「聖祥…中に入るのは初めてだな」
「ここがなのは達の通っている学校ですか」
「ふむ。子鴉が通う学校としては分不相応だな」
「でっかいねー」
「流石私立ですね」
先週は俺達海小の運動会へ応援に来てくれたなのは達。
今日は逆に俺達が応援にお邪魔させてもらう事にした。
「ていうかお前等本当に来て良かったのか?」
「「「「何故です?(何で?)(何故だ?)」」」」
「聖祥っていう事は間違い無く銀髪トリオがいるぞ?」
絶対絡まれるよ?しつこく絡まれるよ?
俺の一言で一気に表情を変える4人。
「まあ、大丈夫でしょう」
「その根拠は?」
シュテルに尋ねる。
「認識阻害でも使っておけばいいと思いますから」
「おお!シュテるん、それはいいアイデアだよ!」
「それならばあの塵芥共に気付かれずに済むな」
「ええ、平和に応援出来ますね」
もっともな対策法を提案するシュテル。
けど…
「暁だけは誤魔化せるか微妙だな」
アイツ、何気に西条、吉満と違って最低限の基礎はしっかりしてるから。
もっとも最低限な基礎だけであって他の二人同様大体は慢心するからこそ俺達に勝てない訳なんだが。
「じゃあ勇紀が認識阻害使って下さい。私より強力なのを使えるのは勇紀だけですから」
あ、結局は俺任せになるのね。
「まあいいけどね。…それより注目されてるな」
そう…。さっきから聖祥の生徒と思われる子達がコッチ見て驚いた表情を浮かべている。
「(まあ、理由は分かるんだけどな)」
どう考えてもシュテル、レヴィ、ディアーチェの容姿のせいだろう。
ここに通ってる特定の生徒と瓜二つな容姿だからな。
「立ち止まっていても仕方ないからさっさと中入るか」
「「「「はい(うん)(うむ)」」」」
俺達は正門をくぐり、すぐに保護者、一般客が応援できる方へ行く。
周りは保護者の人達がカメラの準備をしており、自分の子供の活躍を撮ろうと陣取って構えている。
気合入ってるねー保護者の皆さん。
「あらあら勇紀君にシュテルちゃん達も。応援に来たの?」
「あ、桃子さん」
目の前には翠屋で良く見かける見知った顔の桃子さんがいた。
それだけじゃない…
「お、勇紀君も応援に来たんだねー」
「ふふ、すずかも気合が入るかしら」
「シュテルちゃん達もいらっしゃい」
「よぉ」
エイミィさんに忍さん、シャマルさん、ヴィータも。
「エイミィさんは何故ここに?」
「リニスさんに頼まれてプレシアさん達の代わりに…かな。本人は来たがってたけど急な案件が入っちゃって出勤せざるを得なくなっちゃったんだよ」
あー、あの人なら自分の娘達が活躍するこんなイベントを見過ごす訳無いもんな。
それが仕事のせいで来れなくなったのか。
「正直プレシアさん、仕事が入った事に大層お怒りになっちゃって……。本局に次元跳躍攻撃しようとしてたぐらいなんだよ」
『あはは』と笑いながらエイミィさんは言うけど、それってどう考えても実行しちゃマズいよね!?
あの人は再び次元犯罪者になるつもりか?
今の話を一緒に聞いていたシュテル達も呆れた表情を浮かべてるし。
「まあリニスさんが鎮圧して首根っこ掴んで引っ張ってったから今頃は本局で仕事してるんじゃないかなぁ?」
どうやらテスタロッサ家最強はリニスさんで間違い無い様だ。
「その分フェイトちゃんとアリシアちゃんの活躍をちゃんと撮っておかないと後で私の命に関わるからねぇ。今日に限って仕事が無いなんて…」
…貧乏クジ引いたなぁエイミィさん。
俺達は雑談を交わしながらも運動会が始まるのを今か今かと待ち続ける。
やがて行進曲が流れ始めると生徒達が赤組、白組に別れ、順番に入場してくる。
聖祥は赤組、白組の2チームだけか。
なのは達は………白組の方にいるのを発見した。
だけどその表情は良いモノとは言えない。
「なのは、不憫な…」
「よりにもよって隣を歩くのが吉満とか…」
「子鴉共も同情する様な目で見ておるな」
