STAGE1「誕生! 獅子王の姫!」
朝日市月広町の片隅にある“手塚診療所”、そこにミキは一葉によって招かれ、彼女が大好きな日曜朝に放送しているアニメ“仮面美少女戦隊プリティージュエルズ”の録画映像を一緒に見ていた。
『フェイ! どうしてアイツらの仲間である君が……俺を庇ったりしたんだ!?』
『ごめんねシンタ君……私貴方と出会った日から事がずっと……こふっ!』
『死ぬな! 死んじゃ駄目だあああああ!!!』
画面には破壊されて廃墟になったビル街の中、黒い水着の様な恰好をした金髪を青いリボンでツインテールにしている少女が血まみれの状態で、黒髪短髪の赤い瞳の少年に抱きかかえられながら息絶えようとしているシーンが映し出されていた。
そしてそのシーンをミキは一葉と一緒に、滝のような涙を流しながら視聴していた。
「はううううう……! どうじであんないいごがじななぎゃいげないんですが……!」
「だよねだよね!? でもこっからが凄いんだよ!」
「何人んちでアニメ見て号泣してるんだアンタ……」
先程のヤクザ達との乱闘で負った傷を治療して戻って来た手塚めぐみは、自分の娘の解説を号泣しながら熱心に聴いているミキを見て呆れかえっていた。
そしてミキは涙を拭ってめぐみに向かってぺこりと頭を下げた。
「あ! どうもお邪魔しています!」
「まあそれはどうでもいい、まったく……こんな事に首ツッコむなんて、アンタどうかしてるよ」
そう言ってめぐみは近くにあった椅子にドカッと座り、持っていたペロペロキャンディーの袋の中から、オレンジ色の棒付きキャンディーを取り出して口の中に含んだ。
「だって……目の前で困っている人がいるのに放っておけませんよ」
「だからって限度があるだろ、その子を助ける為に裏の格闘大会にでるなんて……」
そう言ってめぐみはミキに、これから彼女が出場するサクリファイスファイトについて説明をし始めた。
「アンタはこれから出るサクリファイスファイトっていうのはね……福澤達三戸部組が主催するノーレフェリーノーギブアップマッチの非合法の裏の格闘大会なんだよ。予選のサバイバル戦を勝ち抜き、リングに待ち受けている四天王とチャンピオンを倒せば賞金獲得……代わりのチャンピオンになるっていう仕組みさ。ただし、リング上で敗れた挑戦者は勝者の言いなりにならなければならない」
「言いなり?」
「殺されても文句は言えないし、アンタみたいな女の子はアレコレされるだろうね。まあ今の所女性の挑戦者は出ていないからそういうことは無いけど」
話を聞いていたミキは流石に緊張したのか、生唾をごくりと飲み込んだ。しかしすぐににやりと笑った。
「成程、髪切りデスマッチみたいなもんですね!!」
「いや違うよ!? そんな生易しいものじゃないよ!? アンタ話聞いてた!!?」
「いえ大丈夫です! 要するに負けずに勝って勝って勝ちまくって賞金ゲットすればいいんですね!!」
目に炎を宿らせてテンションを上げるミキを見て、めぐみは自分の幼馴染の格闘バカを思い出して頭を抱える。
「はあ……アンタあのバカみたいな事言うね、ホント格闘家って理解できないわ」
「格闘家じゃありません! プロレスラーです! まだデビューしていないけど!」
「プロレスラーねえ……そんなメガネ掛けてる子に言われても……」
めぐみはミキが掛けている牛乳瓶の底の様なレンズのメガネを見て溜息をつく。するとミキは気恥ずかしそうに身を縮めボソボソと呟いた。
「あの、これ実は伊達眼鏡なんです。私素顔……というかこの目を見られるのが嫌で……」
「はあ? 変な所で恥ずかしがり屋なんだねアンタ」
「おねーちゃん本当にプリティブラッディっぽいねー、あそうだ!」
すると一葉は近くに置いてあったおもちゃ箱をひっくり返し、その中からロボットアニメのライバルとかが付けていそうなデザインの黒い仮面を取り出した。
「あのね! 縁日で当たったの! これ付けたらカッコよくなるんじゃない!?」
「おおいいですね、ちょっと拝借……」
そう言ってミキは一葉から仮面を受け取ると、めぐみ達から背を向けてメガネを外し、代わりに受け取った仮面を付けて振り向いた。
「じゃーん! 似合いますかー?」
「うわー! すごいかっこいいー!」
仮面を付けたミキを見て喜ぶ一葉、そしてミキは頭に電球マークを浮かべて何かを閃いた。
「そーだ! 私のリングネームは偉大なる戦士プリティブラッディから取って……ブラッディレオンにしましょう!」
「レオン? レオンはどっから来たんだ?」
「レオンはお父さんのリングネームから取りました! 私のお父さんもお母さんはプロレスラーなんですよ!」
