No.566912

魔法少女リリカルなのは黄金の腕輪を持つ転生者

アリサとすずかの危機

2013-04-17 00:20:13 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2868   閲覧ユーザー数:2699

 

休日・・・休日とは土日・祝日の休みの日の事である。

 

 

ある者は家でまったりと過ごす、またある者は外出などをして休日を過ごす者もいる。

 

 

かくゆう僕も、休日を友達の家で過ごす予定だ。

 

 

その為、僕は1人ですずかちゃんのお家に向かっている最中だ。

 

 

何故1人かと言うと、なのはちゃんは家のお手伝いで行けなくなり、アリスは原作開始日が近くなって来た事により1度天界に戻っていった。

 

 

とまあ簡単な説明はこれで終わりだね。

 

 

『ここら辺だよね?』

 

 

『はい、そこの角を曲がって約1Km先にあります。』

 

 

僕は念話でイースに話を聞きながら、曲がり角をまがる。

 

 

「ん、あれは・・・?」

 

 

曲がり角をまがるとアリサちゃんの執事の鮫島さんが運転する車が、2台の黒いワゴン車に挟まれていて、アリサちゃんとすずかちゃんが複数の男達に無理矢理車に入れられた後、2台のワゴン車は車を走らせて何処かに行ってしまった。まずいな、とりあえずは・・・

 

 

『イース、車の向かい先を確認して。』

 

 

『わかりました。』

 

 

すかさずイースに指示を送ったあと、倒れている鮫島さんや他の執事さん達の元へ向かう。

 

 

「大丈夫ですか、鮫島さん!?」

 

 

倒れている鮫島さんの肩を揺すると、こちらに顔をあげる。

 

 

「う・・・貴方は、エミル様でございますか?」

 

 

「そうです。それよりも、大丈夫ですか?」

 

 

「いえ、私は平気ですが・・・アリサ様とすずか様は・・・」

 

 

「アリサちゃんとすずかちゃんは、僕に任せてください。鮫島さんはすずかちゃんの家の方に連絡をお願いします。」

 

 

「し、しかし・・・」

 

 

やはり子供1人に任せるのを、戸惑っているようだ。

 

 

「大丈夫です、僕を信じてください。」

 

 

僕はまっすぐに鮫島さんの瞳を見る。

 

 

「・・・わかりました。お二人をお願いします。」

 

 

「ありがとうございます。では、僕は急ぎますのでこれで・・・」

 

 

僕は走ってこの場を離れる。

 

 

『イース・・・』

 

 

『・・・特定しました。場所は、海岸付近の廃倉庫の中です。』

 

 

『海岸付近か・・・。よし、行くよイース!』

 

 

『イエス、マスター!』

 

 

イースが返事をした後、エミルの足元に魔方陣が展開され、その場からエミルの姿が消えた。

 

 

エミル side end

 

アリサ side

 

今日はすずかと家で遊んだ後、1週間前に友達になったエミルとすずかの家で遊ぶために、車で一緒に向かう途中だった。

 

 

その時、突然前と後ろに居たワゴン車が無理矢理私達の車を止めた。そして私達の車のドアをあけた。

 

 

「こっちへ来い!」 と怒声をあげ、私達を無理矢理連れ去ろう とする 。

 

 

「何をする・・・」 と私たちを助けようとして抵抗した鮫島達が、男達に殴られる。

 

 

そして私達は抵抗も空しく、あいつらの車に乗せられた。

 

 

「アリサちゃん・・・恐い。」

 

 

「大丈夫よ・・・絶対大丈夫・・・」

 

 

震えるすずかを抱きしめ、自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

 

 

 

程なくして海に近い廃倉庫まで連れてこられた。

 

 

「バニングスだけじゃなく月村までさらってこれるとはな・・・コイツはついてるぜ。」

 

 

リーダー格の男が、下品な笑い声をあげる。

 

 

 

「今から電話をかける。悲鳴でも聞かせた方が交渉しやすいだろう・・・お前ら、少し可愛がってやれ。」

 

 

リーダー格の男がそう命じると、二人の男が下卑た笑みを浮かべながら近付いて来る。

 

 

「あ・・・アリサちゃん・・・」

 

 

