No.568639

恋姫無双・異端録8 黄巾前哨戦編2

fryttoさん

気がついたら書き溜めが14話まで言ってました。
ち、ちがうんや!誤字が多いのが悪いんや!
別に投下を忘れていたわけじゃないんや!
そんなゆるい感じで始まる中身のないSS始まります。

2013-04-21 23:21:58 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:824   閲覧ユーザー数:733

 

「戻って来おったか。噂になっとるぞ?」

鍛治屋に着いてから刀匠に開口一番にそう言われた。3人の高額賞金首を一人で片付けたのは、やはりというか相当噂になっているらしい。口入れ屋も名前は教えないだろうが、刀匠には流石に流れで解ってしまうのだろう。

「ははは・・・俺のことは黙っててもらえると助かるのですが。」

一刀は困ったように笑いながら刀匠にそう言うと、賞金を入れていた荷袋から武器の代金を取り出し、刀匠に渡した。

「しかし・・・得るものもあったようじゃの?どこかさっぱりした目をしとるわい。」

確かに。と言いながら刀匠はそんなこと言い、一刀のために作った武器を取りに店の奥に消えた。

 

刀匠は一刀の体ほどもある箱を持って店の奥から出てきた。

「開けてみて手にとってみるとええ。大鉞じゃ。・・・重量は10斤。重心は・・・言わなくてもわかるな。振ってみればわかるが、お前さんにとっては案外取り回しやすいはずじゃ。とはいえ、お前さんじゃなければ持つことはできても満足に振ることは出来ないだろうがな。・・・あぁ、お前さんが言ったとおり重量調整の穴は桃の花と蓮の花の形に抜いておいたぞ。名は・・・桃蓮鉞と言ったところか」

一刀が箱から大鉞を出すと、刀匠は自らが作成した大鉞を説明し始めた。試しに構えてみたり軽く振ったりしてみると、驚く程軽く扱えることに気がつく。何よりも桃の花と蓮の花の形に綺麗に抜かれた斧頭を見て金属加工レベルの高さに舌を巻く。

(体を見ただけでコレか・・・それにこの加工力・・・つくづく人間離れしてるな・・・)

そんなことを思いながらも一刀は

「ありがとうございます!期待以上です!」

と興奮しながら礼を言った。

一刀は鍛治屋を出ると今後のことを考えていた。

(体調も回復したし、そろそろ楼桑村に帰りたいなぁ。桃香待ってるだろうしなぁ。・・・泣いてっかなぁ。いや、泣いている顔もそれはそれで・・・って待て待て。)

思わず変な方向に思考が流れるのを止め、しっかりと考え始める。

(食料は保存食を買えばいいし、村の位置だけど・・・川から流れてきたのなら上流に行けばいいのか。とりあえず涿県に向かえばいいか。詰所に・・・いや。宿屋で聞けばわかるか。)

宿屋は旅人が集まる場所でもある。守備兵に聞くより余程いいのだ。何より袖の下が必要ない。

(まずは蓮華さんたちに挨拶に行くか。)

そう決めると一刀は蓮華の屋敷まで歩いて行った。

 

 

屋敷につき女中に広間まで案内されると広間の中では蓮華と思春。それから胸囲的な意味でアレがアレな女性が話し込んでいた。

「お邪魔します。」

一刀はそう自分が来たことを広間の人間に伝えると、アレがアレな女性が話しかけてきた。

「あらぁ~?見たことのない方ですねぇ?どちら様ですかぁ?」

随分とにこやかだが、どこか違和感がある。多少警戒しているようだ。

「俺は北郷一刀と言います。お二方に保護され世話になってました。」

別段隠すことでもないし、一刀は素直に説明する。

「あぁ!これはご丁寧に。うふふ・・・お話はかねがね~わたしは陸遜。字を伯言と申します。」

かねがね何を聞いているのか気にはなったが触れないほうが良さそうなので触れないでおいた。

(!・・・この人が陸遜・・・?なんとまぁビックネームが・・・呉の重鎮か・・・蓮華たちに一体何の用があったんだろうか。)

そんなことを考えてるとは知らず

「一刀か。久しいな。今日はどうしたのだ?」

蓮華は微笑みながらそう聞いてきた。

「ああ、体調も回復したし武器もできた。そろそろ戻ろうと思ってね。その挨拶に。」

そう聞いた蓮華は少し寂しそうに一刀に聞いてきた。

「そうか・・・いや。先ずはおめでとう。それでいつ発つのだ?」

 

