No.547837 HighSchoolDevil×Devil/Zero&StayNight-EXTRE2013-02-23 19:27:26 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:2669 閲覧ユーザー数:2601 |
A hero, is a hero, and what does it
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番外編―第1話――Herald
ソーナ・シトリーと一戦が終わり――士郎はグレモリー家の一角でお茶を楽しみながら談笑していた
ちなみに、同じ部屋には小猫と朱乃さんがいた
「まぁ、そんな感じなのですよ」
「けど、士郎先輩の武器ってなかなかいわくつきなんですね」
「まぁ、ゆえに宝具なんですよ」
話しているのは士郎の宝具の由来だ――さっきまで、エクスカリバーや乖離剣の由来などを話していた。それにお茶を淹れたりもしている
それ以外にもいろいろな質問が飛んできたりしている。そんな中
「それで、士郎先輩って――その、あの、どうなんですか?」
「その話か…」
「その話って――もしかして?」
朱乃さんがいう
「えぇ、対戦前、アーシアにも聞かれましたよ」
「あらあら、やはり気になっているんでしょうね」
「気になっている・・・そんなに気になるもんなんですか?」
「「えぇ」」
二人が興味津々な目で見てくるから、話さざるを得ない状況になる
しかし、そんなところで
コンコン!!――部屋のドアがノックされる
「どうぞ~」
士郎が返事すると、その主が現れた、赤い長い髪の男性――サーゼクスルシファー魔王様である
「やぁ、士郎君?」
「あぁ、どうも、サーゼクス様、どうかされましたか?」
「単刀直入に言おう、魔王政府に来てくれるかな?」
その発言に小猫と朱乃さんは驚いていた
「――サーゼクス様、どうして?」
「まぁ、個人的な用事でさ・・・来れるかな?」
「えぇ、まぁ、しかし、アナタ様はどうしてこちらまで?」
そういうと、サーゼクスの顔が明るくなり
「久しぶりにグレイフィアとミリキャスの顔を見に来たのだよ」
「本音のところは?」
「休みたいから戻ってきた」
ズゴーー!!
士郎がずっこけた
「――さ、サーゼクス様…」
「まぁ、んじゃあ、頼むよ、士郎君」
「了解」
そういうと、士郎は外に向けて歩き出す。それと同時にサーゼクスから一枚の紙を受け取ると士郎は長丁場になると感じ、アルトリアとディルムッドの二人にこっちでの荷物を一応纏めさせる――その光景を見ていた小猫が話しかけてきた
「士郎先輩、悪いことしたんですか?」
「いや、悪いことはしてない――むしろ、これから仕事なのさ」
そういうと、荷物も纏め終わる。それと同時に部屋を出ようとした時
ギュッ!!
「小猫?」
「士郎先輩――あの時はありがとうございました」
少し涙声の小猫、士郎は少し抱きしめてやる
「――気にすることは無いさ、仲間だからな」
やさしく突き放す――それから、士郎はグレモリー家の入り口に向かって歩き出した
そして、現在グレモリー家本低前
「――すいません、士郎様」
「いえいえ、たまには休みというものは必要ですよ」
「しかし、ご迷惑をおかけしてばかりで、申し訳ありません」
付き添いの使用人が二、三人いる、ちなみに見送りに部長と部長のお母さんも来ていた
「それにしても、忙しいのね、士郎君も」
「まぁ」
部長のお母さんの言葉に苦笑いする士郎、今回グレモリー領を抜けて、魔王領の一角で中立地帯にある魔王政府庁舎にこれから向かうのだ――ちなみに、ここから魔王政府までは人間界の高速道路のようなものがあり、そこを走っていくことになる
「それで、こちらです」
渡されたのは魔王政府までの冥界高速道路の通行券、某高速道路の通行券と変わらない
「さて、行きますか――」
士郎の移動の足であるバイク、YAMAHA V-MAX custom verが現れた
そして乗ろうとした時
「――士郎様、少しよろしいでしょうか?」
「グレイフィアさん、どうかしましたか?」
「少しお時間ありますか?」
「えぇ、まぁ」
時計を見ると時間には余裕がある
「少し、このバイクを少し借りて良いですか」
「えぇ、どうかしましたか?」
「少し、整備不良かと思いまして、整備をさせていただいてもよろしいですか?」
それはうれしいことだった
「えぇ、お願いします」
そこにグレモリー家の使用人がたくさん現れ、そして小さなガレージみたいになり
士郎のバイクが修理とパーツの交換がされ始めた。どうやら人間界のバイクを魔力で強化して動かしていたから、エンジンがかなり劣化していた。それを人間界での燃料+魔力で動かせる冥界の専用の技術マルチエンジンに変えてもらった。それに伴い、エンジンオイルとかも交換してもらった。
それにしても、流石だと感服する士郎、修理開始してから約1時間でバイクが息を吹き返した
見た目は変わらないが――かなり性能が上がったと触れなくてもわかる
「士郎様――完了しました」
士郎は魔力を流す――それとともにメーターが動き始める、マルチエンジンが稼動し始めた。そして、風王結界をまとわせ、士郎はバイクにまたがる
「んじゃあ、行ってきます――部長」
「えぇ、戻ってきてらっしゃい」
「はい」
そういうとバイクのエンジンがよりいっそう唸りを上げ始める
Brrrr!!Brrrr!!
その音はまるで今か今かと獲物を狙っている狼のような声だ
「んじゃあ、行くぜ!!相棒!!」
そう叫んだ時、バイクのメータ部分にとある名前が表示されたV-Wolf
「ウルフ…たしかに、そういうのもありだな――んじゃあ、走りな!!ウルフ」
brrrr!!
叫び声のようなエンジン音とともに、バイクは一気にトップスピードまで加速し、走り始めた
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山岳地帯を抜け、一旦海岸沿いにでてそれからまた内陸部に入る――それから数分の後、町が見えてきた近づくにつれ民家みたいなものの数は増えていく――それから数分後、高層ビルの立ち並ぶ魔王政府直轄領に入る、そこも抜け――魔王政府庁舎ICを降りる、近くを走っていた電車の路線と平行して走り、それからすぐに魔王政府執務庁舎に到着した。
魔王政府庁舎はとても壮大なもので、どこぞの庁舎とは大違いなものだった
その姿は、キングダムセンターと似ているものであった。
それから、バイクを駐車場に止め、庁舎内部に入ろうとする。
「あの、少しよろしいでしょうか?」
中の警備員に止められた
「なにか?」
「えぇと、身分証明書か何かをお持ちですか?」
そういわれ、戸惑う士郎
「(――グレモリー眷属の丹羽士郎だって証明できるものか…)」
そういいながら、なにか証明できるものがあるか探していると、ポケットから先ほどのサーゼクス様からもらった一枚の紙が落ちる――そこには、サーゼクス様しかかけない専用のマークが書かれている裏にあった。とりあえず
「これでいいですか?」
とりあえず、警備員に見せるが
「ちょっと、それではお通しすることはできません、身元保証人の証明書が無ければここをお通しできません」
身元保証という壁が士郎の前に立ちふさがる
そんな中、和服というか侍のような服を着た大人の人がやってきた。
「あっ、いたいた」
そんな中、
「あっ、アナタ様は!!」
その人の姿を見て驚いている二人の警備員―― 一体誰なのだと思っていると、なにやらこちらを指差して話し始めていた。それから、その人に頭を下げている警備員、よほど偉い人なのだと見ていると、その人がこっちにやってきた。どうやら通してくれたみたいだ
「どうも~いや、はじめましてかな?士郎殿」
「こんにちわ、あのありがとうございます」
「いえいえ、先ほどグレイフィア殿から連絡を受けて頼まれたからね?」
「ってことは、サーゼクス様の?」
「そういうことさ、さて、君も時間が無いんじゃないか?」
「えぇ、まぁ」
「それなら、君なら飛行悪魔専用の通路を通っていくといい、ここをまっすぐ進んで二番目の通路を右に曲がると大きな吹き抜けにでる、そっから一気にいくといい」
「わかりました、ありがとうございます」
「達者でな――銀龍帝殿」
「はい」
そういうと、その人に礼を告げて別れた。時計を見ると時間が迫っていた――というか、30分くらい余裕はあるのだが
それから、士郎はいわれた方向に向けて走り出す――言われたとおり、まっすぐ進む。進みながら足元に
バサッ!!バサッ!!
士郎の悪魔でも堕天使でも天使でもない第3の翼が展開され、空中で跳躍体制をとり、空を蹴り上げると同時にまるでジェット機のように飛び出上がった
ビシュゥゥゥゥン!!