すずかは、恐怖のあまり涙声になっている。

 

 

「な・・・なによ・・・くるんじゃないわよ!」

 

 

怒声をあげ、抵抗するも大人と子供の差、抵抗も空しく組み伏せられる。

 

 

「クックック・・・ガキは久し振りだな。」

 

 

「ああ・・・たっぷり可愛がってやるぜ。」

 

 

「や・・・やめて・・・」

 

 

「いや・・・だ、誰か・・・」

 

 

その時、ふと脳内にエミルの顔が浮かび上がってきた。どうしてかわからないけれど、あいつならきっと助けに来てくると思った。だから・・・

 

 

「「助けてぇぇぇ!!エミル(エミルくん)!!」」

 

 

すずかと私が絶叫をあげ、エミルの名前を叫ぶ。

 

 

「へっ、誰も助けになんかこねぇよ!」

 

 

舌なめずりをしながら私達の服に手を掛けようとしたその時・・・

 

 

ズガンッッッ!!と激しい轟音と共に倉庫のトビラが吹き飛び

 

 

「ぐぁ・・・」

 

 

「ごふっ!?」

 

 

目の前の男達がトビラに当たって吹き飛ぶ。

 

 

誰かが助けに来てくれたと思い、蹴破られた入り口を見ると、私達がよく知る人物が・・・

 

 

「助けに来たよ、二人とも!!」

 

 

エミルが立っていた。

 

アリサ side end

 

「ここか・・・」

 

 

アリサ達が中に連れていかれた時、僕は1台のワゴン車の裏側にいた。

 

 

「イース、敵の数は?」

 

 

「外の見張りが3人、中には8人居ます。」

 

 

3人か・・・よし!

 

 

「行くよ、イース!」

 

 

「イエス、マスター!」

 

 

イースの返事を聞いた後、僕は瞳を閉じる。

 

 

・・・ギアス解放!!

 

 

そしてカッ!と目を開くと、エミルの赤色の瞳に謎の模様が浮かび上がり、時間が停止した様に見張りの男達の動きや飛んでいるカラスの動きが止まる。・・・これが体感時間を止めるギアスだ。

 

 

・・・行くぞ!

 

 

発動を確認したエミルは、トビラの中央付近に居る、手に拳銃を持った男の腹部目掛けて魔力を籠めた拳を放つ。放った拳は男の腹にめり込みそのまま倒れる。

 

 

・・・次っ!

 

 

今度は話をしていた見張りの男達2人に、人間の人体急所と言われる顎を蹴りあげる。ゴキッ!と嫌な音をたて、宙に浮き顎から地面に落ちる。

 

 

・・・よし!

 

 

見張りを全て倒したのを確認すると、指をパチン!と鳴らす。

 

 

すると、止まっていた時間が動き出す。

 

 

「ふぅ・・・イース、時間は?」

 

 

「2秒と言った所ですかね。」

 

 

2秒か・・・僕もまだまだだね。

 

 

「と、そんな事より早く二人を助けないと!」

 

 

「マスター、倉庫の中央辺りに敵が2人居ます。その近くにすずか様とアリサ様が居ます。」

 

 

中央に居るのか・・・なら!

 

 

僕はトビラの前に立ち、足に魔力を籠める。そして・・・

 

 

「フンッ!!」

 

 

ズガンッッッ!!と激しい轟音と共に倉庫のトビラが吹き飛んだ。

 

 

トビラが飛んでいった先で悲鳴が聞こえた気がするけど気にしないでおこう・・・

 

 

と、そんな事よりすずかちゃんとアリサちゃんは・・・居た!