隣の吉満はなのはにしきりに話し掛けてるな。
後、西条と暁は最後尾の方から吉満に射殺す様な視線を向けている。
あ、吉満が振り返った。
「……………………」(ニヤリ)
うわ…いかにも『俺勝ち組』みたいな表情を浮かべてやがる。
あ、西条と暁が動いた。
列を無視してなのはの側に駆け寄るがすぐに先生達の手によって強制的に戻される。
「……手馴れてますね」
「それだけ普段からアイツ等が騒いでるって事だろ?」
「塵芥共の対処法は確立されているという訳か」
聖祥の先生方、ご苦労様です。
「やっぱり聖祥には通わないで正解だった」
「「「「全くです(全くだね)(全くだ)」」」」
当時は『お金が掛かる』『海小の方が近い』『原作介入したくなかった』っていう理由があった。おかげで普段から銀髪トリオに遭遇しなくて済んでる訳だ。
いやー、本当ストレスがマッハで溜まる様な環境で生きているなのは達は尊敬しますわ。
開会式があっという間に終わり、いよいよ競技に移る。
アリサなんかやる気満々みたいだし、とりあえず応援に精を入れますか………。
~~アリシア視点~~
開会式が終わって早速最初の競技、100メートル走が始まる。
まずは私の番か。
「「「「「姉さん(アリシアちゃん)(アリシア)、ファイト!!」」」」」
「任せなさい!」
私は『ドン!』と自分の胸を叩く。
「ゴホゴホ…」
「「「「「……………………」」」」」
う…少し強く叩き過ぎちゃった。咽る私を見て皆が声を失う。
だ、大丈夫だよ私の事は。だからそんな心配そうな目で見ないでほしいな。
「じゃ、じゃあ行って来ます」
皆に一抹の不安を抱かせたまま私は入場門の前に向かう。
既に参加する生徒達の大半は集合していた。
全員が揃い、入場曲が流れてきたところで私は他の生徒達を追い掛ける様に列を崩さずグラウンドに入場する。
「うーん…」
私達6年生はどうせ最後の方まで順番は回ってこない訳だし…。
ジーー…
私は保護者の人達がいる応援席の方へ視線をやり
「(勇紀達、来てないのかなぁ…)」
私の好きな人の姿を探す。
先週は私達が勇紀の運動会に応援に行った。
その時に私達聖祥の運動会の日程と『応援に来てほしい』って伝えたんだけど…
『用事が入らなければ応援に行ってやるよ』
用事っていうのは管理局の仕事って事だよね。
あれから私は毎日『仕事が入りませんように!!』ってお祈りしたんだから大丈夫……な筈。
でも不安を拭えず、『ハア~』と軽く溜め息を吐いた時に
「アーリーシーアー!!」
私やフェイトと似た声色が遠くから響いてきた。その方向に目を向けると
「まーけーる-なー!!」
勇紀の家族の1人であるレヴィの姿が。その側には
「……………………」(ヒラヒラ)
声には出さないものの、軽く手を振って挨拶してくれる勇紀の姿があった。その側にはシュテル達や桃子さん、忍さん、エイミィ、シャマル、ヴィータの姿もある。
「(来てくれたんだ)//」
胸の奥から嬉しさが込み上げてくる。と同時にやる気も沸いてくる。
「(これは負けられないよね!)」
勇紀が見てるんだ。これは1位を目指さないと。
やがて私が走る番になったのでスタートラインへ。
「位置について…よーい……」
パアンッ
私達は一斉に駆け出す。
ふふふ…私も運動神経は良い方なんだよね。
フェイトには一歩劣るけど足は速い方だ。
少なくとも同年代の子に負けるなんてフェイトとすずか以外には有り得ないね。
私が先頭に躍り出て2位の子とグングン距離を引き離し、ゴールを一気に駆け抜ける。
「(うしっ!)」
小さくガッツポーズして1位の待機場所へ行く。
カッコ悪いところ見せなくて済んだし、白組の得点にも貢献出来たしね………。
~~アリシア視点終了~~
~~すずか視点~~
何だか機嫌良さそうな雰囲気でアリシアちゃんが帰って来た。1位になれたのがそんなに嬉しかったのかな?
