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魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第四十四話 新年あけましておめでとうございます

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-02-03 08:06:18 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:39980   閲覧ユーザー数:35112

 『全員、OUT~』

 

 「「「「「あははははは」」」」」

 

 早いもんです。もう年末…大晦日です。

 今俺達は年末恒例の番組である『笑っ〇はいけ〇い』シリーズを観ている。

 これ観んと大晦日って気がせんからね。

 …もっとも俺は何も聞こえないのでテロップや映像を眺めるだけであまり笑えない。…面白そうに笑うシュテル達が羨ましい。

 メガーヌさんですらハマってるし。

 一応HDDに録画はしてるので聴力が戻ったら改めて観ようと思う。

 …しかしあのシュテルを笑わせるとはやるな、『笑っ〇はいけ〇い』シリーズ。

 

 時計はもうすぐ深夜0時……つまり年が明ける。

 でも皆番組に夢中で年が明けても気付かなさそう。

 声を掛けるべきかどうか…。

 

 「~~zzz…~~zzz…」

 

 ちなみにルーテシアは俺の膝を枕にして、もう夢の世界へ旅立っている。

 やがて壁に掛けている時計の長針と短針が『12』の所で重なろうとする直前にテレビはCMに入った。

 

 「相変わらず容赦のない刺客達ですね」

 

 「あのタイキックってどれぐらい痛いのかな?」

 

 「我は制裁のビンタの攻撃力が気になるな」

 

 「それらを受ける方はたまらないでしょうね」

 

 「地球にはこんな面白い番組があるのね」

 

 和気藹々と会話してるなあ。

 

 「《あー…皆さん。楽しそうな所済いませんがもうすぐ年明けですよ?》」

 

 俺の念話で五人が一斉に時計を見て時間を確認する。

 もう秒針は残り20秒を切っていた。

 

 「「「「《19…18…17…》」」」」

 

 シュテル達はカウントし出し、俺とメガーヌさんはそれを聞いている。

 

 「「「「《12…11…10…》」」」」

 

 今年ももう終わる。

 

 「「「「《5…4…3…2…1…」」」」

 

 そして

 

 「「「「《0!!》」」」」

 

 新たな年を今、迎える。

 

 「「「「「「《新年、あけましておめでとうございまーす!!》」」」」」」

 

 『パパンッ!』とクラッカーをレヴィが鳴らして皆一斉に挨拶する。

 でも何故にクラッカー?全く意味が分からん。

 

 「「「「「「《本年もよろしくお願いしまーす!!》」」」」」」

 

 …まあ、いいか。気にしても仕方ないし。

 ちなみに念話で挨拶したのでルーテシアは目を覚ます事無く熟睡中。起こすのが可哀相だからな。

 それにディアーチェも偉そうな言葉遣いではなく普通に挨拶している。

 メガーヌさんにはお正月がどういうものかを予め教えておいた。

 

 「(あっ、そうだ!)」

 

 俺は自分の側に置いてある充電中の携帯を取り

 

 「(『あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします』…っと、送信送信)」

 

 なのは達にも新年のあいさつをメールで送る。

 

 ~~♪~~♪

 

 手元の携帯に『メール受信』と告知された。送信して僅か12~13秒程しか経っていないのに。……早いなオイ。

 まずはアリシアから。次いでフェイト、すずか、なのは、アリサ、はやてと順に送られてくる。

 皆、『あけましておめでとう、今年もよろしく』と返事が返ってきた。

 全員年明けを迎えるためか起きてるみたいだ。

 シュテル達は再び始まった『笑っ〇はいけ〇い』シリーズに釘付けになっている。

 とりあえずルーテシアを部屋に運んで寝かしつけるか。

 俺はルーテシアを抱き上げてメガーヌさんの部屋に運ぶ。

 皆、俺が部屋を出て行こうとしても全く気付いてない。そこまでシュテル達を魅了している『笑っ〇はいけ〇い』シリーズ……マジパねえ。

 ちなみに俺の部屋には過去の『笑っ〇はいけ〇い』シリーズのDVDが全部揃っている。

 ……俺も好きだからな。

 

 30分後……。

 

 「《面白かった~!!》」

 

 レヴィの一言に皆『うんうん』と頷いて大層ご満足の様子である。

 

 「《そういえばユウキ、これからどうしますか?神社に初詣に行きますか?》」

 

 ユーリは初詣に行くか聞いてきたが

 

 「《俺は行かんよ?行くなら行って来たら?》」

 

 「《行かないんですか?》」

 

 『行かない』と答えておいた。

 

 「《ルーと一緒に行く約束してるからな。先に行った事がバレたら不機嫌になる》」

 

 ルーテシアに『[いっしょにおまいりにいこうね]』と既に約束してるのだ。

 ちなみにルーテシアはまだ念話とか出来ん。誰か通訳係が必要だ。

 俺の耳が聞こえなくなっている事を知ったルーテシアは

 

 『わたしがおにーちゃんのおみみをなおしてあげる』

 

 と言ってくれたとシュテルが念話で教えてくれた。

 あの一言は嬉しかったなあ(直接聞いた訳じゃないけど)。

 

 「《つー訳で行くなら行ってきていいぞ。俺はもう寝るから》」

 

