No.526574

IS x アギト 目覚める魂 23: 凍てつく炎の進化

i-pod男さん

二十三話、そして新フォームです。

2013-01-02 05:54:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2650   閲覧ユーザー数:2527

 

「やっぱり、行くの?」

 

「ああ。行くしか無い。毎回狙われてる人のアギトの力を抜き取る訳にも行かない。ボロボロになっても、絶対に戻るから。絶対な。」

 

「約束だよ?」

 

「ああ。これから、見せてやるよ。カッコいいかどうかは兎も角、俺は、なれたぜ。」

 

一夏は交差した両手を鉤爪の様に見立て、広げた。

 

「変身!」

 

一夏の姿が変わった。逞しい野生の緑色の上半身、赤い複眼、獣の様な牙、腰に巻き付いた緑色の宝玉を中心に持つ黄金のベルト。

 

「これが、もう一つの俺だ。怖いだろ?」

 

「でも、カッコいい。本当に、なれたんだね。仮面ライダーに。いってらっしゃい。」

 

「おう。」

 

窓を開け放ち、そこから飛び降りた。

 

「ウオォオォォォオオオァァアアアアアーーーーーーーーーーーー!!!」

 

飛び降りながらプロレスラーの如くオクトパスロードの首を掴んで地面に引き摺り倒し、自信は受け身を取りながら生徒達と山田先生を背なに庇う。

 

「私達を、助けてくれるんですか・・・?」

 

山田先生の言葉に反応してギルスは彼女の方を向き、一度だけ大きく頷くと、再びオクトパスロードに向き直る。かなりの勢いで地面に叩き付けた為に頭が多少地面に頭が減り込んでしまったらしい。

 

(感じる・・・・簪がくれた、俺の新たな力を・・・・・・・来る・・・・さあ、来い・・・!燃えろ!)

 

変身の時と同じポーズを取り、右手を空に高々と掲げる。その手が光り始め、フレイムセイバーが現れた。右腕から徐々に変化が現れ始め、青白い炎が体を覆い始める。よりいっそう光の強さが増し、姿が変わった。赤かった目は凍り付く様な青に、緑色の体は純白に変わっていた。胸には銀色のワイズマンモノリスが輝く。手にはフレイムセイバーが炎に包まれて変異した両刃の剣『バスターフレア』が現れ、熱を持っているのか、刃の周りに陽炎が見える。ギルスの進化した新たな姿、『アイスフレア・フォーム』が誕生した。一歩一歩踏みしめる度に砂が凍り、ドライアイスから出る低温の気体の様に立ち上った。オクトパスロードは破れかぶれに拳を突き出して来るが、その拳を左手で受け止め、握り締める。

 

『グギャアアアアァァァアアアアアーーーー!!!』

 

シュウウゥゥゥウウ・・・・

 

スプレー缶が発する様な音がしてオクトパスロードの左拳が凍り付いたが、それと同時に青い炎に包まれていた。

 

「あ・・・・!?」

 

「凍ってる、けど・・・・燃えてる?!」

 

アギトが持つ炎の剣、フレイムセイバーの能力が簪の『光』を取り込んだギルスの力と混ざった結果なのだろう。触れた物全てを凍らせ、発火させる『ゼロフレイム』は、水棲系のオクトパスロードにとって天敵だろう。右手を握り締め、青白い炎に拳が包まれた。

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーー!!!」

 

その捻りを利かせたスクリューパンチ『アトミック・ブリザード』は命中直後にオクトパスロードを氷漬けにし、その巨大な氷塊が発火した。地面に突き刺した全長一メートル以上あるバスターフレアを引き抜くと、真っ二つにオクトパスロードを叩き斬った。必殺の『ブリザードフォール』を喰らい、砕けたオクトパスロードは爆発せずに溶けた(・・・)。どこからかギルスレイダーが現れ、元のギルスに戻ると、フレイムセイバーを担いで走り去ろうとした。

 

「待て!」

 

だが、鋭い千冬の声に呼び止められる。その手には、ISの近接用ブレードが握られている。

 

「貴様は一体何なのだ?」

 

だが、ギルスは何も言わずにサムズアップをして見せるとアクセルを捻って千冬が再び呼び止める暇も無く、地平線の彼方に姿を消した。

 

「山田君、無事か?」

 

「はい・・・・彼は、私達を助けてくれました。」

 

「助けた?」

 

「そうですわ!私達を自分の後ろに庇って戦いましたの!敵対の意思は全くありませんでしたわ。」

 

セシリアの弁解を皮切りに他の生徒達も次々にそうだそうだと囃し立てる。その頃、変身を解除した一夏はアリバイ工作の為に旅館に戻った。帰還した一夏を簪がハグで出迎える。

 

「お帰り♪」

 

「ただいま・・・・ちょい寝かせて、疲れた。」

 

「おいで。」

 

ポンポンと自分の膝を叩く。一夏は彼女の太腿に頭を乗せてしばしの間目を閉じた。

 

「どうだった?」

 

「ああ、まあ、どうにかなった・・・・筈だ。」

 

そのまま目を閉じて、軽やかな寝息を立てて眠り始める一夏を見て、簪は思わずクスッと笑ってしまった。いつもとは違うそのギャップ故だろう。起きている時の一夏は強くも優しく、女なら誰でも彼氏に欲しがる要素を持ち合わせる男子だ。だが、以外に甘えん坊な一面も持ち合わせており、更に寝ている時、それも簪の膝枕で寝ている彼はペット並みに可愛い寝顔をしている。その寝顔を見ながら簪は一夏の頭を撫でたりして遊びながらその反応を楽しむのだ。

 

「お疲れさま。」

 

一夏の額に軽くキスしてやると、開け放たれた窓からキャンバスの上に描いた様な外の景色を眺めた。空と同じ位青い海、そして輝く太陽、一点の曇りも無い快晴の世界は単純ながらもどこか神秘的で吸い込まれて行く様だった。一夏の胸の上に耳を当て、規則正しい鼓動を聞いた。その音は何故か落ち着くのだ。十年前に昼寝をしたあの頃と、全く変わらない。一夏が寝たのを確認すると、時折そうしていたのだ。それを意識すると本人曰く良く眠れるらしい。

 

「一夏・・・・今度は、私が一夏を守る番だよ?」

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択