「姉さん、機嫌良さそうだね?」
「そりゃあ1位になれたしね♪勇紀が見てる中で恥ずかしい結果を見せなくて済んだし♪」
「「「「「勇紀君(勇紀)が来てるの!?」」」」」
「客席の方にいたよ」
そうか…勇紀君来てくれたんだ。
「そ、そう…なら無様な結果を見せる訳には行かないわね//」
アリサちゃんの言う通りだね。私も気合入れないと。
「(もしも頑張ったらほ、褒めてくれるかな?)//」
褒めて貰いたいかな。
「「「流石アリシアだ(アリシアね)。頑張った褒美に撫でてやるよ(撫でてあげる)」」」
彼等には間違っても褒められたく無いよね。
「……………………」
アリシアちゃんも勝利の余韻が消えちゃって表情が変わってる。
そのまま逃げて何処かに行っちゃった。
『続いて、100メートルハードル走に参加される生徒の方は…』
あ、私の出番だ。
「じゃあ、行ってくるね」
私は入場門に向かって小走りで向かう。
グラウンドの方を眺めると先生達がコースの途中にハードルを設置しているのが見える。
私や、他の生徒達が入場門に集まりしばらくするとアナウンスが流れ、駆け足で入場する。
『これより、100メートルハードル走を行います』
いよいよだなぁ。
最初の走者がスタートラインにつき、競技が始まってから私は客性の方に視線を向け、勇紀君達の姿を探す。
えーっと………いた。客席の方からハードル走を見てる男の子。
それに彼の側にはさっき何処かへ逃げて行った筈のアリシアちゃんの姿もある。
しばらくは競技の方に目がいってたみたいだけどこっちを向いた時に私と視線が合う。
「……………………」(ヒラヒラ)
「ふふ……//」(ヒラヒラ)
手を振ってくれたので私も小さく振り返す。
これは絶対に1位取らなきゃ。
何だか『応援してくれてる』って分かると力が漲ってくるよ。
「月村…早くスタートラインに並んでくれ」
「あっ!す、すみません」
勇紀君の方を見てたから私の番まで回って来た事に気付かなかったよ。
先生に呼ばれ、慌ててスタートラインに並ぶ。
「位置について…よーい……」
パアンッ
私は最初から全力で走る。
すぐに1つ目のハードルを跳び越え、2つ目のハードルに跳び掛かる。
他の走者はようやく1つ目のハードルを跳ぼうとしていた所だ。
これならハードルで躓かない限りは追い抜かれる事は無いよね。
2つ目、3つ目、と軽く跳び越し、最後のハードルを越えた後は楽々とゴールテープを切る。
「ふぅ…」
軽く一息ついてゆっくり待機場所へ移動する。
良かった…走ってる最中に転んだりしなくて。
自分の出した結果に満足しながら私は次の走者が走る様を眺めていた………。
~~すずか視点終了~~
~~はやて視点~~
アリシアちゃんに続いてすずかちゃんも1位。皆流石やわ。
すずかちゃんも一旦わたし等の所に戻って来たものの、すぐに別の場所に行ってもうた。
何でもアリシアちゃんは勇紀君達がおる客席のところにおるらしくてすずかちゃんも『そこに避難する』って言うとった。
だからわたし等も自分の参加する競技が終わったらそこに避難させて貰うつもりや。
今すぐ全員で移動してもうたら間違い無くアホが3人ついてきよるからな。
「じゃあ、わたしもそろそろ…」
立ち上がって入場門まで移動する。
まだ集合まで余裕はあるんやけどぶっちゃけアイツ等の側から1秒でも早う離れたかったからや。
なのはちゃん、フェイトちゃん、アリサちゃんには悪いけど堪忍な。
そのままボケーっと入場門前で待っていると続々と生徒が集まり始める。多分わたしが出場する障害物競争の選手なんやろなぁ。
「障害物競争に参加する生徒はここから先頭に2列で並んで下さい」
先生の指示に従い、わたしは並ぶ。っちゅーても最初に来たから先頭に並ぶ羽目になったんやけど。
グラウンドではコース上のハードルが取り除かれ、障害物が次々に準備されていく。
準備が出来たところで先生がグラウンド内へわたし等を誘導する。
障害物は順番に三輪車、網潜り、スプーン、キャタピラ、跳び箱の5つ。
網潜りは勇紀君達の運動会でもあったなぁ。
「じゃあ、第1走者はスタートラインへ並んで下さい」
お、始まるみたいや。わたしは第4走者やから多少は時間ある。
軽く柔軟体操でもして身体ほぐしとこうかな。
その場で体操しながら順番を待つ。
勇紀君が出てた平均台の時みたいな妨害が無い分、『聖祥の障害物競争は楽やなあ』と思うわ。
「次の走者、スタートラインに並んで」
こうして第2、第3の競争もちゃちゃっと終わり、わたしの出番がやってきた。
「位置について…よーい……」
パアンッ
わたしは出だしこそ若干遅れたものの順位は3位、まあまだ最初やし充分巻き返せるわ。
始めは三輪車を漕いで指定された場所まで移動せなアカン。
この歳で三輪車…ちょい恥ずいわ。
キコキコ…キコキコ…
明らかに自分の足で走るより遅い。だからこそ障害物としての意味があるんやろうけど。
「ぬぬぬぬぬ…」
三輪車を必死に漕いで指定された場所に向かう。
「《ぶははははは…》」
何処からか笑い声が聞こえる。しかもこれは念話や。
「《必死な形相が滑稽だな子鴉…ぷぷっ》」
って王様!!アンタかい!!
