No.559937

ジョジョの奇妙なスクールランブル、9話、秘密で不幸!お姉さんも不幸!スタンドで大不幸!?

市杜王町に住む東方仗助、虹村億泰はある日を境に空条承太郎からある高校に転入し、スタンド使いの捜査を頼まれることになる、杜王町から離れての高校生活に不安を抱える仗助はそこで一つの出会いを果たしてしまった、そうそれはスタンド使い同士が引き合うような運命のように…


ラブコメにジョジョという無茶な設定ではありますが楽しんでいただけたらなとおもいます

2013-03-28 00:47:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2966   閲覧ユーザー数:2919

 

 

仗助と八雲が幽霊の少女と出会った神社の一件から数日が経つ

 

 

 

仗助は土砂降りの雨が降る公園で傘を差さないまま、一人でひたすらその身体を雨粒の中に晒していた…

 

 

 

色々考えて、気を紛らわす為に杜王町に居た時に自分が嫌いだったあの野郎の真似をして学校をサボって何かに取り付かれたようにスタンドを使って部屋に籠って天満と自分の漫画を描いてみたり、まぁ、その時に編集者に持っていったら好評だったのにも関わらず彼に遭遇しそうになったために途中で逃げ出してしまったが

 

 

八つ当たりの為に人を困らせていたチンピラをブッ飛ばしたりしてはみたが、その気は晴れるどころか余計に自分がみっともなくみえてしまった、人助けは別にいいのだがやり過ぎたせいで気が付いて我に返った時には周りの人は自分にドン引き

 

 

 

やることなすことがどうもあの日以来、すべて裏目に出てしまう

 

 

 

仗助は何故こうなってしまったのか、ふと、数日前のあの神社に八雲を連れ出した日の事について思い出すことにした

 

 

 

あれから、天満の家に帰ってきた仗助は八雲に事の事情を説明してくれるように頼み、自分と億泰が所謂、能力者スタンド使いであることを彼女たちに一から全て説明した、

 

 

幽霊の少女の能力のおかげか彼女たちにはその仗助の能力であるクレイジーDをその眼で各自に確認してもらい(※五話で下ネタを喋った億泰は高野から後頭部を殴られ気絶させられている)、

 

 

 

なぜ、自分たちが春にこの町に来たのか、女性失踪事件の犯人がこの町に潜伏していることを包み隠さずに教えた

 

 

 

恐らく、一般人である彼女たちにこのスタンド使いの事について教えるというのは本当なら彼らを捜査の為に転校に力を貸した空条承太郎が嫌がるであろうが、殺人犯がこの町にいる以上何かしらの手を先に打っておければといった仗助のこの町で起こっていることを何も知らない彼女らに対するせめてもの計らいだった

 

 

 

自分がしたスタンドや能力の話を聞いた周防と沢近は目の前の非現実に多少、戸惑いながらもそのことについて受け入れてくれた、彼女たち的にも自分たちが転入当初からそんな破天荒な空気があったと口を揃えて応えてきた、

 

 

 

ちなみに仗助が転入初日に沢近の服が破れたのは大体、自分と億泰のせいだと暴露すると、顔を真っ赤にした彼女からシャイニングウィザードを気絶している億泰の代わりに仗助がお見舞いされたのは余談である。

 

 

 

だが、問題は天満であった、彼女は仗助のスタンドと言うものを見たとたんにすぐさま、嫌悪感を示したのだ、そうそれはまるで何かに怯えるかのように…

 

 

 

そんな彼女は、すぐさま仗助と気絶した億泰を指でさしてこの家から出て行けとはっきりとその場にいる全員に聞こえるように罵倒してきた

 

 

 

「出てってぇ!!そんなもの私に見せないで!!」

 

 

 

そういって怒鳴る彼女は物凄く震えていた、自分の事を包み隠さず話した仗助は唖然とするしかなかった、いつも笑う彼女の面影はそこにはない怯え小さくなり明確な拒絶を示す女の子だけがそこにはいた

 

 

まさか、自分が好きだった筈の女の子が、自分が持つこの力を見て恐がり今すぐ視界から消えろと言って来てくるとは思いもよらなかった

 

 

 