ミキの話を聞いてめぐみは少し考え込み、そして質問する。
「アンタの父親、まさかレオ五十嵐かい?」
「……はい!」
ミキは一瞬表情を曇らせながらも、すぐに笑みを浮かべて元気よく返答した。
「アンタの父親の事……ニュースで見たよ、色々大変だったろうに、マスコミの奴等に色々言われて……」
「えへへ、もう慣れています!」
ミキの父親の事情を大体知っているめぐみは、その当時の事を思い出し、ミキの心情を思い表情を曇らせる。
(確かあの後、プロレス人気の低迷を受けて団体も潰れたんだっけ……そう思うと不憫だねぇ……奥さんの方は芸能活動しているのをよく見るけど、旦那さんは今もリハビリ中らしいね……)
一方のミキはと言うと、めぐみの様子に気付かず一葉と楽しそうにじゃれ合っていた。
「よーっし! 試合までまだちょっと時間があるしウォーミングアップでもしますか! よーっしじゃあこのページの……」
「私手伝うよ! お姉ちゃん!」
(色々辛い事もあっただろうに、強い子だね……)
持参のノートに目を通しながら自分の娘とじゃれ合うミキを見て、めぐみは自分のこれまでの人生を思い返し、彼女が眩しいと感じていた……。
☆ ☆ ☆
その日の深夜12時過ぎ、ミキはいつもの赤いジャージに黒いスパッツという格好で朝日市地下歩行空間に来ていた。
「ここかな、ヤクザさんの言っていた場所って……」
そう言ってミキはしばらく歩くと、鉄パイプや角材などで武装した汚い身なりをした男達と遭遇した。そして先頭にいた割れたメガネを掛けたバーコードヘアーの男が話し掛けてきた。
「お、お嬢ちゃん……福澤さんが言っていた地下闘技場の参加者かい?」
「はい! そうですけど!?」
必要以上に元気よく答えるミキ。すると身なりの汚い男達は並々ならぬ殺気を放ちながら武器を構えた。
「悪く思うなよ嬢ちゃん……こっちは多額の借金を返す為にお嬢ちゃんをこの場で倒さなきゃなんねえ!」
「おー! 受けて立ちますよ!」
対してミキは腰を低く落として戦闘態勢を取る。すると近くにあったスピーカーから福澤の声がしてきた。
『レディースエーンドジェントルメン! ようこそ“サクリファイスファイト”予選大会へ! 本日の挑戦者はこのメガネっ娘! ルールは簡単! あの少女が雑魚を蹴散らしてラジオ塔通り駅まで辿り着けばオッケー! さあ賭けた賭けた!』
放送のマイクからは福澤の他に、何十人かの騒がしい声が聞こえてくる。しかしミキはそんな事を気にする素振りも見せず、目の前の敵意を向けてくる集団に全神経を集中させていた。
「数は1,2……うん、行ける!」
そして両頬を両手でパンパンと数回叩いて気合いを入れる。そして先制攻撃と言わんばかりに先頭のバーコードヘアーの男に向かって右肘を突き出したまま猛突進した。
「おんどりゃああああ!!!」
「ほげ!!?」
ミキのエルボータックルを喰らったバーコードヘアーの男は、まるでバイクに撥ねられたかのように数m吹き飛ばされた。
それを見た他の男達は恐れおののくが、黒い野球帽を被った男が他の仲間達を鼓舞する。
「怯むな! 相手はたった一人の女の子だぞ!」
「お、おー!!!」
そして身なりの汚い男達は一斉にミキに襲い掛かる。対してミキは再び突進を敢行する。
「といやー!!」
「「「ぐえっ!!?」」」
そしてそのまま低く飛び、先頭の敵集団に向かってフライングボディプレスを敢行する。その攻撃で三人が一気に押し倒された。
「よっしゃー! 10人でも百人でもどんと来いです!!!」
ミキは鼻息を荒げながら起き上がり、迫りくる敵集団に果敢に向かって行った……。
☆ ☆ ☆
一方闘技場の控室、そこで福澤は地下歩行空間で戦うミキの様子をモニターで観察していた。
「ほう、中々やるやないかあの姉ちゃん、口だけじゃなかったんやな」
そして福澤はちらりと後ろの方を見る。そこにはヒグマの様な体格をした男が、フーフーと息を荒げながら立っていた。
「まあここまで辿り着けても、お前にぶっ殺されるやろうけどな? 今回は手加減せえよ、お客は別嬪が嬲られるところを見たがっているんやからな」
「フー……! フー……!」
☆ ☆ ☆
一方ミキは襲い来る男達を次々となぎ倒しながら、ラジオ塔通り駅に向かって進んでいた。
「はふー、ここまで連戦が続くと流石に疲れます……ねっ!」
「うぎゃ!」
ミキは迫って来た身なりの汚い男の鉄パイプを蹴り落とし、そのまま相手の頭を腕と脇で捕えてスタンド式ヘッドロックを極めて昏倒させる。その時……。
「UGAAAAAA!!!」