わざわざ念話使って笑いおって。後でしばき倒したる。
「はあ…はあ…」
何とか三輪車を漕ぎ終えて再び走り出すけど意外に体力持ってかれた。
次は網潜り。
私の前を行く走者に続いて網を掴み、すぐさま網の中を潜っていく。
ここは何なくクリアや。
そのままトラックのコーナーを曲がり終えた所から今度はスプーンで次のコーナー手前まで走らなアカン。
スプーンは名前の通りスプーンを持って走る障害物や。
ただし、スプーンの上にはピンポン玉がのっており、走ってる途中でピンポン玉を落としたらやり直しっちゅうバランス感覚が大事な障害物やね。
わたしの前方を走ってた生徒もここで多少苦戦しとる。追い抜くならここやな。
すぐさま側のテーブルに置かれとるスプーンとピンポン玉を取り、スプーンの先端にのせて前に進み始める。走ってピンポン玉を落とすのもアレやから早歩きでバランスよう行かんとな。
ここで1人抜いてわたしは2位に浮上したけど、もう1人はもうスプーンを終えそうや。
けどここで焦って玉落としたらアカン。残りの障害物で抜けばええんや。
「(もうちょい…もうちょいや…)」
慎重かつやや早めに歩き、やっと指定場所まで来れた。
スプーンとピンポン玉を置いてコーナーを回り始める。次はキャタピラ。
コースの途中に置かれとるダンボールの中に入り、四つん這いでダンボールを回転させながらわたしは進む。
「《地べたに這いつくばりながら進む姿はお似合いだぞ子鴉…ぷぷぷっ》」
…王様、アンタ後でラグナロクかましたるからな。
念話でいちいち笑う王様に制裁を与える事を誓ってわたしはひたすら前へと進んでいく。
時折ダンボールから顔を出してコーナーをちゃんと曲がれているか確認しながら。
コーナーの終わり目まで進んだところでダンボールから抜け出し最後の障害物、跳び箱へ。
跳び箱は単純に乗り越えたらいいだけやから助走つけて勢いよく走り、踏切板を強く踏んでそのまま跳び越える。
跳び箱を超えた時点でわたしの前を走っていた走者はゴールしており、結局わたしは2位でゴールした。
うう…1位になれんかった。
まあ2位でも充分白組の得点にはなるんや。今回はこれで満足しとこか。
残りの走者も走り終え、そのまま退場門から出るとわたしは白組の席には向かわず、勇紀君のおる客席に足を運ぶんやった………。
~~はやて視点終了~~
「勇紀くーん。わたし疲れたわー♪」
その言葉と共に座ってる俺の背中に抱き着いてくるはやて。
「子鴉!!貴様いきなりユウキに何をする!!」
「疲れたからもたれかかっとるんやけど?」
「離れろ!!ユウキが穢れる!!」
「無理~♪足が疲れて上手く歩かれへん~♪(はあ~、幸せや~♪)//」
キレるディアーチェと抱き着いたまま喋るはやて。
『くぎみー』と違って『植田ちゃん』同士では仲悪いのか?
…いやこの2人だからか。敵視してるのは基本ディアーチェだけだが。
というよりも桃子さんと忍さん以外の面々からも睨まれてるぞはやて。
シャマルさんとヴィータも何か不機嫌そうだし。
「次は三人四脚ねぇ…誰か出んの?」
俺はパンフレットを開き、プログラムを確認しながら聞く。
「なのはちゃんは大玉転がし、フェイトちゃんは借り物競争、アリサちゃんはスウェーデンリレーに参加やで」
俺の肩に顎を置き、一緒にパンフレットを覗くはやて。
「じゃあ次は三人四脚の次にある大玉転がし…なのはの出番か」
パンフレットを閉じ、グラウンドを見ると三人四脚に出るらしい生徒達が入場する。
「アイツ等が出んのか…」
その中に3人の銀髪が含まれていた。
しかも同じパートナーみたいだし。
「あの3人にチームワークなんてあんのか?」
どう見ても人選ミスなんじゃあ…。
「ああ、三人四脚はもう捨ててるからこれでいいんだよ。アイツ等個人プレイに走ると、かえって白組の足引っ張るから。これはアリサの指示で決まった事だけどね」
アリシアが説明してくれる。
成る程…。使えない連中を纏めておいてチームのマイナス要因をここで切っておく訳か。
ここにいるメンバーは誰も応援する事無く観戦している。
銀髪トリオは何やら揉めてるっぽいのでちょっと音声拾ってみるか。
俺は周囲の人目を確認した後、サーチャーにP-ステルスシステムを掛けて連中の側まで飛ばす。
3人の音声が聞えてくるが…
『おいテメー等、俺の足引っ張んじゃねえぞ』
『るせえ吉満!テメー誰に口聞いてやがる!』
『ああ゛っ!?テメーこそ自分の立場理解しろや!!』
『全く…アリサの頼みとはいえ、どうして私が豚共と…』
『西条!吉満!暁!早く準備しなさい!!』
審判役の先生も怒ってる。
『『『チッ…』』』
舌打ちすんなよ。
渋々紐で足を結び、スタートラインに立つ銀髪トリオ。3人の並びは左=暁、真ん中=西条、右=吉満の順だ。
あれ?
