No.520413

真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第1章 2話

雪月さん

改めまして常連の皆様&お初の方もこんばんは 雪月です

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を

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2012-12-19 19:33:13 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:8976   閲覧ユーザー数:6687

第1章 黄巾賊討伐・独立編 02話『青州黄巾賊討伐・西部戦線』

 

 

 

 

一刀が雪蓮の帰還を待たずして、大陸北部(青州)へと向かった理由・・・

 

冥琳の策をより確実に期する為、急激に膨れ上がった20万もの青州黄巾族の包囲に対処できるかの確認の為でもあったのだが

本音は、その後に訪れる軍閥による勢力争いの為に、各軍閥勢力を一刀自身の目で、確認しておくためであった

 

青州を3方向から囲む 北方は袁紹軍・公孫賛軍の計5万 西部からは曹操・他義勇軍(中に劉備軍)計2万5千

南からは袁術軍・陶謙軍の約3万5千の軍勢が封鎖していたのだった

 

冥琳には、あやつ=雪蓮が居たら一緒に行きたがるだろうから、いない内に行ってくれと釘をさされていたのである

なので、豫州封鎖を”騎馬弩弓”部隊、騎馬”弓”部隊、計2千騎を祭・穏・部隊長である徐盛に任せ

”騎馬槍”部隊、1千騎を指揮する朱桓と諸葛謹はというと待機=お留守番をしている

 

水位の少ない時期を見計らって、荊州から大挙押し寄せてくる黄巾賊なのだが、それでも河の移動は困難を極める

そこを川沿いを移動しながら上陸をさせないように、矢を撃って削っていくのである 

河の移動中はどうしても迎撃し難く、騎馬弓部隊の格好の”訓練の場”ともなっていた

 

 

ここで現在の孫呉軍の軍編成を列挙しておくこととする

 

■大元は”王”と”参謀本部”に分けられる

 〇王(大元帥):孫策(雪蓮)

 〇参謀本部:周瑜(冥琳)・張紘(紅)・一刀・張昭(王林)・陸遜(穏)・魯粛(琥珀)・呂蒙(亞莎)・諸葛謹(藍里)

 

  王が孫呉陸軍・大元帥を兼ね、”御前会議”を経て決定される

  各軍の軍師達が参謀本部に属し、大戦略等を練るといった格好である

 

■次に軍の編成は大きく分けて、”孫呉陸軍”・”孫呉水軍”・”孫呉機動軍”の”3つ”

 

 〇孫呉陸軍[1千名] 軍師兼任内政担当:周瑜(冥琳)・張紘(紅) 諜報部隊・隊長:周泰(明命)

  第1総軍:大元帥:孫策(雪蓮)・黄蓋(祭)・親衛隊 孫堅(緋蓮) 

 

  軍師兼任内政担当:張昭(王林)・陸遜(穏)

  第2総軍:孫権(蓮華)・程普(楓) 

 

 〇孫呉水軍(後、海軍)[2千名]甘寧(思春) 軍師兵器開発担当:魯粛(琥珀) 

 

 〇孫呉機動軍[計:3千騎]・騎馬隊隊長:北郷 一刀  軍師兼任内政担当:呂蒙(亞莎)諸葛謹(藍里)諜報部隊・隊長:凌統(瑠璃) 

 

  騎馬槍部隊[1千騎]・隊長:朱桓(珊瑚) 騎馬弩弓部隊[1千騎]・隊長:凌統(瑠璃) 騎馬弓部隊[1千騎]・隊長:徐盛(子虎)

 

 

 この軍編成であるが、後に(各)方面軍が追加されることとなる又、”長(官)”も時により代わる事となるのだが

 変更があった時に随時更新することとする

 

※本来は所属している人数により、総軍・軍・軍団・師団・旅団・連隊・大隊・中隊・小隊・分隊・班・組に大別でき

 各指揮官も決まっているのだが、一刀のうろ覚えによる編成を参考としているので、孫呉独自の編成と思って戴けた方がよかろう

 

 

 

 

現在の孫呉軍を纏め終わったところで、本編へ話を戻すこととする

 

 

処は青州西部・丘陵・森林地帯が多く点在している地域に、現在一刀達はいたのである 

以前は南部にいる袁術・陶謙軍側から合流された為、厚めにしていたのを見越して南部を通り抜け、薄い西部を見に来た”一刀達”であった

 