 『ふああ…』と欠伸が出ると徐々に眠気がやってくる。部屋に戻るか。

 

 「《おやすみ~》」

 

 「「「「「《おやすみなさい》」」」」」

 

 俺は皆に挨拶をしてリビングを後にした………。

 

 

 

 目を覚ますと7時過ぎ…。

 パパッと服を着替え、まずは玄関の外にある郵便ポストを開ける。

 ポストの中にはまだ年賀状は届いていない。

 それを確認し終えた後、俺はキッチンに向かう。

 おせちは昨日の内に俺、シュテル、ディアーチェの三人で準備し、重箱に詰めている。

 そしてメガーヌさんに頼んで魚屋の雅さんの所で買ってきてもらった鯛の塩焼きも準備OKだ。

 あとは雑煮を準備すればいいだけだ。

 

 「(餅は確かこの戸棚に…あ、あったあった)」

 

 雑煮に入れる餅を戸棚から出しておく。今から煮込んでしまったら溶けてしまう。

 ……こんなもんか。後は皆が起きるのを待つだけだな。

 

 「《おはようユウキ》」

 

 っと、起きて来たか。

 最初に起きてきたのはディアーチェ。キッチンに顔を覗かせて挨拶してくれる。

 

 「《おはよう。何か手伝う事はあるか?》」

 

 「《特に無いな。皆が起きてから雑煮に餅を入れるぐらいか?》」

 

 「《そうか。なら今は皆が起きるのを待つだけだな?》」

 

 「《ああ》」

 

 二人でキッチンを出てリビングでお茶を飲んでまったりと過ごす。

 

 ガチャッ

 

 「おはよー!!」

 

 勢いよくリビングの扉を開け、ディアーチェに飛び込んできたのはルーテシアだった。

 

 「おはよう、ルー。メガーヌはどうした?」

 

 「ママはいまおきがえしてるー」

 

 「そうか」

 

 二人は何か会話してる様だ。

 

 「おにーちゃんおにーちゃん」

 

 こっちを向いてクイクイと服の裾をを引っ張るルーテシア。

 

 「???」

 

 「あけましておめでとー」

 

 笑顔で何か言っている。けど口の動き方から何を言ってるのかは何となく分かった。

 

 [おめでとうルー]

 

 スケッチブックに書いた文字を見せる。

 

 「???」

 

 首を傾げるルーテシア。まだ文字は知らないから仕方ないか。

 

 「ルーよ。ここに書かれているのは『おめでとう』という事だ《我が説明しておいてやる》」

 

 ディアーチェがスケッチブックに書かれている文字の説明をルーテシアにしてくれる。

 

 「えへへ、ありがとー」

 

 はにかんだ笑顔で今度は俺の方に抱き着いてくる。と、同時に

 

 「おはようディアーチェちゃん《おはよう勇紀君》」

 

 「「おはよう《おはようございます》」」

 

 メガーヌさんもリビングに現れた。

 

 「でぃあーちぇおねーちゃん、てれびつけていい?」

 

 「構わんぞ」

 

 ルーテシアがディアーチェと何か会話し、頷くディアーチェ。

 そしておもむろにリモコンを手に取り

 

 「???うー?」

 

 リモコンを見て首を傾げる。

 …ひょっとしてテレビでも観たいのか?

 

 「おねーちゃん、どれおせばいいのー?」

 

 「ルー、リモコンをテレビに向けてこのボタンを押せばテレビが点くぞ」

 

 「ほんと?…えーい」

 

 ルーテシアはリモコンをテレビに向け、電源ボタンを押すとテレビが点く。

 テレビの画面はどこかの神社の初詣の様子を映し、それをリポーターの人が解説している様だ。

 

 「《初詣か…。去年もこれぐらい沢山の人の群れが報道されていたな》」

 

 「《やっぱ去年は『行きたい』とか思ってたか?》」

 

 去年はなのは達に鉢合わせない様に家に残って貰った。俺も一人で行くのは気が引けるので一緒に家に残り、テレビ越しに初詣の様子を観ていたが。

 

 「《興味はあったな》」

 

 「《すまんね。今年からはもう引き籠もる必要無いから存分に堪能してくれ》」

 

 「《無論、そのつもりだ》」

 

 念話しながら食い入るようにテレビを観るディアーチェにルーテシア。メガーヌさんもそこそこ興味がありそうだ。

 

 「「「おはようございます(おっはよー!!)《ユウキ、おはようございます》《ユウ、おっはよー!!》」」」

 

 残りの三人。シュテル、レヴィ、ユーリもやってきて全員が揃った。

 

 「おせち!!早くおせちを食べようよ!!」

 

 何やらはしゃいだ様子のレヴィ。

 

 「今持ってきてやるから少し待ってろ《ユウキ、雑煮の準備をするぞ》」

 

 「《任せた》」

 

 「「私もお手伝いしますディアーチェ」」

 

 シュテルとユーリもディアーチェに着いて行く。

 すぐさまユーリがおせちの入った重箱を持ってくる。

 重箱は三段重ねで、ユーリが一段一段外し、テーブルの上に並べる。

 

 「わーっ」

 

 瞳がキラキラと輝き、おせちに釘付けになってる。

 黒豆、紅白かまぼこ、栗きんとん、数の子等々、和の料理をたっぷりと揃えた。

 

