第二章 『三爸爸†無双』 其の三十
本城 正門広場 (時報:桂花二人目銀桂 生後一ヶ月半)
【緑一刀turn】
先月から色々と忙しかったなぁ。
全部慶事だから疲れなんか感じないけどね♪
「来月は詠が予定日を迎えるし♪」
「
「こうしてゆっくり出来るのも今の内だな。」
俺たち三人は今から街の視察に向かう所だ。
北郷親衛隊が先に来て準備をしてくれてるけど、予定の時間までまだ少し余裕がある。
そんな理由で初夏の陽気に包まれた城内を眺めながら正門へと来たのだが・・・。
「あれ?あそこに居るの、星と恋とねね・・・」
「明命と風も居るな。」
「
あんな所で内緒話って
立ち止まって耳を傾けると声が聞こえて来る。
「にゃあ、にゃあ、にゃあ?」
「にゃああ。にゃにゃにゃ、にゃああん。」
「にゃにゃ、にゃあにゃあ。」
美以達のモノマネか?
いや・・・・・よく見ると三匹の猫が彼女達を見上げていた。
「猫と会話をしてるのか・・・・・相変わらず傍から見てるとちゃんと通じてるのか判らんな。」
「「星がこっちに気付いてくれたぞ。」」
手招きしてるって事は近付いてもいいんだな。
不用意に近付いて猫が逃げたって何度も怒られたので、その辺は学習済みである。
「「「こんな所で猫と井戸端会議かい?」」」
「「「にゃあ、にゃにゃにゃあぁあん!」」」
「「「・・・・・・お願いだから人の言葉で話してくれる?」」」
星と風と明命の猫マネは可愛いけど俺たちには猫語は理解できん。
「おお、申し訳ない、主。」
「風達は井戸端会議をしていたワケでは無いのですよぅ。」
「星殿から猫語の昇段試験を受けていた所なのです、一刀様♪」
明命がニコニコと教えてくれたが・・・猫語の昇段試験?
猫語検定とか有るわけ?
「「「ねね・・・・・」」」
事の真偽を第三者っぽい人間に問いかける。
「はあ・・・・・動物の言葉が判れば情報収集に役立つと云うのが提案されたのです。現在その実験期間中で予算も降りているのですよ・・・」
国家プロジェクトですか!?だけど俺たちの所にそんな報告は来てないし、何よりねねが溜息混じりで説明してくれたって事は・・・・・。
「因みにこの猫達からどんな情報が得られたの?」
俺たちの足に擦り寄ってくる猫を抱き上げて訊いてみた。
「この猫は雀を捕るのに失敗したそうなのですよ。」
「こちらのお猫様は朝にもらったお魚が美味しかったそうです♪」
「・・・・・うん、合ってる。」
なるほど、恋は試験官なのか・・・・・だけど内容は本当に井戸端会議並だ・・・。
「所詮は動物ですからな。得られる情報などこんな物なのです。」
そりゃそうだ。
勝手気ままに生きている猫が、こちらの意図したものを見てきてくれるとは思えない。
お前らも付き合わされて大変だな。
腕の中にいる猫の喉や尻尾の付け根を撫でて労わってあげる。
「ニャァア。」
「気持ちいい。なかなか手馴れています。」
「・・・合ってる。」
「は?」
今のは、猫の鳴き声、風、恋、俺という順番の会話だ。
「ニャァン。」
「気持ちいい。人間のオスにしては手つきが柔らかい。」
「・・・合ってる。」
「ちょ、ちょっと・・・」
今度は猫、明命、恋、赤・・・・・・あの一声に含まれる情報量が多くないか?
「ニャニャァ。」
「これは・・・子供の前では憚かられますな・・・」
「・・・ご主人さまは猫にもモテモテ♪」
「性別が女であれば人も猫も見境なしですか。このチン皇帝ども!」
「なるほど、こうやって桂花ちゃんも陥落したのですねぇ。」
「一刀様羨ましいです・・・・・」
「「「猫を撫でただけでなんでこうなるの!?」」」
「あの・・・・・北郷様。視察の準備が出来ていますが・・・・・」
おお!兄ぃ!いいタイミングで!!
「「「明命!猫は任せた!」」」
「は、はい!?」
俺たちが猫を差し出すと、明命は条件反射で猫を受け取った。
「はうあぁぁぁぁ♪もふもふですぅ~♥」
「その気になった女を放り出すなんて、爸爸さんたちは酷い男ですね~。」
「まあ、そう言うな、風。主たちも忙しいのだ。」
おや?星が庇ってくれるとは珍しい。
「視察に行くのなら私も護衛で同行しましょう。恋、皆を連れて後宮に戻ってくれぬか?」
「・・・・・・・うん、わかった。ご主人さまの事お願い。」
「さあ、恋々殿、嵐、ねねお姉ちゃんが遊んであげるのですよ♪」
「ねねちゃん、いつもありがとうなのです♪」
嬉しそうにトテトテ歩く恋々と嵐を先頭に風とねねと恋が付いて行く。
明命はその場でもふもふトリップをしていた。
「では参りましょうか、主。」
「「「ああ、それじゃあ護衛頼むよ。」」」
こうして俺たち三人と星、そして北郷親衛隊は視察に出発した。
「予算が出ていると言っても、せいぜい猫殿達の食事代くらいですよ。」
「はは、そうだったんだ。」
街中を歩きながら星との会話を楽しませてもらうか。
「実はこの猫語の勉強には色々な思惑が絡んでましてな。」
「「「え?」」」
言い回しがなんか不穏だな・・・。
「美以の子の花鬘を明命に見せると暴走しますから遠ざけるのと。」
ネコ耳と尻尾の生えている花鬘は本当に仔猫っぽくて愛紗もメロメロになってるからな。
明命がどうなるかは火を見るより明らかだ。
「猫の食事代が出る事で恋の所の動物たちの食事もより良くなります。」
「「「あそこも数が増えてきたもんなあ。」」」
「お気づきでしたか。それに関連しまして、後宮の中庭に動物を放そうかという意見が有りましてな。」
「「「へえ、いいんじゃないか?情操教育になるし。」」」
「賛成派は主と同じ意見です。反対派は乳幼児の安全が気になっているようですな。」
「「「その気持ちも解らなくも無いけど・・・」」」
「そこでこうして猫殿達に言い聞かせる事が出来る様になれば不安を減らせると云うものです。」
「犬は躾ける事が出来るけど、猫はそこまで出来ないもんな。」
トイレの場所や壁や柱で爪を研ぐなって事くらいなら教えられるけど。
「「「それで情報収集って大義名分を付加しようって事か。」」」
「あながち大義名分だけとは言えませんぞ。」
星がニヤリと笑うけど・・・・・本当に情報収集が出来るのか?