突然近くにあったトイレの扉が破壊され、そこからタンクトップ型のリングコスチュームを身に纏った2m以上はある巨人が現れた。スキンヘッドの頭に顔面に複数の傷と欠けた前歯がその男の凶悪な面構えを引き立てている。
『さあ闘技場最後の門番、ジャン・ホルトンの登場だ!! 挑戦者は果たして生き延びることが出来るのかー!!?』
「うわー! 大きい体! 羨ましい……」
ミキはそう呟きつつ、突然繰り出された巨人……ジャンの右ストレートをしゃがんで避け、そのまま足払いを敢行する……が、
「UGAAAAAA!!!」
「ありゃー、全然効いていませんね」
まるで電柱を蹴り飛ばしたような手応えにミキは首を傾げる。するとジャンは右足をグアッと上げ、そのままミキに向かって振り降ろした。
「ひょえ!」
ミキはその攻撃を後ろに転がって回避し、すぐに立ち上がって回避する。
「あんなストンピング喰らったら一たまりもないですよ! こうなったら……!」
ミキは次々繰り出されるジャンのウェイトを最大限に生かした打撃を次々と回避しながら、徐々に壁際まで後退する。
『おーっと挑戦者ピンチ! 壁際まで追い詰められた!』
「HUGAAAAA!!!」
ジャンはそのままクラウチングスタートのような体勢を取り、ミキに向かって猛突進する。そして……ガコォンとコンクリートの壁が破壊される音が辺りに鳴り響いた。
「GUU……?」
普通なら人間が壁と巨体に挟まれて潰れる感触がする筈……しかしジャンはその手ごたえを感じず首を傾げる。そして……自分の両肩に何かが乗っている事に気付いた。
「あ、危なかった……!」
それはミキの両腕だった。彼女は壁を駆け上ってジャンの肩に両手を乗せて逆立ちした状態になっていたのだ。
「せえっのっ!」
「ぐぷ!!?」
ミキは両手をジャンの肩に乗せたまま、振り子のようにジャンの顔面に自分の両膝を叩きこんだ。
ジャンは全体重が乗ったミキの攻撃を受け、そのまま仰向けにズシンと倒れた。
『な、なんと挑戦者! 門番を倒してしまったー! これで闘技場参加資格獲得ぅー!!!』
スピーカーから実況と観客のものと思われる歓声が響き渡る。それを聞いたミキは片手をグンと上げて勝鬨を上げた。
「よっしゃー! 生き延びたー!」
「予選突破おめでとうございます」
すると彼女の元に、覆面を被り黒いスーツを着た男が現れた。
「あ、はいどうも!」
「これより本選会場にご案内します」
男はミキの例の言葉を聞き流し、彼女を本選会場があるラジオ塔大通り駅のホームを降りた線路の先にある本選会場へ案内するため彼女を連れて行った……。
☆ ☆ ☆
地下闘技場にやって来たミキは、そのまま選手控室に連れてこられる。そしてそこでめぐみと再会する。
「よう、映像みたよ……アンタすごく強かったんだね」
「えへへ! 普段から鍛えていましたし、いつもビデオでお父さんやお母さんの戦い方を研究していましたから! ところでで一葉ちゃんは?」
ミキはめぐみの傍に一葉が居ない事に気付く。するとめぐみは吐き捨てるように呟いた。
「アンタがすぐ帰った後、すぐに福澤に連れてかれたよ。試合を盛り上げる演出の為だってさ」
「そんな……」
その時、突然控室にあったモニターに電源が付き、闘技場の様子が映し出された。
『さて、ここでエキシビジョンマッチとして、真チャンピオンによる演武を披露いたしましょう!』
『『『うおおおおー!!!』』』
会場は熱気に包まれている。それを見たミキは首を傾げる。
「一体何が始まるんです?」
「お客に向けてのデモンストレーションと、これからアンタをぶちのめすっていうアピールさ」
するとリング上に、巨大な6人乗りの白いワゴン車が運ばれてくる。そして係員と思われる人物が運転席から急いで出てくる。
『ウオオオオ―!!!』
次の瞬間、上空から突然羆の様な巨体で全身傷だらけで体毛は濃いめの、黒いロンゲを首の裏で紐で纏めている男が降って来た。男はそのままワゴン車をフライングボディプレスで潰し、マットの上に降り立つ。
『ウオガアアアアアア!!!』
そしてそのまま嵐のような拳の連撃でワゴン車を破壊していく。その様子を見た観客達は自分達の所に飛んでくる鉄くずやガラス片から身を守りながら、真チャンピオンにエールを送っていた。
『カムイー! 今夜も暴れてくれー!』
『あの小娘をボコボコにしてやれよー! 俺らそれ見に来たんだからなー!』
それに応えるかのように、真チャンピオン……カムイは、手刀でワゴン車を完全にスクラップにした後、天井に向かって鼓膜が破れんばかりの大声を上げる。
『ウオオオオオオオオー!!!!』
