No.547590 天使と悪魔の代理戦争 第八話夜の魔王さん 2013-02-22 23:57:39 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:765 閲覧ユーザー数:746 |
ひびが入ったレイジングハートだが、自己修復機能があるので大丈夫だそうだ。問題はレイジングハートの修復中はジュエルシードの封印が行えないことだが、フェイトちゃんと呼ばれていた女の子のデバイス――バルディッシュも同程度に破損していたので一方的に取られるということはないだろうけど……。
(一番の問題はいきなり現れたあの仮面の人だ)
突如現れてジュエルシードを簡単に封印し、フェイトちゃんとあの狼さんを軽くあしらい、あの二人をあっさりと倒した。――あれは半ば誤爆だったけど。
何より問題なのはあの人の目的が分からないことである。それはフェイトちゃんも同じなのだが、悪い子には見えないあの子とは違って、あの仮面の人は得体が知れなかった。仮面のせいかもしれない。
(考えても仕方ないや。僕はジュエルシードが発動した場合被害を食い止めることだけに専念しよう)
そんな僕の決意も虚しく、一日経ったらレイジングハートは完治した。
それで発動寸前のジュエルシードを察知して工場団地に来ると、そこには同じくフェイトちゃんも来ていた。近くには女性の姿の狼さんもいた。
あちらのデバイスの修復も終わったようで、彼女の手に黒い斧槍が現れる。それを見たなのはちゃんもレイジングハートは展開する。
「あの……フェイト、ちゃん?」
デバイスを構えたフェイトちゃんになのはちゃんがおそるおそる声をかけると、彼女は一瞬驚いた顔をした。
「……フェイト・テスタロッサ」
なのはちゃんはフェイトちゃんが名前を教えてくれた事に満足そうに微笑んだ。
「私は、フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど……」
「ジュエルシードは譲れないから」
フェイトちゃんはそう言ってバリアジャケットを纏い、それを見たなのはちゃんもバリアジャケットを纏う。
「私は聞きたい。フェイトちゃんがなんでジュエルシードを集めてるのか。どうしてそんなに、寂しい目をしているのか」
その言葉にフェイトちゃんは再び驚き、すぐに顔を引き締める。
「私が勝ったら、お話聞かせてくれる?」
その問いかけに対する返答はなく、二人はお互いのデバイスを構えて走り出した。二人のデバイスがぶつかるかと思ったその時、二人の間に水色の光が降ってきた。その光が収まると、光が落ちてきた場所には黒いバリアジャケットを着た少年が片膝を付いていた。
「そこまでだ!」
その男の子がそう言うと同時に、なのはちゃんとフェイトちゃんの手足に光の輪――バインドが巻き付いた。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」
そう言って少年が掲げた左腕には帯状魔法陣が球のように回っており、その中に身分証明書のようなものが浮かんでいた。
「時空管理局!」
(って何?)
隣で叫んだユーノくんは知っているようだが。どこかの役所だろうか?
「さて、詳しい事情を聞かせてもらおうか」
その時、彼にオレンジ色の魔力弾が襲いかかる。それはクロノという少年が展開したミッドチルダ式魔法陣の形をしたシールドに防がれる。それを放ったのはフェイトちゃんの使い魔さん。
クロノくんは攻撃していた狼さんに杖を向けたが、後ろになのはちゃんがいたために、使う魔法をドーム状のバリアに切り替えた。魔力弾が連続で振り、辺りに粉塵が立ち込める。
「フェイト!?」
狼さんの叫び声でフェイトちゃんのいた辺りを見ると、バインドを解除したのか粉塵を抜けてフェイトちゃんが現れた。ジュエルシードを取りに行くようだ。しかし、その後ろから水色の魔力弾が放たれ、フェイトちゃんが吹き飛ばされる。
狼さんは気絶しているのか、身動きをせず地面に横たわるフェイトちゃんの元に駆け寄り抱き上げる。魔力弾が止んだので粉塵が晴れ、その二人に杖を向けるクロノくんが見えた。その杖の先には魔力が集中しており、今にも砲撃魔法が放たれそうであった。
(え、気を失ってる子とそれを庇ってる子に砲撃魔法を撃つの!?)
「だめ! 撃っちゃだめ!」
そう思ったのはなのはちゃんも同じだったようだ。その叫びにクロノくんが気を取られた隙に、狼さんはフェイトちゃんを抱えて跳躍した。
クロノくんはその二人に杖を向け直すが、突如奔った緋色と象牙色の光にその行為を中断させられる。
「俺のフェイトに何してんだこのKY!」
「背を向けるレディに対して攻撃するとは……男の風上にもおけないね」
それを放ったのは毎度毎度ほとんど終わったときに現れる二人だった。
(何故か心の底から君たちが言うなと叫びたい……!)
この気持ちはなんだろう? 恐らくは苛立ちだ。
そんな葛藤をしている間に、二人はクロノくんのバインドに捕まっていた。
(あの二人はバインドで捕まえたのに、なんでフェイトちゃんにはバインドしなかったんだろう?)
あの二人こそ砲撃魔法で吹き飛ばせばいいのに。
クロノくんがふぅと一息吐いたとき、クロノくんの目の前に一人の女性が映った画面が現れた。
『ご苦労様、クロノ執務官』
「すいません艦長、
二組ってことは、あの仮面の人も来ていたのかな?
『んー……まあいいでしょう。そちらの方々をアースラにお連れして』
(……アースラって何だろう?)
どうやら、事態は更にややこしくなりそうです。
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時空管理局? アースラ? それって何?