「趙雲将軍!極上のメンマが入荷いたしましたがいかがですか?」
星がお店の人に声を掛けられ足を止める。
俺たちと北郷親衛隊も無言で足を止めた。メンマが関わった時は星に逆らってはいけないと骨身に染みてるからな。
「主が三人揃っておいでの時とは、私は運が良い♪」
「「「お金は出さないぞ。」」」
寄り道くらいはいいけど買ってあげるのは別だ!
「先程の猫殿達から聞いたのですが、主たちは今朝からお盛んだった様で♪」
「「「なっ!!??」」」
北郷親衛隊の冷ややかな視線が背中に突き刺さるのを感じる。
「緑の主は詠が身重なのをいいことに月が起こしに来た時に・・・」
「うわー!うわー!うわーっ!!」
「赤の主は大喬と小喬が・・・」
「うわー!うわー!うわーっ!!」
「紫の主は霞と真桜と沙和に・・・」
「うわー!うわー!うわーっ!!」
「桃香様と華琳殿と蓮華殿が最近ご無沙汰だと嘆いておいででしたなあ♪」
そういえばあの時窓の外の木の上に猫が居たような・・・・・。
「極上のメンマを肴に呑む酒は最高ですなあ♪」
「「「親父さん!ひと壺幾ら!?」」」
結局買わされてしまった・・・・・。
恐るべし猫間者!
夜
本城 政務区画屋根上
【星turn】
ふむ、美味い!
南蛮大麻竹のメンマとはまた違った歯ごたえが心地よい。
これはメンマが主役で酒の方が肴になる程の一品だ。
主たちにもっと礼をした方が良いな・・・・・ん?
「ニャア。」
「おお、これは猫殿。そなたにも感謝をせねばなりませぬな♪」
「ンニャァアン。」
「ん?主たちが如何したと・・・・・」
猫殿に誘われ屋根を伝い、主たちの執務室を臨む事が出来る所までやって来た。
「部屋の明かりが灯っている・・・・・主たちはまだ仕事をなさっておいでなのか?」
屋根を降りて、窓からそっと部屋の中を覗き込む。
「「「んああぁ~~~~!やっと終わったあ~~~~~!!」」」
三人が揃って机に向い伸びをしていた。
本当にこんな時間まで仕事を・・・・・。
「この時間じゃ子供達に会いに行けないなぁ・・・」
「今日は大人しく部屋帰って寝よう・・・」
「仕事の疲れを癒したかったけど諦めるか・・・」
「にゃぁぁあん。」
「ん?・・・猫?」
「今日は朝から晩まで猫に縁のある日だな。」
「鳴き声からすると窓の外だな。おいでおいで♪」
「にゃああん♪」
「「「どわあああああああああっ!!」」」
私が窓から部屋の中に入ると、主たちが尻餅をついて驚いた。
「何ですか主、招いておきながらその様に驚かれるとは。」
「「「せ、星!?あ~びっくりした・・・・・てっきり周周が飛び込んで来たのかと思ったよ・・・」」」
「失敬な、私はあそこまで重くありませんぞ!」
「いや、色が白かったし、それに・・・・・・星・・・そのネコ耳と尻尾は?」
「これですか?これは猫語の授業の小道具ですが、何か?」
「「「へ、へぇ・・・・・そうなんだ・・・」」」
おや?これは中々に気に入って頂けたようだ。
「遅くまでご公務お疲れ様です、主よ。メンマを買って頂いた礼も込めまして、今宵は主たちをこの趙子龍が癒して差し上げようかと参上致しました♪」
一ヶ月後
本城 医務室
【星turn】
「視えた!おめでとう、趙雲!」
「は・・・・・・・・・それは・・・・・」
なんと・・・期待はしていたが・・・・・いざそう言われると声が出ないものなのだな・・・。
「おめでとうございます、星様。私にも視えました♪」
華佗の下で修行をしている凪が私の手を握って祝福してくれている。
「あ、ああ・・・ありがとう・・・・・」
「ふふ、常山の昇り龍も遂に母親ですか。どうしました、星?珍しく呆けているようですが。」
「稟・・・・・・・いや、私が身籠ったというのが・・・・・正直驚いている・・・」
主に女にしていただいた時から、この日を待ち侘びていた。
しかし・・・同時に、私は懐妊しないような気もしていた。
桃香様を皮切りに、次々と懐妊していく様を・・・・・何処か別世界の様に感じていたのだ。
そんな私が・・・・・・主の子を身籠った・・・・・・。
はは・・・何だ。要するに私も只の女だったと云うことか・・・・・。
「ぷ・・・くくく・・・・あっはっはっはっは♪」
「せ、星!?本当にどうしたのですか!?急に笑い出して・・・・・」
「い、いや・・・・くく・・・自分の間抜けさ加減に呆れたのと・・・心が急に幸福で満たされて・・・・・あーっはっはっはっは♪」
「はぁ・・・・・本当に貴女は・・・相変わらず底が見えませんね・・・・・でも、今の星がとても幸福を感じているのは解りますよ。おめでとう、星♪」
「うむ、ありがとう、稟♪」
旧き友にこうして祝ってもらえると云うのもまた人としての幸福。
私は何と恵まれて・・・・・・・あ!