その様子をめぐみは戦慄しながら眺めていた。
「あの男……カムイは地方の地下闘技場じゃ無敵を誇る戦士さ。あの男に壊されたファイターは数知れない、男女問わずね。強すぎて勝ち負けじゃなく相手が何秒持つかで賭けが成立するほどさ」
「成程……確かに強そうですね」
するとミキはめぐみの両手を取り、彼女の瞳をじっと見る。
「私、絶対勝ち抜いてみせます!! そして一葉ちゃんを助けてみせますからね!!」
「あ、ああ……」
めぐみはミキの行動に戸惑いながらも、彼女のひた向きでまっすぐな瞳を見て安心感を覚え自然と笑みを零していた。
「……こうなったらもう私も腹を括ろう。私と一葉の運命、アンタに全部委ねるよ。私もできる事なら何でもする、だから最後まで……諦めるんじゃないよ」
「解っています!! 私はお父さんとお母さんの子ですから!!」
☆ ☆ ☆
数分後、地下闘技場……そこは今、数百人の観客で埋め尽くされ異様な熱気で包まれていた。
『レディースエーンドジェントルメン!! 今宵も開催されましたサクリファイスファイト!! 今回の生贄は何と女子中学生!!』
「「「うおおおおおー!!!」」」
アナウンサーのコールに歓声をあげる。次の瞬間、中央のリングの赤コーナーの方向にあるステージに沢山のスポットライトが当たる。ステージの中央にはジャージ姿のミキが立っていた。
『犠牲者の名は……闇に落ちしダークヒロイン!』
実況が名前を読み上げる寸前、ミキは自分の着ているジャージに手を掛けながらリングに向かって走り出す。そしてそのジャージを脱ぎ捨てながら、リングのすぐ傍に設置してあったトランポリンを使って大きく飛び上がった。
「おっとっと……と!」
ミキはバランスを崩しながらも持ち直して着地に成功する。ちなみに今の彼女の格好はシアンのストレートのロングヘアーを黄色いリボンで結びポニーテールにし、胸元が開いた純白のレオタード調のリングコスチューム。カモシカの足のように細い両足には白のリングシューズに黒のニーパッド。腕には黒のリストバンドにエルボーバンド。顔にはロボットアニメのライバルキャラの様な青いカラーレンズ付きの黒いアイマスクを装着という、典型的覆面女子プロレスラーといった格好になっていた。
『ブラッディレオンだあああああ!!!』
「なんだあの子!? 超胸でけえじゃん!!」
「素顔みせてくれよー!!」
美少女闘士の登場に会場のボルテージは一気に上昇する。観客の中にはミキにいかがわしい感情を抱いている者もいるようだ。
すると今度は観客席の上段にスポットライトが当たる。そこにはコンテナ型の巨大な檻が置いてあり、中にはお姫様の様な白いドレスに身を包んだ一葉が閉じ込められていた。
『父親の借金の肩代わりとして売られそうになる少女を助ける為、この危険なリングに上がったブラッディレオン! はたして彼女は少女を救うことが出来るのか!? それともそのうら若き身をリングの上で無残に散らしてしまうのかー!?』
「「「うおおおおー!!!」」」
会場が揺れるような歓声の中、一葉は呑気にリング上のミキに向かって手を振りながらエールを送る。
「頑張っておねーちゃーん!」
するとミキも、声は聞こえていないが笑顔で手を振りかえした。
「一葉ちゃーん! 私頑張りますよー!」
自分の身がこれから危険に晒されるにも関わらず、ミキは呑気だった。その時……青コーナーの方角にあるステージにスポットライトが当たる。
『さあまずは一人目のチャンピオンの登場です!!』
そしてステージから、日本人成人男性の平均レベルの背丈の、テコンドーの胴着を着た鰓の張った顔が特徴的なツリ眼の男が出てきた。
『青コーナー! とにかくムカつく日本人をボコる為にこのサクリファイスファイトに参戦した国籍不明の男! 七色の足技を持つテクニカルファイター! リー・モンジュンー!!』
「フッ! ヘアっ!!」
リーと呼ばれた男は何もない空間に蹴りを二発入れた後、そのままミキのいるリングに入った。
それを見たミキは両手をぐっと握り締めて喜びを押し留めていた。
「もしかしてテコンドー!? くう~! いきなり異種格闘技戦ですか! 燃えてきました!!!!」
「アンタは緊張するという感情が無いのかい?」
するとリングサイドにめぐみが現れ、興奮気味のミキに話し掛けてきた。
「めぐみさん! セコンドお願いしますね!?」
「ああ、早速だがちょっと耳かせ」
めぐみはそのままミキに何か耳打ちする。
「アイツあんな恰好していて全然テコンドー使わないからな? 服に色々と凶器を隠し持っているから気を付けろ」
「はい! わかりました!」