仗助は気絶した億泰を担ぎ上げると、彼女に何も告げないまま玄関の扉を開き塚本宅から周防達を残して黙って出て行った、その足取りはとても重く、彼の表情は好きな人から拒絶されたショックでとても暗く見えた

 

 

 

 

 

そして…、数日後の現在へ戻る

 

 

 

仗助のトレードマークであるはずのリーゼントは雨に濡れて乱れ、下に落ちその形は原型を留めておらず、パッと見たら彼を知っている人間ならまず仗助だとは気付かないぐらいに酷いものになっている、

 

 

 

そう、そこにいるのはただ公園のブランコに雨に濡れる悲しい目をした一人の美形の青年である

 

 

 

そんな仗助は自分はなんで彼女にこのことを打ち明けてしまったんだろうと深く後悔していた、

 

 

別にスタンドの事を知らせないでも自分が守ってやれば済む話ではなかったではないか、彼女は自分が持つこのスタンドを見たときにあんなに怯えていた!!彼女は過去に何者かのスタンドによるトラウマがあったんじゃないのか!

 

 

 

自分はそういった配慮をしてなかった、だから好きな塚本天満に怖い思いをさせてしまい、自分どころか気絶していた億泰さえも巻き込んで嫌われてしまった

 

 

 

我を返り見ても今の自分はなんとみっともない姿だろうと思う、けれどやり場のない気持ちはこうして雨に打たれてた方が頭が冷えるだろうと仗助は思った

 

 

 

だが、そんな時だった、自分に降り注いでいた筈の雨がピタリと止まった、周りには雨の降り注ぐ音は聞こえるのにだ

 

 

 

仗助はふと、そこで少しだけ顔を上げてみる

 

 

 

顔を少しだけ上げた彼の視線の先、そこにいたのは濡れないようにわざわざ自分に傘を差しだして防いでいる、大人な物腰をしたとても綺麗で美人のお姉さんであった

 

 

雨でずぶ濡れになった仗助に雨にこれ以上濡れないようにと傘を差し出してくる優しいお姉さんは微笑みながら彼にこう告げる

 

 

 

「ねぇ貴方 なにしてるのこんなトコで?」

 

 

 

なんだか、そういって傘で仗助を雨から防ぐ彼女はうっすらと頬が赤らめていた、多分、少しだけお酒でも飲んでいるのだろう、口元からほのかにアルコールの匂いがする

 

 

雨でぬれて精神的に参っていたのか、それとも誰か打ち明けられる相手が丁度、欲しかったのか仗助はそんな彼女にうっすらと自分の心の内を溢すようにやさしい彼女に話し始めた

 

 

 

「…好きな子にね、自分内緒にしてたことを打ち明けて話したんっスよ、そしたらね俺の友人も巻き込んじまって…その娘から嫌われちまったんッス…巻き込まないようにって思って隠してた事なんですけど…その娘がそれを知って怖がって拒絶されて…」

 

 

 

仗助は自嘲気味に笑みを溢し、彼女に対して話を続けるそれは本当に自分を責めてどうしようもないやり場に困った感情を表したものであった

 

 

 

「それで、漫画を描いて、少しだけ有名になってやろうとか、考えてね、馬鹿っスよね? そんでもっていつか昔、好きだったあの娘が偶然その本を本屋の片隅にでも見つけて、手に取って「変なの」ってほんの少し笑ってくれたらなって考えたりしたんっス」

 

 

 

「あら…よく見たらずいぶん若いんだ 家出?」

 

 

 

 

仗助の言葉を聞きながらその大人のお姉さんは優しく微笑みながらそう彼に訪ねた、しっとりと微かに濡れた彼女の髪はどこか色っぽくその容姿や物腰を際立たせていた、これがいわゆる大人の余裕と言うやつだろう

 

 

しかしながら、仗助はそんな彼女の質問に沈黙で返す

 

 

 

彼女はそんな濡れたまま沈黙する仗助の頬にそっと手を添えて撫でて、じっくりと仗助の顔を見つめてからこう感想を述べた

 

 

 

「オマケに男前…綺麗な顔してるのね…」

 

 

 

彼女はそう言うとブランコに座っている仗助に手を差し伸べた、某殺人鬼が見たら喜んで飛び込んできそうなそんな細くて綺麗な手であった、彼女は仗助に自分も仗助の抱いてる気持ちが共感できるといった優しげな表情を見せていた

