益州を守れ! 袁紹軍怒りの大進撃 Bパート
幽州 夜 何も知らない白蓮は就寝していると、何やら外が騒がしくなり
そしてまだ夜のはずなのに、明るくなってきた事に気づき、目を覚ます。
(ワーッ!ワーッ!ワーッ!)
白蓮
「う、う~ん? 何だ? まだ夜のはずなのに・・・・なんでこんなに明
るいんだ? それにやけに外が騒がしい上に暑いな・・・」
外の様子が気になった白蓮は窓を開けてみると
(ガラリッ・・・)
白蓮
「・・・・へっ?・・・え、えええええええっ!?」
何と袁紹の軍が自分の城に一斉に火矢を放ち、そして自分の兵士達が
袁紹軍と戦っていたのだ。辺りには、屍と化した袁紹軍、公孫賛軍の兵士が
転がっている。
そして外では火の海と化した街の中を自分の国の民が必死に逃げていた。
白蓮
「な、何なんだこれはっ!? 私の幽州が火の海にっ!?」
白蓮は驚きながらも、とりあえず袁紹軍ならどこかに袁紹がいるはずだ
と思い、袁紹を探すとすぐに中心にいるのを見つけた。
そして中心にいた麗羽がこう叫ぶ。よく見ると麗羽と部下達は顔に怪我を
しているようであった。
白蓮
「袁紹っ・・・侵略が目的か!? いや、それよりも袁紹達の
あの怪我は一体?」
麗羽
「出てきなさい公孫賛さん! これだけ火矢を放ってもまだ出てこないつも
りですの!♯」
猪々子
「もっと火矢を放て! 必ず公孫賛を引きずり出すんだ!」
「うおおおおおっ!♯」
猪々子の合図で袁紹の兵士はさらに弓矢を放った。
白蓮
「(狙いは私か! 何故っ袁紹がこんなことをっ!)」
白蓮は状況が良く分からないがこれ以上袁紹軍に好き勝手にさせるわ
けにはいかない。
そう思う彼女は着替えて武器を持って外に出ると、兵士にこう呼び止められる。
「公孫賛様! お目覚めになられたんですね!?」
白蓮
「ああっ! これだけ騒がしければ誰だって起きるっ!
状況はどうなっている!?」
「はっ! 袁紹軍は突如我が国の領土に侵入したとの同時に、城に火矢を
放っている模様です」
白蓮
「見れば分かる 民はどうした!?」
「現在一部の兵が安全な場所まで避難させています。ですが、奴ら他の家屋と民に目をつけることなくこの城へ集中的に攻撃を行っております! 恐らく侵略が目的ではないと思います」
白蓮
「やはり狙いは私の命か!? 侵略が目的でないなら何故!?」
白蓮には自分の城がここまでされる覚えがなかった。
袁紹とは仲が悪いが、城に火をつけられるほどそんなに悪くなかったはずだ。
それもそのはず。白蓮はゾルが自分に変装し、袁紹達を暴行して、その矛先
を自分に向けたことを知らないのだ。
白蓮
「とにかく袁紹の目的が私なら出ない訳にはいかない。出なかったら
痺れを切らしたあいつは私の民にも危害を加えかねん!」
白蓮はそういうと火がついた通路を兵士達と共に走りながら、袁紹
の元へと向かっていった。
白蓮
「止めろ袁紹! これ以上の横暴は許さんぞ!」
白蓮が出てくると、袁紹は突如・・・
麗羽
「あらっ?・・・・・攻撃止めっ!」
麗羽はそういうと兵士達は城への攻撃を止め、そして・・・
麗羽
「フフフフフ・・・」
白蓮
「?」
突如麗羽は、不気味に笑い出しそして・・・
麗羽
「お~ほっほっほっ! やって出てきましたわね!
貧乏普通領主!」
といった。
白蓮
「なっ!? 誰が貧乏普通領主だ!」
麗羽
「貴方以外に誰がいますの!」
白蓮
「それよりも何故こんな事をするんだ!?」
(ピキッ!)