地上100階は地上から約700mのところにある
そこまで一気に飛び上がる士郎、ものの数分でそのフロアに到着した
そこは、東京新宿の普通のオフィスビルと変わらないところだった。その階の一角に今回の目的の部屋はある。その部屋目指して士郎は歩く
数分でその部屋に到着する
トントン――ドアをたたくと
「はいってどうぞ~」
明るい女の子?の声――しかも、どこかで聞いたことのある声だ
「失礼します」
お辞儀しながら入る士郎
「まったく、そんな堅くならなくていいよ士郎ちゃん☆」
部屋の中には初見で襲われそうになった魔王少女がいた
「――レヴィアたん」
「やっほー元気かな~」
と軽快なノリでジャンプしながら近づいてくる――それから
ムギュ!!突如として抱きついてくる――しかし、よろけることはなくそれを受け止める士郎
「おぉ~最初あった時は押し倒されたのに、頑丈になった~わーい」
子供のようにはしゃぐレヴィアたん、会長が見たら赤面してぶっ倒れる光景だろうと思っていると、その後ろで顧問であるアサゼル先生がものすごいこちらを驚いていた顔で見ていた事に対して士郎もかなり驚いた。
それから、とりあえず、抱きつきから開放される士郎、レヴィアたんに案内された席に座る。
「これで、そろったみたいね」
どうやら、今回の会議の面々は士郎とアサゼル、それにレヴィアたんの三人で行われるらしい
「まったく、誰がくると思ったらおめぇだったのか、士郎」
「こちらも、まさか先生がいるとは思ってもいませんでしたよ」
なんともいえない雰囲気が漂う――その空気を破ったのはレヴィアたんだった
「それで、サーゼクスちゃんが休みだから代わりに私が――「俺が説明する」」
レヴィアたんの言葉をさえぎったのはアサゼルだった、その行動に少し驚くものの理解するレヴィアたん
「あぁ、士郎、イギリス、知ってるな?」
「えぇ、知ってます」
「まぁ、単刀直入且つ具体的に話す――イギリスで悪魔と堕天使側が共同研究中だった魔術礼装"
「
「あぁ、別名は神器強化装置、あるいわ魔術回路増幅装置とでもったところかな、どちらにせよ生半可に使おうものなら都市が吹っ飛ぶ代物だ」
「――どうして、そんなものが・・・?つか、どこぞの不幸のダイヤに似た代物だな…」
「まぁな、先に進めるぞ、諸実験の為に一時的にイギリスに運び込まれ奪われた、そんで奪ったのは魔術結社――
「それで、イギリス清教は?」
「動いてないというのが現状だ――たぶん、やつらの目的は、大規模術式を動かそうとしていると俺たちはにらんでいるってわけだ」
「そこで、士郎君の出番ってわけ」
レヴィアたんがいった
「事態は思ったより芳しくない方向に向かいつつある――士郎、頼む」
アサゼルが頼み込んでくる、断る意味も無い、なにせイギリスだあいつもいる
「了解――」
そういうと、士郎は黒いコートを翻し、アサゼルとレヴィアたんに一瞥すると、その部屋を後にした
「(さて、どう思う?)」
『(あら、その言葉、私に言ってるのかしら?)』
つなげたのはメディアだった
「あぁ、そのつもりだ」
『(まぁ、神代の魔術じゃなくて、その規模だとしたら――聖霊十式か、
「(随分とまぁ大術式ばかりだな…)」
『(そうね、一個でも動かせればその時点で世界がこんがらがるわね)』
「(――わかった)」
『(せいぜい、頑張りなさい、)』
そういうと、念話が切れた――それと同時に、士郎は人間界の日本に転移した
番外編―第2話――Plunge Britain
そして、ここは人間界の士郎の自宅
なぜ戻ってきたかというと、パスポートとかが必要になっているからだ。あと相手に怪しまれないように飛行機に乗って正式に入国したほうがなにかと動きやすいからだ。――リビングから自分の部屋に向かい、あらかたの自分の部屋の服を
「――さてと、パスポートの準備はOKだな…」
準備を確認し
「――Schliesung.Verfahren,Drei」
そういうなり、家がロックされる
「さてと、行きますか」
士郎はバイクを成田空港に向けて走らせた。
それから約2時間30分後、無事成田国際空港に到着していた
そこでは、"気づく人には気づく"レベルでなにやら騒がしかった。耳を傾けるといたるところで
「――今の英国は危険だ」
「ついに動き出したか…」
「奴等め・・・」
などと、それらしき会話が流れていた。――そして、カウンターに向かっている時、目の前から黒いパンツスーツの真面目そうな女の人が現れた。明らかに士郎目当てだと一発でわかった
「――こんにちわ、丹羽士郎さんですね?」
「えぇ、まぁ、そうですけど?」
「――私、
さらさらした金髪をしたロングストレートの人だ、その人は胸元から一枚の手紙を取り出す、それを士郎は受け取り、士郎は開封し中を見る
一目見ただけで今の現状がわかる、たしかにアサゼルの言うとおり、状況は芳しくないみたいだ
「丹羽様、直行便が手配――「そんなのは必要ない」」
「えっ!?」
その言葉に驚いているシルビアさん
「こちらから頼みたいのはあちらの入国審査を無事に通過できるようにしてほしい」
「――まさか、こちらから直接…」
「そういうことだ、時間が無い、それなら超高速移動のほうがはるかに速いからな――できるか?」
そういうと、その言葉を待ってたかのようにシルビアさんは少し微笑みを浮かべる
「その言葉を待っていました――現在、現時刻から三時間だけですがここ成田から英国までの制空権を一時的にこちらが得ました充分動けます」
「よし――滑走路に行くには?」
「はい、こちらです」
そういうと成田空港第一ターミナルで出国審査を手早く潜り抜け、そこから出発ロビーに入り、そこから従業員用階段で下に降り滑走路に出る
それから、認識阻害魔法をかけ、回りにばれないように戦闘機F-15があらわれた。しかも、ヴィマーナの加速器付きでだ
今回使用できるのは――A滑走路(4000m)だ。それから、グラウンドに通信を入れる士郎
「――Narita Ground,BSFE F-15 ,request push back from spot22,infomation Alfa.」
『push back approved,runway46』
プッシュバックを終えトーイングカーをはずしいよいよ自力で滑走路へ向かう
「Narita Ground,BSEF F-15,request taxi.」
『BSFE F-15 runway22Left taxi via Echo4 Alfa.hold short of runway 22right.――BSFE F-15contact tower 118.1』
「OK」
言われたとおり、成田の管制塔に通信を取る――それと同時にF-15のエンジンが唸りを上げる
「Central air traffic control tower Narita、BSEF F-15,on your frequency.」
『BSEF F-15,taxi into position and hold,runway 22left――wind 320 degrees 4knots.cleared for take off runway 22left.』
「roger,cleared for take off.BSEF F-15」
それから、飛行機は一気に加速し始め、一路イギリスの空に向けて飛び立った。そして、1時間半ほどでイギリスに到着した
さすが、
Brrrr!brrr!!
交通規制をほぼ無視した速度で走る士郎のバイク――後部座席にはシルビアさんが乗っている
「シルビアさん――わかる程度でいいので現状を」
士郎は走りながら聞く
「はい、現在こちらの予測だと術式は第2段階に移ろうとしています――現在イギリス清教が対術式用術式を組んでいますが、それも間に合うかどうか・・・」
顔を曇らせるシルビアさん、それをみて全てを察する士郎
「了解」
その一言だけ言う士郎――それから、M4を進んでいくとウィンザー城が見えた
それから、A32をとおりウィンザー城に入った。手続きもなく入れたのはシルビアさんと
タタタタタタ!!
シルビアさんが先導する形でウィンザー城の中をかけていく――大広間を抜け、そこから接見の間に向かう
途中、働いている近衛兵達が士郎を止めようとしたが、そこはシルビアさんのおかげで難なく走る
走って数秒で接見の間に着いた。中からは慌しい雰囲気が漂ってくる。そのことの大きさが伝わってくる――そんな中、いつ着替えていたのか知らないがシルビアさんが専用の姿になって先に入っていく。それから、再びシルビアさんが外に出てきた
「士郎さん、中に入ってください」
コクリ
士郎はうなずくと、接見の間の扉を押し開けた
ギィィィィイン!扉が音を立てて開き中に入る士郎――接見の間は豪華なつくりだった。
中にはいるやいなや
ドサッ!!