 「それとこれもです」

 

 シュテルは鯛の塩焼きを持ってくる。中々値は張ったがそれに見合うだけの美味さだろう。

 

 「うおおーーーっ!!」

 

 立ち上がって興奮しまくっている様子のレヴィ。

 何つーか分かり易過ぎる奴。

 

 「《後は雑煮が出来れば終わりだな》」

 

 と思っていた所に

 

 「《出来たぞ》」

 

 雑煮の入った鍋をディアーチェが持ってきた。

 お椀に雑煮を入れる。

 

 「ディアーチェ!!僕二個!!お餅二個だからね!!」

 

 「分かったから落ち着け。座って大人しく待て」

 

 何やら騒いでいるレヴィを座らせたディアーチェ。

 全員分の雑煮を入れ終え、

 

 「それじゃあ改めまして…」

 

 シュテルが口を開き

 

 「「「「「「新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします《新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします》」」」」」」

 

 「おねがいしまーす」

 

 全員揃って挨拶する。

 俺も皆の口の動きに合わせて声を出す。年明けすぐに挨拶した時は念話での挨拶だった。これは『ルーテシアを起こさない様に』という配慮をしていたからだ。本来ならこういう挨拶は声を出して伝えないと。ちなみにルーテシアを除く皆は念話で俺にも伝わる様に挨拶してくれる。

 

 「よーし、挨拶終わりー!おせちゲットだー!!」

 

 早速箸で小皿におせちを取っていくレヴィ。

 

 「落ち着きなさいレヴィ」

 

 そんなレヴィにシュテルが何か言っている。

 俺はおせちを適当に取りつつ鯛の塩焼きに箸をのばす。

 

 「ムグムグ(やっぱ美味いな)」

 

 鯛を堪能する。

 

 「うーまーいーぞー!!《うーまーいーぞー!!》」

 

 念話使って叫ぶなよレヴィ。

 

 「おぞうにおいしー」

 

 ルーテシアはさっきからおせちよりも雑煮をおかわりして食べている。どうやら雑煮を気に入った様だ。

 

 「《ユウキ、これを食べ終えたら神社に行きましょう》」

 

 「《初詣だろ?》」

 

 「《はい》」

 

 「《じゃあ皆揃って行くか》」

 

 おせちを食べながらこの後の予定についてシュテルと決めていくのだった………。

 

 

 

 おせちや雑煮を食べ、9時半過ぎに家を出た俺達。

 八束神社は予想通り人混みが半端無い状態だ。

 …那美さん、大丈夫なのか?ここの管理をしてる以上境内に居るのは確実だと思うが。

 俺達が石段を上り切り、人混みに呑まれない様、注意しながら賽銭箱の前まで辿り着いた。

 ここでする事をルーテシアに説明してから皆小銭を賽銭箱に放り込み各々が祈る。

 

 「(今年も皆、健康に過ごせます様に…それと皆が理不尽なO☆HA☆NA☆SHIをしてきません様に…)」

 

 簡単に祈った後、シュテル達を見ると皆まだ祈っている最中だった。

 

 「(ユウキが私の事を少しでも意識してくれます様に…)////////」

 

 「(今年もユウや皆と楽しく過ごせます様に…それと僕とユウがラブラブになれます様に…)////////」

 

 「(ユ、ユウキと我の距離が縮まります様に…)////////」

 

 「(運動音痴が直ります様に…出来ればユウキと幸せになれます様に…)////////」

 

 「(私達を救ってくれた勇紀君とその家族であるシュテルちゃん、レヴィちゃん、ディアーチェちゃん、ユーリちゃん、実の娘のルーテシアがこれからも幸せであります様に…)」

 

 「(ママとおにーちゃんとおねーちゃんたちと、いつまでもいっしょにいられますように)」

 

 皆何を願ってるんだろうか?

 そう思っていると皆、目を開けた。

 祈願を終えたようなのですぐさま移動する。

 ちょうど人混みから出た所で

 

 「勇紀くーん!ルーちゃーん!」

 

 「「「「「「???」」」」」」

 

 俺以外の皆が反応してキョロキョロし出す。どうしたんだ?

 

 「こっちだよー」

 

 皆がキョロキョロしていた顔を止め、ある一点の方を見ている。

 俺も皆に釣られて顔を向けると手を振っている那美さんの姿があった。

 

 「あけましておめでとうございます」

 

 近付いて来た那美さんが深々と頭を下げて何か言ってるが、年初めの第一声って大抵が挨拶だろう。

 

 「「「「「あけましておめでとうございます」」」」」

 

 「おめでとーございまーす」

 

 「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします那美さん」

 

 とりあえず挨拶して

 

 [それにしても今日は忙しいんじゃないですか?]

 

 俺は携帯で文字を打ち、画面を那美さんに見せる。スケッチブックは家に置いてきたからだ。

 

 「???勇紀君はどうして携帯を使っての会話なの?挨拶は普通にしてくれたのに…」

 

 [まあ、色々ありまして…]

 

 俺は事の顛末を話した。ちなみに認識阻害の結界を張ってるので周りの人達には普通の会話をしている様にしか聞こえない。

 

 […そうなんだ。凄い能力だね。でも凄過ぎるからこその代償って事かな?]

