No.575270

真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三爸爸†無双』其の二十九

雷起さん


得票数34の音々音のお話です。
オリキャラの音々音の母親、音々も活躍・・・・・と言うか、暗躍します

引き続き、どの恋姫メインの話が読みたいのかリクエストを募集しております。

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2013-05-11 19:28:20 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2949   閲覧ユーザー数:2281

 

 

第二章  『三爸爸†無双』 其の二十九

 

 

【音々音&音々 母娘の会話(音声のみ)】      (時報:桂花五人目 妊娠五ヶ月)

 

「音々音、そこに座りなさい。お話が有ります。」

 

「母上っ!?」

「音々音は何時になったらわたくしに孫の顔を見せてくれるのですか?」

「い、いきなり何を言い出すのですか!?」

「いきなりではありません。詠ちゃんが(くん)ちゃんを産んで、もうすぐ三年になろうかとしているのですよ。それはわたくしがこの房都に移住して三年になろうとしていると云う事です。その間に華雄ちゃんと霞ちゃんもお子を授かり、元月殿の軍勢の将で授かっていないのは音々音一人・・・・・と言うか、もう授かっていないのは季衣ちゃんと美羽ちゃんとわたくしと音々音と璃々ちゃんだけです!まあ、璃々ちゃんは年齢的にまだ無理は有りますが・・・・・」

「・・・・・母上・・・・・ちゃっかり自分も勘定に入れているのですよ・・・」

「黙りなさい。そんな事よりもこの中で音々音のおっぱいが一番小さいと気が付いているのですか!?璃々ちゃんよりも小さいなんて・・・・・母は情けなく思います。」

「それは母上も同じだと思うのですが・・・大体、母上の娘のねねと紫苑の娘の璃々とでは遺伝的に見てこの結果は解りきっていたのです!」

「解っているのなら何故それを武器として用いて策を弄しようとしないのですか!?母が音々音の歳にはもうあなたを産んでいたというのに!」

「は、母上!恥ずかしいのでそんな話は止めて欲しいのです!しかも、なんでこんな場所でし始めるのですか!!」

 

 

本城 皇帝執務室

【緑一刀turn】

 部屋の真ん中で正座をして言い争うねねとおとねさんの親子。

 それを呆然と見ている俺たち三人。

 と、更に華琳、桃香、蓮華の三人の王と朱里、雛里、冥琳、風。

 少府長官のねねから報告を聞き、それを議題に話し合う会議の最中におとねさんがこの部屋に突然現れ、以上の話しをし始めたワケだが・・・・・。

 

「それはこの場に居る方々に協力を仰ぐために決まっているのです。」

 

 ぶっちゃけましたよ、この人。

「あ、あのぅ・・・おとねさん・・・・・」

「はい、何でしょう?緑一刀様♪」

 返事をする笑顔はとても若々しく、ねねの母親と言うよりも、むしろ姉と言われた方が納得がいく。

 背丈も朱里と同じ位でその体型も先程ねねが言った通り実にスレンダーだ。

 年齢を直接聞いたわけでは無いが、俺たちより年上なのは間違いない筈なのにどう見ても年下に見えてしまう。

「ねねをあまり責めないでやってくれませんか。その責任は俺たちにも在るのだし・・・」

「何を仰いますか!一刀さまたちに責任など御座いません!これだけ子を成しておいでなのですから一刀さまたちに問題が無いのは証明済み。ならば音々音に問題が有ると見るのが妥当と云うもの。」

 いくら母親とはいえ、それはねねが可哀想だ。

「い、いや、華佗が診断でねねも身体的に問題は無いと言ってますから・・・」

「そのお話は華佗殿から聞いております。」

 へ?じゃあ何でおとねさんはねねに問題が有るって言うんだ?