 

 

「助けに来たよ!!二人とも!」

 

 

二人とも無事の様だね・・・よかった。

 

 

「な・・・なんだてめぇ・・・!!」

 

 

突然の侵入者に呆気に取られていた誘拐犯が叫ぶ。

 

 

「ガタガタ煩いんですよ・・・」

 

 

「えっ・・・」

 

 

エミルの怒気の籠った声を聞いて、アリサとすずかは驚きの声をあげる。・・・無理もないか。僕もこんなに怒ったのは初めてだからね・・・

 

 

「僕の大切な友達を汚い手で汚そうとしたんだ。それ相応の覚悟は出来ているんでしょうね・・・」

 

 

僕は睨みを効かせながら、男達に殺気を送る。

 

 

「だ・・・黙れ黙れ・・・相手はガキ一人だ!やっちまえ!!」

 

 

リーダー格は怯えながら指示をすると、誘拐犯達がナイフを片手に2人の男が一斉に襲い掛かてきた。

 

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

 

 

すずかが悲鳴をあげる。しかし・・・

 

 

「甘いっ!!」

 

 

僕は先に攻撃してきた男のナイフを蹴りあげ、怯んでいる隙に2人纏めて左足の回し蹴りを放った。

 

 

「ゴフッ・・・」

 

 

「ギャオ・・・」

 

 

2人は回し蹴りをくらい、ドラム缶が積まれている場所にぶっ飛ぶ。

 

 

「この程度ですか・・・?」

 

 

「ぐぬぬ・・・お前ら!やっちまえ!!」

 

 

エミルの軽い挑発に乗ったリーダー格の男が仲間達に指示を出す。

 

 

「「「ウォォォォォォォォ!!」」」

 

 

男達が唸りをあげて一斉に襲いかかって来た。

 

 

一斉に来たか・・・面倒だな。・・・なら、これだ!

 

 

僕は屈んで地面に手をつく。

 

 

「へっ、スキだらけだ!やっちまえ!!」

 

 

エミルが屈んだのを好機と見たのか、勝ち誇った表情をする。

 

 

「「エミル(エミルくん)危ない!!」」

 

 

僕が目を閉じていると、アリサちゃんとすずかちゃんの声が聞こえて来た。・・・大丈夫だよ。

 

 

「巻き上がれ!ザンローム!!」

 

 

足元に緑の魔方陣が展開され、巨大な竜巻が男達を襲う。

 

 

「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 

竜巻に襲われた男達は、倉庫の天井を突き抜け、外に飛ばされて行った。

 

 

「うそ・・・」

 

 

アリサちゃんが後ろで驚いた様な声をあげた。

 

 

「ひ・・・ひぃ・・・ば、化け物・・・」

 

 

リーダー格の男は腰を抜かして怯えている。

 

 

「これで、終わりだ!」

 

 

僕はリーダー格の男に殴りかかろうとする。すると・・・

 

 

殺気っ!!くそっ・・・!

 

 

パァン!と銃声が鳴り響き、2発の銃弾が飛んできた。1発目はリーダー格の男に、もう1発は僕の頭を狙って発泡された銃弾だったが、紙一重で避けて肩に当たった。

 

 

「くっ・・・」

 

 

肩から血が吹き出し、肩に鋭い痛みが走る。・・・くそっ!油断していた・・・

 

 

「マスター!大丈夫ですか!?」

 

 

「ああ、問題ない。それよりも・・・そこに居るのは誰だっ!」

 

 

僕は倉庫の奥に居る銃弾を放った人物に問いかける。

 

 

「おやおや、外してしまいましたか・・・」

 

 

「貴方は誰だ!?」

 

 

「私はそこに倒れている者の雇い主です。」

 

 

雇い主・・・つまり、この人が誘拐犯達に命令をしたのか!

 

 

「貴方の目的はなんですか?」

 

 

「私の目的は、そちらのお嬢さんの一族ですよ。」

 

 

男はそう言って、すずかちゃんを指さす。

 

 

「っ!?」

 

 

すずかちゃんは一族と言う言葉にビクッと反応する。

 

 

「すずかの一族?どういう事よ!」

 

 

アリサちゃんの問いに、男はニヤニヤと笑みを浮かべ、言った。

 

 

「クックック、君達は何も知らない様だね。いいでしょう、教えてさしあげます。そちらのお嬢さんの一族は人間じゃないんですよ!」

 

 

「「えっ・・・・・?」」

 

 

アリサちゃんと僕はその言葉を聞いたとき、思わず声を漏らす。

 

 

「人の姿をしているが人じゃない。人の血を吸って生きる化け物。つまり・・・吸血鬼という事さ。」

 

 

「嘘よっ!!」

 

 

アリサは叫んだ。すずかが化け物なんて信じたくなかったからだ。

 