そして話が終わると、ミキはニヤニヤと笑みを浮かべるリーの前に立った。
「ぐっふっふ……日本人は嫌いだが日本人の女は好物なのだ! 俺が勝てばあんな事やこんな事……! カムイの出番はないのだ!!」
何やら邪な事を考えて薄気味悪い笑みを浮かべるリー、一方ミキは両腕を組みながら鼻をふんすと鳴らして気合い十分と言った様子だった。
「私負けませんよ! 鍛えていますから!」
『さあ両者睨み合っている所で、運命のゴングです!!』
そして歓声の中カァーンとゴングが鳴り響く。次の瞬間リーは懐から何かを取り出した。
「まずはこれを喰らうのだー!!」
リーの手には電源が入ってバチバチ音が鳴っているスタンガンが握られており、その先端を押し付けられた瞬間、ミキの全身に電流が流れる。
「あぐっ!」
『あーっとブラッディレオン!! リー選手の凶器攻撃の奇襲をまともに喰らってしまったぁー! いきなりピンチ!!』
「アンタ人の話聞いてた!!?」
いきなりやられるミキを見てコーナーポストの裏で激昂するめぐみ。そして彼女はうつ伏せに倒れた後リーに体を踏み付けられる。
「はっはっは! 所詮女子! 大の大人である俺に勝てる訳がないのだ!」
「大の大人はそんな卑怯な真似しないけどな!」
怒り心頭で言い放つめぐみ、観客席の方からもリーに向けての罵声が飛び交っている。しかしリーはそんな言葉を無視してミキの体をうつ伏せに転がして彼女の右足首を握る。
「そりゃああああ!!!」
「うあああああー!!」
そしてそのまま自分の体重をミキの体に乗せたまま彼女の右足を左腋で締め上げた。ミキは苦しそうな悲鳴を上げる。
『出たー! 片エビ固めー! テコンドーなのにプロレス技―! ブラッディレオンいきなりピンチ!!』
「くうっ! うっ……!」
そしてリーは技を解除すると、はあはあと苦しそうに息をするミキを仰向けに転がし、そのまま彼女の体に馬乗りになった。
『おっと! リー選手悪い顔をしております! 果たして何をするつもりなのか!? まあ大体予想はつきますが!』
「ぐへへへへ! ちょっくらそのマシュマロを生で試食……!」
そう言ってリーはミキのリングコスチュームの肩ひも部分に手を掛けようとする。その時……。
「うん、そろそろいいかな?」
「へ?」
「ふん!!」
次の瞬間、ミキはブリッジの体勢で体をパンと起こし馬乗りになっていたリーを真上に1m以上吹き飛ばした。
「ほえ!?」
突然の浮遊感に困惑し何もできないリー、一方ミキは起き上がった後思いっきり飛び上がり、空中でリーの両太ももをがっちり捕まえる。
「対空……パワーボム!!」
そして落下する勢いを利用して、しゃがみ込みながらリーを背面からマットに叩きつけた。
「ごえっ!!?」
背中と後頭部に今まで感じた事のない凄まじい衝撃を受けたリーは、そのまま意識を暗闇の中に落として行った。それを確認した運営側は試合終了のゴングを鳴らす。
『つ、強い! ブラッディレオン力付くでリー選手をねじ伏せた! 一体その小さい体にどれほどのパワーが秘められているのかー!?』
「あれ? 気絶した? わーい勝ったー!」
ミキは自分の勝ちを確認すると、驚愕する観客達に手を振って喜びを表した。そしてすぐにめぐみのいるリングサイドに戻って行く。
「アンタ……まさか始めのほうワザと負けていたのかい?」
「はい! ピンチからの逆転はプロレスの醍醐味です!! 相手に見せ場を作らなくてはいけませんし!」
「はあ……こっちは真面目にやって欲しいんだけどね。ハラハラするから……」
そうこうしているうちに、次の選手が青コーナーから現れる。その選手はボーズ頭で褐色肌の黒いボクサーパンツを履いていた。
『続いてのチャンピオンは本場タイでムエタイを学んだ本格派! 公式試合で相手を半殺しにして公式試合に出れなくなった男! デンジャぁぁぁぁぁ櫛田ぁぁぁぁぁ!!』
「ひょああああああああ!!」
実況の紹介と同時に謎の踊りを開始するデンジャー櫛田。
「次はムエタイ! くう~! 燃えてきました!」
「あんまり演出とかに拘るんじゃないよ、この後まだ三戦あるんだから」
めぐみのアドバイスが終わると共に、試合開始のゴングが鳴る。
「ほあああああああ!!!」
櫛田はすぐさまミキとの距離を詰め、素早いパンチやキックのコンビネーションで攻め立てる。対してミキは辛うじて急所は守りながら耐え続ける。
「何してんだミキ! 反撃しろ!」
「大丈夫です! 見ていてください!」
めぐみの声に対し、ミキは不敵な笑みを浮かべて答える。
(もしかしてあの子、何か待っている?)