 

 […ですかねえ]

 

 那美さんも携帯に文字を打って俺と会話する。

 

 [勇紀君。私が勇紀君の症状診てあげようか?]

 

 [うーん。コレ、2ヶ月程の自然放置じゃないと治らないんですけど…」

 

 [そうだとしてもやってみて損は無いかも。ヒーリングなら案外治るかもしれないし…]

 

 那美さんのヒーリングか。懐かしいな。

 昔は何度かお世話になった事がある。那美さんは治癒術に長けているからな。

 

 [だから…ね?駄目元でもいいからやってみようよ?]

 

 [……じゃあお願いしてもいいですか?もし治るなら儲けもんですし]

 

 [!!うんっ!!勇紀君のお姉ちゃんとして、頑張っちゃうよ!!]

 

 意気込む那美さん。

 最近は那美さんも俺の『お姉ちゃん』を自称する様になってきた。

 ゆうひ姉さんやリスティさんの悪影響が出始めてる様な気が…。

 

 「なみおねーちゃん、くーちゃんは?」

 

 「久遠?今日は家でお留守番してるんだよ」

 

 「そんなあ…」

 

 ションボリと肩を落とすルーテシア。

 

 「《なあユーリ。何でルーは気落ちしたんだ?》」

 

 「《那美が連れている狐がいないからですよ。今日は家でお留守番らしいです》」

 

 「《…ああ、なるほど》」

 

 納得。最近は久遠の事『きつねさん』から『くーちゃん』へと呼び方が変わったからな。今まで以上に仲良くなっているのが分かる。

 

 「ゴメンねルーちゃん。今度は久遠も連れて来るから」

 

 「やくそくだよ?」

 

 「うん。お姉ちゃんと約束」

 

 二言三言ルーテシアと交わした後、他の皆とも会話する那美さん。

 ところで巫女さんとしての仕事はしなくても良いのだろうか?

 俺がその旨を皆と会話し終えたタイミングで那美さんに聞いてみると

 

 「ああっ!!そうだった!!まだお仕事の途中だったよ!!」

 

 何やら慌てた様子になる那美さんを見て

 

 「(やっぱり忘れてたんだ)」

 

 と思う。

 

 [じゃあ私、もう行くね。後よかったらおみくじでもやっていって]

 

 那美さんが神社の方へ行こうとして……何も無い所でコケた。

 相変わらずドジっ子属性を発揮してくれるなあ。

 

 「《ユウキ、私那美とはこれからも仲良くやっていけそうです》」

 

 そんな那美さんを見て親近感を覚えたらしいユーリが念話で言う。

 運動音痴同士、気が合うのかもな。

 

 「《…にしてもおみくじか。どうする?やってく?》」

 

 「「「「「ええ(当然)(うむ)」」」」」

 

 皆はやる気がある様で、さっそくおみくじをしに向かった。そこで…

 

 「あっ、勇紀さん達ですぅ~」

 

 見知った顔の集団がおりました。

 高町家の皆さん、テスタロッサ家の皆さん、八神家の皆さん、アリサと二人の男女(おそらくアリサの両親だな)、月村家の皆さん(ノエルさん、ファリンさん、イレイン含む)、ハラオウン親子+エイミィさん。

 ……凄い大所帯ですな。しかも女子の比率が高い(男子が俺、士郎さん、恭也さん、ザフィーラ、デビットさん、クロノ)。おかげで初詣に来た他の男性客の視線を集めまくってる。

 

 「「「「「「あけましておめでとうございます」」」」」」

 

 「おめでとーございまーす」

 

 俺達は皆に挨拶をし、皆も『おめでとうございます』と返してくれた。

 

 「《皆もおみくじか?》」

 

 「《そうだよ。祈願はもう済ませたしね》」

 

 「《そうか…後フェイト、髪型変えたんだな》」

 

 「《う、うん。髪をおろしてみたんだけど……へ、変かな?》」

 

 「《そんな事無いぞ。凄く似合ってる》」

 

 フェイトの髪型はSts原作同様、ストレートにおろし、髪の先端をリボンで結んでいる。

 

 「《っ!!あ、ありがとう(似合ってるって言われた。ふふっ、嬉しいな)》////」

 

 俺とフェイトは念話で会話する。それにしても…

 

 「「……………………」」(ゴゴゴゴゴゴ…)

 

 何故に俺は士郎さんと恭也さんから睨まれ、殺気を飛ばされているのだろうか?

 

 「《???勇紀君、どうしたの?》」

 

 俺とフェイトの側になのはが近寄ってきて念話で聞いてくる。

 そういえば俺、クリスマスパーティーの時、コイツにキス…されたんだよな(ほっぺにだが)。

 あの後は大変だった。必死に思い出さない様にしてもウチには見た目が瓜二つのシュテルがいるせいで、どうしても思い出してしまうのだ。

 結果、意識しない様になるまで4日かかった。その間、シュテル達には訝しげな目で見られてたし。

 

 「《???勇紀君?》」

 

 …っと、少しボーっとしてたみたいだ。

 というかなのはが近付いて来て更に二人からの殺気が上がったんだが…。

 

 「《なのはよ。お前ん所のお父さんとお兄さんは何故俺を敵視してるんだ?》」

 

