメス、ヴァーチェ、敵を迎撃していたサバーニャ、プレシアさんを救出したキュリオス、アリオス、そしてあの敵だったグレーのガンダム、オーガンダムに搭載されている動力源『GNドライヴ』、またの名は『太陽炉』から半永久的に生成され放出されているあの緑色の粒子のことだ。ちなみにあのスローネと呼ばれるガンダム達も搭載しているがあいつらが搭載しているのは擬似太陽『GNドライヴΤ』と呼ばれ生産、量産性を重視したもので基本性能はオリジナルの太陽炉と変わらないがエネルギー切れを起こし、色が初期生産型が深紅の粒子、改良型がオレンジ色の粒子を放っているのが特徴だ。トランザムバーストはある機体にだけ搭載された特殊システム。そのあまりの特殊さに未知の現象を起こすことがある」

 

「未知の現象?」

 

「残念ながら俺自身もまだ詳しくは解ってないが奇跡を起こす可能性を持ったシステムだ」

 

クロノにはああ言ったが正確に言えば解らないのではなく解っていないのだ。

トランザムバーストについては何度か調べたことがあったが特殊すぎて詳しいことが判明してない。

唯一理解出来ていることは人々の意識を感応させるぐらいだ。

しかしトランザムバーストによってダブルオーの登場人物「ラッセ・アイオン」は毒性のあるGN粒子による細胞異常から回復し、同じく登場人物であり一度は死んだはずの「ルイス・ハレヴィ」を生き返らせた。

だからもしかしたらプレシアさんとアリシアを助けられる可能性はあるかもしれない。

ある問題がなければ。

 

「ただし、貴女の病が治る確率は高いでしょうがアリシアが生き返る確率はもしかしたら低いかもしれません。それでも構いませんか?」

 

「・・・えぇ、構わないわ。可能性があるのなら」

 

「では、まずは場所を変えましょう」

 

プレシアが納得してくれたので早速俺は場所を移すことにした。

 

「何処へ行くんだ?」

 

「俺の家」

 

「・・・・は?」

 

クロノに場所を聞かれ、俺の家と答えるとクロノはポカンとした。

 

「だから俺の家」

 

「な、なんで君の家なんだ?」

 

「簡単なことですクロノ執務官。この艦、アースラの中では無理だからです。これから行うことは少々大変なことになるので十分な対策が整っている野田家で行ったほうがいいのです」

 

俺の変わりにアポロンがクロノに理由を説明した。

 

「しかし・・・」

 

「クロノ執務官、貴方が心配しているのはプレシアさんが逃げないかどうかだよな?」

 

アポロンの説明に納得しないクロノに俺は納得しない理由を尋ねる。

 

「ああ」

 

「だったらそれに関しては俺が責任を持つ。それでいいだろ?」

 

「では訊くが君にどんな責任が持てるっていうんだ?」

 

あぁ言ったらこう言ってくるのはむかつくがクロノが言っていることは一理ある。

そこで俺はクロノが納得しそうな条件を出すことにした。

 

「うーん。じゃあこうしよう。もし俺がプレシアさんを逃がしてしまった場合はお前達にフェニックスドライバーの解析を許可する」

 

「何?」

 

それを聞いたクロノはすぐに反応した。

 

「それに他のライダーシステムも同様だ。更に気に入ったライダーシステムがあったならくれてやる。必要ないと思うが念のために護送部隊も付ける。それでいいだろ?」

 

「本当だな?」

 

「おう。約束する」

 

「分かった。ただし僕と艦長とエイミィも同行させてもらう」

 

フェニックスドライバーや他のライダーシステムはクロノ達にしてみればオーバーテクノロジーの塊のようなもの、それを解析させると言ったら簡単に釣れたな。

リンディとエイミィも同行するぐらいは特に問題ないだろう。

 

「もちろん構わない。交渉成立だな。さぁて準備準備っと」

 

クロノが納得したところで早速護送部隊の準備するためにフェニックスドライバーにカードを入れた。

 

『KAMEN RIDE!』

 

「変身!」

 

『PHOENIX!』

 

フェニックスに変身した俺は護送部隊メンバーに最初から選んでいたカードを取り出しドライバーに入れる。

 

『AS RIDE!M6 BUSHNELL A1 TYPE`S! M9 GERNSBACK`S!』

 

『MOBILE RIDE!BLITZ GUNDAM!NERO BLITZ GUNDAM !NEBULA BLITZ GUNDAM! N DAGGER N`S!』

 

トリガーを引き現れたのは「フルメタル・パニック!」!」「フルメタル・パニックTSR」に登場する第二世代型AS「M6 ブッシュネル」と毎回世話になっている「M9 ガーンズバック」を3体ずつ、MSは「機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV」に登場し、105ダガーをベースにブリッツの機能を盛り込んで開発された地球連合軍の特殊戦用MS「GAT-SO2R NダガーN」が3体、「機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY」に登場する「アクタイオン・プロジェクト」において再製造されたブリッツガンダムをエースパイロット用に改修した機体「GAT-X207SR ネロブリッツガンダム」が1体、そして以前アースラの制圧作戦、及び防衛戦に参加したブリッツガンダムとネブラブリッツガンダムが1体ずつ現れた。

 

「彼らが護送部隊だ。M6を除けば全機が特殊任務仕様のASとMSばかりだ。これでいいか?」

 

「ああ」

 

「では、行くとしよう」

 

護送メンバーにクロノが納得したところで俺はプレシア達を連れて医務室を出る。

 

 

海鳴市 海鳴臨海公園

 

医務室を出た俺達はあの後リンディとエイミィに説明し、2人も連れて転送ポートを使い、海鳴市海鳴臨海公園に転移した。

 

「アポロン」

 

「フェニックス解除」

 

海鳴臨海公園に転移した俺はASとMSの維持を任せ、アポロンに変身を解除してもらい元の姿に戻る。

 

「さて、行こうか。迎えが待ってる」

 

「迎え?」

 

「ああ。っとその前に」

 

歩きだそうとした時にあることを思い出した俺はプレシアとプレシアを取り囲んでいるAS、MS達の方を向く。

 

「各機、護送任務開始。M9隊、ECS不可視モード作動!」

 

命令を受けた3機のM9がすぐにECS不可視モードを発動させ姿を消す。

 

「き、消えた!」

 

「続いてMS隊、ミラージュコロイド展開!」

 

M9達がECS不可視モードで姿を消したことになのはが驚いている間に今度はブリッツ、ネロブリッツ、ネブラブリッツ、NダガーNがミラージュコロイドを展開し姿を消した。

 

「これで今彼らが何処に居るかは分からなくなり攻撃しようにも狙いが定まらない状態になりました。これである程度の問題はなくなった。ではこちらへ」

 

ECS不可視モードとミラージュコロイドが展開されたことを確認した俺は公園の入口に向かって歩き出す。

 

「健悟。以前から聞こうと思っていたんだが、N9とブリッツ達が姿を消してる『ECS』と『ミラージュコロイド』とはなんなんだ?」

 

入口に向かう途中、クロノがECSとミラージュコロイドについて尋ねてきた。

 

「M9の『ECS不可視モード』はM9の世界のステルスシステムで主にM9やアーバレスト、ファルケ、ヴェノム等の第三世代のASに搭載されているレーダー等の機器だけでなくその名の通り視覚的にも捉えることが出来ない電磁迷彩。まあ第三世代機での一部では搭載してない機体もいるけどな。で、『ミラージュコロイド』はブリッツ達の世界で使われているステルスシステムで、可視光線を歪め、赤外線やレーダー波等の電磁波を吸収、遮断する特殊なコロイド状の微粒子ガス状物質を磁気で機体表面に定着させることで視覚的、電磁的にも自機の存在を隠匿しほぼ100%完璧に近いステルス性を施すことが可能となる」