(大丈夫、まだ耐えられる。この人蹴りの威力は高いけど、それを減らす事さえできれば……!)
一方攻撃を続ける櫛田は、一向に倒れないミキに焦りを感じていた。さらに常に動き続けている故に疲労も溜まって来ており、早く決めたいという焦りも募って来ていた。
「……!」
その時、櫛田はミキの右わき腹がノーガードな事に気付き、すぐさま左のミドルキックを繰り出した。
ズドン、と櫛田の左足がミキの脇腹に叩きこまれる……が、ミキはにやりと笑ってその足を両手でがっちり掴んだ。
「それを待っていました! そりゃあ!!」
「ほへっ!?」
その体勢から自ら素早く内側にきりもみ状態で倒れこみ、その回転力を利用して櫛田をマットに転がした。
『掛けた相手の膝を痛めつける技、ドラゴンスクリューが決まったああああああ!!!』
「が、ぐっ……!」
櫛田は痛む膝に顔を歪めながらも必死に立ち上がろうとする。しかしミキは攻撃の手を休めようとはせず、櫛田の頭を掴んで自分の膝に勢いよく当てた。
『間髪入れずココナッツクラッシュ!! ブラッディレオン一気に攻勢に入りました!!』
「ほ、ホアアアアア!!!」
しかし櫛田も負けていられないと言わんばかりに、ミキを裏拳を振るって追い払うとローキックの連打を彼女に浴びせる。しかしそれは先程喰らったドラゴンスクリューを警戒した故にそれしかできないという現れである。さらに先程の攻撃で膝を痛めて思うように威力が上がっていなかった。
「温いです! とうりゃ!!」
「ホガッ!?」
ミキはショルダータックルで櫛田を力任せにリングロープへ吹き飛ばすと、一気に反対方向ののリングロープに突っ込んでいった。
「んんん~!」
そしてリングロープにぶつかった反動を利用して、猛スピードで櫛田に向かって駆けて行く。そしてその助走を利用して走り幅跳びのように低くジャンプした。
「たあっ!!」
そのまま両足を櫛田に向けた態勢で全身をビンと伸ばし、彼の胸部に体重とスピードを乗せたドロップキックを叩きこんだ。
「ぐへぇー!!!」
櫛田はそのまま吹き飛ばされ、リングの外に叩き出されてしまいそのまま白目をむいて昏倒した。そして試合終了のゴングが鳴り響いた。
『強い! ブラッディレオン2連勝! 最強の格闘技ムエタイをテクニックでねじ伏せました!』
「だー!!」
ミキは両拳を天高く上げて勝鬨を上げる。それを見ていためぐみはふうっと溜息をついた。
「ったく、ハラハラさせんなって言ってんのに、でも次がヤバいんだよね……」
そして青コーナーの方角にあるステージから、次の選手が入場してくる。
『さあ次のチャンピオンは……ボス自らが呼び寄せた、関東地方の地下闘技場では毒キノコと恐れられているテクニカルファイター! マッシュマスクー!!!』
ステージには身長が150cmにも満たない“1”と刺繍された黒いレスラーパンツ姿の、全身色黒で白いマッシュルームカットのヘアースタイル、そして口元は黒い布のマスクで覆っている不気味な男が現れた。
「くっくっく……これはまた嬲り甲斐のありそうな御嬢さんだ……」
マッシュマスクは不気味な笑みを浮かべながらゆっくりリングインする。一方めぐみは自分の元に寄って来たミキにアドバイスしようとする。
「めぐみさん、あの人どんな人なんですか?」
「あいつは……」
「おっと、ちょいまちいや」
その時、めぐみの背後に福澤が現れ、彼女の肩をグイッと引っ張りミキから引き離した。
「ちょ!? 何するんだい!?」
「試合前に相手の情報を流すなんて不公平やろ? ええ加減にしとき」
「不公平!? 笑っちゃうね、あのクソ野郎は……」
めぐみが激昂しながら何か言おうとした時、言わせないかのように試合開始のゴングが鳴り響いた。
「あっ!? 勝手に始めんな!」
「うっさいわボケ! 大人しくしとけや!」
リングサイドでもみ合いになるめぐみと福澤。そんな彼女達を尻目にミキはマッシュマスクに向かって行った。
「そりゃあ!」
「ぐふっ!」
ミキのラリアットを受けて吹き飛ばされるマッシュマスク。その手応えにミキは違和感を覚える。
(あれ? この人弱い? 何でこんな人がリングの上に……?)