 

「問題は音々音の身体ではなく、手練手管です。」

 

「で、ですから母上っ!い、今は会議の場なのですぞ!その様な話は後にして下さいなのですっ!!」

 

 ねねが真っ赤になり、腕を振り回して抗議した。

 だけど、おとねさんはそんなねねのおでこを片手で押えてあしらっている。

「わたくしも時と場所を選んでこの場に居るのです。先程も言った通り、この場の皆様のお力添えを頂く為と、更にこの手の話を子供達の耳に入らない様にとの配慮です。」

 

「成程・・・貴女の言い分は理解したわ、音々(おとね)。」

 

 華琳!?

「それで具体的には私達に何を求めているのかしら?」

 華琳に対しおとねさんは物怖じせず返答する。

「音々音、季衣ちゃん、美羽ちゃんの閨への優先権と皆様の実地での実技指導をお願い致したいのです。」

 

 みんなの目の色が変わった・・・・・ねねだけ逆の色だけど。

 

 実地での実技指導って・・・・・・そういう事だよな・・・。

「季衣と美羽にも配慮してある所が抜かり無いわね・・・・・それで、貴女自身はどうなのかしら?先程はしっかり自分も数に入っていたみたいだけど?」

「そこはご心配なく。わたくしは音々音の監視として付き添います。」

「ホント・・・抜かり無いわね・・・・・では、決を採りましょう。」

 

「「「「は?」」」」

 

 当事者の俺たちとねねを置き去りにして話が進んで行く。

「「「あの・・・いつの間に会議の議題になってたの?」」」

「今の案件に賛成の者は挙手を!」

 俺たちの発言は無視され、ねねと俺たち三人を除く全員の手が挙がった。

「では賛成多数と云う事で可決します。後ほど具体的な部分の話し合いをしましょう。」

 これって数の暴力じゃないのか?

 

「は、母上・・・・・・相変わらず策士なのです・・・・・」

 

 絶望感満載でねねが項垂れていた。

「いつまでも子を授かれない音々音が悪いのです。大喬ちゃんと小喬ちゃんもお子を授かっていると云うのに・・・」

「何故ここであの二人の名前が出るのです?」

「声が似ているので何となくです。」

 

 おとねさん・・・・・それ・・・メタ一歩手前ですから・・・・・。

 

 

 

 

ひと月後

本城 医務室

【音々音turn】                 (時報:桂花五人目 妊娠五ヶ月)

 

「ねね、おめでとう♪」

「・・・ねねおねえちゃん、おめでとう♪」

 

「ありがとう御座いますです。恋殿、恋々殿。」

 ねねの笑顔が引きつっているのが自分でも分かるのです。

 せっかく恋殿と恋々殿がねねを祝福してくれるというのに・・・・・・。

 それというのも母上が・・・・・。

 

「う~ん・・・一緒に子種を頂いたというのに、音々音だけが懐妊するとは・・・・・」

 

 自分の痴態を母上に見られ、母上の痴態を見せられ、その上他人にまで見られるなんて・・・・・ねねは穢されてしまった気分で素直に喜べないのです・・・・・・・・恋殿がご一緒してくださった時は別ですが・・・。

 

「音々音。ニヤけていないで早く一刀さまたちに報告に行ってくるのです。」

 

「ニ、ニヤけてなどいないのです!・・・・・・母上は一緒に来ないのですか?」

「母は三王様方や後宮へ報告をしてくるのです。母もそこまで野暮ではないのですよ♪」

 今まで充分野暮だったと思うのです。

「恋ちゃんと恋々ちゃんもわたくしと一緒ですので、一刀さまの執務室には一人で行くのですよ。今の時間は一刀さまたち三人しかおられない筈です。」

「母上・・・・・。」

 母上が笑顔でねねを見ているのです。

 そして恋殿も・・・・・微笑んで頷いてくれたのです。

 

「解りました!ねねは懐妊の報告に行ってくるのです!」

 

 言った時にはねねの足は既に駆け出していたのです。

 

「・・・ねねおねえちゃん・・・いってらっしゃい。」

「恋々ちゃん。これからはねねお姉ちゃんではなく音々音媽媽ですよ♪」

 背後からそんなやり取りが聞こえてくるのです。

 

「代りにわたくしの事をおとねお姉ちゃんと呼ぶのです♪」

 

ズベェッ!!