「《ユウキ…》」
「《シュテルも気付いたか?》」
「《はい》」
「《吉満の奴だけ
周りの目があるためシュテルと念話で会話する。
何でだろう?
そう思っていると…
『位置について…よーい……』
パアンッ
一斉に足を踏み出す瞬間
『オラアッ!!』
声と共に吉満の左足が思いきり前に出され
『『うおっ!!?(きゃっ!!?)』』
暁、西条が身体ごと引っ張られ、二人は盛大にこける。吉満は紐を緩く結んでいたのか引っ張った瞬間、紐が解けたのでこけずに立っており、左足を前に突き出したまま転んだ2人を見てニヤついている。
『おお、悪い悪い。オリ主の俺がモブ共のために力を抑えるのを忘れてたぜ』(ニヤニヤ)
…ワザとだ。絶対ワザとだ。
立ち上がった2人の銀髪はそのまま自分も身体強化を施し
『上等だ吉満!!ぶっ殺す!!』
『豚の分際で!!』
『はっ!返り討ちにしてやんよ!』
そのまま競技の事も忘れて3人でバトルロイヤルをし始めた。
『こら!お前等!』
先生の制止も『聞く耳持たず』といった感じで始まる大乱闘。
…アリサ。お前の判断は正しかったよ。
コイツ等個人競技に出したら確かにアカンわ。
結局3人は失格。そのまま先生達が待機するテントがある本部まで連行されて行った………。
~~なのは視点~~
「ハア~…」
すぐ横でアリサちゃんが溜め息を吐いてる。
まあ気持ちは分かるよアリサちゃん。
あの3人のケンカのせいで白組の点数がマイナス処分を受け、結構引かれたの。おかげでさっきまで勝ってたのに逆転されちゃった。
「アリサ…気を取り直して。私が何とかするよ」
「…そうね。お願いするわ」
『大玉転がしに参加される生徒の方は…』
あ、私いかなくちゃ。
「なのは、とりあえずアンタは大玉を転がす皆の後をついていけばいいだけだから」
「うん」
私が転がそうとしたら運動音痴が発動して皆の迷惑になるから大玉には触れず後ろからついて行くだけでいいらしい。
…むう~、私そこまで運動音痴酷くないと思うの。
………酷くないよね?
……………ゆ、ユーリよりはマシだと思うの!!
そんな事を思いながら一緒に参加するクラスの子と入場門へ行く。
ついてすぐにグラウンド内に行き、準備する。
私達は出番が1番最初のため、すぐにスタートラインに並ぶ。
目の前には白色の大玉…。
「位置について…よーい……」
パアンッ
スタートの合図と同時に皆が玉を転がし、私は後ろから前方に何も無いか確認して皆を誘導する。
「そのまままっすぐ行くと折り返しのコーンにぶつかるから皆少し左に」
「「「「了解」」」」
大玉を左寄せに転がして皆は進む。その時
「にゃっ!?」
躓いて転んでしまった。
「うう…イタタ…」
幸いにも足を軽く擦りむいた程度ですんだ……だけど…。
「ふえっ?」
私が転んだことに気付かず、そのままコーンを回って折り返してきた大玉が私の目の前に。
「にゃーーーーっ!!」
そのまま私は大玉に轢かれ、皆に踏まれたり、躓かれて私の上に倒れてきたり。
「にゅうううっ…」
そのまま立ち上がれない私は皆が上からどいてくれ、先生に手を引っ張って貰ってようやく立つ事が出来た。
何で私がこんな目に…。
私は今日ほど自分の運動神経の無さを恨んだ日は無かったの………。
~~なのは視点終了~~
現在地面にシートを敷き、皆で昼食中。
何つーか、午前中の競技だけで意外なハプニングが出たな。
銀髪大乱闘が起きたり、なのはが大玉に轢かれたり。
「勇紀、だし巻き頂戴」
「あ、アタシにもくれ」
「ほれ」
「「ありがと(サンキュー)」」
アリシアとヴィータにだし巻きを取ってやり、俺も野菜炒めを小皿に取る。
皆でワイワイしながら食べる食事ってのはいいもんだ。
ここは俺が認識阻害を綿密に張ってるので銀髪達には気付かれない。
現に何度か俺達の目の前を気付く事無く通り過ぎていってるからな。
「勇紀、お茶だよ」
「サンキュ、フェイト」
紙コップを受け取り、お茶を飲む。
「昼からはフェイトとアリサが出場する競技があるんですよね?」
「うん。頑張るよ」
「馬鹿達のせいで逆転しないといけなくなったからね」
ユーリの言葉に頷くフェイトとムスッとした様子のアリサ。
確かにあのマイナス処分がなけりゃ白組がそこそこリードしてたのにな。勿体無い。
「けどまだ逆転出来る範囲内で良かったじゃん」
「まあね。けど団体競技は得点配分が大きいから1つでも赤組に取られたら厳しいわね」
午後の団体競技…騎馬戦と綱引きだな。
ここにいるメンバーは誰も出ないけど。
「ふう…ご馳走様」
フェイトが箸を置く。それに続いて他の皆もお腹一杯になってきたのか箸を止めてゆったりとしだす。
午後に備えて英気を養う聖祥組。でもフェイトとアリサ以外は養う必要無いんじゃね?
