一夏は今の状況を理解出来なくなっていた。
さっきまでいた場所とは違いまわりは真っ白い空間。
その空間にいるのは自分と目の前にいる黒人の女の子。
「えっと・・・・・君は・・・・・・・」
「あなた、デュナミスト?」
「どうしてそれを!君は!」
「ふ~ん。そっか~、ジュンと同じ人なんだ。」
「ジュ、ジュン!?」
「ねえあなたに聞いていい?」
「な、何だ?」
「あなたは今から彼女の元へ行こうとしたわよね。」
「そうだが。」
「これを見て。」
突如空間にある映像が映し出された。そこに映っていたのはセシリアとサイレント・ゼフィルスが戦っている光景だった。
「!セシリアッ!」
サイレント・ゼフィルスの銃剣がセシリアの肩を貫く。
「ッ・・・・・!」
「これは未来の光景。」
「何だと!」
「今のままで行ってもあの子はこうなる。それでもあなたは行くの?」
「当たり前だ!」
「・・・・・・それが運命だとしても?」
「運命は自分で切り開くものだ。もしそんな未来があるなら俺はそれを破壊し、次の未来を作る!」
「・・・・・・そう、よかった。」
「・・・・え?」
「今あなたを試したの。もしここで諦めたら私はあなたを失望したわ。でもあなたはそれでも変えてやる思い出いく覚悟を私に見せてくれた。」
「・・・・・・・・」
「今からあなたに新しい力をあげるわ。さっきの未来を変える力を。」
「君は・・・・一体・・・・・・」
「私はセラ。」
「もしかして君は!」
「行かないと、あなたを待っている人の元へ。」
セラは姿を消した。
一夏にはセラの姿が頭に残っていた。
昔一夏が姫矢がデュナミストと知ったときにはじめて手にした姫矢の写真集・『戦場に生きる命』の最後のページに載せられていた写真。
そこに写っていた写真は河で笑顔で笑っているセラの写真。
「一夏。」
「!戻ってきたのか・・・・俺・・・・」
「何を言っているんだ、お前は?」
「そうだ!箒、『絢爛舞踏』を発動してくれ!」
「あ、あれは・・・・」
一夏が箒の肩を掴んだ。
「頼む!誰かが傷つくのはもう見たくないんだ!」
「一夏・・・・・」
箒は瞳を閉じて意識を集中させる。
「私は・・・・・・一夏と共に戦いたい。力になりたい!応えろ、紅椿!」
箒が言い放った途端、箒に触れている肩から暖かな奔流を感じた。
「一夏、成功だ!『絢爛舞踏』が発動した。」
「ああ!ありがとう、箒!」
一夏はセシリアのいる方向を向き、左手を胸にかざし、振り下ろした。白式はアンフファンスからジュネッスに変わった。
「皆、少し離れてろ。」
一夏は右拳を左ひじに付け、大きく左から右に回す。
「あれって・・・・・」
「まさか!」
「はあああああ!」
一夏は右拳を突き出した。
拳からは光線が放たれ、円状にゲートを形成していく。。
ネクサスの技・フェーズシフトウェーブである。
「行ってくる。」
一夏はゲートへ飛び込んだ。
「はああああああああ!」
「ふっ。」
セシリアとサイレント・ゼフィルスの戦闘は激しさを増していた。
セシリアに向けサイレント・ゼフィルスの銃剣がセシリアに向けられる。
セシリアは背筋が凍り、鳥肌が立った。
・・・・・・・・・もう・・・・・・だめ!
そう思った刹那であった。
「諦めるな!」
「え・・・・・・」
その言葉と同時にサイレント・ゼフィルスのライフルが拳によって粉々に砕かれた。
そこにいたのは・・・・・
「一夏さん!」
「待たせたな、セシリア。」
一夏はサイレント・ゼフィルスに周り蹴りを喰らわした。
「大丈夫か!」
「え、ええ・・大半の装備は破壊されてしまいましたが通常時に使っているライフルが残ってあるのが幸いですわ。」
「わかった。セシリア、ここでいつでも打てるように準備していてくれ。」
「い、一夏さんは!」
「あいつを抑える。」
一夏はマッハムーブを使いサイレント・ゼフィルスに急接近する。サイレントゼフィルスはブレードを片手にコールし一夏に向けて横に振るが一夏はその手を片手で受け止め、サイレント・ゼフィルスの拳を砕く。
「なっ!」
一夏はサイレント・ゼフィルスを両手で押さえる。
「セシリア、撃て!」
「で、でも・・・・そんなことをしてもし外したら!」
「ふっ、そんなことも出来ないのか。」
「なんだと。」
「所詮貴様は弱い。貴様らのような奴にこの私が負けるはずがない。」
「くっ・・・・・・」
サイレント・ゼフィルスの言葉に言い返せないセシリア。だがその時!
「ふざけんじゃねえ!」
一夏の声が空気を伝わり響き渡る。
「セシリアは守るために今までたくさんの努力をしてきた。テメエなんかに語られる筋合いはない!」
「一夏さん・・」
セシリアはライフルを構える。
だがライフルを向けている先には一夏の背中がある。狙っているサイレント・ゼフィルスは反対側にある。しかも激しくもがいているため。当てるのは非常に困難を極めていた。
だがセシリアはイメージを頭に浮かべトリガーを引いた。
放たれたレーザーは少し前に進むと拡散した。
「はっ、失敗だな。」
「それはどうでしょう。」
「何!」
拡散したレーザーはサイレント・ゼフィルスの背中へと集まっていく。
ドォォォォォォォォォォォォォン
「ぐああっ!」
セシリアの放ったレーザーはサイレント・ゼフィルスの背中に命中し爆破を起こした。
一夏はサイレントゼフィルスから距離を置いた。
「この・・・」
サイレント・ゼフィルスが抵抗しようとした途端、突如苦しみだした。
「グッ・・・・・・あああ・・・・・・ぎゅああああ!!!」
「な、何だ・・・・」
「一体・・・・・」
「貴様・・・・・何故消えない!貴様はとっくの昔に死んでいるんだぞ!」
サイレント・ゼフィルスの言っている言葉を理解で気無い一夏達。
そんなときにサイレント・ゼフィルスに通信が入った。
「はぁ・・・はぁ・・・スコールか・・・・。わかった、帰投する。・・・・・・・なんでもない!」
サイレント・ゼフィルスは一夏達の背を向け去って行った。
「大丈夫か、セシリア。」
「え、ええ。・・・あの・・・・一夏さん。」
「何だ?」
「ありがとうございますわ。一夏さんのおかげで目標としていたものがつかえるようになりましたし・・・・それにあの時助けていただいて。」
「いいや、俺はたいしたことをしてないよ。」
「・・・えっ!」
「お前は仲間を守りたい思いでさっき撃った。あいつになくてお前にあるもの、それは守るべき存在だ。それを忘れないでくれ。」
「・・・・・・はい。」
Tweet |
|
|
4
|
1
|
追加するフォルダを選択
突如白い空間に立たされた一夏。目の前の黒人の少女が見せるものは・・・・