 

 ふ、不覚にも転んでしまったのです・・・・・・。

 

 

 

本城 皇帝執務室前

【音々音turn】

 勢いでここまで走って来ましたが・・・・・執務室が近付いて来ると急に恥ずかしくなってきたのです・・・・・。

 と、扉が開いてあいつらが出て来たのです!?

 ねねの走る足音に気が付いたのですね!

 ど、どどど、どうしたら・・・う~!うう~~!!ううう~~~~!!!

 そんな!あいつら両手を広げて!!??

 

「ちんきゅう螺旋キーーーーックッッ!!!」

 

ギュルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!

 

「「「ぐぽぉうっ!!」」」

 

 ・・・・・・・見事に鳩尾に決まったのです・・・・・。

 

 

 

「「「・・・・・ねね・・・照れ隠しとはいえやりすぎ・・・・・」」」

「う、うるさいのです!いきなり出てくるからどうしていいか分からなくなったのですっ!!」

「「「照れ隠しは否定しないんだ♪」」」

「~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」

 こ、こいつら!早くも復活してやがるのです!

 ・・・・・でも・・・。

「お、お前たちの子供を孕んでやったのです!感謝しやがれなのです!」

 ・・・・・今は・・・。

「「「あっれぇ~?恋が恋々を懐妊した時は一緒に懐妊出来なかったって拗ねてたのにぃ?」」」

 ・・・・・こいつらに・・・。

「そ、そんな昔の事を引っ張り出すなですっ!!それに言い方がムカつくのですっ!!」

 

 ・・・・・素直に・・・。

 

「「「ねね。ありがとう♪」」」

 

 甘えたい。

 

「・・・その笑顔も・・・・・卑怯なのです・・・」

 

 ねねを包み込む力と温かさがこんなにも心地いいのは初めてです。

 

 

 

 

本城 皇帝執務室内

【音々音turn】

「母上が迷惑を掛けて申し訳ないと思っているのです・・・」

 ねね達は執務室に入り、椅子に座って話しを始めたのです。

「「「迷惑だなんて思ってないよ。むしろ予想してたのよりずっと新鮮で」」」

ギロリ!

「「「ま、まあそれは置いといて・・・・・」」」

 まったく!こいつらのチン皇帝っぷりを思い知らされたのです!