取り敢えずミキはマットに転がるマッシュマスクの顎を掴み、キャメルクラッチを敢行して背骨、腰、喉にダメージを与えようとする。
「うりゃー!」
「ぐぐ……!」
苦しそうな声を上げるマッシュマスク。しかし次の瞬間……ミキは何者かに背中を蹴られて技を解除してしまう。
「うわっ!? 何……!?」
ミキは攻撃が飛んできた後ろを見る。そこにはマッシュマスクと同じ背格好をした男が立っていた。ただしレスラーパンツには“2”と赤い字で刺繍が施されていた。
「え!? ちょ、乱にゅ……!」
「ひゃっはぁ!!」
その時、ミキに先程まで囚われていたマッシュマスク(一号)が、二人目の登場に戸惑っている彼女の背後から掴みかかり羽交い絞めにする。
「あら!?」
「今だ弟!!」
「おう!」
弟と呼ばれたマッシュマスク二号はそのままミキのがら空きの腹部にパンチを叩きこむ。
「うぐっ!」
突然の攻撃にミキは顔を歪めながらも、咄嗟に腹に力を入れて耐えた。
それを見たマッシュマスク2号はニヘラと醜悪な笑みを浮かべた。
「へえ、俺のパンチを耐えるなんてねえ、大抵の奴はこれでゲロぶちまけるのに……なっ!」
そう言ってマッシュマスク一号は何度も何度もミキの腹部を殴りつけた。
「ぐっ、うっ……!」
ミキはその攻撃に何度も耐えるその様子を見ていた観客達はブーイングと歓声を同時に上げる。
「いいぞマッシュマスクー!」
「こらー! やるなら正々堂々と戦えー!」
しかしそんな声には耳も貸さず、マッシュマスク一号は満身創痍のミキを解放しマットの上に仰向けに転がす。そしてミキの右上腕部を自分の太ももで挟んで固定しながら同時に親指を天井に向かせる形で相手手首を掴み、自分の体に密着させる。一方二号はミキの左足を取り、右膝のあたりに取った左足を上に乗せ、その上から自分の左足をかぶせるようにロックする。
ミキは腕ひしぎ十字固めと足4の字固めを同時に受ける形になってしまった。
「うああああああー! あああああー!」
『出たー! 一号二号の関節技地獄―!』
「おいこら! 1対2なんて卑怯だろ!」
めぐみはリング上の惨状を目の当たりにし、福澤の部下達に取り押さえられながら抗議する。一方福澤は口笛を吹きながらその抗議を無視した。
「知らんなあ、アイツ等は二人で一人の存在や、だから関係あらへーん」
「このやろおおお!!!」
一方ミキは一号二号の同時攻撃に苦しそうな声を上げていた。
「い、痛い……!(これちょっとヤバいかも……!)」
すると一号二号は突然技を解いて、ミキを仰向けに転がした。
「うう……」
「さーって、プロレスラーなら観客をもっと喜ばせてやらないとなあ!」
「こんなふうによお!!」
そう言ってマッシュマスク一号二号はそれぞれミキの足を片方ずつ取り、腿の外側から自分達の足で巻き込むように挟み、ミキの腕をそれぞれ片方ずつ掴んだまま同時に後方に倒れ込みマットに寝転がる形になる。ミキの体は吊り上げられる形になった。
「あいたたたたた!!?」
『でたあああああ!! 一号二号の合体ロメロスペシャル―!!! ブラッディレオンの全身が悲鳴を上げるー!!!』
「おら! もっと恥ずかしい格好を観客に見て貰え!」
そう言って一号二号は自分達の足を動かしてミキの足を開かせる。それと同時に観客は大いに沸いた。
「「「うおおおおー!!!」」」
「だああああ!! この糞共!!」
そんな観客達に罵声を浴びせるめぐみ。一方ミキはあまりの痛さに顔を歪めていた。
「く……あ……!(ま、負けるかもこのままじゃ……)」
その時、観客席上段の檻の中で見ていた一葉がミキの姿を見て泣きそうな声で声援を送る。
「お姉ちゃんがんばれー!! そんな変な頭の人達に負けるなー!」
「「変……」」
一葉のドストレートな言葉に軽く傷つく一号二号、その時……一葉の言葉が届いた満身創痍のミキの目に、熱い炎のようなオーラが宿った。
(そうだ! 私は負ける訳には行かないんだ! 一葉ちゃんを……友達を助ける為に!)
