第1章 黄巾賊討伐・独立編 03話 『 青州黄巾賊討伐・北部戦線 』
「はぁ~~~~~~ はぁ~~~~~~~」
「伯珪殿、先ほどから溜息ばかり・・・手がお留守のようですぞ?」
「しかしなぁ? 星? なんで戦場でまで内政の仕事を私はしてるんだろうな?」
「それは伯珪殿の仕事の処理速度が遅い・・・というより人望のなさ?」
「うぐっ・・・相変わらずハッキリというな・・・」
「これが性分です故・・・」
星と共に来た内政・軍務共に有望であった朱里と雛里は
ご存知の通り意気投合し劉備軍の軍師となった為、公孫賛軍をすでに去っている
二人が去ってからというもの・・・内政において、二人のありがたみを嫌という程、思い知った白蓮である
「・・・もう少し・・・なんとか・・・はぁ~ それにしても星 何故ここに来たんだ?」
「ああ~伯珪殿をイジリすぎて忘れており申した・・・桃香殿より書簡と紹介したい人物がいるそうですぞ?」
「ばっ ばか 何故それを先に言わない! すぐにお通ししろ!」
星を睨みつけながら怒る白蓮
「はいはい・・・」
と星が呼びに行っている間に桃香からの竹簡に目を通す白蓮
星に連れられて、一刀に続き亞莎と瑠璃が入ってくるのを確認した白蓮は、書簡から目を離し一刀達と相対する
「お待たせして申し訳なかった・・・」
「先程の方から、お忙しいとお聞きしておりましたので、こちらは一向に構いません」
「桃香からの書状にあるけれど、客将にしてもらいたいとか?」
「はい 余裕がありましたら ダメでしたら個人での参戦という形を取ってもらっても別段構いません 公孫賛将軍」
「敬語もいいし・・・堅苦しいのも止してくれ 桃香の友は私の友でもあるから・・・真名も許しあっているみたいだし
私の真名は白蓮という 少しの間だろうけどよろしく頼むよ
それと・・・こちらは逆に嬉しいくらいなんだよ 万年人手不足でさ・・・知り合いによく人望がないってからかわれるぐらいでさ」
と白蓮は傍に控えている星を睨むも・・・星は他人事のように知らん振りである
「俺に字や真名はなく、姓は北郷 名を一刀といいます 好きに呼んでくれ それと後ろに控えるのが従者の呂蒙と凌統です」
と二人は白蓮に対し会釈する
「北郷 早速だけど左軍を任せたいのだけれど・・・受けてもらえるかな?」
「左軍? いきなり軍の長? 責任重大だな~ 白蓮の期待に答えれるように努力してみるよ」
「うん よろしく頼むよ北郷 星 左軍に面通しさせてあげて」
「・・・承知致した 北郷殿こちらへ」
というと訝しげに白蓮を見つめる星に連れられて、本陣を後にする一刀・亞莎・瑠璃の三人
星が承知するのに一瞬間のあった理由
そう左軍とは、傭兵達・新兵・義勇軍の混成部隊で、以前は桃香達が率いていた隊だったのである
愛紗や鈴々の訓練は厳しかったものの・・・分け隔てなく接し、戦場では誰よりも強く、皆を鼓舞し率いてくれた桃香達を尊敬していたのだ
桃香達が去ってしまった後、その後に隊長に任命される白蓮の一族達の指揮で黄巾賊討伐で戦うものの・・・
天と地の差があった為、温度差・不平・不満が左軍に充満していたのであった
星としてもこの状況を改善したかったのだが、自らが受け持つ右軍を放置する訳にも
軍としての調練度合いも違いすぎて、合同訓練する訳にもいかなかったのだ
そんな時に一刀達が来たので、白蓮は喜んで任したのであろうが
星は一刀達の実力の程を直接みた訳ではないので、失敗したら今以上に左軍が混迷を増すのが予想できた
それ故に一瞬躊躇した星だった
星ほどの武将が一刀を測りかねていたのである
得物で打ち合えばすぐに判ったのだろうが、優しそうな笑顔を時折みせ二人の連れと話をしている様は・・・