麗羽
「こ・ん・な・こ・と・・・・?♯」
白蓮はまるで何も知らないかのように麗羽にこう言った。
実際、麗羽が白蓮に変装したゾルに酷い目に合わされていたが、その事を
知らなかったのだ。
だが、その言葉は騙されたと知らない袁紹の怒りをさらに大きくしてしまう。
麗羽
「惚けるんじゃありませんわよこの逆賊が!♯」
白蓮
「はっ? 逆賊? 何の事だっ?」
白蓮は麗羽が突如訳の分からないことを言い出したので、困惑した顔
を見せる。
麗羽
「昼、私の城に侵入して、私とこの子達を暴行して酷い目に合わせた本人が何を
いいますの!♯」
白蓮
「えっ?」
猪々子
「お前は白馬に乗って城に乗り込んでアタイラを半殺し
にしただろうが!♯」
斗詩
「見損ないましたよ公孫賛さん! 猪々子と麗羽様、そして私を傷つけた貴方だけは絶対に許しません!♯」
どうやら彼女達の怪我はその暴行が元の様だ。
だが白蓮には心当たりがない。茶屋から帰った後彼女はずっと執務室で仕事を
していたのだから。
白蓮
「ちょっ! ちょっと待ってくれ! それは何かの間違いだ! 私が何の
非も無い人間を傷つける訳がないだろ!」
白蓮は麗羽にそういう。実際、袁紹こと麗羽の事は余り好きではないが
彼女は対して悪い人間でもなかった。
故に白蓮には麗羽を傷つける理由はどこにもなかったのだ。
しかし・・・・
麗羽
「惚けないでいただけます!? 『私の顔をよ~く覚えておくのだな 家柄だけの無能人領主』っていったのはどこのどなたですの!?♯」
猪々子
「それに白馬に乗って攻め込んでくる奴は『白馬将軍』を自称しているアンタぐらいのモンだろうが!♯」
斗詩
「それに私達以外にも、貴方に酷い目に合わされた人間は他にもいますよ!
まだ言い逃れをするつもりですか!♯」
彼女達は怒り心頭で白蓮の言葉が届いていない。
白蓮
「なっ!?」
白蓮はこれを聞いた時、ある事が推測できた。
彼女達を傷つけたのは自分に化けた何者かで、袁紹に幽州を攻めさせるために
彼女達を暴行したこと。
しかし、執務室におり、そして何者かが白馬まで使っていた事から自分の濡れ衣を
証明する方法がこの状況では見つける事はできそうにない。
いや、彼女達は怒り心頭の状態であり、自分の言葉を聞く耳を持っていそうでない。
そして、もし闘えば、誤解を晴らす事ができなくなってしまうだろう。
そう考えた彼女は武人としては非常に不本意であったが、
白蓮
「くっ!」
(シュン!)
逃げる事を選択した。
麗羽
「なっ!?」
猪々子
「逃げやがった!」
麗羽
「逃がしませんわよ公孫賛さん! 追いなさい!逆賊公孫賛の首を取
ったものにはそれなりの賞金を出しますわ!♯」
それを聞いた袁紹の兵士達は
「うおおおおおおおっ!♯」
士気が上がったと共に、怒りに身を任せ公孫賛を追っていった。
白蓮
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
白蓮は必死に愛馬のいる馬小屋まで走った。
民がほとんど避難した今、もうこの国には自分の兵と自分しかいないだろう。
兵士達が僅かでも袁紹の軍を足止めしている間に逃げなくてはならない。
そして何としても、袁紹の誤解を解く方法を見つけなければならない。
後一歩、馬小屋まで近づいたその時
(ビュン!ビュン!)
白蓮
「ッ!!」
(カカカッ!)
間一髪最初の弓矢を避けたが、
(ドスッ!)