――突如士郎に向けて何かが来た。白いドレスに長い
しかも、士郎が来るまで何かを抑えていたのだろう。士郎の服にはアルビスの涙で少しぬれたのがわかった
「士郎――」
その悲しそうに今にも泣き出しそうな声が士郎の耳に確かに入り、士郎は優しくアルビスを包み込むように安心させるように抱きしめる
「あぁ、俺はここだ」
「士郎――助けて」
その言葉で士郎のとある炎が燃え上がった
士郎はアルビスを抱きしめながら、シルビアさんのほうに目をやった、それを察知して、最新情報を話し始めるシルビアさん
「はい、先ほどの情報によりますと、
「やつらか・・・」
「追跡用のGPSやその他もろもろ、全てわかってたかのようにやられました」
「――そういうことね…」
状況は悪化の一方だとはこのことだろう、士郎はありったけの思考をめぐらせる
「国民には?」
「はい、警察にも知らせていません、魔術結社がかかわっている以上こちらで秘密裏に処理をしなければならないので・・・」
どうやら外に漏れていないみたいだ
「了解」
そういうと、士郎はアルビスを優しく突き放す。アルビスの顔を見ると、うっすらと頬が涙でぬれている
「士郎」
「事情はわかった――救出してくる」
「いってくれるの?」
「それ以外何のために?」
そういうと、その言葉を聞いて安心したのだろうか、再びアルビスから涙が流れた
何も言わず強くしがみついてくるアルビス――しかし、この状況だと、一分一秒無駄にはできない
「アルビス――行ってくるよ」
やさしく突き放す
それと同時に、士郎の近くというか、傍にスーツ姿のエミヤ、アルトリア、ガウェインとランスロット、それに白いワンピースのギルガメッシュが現れた
「――士郎、どうした…いや、我々はどうすればいい?」
「あぁ、エミヤとギルガメッシュはアルビスの護衛を頼む――アルトリア、ガウェイン、それにランスロットは俺と一緒に動く、いいな?」
「「「「「了解」」」」」
そういうと、士郎はアルビスに向かってこういった
「大丈夫――ちゃんと、連れ戻してくるよ」
それから、英霊達のほうを向き――
「行くぞ――」
士郎の瞳は戦場を駆け抜けるものの目をしていた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「それで…」
「はい――こちらです」
シルビアさんに案内されたのは立ち入り禁止区域―いや、現場保存のためのためだろう――そこでは魔術師たちが慌しく魔術解析を行っていた
「ここで誘拐されたと?」
「はい、転移魔法によるものかと思われます」
そういうなり、士郎はメディアを呼び出し、解析に当たらせる
彼女は神代の魔術師だから、その腕前は現在の魔法使いをも凌ぐとされる。直接的な魔術に限らず、魔術道具の作成など、魔術の関わるものは万能にこなすことが可能だ。だから、今回のことも転移先をすぐに見つけることは可能だろう
「どうだ?メディア?」
『えぇ、用意周到にやってるみたいわね――転移先は、なんか地図あるかしら?』
そういうと、士郎は懐から地図を取り出す
『えぇと、ここね――』
指したのはピークディストリクト国立公園だ。
「ここか…ここには特に…なぁ、二重転送ってできるか?」
『もしかして、転送した地点から再び転送っていう手順のこと?』
「あぁ」
『できるけど…やる意味は無いわ』
「いや、こういう仮定はどうだ?あえてそこに一旦転送してそこに痕跡を残してそこを捜索して、敵の目を欺く」
『――それなら、二重転送する意味があるわね…わかったわ――少し待ちなさい』
それから、何かを組んだのか、なにやらメディアが再び解析作業に入った――それから数分後
『士郎、わかったわ』
メディアの声とともに、士郎はそっちに駆け寄る
「場所は?」
『ロンドン――それも、
「そういうことね…まいったな」
そこはロンドンにある世界最大級の博物館―世界各地から"強奪?"した霊品法具が収集される施設。曰く「血の祭壇」。 古代王の亡霊の宿ったものなども集めてこられるらしい。 展示物に関する神学や宗教的な側面からの意見を求める、 という形でイギリス清教から間接的に支配を受けている。 魔術的な品物も数多くあるようだが、スタッフ自体は館長まで含めて魔術とは関連のない一般人。 しかしそれ故にイギリス清教にとっては違う切り口からの意見を聞ける貴重なブレインでもある。 スタッフは博物品を収集する『調査員』と、 3000年レベルの物品を次の1000年に語り継ぐための『保管員』が判明している。
「――血の祭壇か…」
そこに捕らえられているのはわかった。だが、一つ士郎は気になることがあった
「
士郎は魔術を発動させる――それは魔力の送受信に使われる霊装を利用し、その持ち主の位置を逆探知する術式だ。
魔法陣は対象を中心に直径50cm程の黒い円と、 その円周を東西南北に区切る位置に配置された青白赤黒の折り紙。
探査半径は約3km。発動すると4枚の紙が直立、半径を狭めつつ各色の線を引きながら円上を高速で周り、中心の霊装に触ると高速で周囲の地図を衛星写真並みの高密度で描画、とある目標の点を示した
「(――
どうやら、国会議事堂の時計塔にあるみたいだ。それを確認すると、士郎は城の出口に向かって走り出した
外に出ると――すでに夜だった
「夜か――」
そうつぶやくと、バイクを
brrr!!brrr!!
夜のロンドンはあの時以上に異常なものだった
「―いかにもって感じだな」
その感じはあながち間違っていなかったみたいだ。――士郎の視線の先にいるのは生命体、このままバイクで吹っ飛ばしてもいいが流石にそれだと一般人にその存在を知られることになる。
「(そうなると、歩きかな…)」
士郎はバイクから降り、バイクをしまう。視線の先には先ほどのモンスター、いや魔術生命体がこちらを攻撃しようとしていた。
その形状はまさに、魔獣そのもの――士郎は魔力を回路に流した瞬間
ビシュンッ!!
視線の先にいた生物がこちらに攻撃を仕掛けてきた。その速度は速く、並みの魔術師じゃ太刀打ちできないが
「――!!」
何も言わずに投影した弾丸がその生物に向けて数発発射された。と同時に、魔術生物が唸りを上げる
士郎が投影して射出したのは起源弾――効果は魔術回路を切断、結合するものだ。結果、魔術回路に走っていた魔力は暴走し、術者もしくは魔術で動いているもの自身を傷つける。その仕様上相手が強力な魔術を使っていればいるほど殺傷力が上がるものだ。今回は再生に魔術を使ったのか、それとも構成自体が魔術だったのだろうかどちらにせよ、魔術回路が暴走にもがき苦しむ魔術生物
「
士郎はその魔術生物を焼き殺す――焼け跡から残ったのは濃厚な魔力痕、それを士郎がメディアの力を借りるなくてもその痕跡から対魔術使用者防衛魔術生物兵器だとわかった
「(――つくづく、趣味の悪いやつらだ、しかも、これは、神器反応…)」
士郎が毒づくのも無理も無い、どうやらあっちには『禍の団』が協力しているらしい。その証拠に、残留魔力の中から――『
そんなことを気にしながら、士郎は風王結界を足元に展開し、バイクとなんら変わらない速度で地面すれすれを飛び始める
それにしても、ロンドン市中に瘴気がめぐらされているみたいだ――しかも、ロンドンの街中が一つの教会として連鎖リンクしているのだとわかる、それは相乗効果として互いにその効果を高め合い、さしずめ、擬似バチカンのような状態になっていた。――こうなったら、士郎も骨が折れる
そんなことを考えながら走る士郎――
「――大英博物館まで約1kmか・・・」
そんなことを考えていると
スタタタタタッ!!
チュドン!!チュドン!!チュドン!!
突如として、士郎の頭上に火の玉が降り注ぐ
「(――魔術師か!?)」
士郎はスキル鷹の目で、その魔術師の姿を掴んでいた
「(北西に300――南西に200、それにも複数――)」
掴むと同時に、士郎は弾丸を投影し、先ほどとは変わらない手順で射出する
ドチュッ!!ドチュッ!!
肉が裂ける音とともに魔術師からの攻撃がある程度止む、それと同時に、士郎はその弾丸に仕掛けていた対人用の瞬間凍結魔術で残りの魔術師を凍らせた
それから、数秒後
ゴォォオオオォオン!!