「しまった!この趙子龍ともあろう者が一生の不覚っ!!」
「ま、またいきなり!今度はなんです?」
「賭けの倍率と賭け金が・・・・・・・・・」
「賭け?ああ、次は誰が懐妊するかという・・・・・」
「最近は私に賭ける者が増えて来て倍率が下がっていたんだ・・・・・賭け金を増やすのを忘れていたから儲けが・・・・・」
「はあああああぁぁぁ・・・・・本当に貴女という人は・・・・・・」
むむ、盛大に溜息を吐かれてしまった・・・・・。
「その様な事は今の星にとって些細な事でしょう。早く一刀殿たちに報告に行ってはどうです?」
「それもそうだな・・・・・」
主たちに報告か・・・・・・・何やら照れくさい物が・・・。
「一人で行くのが照れくさいなら付き添いますか、星?」
「な、何を言っている!別に照れてなど・・・」
「おや?図星でしたか♪先程は長年の友としての自信を失いかけましたが、どうやら杞憂だったみたいですね♪」
「り、稟・・・」
「大丈夫ですよ。そんな野暮はしません。私は三王と丞相殿に報告に向かいます。凪、貴女は後宮へお願いします。」
私達の遣り取りを黙って見ていた凪が頷く。
「は、はい。お任せ下さい!・・・・・・あの・・・お二人は仲が宜しいのですね。」
「
今日は触れないようにしておこうと思っていたが、先程のちょっとした仕返しだ。
「な、何ですか、星?」
ふふ、警戒しているな♪
「
目の前に華佗が居るから心配いらんだろう。
「か、華琳様が・・・・・私の子作りに協力・・・・・・・・・・」
お約束の光景が展開される前に、私は
本城 皇帝執務室
【緑一刀turn】
『主、趙子龍、報告の義が有り参上致しました。入室しても宜しいか?』
星の声が扉の向こうから聞こえて来た。
「「「どうぞ、入ってくれ。」」」
今回は星か・・・・・・・と、言う事はここでしちゃった時に・・・。
いやいや!意識するな!
俺たちは顔を引き締めて星を迎える。
扉を開けて入って来た星は胸を張って実に堂々としていた。
のは、いいんだけど・・・・・・その後ろに紫苑、桔梗、祭さん・・・更に璃々ちゃん、崔莉、露柴、竜胆、宴まで・・・・・。
「主、この度はこの趙子龍がお子を授かりました事、ここに報告致します。」
星が包拳礼で報告をしてくれた。
その立ち姿は流石、蜀の五虎将の一人。
礼をする姿ですら格好いい・・・・・・・ダメだあああ!どうしてもこの間のネコ耳尻尾姿を思い出すうううううぅ!
「「「あ、ありがとう、星。強い子を産んで、育ててくれ。」」」
顔の筋肉が悲鳴を上げるぐらい酷使して何とか真面目な表情を作り上げた。
「はっ。一生を掛けましてその命を成し遂げて見せましょう。」
星は真剣な顔で応えてくれた。
「なんじゃつまらん。そこで抱擁か接吻のひとつもして見せい。」
「お館様。ワシらに気兼ねせず、ご遠慮なくやりなされ♪」
「うふふ♪ご主人さまも星ちゃんも照れてるのよ♪」
「わたしも見たいなぁ・・・」
璃々ちゃんまで・・・・・・・一歳前後の子供達はこの部屋が珍しいからか、キョロキョロするばかりだけど。
「それはおぬし達が居ない所でさせてもらおう。ここで火を点けるとおぬし達は歯止めが効かなくなるだろうからな。」
星は余裕の態度で言い返している。
「聞いてくだされ、主。この者達は私が一人でこちらに向かう途中に私を見かけ、強引について来たのですぞ。」
「「わし等が酒を呑めんのを知りながら今まで横でグビグビやっとった貴様への意趣返しだっ!!」」
「と、まあこんな事を言ってますがお祝いしたい気持ちでついて来てしまったんですわ♪」
「おめでとう、星おねえちゃん♪」
はは、祭さんや桔梗らしい祝いの言葉って処か。
「ありがとう、璃々♪」
「儂は宴が乳離れしたので遂に酒が解禁じゃ♪呑めなくなったお主の代りに浴びるほど呑んで祝ってやる♪」
「ワシは後四、五ヶ月先だからな。それまでは禁酒に付き合ってやれるぞ。つわりが来るまでが一番辛い、それを辛抱しきれるかな?」
桔梗がニヤリと嗤うが星は落ち着いた様子。
「酒は我が人生の友と呼べるもの。友と
長く旅をしてきた星だから、その言葉には重みが感じられる。
「酒は人生の友か。上手い事を言う。策殿あたりは人生の伴侶と言いそうじゃがな♪」
祭さん・・・・・それは貴女もだと思いますけど・・・・・。
「女としての伴侶であれば、ここにこうしておりますし、人生の伴侶はメンマがある。」
星が俺の腕に絡みついてきた・・・・・・。
星の中でメンマと俺たちが同格なのは嬉しいんだけど・・・・・普通の人ならラーメンの添え物程度って感じに思えるので微妙だ・・・・・。
「星ちゃん、メンマばかりではなく、いろいろ食べて栄養を取らなくてはダメよ。お腹の子の為にも。」