 

「ほんと凄いよねぇ。レーダーで捉えられないだけでなく目視でも見つけられないなんて。反則だよねぇ」

 

「しかしメリットばっかりではありません。ミラージュコロイドを展開している際はある特殊装甲が使えませんし、足跡等は消すことが出来ない。スラスター等を使用すると熱探知されてしまうし、水中ではコロイド粒子が流されるので展開が不可能、更に電力消費が激しいので使用時間に制限がある等欠点も多い。完璧とは言いがたい」

 

クロノにECSとミラージュコロイドの性能説明をし、見えないことが反則だというエイミィにミラージュコロイドのデメリットを説明する。

 

「確かに・・・」

 

ガシャン、ガシャン

 

「足音は聞こえますもんね」

 

「そのとおりだ。これだ」

 

リンディとユーノの答えに肯定し、公園を出てすぐそこで止まっていた迎えの車両、Gトレーラーを指差す。

 

「これって。警察の車だよね?」

 

「大丈夫だから乗れ」

 

「後部ハッチ、開きます」

 

警察車両であることになのはが疑問を持つがそのへんは気にせずアポロンがGトレーラーの後部ハッチを開く。

 

「急いで、人に見つかると面倒だ」

 

「う、うん」

 

一般の人達に見つかると騒ぎになる(主にM6とアリシアが入ったカプセル)のでなのは達を急いでGトレーラーに乗せ、最後にアポロンがECS不可視モードとミラージュコロイドを展開しているM9とブリッツ達が乗ったことを報告してくれるとGトレーラーのハッチを閉め、我が家に向ってGトレーラーが走り出した。

 

Gトレーラー車内

 

「車内は見てのとおり椅子が少ないんで立ちで我慢してください。今飲み物を用意します。少しの間ですがゆっくりしてください。あ、プレシアさんはそこの椅子に。見るのはいいですけど記録したり物を勝手に触らないでくださいね?」

 

椅子の数が少ないのでクロノ達には立っていてもらい病人であるプレシアは椅子に座らせ、俺は事前に置いておいた紙コップ等を取り、全員分の飲み物を用意する。

しかしスペース確保のためにガードチェイサーを降ろしてはいるがこの人数に加え、アリシアのカプセル、M6達がいるため若干狭くなってしまっている。

 

「健悟。この車両はなんなんだ?」

 

「『Gトレーラー』。まだ見せてない『アギト』っていう仮面ライダーの世界で警視庁が開発したパワードスーツ型ライダーシステム、庭園で戦闘に参加した仮面ライダー『G3』『G3-X』の運用とサポートするために作られた警察の車両だ」

 

「G3っていうと、あの青色のか?」

 

「ああそうだ。はい、コーヒー」

 

「ああ、すまない」

 

「ありがとう」

 

「すいません」

 

「あ、ごめんねぇ。ありがとう」

 

「ごめんなさいね」

 

「ありがとう、健悟」

 

「悪いね」

 

「いいって」

 

クロノにGトレーラーについて訊かれたので、問いに答え、クロノ、なのは、ユーノ、リンディ、エイミィ、フェイト、アルフにインスタントコーヒーの入った紙コップ+黒い取っ手のついたやつ(名前忘れた)を手渡す。

 

「どうぞ」

 

「・・・」

 

プレシアにもコーヒーを差し出すが受け取ろうとしないのでデスクの上に置く。

 

「ところで健悟」

 

「あん?」

 

「あの庭園での戦いで参加していた見たことがない仮面ライダーやスーパー戦隊、MSにロボットがいたが説明してくれないか?それと君や僕達を襲ってきたMSのことを」

 

「それとアースラを攻撃してきたあの次元艦についても。知ってるんでしょ?」

 

俺がコーヒーを置くとクロノとリンディが敵であったドミニオン、オーガンダム達に加え、俺が召喚したライダー達についても説明を俺に求めてくる。

 

「はぁ。アポロン」

 

「ラージャ」

 

説明するのは面倒なのだが説明しないと絶対納得しなさそうなのでため息をつきながらアポロンをホルスターから抜いてデスクに置き、アポロンが車内の昭明を落とし暗くすると映写モードになり、壁に映像を映す。

映像には既に説明しているライダーを除き、G3からエターナルまでが映し出される。

 

「まず最初にクロノの質問方から。一番左上から順に『G3 MILD』『G4』『V1』はG3と同じ『アギト』の世界の仮面ライダーで3つともが装着型のライダーシステム、G3 MILDはG3の量産試作機でG4はG3-Xとともに設計された第4世代のパワードスーツですが設計段階で放棄されたんですが陸上自衛隊がデータを盗み完成させました。V1の方は別のチームが開発した物なんですがG3-Xとのコンペ中に色々ありまして開発が中止された物です」

 

「あの、そのG4というのは何故設計段階で破棄されたんですか?」

 

以前恭也さん達に説明した時のようにユーノがG4の破棄理由を訊いてくる。

 

「詳しくは後日説明するが、今簡単に説明すると危険なライダーシステムだったからだ。次は『サイガ』。このライダーは以前のカイザ、デルタ、ライオトルーパーと同じ『ファイズ』の世界のライダーで空中戦、水中戦と特殊な場所での戦闘が可能で選ばれた人物のみしか変身出来ない。『キックホッパー』『パンチホッパー』。彼らは以前俺が変身したガタックと同じの『カブト』の世界のライダーでガタックと同じ高速移動が出来る。この2人の姿が似ているのそれぞれ仕様を蹴りと打撃に変更しているからだ。『G電王』はこれもまだ見せていないライダー『電王』というライダーの世界のライダーである組織で開発されたんだ。『イクサ』と『サガ』はこれも見せてない『キバ』というライダーの世界のライダー、サガは一度アルフと戦ったことがあるよな?」

 

「ああ、あの鞭と剣を交互に使ってきた奴だろそいつ?結構鬱陶しかったよ」

 

アルフに尋ねるとサガとの戦いを思い出したアルフは嫌そうな顔をしている。

よっぽど嫌だったんだなサガの戦い方。

 

「ラストは『W』『アクセル』『ショーカー』『エターナル』というライダー。彼らはあの2色のライダー、Wの世界のライダーで全員がガイアメモリを使って変身している」

 

「このライダー全員がガイアメモリを?」

 

「あの、ガイアメモリって?」

 

ガイアメモリを知っているクロノ達に対してガイアメモリを知らないフェイトが手を小さく挙げて尋ねる。

 

「ガイアメモリは地球のあらゆる記憶が収められているメモリ型の生体感応端で人を怪人に変身させる。ライダーが使っている物は安全だが怪人に変身する方のメモリは感情や精神を蝕んでしまう危険なタイプなんだ。・・・っでこれがそのガイアメモリ」

 

ガイアメモリの説明をしながら胸の内ポケットに入れていたジョーカーメモリを取りだし、フェイトに渡す。

 

「へぇ~」

 

「こんなんであれにねぇ」

 

『JOKER!』

 

「きゃっ!」

 

「うわ!」

 

フェイトとアルフがジョーカーメモリを見ているとフェイトの指がスイッチを押したようでガイアウィスパーが発せられ、突然のことにフェイトとアルフが驚く。

 

「あわわわわ、ご、ごめん健悟!なんか押しちゃった!」

 

スイッチを押してしまったフェイトは慌てて俺に謝る。

 

「ああ。大丈夫大丈夫。押すだけならなんも起きないから」

 

「よ、よかった」

 

俺が安全だと伝えるとフェイトは安心したようだ。

 

「それって前に見せてもらったけど色は似てるけど絵柄が違うね?」

 