グレートラッセルストリートにあるそれは、怪しげな雰囲気を出していた。まるで其れは一つの城塞のようだ
正門にはあいかわらず警備員がいる――しかし、警備員は気づいてないのだろうか、その後ろには対侵入者用だと思わしき魔術師が博物館の屋根からこちらを伺っている。幸い士郎もそれにいち早く気づき、スキル気配遮断で完全に姿を消した。それと同時に、建物に意識を少し侵入させ、内部の話を少し聞いた
『――なぁ、聞いたか?』
『なんだ?』
『なんか、外部部隊が謎の少年にやられたんだって?』
『少年…魔術師じゃなくて?』
『あぁ、少年らしいぜ、なんでもソース不明だが悪魔だってよ』
『ここを突破できる悪魔なんて、それこそ、すでに契約されているんじゃないのか?』
『あぁ、そのはずなんだがな…どうも、契約されてない悪魔らしいぜ』
『また上もめんどくさいことを…そんで、魔術はなんだったのさ?』
『なんか、投影魔術らしいぜ』
『投影魔術…悪魔でありながら投影魔術つかい…つか、投影って効率の悪いんじゃないか?』
『あぁ、そうらしいけどな…』
どうやらあっちにある程度はバレたらしい
「(――悪魔だ、ってバレたのは痛いな…)」
そう思っている士郎、何故かと言うと、対悪魔用術式を組まれたら対処が大変だからだ――それから、士郎は再び風を纏い、大英博物館の裏手に向かった
大英博物館の裏手のとある壁に士郎は近づく、その壁に一般人として手を触れる。なにも彼らは一般人は攻撃しない。攻撃するのは敵意のある魔術師、もしくは敵対者と認めたものだけだ。
「(――構成…把握…)」
頭の中にこの建物の全ての地図が入ってくる――それと同時に、彼ら専用の扉の場所も把握した。と同時に士郎はその壁の構成を一部改変し、彼らにバレないように壁を一時的に分解し擬似通路を作り、大英博物館の中に侵入した。構成は把握したから既にだいたい場所もわかっている――目的は、
それから、士郎は地下にある特別保管庫に向かう――ここにはいわゆる魔術兵器がうじゃうじゃ存在しているからだ。多分、そこも占領されているとなれば…
一抹の不安が士郎を過る。しかし、時間はない。士郎は裏から入って壁を若干構成をいじり通過できるようにして、士郎は走る。向かうのは中央の建物だ。その中央の建物?みたいなところのとあるところからしたに入れる、そこが特別保管庫の入口だ――それと同時に、仙術で気の流れを調べたら一つだけ周りのと全く違った気、多分
タタタッ!!
真ん中のホールみたいに大きなところに出ようとする。しかし、その直前で走りを止める士郎――見張りの魔術師がいるのだ
「(流石に気配遮断でも無理があるな)」
いくら気配遮断スキルEXでも、流石に通してもらうには一瞬でも攻撃しないといけない――かと言って魔眼使えばその魔力の痕跡でバレたとわかる。
全ての魔術師がなんらかの形でリンクしていればなおさらのことだ
「(――どうする)」
ここでひと騒動起こしていいが、万が一炎系の魔術師でこの博物館の火災報知器や侵入者探知機にでも引っかかれば、即座にイギリス警察が異変を駆けつけやってくるだろう――もし、こないとしたらそれは国家規模でヤバい状況だ。
「(しょうがない)」
ここはバレ覚悟で行くしかないだろう
士郎は投影で黒いローブを羽織った――それも、相手に顔とかを見せないように、背丈も若干いじり、周りから見ればその一味とわからないようにだ
着々と士郎はそのところに近づいていく
「ん?お前誰だ?」
案の定止められる。
「えっ、あのさっきまで見張りしてたんですけど?」
それっぽい理由を付ける
「あぁ、見張りか、ご苦労さん」
そういうと、何も起こらず通してくれた
「……(エェェェェーー!!!)」
もはやこんなにあっさりと通してよかったのだろうかと疑う士郎であった。まぁ、それはそれとしてラッキーと思いながら士郎はその階段をくだり、とあるところから特別保管庫に入った
中には人間界でS級レベルの魔術礼装をした魔術師達がうじゃうじゃいた
「(――全員、いつでも戦闘態勢ってわけね…)」
それから、魔術師のあいだを違和感なく抜けていく士郎――アルビスに似た魔力波を感じる。この先にいると確信を得た。そんな中、その方向を歩いていると
「――それで、あの女王さまを時計塔で使うんだって?」
「みたいだぜ、上はアレを使ってでかいことやろうとしてんだってさ」
「――ふぅん、かわいそうだな…」
「まぁ、重要な鍵らしいからな」
そんな会話が耳に飛んできた
「(鍵ねぇ…)」
士郎は歩いて行くと、大きな聖堂のようなところに出た。地下にもかかわらず、ステンドグラスが怪しく輝いている。どうやら魔術炉みたいなところだ
しかも、そのステンドガラスの下には十字架に磔にされなにやら魔術的何かを施された女性
「(――
部屋中魔術師だらけ、それもSSS級の魔術師、中には聖人もいる。この状況だと、もう隙を伺っている余裕はない
士郎は、そこに
カツンッ!!
足音を響かせる――それと同時に、その中にいた魔術師たちが一斉にこちらを向いた
「なに!!侵入者だと!?」
「どうして!?」
「しかも――この流れ、悪魔だと!!」
「ヌゥゥン!この私が滅してくれるわ!!」
その声は外まで聞こえ、通路にいた魔術師たちも聖堂の中に入ってきた
「悪魔め!!」
そのうちの一人の魔術師が魔術弾を放ってくる――しかし
バリッン!!それは士郎の
「――そんな」
驚きの表情を見せる彼ら。彼らはこの時、士郎が呪文を唱えているのに気づかなかった。
「――So as I pray, unlimited blade works.」
士郎の呪文が完成し、そして、炎が迸り、世界を塗り替えていく。・・・それはいたるところで炎の上がる死の世界・・・天には無骨な歯車が回り、大地は不毛な砂に覆われた荒野。そして見渡す限りに突き立つ、墓標のような剣の群・・・命の影すら見えない、彼等の死に場所にふさわしい死の匂いに満たされた世界がそこに現れた。
番外編―第3話――Betray their expectations hero
「――そんな、ありえない」
「こんな少年が…固有結界を…どうして、こんな魔術を行使できるんだ」
「どこまで、我らの崇高な目的を邪魔するのだ悪魔は…」
「ック…」
魔術師たちは一斉に戦闘態勢に入る
「――ご覧の通り、貴様らが挑むのは無限の剣、剣戟の極地! 恐れずしてかかってこい!!」
「悪魔ごときが!!」
「舐めるなよ!!クソ悪魔!!」
いきり立つ魔術師たち、彼等の手には大英博物館屈指の魔術礼装の数々――被害総額は…そんなのを気にする程余裕はない
ズシャシャシャシャ!!魔術師たちの頭上に問答無用で剣の雨を降らせる士郎
「ッ!!投影魔術だと!!ってことは!?」
「たかが、投影魔術ごときで!!」
そう言うと、ある程度は防御できるがしかし、士郎の剣を防げない物もいる
ズガガガガ!!
しかも、その生きた魔術師たちが固有結界内部だから、何してもいいと踏んだのか、現実世界で放ったら都市が吹っ飛ぶであろう魔術を躊躇いもなく行使してくる――中には刀で攻撃してくる物もいる。
しかし、士郎もこんな"つまらないこと"をしている暇はない
「――!!お前ら!!やつは、起源使いだ!!それも切断と結合の!!よって五大元素と相性が悪いぞ!!」
どこからかその声が聞こえてくる――それと同時に、元素魔術で士郎を責め立てる魔術師たち
士郎はスキルは発動させる、それは高速神言だ。簡単にいえば大魔術をマシンガンレベルでぶっぱなすものだ
「――、――」
それと同時に、魔術師の上空に大嵐、豪炎を纏った炎神、極寒冷気を纏った大きな鳥が現れた――
「そんな――SSS魔術・・・
士郎が右手を大きく掲げると、再び上空に投影された剣が現れる
「――終わりだ!!
そう言いながら、手を振り下ろすと同時に、SSS級の暴風の嵐、、業炎と冷気、それに加え剣の一斉掃射が容赦なく魔術師に向けて放たれた
結界が解ける――魔術師は一人残らず致命傷の傷を負っていた。その光景は凄惨すぎて、まるで言葉通り血の祭壇のようだった。
士郎の視線の先にはぐったりとなった
士郎は駆け寄って、
パァァァン!!