「そこの抜かりは無いぞ、紫苑。今こそ私と流琉の研究の成果!メンマ料理の数々を披露して差し上げよう!!」
紫苑、桔梗、祭さん、璃々ちゃんの顔が引きつった・・・・・・このままでは後宮の食事がメンマ料理で埋め尽くされてしまう・・・かと言って、今この場で否定しよう物なら星のメンマ談義を延々と聞かされるハメになる。
「じゃ、じゃあ星ちゃん。そろそろその後宮に向かいましょうか?後宮での決まり事や大事なお話を風ちゃんがしてくれるから。」
「風はもう後宮から自室に戻っているが・・・」
「星ちゃんと風ちゃんの仲だもの。風ちゃんも特別にお祝いを言いたいでしょう♪」
紫苑の取った策は問題の先送りの様だ。
「それはかたじけない。紫苑の心遣い、感謝する♪」
星は明日、俺たちと一緒に一日過ごすから、その間に解決策を相談して決めるつもりだろうな。
俺たちだって他人事みたいに言っていられない。
朝飯は必ず後宮で摂ってるし、たまに昼や夜も食べるんだ。
「「「星、俺たちは風との話が終わる頃に後宮に行くから。」」」
「畏まりました、主。では後ほど♪」
こうして星と紫苑達一行が部屋を後にした。
はたして星は外史の話しを聞いてどう思うのか・・・・・。
翌日
本城 後宮中庭
【星turn】
昨日は驚く話しを聞いたな。
主たちは外史と云う物を前の一度しか経験していないと思われているが、風の話しでは一度や二度では無いのではないかと言う事だった。
主たちも夢で他の外史を見ると言っておられたが・・・・・主たちの立場を自分に置き換えれば、主たちがどれだけの覚悟を持って戦乱を戦い抜いてこられたか解ると云う物だ。
今の私は風、そして稟とこの国を支える仲間として共にいる。
それが敵対し、命を賭けて戦い合っていてもおかしく無かったのだ。
旅の途中で袂を分かった時にその覚悟は有った。
そうならなかったのは全て主たちのお陰だ。
それだけでも私は主に感謝しきれぬと云うのに・・・。
主たちはもしかしたらあの戦乱でかつて愛した者を失っているのかも知れない。
かつて愛した者かも知れないと思いながら、我らに『敵を倒せ』と号令をかけて来たのだ。
神は何という過酷な運命を主に背負わせた。
なまじ記憶が有るから苦しむ事になる。
ならば記憶が無ければまだ・・・・・いや、記憶が無ければこの外史で主を愛している者達が、他の外史では憎しみ合い殺し合うだけの世界と云う事だ。
神の視点で見ればさぞ滑稽な喜劇と映るだろう。
そんな世界を作った者を果たして『神』と呼べるのか?
だが・・・・・外史が無ければ我らが・・・私が主と出会えなかったのも事実・・・・・。
成程・・・華琳殿が他の外史の自分が何をしていようと関係ないと言うのはこの為か。
私は主たちと出会い、愛し、子を成した。
我々は
「「「おはよう、星。」」」
「おはようございます、主♪」
桃香様はその優しさで主たちを包み込んでいる。
「なあ、星。本当にここでいいの?」
華琳殿はその才覚の全てを以て主たちの夢を実現しようとしている。
「ええ、構いません。街に買い物に出歩いたとしても、買って頂くのはメンマと決まっておりますからな。」
蓮華殿は良妻賢母を目指し、日々努力されている・・・・・まあ、料理の方は目を瞑るとして・・・・・。
「そう・・・なんだ・・・」
外史の事を知った皆が各々覚悟を決めているのだ。
「ですからもう注文して届けて貰うよう手配しました。」
だから私も・・・。
「そうだと思ったよ・・・・・代金はちゃんと払っておく・・・」
「今日はここでゆっくりと思い出話に興じようではありませんか。」
「「「でも、ここだとみんなから丸見えなんだけど・・・」」」
「この後宮の中庭、その中でも特に見晴らしのいい小山の頂にある東屋。私は気に入っておりますぞ。」
「「「確かに見晴らしは最高だよな。」」」
「ここは私の愛すべきモノが全て見渡せます。仲間と、仲間と共に住まう城と、我らの守るべき民の住まう街を♪」
「「「・・・そうか・・・そうだな・・・・・確かにここは最高の場所だ♪」」」
何より・・・・・ここにはあなたたちが居るのですから。
おまけ壱
本城 星私室
【星turn】
「・・・・・つわりとは・・・・・ここまで辛いものだったとは・・・・・」
寝台に横になり安静にしていても気分の悪さが一向に治まらない。
「だから言っただろ。覚悟しとけって。」
白蓮殿が寝台の横の椅子に座り看病してくれていた。
生後五ヶ月の
「何か食べれそうか?無理にでも食べないと腹の中の赤ちゃんが元気に育たないぞ。」
「・・・・・ではメンマを・・・」
「・・・・・・・・・・・・・言うと思ったよ・・・ほら。」
白蓮殿が壺からメンマをひと切れ箸で取り出し私の口元に運んでくれる。