白蓮
「うっ!」
弓矢が左腕に命中してしまう。かすっただけだが皮膚が切り裂かれ、
矢がかすった所からはかなり出血をしており赤い血が左腕から流れ落ちていった。
白蓮
「ぎゃああああああああっ!」
余りの激痛に白蓮は悲鳴を上げた。
痛みを堪えるために、しゃがみこんだその時、袁紹の兵士についに追い
詰められてしまう。
「逃がさんぞ公孫賛! 我らが主君袁紹様が貴様から受けた痛
みを思い知れ!♯」
白蓮
「ま、待てっ! 袁紹達を暴行したのは私ではない! 私はずっとこ
の幽州にいたんだ!話を聞いてくれ!」
「黙れ! 我らの兵も貴様に酷い目に合わされたのだ!♯」
「証人が山ほどいるのにまだシラを切る気か!♯」
「そして貴様が逃げたのが、袁紹様達を暴行した何よりの証拠だ!♯」
兵士達も公孫賛に対する怒りで、白蓮の言葉が聞こえていなかった。
白蓮
「あ、あああっ・・・・」
もはや、白蓮にはどうすることも出来ない。
左腕の激痛で動けそうでない。
ただ、そこにしゃがりこむしかなかった。
そしてある兵士が抜刀し、白蓮に向けると
「公孫賛!覚悟おおおおおおっ!」
白蓮
「くっ!」
勢いよく剣を白蓮に振り下ろして来て、死を覚悟した白蓮は思わず
目をつぶると
(カカカッ!)
「ぐはあっ!」
「ぎゃあ!」
弓矢が命中した音がしたのと同時に袁紹の兵士が次々と倒れ、
そして自分の前の自分の兵士達が二人立っていた。
????
「公孫賛様!お逃げ下さい! 貴方が死んだらこの国はお終いです!」
白蓮
「い、いや、しかし・・・」
?????
「益州まで逃げて下さい! そこには劉備様と御遣い様がおられるはずです!
お力を求めるのです!」
????
「誤解といえど、これ以上袁紹の好き勝手にさせていいのですか!?
罪のない民が多く死にますよ! 袁紹を止めるためにも、速く益州まで
逃げて下さい!」
白蓮
「くっ!・・・・・・・・・・分かった」
白蓮はそういうと腕の痛みを堪えながら、馬小屋まで走り、そして愛馬に乗ると
白蓮
「行くぞっ! 我が愛馬よ!」
(ヒヒ~ン!)
白蓮が乗った愛馬は勢いよく馬小屋から飛び出し、そして外の方へと向か
っていった。
「クソっ! 逃げられた! 追え! 追うんだ!」
「おおおおっ!」
袁紹が追うとしたとき、二人の兵士が白蓮が去って行った方に立つ。
????
「ここから先は通さんぞ・・・」
?????
「どうしてもここを通りたければ、俺達を倒すのだな!」
「そこをどけ!」
しかし、袁紹の兵はそれにも関わらず突っ込んできたため
?????
「地獄大使・・・・公孫賛は逃げ切りました そろそろ正体を
明かしましょう」
????
「そうだな・・・・・・フンッ!」
その男は突然腕を前に組んだのと同時にフナムシのような姿をして鞭を持った
男に変わった。
地獄大使
「ワハハハハハハッ!」
「なっ!?」
目の前の敵の姿が変わったので、袁紹軍は思わず立ち止まってしまう。
「き、貴様何者だ!?」
一人の兵士が訪ねると
地獄大使
「儂かね? 儂は地獄大使・・・・諸君を地獄へ案内する者だ」
「地獄・・・大使?」
地獄大使
「その通り。今から貴様らを処刑する。な~に心配するな 地獄までは
儂が案内してやる何せ儂は地獄大使だからな わははははははっ!」
「ふざけるな貴様っ!」
「貴様の様なふざけた格好の人間に我らがやられるとでも・・・」
一部の兵士は地獄大使に向かっていくが
地獄大使
「ふざくなっ!」
(バシッ!)
「ぎゃあ!」
(バシッ!)
「ぐわあっ!」
地獄大使の鞭で叩かれてしまう。
地獄大使
「フンッ! はあ! はあっ!」
「ぐえっ!」
またある兵士は左手のアイアンクローで動きを抑えられ、腹に膝蹴りをうけ
てしまう。
地獄大使
「はあっ!」
(バシッ!)
「ぎゃあ!」
そして次の兵士も鞭で叩かれてしまう。
「こ、こいつ 強い!」
袁紹の兵士は地獄大使の強さに怯み、後ずさりはじめる。
地獄大使
「ワハハハハッ! さあ、これより死刑を執行する・・・
アリイモラっ!」
地獄大使の指示が出ると
?????