 

「それなら、そちらのお嬢さんに聞いてみればいい。クックック・・・」

 

 

男はクックックと笑いながら、アリサに聞くように促す。

 

 

「う、嘘よ!・・・ねぇ、すずか?違うよね?」

 

 

アリサは嘘であって欲しい。違うと言って欲しい。そんな気持ちですずかに確認を取る。

 

 

「・・・・・・」

 

 

しかし、すずかは否定せずに沈黙を貫く。

 

 

「沈黙は肯定、と言う事ですよ。つまり本物の化け物と言うことですよ!」

 

 

男は声を高らかにあげ、すずかを化け物呼ばわりする。

 

 

「やめてっ!!」

 

 

アリサは叫ぶ。

 

 

「クハハハッ!生きる価値の無い化け物は私が始末してあげましょう!!」

 

 

男はすずかに拳銃を向ける。

 

 

その時、僕の中で何かが切れた気がした。

 

 

「クックック!これで終わりです!」

 

 

パァン!とすずか目掛けて弾丸が発泡される。

 

 

「すずかぁ!!」

 

 

「・・・っ!!」

 

 

すずかは痛みに備え、目を瞑った。・・・だが、何時までたっても痛みは来ない。

 

 

すずかは疑問に思い、恐る恐る目を開けると銃弾を片手で掴んでいるエミルの姿があった。

 

 

「えっ・・・?」

 

 

すずかは小さく驚きの声を漏らす。

 

 

「くっ、いつの間に!?」

 

 

男は驚愕する。

 

 

「許さない・・・」

 

 

「僕の友達を化け物呼ばわりした事を絶対に許さない・・・!」

 

 

エミルは静かに怒りを露にする。

 

 

「ふん、化け物を化け物呼ばわりして何が悪いんですか?」

 

 

男は鼻でフンッと笑う。

 

 

「それに、先程わかったでしょう?彼女が吸血鬼だってことが。」

 

 

「ええ、確かに聞いた時は驚きました・・・。それに信じられませんでした・・・」

 

 

「ふっ、やはり「だけど!それがどうしたって言うんですか!?」・・・なに?」

 

 

男はエミルの言葉に目を細め、エミルを睨む。

 

 

「すずかちゃんが吸血鬼だろうと何だろうと、すずかちゃんは僕の友達なんです!!」

 

 

「エミルくん・・・」

 

 

すずかは唖然した表情でエミルの名前を呟く。

 

 

「エミルの言う通りよ!すずか!アンタは私やエミル、なのはやアリスのれっきとした友達よ!」

 

 

アリサは立ち上がって感情をぶちまける様にすずかに叫び続ける。

 

 

「アリサちゃん・・・エミルくん・・・」

 

 

すずかは涙を流しながら、アリサとエミルの名前を呟く。

 

 

「それに、化け物と言うなら貴方の方が化け物だ!」

 

 

エミルは男を指さす。

 

 

「貴方はお金さえ貰えれば人殺しも躊躇わない。何の感情も無く人を殺せる・・・。そんな貴方に、すずかちゃんを化け物呼ばわりする筋合いはない!!」

 

 

エミルはきっぱりと言い切った。

 

 

「ぐぬぬ・・・黙って聞いていれば好き勝手言いやがって・・・!!」

 

 

男は怒りで体が震えている。

 

 

「殺してやるっ!お前ら全員まとめて皆殺しだっ!!」

 

 

男は躊躇なくエミルに向けて銃弾を放つ。

 

 

「イース!」

 

 

「イエス、マスター!」

 

 

イースを起動させ、紅色の刀を右手に掴み、カンッ!カンッ!カンッ!と放たれた弾丸を弾く。

 

 

「く、くそがっ!!」

 

 

男はがむしゃらに銃弾を連射するが、エミルはそれを全て弾く。

 

 

「これで、終わりですね・・・」

 

 

「ひ・・・ひぃぃ!!」

 

 

このままでは自分が殺される。そう思い、男は逃げようとする。

 

 

「逃がさない!」

 

 

僕は刀を下に降ろし闘気を溜め

 

 

「ジェノサイド・・・」

 

 

「ブレイバーーーーー!!」

 

 