「うっ!!」
いつもなら食欲をそそるメンマの漬け汁の匂い・・・もとい、香りが・・・。
「はぁ・・・やっぱり違う物にするか?果物とか・・・」
「な、何を言っておられる!メンマは我が人生の伴侶!この様な時こそ私と我が子を助けてくれるに違いない!はむっ!」
「あ・・・・・・だ、大丈夫か、星?」
「もぐもぐ・・・・・な、なにを・・・もぐ・・・いっておられ・・・もぐもぐ・・・・・・・・・・・ゴクリ・・・・・」
「お、おい・・・そういう無茶はするなよ・・・顔色が青いぞ・・・・・」
「・・・・・わが人生の伴侶に・・・・・一片の悔い無し・・・・・・ガクリ・・・」
「全然意味が分かんないぞ!いや!それより水!水飲め!」
味覚が変わるとは聞いていたが・・・・・・よもやこんなことになろうとは・・・・・。
おまけ弐
荊州 南陽
【星turn】
「店主、ちょっと訊ねるが、この地に『天の御遣い』が降りたと噂を聞いたのだが、何か知らないか?」
私は白蓮殿の下を後にし、また各地へ旅に出た。
黄巾の乱が収束した今。台頭して来た各地の群雄がどの様な者か確認し、今度こそ我が武を捧げるに値する主君を探すためだ。
袁術は最初から眼中に無かったが、そこに客将として居る孫策を見てみようと思い南陽まで来てみた。
ついでに北郷殿の偽物とやらをこの目で見てやろうと思ったのだが。
「ああ、それでしたら孫策様が流星の落ちた地から拾ってきた若者の事ですな。名前は北郷一刀といいまして、黄巾の立て篭った砦を天の知恵で落としたそうですよ。」
「ほほう、それはスゴイな。こちらの北郷・・・いや、その御遣い殿は軍師なのか?」
「そうですなあ・・・軍師もすると言った方が良いような・・・・・」
「腕も立つのか?」
「いえいえ、武の方は新米の兵隊並みって話です。」
「では・・・・・?」
「女性にお話しするのは少々気が引けますが・・・・・孫家に天人の血を入れると孫策様は仰ってまして・・・・・」
早い話が種馬か。
成程、民を味方に付けるには良い箔になるだろうな。
「あ!あそこに居るのがその孫策様と天の御遣い様ですよ。」
「ナニ!?」
振り返って見た先に居たのは・・・・・・・・・北郷殿!?
あの顔、あの服・・・・・・・瓜二つではないか!
何よりあの独特の気配・・・・・・北郷殿本人としか思えない。
「それじゃあ、おばあちゃん。今から私と一刀が畑の手伝いに行ってあげる♪」
「孫策様にその様なことを・・・」
「おばあさん、気にしないで。雪蓮は本当に手助けがしたいんだから。」
「うんうん♪おばあちゃんも一刀みたいに気軽に雪蓮ちゃんって呼んでね♪」
あれが孫策・・・江東の麒麟児、孫家の当主か・・・・・真名を呼ばせる程の仲・・・まさか北郷殿は桃香殿を見限りこの地へ・・・・・いや、あの御仁は決してそんな事はしないだろう。白蓮殿の下を去った私が言うのもなんだが。
それに劉備玄徳と天の御遣いが青洲平原に入ったとの噂は昨日も聞いたばかりだ・・・・・これは陳留にも足を伸ばし確認すべきだな。
兗州 陳留
「やあ、久しぶり!あの時はありがとう♪」
陳留の街を歩いていた『北郷殿』を見つけた私は、思い切ってその前に姿を晒した。
心に疚しいところが有れば逃げ出すか何かするのではと思ったからだ。
まさか笑顔で話し掛けて来ようとは・・・・・ではこちらの『北郷殿』も桃香殿の所に居た『北郷殿』では無いという事か・・・・・。
「あれ?覚えて無い?盗賊に襲われてた所を助けてもらったけど、ちょっとしか話が出来なくて・・・・・ほら、程立さんの真名を呼んで怒られた・・・・・・」
な!?思い出した!!
あの時助けた!・・・・・・そうだ!あれは北郷殿ではないか!!何故今まで忘れていたのだっ!?
「また会えるなんて。これで命の恩人にお礼が出来るよ♪あの、名前教えて貰えないかな?あの時は三人とも真名で呼び合っていただろ?真名しか判らないから呼びづらいんだけど・・・・・」
間違いない!あの後この北郷殿は曹操に拾われたのか。
「え、え~と・・・趙雲・・・・・」
「え!?趙雲って・・・・・」
マズい!私の名を聞き知っているのか!?
「隊長~。仕事中に軟派なんかしたらあかんやろ。」
隊長?
「うわあ、スゴイ美人さんなのぉ!」
「隊長・・・・・・不潔です・・・」
「い、いや!この人は命の恩人で!」
「華琳様に気に入られとんのに何が不満なんやろ?この事は華琳様にきっちり報告しとかなあかんな~♪」
曹操の真名か?本当にマズいぞ!下手をすると間者と間違われる!
「ひ、昼飯奢るから勘弁して・・・」
「申し訳ない!私は急用が有るので失礼させて頂くっ!!」
「「「「え?」」」」
どうなっているのだ!?これは平原に行って確かめねば!
