注意
この作品はオリ主、オリキャラが出ます。
なので苦手な方は戻るを押して下さい。
キャラ崩れ、台詞間違い等があるかも知れませんが、温かい目で見て頂ければ幸いです。
朝日の射し込む森の中、川のせせらぎが辺りに響く。
その音を聴きながら川の近くにある岩に腰掛け、静かに水面を眺める青年が居た。
青年の名前は姜元。字は伯伏。真名を神威という。
顔はそれなりに整ってはいるものの、無造作に伸ばされた黒髪がその表情を僅かに隠している。
そして前髪から覗く双眸は鋭く、冷静で落ち着いた青年の性格を良く表していた。
服装は上下共に黒一色。シンプルで簡素な物を着用していて、その服の下の肉体は細身ながらも鍛え抜かれガッシリしている。
~神威~
「………やはり此処は落ち着くな。」
日々の日課である鍛錬を終えたばかりの身体は汗ばみ、水辺の冷えた空気が心地良く感じる。
肩よりも僅かに長く伸ばされた後ろ髪が汗で首に貼り付き、それを鬱陶しそうに払いのけると静かに瞳を閉じる。
川のせせらぎと森を吹き抜ける風の音に耳を傾け、静かに時間を過ごす。
どれ位そうして居ただろうか、気付けば鍛錬で暖まっていた身体から完全に熱が引いていた。
不意に誰かが近付いてくる気配を感じ、視線を森の木々に向ける。
暫くして姿を現したのは、一人の少女だった。
端整な顔立ちで、可愛いよりも綺麗といった表現の方が適切だろう。
きっちりと整えられたストレートの茶髪を背中まで伸ばし、それが白く清楚なドレスのような、それでいて動きやすさを追求した無駄の無い装飾の服装に良く映える。
腰に巻かれた緑の帯が歩く度にひらひらと揺らめき、それが彼女の姿をより引き立たせているようだ。
「やっぱり此処に居たんですか、兄さん……もう、あれ程お昼には帰ってくるように言ったじゃないですか!」
神威の姿を確認すると呆れたように溜め息をつき、走って目の前まで来ると怒り心頭といった感じに詰め寄ってきた。
見上げる瞳は細められ、気の強さの現われであるつり目がちな瞳で此方を睨む。
少女の名は姜維。字は伯約。真名を風花という。
神威の妹であり、唯一人の家族。五年前に両親を亡くしてからは家の事などを一人でこなしてくれた本当に良く出来た妹だ。
もっとも、二年位前に無理が祟って倒れてからは侍女を数人雇ったのだが。
「もうそんな時間だったのか……すまない。」
ちらりと空を確認すると既に太陽は真上にあった。
どうやらかなりの時間ぼーっとしていたようだ。
「全く……お昼ご飯の準備して待ってたのに。この前だって約束を破ったじゃない。」
「………言葉も無い。急いで今から帰―――」
「もう侍女の人達と全部食べちゃいました!」
「む………」
ふいっ、と膨れっ面でそっぽを向かれてしまった。どうやらかなりご立腹のようだ。
どうしたものかと困ったように苦笑する。
とりあえず妹の機嫌を取ろうとあれこれ考えてみるが良い手が思い付かない。
仕方なく妹の頭を優しく撫でてみる。
「なっ!に、兄さん……!?」
急に頭を撫でられたからか風花は顔を真っ赤に染め、上擦った声で慌てて此方を振り向く。
「不甲斐無い兄ですまないな……これからは気を付ける。色々とありがとう、風花。」
出来るだけ優しく頭を撫で、少しでも気持ちが伝わるようにと腰を屈め視線を合わせると、心からの気持ちを込めて微笑む。
「な…あ…あ……」
すると何故か風花は真っ赤な顔のまま目を見開き、口をパクパクさせている。
「………どうした、大丈夫か?」
「ひゃあ!だだだだ大丈夫!大丈夫ですから!」
反応の薄い風花の態度が心配になり顔を覗き込むと、風花は可愛らしい声を上げ慌てて手をばたつかせながら後ずさる。
「大丈夫なら構わないが……」
