No.523656

ソードアート・オンライン フェイク・オブ・バレット 第一話 人助けと菊岡の依頼

やぎすけさん

GGO編スタート

2012-12-26 23:52:56 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3091   閲覧ユーザー数:2864

大地視点

学校が終わると、俺は珪子を送ってから本屋に向かった。

前に買った小説が読み終わったので、次のを買おうと思ったからだ。

だが、近所の本屋では売り切れだったので、ちょっと遠くまで足を延ばしてみた。

そこでようやく目当ての本を見つけることが出来た。

俺は適当に商品を眺めてから、目当てのものを購入して店を出る。

すると、路地裏に気になる光景を目にした。

しゃがみこむように体をくの字に折り曲げた姿勢の制服姿の女子生徒1人を、同じ制服を着た3人の女子生徒が囲んでいる。

間違いなく恐喝の現場だ。

それを見た俺は、怒りで手が震えるのを感じた。

 

大地「「ふざけやがって・・・」」

 

視界が赤く染まると、俺は路地裏へと足を運んだ。

 

大地「「何してる・・・?」」

 

声を掛けると、囲んでいた女子高生(クズ)は驚いたようにギョッと目を剥く。

 

女子高生1「・・・な、何アンタ・・・?」

 

マズい所を見られたからか、あるいは相手が男だったからか、三人の内リーダーらしき女が訊いてきた。

 

大地「「答える気は無い・・・」」

 

俺はそう言うと、そいつの腹に思い切り拳を叩き込んだ。

確かな手ごたえとともに、女は俺が殴ってやった場所を押さえて蹲る。

 

大地「「失せろ・・・」」

 

俺が脅しを掛けると、女たちは怯えたように短い悲鳴を上げてから、動けなくなっている仲間を抱えてどこかへ行ってしまった。

女たちが視界から消えると、ようやく怒りが収まってきたので、俺は恐喝を受けていた少女に声を掛けた。

 

大地「大丈夫か?」

 

俺の声に反応した少女がビクンとしてから顔を上げた。銀色の眼鏡を掛け、両方の髪に付けた白いゴムの髪止めをした、おとなしげな顔立ちの少女は小さく頭を下げる。

 

?「・・・ありがとう・・・」

 

少女は呟くような声で言うと、立ち去ろうとするが、足がふらついて転びそうになる。

 

大地「おっと・・・」

 

すぐに手を腰に回し、抱きかかえるようにして体を支える。

 

大地「本当に大丈夫か?」

 

?「・・・平気・・・」

 

少女は俺を拒むように立ち上がると、逃げるようにして立ち去ってしまった。

 

大地「・・・人に嫌われるのが得意なのは、いつになっても直らないらしいな。」

 

肩を竦めてやや自嘲気味に言うと、俺も帰路についた。

家に着き、制服を脱ぎ捨てて部屋着に着替えると突如電話が鳴り響く。

それは和人からの電話だった。

翌日

俺と和人は銀座の喫茶店に来ていた。

 

?「おーい、キリトくん、デュオくん、こっちこっち!」

 

明らかに高級そうな喫茶店の中から響く無遠慮な声。

そのせいで俺たちに周りからの非難めいた視線が集中する。

俺と和人はため息をつくと呼んだ男、菊岡誠次郎の前に2人で腰掛ける

 

誠次郎「ここは僕が持つから、何でも好きに頼んでよ。」

 

俺たちがメニューを広げたのを見て菊岡が陽気に話しかけてくる。

メニューに目を通すと、どれも4桁以上のものばかりである。

 

和人「ええと・・・パルフェ・オ・ショコラ・・・と、フランボワズのミルフィーユ・・・に、ヘーゼルナッツ・カフェ。」

 

大地「俺はレアチーズケーキ・クランベリーソースとエスプレッソで。」

 

誠次郎「以上で。」

 

ウェイター「かしこまりました。」

 

注文を律儀に待っていてくれたウェイターさんにそう言って帰っていった。

 

大地「さて、さっそくだけど本題に入ってもらえないか?どうせバーチャル犯罪がらみのリサーチかなにかなんだろ?」

 

