『キャノンボール・ファースト』の事件で事情聴取されて時刻は午後三時三十分。こんなに早く終わったのは一夏がISの撮影モードを起動させていたためである。
セシリアの行動は独断であったものの一夏が上手く言いくるめてくれたおかげで短めの説教で終わった。
そして今一夏達は・・・・
「お~い、一夏~。」
「何だ、榊?」
「ポテトサラダこんな感じでいいか?」
「おお、そんな感じだ。」
一夏の家で一夏、伊御、榊、弾の四人が台所で料理をしていた。
その光景を箒達と楯無達、みにわ達に蘭がリビングに座ってみていた。
「しかしこうして男の子が料理をしている光景はいいんじゃけどなんかもう一つたりにゃいような~。」
「まあ男子が台所に立っている光景ってなかなか無いしね。」
「そうですわね。」
「エプロンを着ているとなんか新鮮感が沸きます~。」
そんな女子達の言葉を聞いて榊が一言。
「つまり服は脱いでエプロンだけ着ろと?」
皆(一夏、伊御、弾以外)はずっこけ、姫は鼻血を吹いた。
「「「変態だ!!」」」
「そう。蝶がさなぎから成虫に変わることを変体という。」
「「「字が違う!!てか真顔で言うな!!」」」
「せーのっ。」
『一夏(織村君、おりむ~)、お誕生日おめでとうっ!』
シャルロットの合図でみんなの手に持っているクラッカーがぱぁぱぁんっと鳴り響く。
「皆、ありがとな。」
だがこの人数は流石にすごい。
改めて整理すると箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ。それに蘭。それに男友達の弾に数馬、伊御に榊。みにわに真宵に姫。
さらには生徒会メンバーの楯無さんにのほほんさんに虚さん。
その上新聞部のエースの黛薫子さんまでいると、そんなに広くないリビングもパンク寸前だ。
「あの、一夏さん。ケーキどうぞ。」
「ありがとな、蘭。」
一夏はケーキを口に運ぶ。
「美味いな。いい嫁さんになれそうだな、蘭。」
「そ、そうですか・・・・」
蘭が顔を赤くしていると伊御の悲鳴が聞こえてきた。
「どうした、伊御!?」
「つみきが・・・・」
「つみきさんが微炭酸を飲んで酔っ払って噛んでいるんじゃよ。」
「微炭酸で酔うの!?」
「まさか一夏と同じタイプがいるとは!」
「世界って広いのね。」
共感する箒達であった。
「榊。」
「なんだ、一夏?」
「お前の持ってきたこの『レジアルジンジャーエール』ってなんだこれ?」
「はっはっは、背中の味が口の中でバルスするぜ。」
榊がコップに入ったジンジャーエールを飲もうとする真宵とぶつかった。
そしてジンジャーエールは榊の目に!
「目が!!!!!目がぁぁぁ!!!!」
「背中の味が目に!」
「背中の味ってなに!」
箒達一同は一夏達の作った料理を食べて思ったことを口にした。
「なかなか美味いな、この料理は。」
「一夏さんたちが作ったとは思えませんわ。」
「そういえば料理で思い出した。」
「なに、鈴?」
「前に伊御たちが学園祭でクレープ屋やった話したでしょ。」
「そういえばあったな。」
「伊御がクレープ作ったときにお客さんにスマイルオーダーされたのよね。」
「それで?」
「『ここでですか?それともお持ち帰りで?』って答えたらしいわ。」
「「「「強烈すぎ!」」」」
「ってあれ?一夏は?」
「そういやいないな。」
「伊御、一夏知らない?」
「ああ、ちょっと夜風に当たってくるって外に出ているぞ。」
箒達が見るそこにはポケットに手を入れ、空に顔を向けて立っていた。
あの時・・・・・・あいつは苦しんでいた。だがなんであんなこと言ったんだ?
『貴様・・・・・何故消えない!貴様はとっくの昔に死んでいるんだぞ!』
誰に向かって言ったんだ?あそこには俺とセシリアとあいつしかいなかったはずだ。誰がいたんだ?それに・・・・
一夏はエボルトラスターを手に取った。
あのときこいつは鼓動していた。でもなんでだ?まあ・・・・・・今日はもう考えないようにしよう。
そんなことを考えるのをやめて一夏はエボルトラスターを収めた。
そんなときに弾と虚の姿に気付く。一夏は息を殺して耳を立てて聞く。
「ま、また会えましたね。あはは・・・・」
「そ、そうね。」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「「あのっ。」」
しばらくの沈黙の後に二人同時に口を開く。
それぞれにハッとして顔を逸らした。
「そ、そちらからどうぞ・・・・」
「い、いえ、そちらから・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・」」
そしてまた沈黙。
・・・・・・弾、結構純情なんだな。
一夏は手に持っていたゴムボールを弾き飛ばす。
弾き飛んだゴムボールは虚の前を一瞬で通り過ぎた。
「きゃっ!」
「あっ!」
バランスを崩した虚を弾が支える。
顔の距離は目と鼻の先になった。
二人の顔はさらに赤くなった。
「だ、だだだだだ、大丈夫ですか!?」
「へっ?えええええええええええ、ええ!?」
一夏はゆっくりとその場を離れていく。
上手くやれよ、弾。
「お、よかった。売り切れはないな。」
家から最寄の自販機に一夏はジュースを買いに来ていた。
理由は足りなくなったジュースを買いに来たためだ。他のみんなは今日の主役にそんなことさせるわけにはいかないと言ってたけど一夏の押しで何とかできた。
一夏は取り出し口からジュースを取ってビニール袋に入れる。一夏が戻ろうと思うと自販機の明かりが届かないところから人影が見えた。
一歩、二歩と踏み出してきた人影は外見は千冬と似ているが何処か恐怖感が湧き出る感じがしていた。
「また会ったわね、織村一夏君。いえ、デュナミストかしら?」
「っ!お前まさか!」
「そう。サイレント・ゼフィルスの操縦者よ。」
「私の名は
織村マドカ。」
「なっ!」
マドカは黒い棒状の物を片手に持ち一夏に向けた。
黒い棒状のものからは黒い光が一夏に向けて発せられた。
Tweet |
|
|
3
|
1
|
追加するフォルダを選択
『キャノンボール・ファース』の事件から時間は少し流れて一夏の家。リビングはお客でいっぱいになっていた。