刀を振り上げ、巨大な波動を放つ。

 

 

ズドドドドォ!と放たれた波動は、男を飲み込み倉庫に巨大な穴を開けた。

 

 

「「・・・・・えっ?」」

 

 

その穴を見たすずかとアリサは唖然とした表情をする。

 

 

「マスター、お疲れ様です。」

 

 

「うん・・・と、それよりも・・・」

 

 

僕は唖然としている二人の元に行き、ポンッと頭に手を置く。

 

 

「えっ・・・?」

 

 

「エミルくん・・・?」

 

 

「もう大丈夫だよ・・・」

 

 

そう言ってエミルは、二人の頭を優しく微笑みながら撫でる。

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ・・・恐かったよぉ・・・ 」

 

 

「ひっくひっく・・・グスッ・・・」

 

 

二人は緊張の糸が切れた様にエミルの胸に飛び込み泣き叫ぶ。

 

 

「うんうん・・・もう大丈夫だよ・・・ 」

 

 

しばらく二人はエミルの胸の中で泣き続けた。

 

 

「「///////////」」

 

 

ようやく泣き止んだ二人は、自分たちがエミルに抱きついていたと言う事を思い出し、顔を真っ赤にする。

 

 

う~ん、やっぱり顔が赤い・・・風邪?

 

 

『出ましたね。マスターの無自覚スキルの1つ『鈍感』が。』

 

 

イースがまた、訳わからない話をし出した。・・・とりあえず無視しよう。

 

 

僕はイースの話を聞く前に念話を切った。すると、倉庫の入り口から見覚えのある人達がやって来た。

 

 

「すずかっ!!」

 

 

すずかちゃんの名前を呼ぶのは、月村家の長女ですずかちゃんのお姉さんの忍さんだ。

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

 

すずかちゃんは、パアッと顔を明るくさせ忍さんの元へ走る。

 

 

「アリサお嬢様!」

 

 

「鮫島!!」

 

 

アリサちゃんを呼んだのは、執事の鮫島さんだった。鮫島さんの顔を確認したアリサは立ち上がって鮫島さんの元へ行く。

 

 

ふぅ・・・二人とも無事で良かった。

 

 

「エミルくん。」

 

 

「ん?」

 

 

名前が呼ばれたので後ろを向くと、なのはちゃんのお兄さんの恭也さんが居た。恭也さんとは、たまに翠屋に行く時に試合(恭也さんに強制的に)をしている。

 

 

「あ、恭也さん。」

 

 

「大丈夫だった・・・っ!その傷はどうしたんだ?」

 

 

恭也さんは、銃弾で貫かれて血が出ている僕の肩を見てそう言った。

 

 

「あ、これぐらい大丈夫ですよ。」

 

 

僕はそう言って、恭也さんに見られないように傷口を押さえながら回復魔法を使う。

 

 

「ふむ・・・そうか。それよりもあれは君がやったのか?」

 

 

恭也さんは、倉庫に巨大な穴が空いている場所を指さした。

 

 

「あ、あはは・・・。そうです・・・。」

 

 

いやぁ・・・やり過ぎたかな・・・

 

 

「そうか・・・。まぁ、色々聞きたい事はあるが、忍が呼んでいる。エミルくんもついてきてくれ。」

 

 

「あ、はい。」

 

 

僕と恭也さんは、忍さん達の所に向かう。

 

 

「貴方がエミルくんかしら?」

 

 

「あ、はい。僕がエミルです。」

 

 

「すずかを助けてくれて本当にありがとう。」

 

 

「私からもお礼を申し上げます。アリサ様を救って頂き本当にありがとうございました。」

 

 

忍さんと、鮫島さんは揃って頭を下げてくる。

 

 

「それで、何かお礼がしたいのだけど・・・」

 

 

「いえ、気にしないで下さい。僕はすずかちゃんとアリサちゃんが無事だった事だけで、もう十分です。」

 

 

「!?」

 

 

僕のその言葉を聞くと、忍さんが驚いた顔をしている。

 

 

「ん、どうしたんですか?」

 

 

「いえ、エミルくんと話しているとなんだか同年代の人と話している様に思えてきて・・・」

 

 

うっ・・・確かに精神年齢は20歳だけど・・・

 