・・・・・・・・・面白いことが大陸に起きようとしているに違いないっ♪
劉備軍、孫策軍、曹操軍会談集結地
会談の為に用意した天幕に向い歩みを進める。
私の左に主がおられる。
右手前方から曹操軍。
左手から孫策軍。
その中に居るもう二人の『北郷一刀』。
皆の驚く顔が実に愉快だ♪
ただ、曹操軍の北郷殿は私の顔を見て何か納得している様だった。
本城 後宮中庭 小山山頂東屋
【紫一刀turn】
「あの時、紫の主は何を思っておいででした?」
「いや、星が感じた通り、納得してたんだ。」
星が懐かしい思い出を語ってくれた。
俺がこの外史で初めて会ったのは星なんだよな。
「しかし、あの時はまだ外史の記憶は戻っていなかった筈では?」
「陳留で趙雲って名乗ったろ。正史でも趙雲子龍は劉備玄徳配下の五虎大将軍の一人として有名だからさ♪」
趙雲を名乗った人間が劉備玄徳の軍に居れば成程なって思うよ。
「ふむ・・・・・五虎将か・・・・・」
「「「ん?まだ何か疑問がある?」」」
「いえ、あの時の事ではなく・・・・・五虎将の方ですが・・・」
「「「うん。」」」
「どうにも私が最後に懐妊した様な気がしてならんのです。鈴々がまだなのに、どうにも先を越されて居るような・・・・・」
「「「それは気の所為だよ!」」」
おまけ参
星の娘 趙統 真名:
三歳
『姐姐†無双』五
「黄華蝶誕生秘話」 (時報:桂花 六人目 七ヶ月)
本城 蜀区画 星自室
【璃々turn】
螢ちゃんの手を引いて星お姉ちゃんの部屋に連れてきた。
「星媽媽がお仕事から戻るまでわたしが一緒にいてあげるからね♪」
「うん、りりおねえちゃん♪」
予定の時間になっても星お姉ちゃんが学園に螢ちゃんを迎えに来なかった。
街で華蝶連者と悪人が戦っているって報告があって、騒ぎを鎮める為に出動したからだと思うけど・・・。
「ふにゅう・・・・・ねむねむ・・・」
螢ちゃんは部屋に戻って卓につくとすぐに船を漕ぎ出した。
いっぱい遊んで疲れたんだろうな♪
「ここで寝たら風邪引いちゃうからお布団に・・・って、もう寝ちゃった・・・・・」
可愛い寝顔しちゃって♪寝台に運んであげますか。
螢ちゃんを抱っこして寝台の方を見ると・・・・・・え?蝶々?
なんか光ってて・・・・・・大きな蝶が羽ばたかずに浮いている・・・・・。
「怖がらないで。」
「え?螢ちゃん!?」
声は螢ちゃんの物・・・・・。
でも抱っこした螢ちゃんは眠ったままだった。
目を閉じたまま声だけを出している。
「ボクは華蝶の仮面。この子の口を借りて話しているんだ。」
か、仮面?そういえばよく見るとあれは華蝶仮面が着けている物とそっくり・・・・・。
「ボクは最近この街に来たんだ。仲間に呼ばれてね。」
仮面と螢ちゃん。わたしは交互に見ていたけど、視線を仮面に、耳を螢ちゃんに向けた。
「華蝶連者に・・・呼ばれたの・・・・・?」
「正確には仮面にね。だけどボクを身に付けるのに相応しい人が中々見つけられなくて・・・・・でも、ようやく見つけた。」
それって・・・・・まさか・・・・・・。
「ボクと契約して華蝶仮面になってよ♪」
・・・・・・・・・・・・・・・ええと・・・。
「なんだかその言葉にスゴ~~~~~~~ク警戒心を覚えるんだけど・・・・」
「・・・・・・やりづらいなぁ・・・大丈夫。ボク達華蝶の仮面の使命はこの世界を守る人間に力を与える事。キミの望みを何でも叶えてあげるなんて事は出来ない。ボクに出来るのは『この世界を守りたい』というボクとキミ共通の望みを叶える努力を一緒にするだけだ。」
「・・・信じてあげたいけど・・・・・」
「困ったなぁ・・・・・あ、みんなが帰ってきた。」
「え?帰ってきた?」
それは華蝶連者が来たって事?でも『帰って』って・・・・・。
『戻るのに手間取ってしまったな。』
『警備隊のみんながそれだけ頑張ってるって事ねぇん』
『うむ、皆が平和に胡座を掻かず精進しておる!結構な事だ。がっはっはっはっは♪』
『すみません・・・・・私がまた足を引っ張ってしまって・・・・・』
『・・・おなかすいた・・・恋々もきっと待ってる・・・』
壁の向こうから聞こえたこの声。
そして壁が動いた!?・・・・・これって隠し扉??
