No.540482

こんな俺でも賊軍大将ぐらいにはなれると思う。第二話『偽名が欲しいのだがはっきりっていい案が無い』前編

第二話ですよ。どうやら今回は潜入&宝の奪還任務をするようです。

2013-02-05 21:33:41 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:918   閲覧ユーザー数:843

 

「偽名が欲しい・・・・・」

「は?」

そんな風に俺が考えたのは、俺が斬梅達と共に官軍達を潰し続けて暫くの事だった。

初めて会ったときから3ヶ月は経っただろうか。俺はその間斬梅達と行動を共にし、軍師見習い的な事をやっていた。

まあ他の奴らよか頭切れるし、戦略ゲーもかじってるからある程度の策略は練れる。だからそのポジにつかされたって訳だ。

え?初めて立った戦場はって?

いや、斬梅が『お前は平和なとこから来たんだから、まだ見せるには速い。少しずつここの生活に慣れてから見せる事にする』とか言って来たんでまだ立ってません。

 

気遣いがとっても暖かいなあ・・・・・・・そこまで気を回さなくてもダイジョウブなのに・・・・・・・

 

「だから、偽名。このまま名無しのゴンベで通すのはまずいっしょ?」

「いや、誰だよそのゴンベってのは・・・・・・まあ、確かにそうだわな」

「だろ?あーあ、偽名どうしようかな?」

そんな感じで会話しつつ、今日ものんびりと時間は過ぎて行く。

今日も空が青い・・・・・・・

 

 

「そういえばよ」

「ん?」

「最近妙な噂が流れてんだよ。しってるか?」

妙な噂、ねえ・・・・・・ああ。

「天の鎧の事か?眉唾もんだよな、実際」

「んー・・・・確かにな」

天の鎧。

最近大陸でまことしやかに囁かれ始めた噂の一つ。

天の力で造られた鎧が、この大陸のどこかに奉られていると言う。

うん。はっきり言ってうさんくさい。

まあ、お「俺みたいなのが居る時点で、眉唾物も何もない、ってか?」・・・人の台詞を取らんといてほしいな。

「ま、確かにそうだよな。もしかして、お前さん見たく未来から来たもんかもしれないぜ?」

「だとしたら奇妙な話だ。俺の世界では普通の物が祭り上げられてるかもしれないんだからな」

「確かにな」

しかし、天の鎧か。気にならないって言えば嘘になるな・・・・・・

もしかしたらここに留まるにあたって使えるかもしれんし。

「じゃあ世直しついでに探してみるか?」

「そうだな・・・・・・ま、宣伝くらいにゃ使えるか」

「さっすが斬梅!!話が分かるぜ!!」

「ま、無かったら無かったで関係はないしな」

「だな」

 

 

さて、そんなこんなの世直し旅。仲間も随分・・・・・・

「増え過ぎじゃねえか?」

「・・・・・・」

「おいこっちを向け斬梅。何目を逸らしてんだ。怒らないから、お兄さんに正直に言いなさい。食い扶持に困っていた奴が居たので受け入れました、と」

「・・・断りきれなかったんだ」

「はいはい言い訳乙。ったく、こっちも兵糧に余裕が有る訳じゃないのによ」

最近は、俺たちの軍も肥大化。なんつーか、斬梅の理想に魅せられる奴が多くこの軍団に入ってくる。

(ここまで今の漢王朝に不満を持っていて、なおかつ自分で変えてやろうかって言う志のある奴がここまで居るとはな。腐り過ぎだろ、漢王朝)

そんな訳で、その勢いは留まる事を知らないので兵糧が足りない。

 

しかし、兵の数が増える事は良いのだがその分の兵糧が無ければ話にならないし、さらに軍全体の兵糧を管理しているのは俺なので人が増えれば増える程計算は面倒になって行く。

さらに様々な作戦や、商会との交渉、その他知能面の仕事が、ほとんど俺に回って来る。

斬梅も手伝ってはくれるのだが、それでも圧倒的に人材が足りない。

「人手も欲しいよ・・・・・偽名と兵糧と一緒に」(ズバババババババババ)

「遠くの空を見つめつつ、片手を使って頬杖ついて、残った片手で計算やら作戦の作成やら地図の確認やらを終わらせているお前が言えた台詞か」

こんなん会社勤めの頃にやっていた仕事の量に比べれば屁の突っ張りにもならん。

 

 

そんなわけで・・・・・

「兵糧を買いに来ました。近くの街に」

「そうだな」

近くの街で買い物です。

賊が街で買い物、まあ確かに違和感を覚えるだろう。

俺たちは賊だが、他の賊共や悪徳官軍共を捻り潰す事で有名になっているので、官軍なんかよりも良い態度で接してもらえる。

人徳の差だ。(ドヤァ・・・)

だからスムーズに兵糧も買える。

そんな訳で買い物なのだが・・・・・・・

「うーん。やっぱりどこもそんなに余裕は無い、か」

やはり、街の商会で買えるとはいえそこには既に官軍やら他の軍が手を付けていると読んでいたのだが、当たりっぽいな。

軍と言うのは、どんなに物資が有っても困ると言う事は少ない。

他の官軍やら義勇軍が確保するのもおかしくはない。

まあそんな訳で量が少ないのは当たり前。少しでもかき集めるのが基本なのだが・・・・・・・

「いくらなんでも予想の3分の1は無いだろー。まいるーこれはまいるー」

これは少なすぎる。酷い、これは俺に対するいじめですか?