「一刀しゃまっ」

 

とポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて

山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女(背丈は朱里や雛里と同じくらい)が、ガシッっと一刀の腰下に抱きつく

そこが自身の居場所”縄張り”と位置づけている節がみられる・・・この小柄な少女こそ、姓名を凌統 字を公績 真名を瑠璃という

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃 

 

   荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

   知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

   以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま日々を暮らしている

 

 

「瑠璃 おかえり 報告をお願い」

「ただいま 帰りましたでしゅ 報告でしゅね はぃ 一刀しゃま」

と抱きついたまま一刀を見上げて、にこやかに笑みを返す瑠璃   

その愛くるしい笑顔が、幼き頃の妹・和葉に重なり、つい頭を撫で撫でしてしまう一刀

 

一刀の撫で撫でを堪能した瑠璃は

「報告いたしましゅと・・・ここより東に4里ほど先にて、義勇軍と思しき軍勢と黄巾賊の一団が戦闘を開始している模様でしゅ

 ただ、義勇軍側が危なそうなのでしゅ」 ※1里=500メートル

「義勇軍側劣勢か・・・東に4里・・・報告ありがとな 瑠璃」

と一刀は再度頭を撫で撫でしてやると、嫌がる素振りを見せる事なく、瑠璃は目を細めて喜んでいる様子である

 

 

「亞莎 氣はすでに扱えるのだから 神速のコツを掴みながらでいいから ”ゆっくり”おいで」

「はっ はい」

「瑠璃 亞莎の案内をよろしく頼むね」

「・・・うん」

「それじゃ 先に行くね また後で」

というや”神速”を使って飛び出していく一刀 ”神速”を確かめながら追う亞莎と瑠璃

個人差・熟練の差もあろうが、みるみる離れていく一刀を、亞莎は”はひぇ~”と感心しながら、一方瑠璃は寂しそうに見送っていた

 

途中曹の旗印の下、理路整然と隊列を組んだまま、砦へと向かっている軍勢を一刀は見かけるものの・・・

今は1里先の戦いへの移動に集中しようと、さらに”神速”の加速を上げる一刀

 

 

 

 

砦の兵数は見積もっても1万という報告で、劉備軍はこの時、6千の兵数であった

 

本来、朱里こと諸葛亮・雛里こと龐統は、水鏡塾を抜け出し姉のいる寿春へ向かう筈だったのであるが・・・

隠れた馬車の都合により北へと・・・

そう、洛陽より遥か北へと大冒険し、賊にさらわれそうになった処を

稟・風と別れた後に入手した華蝶仮面を身に纏いし?星にからくも助け出された二人であった

 

その後、星と共に白蓮の元へ行き、桃香達と意気投合

二人は晴れて劉備軍の軍師となった朱里と雛里のその後である

 

星に助けられた縁により、朱里が後に”朱華蝶”となる訳なのだが・・・

長くなりそうなのでこの辺りで留めて置く事にする

 

4千ぐらいの兵数差なら、近くにある峡間に誘い込んでみましょうという作戦であったのだが

入りきれず”砦の周り”にいたのも含めると1万5千ほどの軍勢だったのだ

 

しかし、偵察は砦の人数のみを遠くから偵察していた為、近くの森にいて”あぶれた”人数に気づかなかったのだ

 

そして思ったより砦に人数が多い事に、作戦を立てた前線にいる朱里も本陣にいた雛里も、顔に焦りを滲ませていた

前線にて必死に鼓舞する愛紗もまた・・・自身が思っていた以上の黄巾賊の兵数に、朱里達以上に焦りを感じていたのだった

 

「あわわっ このままでは愛紗さん達が危険ですぅ 桃香様、至急援軍を出しましょう!」

「うん 雛里ちゃん 鈴々ちゃん! 愛紗ちゃんの援軍お願い!」

「わかったのだ・・・愛紗達の援護にいくのだ!」

「オォーーーーー!」

と鈴々の指揮の下、急いで兵を前線へ派遣する

 

「もう少しの辛抱だ 皆がんばってくれ!」

と愛紗は軍の士気をあげようと鼓舞するものの・・・

 

「きゃっ」

「朱里 大丈夫か!?」

 

くっ しまった・・・朱里に気をとられて、周りの激しい剣戟と怒号で

自身へ向かってきている刃に気づくのが遅れてしまった・・・

 