 

 

 

「……カゼひくよ……、行くとこないんだよね なんとなくわかるわ、…ウチ 来なよ、私のベット貸してあげる えっと…君…名前は?」

 

 

 

そういって首を可愛らしく傾げて仗助の名前を訪ねる彼女、対する仗助はふう、と一息溜息を吐き自分の名前を彼女にゆっくりと話始める

 

 

 

「ジョジョ…親しい奴は俺の事をそう呼びます」

 

 

 

仗助はそういって彼女に微笑み返した、それはこんなトコで雨で一人に打たれている馬鹿野郎にわざわざ付き合ってくれたお姉さんに対する感謝の気持ちを込めた仗助なりの精一杯のお返しだった…

 

 

 

 

それから、しばらくして、

 

 

公園で雨が降りしきる中、お姉さんに拾われた仗助は彼女に連れられて自宅であるマンションまで連れてこられた、彼女はマンションのカギを開けて中に入る際に仗助にポツリと自分自身の境遇を溢し話始める

 

 

 

「…ホント言うとね あなたを見たときにピンときちゃったんだ、 「ああ、私と一緒なんだ」って」

 

 

 

そういって鍵穴にカギを突っ込み回す彼女、その語る後ろ姿は暗く、それを後ろから見ていた仗助はなんともいえない表情を浮かべていた

 

 

 

彼女は公園で雨に打たれていた自分に自分の姿を重ねていたのだと、おそらく彼女も自分に合う前に何かしら辛いことがあったのだろうと仗助は心の内で察した

 

 

 

そうして、そんな彼女は自分に何があったのかを仗助に話し出す

 

 

 

「…私もね フラれちゃったの つい…さっき…」

 

 

 

仗助にそう語る彼女は健気に振り返り微笑みながらそういった、そして、自分は君を拾ったんだよと正直に全て語る、笑ってはいるがその微笑みは何処か崩れそうで仗助には彼女が自分に心配かけまいと気丈に振る舞ってるように見えた

 

 

 

今夜は一緒に飲もう!と言って家に招き入れてくれる彼女、仗助はその彼女の言葉に甘えてその部屋にゆっくりと足を踏み入れる

 

 

 

彼女の部屋に足を踏み入れた仗助は女性の部屋ってこんなに綺麗なものなのかと、つい感心してしまった、

 

 

まぁ、とは言っても同居人の絃子の部屋もこんな風だった事を仗助は思い出す、あの人は自分の母親同様におっかないが、なぜだか部屋は綺麗だし整理整頓もしっかりできている 女性とはそういう割り切った生き物なんだと、仗助はこの時理解した

 

 

しかしながら、たまに気付かない内に自分の部屋の布団の中に紛れ込むのはやめてほしいと切に思う、あれは胃に悪い、自分が下手に動いたら朝一モデルガンは割に合わないと未だに感じる

 

 

しばらくすると、雨に濡れたからシャワーを浴びてくると言っていた彼女がタオルで濡れた髪を拭きながら現れた、色っぽいその仕草はとても刺激的なものがあり並みの男子高校生なら最早、眼福と歓喜することだろう

 

 

だが、そこは流石仗助、シャワー上がりの彼女に気付くとすぐさま礼儀正しく頭を下げて今日自分の事を家に招いたことについてお礼を述べた

 

 

 

「今日は情けない姿の自分を招いてくれて本当にありがとうございます……改めてッスけど…」

 

 

 

「いいのよーそんなに固くならなくても、ここにいる間は自分の家と思ってくれてもいいのよ、ジョジョ」

 

 

 

彼女はそういうと、冷蔵庫を開けてお酒をとりだし始める、今月ピンチだとか呟いていた彼女はビールが無いので発泡酒を二缶ほど取り出し仗助の前にコトンと置いた

 

 

仗助は未成年なのだが別に承太郎や付き合いで絃子などと偶にお酒は口にしていたためにそこまで嫌がる理由もない、彼女の好意でもあるため仗助はお酒が飲めない素振りも見せずにお姉さんが差し出した発泡酒を手に取った

 

 

 

「あ、未成年なのにお酒飲んじゃうんだぁ」

 

 

 

「…嗜む程度なら問題ねーっスよ…」

 

 

 