 「《ふえ!?》」

 

 俺が指摘するとなのはが士郎さんと恭也さんの方に振り向いた。二人は未だに殺気をガンガン飛ばしてくる。精神的な疲労が半端無いんですけど。

 

 「(ハア~…一体俺が何したと?)」

 

 思わず心の中で溜め息を吐いてしまう。

 

 「(むっ!お父さんとお兄ちゃんのせいで勇紀君が疲れた様な表情してる。お父さんもお兄ちゃんも勇紀君に迷惑掛けてる。少しO☆HA☆NA☆SHIしないといけないの《勇紀君、私がお父さんとお兄ちゃんに言ってきてあげるの!》」

 

 そう言うや否やなのはが二人の方に近付いて行く。

 …何故だろうか?なのはの背後に凄まじいオーラを感じる。

 

 「……………………」(ガクガクブルブル)

 

 隣にいるフェイトも怯えて身体を震わせてるし。

 

 「お父さん!お兄ちゃん!ちょっとこっちに来て!!」

 

 「「(ビクッ!)な、何だなのは!?」」

 

 「いいからこっちで私とO☆HA☆NA☆SHIするの!!」

 

 なのはが二人を引っ張って何処かに連れて行く。

 その後、しばらくするとなのはが一人で戻って来た。…何してたんだ?

 

 「《おまたせなの♪》」

 

 何かやりきった様な清々しい笑顔を浮かべる。

 

 「《士郎さんと恭也さんは?》」

 

 「《二人共、しばらくは戻って来れないと思うの♪》」

 

 ……ホントに何したのさアンタ…。

 

 「《それよりユウキ。いつまでそこで話をしておるのだ?さっさとおみくじを引きに行くぞ》」

 

 ディアーチェが促すので俺は頷いてなのは、フェイトと一緒におみくじを引きに行く。

 他の皆は既に引き終えている様だ。結果は皆中吉や末吉を引いたらしく、凶や大凶を引いたのは誰もいない。…凄いなと思わざるを得ない。

 そんな中、俺もくじを引いてみる。結果は…

 

 『大吉』

 

 『よっしゃ!』と喜んだのも束の間。健康運、金運、恋愛運に書かれている…

 

 

 

 健康運…まあ、健康じゃね?

 

 金運…金欲しいなら働けや

 

 恋愛運…もげろリア充

 

 

 

 

 バシイッ!

 

 文面を見て俺はおみくじを地面に叩きつけた。

 何だよこの適当な内容は!!?悪ふざけにも程があんだろ!!

 メチャクチャ殺意が沸いたわ!!

 

 「(くぬっ!!くぬっ!!)」

 

 ダンッダンッと足でおみくじを踏みつける。

 

 「《ユ、ユウキ!?どうかしたのですか!?》」

 

 驚いた様子のシュテルが聞いてくる。

 

 「《おみくじの内容に殺意が沸いたんだ》」

 

 「《『大凶』でも引いたのですか?》」

 

 「《結果は『大吉』だけど内容がムカついた》」

 

 書いた奴、出てこい。

 俺は不機嫌なまま、なのはとフェイトがくじを引き終えるのを待つ。

 くじを引き終えた二人は

 

 「《私、大吉だったの》」

 

 「《私は中吉。勇紀は?》」

 

 結果を教えてくれた。

 

 「《俺もなのはと同じ大吉だ》」

 

 「《???その割には不機嫌そうだけど?》」

 

 「《…内容がな。にしてもなのは、凄く嬉しそうだな?》」

 

 「《えへへ…大吉引いたから》(私と勇紀君以外に大吉引いた人がいないみたい。お揃いなの♪》////」

 

 嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

 「集合!!集合ーーーーっっ!!!」

 

 「「にゃっ!?(わっ!?)」」

 

 なのはとフェイトが突然ビックリしてるけど、何だろうか?

 

 「どうしたのアリサちゃん?」

 

 「ああ、なのはは良いわ。フェイトはコッチ来て」

 

 「???分かった」

 

 テクテクと歩いて行くフェイト。そこにはなのは以外の女性陣がいた。

 

 「どう思う?」(ヒソヒソ)

 

 「どうもこうもないですよアリサ」(ヒソヒソ)

 

 「なのはちゃんの勇紀君を見る目が明らかに変わっとるな」(ヒソヒソ)

 

 「やっぱり?」(ヒソヒソ)

 

 「なのはちゃんも勇紀君に…って事だよね?」(ヒソヒソ)

 

 「ええ、ほぼ確定でしょう」(ヒソヒソ)

 

 皆こっちを見てはヒソヒソ話している。

 

 「《何話してるんだろうね?》」

 

 「《さあ?》」

 

 俺となのはは揃って首を傾げるのだった………。

 

 

 

 それから皆で臨海公園に移動してきた。なのはに何かされ(多分O☆HA☆NA☆SHIだと思うが)、気絶していた士郎さんと恭也さんは桃子さん、忍さんが家まで連れて帰るとの事で『ズルズル』と引き摺られて行った。保護者の人達もシャマルさん以外は翠屋に行くとの事で大人達はここに居ない。

 

 「ふはは。いつぞやのバドミントンの決着をここでつけてやるぞシュテル」

 

 「望む所です。絶対に私が勝ちます」

 