お世辞にもとても強そうにみえず・・・
この大陸では女性が強かった事もあり、男性に対して強くないという先入観のある星であるが
それもすぐに杞憂だと判るのであるが・・・この時の星は一刀を鋭く観察するものの・・・
左軍へ案内するまで、結局何一つ掴めなかったのだった
「趙雲将軍 左軍への案内助かりました」
「いや 気にする事はござらん 北郷殿 少し訓練を拝見させてもらってもよろしいか?」
「面白いものでもありませんよ? それでよければどうぞ」
「かたじけない」
というと少し離れて、北郷殿・・・お手並み拝見といこうか・・・と思考し状況を見守る星
「それじゃ始めるとするか! 亞莎・瑠璃」
「はっ はいっ」
「うん わかった」
と言うと三人は集っていた左軍の者達がいる場所へと歩み寄っていく
「お前ら なんだ?」
「先程、白蓮より左軍を任される事になった北郷という者だ」
「りょ呂蒙です」
「凌統・・・」
「ん~~~~~~~ 優男におじょうちゃん達 馬もなしにどうする気だったんだ?」
ぶっわははははーーーーーーーと周りを囲んでいる男達から笑いが起こる
「ん? 馬は今見せる訳に行かない事情があって、乗っていないだけどね」
ぶっわははははーーーーーーーとさらに一刀達を指差し嘲り笑う男達
その様子に溜息をつく星 そろそろ出ていき自身が引き締めるべきか・・・と動こうとした時
笑い声を制した次の言葉に一同度肝を抜かれた
「みんな新参者が来て、突然隊長顔してる奴がいたら腹が立つのはわかるよ
ならば、君達は私達三人を馬に乗って好き好きに攻撃してくれて結構!
攻撃が一撃でも3人の誰かに当たれば君達の勝ち 俺達が君達の前から去ろう
ただし君達が負けたら、俺達を認め指示に従うという賭けでどうかな?」
「いいだろう 後で後悔するなよ?」
そうだ、そうだと後ろから煽り立てる者達までいる
「そういうのをフラグを無闇立てるなという・・・」
「ふらぐ? たてる? 訳の分からんことを・・・後で憶えておくがいい!」
「弱者の捨てセリフ 負け犬の遠吠えともいうな・・・」
「セリフ? 訳の分からんことを・・・ 精々今のうちに吠えていろ!」
と男達が捨てセリフを吐き離れていく
瑠璃は男達へ向かってあっかんべーをしているのを、一刀は頭を撫で止めさせると
「瑠璃、亞莎 手加減はしてやれよ? 殺さず折らずだ 脱臼は許す
武器・馬は破壊するな いらぬ出費も抑えないと、後で我等が叱られるかもしれんからな」
と一刀なりの冗談を交えつつ、瑠璃と亞莎に指示を出し、一刀の指示に頷く二人
まぁ 負ければ大人しく去るだろうし、彼らの実力を見極められる・・・
心配する星にとって良い状況に転がったので、成り行きを見守る事にし視線を一刀達へ向ける
準備が整ったのか、数騎の騎馬と共に5・6人が周りを走り、一塊となって一刀達へ向かって突進してくる
・
・
・
星は眼前に広がる光景に唖然としていた
呂蒙と凌統に関しては、自身と同じくらいの強さかもしれない事は、星にも事前に予測できた
しかしその強さは男を護る為の従者と思っていた星である 眼前で起こった事は自分の想像を超えた出来事であったのだ
・・・というのも、馬に乗った者達は呂蒙と凌統達に次々と振り落とされ
落馬させられた者・走って迫ってきた者たちの腕や腰をあらぬ方向へと脱臼させていく一刀がいた
その光景は一刀達を舐めていた左軍の兵達を驚愕させ震撼させた
それからの左軍の者の突撃は、油断などなくむしろ恐怖を伴った突撃だと言ってもいい
しかし一刀達は涼しげな顔をして、猶も次々に左軍の者達を落馬・脱臼させていく・・・
左軍の者達は途中で突撃を止めてしまい・・・