「おとねさんがねねの事を心配してあんな手段に出たのは、ねねも解ってるんだろ。」

「それは・・・・・」

「みんなは見守ってくれてたけど、城内の人達や街の人達の・・・・・色々と言ってるのが俺たちの耳にも入ってくる位だからな・・・」

 やっぱり気付いてたですか・・・・・多くは同情の声ですが・・・母上はそれでも嫌だったのでしょうな・・・ねねは気にしてないのに・・・・・。

「おとねさんにとってねねは、どんなに大きくなっても『愛する我が子』なんだよ。だからどんな手段を使ってでも守りたかったんだと思う。」

「分かったような口を利くのです。」

「「「分かっているつもりだよ。なにせこれだけの数の母の愛を毎日見続けているんだから♪」」」

 ~~~~~~~~~っ!ま、またその笑顔を!それは反則なのです!

「そう言えば・・・・・みんながなんで何も言わず見守ってくれてるか・・・その理由をねねに教えようと思うんだ。」

「・・・それは・・・『外史』とやらと関係が有るのではないですか?」

「「「ええ!?どうしてその事を!!」」」

「一年以上後宮で暮らしたのですから時折耳に入って来るのです。ねねは聞こえていない振りをしていましたが・・・何やら懐妊前には聞かせたくないと云う雰囲気が感じられたので・・・・・・・・ねねもそれ位の空気は読むのですよ!」

「「「いや・・・別にツッコミは入れてないんだけど・・・」」」

「とにかく、その『外史』とやらの話しを聞かせるのです。」

「ええと・・・先ず、俺たちが居た『天の国』と呼んでいる世界の歴史を『正史』、その正史とは別の異世界を『外史』と呼ぶんだ。」

「それは『天界』や『仙界』とは違うのですか?」

「いや、そうじゃなくて・・・・・俺たちの世界には『多重世界』って考え方有るんだ。」

「多重世界?」

「似たような世界が無限に存在しているって考えで・・・本来なら当然その往来は出来ない。だけど俺たちは・・・・・」

「その正史の世界から来たと言うのですね・・・・・なるほど、この大陸の住人には『天の国から来た』と言った方が理解できるのです。虎牢関で初めて会った時にされた説明もかなり掻い摘んだ物だったと云う事ですか。」

 あの時点でこんな話しをされても理解できるわけ無いのですが。

「虎牢関の時にはしなかった話で、重要な事の一つ・・・・・・・・俺たちはここ以外の外史を知っている。」

「・・・・・それはもしかして・・・虎牢関の時に言っていた『天の知識』と云うやつですか?月殿や詠の事を知っていると言っていた・・・・・」

「ああ、そうだ。俺はこの外史に来る前に・・・・・外史を一度経験している。恋が俺と会った時の事を覚えてるだろ?恋にも何故かその外史の記憶が有って、俺たちと出会った事でその記憶が蘇ったみたいなんだ。」

「恋殿にも・・・・・そう言えば恋殿はあの時から『ご主人さま』と呼んでいたのです。どうしてかと訊いても『ご主人さまだから』としか答えてくれませんでしたが・・・・・あれは二つの世界の記憶が混在したための混乱だったのですね。」

「「「ねねは理解が早くて助かるなあ。さすが軍師!」」」

「見直したかなのです♪・・・・・はて?そうなるとお前たちは何でこの外史に現れた時からその記憶を活用しなかったのです?黄巾の乱でもっと手柄を立てて早々と覇を唱える事も出来た筈です。」

「「「俺たちの記憶が戻ったのが反董卓連合集結の直前だからだよ。」」」

「それはもしかして同盟締結の時ですか?三人が出会って記憶が戻った?」

「「「残念ながら三人が揃っただけじゃ記憶は戻らなかった。記憶が戻ったのは貂蝉を見た時からだな・・・」」」

「・・・・・貂蝉?・・・・・・お前たちまさか口では嫌だ嫌だと言っておきながら実は貂蝉を・・・・・・・」

 

「「「恐ろしい想像は止めてくれっ!!貂蝉は外史の管理者の一人・・・仙人みたいなものなんだ。」」」

 

「なるほど・・・貂蝉が人外だと云うのはとても良く判るのです・・・・・では、卑弥呼もそうなのですな。」

「ああ、そういう事・・・・・・外史の管理者の話が出たから敵の事も話しておく。」

「敵!?」

「外史の存在を是とせず、根こそぎ消滅させようとする奴らが居る。」

「外史を消滅!?この大陸を滅ぼそうというのですか!?」

「いや・・・・・もっと大きい・・・この外史そのものを無かった事にしようとする奴らだ。」

「そ、そんな・・・・・」

「「「俺たちは前の外史で奴らと戦い、そして勝った。」」」

「で、では・・・」

「俺たちの記憶はそこまでしか無いんだ・・・・・戦いに勝った筈なんだけど・・・その後どうなったのかが分からない・・・・・俺たちの推測では、多分その時にその外史から飛ばされてこの外史に来たんじゃないかと思っている。だから記憶が戻った時に奴らもこの外史に来ていて、月と詠が捕まり操られて居るんじゃないかって心配もしたんだけど・・・」

「ああ、洛陽には居なかったですな・・・」

「貂蝉と卑弥呼が言うには奴らはこの外史にやって来ないかもしれないし、来るにしてもかなり先になりそうだって話だ。」