 絶賛羽根突き中のシュテルとディアーチェ。

 

 「ふっふっふ。やっぱり僕の凧が一番高く上がってるね」

 

 「まだまだ。私の凧をナメてもらっちゃ困るわよレヴィ」

 

 「全くだ。守護騎士をナメンじゃねえぞ」

 

 「皆の凧に絡まない様に…」

 

 凧揚げをしているレヴィ、アリサ、ヴィータ、すずか。

 実に正月らしい遊戯だね。

 ちなみにこれらは全て宝物庫から取り出した。

 

 「ねーねーおにーちゃん。ほかになにかないの?」

 

 「???」

 

 ルーテシアが服の裾を引っ張ってくる。

 

 「《『他に何か遊ぶ物は無いの?』って言ってますよ勇紀君》」

 

 シャマルさんが念話でルーテシアの言ってる事を伝えてくれる。

 

 「(他に…ねえ)」

 

 ルーテシアでも出来そうなやつか……。

 『うーん』と唸りながら宝物庫の中に収納してる物を思い出す。

 …正月の定番じゃなければいくらでもあるし。

 人目が無い所に行って道具一式を取り出し、戻ってきてルーテシアに手渡す。

 

 「???うー?」

 

 ルーテシアは道具を見て頭に『?』マークを浮かべる。

 俺が渡したのは液体の入った容器とストロー。

 

 「《おーい、はやてー》」

 

 「???」

 

 とりあえず近くに居たはやてを呼び寄せる。

 

 「《ルーにこれの使い方教えてやってくれないか?》」

 

 「《これって…シャボン玉?》」

 

 「《そうそう。頼んでもいいか?》」

 

 「《ええよー》」

 

 はやてに頼むと快く引き受けてくれた。

 

 「ルーちゃん。これはこのストローの先端を液体に付けて空気を送ってやると綺麗な玉が出てくるんやで」

 

 「たまー?」

 

 「そうや、綺麗やで。まあ実際にやってみせた方がええかな?ルーちゃん、それちょっと貸してくれるか?」

 

 「いいよー。はい」

 

 ルーテシアがはやてにストローと容器を手渡し、はやてがストローの先端に液体を付けた後、液体に付けた反対側の部分を口に含み、『ふーっ』と空気を送り込む。

 見る見るうちにシャボン玉が出来ていき、ストローから離れるとフワフワと浮く。

 

 「わーー♪」

 

 そんなシャボン玉をキラキラ輝かせた瞳で見つめるルーテシア。

 

 「じゃあルーちゃんもやってみ」

 

 ストローと容器を返すと早速ルーテシアはシャボン玉を飛ばし始める。

 

 「ふーっ、ふーっ」

 

 ストローの先端からシャボン玉が現れ、ストローから離れてから数秒フワフワと浮いた後、割れて壊れてしまう。

 

 「おもしろーい♪」

 

 またストローから空気を送り、シャボン玉を沢山作って楽しんでいる。

 

 「勇紀さん勇紀さん」

 

 「???」

 

 「リインもアレやりたいですぅ」

 

 今度はリインが俺の服の裾を片手で引っ張り、もう片方の手はルーテシアがやっているシャボン玉を指差している。

 

 「《『リインもやりたい』って言っとるよ》」

 

 ふむ…リインも興味津々か。まあいくつかあるからルーテシアと取り合いになる事は無いし。

 

 [準備するから少し待っててくれ]

 

 携帯で文字を見せると、頷いてくれたリイン。再び人目のない所で宝物庫からシャボン玉のセットを取り出してリインに渡す。

 

 「ふーっ、ふーっ」

 

 ストローの先端からシャボン玉が出来始める。ストローから離れてすぐに割れたが

 

 「で、出来ましたぁ♪」

 

 シャボン玉が出来た事に感動している様だ。

 それからリインもルーテシア同様、シャボン玉に没頭し始める。

 必死にシャボン玉を作っては、はしゃぐ二人。その光景は微笑ましいモノがある。

 

 「《なあなあ勇紀君。わたしもシャボン玉したいんやけど、まだシャボン玉のセットあるんかなあ?》」

 

 はやてが不意に聞いてきた。

 

 「《あるにはあるけど何でまた?》」

 

 「《なんや、あの二人がやってんの見とったら童心に戻って遊びたくなってもうてなあ…》」

 

 童心って……俺もお前もまだ子供だろうに。

 そう心の中で呟きながらも三度、人目の無い所でシャボン玉セットを取り出し、はやてに渡す。

 

 「《……で、まさかとは思うが君達もやりたいのかね?》」

 

 「「《うん!(はい!)》」」

 

 俺の側にまで来たなのはとユーリも力強く頷く。どうやらルーテシアとリインがやってるのを見てシャボン玉をやりたくなったらしい。

 シャボン玉大人気だな。

 そして道具を取り出すために人目の無い所へ行ったり来たり。

 

 「《ほれ》」

 

 これで宝物庫の中にもうシャボン玉セットは無い。

 ルーテシア、リイン、はやて、なのは、ユーリの五人はシャボン玉作りに勤しむ……が

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「わぷっ!」

 

 何やら悲鳴を上げた様子のなのはだけが失敗し、シャボン玉を作っている途中で割れてしまう。

 五人の中でなのはだけ、まだ成功していない。

 