終には仲間達が周りで呻く中、一刀達の前に全員が跪いてしまっていたのである
当の本人・一刀達はというと、攻撃が止むと今度は、脱臼させていた者達を直していくという作業に取り掛かっていた
星は自分の心配が全くの杞憂で、男に関しての自身の見識の甘さがあった事に気付かされ恥じ入る
私に同様の事ができるであろうか・・・自身が傷一つないという事は出来なくもないが・・・
相手を脱臼だけに収める芸当など持ち合わせていない
おそらくここまで最低限の被害に収め、最高の結果を得る事等出来はしないだろう
これほどの男、大陸中を捜しても数人・・・いや比肩する者など居るまい・・・
大陸中を旅した星だからこそ、断言できた事といえるのかもしれない
桃香達が何故この者達を推挙しここへ寄越したのか・・・ 自身が厄介になっていた頃とはまるで違う孫呉の者達
それからの星は一刀へ真名を預け、何か事ある毎に一刀へ接近を試みていたのである
その際に念願の一騎打ちも果たし、改めて一刀の実力に舌を巻き、益々一刀へ傾倒し興味が尽きない星
懐の寒いのを我慢し、稟や風と共に噂の天の御遣いを見に訪れていたならば・・・
自身の運命が変わっていただろう事を思い惜しむのであった
その模擬戦?の数日後の黄巾賊討伐には、桃香達が率いていた頃と同様かそれ以上ともいえる
公孫賛軍自慢の白馬義従・右軍の強者に劣らぬ
一刀達の指示に胸を張り、きびきびと動く左軍の混成部隊の兵達の姿があった
その左軍の様子を見た白蓮は大いに喜び、景気付けに皆に軽く酒を振舞った程、機嫌がよかったのである
貢献してくれた一刀達が去る時には反動も大きく
やっぱり人望が・・・と嘆きヤケ酒を呷る白蓮に絡まれ付き合う星がいた
「姫~ 姫ぇ~~ 白蓮さまからの書簡ですよ~」
「なんですか? 猪々子さん 騒々しい 白蓮さんから書簡?」
というと猪々子から受け取り、白蓮からの書簡に目を通す
「郭図さん、許攸さん 目を通したのなら次は斗詩さん、猪々子さんに回しなさい」
「「ハッ」」
猪々子が見終わるのを見届けた麗羽は4人へ向かって
「白蓮さんからの書簡に意見を求めます」
そう序章をお読みした方ならすぐピンときたであろう 麗羽が一味違う! 切れ味鋭く・・・ネジの飛び方が矯正されたように・・・みえる?
「我等は大丈夫でしょうが・・・」
と心配げに答える郭図と試案顔の許攸 二人が危惧するのも判る
以前押し込もうと試みたのだが、白蓮の左軍が崩壊した事から端を発し、両軍の戦線が崩壊しかけた事があったのだ
それ以来両軍の足並みが揃わず、黄巾賊を包囲しているものの殲滅出来ず膠着状態のままなのである
「そういえば曹操様から戴いた書簡に、以前足を引っ張った左軍の隊長が、優秀な方に替わられたと聞きましたし 姫 良い機会では?
少数である西部の曹操さんの陣営が押し込み始めているという報告もあがってきてますから
私達も押し込まないと、青州の状況がさらに長期化してしまいますし・・・」
と斗詩が答えると猪々子はうんうん頷く
「曹操殿の名前が益々広まりそうな状況ですな」
と憎憎しげに答える郭図
「麗羽様 いかがなさいますか?」
と問いかける許攸
「それでは手ごろな砦がありますし 左軍の将を試してみましょう」
と麗羽からは想像も出来ない言葉が飛び出てきた 呉下の阿蒙ならぬ袁家の阿紹に非ずと言ったところであろうか・・・
という訳らしいのだが・・・北郷やってくれるか?と不安げに一刀に問うてくる
「白馬長史に頼まれれば仕方あるまい? その砦とは?」
「ここだ・・・」
主要な将達が白蓮に示された地図の地点にある砦を示す碁石をみつめる
■青州攻略簡略図
▽袁紹・公孫賛軍(計:5万)
↓↓
平原国 ▽青州黄巾賊(計20万)
楽安国 東莱郡
