姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:鄧 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第十九話
「想いの暴走①」
少し時が経ち、ある使者が蜀に訪れていた。
「桃香様、漢室派と名乗る者が面会を、求めています」
諸葛亮が劉備に使者の来訪を知らせる。
「分かった……朱里ちゃん、通してあげて」
「分かりました」
返事をした諸葛亮は早速使者を迎えに言った。
(やっぱり、司馬家との事なのかな?)
使者の口からどのような話をされるか、彼女なりに想像しながら待ち続けると、ついに使者が彼女の元に現れる。
「漢王朝の血族の末席、劉備よ」
(! この男! 桃香様に向かって何と言う口の聞き方を!)
関羽は使者の言葉遣いに怒りを覚える。彼女だけではない。魏延も同様だった。張飛も気に入らないといった感じの表情だ。趙雲も
怒りとはいかずとも頭にくるような感覚を覚えていた。
末席とは最下位の座席、地位という意味である。つまり使者は劉備を漢王朝の血を引く者の中で落ちこぼれだと言ったのだ。最近で
はケイ州、益州の攻略を成功したという目覚しい功績があるというにも関わらずである。劉辯や劉協などの直系に言われるならば分か
るがその使者に言われる筋合いはまったく無いのである。漢王朝の血族と認めたというのならば尚更、さらに言えば使者と太守という
関係を考えれば言わずもがなだ。彼女達の怒りは正等なものと言える。
そんな彼女達を自制させていたのは、諸葛亮、龐統、黄忠、厳顔の目だった。
彼女達はその雰囲気を感じ取り、目で自重しろと言ったのだ。そのおかげで何とか口に出さずにいる。
彼女達の間でそんなやり取りをしている間にも話は進む。
使者の話を簡単に言うとこうだ。
司馬家は何太后の死刑という大罪を犯した。それを機に司馬家がついに本格的に漢を乗っ取るような動きに出ている。そして本題な
のが、劉備に漢王朝の血筋の者として漢室のために司馬家を討って貰うことの要求である。
「これがその勅命の書である。受けるくれるな?」
そして使者は返事も待たず去っていった。まるで受けるのが当然と言わんばかりに。
去っていった後、すぐ激怒した魏延だった。
「何だ桃香様に対するあの態度は!」
「焔耶の言うとおりなのだ! あれは人に助けてもらおうとする態度では無いのだ!」
「ああ! 陛下の勅命で来たからと言っても礼儀くらいは弁えるのが常識ではないのか!? ましてや桃香様を漢王朝の血族だと認め
ているなら尚更だ!」
張飛、関羽も彼女に便乗するように怒鳴る。
そんな彼女達を何とか抑えようと、諸葛亮と龐統が説得する。
「落ち着いてください。気持ちが分かりますが仕方が無いことです」
「彼等にとって、それに気遣うような余裕は無いというのが現状です。気が立っていてそうしたのかも知れません」
黄忠、厳顔も二人を援護する。
「桃香様が此処の太守になったのが最近というのもあるわ、それですぐに敬意を表すのは無理なことだと思うわ」
「左様、それに我等がそんなことで討論しても無意味なことだ。使者にどう応えるかの全ては桃香様が決めることなのだからな」
皆は一斉に劉備を見る。
「ねぇ、朱里ちゃん、雛里ちゃん、もしこれに応えないとなったらどうなるんだろう?」
二人は少し考えるそぶりをした後、口を開いた。
「我々は漢王朝の血を引く者の軍として世を正そうとしているという大儀でケイ州と益州を平定しました。つまり桃香様は天下に漢の
血族の者として今の地位に居ます」
「もし勅命に従わないとなった場合、漢の者としての大儀が無くなり最悪この国で内乱が起こる可能性が出てきます」
内乱が起こる。この理由が分からず、魏延は頭を傾げる。
「内乱? どういう事だ?」
「分かるようにはっきり言います。漢に仕える家系だった曹操や孫権とは違い、もともと平民だった桃香様が太守になることに民や将
兵に不満がないのは、僅かながらでも漢の血族だという理由があるからです」
「桃香様自身の魅力に気付いて彼等の心を掌握するにはあまりにも時間が足りません……その事に気付かず桃香様を反逆者として討と
うとする人達が現れるかも……という事です」
「最悪、それに乗じて司馬家や孫家が攻めて来たらどうにもならなくなるという事も……」
諸葛亮、龐統の言葉を静かに聞いた劉備は考える。
(どっちを選んでも戦いは避けられない? 私は、どうすれば?)
劉備は既に何太后の死刑の事を聞き及んでいる。そしてある程度知っていた、それに至った原因も。考えれば漢の方に非があるとは
思う。しかしだからと言って勅命を蹴って、せっかく悪政に苦しんでいた国を救ってすぐ内乱などさせる訳にもいかない。
(私は……)
長い思考の末に辿り着いた答えは……。
「皆、受けよう……この勅命」
一方、一刀は瑠理と共に仕事で外出し、それが終わり帰るために森の中を歩いていた。
「ん?」
一刀は何かが上から何かが当たる感覚を覚え、空を見上げる。
(雨か)
最初はぽつぽつと弱かったが、すぐに大雨となった。
雨宿りが出来るところを探すと、洞窟が見えた。
「姉上、あそこに」
瑠理を洞窟まで案内し、その中へ入る。
「ふぅ、こりゃしばらく降るな……」
洞窟から空を見上げそういった直後である。
「一刀、疲れてると思うから、これ……」
瑠理は竹筒を一刀に渡す。どうやら水を用意してくれたようだ。
「ありがとう」
一刀は喉が渇いていたのかそれをがぶ飲みする。
(……ん?)
その直後、一刀の身体に変化が起こる。これには覚えがあった。美華と夜を過ごす時に使ったことがある。
(こ、これは……媚薬!? 何故?……)
かなり強力なためか、上手く身体を動かせない。
「ふふふ……やっとこの時が来た……」
そう言った瑠理の表情はどこか狂気あり、そして色気があるように一刀は感じた。
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ついに事件が!?……