敵を察知して振り向いた時には、槍の穂先が脇腹近くにやって来ていた

 

後もう少し・・・引き付けながら、引き上げるだけであったのに・・・と思考し悔しがる愛紗

 

片目を瞑り、来るべき痛みに耐える準備をしていたものの・・・

 

穂先のみ一瞬の煌きを放った後に落下していき、棒のみで私の横腹を突かれただけだったのだ・・・

棒のみで突かれた私は衝撃を和らげるべく、受身をとり後方へ転がる 

 

そこへ私と交差する今まで見たこともない武器を持った男が、転がっている私の前に立ちはだかり・・・

振り向かずに声をかけてきた

 

「脇腹は大丈夫か?」

と見知らぬ男が聞いてきたので咄嗟に

 

「ああ 大丈夫だ・・・ぐっ」

と答えるものの・・・痛みが襲ってきてつい声を漏らしてしまう

 

「味方と思われる軍勢がこちらに向かってきていたが、作戦は少し遠い峡間に誘い込むというので間違いないか?」

と小声で背中越しに聞いてくる男に対して、何故それを・・・と問いかけも出来ずにしかも・・・

 

「ぐっ あぁ・・・ああ」

と知らない男に対して、叫びとも取れるような声で、不用意に作戦を肯定してしまっていた

 

作戦を確認すると男は、吃驚して唖然としている愛紗をサッと抱えあげて

「一旦、ひけぇーーーー」

と大声で周りに指示し、朱里を守り私を抱えたまま・・・あろうことか殿を務めたまま、峡間へと下がっていく

 

普段の私であったなら

「私は大丈夫だから 降ろせ!」

と強く言ったり”やせ我慢”をおそらく言ったのであろう

 

この時はというと・・・こんな男がわが軍にいたであろうか・・・と顔を真っ赤に染めつつ、降ろしてもらうことも忘れ

・・・男に見入り、素直に抱きかかえられていました ・・・・今思い返してみるとなんと恥ずかしい

 

そこへ現れた三人、両手で顔を隠すものの・・・

指の隙間から見つめて頬を染める眼鏡をかけた女の子(亞莎)、頬をぷぅ~~~~と膨らませる不満顔の少女(瑠璃)

私の様子を、面白そうにニタニタしながら眺めている鈴々が合流を果たして、追撃してくる黄巾賊を退けつつ上手く峡間へと誘い込んでいく

 

 

その様子を西の丘の上から眺める5人の一団の姿があった

 

「あの三人・・・異常な”移動速度”だったわね・・・しかも、その二人以上の速度で女を救ったのが”優男”だったとは驚きね・・・」

「貴方達だったら、あの”優男”と同じように助けられたかしら?」

「フッ 華琳様 愚問です あの状況で助けられる者など・・・あの”男”しかおりますまい?」

私なら・・・と入ろうとするのを、姉者は少し黙っておけと視線で黙らせる秋蘭

 

「桂花と仲達なら心当たりにあるかしら?」

「”ブ男”を褒めたくなど・・・口が裂けても言いたくありませんが・・・心当たりありません」

「判りきってる答えに、質問されるのは感心致しませんが・・・そうですね・・・いないでしょうね」

と顔を顰め答える桂花と眼鏡を直しつつ淡々と答える仲達

 

「フフフ 人は信じられないモノを見たときは、皆に問いかけ確かめるものじゃない? 違う仲達?」

「ご随意に・・・」

と面白がって仲達を見つめる華琳、表情からは伺えないものの・・・主君の悪戯心に無関心を装う仲達

 

仲達の反応を楽しんだ華琳は、信頼する秋蘭へと指示を出す

「秋蘭 戦いが終わったら知らせて頂戴 すぐ出向くわ」

「ハッ 承知致しました 華琳様」

 

「華琳様 参戦されないので?」

「あんた馬鹿?」

「何だとーーー!」

と華琳に問いかけるも、桂花に馬鹿にされ睨み合う春蘭・・・

「曹操様は手柄を横取りしたと思われたくはないのでしょう」

と春蘭に対して、理解しやすい言葉を選んで、主君の後に続いて去っていく司馬懿

 

はぁ~春蘭にも困ったものね 何故、義勇軍が勝つのか聞かないだけマシだけれど・・・

 

それにしても・・・フフフ 是非とも我が軍に欲しい人材ね・・・あの”男”

と妄想をさらに膨らませ、あの”優男”に会った時の会話に想いを馳せながら、丘を静かに下っていく華琳であった

 

 

「よかった 愛紗ちゃんと朱里ちゃんの援軍間に合ったんだ!