▽曹操軍→ 済南国 北海国
劉備軍 斉国
(計:2万5千) (現・黄巾賊本拠)
↑↑
▽陶謙・袁術軍(計:約3万5千)
現在、曹操・劉備西部軍は済南郡の地をほぼ制圧しつつある段階に入っており
袁紹・公孫賛軍が平原国を制圧しない事には、このまま黄巾本拠のある斉国のある東へ進むのは危険なのである
華琳から連日、平原の制圧催促が来ていた麗羽も、そんなことは百も承知であったが
公孫賛軍との連携がうまくいかず、力任せに攻めてもよかったのだが、状況が悪化する事も鑑みて、
今は無理しないという袁家首脳陣の判断により、平原国を完全に押さえることが出来ず手をこまねいていたのだ
その最たる防衛線こそ白蓮に指差された地点 青州平原における本城を守る”2つの砦”の内の一つを
今回一刀に落とせと麗羽は指定してきたのである
確かにこの左右2砦を落とせば、平原本城は丸裸となり、本城を容易に落とす事も可能であろう
また平原国を制すれば、北部軍は西部軍と同等の戦果をあげた事に匹敵する
後は北部軍・西軍・南軍と呼応し、包囲殲滅しつつ進軍していくだけとなる
この左右砦・本城よりそう遠くない距離の為、お互いが不利になると伝令を出し合い、短時間で補強し合ってしまうのである
そこで一刀は亞莎に策はないかと一計を問うと
①袁紹・公孫賛両軍を左砦前に待機させておく事
②平原右砦に平原左砦に支援求むの偽報、薄くなった平原右砦を公孫賛・左軍が奪取する 瑠璃は平原右砦からの支援要請の伝令を断つ
③平原右砦奪取と同時に、平原左砦に”右砦が落ちたので本城危うし”という偽報を使い、平原左砦の人数を減らす
④瑠璃が平原本城と平原左砦からの伝令を寸断しつつ、公孫賛軍が平原左砦を落とす
⑤本城攻略に全軍を投入し、最後は袁紹軍に功を譲る
というのはいかがでしょう?と亞莎は自身の一計に不安なのか、チラチラと一刀を見やる
一刀は笑顔で亞莎の頭を撫で安心させてやると共に、白蓮さえ良ければこの策でどうだ?と聞いてくる
星は白蓮をみつめると頷き、亞莎の策を了承をすると
平原本拠落城の手柄が手に入るのならば、麗羽も嫌とは言うまいとすぐさま麗羽へ使いを出す
麗羽達袁家首脳陣としても、華琳からの催促もあってあまり時間も掛けていられない負い目もあり
実利を白蓮が獲り、本拠を落としたという名声は麗羽が獲るという案を、袁家首脳陣は渋々了承したのだった
袁家首脳陣の・郭図・許攸の二名は、公孫賛もたまには頭が回るの~と能天気な事を言っていたが
彼ら二人をを睨む麗羽は、白蓮さんがこの案を考えたとお思い?
きっと新入りの策でしょうね 白蓮さんがわたくし達を出汁に使い、偽報?伝令を断つなんて事できる筈がありませんわ
こちらが試す筈がわたくし達が試されましたわ・・・
後でどんな新入りなのか、わたくし直々に見極めるとしましょう
と思考する玉座で肩肘をつく不機嫌な様子の麗羽を、
斗詩と猪々子は静かに観察し確認しあうものの・・・互いに首を傾げ、不機嫌な意図を見抜く事はできなかった二人である
平原左砦の応援要請を受け取った平原右砦を死守する黄巾賊達は、続々と平原左砦の応援に駆けつけるべく出征していく
「よし! 仕込みはうまくいったな さて門の攻略に行こうか亞莎 瑠璃、亞莎の策通り、右砦からの伝令は一人残らず絶て」
「はいっ わかりましゅた かじゅとしゃま・・・」
「あははっ 瑠璃気合が入っているのはいい事だけど、かみかみだなぁ~ 」
「はうっ かじゅとさま・・・じゅびばせん・・・」
と呟くと、しょんぼりして泣きそうになってしまう瑠璃に対し、一刀は頭を撫で撫でしつつ・・・瑠璃の目線まで屈み言い聞かす
「瑠璃はそのままでいいんだよ? 笑ったりしてごめんな 瑠璃が可愛くてつい笑っちゃったんだよ 許してくれないか?」