誠次郎「おお、さすがデュオ君!話が早くて助かるね。」

 

菊岡はアタッシュケースからタブレット型の端末を取り出す。

 

誠次郎「いやあ、それがねぇ。ここに来て、バーチャルスペース関連犯罪の件数がまた増え気味でね・・・」

 

和人「へえ。具体的には?」

 

2人が話し始めるが、俺は基本的に和人と菊岡の話を聞く方に徹する。

正直、なぜ俺まで呼ばれたのかはわからない。

 

誠次郎「・・・で、今日の本題はそこなんだよ。これを見てくれ。」

 

VRMMOが現実に与える影響などについて話していた菊岡がタブレットをこちらに渡してきたので、キリトと一緒に覗き込む。

そこからそれに映っているゼクシードと薄塩たらこの不審死についてと、それに2人を撃った死銃と名乗る人物が関係しているのか、という話になった。

普通ならありえないと言って終わりにしてしまうだろうがあまりにも出来すぎている。

二人の死亡時刻と撃たれた時刻があまりにも近過ぎるのだ。

その事件が起きたゲーム、【ガンゲイル・オンライン】の運営ザスカーはアメリカにサーバーを置いていて全てが非公開のため、全く情報がない

 

誠次郎「とまあそんな理由で、真実のシッポを掴もうと思ったら、ゲーム内で直接の接触を試みるしかないわけなんだよ。もちろん万が一のことを考えて、最大限の安全措置は取る。キリト君とデュオ君には、こちらが用意する部屋からダイブしてもらって、モニターしているアミュスフィアの出力になんらかの異常があった場合はすぐに切断する。銃撃されろとは言わない、君たちの眼から見た印象で判断してくれればそれでいい・・・行ってくれるね?」

 

和人「・・・解ったよ。まんまと乗せられるのはシャクだが行くだけは行ってやる。」

 

大地「和人が行くなら、相棒の俺が行かないわけにもいかないな。」

 

和人の言葉に俺も同意する。

 

誠次郎「ありがとう。じゃあ、これが死銃の声だよ。聴いてくれ。」

 

準備よくイヤホンを菊岡はこちらに差し出してくる。

俺と和人はそのイヤホンを受け取り、和人は右の俺は左の耳に突っ込む

 

死銃〔これが本当の強さだ!愚か者どもよ、この名を恐怖とともに刻め!俺と、この銃の名は死銃・・・デス・ガンだ!〕

 

その叫び声は金属質な声だったが、紛れもない、殺人へと駆り立てる狂気を孕んでいた

その声は間違いなくSAOの中で聞いたことのあるものだった。

菊岡に別れを告げて(支払いを押し付けて)店を出ると、俺は早速和人に話しかける

 

大地「死銃のこと、どう思う?俺的には、SAOで聞いたような気がするんだが。」

 

和人「俺もだ・・・だけど、思い出せない・・・どこで聞いたんだ・・・?」

 

大地「さあな・・・それが思い出せれば菊岡に調べさせられるんだけど・・・」

 

そこまで話すと、しばらく無言で歩く。

このままでは、GGOでの活動に支障をきたしそうなので、別の話題を出すことにする。

 

大地「ところでカズ、お前、銃は使えるのか?」

 

ちなみに俺はサバイバルゲーム等の大会で優勝したり、元グリーンベレー(軍人)の人に射撃戦で勝ったりしているので、銃火器にはそれなりに自信がある。

 

和人「飛び道具って苦手なんだよな・・・」

 

頭をかきながらぼやく和人に俺は呆れて言う。

 

大地「大丈夫なのか・・・?」

 

和人「まあ、当たって砕けろ、だな。」

 

和人の返答に、自然とため息が出る

 

大地「砕けるなよ・・・いつものことだけど、振り回されるこっちの身にもなってくれよ・・・まあいいけどさ・・・」

 

和人「よし!じゃあまた明日な。」

 

大地「了解。俺は帰って下調べでもしておくよ。」

 

和人「サンキュー!いつも悪いな。助かるよ。」

 

手を振って別れると、別の方向に歩いていった。

俺はその後、帰る途中である人物に連絡を取っておいた。


 
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