「…んっ?ここは」
とりあえず、磔から解き、現在お姫様だっこ状態の士郎――人妻を姫様抱っこするなんて思ってもいなかった。こっちをみて不思議そうな風に見るソフィアさん
「…もしかして、士郎君?」
「はい、今のどうかご無礼をお許しください」
現在、士郎の状態は、高校生ではなく、周りから見れば20代前半の姿だ。そういわれ、今の自分の状態に気付くソフィアさん
「…あらあら、もしかして回復してくれたの?」
ウフフといった感じで笑うソフィアさん
「えぇ、
「ありがとう、士郎君」
「いえいえ、お気になさらずに――あと、ちゃんとおつかまりくださいね?」
そういうと、士郎は少し体制を変え、ソフィアさんを背中におぶり、士郎は走り出した
狭い通路を駆け抜け、大英博物館の正門から外に出た――外に出ると、生々しいまでの魔力の奔流が士郎を襲った
その感覚に、ソフィアさんは少し目眩のようなもので少しバランスを崩す――方角は北西約200km、そこから魔力の奔流が襲ってきたのだ。
士郎は、時計塔の方を注視し感覚を研ぎ澄ますと、時計塔から士郎の目的の
「――消えてる…気づかれたか――」
士郎は若干、毒づく
「士郎君、どうかしたの?」
「いや、こっちの所用です、それとソフィアさん、僕から離れないでください」
何かあるとわからないから、士郎はソフィアさんを抱き寄せ、理派四陣を起動させ、北西約200kmを探すと
「
表示されたのは、それはピークディストリクト国立公園――そう、それはメディアが二重転送の経由といたところだった
「(――…そういうことか…二重転送の意味はあったのか…そういうことか、やつらの本拠地はそこだったのか…)」
そういいながら、士郎は思索をある程度巡らせる――しかも、魔力の奔流から見る限りこれは魔獣のものだろうと思われる
「――おいで」
そういうと、ロンドンの空に少し大きな魔方陣が現れ、そこから
『ヒヒーン!!』
ペガサスが現れた
「――ペガサス!!」
ソフィアさんの目は驚きに包まれていた――ペガサスは士郎の下に来て、士郎の方に顔を向け、かまってほしそうにしていた
士郎は、ペガサスを少しあやし、背中にソフィアさんと一緒にのる。
「ぺガー頼む!!」
そういうと、ペガは走り出し、イギリスの空に羽ばたいた。
ビュゥゥン!!イギリスの空を翔るペガサス、その姿はさながら何かの伝説のようだ
「天馬に乗れるなんて、夢みたいだわ」
「ハハハ・・・まぁ、滅多に乗れるものではないですよ」
そう言いながら夜空を翔けるペガサス。
それから、数秒でウィンザーの城に着いた。ウィンザー城の真ん中の緑色の広場に降りる
ペガサスから降りるのを手伝う士郎、どうやら、ウィンザー城はある程度結界が貼られていたようで、先ほどより
「お母さん!!」
中からドレス姿のアルビスも現れた。アルビスは駆け寄って母親であり士郎が救出してきたソフィアさんに抱きつく、
「アルビス!!」
お互い無事だったことで安心しあっている
「(――さてと)」
そういうと、二人を邪魔しないように士郎は歩き始めようとする。それに気づいたようにソフィアさんが声をかけた
「士郎君――」
声の方に振り向き帰る。
「ありがとう――全てが終わったらここにきなさい」
「えぇ、全てを終わりにしてきます」
士郎は、ウィンザーに背を向けながら歩き始めた
それから、士郎はウィンザーの結界の外に出る。やはり、そこから北西の方向から禍々しいまでの魔力――しかも先ほどより強烈なものとなっていた
しかも、これはその手の常人が発狂するレベル
「急ぐか…」
士郎は躊躇いもなく翼を展開しイギリスの空に羽ばたいた
キュィィィィィン!!
眼下にはイギリスの町並み――しかし、元の活気はない。それに視線の先には細いながらも黒光りするどす黒い怨念の光の帯びが空を貫いている。
「(――これは…魔獣の類か)」
士郎のその飛翔力はハンパがないもので、ものの数分で現地に着いた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「(――ピークディストリクト国立公園…)」
そこは、その異質な魔力ゆえに半異界化していた。そこに高度を下げ降り立つ士郎
スタッ!!
「(ウワッ…なんだこの、滅茶苦茶な魔力…まるでゲテモノじゃないか)」
そう言いながら士郎は歩みというか飛行を続ける、イギリスの長閑な風景は一変し荒れ果てたものとなっていた。
士郎の視線の先には黒い光りの光状――場所は特定できた。ボーデン貯水池から北西に約5kmのところから出ているみたいだ
A15を飛び抜け、そこからA6に入り再びA6187に入ろうとしたとき
ガシャガシャガシャ!!
突如として、先ほどあった魔術生命体が現れた――その数はざっと100体くらいだ
「――まったく、面倒なことだぜ」
そう言いながら身構える士郎――それと同時に自らの魔術回路をフル回転させる。
「――
士郎は風王結果を纏って
ズバババ!!
その攻撃は中級悪魔の騎士の速さとなんら変わらない速度だ
ギンッ!!ギンッ!!
士郎は二三発相手の攻撃を受け流し相手がどのようなものか調べる
「(こいつら…殺しに来てる!!)」
確実に彼らは士郎を殺しに来ていた。もはや長期戦に持ち込む理由はここで亡くなった。士郎は
「――
纏わせた風を解放し、破壊力を伴った暴風として撃ち出す、それと同時に士郎は機関銃を投影する。
「ウラァァァ!!」
ズドドドドドッドドド!!!
毎秒数百発の弾丸が生物に向かって放たれる――目標は彼等の頭蓋にあるであろう魔力供給を行なっている機関。案の定、合計1万発の弾丸はその数百躰の魔術生物の頭蓋を吹き飛ばした。その直後、士郎はその死骸に目もくれず走り出した
タタタッ!!
士郎はひたすら光状のところに向けて走っている――もはや、士郎のいることろに夜はなくあるのは赤い夜だけだった。近づくにつれ、その赤い夜は重みをましてくる
そんな中――突如として光状が消えた
「――消えた!?」
それに気づき、嫌な気配が頭の中を過る。それと同時に士郎は再び加速し始める。丁度、ホーデン貯水池に差し掛かっていた。魔力も禍々しいものになる
そんな中
ズグンッ!!
突如として、地面が揺れた――それに驚き士郎は体制を少し崩してしまう
ズグンッン!!
それは大きくなる――まるで地の底から邪王でも出てくるような地響きだ
「――本格的にやばくねぇか…」
士郎は再び、風王結界を展開し飛び始めた。飛び始めて数秒、めまぐるしく変わる光景
「(――あれは…)」
視線の先にはなにやら卵のようなもの――鷹の目を使わなくてもわかるくらい大きい卵。本当にそれは一発で見て早急に処理しなければならないものだとすぐにわかった
まるで、胎動のように揺れ動くその卵――動くたび、いや、カラをわろうとするたびにそのゲテモノレベルの魔力は増していく
同時に、士郎もそのあまりにも気持ち魔力で若干、バランスを崩す――そんな時
『『士郎!!』』
現れたのはギルガメッシュとアルトリアだった
『なにやってんの士郎!!大丈夫!?』
『士郎――大丈夫ですか?』
士郎を支える二人――士郎は、とりあえず、二人に支えてもらいながら地上に降りる
『士郎…これは』
『どういうことかしらね?』
二人とも苦悶に顔を歪ませる
「どういうことって、見ての通りさ」
『――そういう問題じゃないわよ!!』
ギルガメッシュが声を荒げた
「ギルガメッシュ――どういうことだ?」
『まさか……確かに、理解してたらおかしいわね、よく聞きなさい、アレは中途半端だけど"
「――
『おおかた、巨大な何かを創成しようとしたら根源の扉が開いて中からアレが出てきたんでしょうね――それに、見なさい錬成陣よ」
確かにその卵を中心として錬成陣が描かれていた
「――賢者の石の構成を変えたか…」
そう毒づく士郎
『それにしても、見るに耐えないものね――アルトリア』
『えぇ、見るだけで寒気が走ります』
そんな中
ズオオォォォオオン!!
ものすごい魔力波とともに其れは現れた――それと同時に、先程までの生ぬるい魔力とは違い、清々しいまでの絶望一色に染まったそれも極寒の夜のロシアのような寒気がたつ、純粋な魔力が士郎を襲った。それと同時に風景も一変し現れたのは瞬く星空に、どこぞのモニュメント・バレーのような光景だ。
ビキビキビキ!!
カラをわるようにして、賢者の石でコーティングされた外殻から現れたのは全身に赤い刺繍がされた白い髪の女性。その顔がにやりと笑う
その直後
ビシュンッ!!ビシュンッ!!