横になっているアリシアや昼寝し始めたレヴィ。シュテル達も弁当を片付け、お茶を飲んで一服している。
しばらく休憩し、皆と談笑しながら過ごしていると
『スウェーデンリレーに参加する生徒の皆さんは…』
アナウンスが流れ始めた。
「じゃあ、行ってくるわ」
「おう、頑張れ」
皆でアリサを見送って俺達も応援の準備をする。
ここでアリサが得点稼ぎに貢献しとかないと後々が辛いんだろうけど…
「(まあ、アリサなら大丈夫だろ)」
俺はコップに注いだお茶を飲みながら次の競技が始まるのを静かに待っていた………。
~~アリサ視点~~
「さて…」
私は現在、グラウンドの待機場所で下級生のスウェーデンリレーを眺めながら順番を静かに待っている。
お腹も一杯で充分に休息も取ったから万全の状態で挑めるわ。
スウェーデンリレーはトラックを半周、1周、1周半、2周しないといけない。
私はアンカーの2周担当だ。それにしても…
「全く…アイツ等のせいで……」
まだ若干怒りが収まらないわね。
アイツ等が揉めるのは予想内だったけど、先生にまで手を出すなんて。
そのせいで大きな減点になってしまったわ。
……これ以上グダグダ言っても埒が明かないわね。それより今後の展開を見据えて何とかしないと。
「とにかくここで私が、借り物競争でフェイトがトップを取って差を縮め、団体競技で巻き返すしかないわね」
他の学年にも頑張って貰わないといけないけど、取れるところは確実に抑えないといけない。
「皆、悪いけどこのリレーは絶対に落とせないわ!だから普段以上に本気出して頂戴!!」
「「「任せてちょうだい!!」」」
私と一緒にリレーに出場した3人の女子に頼む。
そのまま5年生のリレーが終わるまで待ち…
「次、準備して」
先生に言われたので私達はそれぞれバトンを受け取る位置へ移動する。
「位置について…よーい……」
パアンッ
私達6年生のリレーが始まった。
最初の走者の足はお互いほぼ同じ速さのため差をつける事も引き離される事も無い。
そのまま何が起きる訳でも無く次の走者にバトンを渡す。
次の走者はお互い運動部に所属している子達だ。赤組の子は水泳部、白組の子はテニス部だった筈。
「…縮まらない…か」
第2走者も全くといっていい程互角だ。
「うーん…このまま互角で維持するか、可能なら少しでも差をつけてほしいわね」
要は相手の子に引き離されなければいい。
私だってフェイトやアリシア、すずか程じゃないけど運動神経は良い方だし足の速さには自信がある。
第2走者も走り終え、第3走者にバトンが渡る。
今度の第3走者で今まで競り合っていた均衡が崩れ出した。少しずつだが私達白組の走者が紅組の走者に引き離されていく。
…マズいわね。ここで白組は負けられないっていうのに。
1~3年生のスウェーデンリレーは白組が勝ったが4~5年生では負けている。
「(それに…)」
チラリと視線を客席の方に向ける。
「(勇紀が見てるのに、負けられないじゃない)//」
負けて慰められるより、勝って褒められたいもの。
私は視線を戻し、徐々に離されていく白組を見て心の中で『負けるな!』とエールを送る。
やがて最終コーナーを回り、走って来た時チャンスが起きた。
赤組の走者がアンカーに手渡すバトンを落としたのだ。
慌てて拾い、今度はちゃんとバトンを手渡すがその間に白組の子が距離を詰めてくれ、私がバトンを受け取ったのと赤組のアンカーがバトンを受け取ったのはほぼ同じタイミング。
さっきまで離されていた距離が0になったも同然だった。
後は私が徐々に赤組のアンカーの子を引き離し、私達6年生のリレーは逆転して勝つ事が出来た。
「(正直、あそこで相手の子がバトンを落とさなかったら負けてたかもしれないけど)」
でも勝ちは勝ちだしね。
後はフェイトと他の皆に任せましょうか………。
~~アリサ視点終了~~
~~フェイト視点~~
ふう…。
「(赤組に勝つには1人でも多く上位に食い込んで点数を稼がないといけないんだよね…よし!)」
白組の現状を確認し、私は気合を入れる。
入場門から入場し、待機場所で順番が来るのを待つ。
私の番は最後。多少はゆっくり出来る。
「(借り物競争は何を引き当てるかが鍵だよね)」
出来れば簡単ですぐに見付かる物がいいな。
既に始まっている借り物競争の走者を見ながらそう思う。
すぐに物を手に入れて持ってくる生徒もいれば中々見付からず、ひたすらに右往左往する生徒の姿も見受けられる。
けど皆が手にしている物はリボンや眼鏡みたいな装飾品が多い。
リボンなら姉さんやなのはやレヴィに借りればいいよね。
眼鏡は…勇紀の宝物庫の中にあるかな?