「「「「「あ・・・・・・・」」」」」
隠し扉から出て来たのは華蝶連者・・・・・・でも、今のわたしには仮面を着けた星お姉ちゃん、朱里お姉ちゃん、恋お姉ちゃん、貂蝉と卑弥呼に見える。
「お・・・・・おかえりなさい・・・」
螢ちゃんを抱っこしたまま、私は笑顔を作ってそう言った・・・・・ちょっと引きつってたかなぁ・・・・・。
固まっているわたし達の間に仮面が入ってクルクルと回る。
その仮面を星お姉ちゃんが手に取った。
「・・・・・成程・・・璃々は仮面に呼ばれたのだな♪」
星お姉ちゃんの顔はとても嬉しそう。
「・・・・・呼ばれた・・・・・?」
「「「それについては俺たちが説明しようっ!!」」」
「ええっ!?ご主人さまたち?いつの間に!?」
「「「その前に・・・朱里と恋はみんなが心配するから先に戻って。」」」
「・・・・・・・・うん、わかった。」
「璃々ちゃん!後で私の言い訳も聞いて下さいねっ!!」
朱里お姉ちゃん涙目になって・・・・・・しかも言い訳って言っちゃてるし・・・・・。
「「「璃々。螢を寝台に寝かせてくれるか?ここでは誰かに聞かれるかも知れないからな。」」」
わたしが螢ちゃんを寝台に運んだ後、さっきの隠し扉の中に入った。
部屋の中には下へと続く階段が有り、それを更に降りて行く。
階段を降りた先には扉が有り、それを開くと・・・・・。
「うわあ!明るい!」
「「「ここは華蝶連者の秘密司令室だ!」」」
「司令室?この壁にたくさんある丸くて光ってる窓みたいなの何?」
「「「・・・単なる照明・・・・・雰囲気作りにメーター風にしてるだけだから・・・・・因みに真桜と炙叉に作ってもらった。」
「あ!シスターズのライヴ会場で使ってるのと同じなんだ。」
「主、今はこの場所の自慢より、仮面の説明をしてくだされ。」
「ああっと、ごめんごめん。それじゃあ先ず、璃々は星達が華蝶連者だって気が付いていた?」
「ううん。上で会うまで全然・・・・・あれ?でも今思うと何で気が付かなかったんだろ?」
昔の記憶を思い出してみると普通に星お姉ちゃんだと分るのに・・・・・。
「それが仮面の力の一つだ。華蝶の戦士は正体を隠し、陰からこの世界を守っていたんだ!」
その割に結構派手に戦ってる様な気がするけど・・・・・。
「世界を守るってその仮面からも言われたけど、本当なんだ・・・」
「ほほう、璃々は仮面の声を直接聞いたのか。」
「直接っていうか・・・螢ちゃんの口を借りて喋ってたけど?」
「螢の口を?・・・・・・ふむ、この仮面、かなりの力を感じていたがそこまでとは・・・」
星お姉ちゃんが手に持っている仮面を見つめている。
「「「他にも何か言ってた?」」」
「ええと・・・・・最近この街に来たけど自分に相応しい相手が居なかったとか・・・」
「「「ふむふむ!」」」
「わたしに契約して華蝶仮面になって欲しいって言われた。」
「「「ダメだろ、そのフレーズは!俺たちだったら逃げるぞっ!!」」」
あ、仮面が落ち込んでるのが分る。
「まあまあ、主。おちついて。璃々、おぬしは仮面の言葉を警戒しているようだが語った事は本当だ。この仮面は我らの戦力強化の為探し出され、最近ここに運ばれてきた。何人かが試してみたが華蝶の力を顕現する事は出来なかったのだ。」
「試したって、お城のお姉ちゃん達が?」
「我らの正体が判る者だけだがな。紫苑も試したぞ。」
「お母さんが!?」
お母さんがこの仮面を着けた姿って・・・・・妙に似合ってる気も・・・じゃなくて!!
「お母さんは華蝶仮面の正体を知ってたんだ・・・」
「主!ここは璃々に全てを話した方がよろしいのでは?」
「「「そうだな、全てを聞いた上で華蝶仮面になるかを決めてもらおう。」」」
「話って一体・・・」
「本来ならば主の子を授かった時に話す事なのだがな・・・」
星お姉ちゃんのその言葉にわたしは興味を引かれた。
教えて貰ったのは『外史』の事。
そして、華蝶仮面は『敵』への対抗手段。
「外史と云う平行宇宙を証明するには因果律量子論を」
「「「そのキャラは色々とマズいからだめええええええええっ!!」」」
星お姉ちゃんが白衣を着て椅子に座り足を組んでる・・・・・いんがりつ?
「つまり華蝶仮面の正体が見破れる人間は妖術にかかりづらい、だったら敵に操られる事も防げると思うんだ。」
緑のご主人さまの言葉に頷く。
「だから、以前は正体がバレない様にしていた華蝶連者に、今は出来るだけ人前に出てその正体に気付いてもらえる様にしてる。」
その外史の華琳お姉ちゃんや冥琳お姉ちゃんみたいな悲劇を繰り返さない為にも。
「璃々なら解ると思うけど、華蝶仮面の正体って人から教えられても理解出来ないだろ?」
「うん・・・今なら何で?って思うけど、本当に別人としか思えなかった。」
「「「俺たちや最初から気が付いていた人間にはその感覚が判らないんだよなあ。」」」
「それは主たちの方が特殊なのですぞ・・・・・と、言いたい所ですが、まさかあれほどの人数に気付かれていたとは・・・・・・」
「う~ん、やっぱりわたし達の美しさって華蝶の仮面でも隠しきれないのねぇん♥」
「ううむ、美しく生まれてしまった我が身が恨めしい。」
「「「・・・・・・・・・星はともかくお前ら二人は・・・・・・いや、もういい・・・メンドクサイからスルーしとく・・・・・・・」」」
でも正体に気付かれる様にか・・・・・。
「ねえ、ご主人さま。誰か正体を見破った人って居るの?」
そうじゃ無かったらこの策は無意味だよね?
「ああ、焔耶が比較的早くに見破ったな。」
「焔耶お姉ちゃんが!?」
「焔耶が華蝶連者の姿を星達に似てないかって訊いて回っていた時期があってね。それが有ったからこの作戦を思いついたんだ。」
へえ~、焔耶お姉ちゃんはやっぱりスゴイなあ。
「さて、璃々。説明はほぼ終わったが・・・どうだ?」
星お姉ちゃんが仮面を出して問い掛けてきた。
こんな話しを聞かされたら、答えはもう決まってるよ。
「うん!わたし、華蝶仮面になるっ!!」
「よし!では早速これを着けて見せてくれっ!!」
わたしは仮面を受け取った。
「でゅわッ!」
「「「・・・・・なんで教えられて無いのにその掛け声が出るんだ?」」」
ご主人さまたちの声が聞こえたけど・・・・・それどころじゃない・・・なにこれ?
スゴイ!力が漲ってくるっ!!