 えぇ! 愛紗ちゃん 負傷したの!? それで伝令さん 命に別状はないの? 大丈夫なの!?」

と峡谷にいた劉備こと桃香と龐統こと雛里の二人は、伝令から受け取った愛紗の様子に心配で仕方がなかったようである

 

そして遠めに見えた時点では、抱きかかえられていた事もあり、酷く狼狽し心配したものの・・・

状況が把握できる距離まで近づいてくると、義妹である愛紗が顔を赤らめて、”男”に大人しく抱きかかえられ

その後ろにはもう1人の義妹・張飛こと鈴々が義姉を見てニヤニヤしている様子に

愛紗ちゃん 乙女の顔になっちゃってる・・・とビビッと感じた? こういう処は鋭い?桃香である

 

「この軍の大将さん そこにいるのかな?」

「はいっ! 私が大将の劉備です!」

「関羽さんと諸葛亮ちゃん達は大丈夫だから・・・もうすぐこの峡間に黄巾賊を引き込むから反撃よろしくね」

「はっ はいっ 雛里ちゃん!」

「あわわ はいっ! みなさん 突撃の準備をしておいてくださ~い!」

「オォー!」

と義勇軍の士気も旺盛なようで一安心する一刀と愛紗

 

「関羽さんは、念の為ここで待機しておいてね 戦いはまだまだこれからも続く この戦いでの君の役目は、もう終わってるだろう?」

「がしかし!」

「俺が帰ってくるまででいいから 帰ってきたら治療するから、関羽さん それまでおとなしくね」

と愛紗へ微笑み返すと、愛紗は顔を真っ赤にして不承不承頷き返す

 

「一刀様~! 敵はもうそこまで迫っています!」

「了解した亞莎 さあ行こう」

と言うと颯爽と立ち去る一刀と付き従う亞莎と見送る愛紗

 

愛紗が心配するまでもなく、後の戦いは兵数差があったものの・・・一方的展開で押し返し、その勢いのまま砦を奪取し幕を閉じた

 

 

 

 

戦いを終えた砦内劉備軍本陣にて

 

周囲の警戒を念のためしておいて・・・と、一刀は瑠璃へ指示を出した後に

「少し触れるけど我慢してね」

というと、赤く黒く腫れた愛紗の打ち身に手のひらを当て氣を送る一刀

 

劉備軍首脳はその様子に興味津々なのか覗き込んで観察している

するとみるみる腫れが引いていく様に、皆の感嘆が漏れ出してくる 亞莎はというと・・・いつものごとく指の隙間からの覗き参戦?である

 

「愛紗ちゃんと朱里ちゃんの事 戦いの手助けそれに治療まで・・・本当に色々ありがとうございました」

と一刀達に対して、すごい勢いで腰を曲げ礼をする桃香であった

「それと貴方がたは・・・?」

ともう既に馴染んでいる一刀達を見上げ、朱里が恐る恐る聞いてくる

 

「あぁ! 戦いで皆さんへの紹介が遅れましたね 俺の名前は北郷 一刀 今は孫家にお世話になっている者です」

「同じく、私は一刀様の従者で呂蒙といいます」

と自身の紹介を終えた二人は軽く皆に向かって会釈をする

 

「そうだ 君のお姉さんの藍里(あいり)には、いつも大変お世話になっているよ 諸葛亮ちゃん」

「そ・それでは・・・貴方様がもしや・・・藍里姉様がいっていた天の御遣い様・・・」

 

「エェーーーーーーー!!」

皆の目が点になり、一刀をジッと見つめ続ける劉備軍の面々と

本陣横に控えていた曹操軍の面々にまで、その声が響き渡っていたのだった・・・

 

その時周囲の警戒を終えた瑠璃が、一刀の腰元へ帰って報告を終えるとほぼ同時に

そこへ劉備軍の伝令が入ってきて、劉備達へ瑠璃の報告と同じ内容を伝える

 

「劉備様、至急お会いしたいという曹操様を始めとした皆様が、こちらへ参られておられますが・・・

 いかがいたしましょうか?」

と伺いをたてる伝令に対し

「えっ? えっ? どうしよう朱里ちゃん・・・」

と一刀が”天の御遣い”だという、衝撃の方が大きくてオロオロしだす桃香

 