 「《なのは、もう少しゆっくり空気を送り込んだらどうだ?》」

 

 「《うーん…そんなに一気に空気を送ってるつもりは無いの》」

 

 「《そうなのか?》」

 

 「《うん》」

 

 頷きながら再びシャボン玉を作り、膨らまし始める。

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「《わぷっ》」

 

 念話越しに驚いた声を上げる…。それにしても今回は『にゃっ!?』『にゃわっ!?』とか『ふえ!?』『ふえっ!?』っていう驚き方じゃないんだな。なのはのレパートリーの多さに少し興味が沸く。

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「《わぷっ》」

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「《わぷぷっ》」

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「《わぷぷぷっ》」

 

 「……………………」

 

 さっきから一向にシャボン玉が作れず割れる度に小さな悲鳴を上げている。

 

 「《…なあ、なのは》」

 

 「《???何かな?》」

 

 「《お前の好物ってハンバーグだったりする?》」

 

 「《にゃっ!?何で知ってるの!?》」

 

 何でも何もお前がシャボン玉作りに失敗して『わぷっ』なんて言って驚くと、涙を流さずにはいられない超名作のキャラが思い浮かぶからだよ。中の人同じなんだから。

 …ああ、頭の中でテーマ曲の『てんとう虫 -bug walk-』が流れ始めた。

 

 「《…何となくそう思っただけだ》」

 

 「《???》」

 

 疑問に思っている様だがすぐにシャボン玉作りに集中し始め、再び『《わぷっ》』『《わぷっ》』と念話で悲鳴を上げ始める。

 ひょっとしたらシュテルも同じような悲鳴を上げるのかねえ?

 …ヤベ、興味が出てきた。でもシュテルは今羽根突きに夢中だから後でシャボン玉を作らせてみよう。

 

 「《ユウ、僕もシャボン玉で遊びたい!》」

 

 「《レヴィ?凧揚げはどうしたよ?》」

 

 「《アリシアと替わった》」

 

 凧揚げ組の方を見ると確かにアリシアが参戦していた。

 

 「《残念だが、もうシャボン玉セットは無いから誰かが終わるまで待っててくれ》」

 

 「《え~!?》」

 

 不満そうなレヴィだが、無いモンは無いんだから仕方ないじゃん。

 

 「おおっ!?俺の嫁達!!こんな所で会うなんて奇遇だなあ」

 

 突然、和気藹々と楽しんでいた皆の雰囲気が一転し不機嫌なものに変わったのを肌で感じた。シュテルとディアーチェは羽根突きを、アリシア、アリサ、ヴィータ、すずかは凧揚げを止めている。

 どうしたんだ?

 隣にいるレヴィも鋭い視線で何かを睨んでいる様だ。その視線の先を追ってみると…

 

 「あけましておめでとう。今年も皆平等に愛してやるからな!」

 

 銀髪オッドアイの自称・オリ主…西条がいた。

 …なるほど、皆不機嫌になる訳だ。

 新年早々嫌ってる奴に会うなんて。

 

 「ところで…おいモブ!!テメエ何俺の嫁達を困らせてんだよ!!」

 

 何か怒りの表情を露わにして俺に言ってる様だが何言ってるのかサッパリ分からん。…予想はつくけど。

 

 「さっさと消えろ!!隣のレヴィも嫌そうな表情してんじゃねえか!!」

 

 何だか耳が聞こえない現状に初めて有難みを感じた様な気がする。

 

 「無視してんじゃねえよ!!」

 

 西条の顔が凄い形相になってるけど全然怖くない。瞳から光の消えたシュテルの表情と心の底から震える様な圧力に比べればこの程度余裕過ぎる。

 

 「止めてよ西条君!!どうして勇紀君に酷い事言うの!!」

 

 シャボン玉作りを止め、西条に憤怒してる様子のなのは。

 

 「おお!なのは!!今すぐそこのクズを始末するから待っててくれ。それと退院おめでとう。これも俺が毎日見舞いにいった結果起きた奇跡だな!!(まさかこんなに早く退院するなんて原作には無かった事だが、その分イチャつけるからこういう展開も有りだな」(ニコッ)

 

 「お見舞いに来たぐらいですぐ治る様ならお医者様は苦労しないの!!それになのはの事を治してくれたのは勇紀君だもん!!」

 

 「そこのモブが?…なのは、ソイツを庇ってやる必要なんて無いぞ。モブ如きがそんな事出来る訳が無え」

 

 「《レヴィ。なのはと西条は何を言い争ってるんだ?》」

 

 「《言わなくても分かると思うけど、アイツがユウの悪口言ったのに対してなのはが怒ってるんだよ》」

 

 「《なのはも無視しとけば良いのに…》」

 

 俺の為に怒ってくれるのは嬉しいけど、コイツにはそんな言葉全てが正確に伝わらないからな。

 

 「《そうだっ!良い事思い付いた!!ユウ、結界張ってアイツをバインドで縛り上げてくれない?》」

 

 「《???それは良いけどここだと人目につくぞ?》」

 

 「《大丈夫だよ。周りに僕たち以外の人はいないから》」

 