「ふ~む・・・その話を懐妊したみんなは知っているのですな?」

「え~と・・・・・・極一部の人を除いて・・・・・」

「ああ・・・・・話しても理解できなさそうなのがおりましたな・・・・・話が少し戻るのですが、その敵とやらは外史だから消す。正史だけを残すというワケですな。」

「「「ああ、そうだ。」」」

「ふん。何とも自分勝手な理屈で動く奴らです。ここに住まう人間から見れば、此処こそが正史であり、そちらが外史なのです!これから生まれる我が子の為にもねねが返り討ちにしてやるのです。」

「「「いつ来るか分からないし、そもそも来ないかも知れないんだぞ。」」」

「ふふん。来る可能性が僅かでも有るのなら、備えるのは兵法の常道なのです。大体、こんな話を華琳殿が聞いて黙っている筈が無いのです。」

「ホント・・・流石だよ、ねねは・・・・・華琳は外史の研究会を作ってるから、ねねも研究会に入るように勧められるぞ。ねねの考えはきっとみんなの役に立つから。」

「任せろなのです!」

「「「ええと、それから・・・・・・・どうしても伝えておかないといけない重要な事がもう一つ有るんだ。」」」

 三人がとても沈痛な顔をしているのです。

「何なのです?」

「「「今この城にいるみんなの内、その半数は前の外史では出会えなかった・・・・・」」」

 

「・・・・・・・・・・ねねも・・・・・その内の一人なのですね・・・」

 

 三人が無言で頷く。

 でも、その眼を見れば何を言いたいのかわかるのですよ・・・・・。

「さっきも言った様に、ねねにとってはここが正史なのです!その外史のねねには悪いですが、ねねは『北郷一刀』に出会えたのです!ねねは幸せ者なのですよ♪」

 

「「「え!♪」」」

「あ・・・・・・」

 

 しまった!調子に乗って言い過ぎたのです!

 

「「「よく聞こえなかったからもう一度♪」」」

 

「ちんきゅう螺旋三段キーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!」

 

 

 

 

翌日

房都郊外 山道

【緑一刀turn】

 俺たち三人とねねは川を目指し山道を歩いていた。

 目的地は晋建国間もない頃に息抜きの為訪れた場所だ。

 あの時は恋とセキトと張々も一緒だったが、今はこの四人だけ。

 これはねねの希望だ。

 恋々が一緒に行きたがったが恋とおとねさんに諭されて、城で遊んでいる・・・・・筈だ。

 シャオの時は冰蓮がいつの間にかついて来ていたからな・・・・・油断は出来ないぞ。

 街中ならまだしも、こんな所で子供が迷子になったら見つけられないからな。

 

「さっきから何度も振り返ってどうしたのです?」

 

「「「いや・・・・・恋々がついて来てないか心配になってさ・・・」」」

「大丈夫なのです。恋々殿は聞き分けのいい良い子ですからな。それに恋々殿ならこの辺りで迷うことは無いのです。」

「「「迷わない?」」」

「恋殿の娘ですぞ。生き残る為の勘は子供達の中でずば抜けていますな。」

 そうなのか。俺たちがおやつを食べる時に時々やって来るのもその勘なのかな?

「そう言えば小蓮殿の時は冰蓮殿が騒動を起こしてましたな。冰蓮殿は焚き火に入れた栗みたいな子ですから相手をするのが大変なのです♪」

「「「焚き火に入れた栗?」」」

「パンとはじけてどっかに行ってしまうのです♪」

 クスクス笑ってねねは楽しそうだ。

「「「なるほど・・・言い得て妙だ。ねねは子供達をよく見てるなぁ。」」」

「子供達と遊ぶのは楽しいのです。仕事の疲れが癒されるのです。」

「「「それは解るな。俺たちも疲れたら子供達に会いに行くもんな。」」」

「お前たちが来たら子供達がみんなお前たちの所に行ってしまうので面白く無いのです。」

「「「えええ!?」」」

「冗談なのですよ♪でもお前たちはいい父親では無いのです。」

 

「「「えええええええええええええええええっ!!!」」」

 

「お前たちは子供を甘やかしてばかりです。おかげで母親達は厳しく躾けないといけなくなるので、子供が母親嫌いになったらお前たちの所為なのです。」

「「「それはマズい!!改めなければ!!」」」

「そのあたりは董雅様に相談すると良いのです。あの方は子供を上手に叱れる良い父親なのです。」

「「「そう言えば董雅さんに初めて都に来てもらった時、ねねは叱られてたよなぁ。」」」

「三年も前のそんなくだらない記憶はさっさと忘れるのです!」

 

 俺たちはこんな感じで子供達の事や思い出話をしながらのんびりと目的地を目指した。

 目的地と言っても、別にその場所で何をするわけでもない。

 只同じ時間を共有したいだけ。

 

「ねねと俺たちだけでここに来るのは初めてだな。」

「ここだけでは無いのですよ。ねねはいつも誰かと一緒に居たのです。恋殿と居る事が一番多いですが・・・・・恋々殿や子供達・・・母上、月殿、詠、霞、華雄・・・そして三国のみんなが・・・・・みんな・・・ねねの大切な家族なのです・・・・・でも・・・今だけは・・・」