フェイトの近くにいたなのはが今フェイトに見せているガイアメモリが以前見せた物と違うことにすぐに気付く。

 

「前に見せたのは『スカルメモリ』。『骸骨の記憶』を宿した物だがこれは『切り札の記憶』を宿した『ジョーカーメモリ』。Wとジョーカーに変身するのに使うメモリだ」

 

「ねぇ野田君。あのWって仮面ライダーさんは右半分が緑色なのはなんでなの?」

 

「Wは他のガイアメモリを使って変身するライダーと違って2本のガイアメモリを使って変身するからだ。他にも4本のメモリがあり、それを使い分けることで戦況に応じて戦闘スタイルを変えることが出来る。ちなみにこれが・・・」

 

『CYCLONE!』

 

「もう1本の『疾風の記憶』を宿した『サイクロンメモリ』」

 

なのは達に説明しながら再び胸の内ポケットを探り、サイクロンメモリを取り出してスイッチを押してガイアウィスパーを発せさせ、なのは達にサイクロンメモリを見せる。

 

「他のライダーのガイアメモリについてまた今度詳しく説明する。さて次はスーパー戦隊だ」

 

ライダーとガイアメモリの説明を終えるとフェイトにジョーカーメモリを返してもらいジョーカーメモリとサイクロンメモリを内ポケットにしまい、スーパー戦隊の説明をしようとすると映像がライダーからスーパー戦隊に変わる。

 

「前回同様簡潔に説明すると長い眠りから目覚めた古代人類の戦士である『恐竜戦隊ジュウレンジャー』。戦国時代に忍者に封印され、封印が解かれた妖怪達を再封印する封印した忍者の末裔達である『忍者戦隊カクレンジャー』。宇宙暴走族から地球を守るために『クルマジックパワー』と呼ばれる力でなんやかんやで戦うことになった小さな自動車会社の人達『激走戦隊カーレンジャー』。白バイ警官のような格好をしていたのはポリス星から来た宇宙の警察官でカーレンジャーの仲間の『シグナルマン』。宇宙警察である『特捜戦隊デカレンジャー』。デカレンジャーの仲間、上司である『デカブレイク』、『デカマスター』、『デカスワン』。そしてモジカラと呼ばれる力を使う侍『侍戦隊シンケンジャー』だ。ここまではいいか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「えっと、大丈夫・・・だと思う」

 

「ああああ、なんか頭ん中ゴチャゴチャしてきたぁ~」

 

「だ、大丈夫アルフ?」

 

スーパー戦隊の説明をして、ライダー、スーパー戦隊までのことを理解出来ているか確認を取る。

クロノは問題なさそうでなのはもギリギリではあるが大丈夫そうだが考えるのが苦手なアルフは言葉に出しているとおり既にゴチャゴチャになっているようでフェイトが心配する。

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

「なんだスクライア?」

 

「今のライダーやスーパー戦隊の中にあの黒い格好をした人達の説明がなかったんですが、彼らは一体?」

 

そういえばゼクトルーパー忘れてたな。

 

「あれは『ゼクトルーパー』。カブトの世界の組織に所属する戦闘員だ」

 

「つまり彼らは仮面ライダーではないということね?」

 

「ええ。では次はMSだ」

 

リンディの問いに肯定して映像をスーパー戦隊からMSに変える。

 

「最初は量産機から説明しよう。この紫の機体は『MS-09 ドム』と呼ばれる陸戦用の機体でホバー移動による高速戦闘が可能な機体。青い機体は『RGZ-95 リゼル』、飛行形態になる変形する可変機で、こちらは一般仕様機となっている。もう1機のリゼルはコマンダータイプで一般仕様よりも一部のリミッターが解除されてピーキーな機体になっている。また型式番号は『RGZ-95C』。『D-50C ロト』は軍の特殊部隊用の機体でリゼルとは違いタンク形態に変形することが出来る。またはミッションに応じてリゼルは背中のバックパック、ロトは肩の装備がそれぞれ変更が可能で様々なオプションが用意されている」

 

「野田君。そのドムさんってどうして目が1つなの?」

 

「ドムの目の部分は『モノアイ』と呼ばれ、機体のメインカメラの必要最低限の性能を持ち、低コストで生産出来るから・・・だったはずだ。」

 

なのはの質問にうろ覚えの答えを返し、量産機の映像の次はガンダムタイプの映像を出す。

 

「『GAT-X133 ソードカラミティガンダム』、『MBF-P03 ガンダムアストレイブルーフレーム』、『GAT-X105 ストライクガンダム』、『XXXG-01S シェンロンガンダム』、『GN-010 ガンダムサバーニャ』「GF13-017NJⅡ ゴッドガンダム」「GF13-006NA ガンダムマックスター」「GF13-009NF ガンダムローズ」「GF13-013NR ボルトガンダム」「GF13-011NC ドラゴンガンダム」、名前の最後もしくは前にあるから分かると思うがこれはガンダムタイプのMSだ。ちなみにソードカラミティからストライクと呼ばれる機体は同じ世界、ゴッドガンダムからドラゴンガンダムと呼ばれる機体も同じ世界の機体だが残りは別々の世界で作られた機体だ」

 

「あの、庭園の時の戦いでそのゴッドガンダムって機体は黄金に輝いてましたけど何で輝いてたんですか?」

 

「僕も気になったんだが、彼らは他の機体と違って銃とか使わず素手や蹴りといった格闘技のような戦い方をしていたが・・・」

 

ユーノが気になったことはゴッドガンダムがハイパーモードになった際の黄金状態、クロノは他のMSに対して戦い方が異なっていることが気になったようで俺に訊いてくる。

クロノの方は答えやすいけどユーノのは説明が若干面倒なんだよなぁ。

 

「スクライアの問いについては・・・なんていえばいいのかなぁ。まあ簡単に言えば気合いみたいなもんだな」

 

「き、気合い・・・ですか?」

 

「な、なんていうか・・・」

 

「ア、アバウトだねぇ」

 

ハイパーモードを大雑把に説明するとユーノは気の抜けたようにいい、リンディ、エイミィが苦笑いしながら感想を言う。

 

「で、クロノの問いに関してだがあいつらは完全な格闘戦闘を前提とした機体だからな。中には重火器搭載や最低限でバルカン搭載してるぐらいだ」

 

「何故格闘戦闘なんだ?」

 

「あいつらの世界では宇宙にそれぞれの国家のコロニー、つまり宇宙で生活する場所に住んでいるんだが地球圏の巡って揉め合いコロニー国家間で全面戦争になりそうになったんだがそれを回避するために提唱された4年に一度開催されるコロニー国家連合、つまり地球圏の主導権を手にする国際大会『ガンダムファイト』で戦うためだ。だからあの機体は正確にはMSじゃなくMF、『モビルファイター』って飛ばれてる」

 

「「「「「「「ガンダムファイト?モビルファイター?」」」」」」」

 

「そう」

 

「BGMスタート」

 

「は?」

 

俺がガンダムファイトとモビルファイター(以降 MF)について説明しようとするとアポロンがいきなりGガンダムのBGM『最強の証~キング・オブ・ハート』を流す。

 

「っ!!ガンダムファイトは各国がガンダムと名づけられた機体を使う!またMFとはガンダムファイトに出場する機体で使われる特殊な操縦システムを搭載しているMSのことだ!ガンダムとそのガンダム乗り、すなわち『ガンダムファイター』はそれぞれの国家の代表として国家の威信と名誉を賭け、地球をリングとして戦う!まずガンダムファイト予選である11ヵ月によるサバイバル『サバイバルイレブン』を勝ち抜き、決勝リーグを目指す!予選では頭部を破壊されれば即失格となるが破壊された部位が頭部以外であれば何度でも決勝リーグを目指すことが出来る!無論国際条約によってコクピットを直接攻撃を行ってはいけない!決勝リーグに辿り着いたガンダム達はリーグ戦を行い、総合成績の優れた者が最終決戦バトルロイヤルに参加!バトルロイヤルの最後に生き残った1機のガンダムが優勝となり、その優勝したガンダムの国家が次回のガンダムファイト開催までの4年間、コロニー国家の代表と同時に次回のガンダムファイト主催国となる!そして、優勝したガンダムファイターとガンダムには!・・・M6!」

 

M6を呼ぶと俺の考えを把握したM6は俺の前に移動、目の前で四つん這いになる。

俺は右脚で四つん這いになったM6の背中を踏む。

 

「最強のガンダムたる証!『ガンダム・ザ・ガンダム』の称号が与えられるぅ!」

 

右腕を高く上げ、Gトレーラーの天井の照明を指差しながら俺は叫ぶ!