 レヴィに言われ、周囲を見渡す。

 …確かに俺達以外の人が居ない。さっきまでは確かに居たのに。何だか都合が良すぎる様な気もするな。

 

 「《ま、いいか。ほれ》」

 

 俺は結界を展開する。

 

 「《勇紀君!?》」

 

 突然の結界に驚いた様子のなのは。

 

 「ほう…モブの分際で最強オリ主の俺様とやろうってのか。身の程知らずとはテメエの為にあるような言葉だなあモブ!!」

 

 「(よう言うわ。以前勇紀君に完敗しよった癖に(第十話)。そんな事も忘れとるんか?)」

 

 はやてが呆れた表情で西条を見てる。

 とりあえずレヴィの言う通りにバインドで西条を縛る。

 

 「なっ!?テメエ、ジャケットすら纏ってない俺に不意打ちだと!?何て卑怯な奴だ!だがこの程度で俺が…」

 

 何か喚いてる西条の背後にレヴィが回り込み、

 

 「ユウの悪口を言うなあ~~~~っっっ!!」

 

 ドガッ!!

 

 無防備な西条の突き出されている尻に思いきり蹴りをかました。……身体強化付きで。

 

 「ひぎい~~~~~~~~~っっっ!!!!」

 

 そのまま吹き飛んで地面に倒れる西条。口からブクブクと泡を吹いて完全に意識がとんでいた。

 

 「《ふう~っ。良い事した後は気持ちが良いなあ♪》」

 

 清々しい笑顔を浮かべ、汗を拭う仕草をするレヴィ。

 

 「《……レヴィさん。今のは?》」

 

 「《昨日の『笑っ〇はいけ〇い』シリーズでやってた罰のタイキックを真似してみたんだけど?僕の蹴りならどれぐらいの威力があるかなあって》」

 

 つまり西条はレヴィのタイキック(身体強化付き)の威力を測る為の実験体にされたって訳か。

 ……哀れな奴。

 完全にノビている西条を見ながら俺は結界を解く。

 

 「レヴィ。素晴らしいキックだったぞ」

 

 「ええ、見事な一撃でした」

 

 「勇紀の悪口言ったんだからあれぐらいは当然だよね」

 

 「えへへ~。それ程でもないよ~//」

 

 ディアーチェ、シュテル、アリシアを始め皆がレヴィを囲み、レヴィ本人は照れている様子。

 ひょっとして褒め称えられてるのか?

 

 「《シャマルさん。あそこで怪我人が倒れてるんですけど?》」

 

 「《放っとけばいいんじゃないかしら?》」

 

 温厚なシャマルさんにまで冷たく見放される西条。

 ……ホントに哀れな奴。

 

 「おにーちゃん」

 

 ルーテシアが駆け寄ってきた。

 

 「おなかすいたー」

 

 「《ルーちゃん、お腹が空いたって言ってますよ勇紀君》」

 

 シャマルさんが通訳してくれる。携帯の時計を確認すると

 

 「(もうお昼前か。じゃあ家に帰っておせちの残りでも食うか)」

 

 「《勇紀君勇紀君。もし良かったら翠屋に来ないかな?お母さん達も翠屋に居るからお昼ご飯の用意してくれると思うの》」

 

 なのはからお誘いを受けた。

 

 「《そういやメガーヌさんも行ってる筈だな。でも良いのか?翠屋にお客さん来てるかもしれないのに》」

 

 「《三が日の間、翠屋はお休みなの。だから貸切り状態だよ?》」

 

 なら行っても問題無い…のかな?

 

 「《士郎さんと恭也さんが目を覚ましてたならまた睨まれそうな気がするんだが…》」

 

 「《大丈夫!お父さんとお兄ちゃんにはしっかりO☆HA☆NA☆SHIしておいたから。まだ懲りない様ならお母さんにも手伝ってもらうの》」

 

 …士郎さんと恭也さんに心の底から同情する。

 

 「《…まあ、いいか。折角の招待だし受けさせて貰うよ》」

 

 「《分かったの!じゃあ行こう♪》(まだ勇紀君と一緒に居られるの。お話も一杯したいし、凄く嬉しいな)////」

 

 俺達は遊び道具を片付け、翠屋に向かう。

 その際、ルーテシアとリインと手を繋いで歩いてたが、後ろからついてくる皆の視線が凄く痛かった………。

 ~~おまけ~~

 

 「《シュテル、これやってくれないか?》」

 

 「《???シャボン玉ですか?》」

 

 「《ああ、なのはが全然上手く出来なくてな。お前も『出来るのかなあ?』と思って》」

 

 「《(むっ)心外ですよユウキ。私はなのはとは違います》」

 

 「《分かってるよ。何となく思っただけだから》」

 

 「《でもユウキの目には疑問の色が浮かんでます。…良いですよ。貸してください》」

 

 俺からストローと容器を受け取り、シャボン玉を作り始める。

 

 プーーーッ………パンッ!

 

 「《わぷっ》」

 

 「(やっぱり『わぷっ』って言っちゃった!!?)」

 

 なのはとシュテルがシャボン玉を作ろうとすると必ず失敗し、悲鳴が『わぷっ』になると言う新事実が発覚した瞬間だった。

 …ついでに悲鳴を上げたシュテルの表情は非常に可愛らしいモノだった………。

 


 
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