突如、彼女の地面から何本もの触手が現れ――瞬間的に、周りにいた儀式用魔術師たちを"喰い殺していった"
「――!!」
味方であるはずの魔術師を殺して驚いている士郎とアルトリアとギルガメッシュ
「(仲間を、殺した?)」
そう思っていると、彼女は士郎に着実に近づいてきた
「――これが…ふ~ん、確かにそうね~」
まるで待っていたかのように言う彼女
「あの…どちら様で?」
「えっ!?」
驚かれた――そして、著しく調子が狂った。そういうと、彼女はニヤついた笑いになる
「あら?知らない?困った坊やね」
そういうと、その柔らかい手で士郎の頬に触れてくる――不思議と敵意はないように思える。
「――それにしてもねぇ…面白い坊やだわ、貴方のなかにある、その純粋な…うわぁ、心地よいわ~」
どうやらその言動から察するに純粋な絶望という名の魔力を求めているみたいだ
「あの――どちらさまで?」
「邪王――クリム・レグインよ」
そう、こっちのアーサー王伝説に残っている傾国の女王の名前だった。
「クリム・レグイン――」
「あら、もしかして、驚いているのかしら?」
「驚くもなにも、仰天そのものですよ」
そりゃ目の前に国土を滅ぼしかけた女王がいればなおさらだ
「――けど、あなただって私と似たようなものよ?」
「似ている、どこが?」
「あら?わからないのかしら?――しょうがないわね…」
そういうと、彼女の魔力の波動がものすごいレベルで増加する。刹那――
「ッ!!」
彼女は士郎の背中から首に手を回し、士郎の頬を舐めた
ペロッ
突如、舐められ驚くと同時に動けなくなる士郎
「いいわ~その顔、私の腕の中ですやすやと眠らせてあげたいわ」
そういうと、彼女は再び距離を取る、彼女は確実に士郎を堕としにかかっていた。
そんな中、彼女はつぶやいた
「――我、背負うことを覚悟で引き抜くなり――声に答え、神々が封印されている邪神の庭・牢獄より出づれ…」
そう――それは、この世界では引き抜いていけない武器の言葉だった。そして、彼女は微笑みながら言った
「ね、似てるでしょ?――士郎君?」
彼女の手に持っているのは、士郎とは対象の色の剣
「えぇ、似てますね…」
色が違えど、それは
「――この子も暴れたがっているわ?どうするの士郎君?」
「もちろん――
そういうと、士郎の魔力も純粋なものになり
「我、背負うことを覚悟で引き抜くなり――声に答え、神々が封印されている邪神の庭・牢獄より出づれ…!!」
士郎の手元に
「――やっぱり、あなたと私は…ウフフ、楽しくなったわ」
そう言うと、士郎の背後に現れる
「ッ!!」
ギンッ!!
ラグナロクどうしがぶつかり合う
ズバンッ!!
その余波で周りの草木が吹き飛ばされる
「アハハハ!!その余裕に満ちた表情――いいわ~」
まるで可愛らしいぬいぐるみを見つけたかのように襲いかかるクリム
ギンッ!!ガンッ!!ギンッ!!
ぶつかり合う剣と剣――純粋な魔力を乗せた剣どうしがぶつかり合う
「アハハハハ!アハアハハハハハ!!」
もはやその笑いは狂いを含んだものだ
「そ~ら、そ~ら!!」
ギンッ!ギンッ!!
容赦ない剣戟が続く――しかし、剣戟は士郎のほうが上手だ。しかし――何故か知らないが士郎が押されている
「(――なんで!?)」
ズドンッ!ズドンッ!!
魔力弾を放ってくるクリム、少しでも気を抜けば、多分彼女の触手にやられるてそのままアボーンだろう
相手は無尽蔵の魔力だと思われるから、純粋な魔力の燃料切れまで待っていたらこの世界が荒廃する。それだけは避けなければならない
ありったけの魔力をブチ込めてもいいが、今だ士郎の魔力は不明なところも多い、下手したら――最悪この世界が消滅しかねない
ズガンッ!!ズガンッ!!
多少なり、疲労を見せるクリム
「―ーッ!お姉さん、ゆうこと聞かない子は嫌いだぞ!!」
そういうなり、剣戟のスピードを上げてくる
「元々、子供でないですけどね!?」
そう言いながらも、攻撃をしていく士郎――
「――さて――
クリムの
「
クリムの周りに何かが構成される
「――
そう、クリムの体を、奇妙で、布なのか金属なのかよくわからない素材が、お姫様のドレスのようなフォルムを形作った。さらにその継ぎ目やインナー部分、スカートに至っては、物質ですらない光の膜で構成されていた。
その圧倒的なまでの力に士郎は冷や汗を流す
「十番機構――開放!!」
そういうと、クリムの手に刹那、全長10メートル以上はあろうかという、長大過ぎる剣が現れた。
士郎はその剣の構成を一目見たが…
「(そんな――構成が読み取れない!?)」
基本的に、見れば大体のものが投影できるが――まるでなにかに守られているようにそれの構成がわからなかった――しかし名前だけはわかった
「(――
「さて…覚悟はいいかしら?」
「――
士郎の手元に赤き二又の槍が現れた――その直後
ズガァァン!
ただ、振り上げて振り下ろしただけで山の一部が抉れた
「はぁ・・・」
その威力に驚く士郎と同時に
「(魔力放出の反応もなし――固定エネルギーしか反応は無かった――となると、純粋な
そう思いながら、士郎も魔力を
「――ヤァッ!!」
それを振り上げて、攻撃してくる――と同時に地面が抉れる
「――
「――
ガキッン!!
互いの剣と槍がぶつかりあい、その余波で再び地面が抉れる
「「チッ!!」」
二人とも攻撃が互いにあたらないことに苛立ちを覚え、舌打ちをする
互いに距離をとり――魔力をため始める
「「――!!」」
士郎は槍を右手で持ち、投擲体制に、一方のクリムは魔力で構成された玉座にすわり静かに闘志を溜め込む
――なにか、遠くのほうで水滴が落ちる音とともに
バッ!!
ゴォォォオオオン!!
士郎がクリムに向かって飛び上がると同時に――クリムもそれを開放した、その玉座が分解され、そのパーツが
静かに槍自信が獣、或いは堕ちた天使、あるいは悪魔、或いはなにかに虐げられ苦悶に悶える叫び声のようなものを発する。それと同時に士郎の左腕の
それから二人のエネルギーがマックスになり
「――
「――
ズドォォォォオオオォオオオォォォオオォォォォォォォン!!!
二人の魔力がぶつかりあい、そこには先ほどとは比べ物にならないクレーターができた
そんな中、彼女の背中から赤紫の魔方陣が現れる
「――
そういうと、途端にたくさんの黒炎の塊が現れ
「燃えちゃいな!!アハハハハ!!」
ズドンッ!!
周囲1キロが焦土と化すような火の玉が容赦なく士郎に降り注ぐ
「(――反則だろ)ッ!!――
ズバンッ!!キィィィィン!!
士郎は防ぐ――しかし、
「――
そういうと炎の玉は士郎を追尾するように迫る
「ッ!!追尾性能とか!!」
士郎は瞬間的にそこから飛び上がり、その火の玉を避けるが
ピシュン!!ピュン!!
まさに戦闘機並みの速さで迫ってくる
「――ッ!!」
しかし――士郎はそれを逆手にとった
ビュィィィイイイイィン!!
超高速機動下で相手の火の玉を撹乱する士郎――と同時に、士郎は剣を構えながらクリムに向かって飛んでいく――いや、突っ込んでいく
「――クリム!!」
当たる直前――にっこりと笑うクリム
「――まったく、もう、可愛いんだから」
その小さな声と共に
ドチュッ!!
腹部を貫く音がした――そう士郎はクリムの腹を貫いていた。その攻撃にためらいはなかった――しかし、士郎の頬からは何故か涙が流れていた
「――どう……して…」
「運命…だから…かしらね」
「そんな…ありえない」
「ありえないから…あるのよ」
意識が途切れそうに言うクリム、士郎はそのとき見たのだ。それは彼女がどういう存在で、どういう生き様をしてきたのか
「私は……貴方の手で、裁かれたかった、士郎……他の誰でもない、あなた自身の怒りによって、我が身の罪を問われたかった……」
士郎から一筋の涙が流れ始める――士郎の脳内に全ての事実が入ってくる
「もう少し早くあなたと出会っていたら、貴方に裁かれていたならば……貴方に償いを求められていたならば……きっとこんな私でも、贖罪を信じて……いつか私自身を赦すための道を、捜し求めることができたでしょう。……先代の過ちもまた、そうだったはず」
その時、ギャラクシアが現れ言葉を発した
『――安らかに眠れ、その贖罪、確かに我が受け止めた、穏やかな午睡のように今一度の眠りを――』
ギャラクシアはそう言うと、安らかな光がクリムの何かを浄化し始める。それと同時に微笑むように瞳をつぶっていく
「士郎君――これを貴方に…」
士郎に小さな
「これは…」
「……思いよ――受け取って」
そう言うクリム
「あぁ……大きくなったアルトリアに会えてよかった…ありがとう――ギャラクシア、私の
『あぁ――眠れ――二代目よ…いや、
その言葉と共に彼女は永久の午睡を迎えた。――そう、彼女は先代の銀河龍帝の宿主であり――ブリテンの栄光のためにわざと悪役として立ち回らざるを得なかった――アルトリアの母親であり、またの名を"湖の剣聖"であったもの、もともとは綺麗なお姫様だったものだ――士郎の頬から一筋の涙が流れる、これはアルトリアが流しているからだ
『「――せめて…このことがわかってれば」』
アルトリアの悲痛な声が聞こえる――そんな中、そばにアルトリアが現れた
『――士郎、せめて
「あぁ――」
士郎はそこに弔いの墓を立てた――近くにあった白い石を加工し、そこに立てる
名前はもちろん
アルトリアは母親の墓の前に立つ
「――アルトリア」
『はい』
士郎は、アルトリアに特殊な
それを墓の前に突き刺す――突き刺すと同時に周りの木々が回復していく、星空が瞬く蒼い夜が現れた。いい具合に育った草が風に揺らめく――心地よい夜風だ。
『士郎――申し訳ないですが』
「あぁ――俺は先に行ってる――アルトリア、後悔ないようにな」
『はい、申し訳ありません――心遣い痛み入ります』
「なに、当然のことさ」
士郎は、過ぎたことだと割り切って飛び出した
それから数分後――士郎はそこから飛んでいく。士郎は対流圏と成層圏のあいだまで飛び――そこから、一気に降下するように士郎はロンドンの中心市街地に向かって行った。
そして、ここはロンドン中心街――バッキンガム宮殿前
士郎は、バイクを取り出すと同時に、ポケットから携帯電話を取り出し、連絡をつけた
prrr!prrr!ガチャ!