「一刀様がいらっしゃいますし・・・遠慮していただいては?」

 

「貴方が天の御遣いと”噂された人物”とはね・・・」

というと颯爽と陣へ入ってくる華琳こと曹操とその従者達

 

「勝手に入ってくるとは・・・何者だ!」

「黙れ下郎! 曹操様に向かってなんという口の利き方・・・」

と愛紗と春蘭の二人が睨み合うのを、ため息をつきつつ・・・いつもの如く秋蘭がフォローを入れる

 

「はぁ~姉者 少し黙っておけ ここでは我らの方が余所者なのだぞ?」

「むむっ? そうなのか? 秋蘭」

 

「ププッ お猿」

「なんだと桂花 そこへ直れ!」

 

「春蘭!桂花! 二人共 そこまでになさい!」

 

「「ははっ 華琳様」」

と華琳の命令に即座に畏まる桂花と春蘭 

 

さながら、ダチ●ウ倶楽部のコントのような空間になったこともあり

お約束?が終るまでの合間、空気を読んだ劉備軍の面々と一刀達であった

 

「そっ それで・・・ここにはどのようなご用件で?」

と朱里が妙な空気を切り裂き、話を切り出してみる

 

「貴方達の働きは先刻見せてもらったわ そこで提案なのだけれど・・・青州黄巾賊殲滅まで私達と一緒に行動してみない?」

「朱里ちゃん」

「桃香様 ここはお受けした方が・・・」

「雛里ちゃんも?」

「はい 朱里ちゃんの言うとおりかと・・・」

 

「ただ・・・私達に組む”利”は多大にありますが、曹操さんにとって私達と組む利が、あまりないような・・・」

と顔を(しか)める朱里と心配そうに朱里を見つめる雛里

 

「そうね 確かに利が少ないでしょう けれど貴方達みたいな優秀な者達を指揮下におけるのだから

 将来を有望と見越した上での援助と考えてくれればいいわ」

と答える華琳の言に、一応の納得がいったのか

朱里と雛里はお互いの顔を見合わせ頷くと、桃香へ向かって笑顔を投げかける

 

「判りました 曹操さん ご提案有難くお受け致します」

と真剣な面持ちで答える桃香

 

「劉備軍の皆には悪いのだけれど、そこにいる3名とも話をさせてもらっても構わないかしら?」

というと華琳は、劉備の横に控えている一刀達へ向かって話し出す

「貴方達3人 私の配下になる気はないかしら?」

「あぁ 俺だけならいいぜ?」

とあっけなく答える一刀と発した言葉の真意を測りかねた一刀を見つめる亞莎と瑠璃の2人

 

「・・・フッ 貴方 食えない男ね」

「そりゃ どうも」

と何食わぬ表情で答える一刀に対して、絶を振るう華琳と同時に月影を振るう一刀

お互いの刃がそれぞれの首筋にあてがわれる

 

その様子を瑠璃や春蘭を始めとした事情を飲み込めない武将達は、それぞれを睨みつつ各々の武器に手を添えるものの・・・

一瞬の間に巻き起こした一刀と華琳の作り出した緊迫感に、周りにいた武将達の面持ちが引き締まるが

これらの事情を即座に察している劉備・曹操の軍師達は、冷静に事態の推移を見守っていた

 

「ふふふっ あははははっ!」

 

その緊張感を先に解いたのは、絶を一刀へ繰り出した華琳の笑い声であった

 

戯れであろうと客人同士が、他人様の陣中にて争っていいものではない

しかし、一刀が青州へ来た理由は、将来雪蓮や蓮華が争うであろう曹操と劉備陣営の偵察である

助けた軍がたまたま劉備軍だったという幸運に見舞われたものの・・・

曹操軍が近くにやって来ていて、先ほどの戦争へ加わらず、終って後に劉備軍へとやってくる姿勢

瑠璃に周囲を警戒させた真の理由・・・曹操軍の動向に注視しておいて それこそ一刀が与えた真の狙いだったのであった

 

そして曹操からの”戯れのお誘い”があったので乗ったのが事の真相である そうお互いが無礼を承知で試し合っていたのである

 