次の瞬間、ミキは自分の腕を一号二号の手から強引に引き剥がした。
「「何!?」」
「奇跡の……!!」
そしてそのまま上半身だけマットに落下する勢いを利用して、一号二号の顔面にそれぞれ同時に、強烈なエルボーを叩きこんだ。
「ミラクルファイトぉー!!」
「「んご!?」」
二人はグチャッという音と共に鼻血を噴きだす。ちなみにミラクルと奇跡、同じ意味の言葉を二回言っているミキ。そんな彼女は一号二号の頭を掴んで強引に立たせた。
「そりゃそりゃそりゃそりゃ!!」
「「んぎっっ!!」」
そして二人の頭を1,2,3,4とリズムよく、そして力いっぱいかち合せた。
ミキの強烈な反撃に、一号二号の視界がぐにゃりと歪む。
「フィニッシュ行きます!!!」
ミキはそのまま二人を前かがみにさせ、右腕には一号の頭を、左腕には二号の頭を、目いっぱい力を入れて挟み込んだ。
「「ぎにゃああああああ!!!」」
まるで絞め殺される猫の様な声を上げるマッシュマスク一号二号。
『二人の頭が締め上げられるー! この女! 二人同時にフロントフェイスロックを掛けているぅ―!!?』
「なんだあれ!? ありえねー!」
「すげーぞあの女!」
見たことない大技に観客席から盛大な歓声が上がる。それを聞いたミキは満足そうにコクンと頷きながら大声を上げる。
「どりゃああああああああ!!!」
ミキはそのまま勢いよく後方に倒れ込み、腕に抱えたままのマッシュマスク一号二号の脳天をマットに叩きこんだ。
「「ゴハッ!!」」
『そのままDDT-!!! マッシュマスクは白目を向いて失神しているー!』
次の瞬間、ミキの勝利を告げるゴングが鳴り響いた。
『三戦目もブラッディレオンの勝利! 強い! 強すぎる!』
「だぁー!!」
ミキは歓声を上げる観客達に向かって両拳を高々と上げて勝鬨を上げると、フラフラとめぐみのいるリングサイドに戻って行った。
「ふえ~、流石にきつくなってきました……」
「大丈夫かい? 後二人いるってのに……」
めぐみは蓄積したダメージによりコーナーポストに凭れ掛かるミキを見て心配そうに声を掛ける。その時……後ろにいた福澤が何やら携帯電話で誰かと話をし始めた。
「おい! 四人目はまだ来ないんか!?」
『す、すみません、セットが終わっていないとか飯が食い終わっていないとかで……』
「さっさとせえ! 間髪入れずに戦わせんとこの嬢ちゃん回復してまうで!!」
福澤の切羽詰った様子を見て、ミキはめぐみに話し掛ける。
「なんかトラブルでもあったのでしょうか?」
「ああ、次はアイツだったか、アイツは最近四天王入りした奴なんだがアンタに負けず変わり者でね……」
☆ ☆ ☆
その頃、闘技場の中のとある控室、部屋の中にはバナナの皮やら梅干しのタネやら食いかけオニギリやら生肉の入っていたパックやらスポーツドリンクが入っていた空のペットボトルやらが散乱していた。
その様子を眺めながら、係員が鏡の前で髪の毛をいじっている廻し姿の2m近くある大男に声を掛けた。
「あのー……そろそろ出番なんですけど」
「うるせえなちょっと待てよ! 髪のセットが極まってねえんだから!」
そう言って男は櫛を使って自分の銀色の髪の毛を、まるで稲穂の様に天高くそり立たせていた。いわゆる某世紀末漫画のモブの雑魚敵の様なモヒカンヘアーである。
「よっしゃあ! 相手がどんな奴だろうと関係ねえ! 俺の相撲を見せてやるぜ! セット終わったらな!」
☆ ☆ ☆
ミキが去った後の地下歩行空間、そこで彼女に倒された男達は痛む体を必死に引き起こしていた。
「くっそ……あの女強すぎだろ」
「どうするんだよ借金、このままじゃ外国に売られちまう……」
その時、彼らの元に四つの人影が歩み寄って来た。そして先頭に立つ黒い特攻服の少女が、ミキにやられた延髄切りのダメージが残っている野球帽の男に話し掛ける。
「ようオッサン、青いポニテのプロレス使う女来なかったか?」
「はあ? それならラジオ塔駅の方に……」
「駅ね、オッケー」
そう言って少女は野球帽の男の横を通り過ぎようとする……が、彼に肩を掴まれて制止される。
「おい待て! 勝手に行くな! 部外者を通すなって福澤に言われていて……ぎゃあ!」
その時、野球帽の男の顔面に裏拳が叩きこまれ、彼は前歯を折られながら近くのゴミ箱に突っ込んだ。それを見た他の男達は激昂する。
「て、てめえ! いきなり何しやがる!?」
「こんなことしてタダで済むと……!」
すると、少女の目がギラッと殺意が籠った状態で赤く光った。
「なんだ……? アンタら、遊んでくれるのか!?」
と、いう訳で第一話終了です。最後の方に出てきた力士っぽい四人目は○○に出そうと思っていたキャラでして、次回二人目のヒロインの本格的な登場と共にミキとのバトルを長めに描くつもりです。
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スカーレットナックル外伝第一話です。リョナ、ミックスファイト描写がありますのでご注意を。