と一刀に言われると、先程までの泣き顔はどこへやら・・・愛らしくぽっと頬を頬染め
赤くなった頬を両の手のひらで隠す仕草をし、一刀の言葉に頷く瑠璃を見て、目を細め一安心する一刀
「あの~一刀様・・・そろそろ・・・」
二人の世界にどう突っ込んでいいのやら・・・困り顔の亞莎はアタフタしながら促す
「それじゃ瑠璃 信頼しているよ?」
「はいっ かじゅとしゃま!」
というと今度は右砦裏方へと消えていく瑠璃を見送る一刀と亞莎
「仕切り直して、それじゃ俺達も始めようか」
「はっ はい それじゃ皆さん それぞれの門を攻撃してくださ~い」
「オオォーーーーーーーーーーーーーーー!」
亞莎の合図を皮切りに、一斉に門に破城槌を何度も打ちつけ、門の破壊に専念する者達
一刀達は門の破壊を支援するべく、砦を守る相手に対し矢を射かける
やはり平原右砦の人数が手薄な場所から徐々に綻びを見せ始め、次々に各門を突破し制圧していく
各門を破られた黄巾賊の者達は我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく
それを見た一刀は
「追わなくていい! 今は砦を制圧する事を第一にしろぉーーーーーーー」
と周囲へ声を張る
その間にもどんどん制圧は進み、門を制圧してから一刻余りで、ほぼ右砦の制圧を完了していたのだった
次の作戦への移行を感じた一刀は
「亞莎!」
「はっ はいっ それでは、貴方は左砦にいる公孫賛様・袁紹様に伝令を
そこの貴方は右砦を制圧した事と偽報を促す旨を凌統さんに伝えてくださいね」
「「ハッ 承知いたしました」」
一刀の呼び声に事態を察した亞莎が、阿吽の呼吸で次々と左軍の部下達に指示を出していく
亞莎に指示を受けた部下達は、一目散に己の使命を果たすべく奔走していく
優秀すぎる部下というのも・・・暇なものだな・・・と贅沢な悩みをし苦笑いする一刀
苦笑いの意図が自身の事と見抜けず首を傾げる亞莎だった
・
・
・
一方その頃、白蓮は元来の心配性なのか・・・本陣をうろうろと右へ左と歩いて落ち着かない様子に
最初の頃は星も、少しは落ち着きなされと注意していたのだが・・・今ではもう完全に放置である
そんな時に一刀からの伝令が飛び込んできての報告に、好転している事態を把握し安堵する白蓮と星
「そうか! 一刀達はやってくれたか!」
と白蓮と星は、互いに一刀達の健闘を讃え喜び合っていると、瑠璃からの伝令も偽報成功との報がもたらされる
「もうか!? やけに迅速っだな」
「次は我等の番ですな! 伯珪殿 行って参る!」
「ああ 星 先鋒頼んだぞ」
と白蓮が激励する間に、星は右軍を動かすべく愛槍・龍牙を手に、本陣を颯爽と出て行くのであった
偽報の成功と白蓮達への伝令の報告に、誤差が余り生じなかった理由
白蓮への伝令が馬を走らせてる間に、狼煙を使った合図を使用し、瑠璃達は偽報を行う者へ指示していたのが理由である
亞莎の策は、第三段階から第四段階へと突入していく
「麗羽様 只今、公孫賛軍の伝令が参って、右砦を制圧・左砦の偽報も成功させたようです」
と許攸は伝令から受け取った報告を麗羽にする
「そう 思ったより早かったようね 白蓮さんに似ず・・・で? 白蓮さん本隊の動きは?」
「趙雲の隊がすでに動きを見せております」
と郭図がすぐさま補足を入れると、すぐ試案をする麗羽
「斗詩さん 猪々子さん 本城へと華麗に軍を進めるとしましょう!」
「麗羽さま~ 白蓮様達が砦落とすまで見届けなくていいのですか~?」
と麗羽に問う猪々子に対し
「白蓮さんの貧乏ったらしい勝利など、見る価値などこれっっぽっちもありませんわ!