というよりも勇紀に頼めば大抵の物を出してくれそうだ。
そんな事を考え、自分の順番を待つ。
しばらくして最後の走者…私の番が回って来たのでスタートラインに立つ。
「位置について…よーい……」
パアンッ
スタートの合図と共に私達は走り出し、借り物が書かれている封筒のばらまかれている場所までやってくる。
私は近くにある封筒を手に取り、封を切って借り物の内容を見る。紙には…
『彼氏』
と書かれていた。
……………………
………………
…………
……
「ええええええええっっっっ!!!!?////」
私は思わず大声を上げてしまう。
ほとんどの人が私の方に視線を向けるけど、今の私はそれどころじゃない。
「(か、かか、かかか彼氏!!?)//////」
そ、そんな人いないよ。
そもそも『物』じゃない。
こ、これ…間違いじゃないよね?
私は何度も自分の目を疑うが書かれている文字は変わる事が無い。
……どうしよう?
す、好きな人ならいるのに。
私は勇紀の方へ視線をやる。
「???」
勇紀もコッチを見ていた。私の大声が聞こえていたんだろうなぁ。…恥ずかしい。
「(ど、どうしよう…勇紀を代役にして先生に認めてもらうしかないよね!?)////」
他に良い方法が思い付かないので私はその案を実行する。
すぐさま客席の方に行って
「ゆ、勇紀!一緒に来てくれないかな!!?////」
「俺?」
自分を指差し聞いてくる勇紀の問いにコクコクと首を縦に降る。
「何か分からんがついて行けばいいんだな?」
「うん!お願い!!////」
勇紀が腰を上げ、私の側まで来てくれたので私は勇紀の手を掴み、一緒にグラウンドを駆け出す。
そのまま私と勇紀は1番でゴールして審判役の先生に封筒の中の紙切れを見せる。
「先生…これです////」
「ふむふむ」
先生は何か紙と勇紀を交互に見て
「じゃあテスタロッサさん。彼が彼氏で間違い無い?」(ヒソヒソ)
「は、はい////」(ヒソヒソ)
「じゃあ彼と何か仲睦まじい姿を見せてくれる?」(ヒソヒソ)
「え?仲睦まじい姿ですか?」(ヒソヒソ)
「ええ、恋人同士がする様な事を見せてほしいのよ」(ヒソヒソ)
「こ、恋人同士がする事…ですか?//」(ヒソヒソ)
「そそ、例えばキスとか」(ヒソヒソ)
「え?」
キ、キスウウウウウッッッ!!!?
「…なーんて、冗談よ。普通に腕組んだりとかで…テスタロッサさん?」
キ、キス…キスしないと認められないんだ。
どど、どうしよう?
勇紀とキス…嫌な訳無い。むしろしたい!
でも出来ればもっといい雰囲気でしたいっていうか、人目の無い所でしたいっていうか…。
「(はううううう……)//////」
「あの…テスタロッサさん?冗談だから真に受けないで…」
で、でも私はシュテル達やなのは達に負けたくないし、もうディアーチェは夏休みに勇紀とキスしたの見たし、なのは、アリサ、すずかも勇紀とキス済ませちゃってるみたいだし。
このままだと他の皆もいつ勇紀とキスする様な状況になるか分からないし…。
「(…………よし!!)////」
キス…しよう!!
私だってチャンスを活かさないと!!