「で? どこまで本気なのかしら?」

「劉備軍の皆にも説明しなきゃいけなかったから、ちょうど良かったんで利用させてもらった お互い様だろうけどね」

「ふふっ そうね それで先程耳に入ってきてたんだけれど、貴方が天の御遣いって本当なの?」

と皆が聞きたかった事実を華琳が改めて聞いてくる

 

すると一刀は苦笑しつつ・・・微笑みながらというなんとも奇妙な笑顔で

 

「何処まで本気なのか・・・それはこの大陸に落ちた時、世話してくれていたのが曹操だったのなら・・・が正確な表現かな」

「・・・そう」

と答える華琳はひどく残念そうな顔を一瞬みせる

 

「それと劉備軍の皆も同じ問いだったけれど・・・俺が噂の”天の御遣い”ねぇ?

 果たしてどうなんだろうな・・・そんな大それた人物ではないと、自身で思っている事は確かだよ

 

 ただ俺は”この時代の人間”ではない・・・そこだけは事実だよ 気付いたら寿春の南で倒れていたらしい そこを孫家に保護されたんだ

 

 それを天から遣わされた人物というのならそうだろうさ・・・そんなのは他人が決めればいい事だよ

 もし本人がそうだって認めていたら、それこそ胡散臭い事この上ないさ・・・」

と華琳の問いに、天の御遣いに対する未練等何一つ見られない一刀

 

やっぱり管輅ちゃんが言っていた噂の南に流れていった流星

あれに一刀さんが乗ってたんだ~と桃香が、小声で愛紗や鈴々に嬉しそうに囁いている(序章第8話参照)

 

劉備の言っている管輅の噂は私の耳にも入ってきてはいた・・・流れ星に関しては見ていないから信憑性には欠けるけれど・・・

眉唾モノと思っていたけれど、まさか本当だったなんて言うとは・・・

 

「貴方がこの時代の人間でない証拠はあるの?」

「曹操は中央に居たから知ってるかもしれないが・・・”ラガー酒”や”ワイン”というお酒を飲まなかったか?」

 

「えっ えぇ・・・宮中の晩餐に呼ばれた時に、確かに口にした事がけれど・・・何故貴方が宮中の事を・・・まさか!」

「ああ そのまさかだ」

「うそ・・・でしょ・・・」

と囁く事しかできなかった華琳であった

 

華琳の周りにいる武将達は、一刀達のやり取りを聞いてはいるものの理解が追いついていない・・・というのも

皆様もご存知の通り、華琳は特級厨師並みの料理の腕前と海原雄●真っ青の美食家としても有名である

 

その華琳が料理に良く合うお酒があると、大将軍・何進から招待された晩餐に出されたものこそがワインだったのである

このワインの事を何進から聞きだそうとするものの、帝への献上品以外の情報を教えてくれなかったのだ

 

仕方なく十常時側から情報を引き出すと、孫呉からの献上品だということまでは突き止めた華琳であったが

全ての情報が魯家で止まってしまうのである 仕方なく魯家と親しき商人と介して手に入れようと交渉するものの

譲ってもらえたのは僅か2本 しかも価値が付き過ぎて市場に流せる量までの生産は出来ない しかも偽物すら多く出回る始末

 

しかし蜜蝋を使った蝋印と店の者しか知らない判別方法で、真贋がすぐ見極められるのも、華琳にとっては斬新だと感心していたのだ

そして製法すら秘密といった念の入り様に、製造の方も諦め・・・さすがの華琳も年に数本手に入れるのがやっとという状況だった

そしてワインを飲むのも決まった最良の日しか飲まないという念の入り様で

通常は魯家から流通量の比較的多いラガー酒を愛飲している華琳である

 

まさか華琳自身の手で、孫家復興の手助けをしているとは、今まで夢にも思わなかったことだろう

 

凋落した孫家が今まで鳴りを潜めていた理由・・・資金を調達していたのね 油断していたわ・・・

 

今まで飲んだ事のない魅惑的な飲み物+天の御遣い・北郷 一刀+魯家=その裏側に孫家がいる図式が

華琳の中で一本の線として繋がった瞬間である

 

私の最大の敵・障害となる一番手は”孫家” そして・・・後はあの子達と桃香達を視線で追う華琳であった

 

「そう言えば貴方の名前聞いてなかったわね 私の姓は『曹』 名は『操』 字は『孟徳』」

「俺の姓は北郷 名前を一刀 字と真名はないんだ 好きに呼んでくれ よろしく曹操」

 