「おおっ!新たな仮面の戦士の誕生だっ!!」
「あらあら!これは凄いわねぇん。」
「ほほう、流石紫苑の娘♪何と見事な凰羅よ!」
何もしなくても自分の力が倍増したのが判る・・・・・・けど・・・。
「ご、ご主人さま・・・どうかな?」
「「「うん、カッコイイぞ♪」」」
「でも・・・ご主人さまたちには、わたしが仮面を着けただけに見えるんだよね?」
「「「大丈夫!脳内補完で璃々の変身シーンは構築済みだっ!!」
「あ~ら、それじゃあわたしの変身シーンもご主人さまたちの脳内では再生されちゃってるのねぇん♪恥ずかしいわん♥」
「あ、あんな所やこんなと所も見られてしまっておるやも♪漢女のハートがドキドキしてきたぞ♥」
「「「・・・・・ああ・・・しっかり補完してるぞ・・・まともな服を着た姿に・・・・・」」」
なんだかよく分からないけど、ご主人さまたちが喜んでくれてるからいいや♪
「星お姉ちゃん!これからよろしくお願いしますっ!」
「私がこの仮面を着けている時は今後も星華蝶と呼ぶのだ!」
「はい!星華蝶!」
「そしておぬしの名は・・・・・・黄華蝶!今後はこの名を名乗るがいいっ!!」
こうしてわたしは仮面の戦士となった。
「我々の真の敵をβと呼称する!」
「「「だからそれはやめろっ!!」」」
「君にはβ殲滅の新たな任務に着いてもらう。」
「「「貂蝉!お前もかっ!!」」」
あとがき
星はやりたいことが沢山有ったので
色々ぶち込んだらこんな長さになってしまいました。
まずは猫絡みで星、風、明命が集まったところが見たくて書きました。
この三人ににゃあにゃあ言い寄られたら
雷起は一瞬で理性が崩壊しますねw
稟と星の会話も久々です。
最初は鼻血無しで行こうと思ってたんですけどねぇ・・・・
星と云えばメンマと酒
つわりが後宮をメンマ地獄から救いましたw
螢は生まれる前からみんなの役に立ってますねw
第一章第一部の始めに
星が赤一刀と紫一刀を見に行った処を改めて書いてみました。
この頃から星が一刀をどう見ていたのかを匂わせています。
そしてやはり華蝶仮面ですねw
パロディ満載でお送りしました。
BETAでは無くβですので人を食べません。
βと呼ぶことも二度とは無いと思います・・・・・・たぶん。
《次回のお話&現在の得票数》
☆亞莎 35票
という事で、次回は亞莎に決定しました。
ついに璃々が一位か!?と、思ったのですが
鼻の差で亞莎が逆転しました。
以下、現在の得票数です。
璃々 35票
明命 34票
華雄 34票
真桜 33票
猪々子 32票
二喬 32票
春蘭 31票
沙和 29票
穏 26票
斗詩 26票
稟 26票
霞 23票
季衣 22票
桂花② 14票
思春② 12票
音々 12票
紫苑② 11票
鈴々② 9票
冥琳② 6票
翠② 6票
雪蓮② 5票
華琳② 5票
風② 4票
小蓮② 4票
ニャン蛮②3票
音々音② 2票
凪② 1票
月② 1票
星② 1票
※「大喬と小喬」は一つの話となりますのでセットとさせて頂きます。
②は二回目を表します。
一刀の妹と息子の登場回は以下の条件のいずれかを満たした場合に書きたいと思います。
1・璃々以外の恋姫全員のメイン話が終了した時
2・璃々のリクエストが一位になった時
3・メイン二回目の恋姫がリクエストの一位になった時
4・華琳のリクエストが一位になった時
※条件に変更があった場合、あとがきにて報告致します。
リクエスト参戦順番→猪々子 穏 亞莎 明命 斗詩 二喬 春蘭 華雄 稟 璃々 真桜 季衣 冥琳② 霞 沙和 思春② 紫苑② 鈴々② 桂花② 風② 雪蓮② 凪② 音々 小蓮② 翠② ニャン蛮族② 華琳② 音々音② 月② 星②
過去にメインになったキャラ
【魏】華琳 風 桂花 凪 数え役満☆シスターズ 秋蘭 流琉
【呉】雪蓮 冥琳 祭 思春 美羽 蓮華 七乃 小蓮
【蜀】桃香 鈴々 愛紗 恋 紫苑 翠 蒲公英 麗羽 桔梗 白蓮 月 朱里 雛里 詠 焔耶 ニャン蛮族 音々音 星
子供達一覧
1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)
2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)
3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)
4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)
5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)
6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)
7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)
8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)
9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)
10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)
11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)
12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)
13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)
14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)
15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)
16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)
17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)
18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)
19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)
20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)
21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)
22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)
23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)
24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)
25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)
26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)
27)美以の長女 孟節 花鬘(かまん)
28)トラの長女 ベンガル
29)ミケの長女 マンクス
30)シャムの長女 ペルシャ
31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂
32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)
33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)
34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん)
35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)
36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)
37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)
桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)
桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)
桂花の五女 荀粲(じゅんさい) 黄梅(おうめい)
桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)
A)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)
B)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)
C)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)
D)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)
E)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)
※アルファベットは仮順です
引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。
リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいても大丈夫です(´∀`)
よろしくお願い申し上げます。
【今回のマヌケ晒し】
「よし!では早速これを着けて見せてくれっ!!」
わたしは仮面を受け取った。
「ジュワッ!」
「「「・・・・・なんで教えられて無いのにその掛け声が出るんだ?」」」
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得票数35の星のお話です。
今回はいつもより長めです。三十話記念に姐姐†無双も入ってます。
引き続き、どの恋姫メインの話が読みたいのかリクエストを募集しております。
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