 

「き、気のせいじゃないデスカ?」

 

 

何故か最後だけ、片言になってしまった。

 

 

「本当に?」

 

 

それを見て忍さんは、顔をズイッと近づけて疑ってくる。

 

 

「うっ、あの・・・。その・・・この話は後日話すと言う事でどうですか・・・?」

 

 

「そうね・・・そうしましょうか。」

 

 

「では、話は後日家に集まって聞こうか。」

 

 

恭也さんはそう提案してくる。

 

 

「わかりました。では、僕はこれで・・・」

 

 

僕が倉庫を出ようとすると

 

 

「「エミル(エミルくん)待って!!」」

 

 

アリサちゃんとすずかちゃんに裾を掴まれて止められた。

 

 

ん、どうしたんだろう?

 

 

名前を呼ばれたので後ろを振り向くと・・・

 

 

チュッ

 

 

僕の両頬に何やら柔らかい感触を感じた。

 

 

「・・・へっ?」

 

 

「ありがとねエミル///」

 

 

「かっこ良かったよ///」

 

 

ちょっぴり顔を赤くして、笑顔で話す二人は何故か凄く満足そうで、先程まで泣いていたのが嘘の様だった。

 

 

『アリサさんとすずかさん・・・なかなかやりますね!これは、面白い事になりそうです♪』

 

 

イースは密かに修羅場が起こる事を期待していた。

 

 

「うっ///その///えっと///・・・」

 

 

一方、エミルは二人にされた事を思い出し、羞恥心で顔が真っ赤に染まっていた。

 

 

それを見て、後ろの大人たちは微笑んでいる。

 

 

「あ、あの///さ、さようなら!!」

 

 

エミルは居たたまれなくなり、その場から走り出していった。

 

 

「帰っちゃったわね。」

 

 

「うん・・・少し残念かな。」

 

 

二人はエミルが出ていった倉庫の入り口を眺めながらそう呟く。

 

 

「ねぇ、すずか?」

 

 

「なぁに?アリサちゃん。」

 

 

「私ね、あいつのこと好きになったかも///」

 

 

「ア、アリサちゃん!?」

 

 

顔を真っ赤にして、突然爆弾発言をするアリサにすずかは驚く。

 

 

「嘘じゃないわよ?あいつ、すぐに私達を助けに来てくれたし・・・それに私達の事が大切な友達だって言ってくれたし///それにあいつの笑った顔、その///格好いいし///」

 

 

アリサは首まで真っ赤にしている。

 

 

「あのねアリサちゃん・・・私もエミルくんの事が好きになっちゃったの///」

 

 

そんなアリサを見てすずかも決意した表情になり、アリサ同様爆弾発言をする。

 

 

「やっぱりすずかも?」

 

 

「うん///私が吸血鬼だって事がわかっても友達だって言ってくれたし///それにエミルくんの笑顔見てると・・・その///胸が高鳴るの///」

 

 

すずかは真っ赤になりながら告白する。

 

 

すずかの言葉を聞いたアリサも、満足そうに微笑む。

 

 

「そっか、じゃあ私達はライバルね♪」

 

 

「うん、それになのはちゃんやアリスちゃんともだね♪」

 

 

それは二人にとって初めての恋、だからこそその想いは強いのだろう。

 

 

「負けないわよ?」

 

 

「私だって♪」

 

 

ライバルになった筈の二人だが、その表情は驚く程明るくなっていた。

 

 

そんな二人を微笑みながら眺めている大人達は・・・

 

 

「エミル様・・・アリサお嬢様の事を頼みましたよ。」

 

 

「ふふ・・・すずか、頑張るのよ♪」

 

 

『エミルくん・・・頑張ってくれ・・・』

 

 

鮫島は、エミルにアリサを頼む事を決め、忍はすずかを応援し、恭也は心の中でエールをおくっていた。

 

 

どうも、作者のレヴィアタンです。

 

ようやく原作に入れそうです。

 

原作に入るのは後1~2話書いてから入る予定です。

 

 

 

それにしても・・・やっぱり、戦かうシーンを書くのは苦手です・・・

 

 

これからも頑張るので、よろしくお願いします。

 

 

 
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