 川のせせらぎを聞きながらお弁当を食べ、温かな日差しに微睡み、体を寄せて体温を感じ合う。

 ねねの雰囲気が昨日とはまた違う。

 きっと華琳達から俺たちの知らない外史に関する話しを聞いたんだろう。

 華琳達の研究会が俺たちに話していない事が在るのは薄々感付いている。

 俺たちがそうだった様に、華琳達も俺たちを気遣って話さないと分かるから・・・俺たちはその事には触れないようにしているんだ。

 

バシャン!

 

 水の跳ねる音が聞こえた。

 大型の魚がライズでもしたのかと目を開き視線を向けると・・・・・・・。

 

 く、熊っ!?

 

 俺たちは驚いて固まったが、熊の方も驚いて動きを止めていた。

 しまった・・・熊よけの鈴をしっかりと鳴らしておけば良かった。

 普通、熊は人間が居れば近寄ろうとはしない。俺たちが静かになったから居なくなったと勘違いして水辺に出て来てしまったんだ。

 龍も倒した俺たちだ。親衛隊のみんなは居ないが、ねねを守って熊を倒す事も可能の筈・・・。

 俺たち三人は腰に佩いた剣に手を伸ばす。

 

「(待つのです!あの熊の足下をよく見るのです!)」

 

 ねねの声は熊に対して怖じけてはいなかった。それどころか熊の目を睨み目線を外さない。

 熊の足下?

「「「(こ、仔熊!?)」」」

 二頭の仔熊が俺たちに気付かずじゃれ合っている。

 こんな場面じゃなきゃ微笑ましい光景だが・・・・・目の前に居るのは母熊って事だ。

 こりゃ武力解決は避けたいところだな・・・・・しかし子供を守る母熊はかなり凶暴だ。

「(こんな時の対処法は心得ているですか?)」

「「「(親熊の目を睨みながらゆっくり後ろに下がる。)」」」

「(上出来なのです。)」

 俺たちはジリジリと後ろに下がり充分に距離を取ると、母熊も警戒を解き、仔熊を連れて対岸の森の中にその姿を消した。

 

「「「ふうぅ~~~・・・・・ねね、大丈夫か?」」」

「熊程度に怖気付いては恋殿と戦場には立てないのですよ。」

 

 ああ、確かにそうだな。恋の本気の気迫は熊の何十倍も有るからなあ・・・・・。

「何か・・・一瞬で色々と考えてしまったのです・・・・・母熊だと気付いた瞬間に傷つけたくないと思ったり・・・でも、お前たちが襲われて死んでしまったらとか・・・父上の事を思い出したり・・・・・」

「「「ねねの・・・お父さんか・・・・・」」」

 おとねさんからねねの父親は戦死したと教えて貰っていた。

「ねねは父上の事を殆ど覚えていないのです・・・・・でも、父上が居なくなって悲しかったのは覚えているのです・・・そして母上が時折悲しそうにする姿を見るのが辛かったのです・・・・・子供達に・・・同じ思いをさせたくないと思ったのですよ・・・」

 さっきまで鋭い眼光で熊を睨んでいた瞳には涙が浮かんでいた。

 

「それに・・・それになによりお前たちが居なくなってしまう事を考えたら!」

 

 声が大きくなるねねに俺たちは笑って答える。

「俺たちが熊程度に殺されるワケないだろ♪」

「春蘭や愛紗や思春の一撃比べれば、熊の攻撃を躱すのなんて楽なもんさ♪」

「ああ!でも、恋だったら睨むだけであんな熊も服従させちゃうんだろうなあ♪」

 そんな俺たちにねねはキョトンとしていたが、すぐに笑い始めた。

「そうですな♪お前たちなら熊にぶっ飛ばされても、何事も無かったみたいに立ち上がって来るに決まってるのです♪それに恋殿が居たら熊は最初から近付いて来なかったですよ♪」

「「「だろう♪俺たちは・・・・・・俺たちはねねの事が心配だったよ・・・」」」

「ねねにはちんきゅうキックが有るのです!仔熊達に免じて勘弁してやったのですよ♪」

 冗談と本音を織り交ぜながら、ねねと俺たちは城に向かって歩き始めた。

 

 城に帰っても熊に遭遇したことは黙っていよう。

 下手すると山狩りを始めるかも知れないからな。

 でも、恋にだけは話しておくか。

 恋ならきっとあの熊の親子を守ってくれるに違いないから。

 

 

 

 

十ヶ月後

本城 貴賓室

【音々音turn】                   (時報:桂花 六人目 五ヶ月)

 

「太守殿!(りい)ちゃん!この子がわたくしの孫の音音(ねおん)なのです♪」

 

 母上が音音(ねおん)を抱いて浮かれているのです・・・・・・まあ今日の所は好きにさせるのです。

「うわぁ♪かわいいわねぇ♪」

「・・・音々(おとね)殿・・・・・真名が君と被っているのだが・・・・・・」

「何を言っているのですか、太守殿!この子は『ねおん』、わたくしは『おとね』!全然違うのです!」

 董雅様が溜息を吐いているのです・・・・・。

「董雅様。母上がご迷惑をかけて申し訳ないのです・・・」

「気にするな、音々音・・・・・もう慣れた・・・」

 とてもそうは見えないのです・・・。