うおおおおっ!

今凄く闘いたいぜぇ!

 

「「「「「「・・・・・」」」」」」

 

「え、えっと・・・健悟?」

 

「・・・・・はっ?!」

 

BGMが終わり、フェイトの若干戸惑った声を聞くと俺は一気に正気に戻る。

BGMを聴いたことで熱くなり、その突然性格が変化した状態で説明を聞いていたなのは達は唖然としている。

 

「ご、ゴホンッ!で、あのゴッドガンダム、ガンダムマックスター、ガンダムローズ、ボルトガンダム、ドラゴンガンダムはそれぞれ日本、アメリカ、フランス、ロシア、中国の国家代表の機体で第13回ガンダムファイトに参加した機体だ」

 

「え?あ、そ、そうなんだ」

 

「へ、へぇ~」

 

「な、なるほどな」

 

「「「あ、あははは・・・」」」

 

俺は誤魔化すために咳払いをして何事もなかったようにゴッドガンダム達の説明を続けるとなのは、フェイト、クロノが若干反応に困りながら返事を返し、ユーノ、リンディ、エイミィは苦笑いをしていた。

 

「う~ん。どいつもこいつも・・・その『ガンダム』って名前が付いてるけどガンダムって何なんだい?」

 

唖然とした状態から最初に回復したアルフは以前なのはが質問した「ガンダム」について尋ねてくる。

 

「ガンダムはある世界ではそういう名前の機体がいて、その後に開発された機体の顔がその機体と同じ顔をしているから名付けられることもあるが主に頭部の目の部分『デュアルアイ』とマスク部の形状から特定の機体がガンダムと名付けられる。ちなみに俺はガンダムを『力の象徴』だと思っている」

 

以前のなのは時と若干違う内容で俺はアルフに説明する。

 

「力の象徴ねぇ」

 

「確かに健悟の言う通り、力強さを感じるね。じゃあ今消えてるあのロボットもガンダムなの?」

 

「ああ、今作戦中のブリッツガンダム、ネロブリッツガンダム、ネブラブリッツガンダムはガンダムだがもう1機の『GAT-SO2R NダガーN』は顔はガンダムタイプに似ているがガンダムではない」

 

「ネロブリッツ?そんなの前いたっけ?」

 

以前のアースラの時に聞いたことがないことを気付いたエイミィが右手の人差し指を顎に当て、上を見上げて考える。

 

「『GAT-X207SR ネロブリッツ』はブリッツの改修機です。もちろんネブラブリッツも同様です」

 

「改修機かぁ。そりゃ確かに姿形が似てれば名前も同じかぁ。あ、ところで敵の次元艦と戦ってたのって・・・」

 

ああ、エイミィは管制官だからレーダーか何かでダブルオー達を捉えているのか。

直接会ってないから説明を省くつもりだったが説明するか。

そう思った俺は今度は次元空間で戦っていたダブルオー達の映像に変える。

 

「『GAT-X103 バスターガンダム』『GN-002RE ガンダムデュナメスリペア』『GN-0000 ダブルオーガンダム』『XM-X1 クロスボーン・ガンダムX1』『XM-X2 クロスボーン・ガンダムX2』『XM-X3 クロスボーン・ガンダムX3』です。機体性能的に彼らが的確だと思って出撃させました。「マスター」・・・ん?何だ?」

 

「あと6、7分で到着しますのでそろそろ敵の情報を教えては?」

 

「そうだな。よろしいですか?」

 

「ええ。その方がこちらとしても助かるわ」

 

「すみません。ではまず艦の方から。アポロン」

 

「ラージャ」

 

アポロンから時間が無くなってきたことを告げられたためバルキリーやゾイド、戦術機、AT、PTの説明を省略することにリンディから許可を貰うと敵であったドミニオンやオーガンダムの説明を行うためにアポロンに映像を変えてもらう。

最初に戦艦の説明をするために映像にはドミニオンが映し出される。

 

「この艦艇は地球連合軍アークエンジェル級2番艦。艦艇名『ドミニオン』」

 

「ドミニオン・・・」

 

映像を見ながらリンディがドミニオンの名を呟く。

 

「この艦はMS運用母艦で本来は宇宙戦闘艦ですが大気圏内での飛行も可能で少数のクルーでも動かせる出来る高性能艦です。アースラの損傷状況からして攻撃した際に使用したのは主砲である2連装砲の225mm連装高エネルギー収束火線砲『ゴットフリートMk.71』で間違いない。他の兵装に関しては省略させてもらいます」

 

ドミニオンの映像の右下にゴットフリートのデータが出される。

攻撃した方法を教えた後、俺は映像に映るドミニオンをジッと見る。

 

「どうしたんだ健悟?」

 

俺がドミニオンの映像を見ていると気になったクロノが俺に声を掛ける。

 

「実は気になることがあってな」

 

「気になること?」

 

「ああ。実はこのドミニオンはブリッツ達と同じ世界の物なんだが。戦争の最終戦で・・・沈んでいるんだ」

 

「何!?」

 

「し、沈んでるって・・・」

 

「まさか・・・」

 

「え?どういうこと?」

 

「つまり。この艦は破壊されたってことだよ」

 

「ええええええ?!」

 

俺の言葉を聞いてクロノ、エイミィ、リンディが驚く中、なのはだけが意味が分かっておらず、ユーノから説明を受けて、やっと理解して驚きの声を上げる。

 

「だが、現に攻撃してきたってことは・・・」

 

「可能性は2つある。まず1つはドミニオンの残骸を回収して修復したか。2つ目は再建造されたか」

 

「しかしそれだと」

 

「そう。それだとドミニオンの設計を知っている人間がいないと不可能だ。だが可能性はある」

 

そう、可能性は十分にある。

なにせガウルンやリボンズ、リヴァイヴ、ヒリング、トリニティと戦死した連中がこの世界に現れている。

しかもあのブーステッドマン3人がいるってことはあいつらのことを把握している人物がいなければ戦場には出さないはず。

となれば恐らくリボンズ達の背後には「ムルタ・アズラエル」がいる。

それにアズラエルが居ればドミニオンを新しく建造することも出来るし、ブーステッドマンについても把握している。

あくまで可能性だが、ほぼ間違いないだろう。

 

「さて次だ」

 

頭の中で整理を終え、ドミニオンの映像に続き、ダガー達の映像を出す。

 

「この機体は地球連合軍の量産型である『GAT-01 ストライクダガー』、『GAT-01A1 ダガー』または105ダガーにストライクダガーの上位機種『GAT-01D1 デュエルダガー』、ストライクダガーの後継機の『GAT-02L2 ダガーL』、『GAT-04 ウィンダム』、そして庭園の外から狙撃してきた砲撃戦運用機『GAT-A01/E2 バスターダガー』と呼ばれるMSだ」

 