「はっ!・・・・ギイイイイイイッ!」
腕をクロスさせると、鳴き声を出したのと同時にアリイモラになった。
「なっ!? 化け物っ!?」
アリイモラ
「俺の名はアリイモラだ! ギイイイイイイッ!」
「まさか、こいつ汜水関の時の化け物の仲間?」
アリイモラ
「その通り。馬鹿な奴らだ! 我々に利用されたとも知らないで
まんま作戦通りこの幽州を攻め落としてくれたな」
「利用?・・・・作戦?・・・ま、まさか袁紹様達を暴行し
たのは・・・」
その場にいた兵士達は目の前にいる怪人達は袁紹を暴行した犯人の仲間だと
分かるが
アリイモラ
「貴様らがそれ以上知る必要なない! 死ねええええっ!」
アリイモラは口から赤い液体を吐き、それがもろに袁紹の兵に命中してしまう。
「ぐわああああっ!」
赤い液が命中した兵士は苦しみながら、やがて倒れ
(ジュワアアアアア!)
溶けてしまった。
「あ、ああ・・・・あああ・・・」
運良く赤い液体に当たらなかった兵士は
「うわああああああっ!」
恐怖の余り、その場から逃げ出すも、殺戮を好む地獄大使が逃がすわけがない。
地獄大使
「逃がすかっ!」
そういうと地獄大使は円を描くように鞭を構え振り下ろした。
地獄大使
「フンッ!」
(バシッ!)
すると、地獄大使は煙に包まれその場から姿を消してしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・は、速く袁紹様に真実を伝えないと」
その時、兵士の近くから不気味な音が聞こえてくる。
(シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ・・・・)
「な、何だ!? この音はっ!?」
音は地面の下から聞こえてくる。何の音か確認するため思わず立ち止まったその時
ガラガランダ
「グワラアアアアアアアッ!」
突如下から、地獄大使の正体ガラガランダが姿を見せた。
「うわあああっ! 今度は蛇の化け物!?」
ガラガランダ
「このガラガランダからは逃げられはせんぞ! 死ねっ! ガラアアアアッ!」
ガラガランダは右手の鞭で相手の首を締め付け
「ぐ、ぐええええっ・・・」
首を強い力で締め付けられた兵士は力尽き、その場に倒れてしまう。
(ドサッ!)
ガラガランダ
「グワラアアアアッ! これで、事実を知った者はいなくなったな」
その時アリイモラがやってくる。
アリイモラ
「ガラガランダ・・・・公孫賛は予定通り益州に向かったとの戦闘員からの報告
が入りました。傷を負っているようですが、益州につくまでは何とか持つでしょう」
ガラガランダ
「グワラアアアアアアッ! よし今度は袁紹の兵士に化けて、公孫賛は益州に逃亡
もう追いつけないと報告するぞ」
アリイモラ
「はっ! では・・・・ギイイイイイイッ!」
ガラガランダ
「ガラアアアアアアアッ!」
アリイモラとガラガランダは腕をクロスさせると、今度は袁紹の兵士に化け
袁紹の元へと報告に向かった。
その頃、白蓮は白馬に乗って必死に益州に向かっていた。
白蓮
「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・」
矢がかすった傷は持っていた布をちぎり応急処置を施すが、
治療には傷を縫わなければならない。
早く治療しなければ命にも関わるだろう。
いや、それよりも今は逃げなければならなかった。
そう思う彼女は必死に白馬を走らせる。
そして燃えさかる幽州の地を振り返ってみると、火はさらに勢いよく
燃えており、まるで袁紹達の怒りそのものであるようにも思えた。
そして再び正面を見て益州まで向かっていった。
果たして白蓮は無事益州までたどり着けるのか!?
そして、袁紹達の誤解を解くことが出来るのか!?
(ル・ル・ル~ルルルルッ!『アイキャッチ 新一号&新二号』)
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
暗黒魔術師は麗羽と白蓮の仲の悪さを知り、それを利用して怨嗟の声を集める為にゾル大佐に白蓮に変装し麗羽達を暴行するよう指示する。そしてゾルは白蓮に変装し、麗羽のいる城に侵入すると麗羽、斗詩、猪々子に襲いかかった。 三人は抵抗するが、実力が違いすぎた為、一方的に暴行されてしまう。そして偽白蓮が去った後、麗羽は二人が暴行されたのを見て怒りにとらわれ何も知らない白蓮を討伐するため幽州へと向かうのであった。