「有難う。そうだね、今日は宿に泊まって村の位置を聞いて明日発つよ。」

そう言うと一刀は興味深そうに桃蓮鉞を見ている思春に気がついた。

「なるほど。大鉞だったとはな。・・・どうりであの動きなわけだ。あの刀匠ならいい物を作ったはずだ。大切にするといい。ほう・・・桃の花に蓮の花か。」

桃の花と蓮の花の穴に気がついた思春はそう言うと少し考えたあと

「なるほどな。・・・蓮華様!まだ希望はあります!」

そう蓮華に向かって言った。そうすると蓮華は何かに気がついたようで、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「あらぁ。良いですねぇ」

などと陸遜が煽ると益々蓮華は顔を赤くしてしまうのだった。

世話になった人を忘れないように。そんな気持ちでこの意匠にしたのだが、一般的にはもっと違う意味で見られるらしい。そんなことを考えてると、まだ顔を赤くしながら蓮華は話し始めた。

「あ、明日発つのか。・・・一刀。あなたに謝らなければならないことがあるの。」

そう言うと蓮華は自分が王峻ではなく孫権であること、思春が沙亮ではなく甘寧であることを告げた。二人の名前が思った以上に大きかったことに驚きながらも一刀はその理由を察し

「名は違っても理由あってのことだし、真名は教えてもらったし全然気にしてないよ。それに教えてくれたんだ。謝る必要もないよ。」

と、理解を示した。そう話しているうちに、日も暮れてきたので館を辞すると、一刀は宿に向かった。

翌昼過ぎ頃、一刀の身は上流方向にある村の遥か北の集落にあった。

集落といっても、賊に攻め込まれた後らしく人が一人も居無かった。長居は無用と集落を通過しようとしていたのだが、その集落の家屋に白字で書かれた文字に気がついた。

「甲・・・子・・・?」

そう書いてあった。考えてみてもあまり良く解らず、解らないことをいつまでも考えていても意味がない。そう判断した一刀は集落を出て更に北へ進むことにした。

 

さらに数日北へ進むと涿県に入ることができた。立ち寄った村で情報を集めると、義勇兵の大規模な募集があったらしく、楼桑村方面にある大輿山の山麓に賊が集結しているらしい。

「楼桑村の奴らが義勇兵募って討伐に出てるらしいぜ?」

(話によれば。大輿山付近にはいくつか村がある。その村を回ればまだ義勇兵を募ってる所があるだろう。)

そう考えた一刀は、馬を一頭買い取ると大輿山へと向かった。

はしがき

 

黄巾党はじめました。

ということでついに出てきました黄巾賊。

演義によれば襲った村の家屋に白土で甲子の字を書き付けた。とあります。

 

甲子とは干支の一つです。

いろいろと謂れのある年ではあるのですが

変革の年。とも言われています。

干支の一番目にある年だからなのか、理由はわかりませんが

天意が改まり、徳者に天命が下る。なんて言われてます。

革命を起こすにはちょうどいい年ですよ!なんて言われてるんでしょうか。

まるでタチの悪いセールスですね。迷惑この上ない。

 

さて、話題に上がる黄巾賊ですが、後漢書によれば、ご存知のとおりスローガンがあります。

「蒼天已死 黃天當立 歲在甲子 天下大吉 」

”蒼天すでに死し、黄天まさに立つべし。甲子の歳たる今、天命まさに我にあり。成し遂げてこそ天下は大吉へと導かれる。”超意訳ですがこんなところでしょうか。

此処まで張角に言わせるのにはそれなりの根拠というか精神的バックボーンがあったようです。

 

あくまで演義によれば、ですが。張角は単なるアジテーターではなかったようで、まるでキリストのような活動をしていたようです。(というかほぼまんま)

そのあたりはやはり演義なので、所謂フィクションなのでしょうけども、善行を行っていたのは確からしく。それ故に教徒・弟子などが増え一大勢力になったようです。その増えた信徒が暴徒化し黄巾の乱へ・・・と続くのですが。

 

とは言っても結局演義は演義なので。個人的には「急に信徒が多くなったから調子に乗っちゃった☆」とかその辺だと思います。信徒が多くなるにつれて政治色が強くなっていったみたいですしね。

 

ともあれ、張角の発言したとおり、甲子の歳だったのには間違いがないらしく黄巾の乱を皮切りに群雄割拠の時代に進むのですが・・・一刀くんはどうなるんですかね。


 
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