「ストライクダガーにバスターダガー?それって僕達を助けてくれたストライクとバスターと同じ名前が入ってますね。それにこの105ダガーにはストライクと同じ番号が」

 

「それにダガーって、あのNダガーNと同じだよね?」

 

ストライクダガーとバスターダガー、105ダガーの名前にストライクとバスターの名前と型式番号が入っていることにユーノが気付き、それに続きフェイトがNダガーNにもダガーの名前が入っていることに気付き尋ねてくる。

 

「ああ。バスターとストライクは2機の原型になった機体でストライクに関してはデュエルダガーを除く機体の母体にもなっている。その一番の理由はダガー達が背中に装備してる武装『ストライカーパック』。元々はストライクの装備で戦況に応じて高機動、遠距離、近距離に装備を変更する汎用性の高さを受け継いでいる。ただしストライクダガーは簡易量産型でストライカーパックシステムはオミットされてる。察しの通りNダガーNはダガータイプでは珍しくデュアルアイ保護用のゴーグルを付けてないがダガーシリーズの1機で事実上ブリッツの量産型」

 

「状況に応じた装備変更に砲撃特化仕様の機体。機体の性能が優れているのにも驚くがこれらが量産されているのが更に驚きだ」

 

「最後に俺が応戦したMS」

 

クロノがダガー達に感心している中、敵の最後の説明となるオーガンダム達の映像を映す。

 

「『GAT-X131 カラミティガンダム』『GAT-X370 レイダーガンダム』『GAT-X252 フォビドゥンガンダム』『GNW-001 ガンダムスローネアイン』『GNW-002 ガンダムスローネツヴァイ』『GNW-003 ガンダムスローネドライ』『GN-000 オーガンダム』『GNZ-003 ガデッサ』『GNZ-005 ガラッゾ』『GNW-20000 アルケーガンダム』。見ての通りカラミティは重火力型。レイダーは可変変形による高機動にようる一撃離脱型。フォビドゥンは遠距離から近距離に加え、特殊防御兵装を使う電撃攻撃型。スローネは機体の形状はほぼ同じだが1号機のアインが遠距離、2号機のツヴァイが近距離、3号機のドライが中距離及び2機のサポート役とそれぞれの仕様が違う。オーガンダムは汎用機であるため特にこれといって特徴ない。アルケーガンダムはツヴァイの設計データを基に強化改修された機体だ。遠距離のガデッサ、近距離のガラッゾは見た目はガンダムではないが性能はガンダムと同等だ」

 

「カラミティってさっきと同じ・・・」

 

「あの機体は重火力だったカラミティを近接戦闘仕様に変更した機体だ。ちなみにこの重火力のカラミティがオリジナルはこっちだ」

 

「なるほど」

 

クロノがカラミティの名前がさっきのソードカラミティと同じだと気付き、分かりやすいようにソードカラミティとカラミティの映像を同時に出して説明するとクロノは納得してくれた。

 

「あの野田君。そのアルケーさんが私を守ってくれたサイガさんを攻撃したあれって、一体何?」

 

なのはがアルケーのGNファングについて訊いてきたが、串刺しになったサイガの姿を思い出したのか僅かに声が震えていた。

怖い記憶を思い出してわざわざ訊くとは本当に根性あるな。

 

「あれは遠隔操作武器、またはオールレンジ兵器『GNファング』。近接だけのように見えるが射撃も行える。機動性も高い分厄介な物だ」

 

「あとね。これは相手の人達の質問じゃないんだけど。私を助けてくれた時に野田君が変身してたガンダムさんの色、白と青だったのに凄く赤く光ってたよね?あれって一体・・・」

 

「そういえばデュナメスとヴァーチェの時も光ってたよね?」

 

GNファングの説明をするとなのはは、今度はアルケーとの戦闘で見せたトランザムについて訊いてくる。

なのはの質問を訊いてフェイトもデュナメスとヴァーチェでトランザムを使用した姿を見たのを思い出したようで一緒になって訊く。

 

「あれは『トランザム』だ」

 

「トラン・・・ザム?」

 

「さっきも似たようなことをいっていたな」

 

「トランザムって言うのはオリジナルのGNドライヴに搭載されている特殊システム。高濃度GN粒子を全面解放することで機体性能を3倍にする」

 

「せ、性能を3倍・・・?!」

 

「これもまた反則なレベルのシステムだね」

 

トランザムの効果を聞いてリンディとエイミィが驚いている。

 

「しかし第三世代機であるエクシア、デュナメス、ヴァーチェはトランザムの仕様を前提に作られていないからトランザムが解除されると粒子再チャージまで機体性能がガタ落ちになると言うデメリットがある。・・・っと」

 

「マスター。到着しました」

 

「了解。では皆さん、降りましょうか」

 

海鳴臨海公園からGトレーラーに乗って十数分後、トランザムのデメリットまで説明をするとGトレーラーが揺れ、アポロンが目的地である我が家に到着したことを教えてくれると皆をGトレーラーから降ろす。

 

「ようこそ、野田家へ」

 

「うわぁ。大きい家だね」

 

「そうだね」

 

「確か艦長は一度こちらにいらっしゃったことがあるんですよね?」

 

「えぇ」

 

「でもこんな一般の家で本当に大丈夫なの?アースラの方が十分設備が整ってると思うけど」

 

「大丈夫ですよ。こちらへどうぞ」

 

Gトレーラーから下りたなのは達が俺の家を見て感想を述べ、エイミィの質問に大丈夫と答え俺はガレージになのは達を誘導した。

 

「ここってガレージだよね?」

 

「ここで何をしようと・・」

 

「システムチェック」

 

『SYSTEM START』

 

クロノが聞き終わる前に俺が棚の前でそういうとセンサーが俺のスキャンを開始した。

 

『音声チェック、並びにスキャン完了。マスター、健悟と確認しました。』

 

「か、隠し扉!?」

 

「地下に続いているのか」

 

「どうぞ」

 

驚いているなのは達を気にせず俺は地下への階段を下りていく。

 

 

「到着です」

 

地下に下り着いた場所は以前訓練をした演習場だ。

ちなみにここに来るまで道中に大量にあったライダーのバイクやジェットスライガー、コンピュータールーム等のことを聞かれたがその辺は「禁則事項だ」っと言ってごまかした。

 

「うわぁ。広いねぇ」

 

「う、うん」

 

「凄いわねぇ」

 

「はい。これは下手すると本局の演習場以上かも」

 

そりゃこの演習場はMSの演習場を基に造られているからな。

それに後から調べたらこの演習場は更に拡張でき、勇者ロボ達はもちろんガオガイガーやガオファイガーでも演習出来るように設計されている。

壁も耐震性はもちろんだが強度は核シェルター並に加え対ビームコーティング処理、更に対魔力処理も施されているのでなのはのディバインバスターも簡単に防げるし、スターライトブレイカーにも耐えられ壊れることはなく、実際にMSを使っても大丈夫なくらいだ。

 

「地下にこんな演習場が・・・」

 

「前に来たことあるけどあたしらが見たのは上の方だけだったもんねぇ」

 

「それにしても君の家は一体どうなってるんだ?この地下もそうだがなんであんな施設とこんな訓練場があるんだ?」

 

「気にするな」

 

みんながそれぞれ演習場の感想を述べ、クロノが施設や演習場が何故俺の家の地下にあるのか尋ねてきたが軽く答えフェニックスドライバーを取り出しカードを入れる。

 

『KAMEN RIDE!』

 

「変身!」

 

『PHOENIX!』

 

カードを入れトリガーを引き、今日三回目の変身を行いフェニックスになる。

 

「準備はいいな?」

 

「いつでもどうぞ」

 

「分かった」

 

