ようやくなのはさんが登場w
予定通り十話くらいかかったなここまで。
次々回くらいからはバトルもまた変わってきますので。
それではどうぞ!!
「……そろそろか」
アリシアが本気でフェイトに魔法を使おうとしている少し前、戦っている最中だというのにも関わらず、フィルノ・オルデルタはそのような事を言い出した。
戦況的には五分五分の状態でどちらも譲らない戦いを、ユーノ・スクライアと共にしていた。だけど、フィルノが突然攻撃をやめて立ち止まったことに、ユーノは咄嗟の反応で攻撃を止めてしまった。
「そろそろって、なんのこと?」
「もう直にわかるさ。さて、この対決を止めるのは名残惜しいけども、個人的な理由で行動するわけにもいかないから、ここは撤退しておこうか」
「そう簡単に、逃がすと思ってるの――っ!!」
一気にフィルノへと近づき、一気に攻め込もうと突き進んでいった。
しかしフィルノはその様子を顔一つ変化させずに見ており、そして静かにゆっくりな動作で魔法を使用し、攻撃を|未然《・・》に防ごうとした。
「スティール・ウォッカー|III《トライ》――」
先ほどの名前とほとんど変わらない名前ではあるが、|I《アインス》と比べるとかなりの違いが見えていた。
咄嗟に危険を感じたユーノはすぐに近づくのをやめ、すぐに先ほどいた位置まで戻った。
「――ほう、気づいたか」
「べつに、なんか嫌な予感がしただけなんだけどね」
「成程、予感だとしたとしても避けた事だから教えてあげるよ。スティール・ウォッカー|III《トライ》は、先ほどのスティール・ウォッカー|I《アインス》とは性能がかなり違う。|I《アインス》の方は自分を守りながらも拘束させる効果があるが、ある範囲内に魔法や人が入ると防いだり拘束する事が出来るわけだ。ちなみにこれは空中も含まれたりもする」
「なっ、そんな出鱈目な魔法なんか!?」
「あるのさ。っていうか、それ言ったらなのははどうなるんだよ……」
見えていないというのにもかかわらず、攻撃も近づくことさえも不可能だった。
広範囲の防御魔法であり、かなりの厚さがあるという事を考えると、なのはのスターライトブレイカーも通らない可能性もあった。あまりにも出鱈目すぎる魔法に思えたのだ。
しかし、欠点がないというわけではない。実際、広範囲に防御魔法を展開するようなものなので、燃費が余りにも悪すぎる。それをユーノに知られるわけにはいかないためにも、ユーノにすら気づかれないように暗示をかけていた。思い込ませるくらいならば、ユーノでも解くことは出来ないだろうと思っての行動だった――
最後にフィルノはなのはの事を例えに出し、それを聞いたユーノもなぜかフィルノの言葉に納得してしまった。
「――まぁいい。それでは俺はこれで退避とするか。せいぜいこの後起こる悲劇から生き延びるんだな」
「ま、待てっ――!!」
ユーノがフィルノに近づけないことを知っていたので、すぐに転移魔法を使用し、ユーノの前から姿を消すのだった。
その直後、フィルノを守るように囲っていたスティール・ウォッカー|III《トライ》も解除され、その場には戦いの跡とユーノの姿しか残っていなかった――
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『予定通り準備ができた。これくらいで良いのか?』
「えぇ――これくらいしてもらえれば、ミッドチルダ全域に放つことは出来るでしょうね。一気に終わらせるよ」
フィルノがユーノから居なくなってから数分後、ナノハはフィルノからの連絡を受け、準備に取り掛かる事が出来る。
ナノハが居る場所は、ミッドチルダの遥か上空。今になっては余り着なくなったバリアジャケットを羽織っており、高町なのはとしての姿をしていた。
『しかし、そんな高さから魔力を集められるのか?』
「大丈夫。昔の私ならば無理だったと思うけども、今はセーゲブレヒドの魔法の力もある。このくらいの高さなら、ミッドに|散らばった魔力《・・・・・・・》を集めることなんて余裕だよ」
『ならいいが……』
そう――今までフィルノ達がしていたのは唯の下準備。フィルノ達と魔法で戦う事によって周囲に散らばった魔力を、大量に増やすためが目的だったのだ。
もちろんその理由は、ミッドチルダにどうしようもない攻撃を仕掛けるため。散らばった魔力を集束させるという事は、ナノハの必殺技でもあるスターライトブレイカーや、研究所の破壊やフェイトと対戦した時に使ったアクセル・コンプレッションなどのような魔法を使用するということ。しかもミッドチルダ全体という事ぐらいだから、最初で最後になるだろうくらいの魔法を放つ予定でいた――
「とにかく、アリシアちゃんとデュナとリィナは退避したの?」
『もう報告が回っている。お互いにその場から退避させる準備は出来ているようだから、ナノハが準備を始めるまでは退避しないようだけど』
「そう――じゃあ、私が集束を始めれば居なくなるのね」
『そういう事だ。それよりも、今回の攻撃は友達を殺すかもしれないのだぞ、それでもいいのか?』
フィルノとの会話で確認を大体し終えると、フィルノからそのような言葉がナノハに伝わってくる。これからやろうとしている事がどういうことなのか分かっているだろうが、最後の確認としてナノハに問いただした。
そしてなのはは、一度も迷わずにフィルノの質問にすぐに返した――
「大丈夫。とっくにその覚悟は出来てるから――」
『……そうか』
「それに、みんなそこまで弱いわけじゃないし、多分何とか生きてると思うよ。もし死んだときは、私がすべて背負えばいいだけだから――」
『そういうことか……』
ナノハの返答にフィルノは心の中で少し険しくしていた。ここ最近フィルノが思っていた事をなのはの返答を聞いて気になってしまったのだ。
それが何なのかはフィルノ以外には分からない。とにかくフィルノはそれをナノハに察しないように気にしていた。
「それじゃあ、そろそろ準備に入るから切るね」
『あぁ。それにしても、やはりその口調の方が俺にとってはやりやすいな』
「そう? まぁ、硬いと言えば硬いかもしれないかもね」
最後にそのような会話をして連絡を切ると、ナノハはミッドチルダがある足のさらに下を見つめる。右手に持っていたレイジングハートを先ほどより力強く握りしめた。
「――レイジングハート、準備は良い? 久しぶりにこっちの呼び方したかもしれないけど」
〈なにも問題ありません〉
「了解。それじゃあ、始めよっか」
刹那、ナノハの周辺の上空のあちらこちらに、桃色の巨大な球が幾つも現れるのだった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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