その相手は、わりかし早く出た
「もしもし~」
『あぁ~士郎か?』
「えぇ、そうです」
相手は堕天使総督のアサゼルだ
『もしかして、もう終わったのか?』
「はい、回収完了しました」
『――サンキューそれで、今どこにある?』
「
『わかった――んじゃあ、ときを見計らってこっちに持ってきてくれ』
「了解しました」
『あぁ、それと士郎』
「ん?なんですか?」
『おつかれさん』
「はい」
そういうと、電話を切る士郎、士郎はやり遂げた感覚を得た――しかし、どこかしらで心の闇は溜まっていってた
それから、バイクのエンジンを蒸かし、士郎は報告のためにウィンザー城に向かった
Brrr!!Brrrr!!
M4をとおり、走り抜けていく――星空は輝き、その中で月が一際大きく輝いていた。
「――星空か…」
そう――アルトリアは星の騎士なのだ。こんなことがあった夜だからこそ、なにか思うところがあるのだろうそれから、士郎は走り抜けた
番外編―第4話――There is only run through.
数分後、士郎はそこに到着した。
駐車場入口には、
「おかえりなさい、士郎様」
「おや、いつから俺は様付けになったのかな?」
「あら?お気づきになっていないのですか?あなたはもうこの国の英雄ですよ?」
「英雄か――英雄より、正義の味方かな、俺は」
そういいながら、バイクを止め士郎は歩き出す――現在時刻は午後11時を回っていた
それから、士郎は城の接見の間に向かって歩きだした。
カツ、カツ、カツ――長広い廊下に士郎の足音が響く。それから、士郎はゆっくりと歩きながらその間の手前の壮大な扉の前に到着した
そして、ドアの少し手前で一息ついたとき
ドンッ!!突如、扉が開かれた――中から、士郎と同じくらいの
ドサッ!!ガバッ!!
「――!!!」
あまりにも唐突すぎて驚いている士郎――そう、飛び込んできたのはアルビスだった
今にも泣き出しそうな声で彼女はこう言った
「おかえり、士郎――」
「あぁ、ただいま、アルビス」
士郎は優しく抱く――奥を見ると、ソフィアさんがこっちを見ながらにこやかに笑っていた。若干、シャレにならないと感じる士郎
アルビスを抱きかかえ、ソフィアさんの下に向かう
「――
そういうと、ソフィアさんは微笑みながら言った
「おかえり――士郎君」
「はい――ただいま」
そういうと、士郎の近くにさっきのシルビアさんがやってきた
「士郎様――ゲストルームを用意いたしました、そちらで今夜はお休みなされてください」
「いいのですか?」
突然の待遇で驚いている士郎
「えぇ、これもソフィア様のご判断です」
そういわれ、士郎はソフィアさんの方を向くと、再び微笑むソフィアさん、士郎は一礼した
それから、士郎は城に存在する部屋の一つに向かった。
その部屋は特別な客をもてなすためのVIPルームだった
「――わぉ」
その部屋に入って士郎はその豪華さに驚いている――それから、
「失礼します――士郎様、このあとどうなさいますか?」
その人はそう言う
「――あぁ、申し訳ないが寝かせてもらうよ…」
「そうですか、かしこまりました、ちなみに、シャワーは、この部屋に併設されておりますので」
「了解――じゃあ、シャワーを浴びて寝ますわ」
「かしこまりました――なにか御用はありますか?」
丁度、士郎は小腹が減っていた
「――あぁ、申し訳ないけど、小腹が減ったんだけどなにかある?」
「夕食の残りが少々、それとも今からシェフに作らせましょうか?」
「いや、いいや…この話はなかったことにしてくれ」
「はい、かしこまりました――では、私はこれにて失礼いたします」
「あぁ、ありがとう」
それから、侍従が出たことを確認する士郎
「――まぁ、寝るか」
そういうと、士郎は水玉模様のパジャマに着替え、士郎は布団に潜った
ちゅん、ちゅん、ちゅん、ちゅん
「――ん…、朝か」
窓から朝日が差し込んでいた――アルトリアのおかげだろうか?暑すぎず、かといって涼しすぎないというちょうどいい温度で士郎は寝ていた。
「――あら、起きたのね?」
なにかおかしい――おかしい、とてもおかしい、士郎の視線の先には
「(寝ぼけてるのか俺?)」
そう割り切って、寝ようとすると、それと共に若干士郎が横たわっていた方向に若干暖かさを感じる。
「起きなさい、朝よ」
・
・
・
士郎の脳みそがものすごい速さで回り始める
目の前とういか、視線の先には頬杖をついて、こちらを笑顔で見ているアルビスの顔
「――アルビス!?」
朝っぱらから衝撃的だった
「やっと気づいた、遅いわよ?士郎」
「…遅いってな、衝撃的なことで頭が回らなかったぞ」
「あら、回らなかったんだ~」
「まぁな――申し訳ない」
「あら、謝らないくていいのよ?」
そういいながらアルビスは、士郎の顔を自分の胸辺りに持ってくる
ムニュッ!!
突如として、士郎は自分の顔がやわらかいもののに包まれた。そして、眠気眼だっただけあってまだ自分の身になにが起きたかわからない――しかし、士郎はその自称を理解する。
「(――アルビス!!)」
士郎の顔が赤くなる
「あらあら、初ね…けど、そこがかわいいわ――
薄いネグジュエリの下にうっすらと下着が出ていて、そのことに対し士郎はなお一層顔が赤くなる。
しばらく、アルビスに抱かれる士郎
「ねぇ、士郎」
「――ん、なんだ?」
それから、数秒の後
チュッ!!
「ッ!!」
士郎は、その唐突な行動に驚いた――けど、士郎はその動かない、眼をつぶったまま、アルビスのその心地をどこか懐かしそうに味わっているのだった
「はぁ、士郎」
どこか物欲しそうにみるアルビス――その目は一目ぼれした少女が憧れる人を見るような切なそうな目だった。
そんな中、アルビスの顔が突如としてにやけた
「今欲しいけど…そうね、楽しみはあとでとっておこ」
そういうと、いつもどおりのアルビスに戻った――そして、開放される士郎。
「士郎、朝ごはんができてるから、行くわよ?」
「ん」
そういうと、士郎は着替え終わる
「…はやっ」
その光景に驚いているアルビス
「――まぁ、こういう技能もあるのさ」
「…もはや、体育の着替えとかでトップスターになれそうな勢いね」
そういうと、自分のねぐじゅえりに手をかけるアルビス
「まぁ、いいさ、それで、俺は外に出ていればいいのかな?」
「別に出てなくていいわよ」
・
・
・
「「えっ?」」
二人の声が重なった
「まず、俺から――俺は男だ」
「あなたは男の娘、いい?――それに朴念仁でしょ?」
「断固主張する、俺は男だ、朴念仁だとしても出ているのが当然だろ」
「あら、そうかしら?個人的にはほかの女性の裸より、あなたのそのくびれたボディのほうが気になるわ、それとそそるわ」
「そそるわとか危ないこと言うな――」
「まぁ、別にそこにいてもいいわよ、見ないならね」
「見るつもりはサラサラない」
「あら、残念~しょうがないわね、目の前で着替えてあげましょうか?」
「やめてくれ」
「あら、そう?――まあ、いいわ、んじゃあ、あんまりみないでね?」
「わーってる、わーってる」
そう言うと、士郎はアルビスに背を向け、眼をつぶる
スルスルスル、パサッ!!