アポロンの答えを聞きカードケースから2枚のカードを取り出す。

奇跡を起こす可能性を秘めた2枚のカードを内の1枚目をドライバーに入れる。

 

『MOBILE RIDE!』

 

「変身!」

 

『OO GUNDAM!』

 

最初に入れたカードを発動させるとエクシアの後継機でエクシアと同じ青と白のカラーリングし先のドミニオン迎撃に参加したダブルオーガンダムに変身する。

 

「これはあの映像に映ってたガンダム・・・」

 

「一体何種類あるんだ?」

 

様々なMSに姿を変える俺に対し、ユーノとクロノがその種類の多さに多少驚いているがそんなことを気にせずに2枚目のカードを入れた。

 

『SUPPORT MECHANIC RIDE! O RAISER!』

 

カードを発動させると上から「機動戦士ガンダム00 2nd SEASON」に登場するダブルオーガンダムの支援戦闘機「GNR-010 オーライザー」が現れた。

 

「アポロン、オーライザードッキングモード!」

 

「オーライザー、ドッキングモード!」

 

アポロンがオーライザーにドッキングモードへの命令を送るとオーライザーはドッキングモードに変形し、それを確認すると俺も2基のGNドライヴを使い空中に上がった。

空中に上がるとオーライザーに背を向け、誘導センサーが同意、俺とオーライザーとの距離が縮まり、背中にオーライザーがドッキングされ、2基のGNドライヴにもオーライザーの両翼バインダーが接続され、ガンダムを超えたガンダム「GN-0000+GNR-010 ダブルオーライザー」にドッキングが完了した。

 

「ツインドライヴとの接続完了」

 

「上手くいくといいが」

 

「祈りましょう」

 

「そうだな。・・・ああ、今のうちにアリシアをカプセルから出しておいてください」

 

「え?う、うん」

 

「いいですねプレシアさん?」

 

「・・・ええ」

 

「クロノ執務官。貴方の上着を貸してやってくれ」

 

「分かった」

 

プレシアから許可を得てカプセルからアリシアが出され、クロノの上着が着させられた。

 

「ツインドライヴ、安定領域に到達」

 

「了解。いくぞ!」

 

『SYSTEM RIDE!TRANS-AM!』

 

「トランザム、始動!!」

 

アポロンからツインドライヴの準備が整ったことを告げられフェニックスドライバーにカードを入れ、トランザムを始動させる。

トランザムが発動したことで大量のGN粒子が散布されるがそれは普通のGN粒子に過ぎない。

俺が求めている物、トランザムバーストが放つ虹色のGN粒子ではなかった。

 

「アポロン!」

 

「駄目です!トランザムバースト、発動しません!」

 

「くそっ!」

 

ここでやはり俺が気にしていた問題が発生した。

トランザムバーストが発動しない理由、それは俺が純粋種のイノベイターではないからだ。

トランザムバーストの発動条件は純粋なるイノベイターの脳量子波がツインドライヴと融合すること。

俺も脳量子波は持っているがそれはあくまで超兵としての物だから意味がない。

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

「!」

 

俺が考え込んでいるとプレシアが咳き込みよくみると血を出していた。

 

「母さん!!」

 

「近づか・・・ないで!」

 

「!」

 

血を出したプレシアにフェイトが心配して近寄ろうとするがプレシアが拒絶し、フェイトも止まった。

 

「近づかないで。貴女は所詮お人形。アリシアじゃないわ・・・」

 

「・・・・・」

 

プレシアに拒絶されたフェイトはとても悲しそうな表情をしている。

 

「プレシアさん・・・・フェイト・・・(・・・な・・・さい)・・・?」

 

フェイトとプレシアを見ていると何が聞こえてきた。

 

(ごめん・・・なさい・・・・フェイト。こんな言い方して・・・・ごめんなさい・・)

 

聞こえてきたのはプレシアの声だった。

 

「え?」

 

「な、なんだ?」

 

「これってフェイトちゃんのお母さんの声?」

 

「頭に直接響いてる?」

 

プレシアの声はダブルオーライザーのトランザムによって俺だけでなくここにいる全員がプレシアの声が聞こえている。

 

(酷いことを言って、酷いことをして本当にごめんなさい・・・)

 

「母さん・・・・」

 

「ち、違うわ!私はそんなこと思ってなんかいない!!(違わないですよ。プレシアさん)っ!」

 

「健悟!?」

 

混乱しているプレシアに俺もGN粒子に言葉を乗せ、プレシアに語りかける。

 

(この機体、トランザムライザーが発するGN粒子はGN粒子を媒介にし、人々の意識を感応させるもの。例え口ではそういっていても、貴女は心の何処かではフェイトを大事に思っている。だから今の声が聞こえたんです。心の底から思う。貴女の本当の思いが・・・)

 

「わ、私は・・・うっ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」

 

俺が語り終えるとプレシアはまた咳き込みだし血を出したが血の量がさっきよりも多い。

 

「母さん!」

 

「マスター、プレシア様の各数値低下してきてます!」

 

「健悟!まだなのか!?」

 

フェイトが叫び、アポロンがプレシアが危険状態であることを知らせ、クロノが俺を急かす。

 

「プレシアさんの命が・・・・消えていく・・・」

 

トランザム状態の俺にはプレシアの生命力がだんだん弱まっていくのが感じ取れていた。

 

「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ガハッ!」

 

「母さん!!」

 

プレシアの咳が更に酷くなり、ついには大量の血を吐いた。

それを見たフェイトが涙を流しながらプレシアを呼んだ。

 

「・・・死なせない」

 

俺はボソっと呟く。

 

「死なせてたまるか!絶対に助ける!あんたを!絶対に!!」

 

弱っていくプレシア、それを見て涙を流すフェイトを見た俺は全身に力を込めた。

 

「本気を出せトランザムライザー!!お前の、ガンダムを超えたガンダムの力はこんな程度ちゃうやろ!!」

 

力を込めながらトランザムライザー、変身している俺自身に叫ぶ。

 

「プレシアさんの命を絶対に消させへん!そんなこと・・・・・させるかぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」

 

俺が叫ぶとガンダムフェイスの中で変化が起こった。

虹彩認証システムが起動しスキャンが行われ、ガンダムフェイス内で目の前に「TRANS-AM BURST」の文字が浮かび上がった。

 

ブオンっ!

 

アルケー達の戦いの時のように1枚のカードがカードケースから跳び出し、左手で掴む。

それをまるで最初からなんのカードが出たのか解っていたかのようにカードの絵柄を確かめることなく俺はフェニックスドライバーにカードを入れる。

 

『SYSTEM RIDE! TRANS-AM BURST!』

 

「!システムオールグリーン!トランザムバースト開放!!」

 

「奇跡を起こせ!ガンッッダァァァァァァァァムッッ!!!」

 

トランザムバーストが開放され、ツインドライヴが唸りを上げる。

叫びと共に俺(トランザムライザー)から放出される大量のGN粒子は先程とは比べ物にならない程の粒子を放ち、あっという間に演習場、いや野田家の地下全体に広がった。

そして、放たれた粒子は緑色ではなく、トランザムバーストの証とも言え、俺が求めていた虹色のGN粒子だった。

 

「な、なんだこれは?!」

 

「さっきの緑色の粒子じゃない・・・」

 

「虹色に・・・変わってる・・」

 

「どうなってんだい・・・・」

 

「綺麗・・・・」

 

「これがあのガンダムの・・・」

 

「健悟の・・・力?」

 

「どうなってるの?身体の痛みが・・(マ・・・マ)・・!」

 

最初にクロノが驚き、ユーノ、なのは、アルフ、エイミィ、リンディ、フェイトがトランザムライザーが放つトランザムバーストに呆然とし、プレシアが自分の身体から痛みが消えたことに驚いているとまた声が聞こえてきた。

 

(ママ・・・・どこ?)