「えぇ こちらこそ よろしく」

と答え微笑みあう一刀と華琳

 

その後は劉備軍・曹操軍入り乱れての”自己紹介合戦”の様相をみせる

「長い間お邪魔したわね これからの事は軍師同士で話し合いなさい」

「それと北郷 これからは好きに我が陣地を訪れると良いわ 歓迎するわよ」

と言い残すと春蘭と秋蘭を連れて去っていく華琳

 

 

・・・北郷、いずれ貴方を手に入れてみせるわ この大陸の覇権と共にいつか!という野望を胸に・・・

 

 

一刀は司馬懿とすれ違い様に

「先程から俺ばかり観察されてましたが 何か?」

「いえ・・・天の御遣いと呼ばれる方が気になったもので・・・ 御気分を害したのであれば、申し訳ありませんでした

 打ち合わせがありますのでこれにて・・・」

と一刀は真意を確かめるように、鋭い一閃の言葉を叩き込むものの、スルリと交わし去っていく司馬懿

 

・・・ふむ 気付かれてましたか フッ さすがは”噂”の北郷 一刀ですね これから面白くなりそうですね 

と思考しつつ眼鏡の位置を直す 先に去っていった主達に追いつくべく、歩みを速める司馬懿であった

 

一方、一刀の視線は猶も執拗に司馬懿を追い続ける その厳しい様子に

「一刀様 いかがいたしました?」

と真意を測りかねた亞莎が問いかけてくる

「いや・・・」

あれが三国時代を終らせた”人物”の親か・・・と思考し、人物を観察していた一刀であったが

亞莎にそれを言うのは時期尚早と判断し、それ以上言うのを止めてしまっていた

 

「さあ 俺達もお暇しようか 瑠璃・亞莎」

「・・・うん」

「はいっ 一刀様」

 

もっと居ればいいのにと引き止める劉備軍の面々と別れ、一路北へと向かう一刀達一行でありました

 

これが天の御遣いと呼ばれる北郷 一刀”と物語の中心”にいる人物達の邂逅であった

 

 

 

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

   春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

   「江東の虎」の異名で各地の豪族を震撼させた

   優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

    呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

   普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

   発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

   このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

   ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

   妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

   緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

   祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

   部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

   真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

   

 ○凌統 公績 真名は瑠璃 

 

   荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

   知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

   以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま日々を暮らしている

 

   姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

   (背丈は朱里や雛里と同じくらい) 真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

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【あとがき】

 

雪月でございます 今回も長めです! そう早めですがクリスマス拡大スペシャル増量であります!

ホントいい言葉ですよね! ディスれば単に話が短く纏められないだけだろう!と突っ込める処であります!

 

拠点編をカキコしていた時より、カウンター数の勢いがダンチです ビックリです 嬉しい悲鳴です

拠点ってもういりませんかね?(ぇ 

カウンター数に関しましては、第1章への期待の表れととりまして、今後も一層皆様に愛して戴けます様に日々精進してまいります

 

来週はお正月拡大版・・・はさすがに無理だと思いますががが(´・ω・`;A) アセアセ

 

今回は紹介付きオリジナルキャラの登場です 

今後の凌統・徐盛・朱桓の三人は、一刀さんの指揮下で『呉の三羽烏』として活躍させる予定でいます

第1章で後々@一名のオリジナルキャラを追加して、真名のあるオリジナルキャラは総出演となる予定です 

後は名前だけの男の方、主に内政担当の方々や敵の方々といったチョイ役出演となります

 

前話のコメントにて、コメントして戴けなくても作品を今まで読んでましたというお言葉を頂戴いたしまして本当に嬉しく存じます

本当に何でも結構ですので、気軽にコメント残して戴けますと嬉しく存じます

コメント少し上にある”支援するボタン”を押して戴けますとより嬉しく存じます

 

ステマとゴリ押しはこれくらいにしておいて・・・

 

何度もカキコしておりますが、本当に皆様のコメント・支援ボタンを押してくださるお気持ちが素直に嬉しくて

日々の制作の糧となっております

 

一年の終わりも後少しとなりました 皆様体調管理に十分お気をつけて、年末年始を楽しくお過ごしくださいませ

 

それでは 皆様 また次回更新時にお会いしましょうね~( ´ ▽ ` )ノ

(今回はもっと短い”あとがき”となりました)


 
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