悪いんだー、と指摘してくるお姉さんを他所に仗助は発泡酒の缶の蓋を開けてアルコールを含んだそれを一気に喉にと流し込む、嗜む程度とは一体なんだったのか…お姉さんはそんな仗助の姿を微笑ましそうに眺めていた

 

 

 

それからしばらくして、仗助に対してお姉さんはふと何があったのか訪ねてきた、あんな雨の中でずぶ濡れになるほどのことだと気にかけての事だろう

 

 

 

そんな仗助はスタンドの事は伏せて彼女に何があったのか全部話した、自分が好きな女の子にどんな事をしてしまったのか、取り返しのつかないことを彼女に自分がしてしまったのを全て彼女に告白した

 

 

 

「…そう、そんなことが…」

 

 

 

「自分は別に嫌われてもよかったんっス、でも、億…ダチまで巻き込んで、んでもって彼女に怖い思いまでさせちまった…そんな自分が許せなかったんッス、謝るにも彼女に合わす顔が無くて…でも、まぁ…」

 

 

 

仗助はそうひとしきり彼女に話し終えると、どこか、吹っ切れたのか先ほどの暗い顔は何処にやら、いつものような能天気な表情を浮かべた、

 

 

 

くよくよとこんな風に一人の女性に話したことで秘密を教えた天満に対してなにかしらの思いができたのだろう

 

 

 

「…お姉さんのお蔭で吹っ切れました、結局、切っ掛けが欲しかっただけだったみたいっス」

 

 

 

「…そうなんだ、君強いんだね、でもね、恋は一つだけじゃないんだよ…ここにもほら」

 

 

 

そういって、笑みを浮かべる仗助に自分の身を乗り出して色っぽい口調でそう告げるお姉さん、彼女は天満に報われない仗助のやり方を察したのだろう切なそうな表情を浮かべて彼の顔を真っ直ぐに見つめていた

 

 

まぁ、これも年頃の男子高校生には刺激が強すぎる事なのだが、さすが色々と免疫がある仗助はそれらとは全く違い目を丸くしながら身を乗り出してきた彼女を見つめる

 

 

 

仗助はここでふと、思い出す、そういえばお酒を一緒に飲んでいるのにも関わらず自分のことしかさっきから話してはなかっただろうか、彼女の抱えた物に対して自分は何もしてやれていない

 

 

そんな大事な事を思い出した仗助は身を乗り出してきた彼女の頬にそっと手を添えながら優しく微笑みこう言った

 

 

 

「…おねえさんは…黄金の精神ってぇ奴を知ってますか?」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

仗助から急に頬を触れられて更に言葉を投げかけられた彼女は眼をまん丸くしていた、彼が言う黄金の精神というのはその意味も知らない彼女にとっては聞いたこともない言葉だった、

 

 

 

仗助はそんな彼女の反応を見て淡々とそのことについて語り始める

 

 

 

「それはね、俺のジジイのまぁ、親父にあたる人の受け売りなんッスけど…恐怖を克服し立ち向かう勇気、そして、大切な人々を思いやる優しさの心そういったものを含めてそう呼んでるんです、俺はね 例え、自分が好きな人と付き合うことができなかったとしても、その俺の好きだったって意思を示した過程が大事なんだと思うんッスよ、結果じゃあなくてね…そういった過程は今の貴女の中にもあるし、それはとても大事なことだったんだなと思いますよ?…」

 

 

 

「…ジョジョ…」

 

 

 

仗助はそういって、彼女の頭を軽く撫でたその髪はシャワーを浴びたせいかほのかにシャンプーの匂いが漂い、そしてとても柔らかかった

 

 

 

彼女は何だかここで自分がため込んできたことが吐き出そうになった、同時に仗助の話を聞いてこの歳なのになんて出来た青年なんだろうとも思った、気持ちが例え通じ合わなくても過程が大事だと無駄な恋なんかじゃなかったとこの青年は自分に教えてくれた

 

 

 

気が付くと、彼女は仗助の腕の中で涙を溢していた辛い思いも今なら仗助が受け止めてくれるとそう感じて

 

 

 

雨が降りしきっているが、今は夜

 

 

静かに青年の胸の中で一人の女の人の涙を啜る声がまるで夜に降る雨の様に部屋で流れ落ちていた

 

 

 

 

………TO BE CONTINUED

 


 
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