 

「この声って」

 

「もしかして・・・」

 

「アリシア!」

 

聞こえてきたのはアリシア・テスタロッサの声だった。

 

「マスター!」

 

「ああ!一気にいくぞ!・・・!」

 

アリシアの声を聞いた俺はガンダムフェイスの中で目を閉じる。

するとよくわからない感覚を感じた。

何かと思い目を開けると回りが訓練場ではなく粒子が舞う白い空間、フェイト達もいなくなっていた。

 

「ここは・・・・・あのGN粒子の空間か・・・」

 

自分が今いる場所はダブルオーでダブルオーライザーのパイロット「刹那・F・セイエイ」とスサノオのパイロット「グラハム・エーカー(この時の名はミスター・ブシドー)」が対話をした空間にいることを確認した俺は自分の身体を見た。

ダブルオーライザーに変身していたはずの俺の身体が変身前の子供の姿に戻っており、右手に持っていたはずのフェニックスドライバー、アポロンがいなかった。

 

「流石にアポロンはいないか。・・・・ん?」

 

誰もいないはずのGN粒子の空間に人がいた。

 

「あれは・・・・・」

 

GN粒子の空間にいたのはアリシアだった。

アリシアはGN粒子の空間内をキョロキョロと見渡している。

俺はアリシアに近づき、アリシアに話しかけた。

 

「こんにちは」

 

「こんにちは」

 

「君は、アリシア・テスタロッサちゃんだね?」

 

「うん。お兄ちゃんは誰?」

 

「おれ、じゃなくて。僕は野田健悟。よろしく」

 

「うん。なんで健悟お兄ちゃんは私の名前を知ってるの?」

 

一応アリシアが年上のはずなのにお兄ちゃんと呼ばれるのは変な感じだな。

いや、精神的には俺の方が年上だから間違いじゃないか。

 

「お兄ちゃんはね。君のお母さん、プレシア・テスタロッサさんと知り合いなんだ」

 

「ママと?ねぇ健悟お兄ちゃん、ここは何処なの?ママは?ママは何処にいるの?」

 

見馴れない場所、母親がいないことにアリシアが不安そうな表情をしている。

そんなアリシアの頭を撫でながら微笑んだ。

 

「大丈夫だよアリシア。ここは夢の中なんだ」

 

「夢?」

 

「そう。だから目を覚ませばお母さんが待ってるよ」

 

「本当?」

 

「あぁ、それに身長と歳はちょっと違うけどフェイトって言う君の妹も待ってるよ」

 

「妹?本当健悟お兄ちゃん?」

 

「本当だよ」

 

「わあい!ママちゃんと約束守ってくれたんだ!」

 

「約束?」

 

「うん!私ね、今度のお誕生日に妹が欲しいってママにお願いしてその時にママと約束したの!早く会いたいなぁ~」

 

俺は少し驚いた。

アリシアがプレシアと約束したのはTHE MOVIE 1stの世界。

前もそうだったがこの世界は原作やとらハ?の一部だけでなく、THE MOVIE 1stの一部も混ざった世界のようだ。

 

「そっか。だったら早く目を覚まして会いにいっておいで」

 

「うん!あ、健悟お兄ちゃん!」

 

「ん?あ」

 

アリシアが俺の何かに驚いてすぐに自分の身体を見ると俺の身体がGN粒子と同じ緑色の粒子となって消えようとしていた。

どうやら時間切れのようだ。

 

「大丈夫、これはただ夢から覚めるだけだよ。俺はそろそろ夢から覚めるよ」

 

「・・・また会える?」

 

アリシアを不安にさせないように言い、それを聞いたアリシアは少し寂しそうな顔をしている。

 

「あぁ、目が覚めたら俺もいるから安心していいよ」

「本当?」

 

「あぁ。それじゃあアリシア。後でな」

 

「うん!」

 

アリシアが笑顔で答えるのを聞くと目を閉じ、まるでこれから眠るかのように意識が途切れ、俺の身体はGN粒子の空間から消えた。

 

 

 

「・・・!」

 

意識が戻ると場所は元の俺の家の演習場の空中、姿もダブルオーライザーに戻っていた。

そしてGN粒子の空間に意識が行っている間にトランザムが終了していた。

 

「戻ってきましたね、マスター」

 

「あぁ」

 

右手に握っていた相棒、アポロンに声を掛けられ少し曖昧な返事を返す。

不思議な体験をしたためなのかまだ少しボーッとした状態だった。

 

「マスター、あれをご覧下さい」

 

「ん?」

 

アポロンに言われて下を見るとプレシアが涙を流していた。

 

「マスターとアリシア様の会話はトランザムライザーのGN粒子を媒介に全て我々にも聞こえていました」

 

「そういうことか」

 

状況を把握した俺はGNドライヴを使って降下する。

 

「私・・・忘れてた・・・アリシアとの・・・大切な約束を・・・」

 

降下し着地するとアリシアとの約束を忘れていたことにプレシアがショックを受けていた。

 

「いつもそう。いつも私は・・・気付くのが・・・遅すぎる・・・私は・・・「う、うーん」・・!」

 

「・・・ママ?」

 

「アリシア!」

 

プレシアが落ちこんでいるとアリシアが目を覚まし、プレシアがアリシアに駆け寄る。

 

「アリシア!」

 

「おはよう、ママ」

 

「アリシア・・・よかった・・・アリシア・・・」

 

生き返ったアリシアを見てプレシアは涙を流しながらアリシアを抱きしめた。

 

「?どうしたのママ?どうして泣いてる?何処か痛いの?」

 

「ううん・・・グスッ・・・なんでもない・・・なんでもないのよ・・・」

 

プレシアはアリシアに心配をかけまいと大丈夫と答えた。

 

「ママ。お兄ちゃんは?」

 

「お兄ちゃん?」

 

「うん、健悟お兄ちゃん」

 

アリシアがそういうとプレシアとアリシアを除く全員が俺の方を見た。

 

「健悟お兄ちゃん、夢から覚めたらまた会えるって言ってたの。何処にいるの?」

 

「ここにいるよ、アリシア」

 

呼ばれた俺はダブルオーライザーのままアリシアに近づいた。

 

「ロボット?」

 

さっきのGN粒子の空間では子供の姿の俺としか合ってないので当然アリシアにはダブルオーライザーが俺だと分かっていない。

 

「アポロン」

 

「ラージャ。ダブルオーライザー、解除」

 

ダブルオーライザーが解除され、元の姿に戻った。

 

「あ、健悟お兄ちゃん!」

 

「おはよう、アリシア」

 

「うん!おはよう健悟お兄ちゃん!また会えたね!」

 

「そうだな」

 

アリシアが元気に返事を返し、俺も優しく答えた。

 

「ねぇ健悟お兄ちゃん、ママ。私の妹、フェイトって何処にいるの?」

 

「あっ」

 

「その・・・それはねアリシア・・・」

 

自分の妹が気になるアリシアは俺とプレシアに尋ねる。

自分の名前を呼ばれたフェイトはビクッと体を震わせ、プレシアはなかなか答えようとしない。

 

「そこにいるよ」

 

じれったく感じた俺はフェイトを指差した。

 

「そこにいるアリシアと同じ色の髪をした子、その子がフェイトだ。な、フェイト?」

 

「えっと・・・」

 

「ですよねプレシアさん?」

 

「そ、それは・・・」

 

俺の問いに母親から娘ではないと言われたのでそうだと言えないフェイト。

またプレシアもフェイトに大嫌いだと、娘ではないと言っていしまったので、そうだと言いにくそうな表情をしている。

 