私は勇紀の前に立ち
「どうした?フェイト?」
「あの…勇紀……ゴメンね////」
「え?」
勇紀の肩を掴むと同時に
「んうっ!!?」
「んっ……////」
こ、これ…凄くいいかも。
何だか胸の奥が満たされるっていうか…好きな人とキスしたらこんな気分になるんだ。
「…ん…ちゅっ……////////」
「…ん…んう……////」
時間も忘れるぐらい長い間キスをしていた様な気がする。
そして私の方からゆっくりと唇を離して先生の方に向き直ると
「こ、これでよろしいでしょうか?//////」
先生に確認する。
「え、ええ…でもテスタロッサさん。私は冗談のつもりで言ったんだけど…」
「え!?」
じょ、冗談!?冗談だったの!!?
私が先生の言葉を聞いたのと同時に
「「「「「「「「「「きゃああああああああああっっっっっ♪♪♪♪!!!!!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!」」」」」」」」」」
女子の黄色い声色と男子の叫び声がグラウンド中に木霊する。
「何!?テスタロッサさんいきなりキスしたわよ!!」
「彼氏!!?あの男の子、テスタロッサさんの彼氏かしら!!?」
「そんな!!テスタロッサさんに男がいたのかよおおぉぉぉっっっ!!!」
「アイツ!!偶に月村さん迎えに来てる奴じゃねえのか!!?」
「そうだ!!しかも月村さん、アイツと帰る時凄く嬉しそうな顔してるの見た事あるぞ!!!!」
「じゃあ月村さんとも!!?」
「両手に華か!!?両手に華なのかコンチクショーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」
「「「モーーーーーーーーーブゥーーーーーーーーッッッ!!!!!!」」」
「お前等!!勝手に出歩くな!!」
ゴンッ×3
「「「ぎゃあああああっっっ!!!!(きゃあああああっっっ!!!!)」」」
わわわ。皆が凄く騒いでるよ。
とりあえず私は勇紀の手を引いてこの場を離れる。
「あの…フェ、フェイト?////」
「ゆ、勇紀…////」
「な、何でいきなりキスなんか?////」
「えっと、その…そう!!コミュニケーション!!『異性とのコミュニケーション』が紙に書かれていたの////」
「こ、コミュニケーションって借り物か!?それにキスってコミュニケーションの内に入るのか!?////」
「ま、前に聞いた事があるんだ!!海外ではキスは挨拶やコミュニケーションの一環だって…//////」
「そ、そうか。けどそれは海外の常識であってここは日本なんですが…////」
「わ、私だってここには『海外からの転校生』って事で編入したんだよ?だから海外の常識を持ってるって事でき、キスしても可笑しくないよ!うん!!可笑しくない!!////」
「で、でもですね…////」
「そ、それに…誰にでもこんな事する訳じゃないからね////」
「え?」
こ、こんな大勢の前でキスしたんだ。
い、今の勢いなら言える気がする!勇紀に『好きだ!!』って!!
「わ、私ね…その…勇紀の事……//////」
『好きです!』って私が言おうとした瞬間に
ガシッ
物凄い力で私の肩を掴まれた。
「え?」
振り返ってみたら
「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」
「ひいっ!?」
目から色が消えたシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、なのは、姉さん、はやて、アリサ、すずか、エイミィ、シャマル、ヴィータがいた。レヴィ、いつの間にか起きてたんだ。
それと私の肩を掴んでいるのはなのはだ。
「フェイトちゃん…今、何を言おうとしてたのかな?」
「な、何ってなのは…」
「それに…何で勇紀君とキスしたのか…その辺りの事も聞きたいな」(ガシッ)
「それは…借り物に…」
「うんうん。あっちでじっくり聞かせてね、フェイト」(ガシッ)
なのはだけじゃなくすずかに左腕、レヴィに右腕を掴まれ私は逃げられなくなった。
そのまま引きずられていく私。
「ま、待ってよ!そもそもなのはとアリサとすずかとディアーチェだって勇紀とキスした事…」
「ええ、あるわね。けど、やっぱり勇紀が自分以外の女とキスしてるのを見て我慢する事なんて出来ないのよ」
「そんな…勇紀…助け……」
もう一度振り返って勇紀に助けを求めるけど
「なあシュテル。何で防音の魔法使うんだ?アイツ等が何言ってるか聞こえないんだが?」
「《勇紀は気にしなくて良いんですよ。女の子同士でしか言えない事もありますから》」
「そ、そうなのか?(てか周りを気にせず普通に魔法使ったけど誰にも見られてないよな?)」
「《ああ、だからアタシ達はさっさと先に戻んぞ》」
勇紀はシュテルとヴィータに腕を絡められ、客席の方に連れられていく。
ここに私の味方は存在しない。
この後、次に意識がハッキリした時、運動会は終わり私達白組が優勝していた………。
~~フェイト視点終了~~
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。