ごちゃごちゃ言ってないで 斗詩さん、猪々子さん さっさと平原本城へ軍を進めて落としなさいな」
「わかりました 麗羽さま」
「承知しました 姫」
と猪々子と斗詩は返事をすると、軍を進めるべく持ち場へと急ぐ
長かった戦いもようやく、これでおしまい 白蓮さんの左軍を指揮していたのは・・・たしか北郷とやら・・・
滅多に人を褒めない華琳さんが、おっしゃってただけありますわね・・・
”あの時の言葉”も含めて覚えておきましょうと思考すると、自身も馬に跨り平原本拠へと駒を進める
袁紹軍は公孫賛軍が平原左砦を落とそうと各門へ殺到してるのを横目に
平原本城へと軍を進め、本来は全軍にて落とすべき処を
斗詩と猪々子を先頭に、袁家お得意の人海戦術とも呼べる怒濤の押し込みにより
右砦・左砦を失った平原本拠は、あっけなく袁家だけで制圧されてしまうのだった
その間に公孫賛・左軍の一刀達も左砦攻略に合流し、瑠璃達がしっかり、支援要請の伝令を断っていた事も忘れてはならない
北部軍が平原国を、西部軍が済南国を押え橋頭堡とすることが出来た事により、青州黄巾賊は急速に規模を縮小させていく事となる
その一助に、一刀達の影が見え隠れするのであった
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
「江東の虎」の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
○凌統 公績 真名は瑠璃
荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると
知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる
以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま日々を暮らしている
姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女
(背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【あとがき】
常連の方々&初めての方々もお世話になっております 毎度お騒がせな雪月でございます
今回はお正月ばーじょんです(ぇ 自身の中では2話分の容量です! 無理があります?(苦笑
先に予告で恐縮なのですが、『次回更新は2週間後の”1月9日”の水曜日の更新予定』としたく存じます
一週間更新ではなくなってしまうのですが・・・少しお正月休みを戴きまして
温泉にゆっくりとつかり、リフレッシュして参りたいと思っております 何卒、ご了承くださいませ~
話をこの度の本編へと戻しまして、判りやすい処でこの度、”簡略図”を使ってみました
前話から使用しようかどうしようか悩んでいたのですが、文章だけではやはり皆様判り難いかな?と思いましたので
簡単な国・郡の位置と各勢力の位置取りと数をカキコしてみました
本来ならば、文章のみで理解して戴けるように制作すべき処なのですが・・・未熟ゆえお許し戴けますと嬉しく存じます
少しは判りやすく、文章を理解してもらえたかな?と思っております
この度は白蓮さん・麗羽さんの北部勢力でのお話となりました
麗羽さんの事ですが・・・ネジの弛みがなくなったようです(笑
お馬鹿な麗羽さん達もいいのですが、初期の構想上、ちょっと優秀な麗羽様に変貌を遂げております
既存キャラの改変は蓮華さんに続き二人目となりますが
出来ますならば・・・こちらの麗羽さんにも興味を持っていただけたらと思っておる次第であります
それと瑠璃がさらに幼児化してしまった気がしなくも・・・ありませんが皆様の気のせいですっ!
朱里達を彷彿させるようなカミカミ具合にしてしまいました・・・OH!NO!
こちらに関しましても、ご意見とご指摘戴けましたら嬉しくく存じます
ステマ?の回もありまして?応援ボタンの数も増えました ありがとうございます
ステマ等せずとも増えるのが理想なのですが、私の作品が拙いばかりにご迷惑をおかけしました
皆様が押したくなるような作品に仕上げるべく、制作に邁進したいと思っております
来年も応援よろしくお願い致します
最後に皆様から毎回カキコ戴きます感想・ご指摘、本当にありがとうございます
自身で感じている事の他、皆様のご感想・ご指摘を参考にして、以後の構想を練っている次第です
その中で、バズズ様から”愛紗と亞莎の正史的衝突は無かったようですね ε-(‐ω‐;)”とご意見・ご指摘を戴きました
恋姫本編にもありました、愛紗と亞莎の前世が絡んでの衝突に関しまして
”私の物語上”差し支えのない部分に関しての衝突は”意図的”に省いております
ただ、全てを失くしている訳ではありません
物語の中核を成す部分には、様々な衝突・軋轢部分が端を発してる部分もありますので
この物語に支障のない衝突部分に関してのみと解釈していただけると嬉しく存じます
自身の気になっていたモノは、ご指摘されている部分も多々ありますし、未だ隠し通せている部分もあります
いずれ明かす部分ではあるのですが、それを楽しみに、読み進めて戴けると有難く存じます
それでは 皆様 暴飲暴食がちになる年末年始ですが
お身体にお気をつけて、楽しい年末年始をお過ごしくださいませ
ではでは 良いお年を~( ´ ▽ ` )ノ
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雪月と申します
この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を
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