布すれの音するが、そこは朴念仁なにも感じない
――それから数分後
「さてと、いいわよ?士郎」
そういうと士郎はあぐらをかいたまま、立ち上がる――そこには簡素なドレス姿のアルビスがいた
「さて、朝食行くわよ」
「ん」
それから、士郎は食堂の間に向かう。それから、食堂の間に案内される。そこにはソフィアさんと一緒に、朝食が並べられていた。
「あら、おはよう士郎君、よく眠れました?」
「えぇ、ありがとうございます」
それから、士郎は一応しきたりを守って座る
「――ちょっと、士郎君?」
ソフィアさんがなにか気づいた
「あなた本当になにもの?初対面の人じゃんそのことは気づかないわよ?」
「そうですか?――あぁ、もしかして、中のおかげだと思います」
「あぁ、それならなっとくね」
そういうと、士郎は椅子に座る――それから、士郎は食べ始めた
・
・
・
3人は黙々と食べる――アルビスとソフィアさんはその士郎の一挙手一投足いや、その場にふさわしい食べ方で驚いていた
「(サンキュ、アルトリア)」
『(いえ、お役にたてて光栄です、士郎)』
そういいながら、士郎は黙々とイギリス王室の朝食を堪能していく。それから、朝食も食べ終わり、食後の紅茶が出てきた。
「――さて、本題に行こうかしら?」
ソフィアさんの視線が士郎に注がれた。士郎は少し余裕を持った表情を見せる
「まぁ、とりあえず、最初に士郎君、今回の一件で解決して尚且つ助けてくれたことについて、お礼言うわ、ありがとう」
「いえいえ、こちらもそちらの案件で少し関わることがありましたのでそのついでです」
「あら?メインではなくて?」
「結果的にメインになりましたが――そんなところですね」
「まぁ、それはそれとして、昨日付で送られてきた報告書、深夜なのに申し訳なかったわね、それで読ませてもらったけど…これが本当のことなら、これは英国史上最大の歴史改変になるわよ」
「――そうですね、真実なのですから…」
「このことは、保留にしておいていいかしら?まだ、具体的な物証がないし、このまま私の一存で改変を行ったら議会がどう動くかわからないし」
「そうですね――では、これだけはお願いします」
そう言うと、士郎は地図を取り出して、とあるところに小さく円を描いた
「――この円は?」
「はい、この円は
「それは、了承したわ、さっそくその土地周辺を買い取って、王族専用地にするわ、それは心配しないでちょうだい」
「ありがとうございます」
「気にしないで、あなたは英国を救ったのよ?」
「――いや、当然のことしたまでなんで、特に救ったって感じじゃないですよ」
「あら、そう?それで、報酬の話なんだけど」
「報酬?――善意なのでいいですよ?本当に」
「いや、一応君も悪魔でしょ?今回、働いてくれたことについては相応な代価をいただかないといけないんじゃないの?」
「相応の代価…いや、いいですよ、親友の両親を助けることに対価なんて必要ですか?」
士郎は、正論を言った。
「――まぁ、そうね、まぁ、士郎君がそう言うならいいわ」
そういいながら、士郎はコーヒーを飲み終わる
それから、立ち上がろうとする士郎
ガチャ
食堂の間の扉が開いた――現れたのは、長い金髪を左側で黒いリボンでサイドテールにしていて、長い黒いワンピースの胸元に赤いマークをついたもの腰のところを紐で止めながら着て、その上にこれまた膝まであるパーカー付きの白い半袖ロングコートに黒い手袋を着ているアルビスだった。しかも、目の下には星型の入れ墨?が二つ――おおかた魔力衣装のようなものだろ、しかもガム風船を膨らましているというおまけ付きだ。傍から見れば不良美少女?だ。
「あら、アルビス、どこかいくの?」
「えぇ、少しね」
そんな中、ソフィアさんは突如、なにかに気づいたようにポケットから携帯を取り出した
「――あっ、サーくんからだ~なになに、あぁ~了解、了解」
士郎とアルビスはその"サーくん"という言葉になにか覚えがあった。
「お母さん?それ、初めて見たけど…差し支えない程度でいいわ、誰から?」
「えっ?あぁ~アルビスには見せてなかったかしら?これ、私の携帯で、今のは古くからの友人よ?」
「ちなみに、名前は?」
「サーゼクスだけど…あら、話してなかったかしら?」
二人は顔を合わせる――それも驚いた様子で、そりゃそうだ、上司が母親と知り合いだったんだから
「「!?!?!?!」」
「全然、話してもらった覚えないわ」
「あら、サーくんとはそうね~中学生以来の間柄かしらねぇ~」
「(結構、長いんだ)」
そんな中
コンコン――メイドが一人中にやってきた
「陛下、お客様です」
「あら、結構早いわね――お通ししてちょうだい」
「はっ、かしこまりました」
そういうと、そのメイドが部屋からでる――数秒後
ガチャ――
ドアが開かれ――赤い髪の男性がさわやか笑顔で入ってきた。
そう、サーゼクス・ルシファー、本人だった。その登場に驚く士郎とアルビス
「「――(ご本人)!!」」
まさに御本人だった
「やぁ、久しぶりだね、ソフィア?」
「あら~サーくん、早いわね~」
「まぁな、こっちも用件が用件でね、それにしても、いつ以来だろうか?」
「アレは、私が高校か大学生の頃くらいかしらね?――
「おや、そんな昔だったか、昔は君も――散々やらかしてくれたからな」
「まぁね~若さの至よ?だって、あの時はねぇ~ちょっと、あの魔術結社のやりかたイラッってきただけだし?」
「それにしても、表面上では不明の爆発と処理していたのは驚いたぞ――それに行った時に、私でもびっくりな程焦土化していたじゃないか」
「だって、私が"イラッってきて、ちょっと本気をだしちゃったら、周りが焦土と化しましたなんて、国民に言えるわけないじゃない」
「周りがって・・・周りというレベルではないがな」
そういいながら、話していると――その隣ではアルビスがものすごい驚いた顔をしていた。そんな中
「あぁ、士郎君――ご苦労だった、それで指輪は?」
「――あぁ、ありますよ」
そう言うとバビロンから取り出す、士郎の手元に蒼い指輪が出てきた
「あぁ、確かに――
再びお礼を言われる士郎
「それにしても、サーゼクス様と、ソフィアさんってどんな関係なんですか?」
「あぁ~それは…だな」
ちょっと、サーゼクスが照れている、なにか聞いたらまずいのだろうか
「まぁ、あれだ、ほら、君は今代行者に所属しているだろ?そんな感じだ」
速攻で納得する士郎とアルビス
「まぁ、共に背中を合わせて戦ってた仲間かな?――今でこそ、
「あらあら、サーゼクスったら、そんな恥ずかしいこと言わないで、子供の前よ」
「事実じゃないか」
「久しぶりに冥界言ってストレス発散していいかしら?主にあなたの領地で」
「やめてくれ、レヴィアタンでもどうかわからない、
「あら、いいわね~軍隊相手にやるのも」
「やめてくれ、マジで」
サーゼクスが弱音を吐いた
「「(――なんつぅ、人なんだ…)」」
そうあっけにとられる二人であった
それから、しばらく談話をしている二人
そんな中
「んじゃあ、母さん」
「あら、そうだったわね、士郎君、任せたわ」
「???」
「まぁ、アルビスから色々聞きなさい、二人ともいってらっしゃい」
「――あぁ、はい、いってきます」
「いってきまーす」
そう言うと、士郎はアルビスに連れられ、一旦外に出た
「――さてと、目は覚めたかしら?」
「そりゃ、珈琲を頂いたんだからな?それでさっき、色々聞けと言われたんだが?」
「まぁ、事の顛末話すと、裏にローマ清教と『禍の団』がいるからっていえばわかるかしら?」
「おいおい、それって」
「えぇ、テロでやられたからちょっとお灸を据えにね――これがやり方よ?」
「ふーん、それで?」
「まぁ、母さんが言いたかったのは、守りなさいってことよ?OK?」
「あぁ、OK、んじゃあ、行きますか?」
そういうと、アルビスは歩き出す
「それにしても、正装じゃなくていいのか?」
「えぇ、いいのよ、大体、私もふつうの女の子よ?おしゃれ位はしたいものよ?ってか、こっちのほうが、目立たないし」
確かに、目立たないだろう。一般人から見れば、少し綺麗な女の子としか見えない
それから、士郎たちは、一路ロンドンに向かった。
「――さて、まぁ、どうしましょうかね?ワープで飛んじゃう?」
「まぁ、それが最善策かもな」
「そうね――んじゃあ、ワープ!!」
シュィィン!足元から魔方陣が展開される
瞬間的に光が包み込み、視界が暗転し次の瞬間、士郎たちはイタリアの街にいた
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グレモリー領での夏休みは、思いもよらない状態で終を告げた。その時、西の大国では、いまだかつてない歴史上最悪の窮地に立たされていた。さぁ、その国は守られるのだろうか・・・
英国編番外編第一部――スタート!!