多少の心配は残るが、本人が大丈夫と言っているので仕方なく納得する事にした。
「むぅ~……兄さんのバカ………」
そんな此方の心配を他所に、風花は真っ赤な顔のまま目尻に涙を浮かべながら小声で非難してくる。
「はぁ……兄さんがこういう人だって分かってたのになぁ。不意打ちなんて卑怯だよ……」
「……ん?何か言ったか?」
「な、何でもありません!それより……はい、これ。」
そう言って手に持っていた包みを此方に突き出す。未だに顔は赤いままだが、どうやらもう怒りは収まったらしい。
「これは?」
「お弁当に決まってるでしょ?」
「……さっきは全部食べたと言っていただろう。」
「兄さん……私がそんな薄情に見えますか?」
「………」
「な、何か言って下さいよ!こんな可愛い妹が態々お昼を届けに来たんですから、少しは喜んでくれたって良いじゃないですか!」
「……ふっ、冗談だ。風花は優しいな、とても嬉しいよ。」
コロコロと変わる風花の表情に思わず苦笑を漏らしてしまう。
だがそんな妹の心遣いを嬉しく思い、愛情を込めて頭を撫でてやる。
「全く……兄さんったら。ふふっ♪」
最初こそ不満げに此方を見上げてきたものの、直ぐに嬉しそうに笑顔を浮かべ撫でられるのを受け入れてくれた。
そんな風花を眺め、微笑みを浮かべながらも神威は思う。
この笑顔を必ず守ってみせると。
だからこそ強くならねば………今でこそこうして笑ってくれてはいるが、両親を失った時に風花は一度この笑顔を無くしてしまった。
もう二度と、妹にあんな顔はさせたくない。出来る限り幸せに笑っていて欲しい。
その為にも少しでも強くならなければならない。
せめて、愛する者達が笑っていられる場所を守れる位には………
風花の笑顔に自分の願いを、誓いを再確認すると身体に力がみなぎってきた。
(些細な事かも知れないが、こんな幸せな日々がいつまでも続く事を願おう……ん、今日はもう少しだけ鍛錬をしていくとするか。)
大切な妹の笑顔を眺めながら、神威は幸せそうに……だが何処か悲しさを含む陰のある微笑みを浮かべていた。
それはそう、誰もが抱くささやかな願い。
『変わらない平穏』
そんなモノが今のこの大陸に無い事に気付きながらも、俺は願わずにはいられなかった。
あとがき
皆さん初めまして、月影と申します。
0話にて支援して下さった方、ありがとうございました。
正直キャラも出ていなかったので評価の仕様もなかったと思いますが……;
今回様々な方の小説に魅せられて初めて小説を書いてみたのですが、どうでしょうか?
大した文才も無い自分の頭ではこれが限界です(泣)
え~、一応今回出た主人公の紹介をしたいと思います。
名前:姜元
字:伯伏
真名:神威(かむい)
年齢:23歳
身長:186cm
好きな物・大切な物:誰かの笑顔、妹
嫌いな物・苦手な物:誰かの涙、争いや戦
性格:基本的には冷静沈着だが、妹の事や大切なモノが傷付けられると戸惑ったり熱くなりやすい。人の痛みを自分の事のように感じ取れる優しさを持ってはいるが、過去に起きたある事件が原因で甘さを捨て他人を突き放すように振る舞うようになる。が、何だかんだで口を出したり悪役になってまで周りを諌めたりとお節介を焼いてしまう。ある意味脅迫概念に執り付かれたかのように強さを求めていて、日々鍛錬に励んでいる。
と、こんな感じです。オリ主やオリキャラは意外と苦手に思う方が多いので、受け入れて貰えるかは不安ですが気に入って頂ければ嬉しく思います。
稚拙な文ですが、誰か一人でも面白いと思って頂けたら幸いです。
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第1話です。