「そうなんだぁ!はじめましてフェイト!アリシアだよ!」

 

「あ・・・」

 

そんなことを知らないアリシアは妹が出来たのが本当に嬉しいようで笑顔で元気よくフェイトに挨拶をする。

 

「ママありがとう!ちゃんと私との約束守ってくれて!」

 

「わ、私は・・・「そうよアリシア」・・・!」

 

フェイトが何か言おうとした時、言いにくそうにしていたプレシアが口を開く。

 

「あの子が貴女の妹、私のもう1人の娘、フェイトよ」

 

プレシアはそういいながら涙を流したままフェイトを見た。

フェイトを見るその表情は今までのような怒り、憎しみの表情ではなく、とても穏やかで優しい表情、THE MOVIE 1stでプレシアがアリシアに向けていた時と同じ優しい笑顔だった。

 

「かあ・・・さん?」

 

今の母親の言葉に驚きフェイトは母親を呼び、プレシアは笑顔で頷き、左腕を伸ばした。

 

「母さん!」

 

母親の言葉が真実だと、娘と認めてくれたと分かったフェイトは涙を流しプレシアに駆け寄り、抱き着く。

 

「ごめんなさい・・・フェイト。本当に・・・今まで・・・ごめんなさい・・・」

 

「母さん・・・グスッ・・・母さん・・・」

 

プレシアはこれまでの謝罪、フェイトは認めてもらった嬉しさで泣きながら互いにしっかり抱きしめる。

 

「ママ、フェイト。どうして2人共泣いてるの?」

 

2人が泣いている理由が分からないアリシアは二人を心配している。

 

「大丈夫よアリシア。これは嬉しいから泣いてるの。嬉しいだけなのよ・・・」

 

そう言ってプレシアはアリシアを抱きしめる。

右腕にアリシア、左腕にフェイト、2人の娘をプレシアはしっかりと抱きしめた。

 

「フェイト・・・よかった、本当によかった・・・」

 

「フェイトちゃん・・・」

 

それを見ていたアルフは号泣し、なのは、リンディ、エイミィは涙を浮かべ、ユーノとクロノは安心した顔をしていた。

 

「よかったな」

 

プレシアとフェイトが仲直り出来て、原作のような悲しみが無くなって俺は一安心した。

 

「そうですね。ところでマスター」

 

「なんだよ?」

 

「何故皆様に背を向けて天井を見てるんですか?」

 

俺がフェイト達に背を向けて天井を見てることが気になったアポロンが理由を尋ねてきた。

 

「今はそういう気分なだけだよ・・・グスッ」

 

「・・・・・泣いてるんですか?」

 

「グスッ、うるせぇ・・・今だけは黙ってろ。相棒」

 

「・・・ラージャ」

 

背を向けて天井を見てる理由、恥ずかしながら感動して泣いているからだ。

正直、泣いている姿はあまり見られたくない。

特にクロノには。

 

(よかった。本当によかったな、フェイト、プレシアさん)

 

そう思いながら俺は涙が止まるまで天井を見た。

 

アポロンSide

原作でのプレシア様とフェイト様のBAD EMDは無事に回避、アリシア様を生き返らせることも成功しプレシア様もフェイト様も仲直りでき第一期での問題は全て解決しましたが1つ疑問に思うことが私にはあった。

 

(それにしても何故マスターがトランザムバーストを使えたのでしょうか?SRのカードの封印を解けるのは恐らく純粋種のイノベイターのみ。それ以外ではダブルオーライザーを使用し続け少しずつ純粋種のイノベイターに覚醒するしか方法はないはず。私の所持するマスターのデータでも純粋種のイノベイターまでは記録されていなかった。しかしあの時計測された脳量子波は間違いなく純粋種のイノベイターの物ですが今はこれまでどうりの超兵としての脳量子波。これから色々と調べなければいけませんね)

 

そう思いながら私は今の考えを片隅に置き、プレシア様とフェイト様が仲直り出来たことを祝福することにした。

 

 

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「今月やっと2つ目だ!」

 

健悟「まいどのことながら時間が掛かったな」

 

アポロン「理由は大学のレポートがあったからってのもありますが中間部分の説明の所をまとめるのに時間が掛かったようです」

 

ARXー7アーバレスト「お恥ずかしい」

 

健悟「もっと頑張れよ」

 

ARXー7アーバレスト「はい」

 

アポロン「では反省会はここまでにして今回の話をしましょう」

 

ARXー7アーバレスト「そうだね。そうしよう!」

 

健悟「逃げたな」

 

ARXー7アーバレスト「まぁまぁそう言わずに。さて、いよいよ第一期のクライマックスが近づいてきました!」

 

健悟「長かったな。この小説30話前半だがまだなのはシリーズの第一期だぜ?」

 

アポロン「もう少しで第二期のA'sですね」

 

ARXー7アーバレスト「そうだな。A'sでの展開がどうなるか楽しみだ」

 

健悟「また色々大変な目に遭うのは俺だけどな」

 

アポロン「頑張りましょうマスター」

 

ARXー7アーバレスト「そして今回の話でテスタロッサ親子をハッピーエンドに出来てよかった」

 

健悟「まぁな」

 

アポロン「多少グダグダなところがあったように思いますが」

 

健悟「それにトランザムバーストのことあんまりよく分かってないのに使ってよかったのか?」

 

ARXー7アーバレスト「それは言わないで。書いてる本人が一番分かってるから」

 

健悟「分かってて使うとは」

 

アポロン「毎回のことです。気にするだけ無駄です」

 

ARXー7アーバレスト「相変わらず俺に対しては若干冷たいね君」

 

アポロン「気のせいです」

 

ARXー7アーバレスト「まあいいけど。それはそうと先週の金曜日、大阪の日本橋、ゲーマーズなんば店の水樹奈々さんの衣装展示見てきました!!」

 

健悟「おい。その報告この小説と関連性全くないだろ」

 

ARXー7アーバレスト「ないよ?ただ言いたいだけ」

 

健悟「おいおい」

 

アポロン「いつものことです」

 

ARXー7アーバレスト「どれもいい衣装だったよぉ。あと記念に応援メッセージのやつも書いてきた。名前はもちろん『ARXー7アーバレスト』で書いぜ!。いやぁああいうの見ると実際にコンサートに行って直接みたいって思うね!」

 

健悟「行けばいいじゃん」

 

アポロン「しかし行かない理由はバイトがあるというのもありますが大半が金銭面の問題があるからです」

 

健悟「それぐらい頑張れよ」

 

ARXー7アーバレスト「そうだね。しかし、最近は欲しい物が多くて。金を貯めるのって難しい。ではそろそろ次回予告と行こう!」

 

健悟「いきなりだな」

 

アポロン「いつもどおりです」

 

ARXー7アーバレスト「では今回はなのはの次回予告で行こう!」

 

健悟「え!まさかあれを言えと?!」

 

ARXー7アーバレスト「それは君に任せるよ。はい台本!」

 

健悟「え、えっと!ゴホンッ!ついに終わりを迎えた1つの事件。悲しい結末を無くし、そして別れの時が訪れる。しかし1つの終わりがまた新たな始まりとなる。次回『~少年が望んだ世界と力~ 』第三十二話『なまえをよんで』再び会えることを信じてリ、リ、リリカル・・・マジカル・・・頑張ります//」

 

ARXー7アーバレスト「はいOKです!」

 

アポロン「お疲れ様です」

 

健悟「・・・・恥ずかしい///」

 

ARXー7アーバレスト「いやーまさか本当に言うとはねぇ~」

 

健悟「うるせぇぇ!!」

 

ARXー7アーバレスト「さぁ次回でついにリリカルなのはの第一期の最終回!気合い入れていこう!次回もお楽しみに!!」

 


 
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