・・・愚痴っていても仕方が無い、いいぜ、こんだけの量しかないなら、

「使用して、試用して、私用して、施用し尽くしてあげましょう」

・・・・・っとと、素が出ちまったか?危ない危ない。

とりあえず、成果を持って帰還としますか。

「あのー・・・・・」

「ん?」

 

 

「・・・・・これだけか」

「これだけだ」

「・・・・・・まじかー!?やばくねえか、おい」

何言ってんだこいつは・・・・・・

「やばいに決まってんだろ。ま、どうにかはしてみるけどよ」

「・・・・・はあ」

「何ため息ついてんだ、お前さんがこの結果を招いたんだろうが」

「・・・・・申し訳の仕様も無い」

「ったく。まあ当てが無い事は無いがな」

けど、あれはなー・・・・・・面倒くさいし。

「あて?」

「・・・・・・・ああ」

 

 

「それで、街の宝物を取り返してほしい、と?」

「そういうこと」

俺たちが村長から受けた依頼は、以下のような物だ。

 

・ 街が持っていた宝物が賊に奪われてしまった。

・ 取り返そうにも村人だけでは返り討ち必至。

・ そこで加勢してほしい。

・ 報酬は兵糧。それもかなりの量のようだ。

・ 賊は街から向かって南にある山に潜伏。数もなかなからしい。

・ だから宝の奪還をお願いしたい。

 

兵糧が報酬だったので目に留まったのだが・・・・・・・

実は、簡単な様に見えて無茶苦茶面倒くさい。

まず、賊が潜む山は岩や崖が多く、自然の要塞状態。

山道を通らなければまともに動く事すら出来ないのだが・・・・・

無論その山道は完璧に賊に抑えられ、何十人もの見張りがついていて、山道の各所に武器の保管庫まで造られていて、おまけに山道を守るために山道の前に本物の砦が有る始末。

はっきり言って、そんな所を攻めるくらいなら、この少ない兵糧で四苦八苦する方がマシか知れない・・・と、俺は思った。

それにこの依頼、何でか知らないが違和感がある。

「どうする、こんな無茶な依頼受けるか?」

「・・・やるしか無いだろう。このまま飢え死にするぞ?」

「そうでもないぞ?もしかしたらなんとか・・・・・」

「いや、いくらなんでも無理だろう。さっき買った量も合わせても三日と持たん」

「・・・・・・兵糧の計算は俺の役目なんだが?」

「たまには楽したいだろ?」

「・・・まあな」

しかし。

「受けるにしても、何か考えは?」

「・・・うーん、ない」

「はあ、だろうと思ったよ。策なら練ってある」

「オー、流石!!我らが軍師サマだぜ!!」

困った大将様だよ本当に。

 

 

「・・・・・・・なあ」

「・・・・・・なんだよ」

「本当にこれしか策が無かったのかよ・・・・・」

「ねえよ。はっきり言ってこんな無茶苦茶な所に攻め入るには、こんなメチャクチャなやり方しか無いんだよ」

「だからつってなあ・・・・・・」

ここは賊の潜む山の中。

時間は夜。

依頼を受けた日から2日目。

「何で二人での潜入なんだよ!!」

二人だけで探索中だぜ☆

「しょうがないだろう。敵にばれず、被害を最小にしてなおかつ最も確実に宝物を取り戻せるのが、少数精鋭による潜入作戦なんだよ」

「だからつって俺とお前だけとか少数過ぎだろう!?精鋭には違いないが!!」

文句が多いな〜。ったく、作戦を俺に求めたのはどこのどいつだよ。

「っち」

「おいぃ!?まさかの舌打ち!?」

「シテナイヨ?」

「ええい白々しい!!」

はあ・・・・・・こんなんで潜入成功するのかね?

 

 

案ずるよりも産むが易しとはよく言った物で・・・・・・

「・・・・・・・」(ぼろぼろ)

「以外に出来たな」(傷無し)

無傷でこれました。敵の本拠地に。

「・・・てめえ、俺を盾にしまくってたから無傷なんだろうが〜!!」(肩掴みゆさゆさ)

「あっはっはっはっは(笑)」(ガクガク)

いや実際メチャクチャやばかった。

石つぶてが落ちて来て落とし穴が発動し下から木の杭が飛び出て来て虎が襲って来て熊の行進に遭遇し。

その度に俺の秘策『刹那の盾』で逃げ切って来た。(様は斬梅を使い捨ての壁にする事)

「その結果がこれだよ!!俺ぼろぞうきん状態じゃん!!死ぬかと思ったぞおい!!」

「なんだよ〜それくらいでへこたれる程斬梅さんは弱かったんですかね〜」

「さらに挑発かよ!?ええいもう頑張れば良いんだろ!!」

「始めっからそう言えば良いんだよ」

さて。

「ここか。敵の本拠地は」

「そのようだ。昔の採掘用の洞窟か、なるほど賊が根城にしそうな陰気な場所だ」

「俺らも賊だろう。それを言えるのか?」

「俺たちは賊は賊でも義賊なんだよ」

「そうかい」

「そうだよ」


 
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