 董雅様は亡き父上の代りに、ねねに父親の様に接してくれたのです。

 優しく、時に厳しく。ねねにとって理想の父親像なのです。

「ご迷惑と言えば・・・音々殿。本当に陛下のお子を授かる気なのか?」

「なんなのですか、その言い草は?まるでわたくしが一刀さまの子を産むのが迷惑みたいなのですよ!」

「みたいじゃなく、本当に迷惑を掛けていると思っているから言っているのだ!」

「ふふん♪太守殿と日ちゃんがイチャイチャしてるのを長年見せつけられた鬱憤を一刀さまのお子を産むことで晴らしてやるのです♪」

「い、イチャイチャなどしてはおらんだろう!!」

「あら、嫌だわ♪音々ちゃんったら♪」

「日・・・・・お前も言い返しなさい・・・」

「え?何か言い返さなきゃいけない事があったかしら?」

 

 はあぁ・・・みんなが集まる前に会わせておいて正解だったのです・・・。

 しかし、母上が一刀の子を産むと、その子はねねの妹ですが、音音にとっても妹で有り、同時に叔母でもあるワケで・・・・・・・なんとも複雑怪奇なのです・・・。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

ねねは成長して立派なツンデレになりましたw

 

そして音々は合法ロリのとんでも暴走キャラになってしまいました・・・・・。

恋の回の時は真名しか考えて無かったので

まさかこんなキャラに育つとは予想もしていませんでしたw

 

一刀たちはしっかり親子丼を頂いたみたいです。

+αも付いてますが。

 

音々音の娘の真名:音音(ねおん)

色々と候補を考えたのですがさんざん迷ってこれに決めました。

董雅さんのツッコミは最もだと思いますw

名は陳守(ちんじゅ)としました

最初は『陳珠』というのを思いついたのですが

可哀想なので『守』にしましたw

 

ついでに月の母親、董陽の真名も決めました

(りい)

単純だと思いますが気に入っています。

 

 

《次回のお話&現在の得票数》

 

☆星    35票

 

という事で、次回は星に決定しました。

 

以下、現在の得票数です。

 

明命   31票

璃々   31票

猪々子  30票

亞莎   30票

二喬   30票

真桜   30票

春蘭   29票

華雄   29票

沙和   27票

穏    24票

斗詩   24票

稟    24票

季衣   20票

霞    19票

桂花②  11票

思春②  10票

紫苑②  10票

音々   9票

鈴々②  8票

冥琳②  6票

雪蓮②  5票

翠②   5票

風②   3票

小蓮②  3票

華琳②  3票

ニャン蛮②2票

凪②   1票

音々音② 1票

 

※「大喬と小喬」は一つの話となりますのでセットとさせて頂きます。

②は二回目を表します。

一刀の妹と息子の登場回は以下の条件のいずれかを満たした場合に書きたいと思います。

1・璃々以外の恋姫全員のメイン話が終了した時

2・璃々のリクエストが一位になった時

3・メイン二回目の恋姫がリクエストの一位になった時

4・華琳のリクエストが一位になった時

※条件に変更があった場合、あとがきにて報告致します。

 

リクエスト参戦順番→猪々子 穏 亞莎 明命 斗詩 二喬 春蘭 華雄 稟 星 璃々 真桜 季衣 冥琳② 霞 沙和 思春② 紫苑② 鈴々② 桂花② 風② 雪蓮② 凪② 音々 小蓮② 翠② ニャン蛮族② 華琳② 音々音②

 

過去にメインになったキャラ

【魏】華琳 風 桂花 凪 数え役満☆シスターズ 秋蘭 流琉

【呉】雪蓮 冥琳 祭 思春 美羽 蓮華 七乃 小蓮

【蜀】桃香 鈴々 愛紗 恋 紫苑 翠 蒲公英 麗羽 桔梗 白蓮 月 朱里 雛里 詠 焔耶 ニャン蛮族 音々音

 

子供達一覧

1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)

2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)

3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)

4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)

5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)

6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)

7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)

8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)

9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)

10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)

11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)

12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)

13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)

14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)

15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)

16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)

17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)

18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)

19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)

20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)

21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)

22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)

23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)

24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)

25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)

26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)

27)美以の長女 孟節 花鬘(かまん)

28)トラの長女 ベンガル

29)ミケの長女 マンクス

30)シャムの長女 ペルシャ

31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂 

32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)

33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)

34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん) 

35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)

桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい) 

桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)

桂花の五女 荀粲(じゅんさい) 黄梅(おうめい)

桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)

春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)

A)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)

B)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)

C)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)

D)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)

E)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)

※アルファベットは仮順です

 

引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。

リクエストに制限は決めてありません。

何回でも、一度に何人でもご応募いただいても大丈夫です(´∀`)

よろしくお願い申し上げます。

 

 


 
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