No.523480

インフィニットストラトス -九番目の熾天使-

第四話『家を魔改造。ちょっとは自重しろ!』

2012-12-26 15:44:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4612   閲覧ユーザー数:3995

 

 

 

 

 翌日の夕方

 

 

 俺は束に家が完成したとの連絡があったので向かうことにした。

 

 場所は学園敷地内の公園の隅にポツンと二階建て一軒家が建っていた。

 

 一見すると普通の家だ。……外見は、な。

 

「あ! 煉くーん! こっちこっち!」

 

 束が一生懸命手を振っている。

 

「で、これが新しい家か?」

 

「うん! ただし! ただの家じゃないんだよ! えっへん!」

 

 なんか胸を張って言っているが、自信満々に言われても全然期待できないし褒めたくない。

 

「……で、何処が普通じゃないんだ?」

 

「よくぞ聞いてくれました!! じつはこの家の壁はカブラカンの装甲板をしようしているんだよ! これで耐震性も強度も問題無し!」

 

 …………は?

 

「すまん、束。今なんて言った?」

 

「え? 耐震性も強度m―――「いや、その前だ。」え? ああー、カブラカンの装甲板を使用しているって事?」

 

 カブラカン…………まさか、あのカブラカンじゃないよな?

 

「束……それってもしかして……?」

 

「うん。前に煉君が見せてくれたアームズフォートのカブラカンの装甲板を試しに作ってみたら……出来ちゃった☆」

 

 この変態科学者が!

 

「おいコラ! 可愛く言っても誤魔化せると思うな!」

 

「別にいいじゃん。兵器は作ってないし。う~ん、私が作ったから……タバラカン? いや、タバネカンもいいかも……」

 

 ……もういいや。この程度で怒ってたら胃に穴が空きそうだ……。

 

 それと、ネーミングセンスが無さ過ぎだ。

 

「次は庭を説明するね! デザインはイギリス風の庭にしてみたんだけど、家の周囲には各種高性能センサーを設置しました!」

 

 お? 次は意外と普通だな? てっきり『地雷を敷いたから侵入者対策は万全だよ♪』とか言うと思ったのに。これなら期待しても……

 

「そして、センサーが侵入者を感知すると警報がなるのです!」

 

 ふむふむ、普通だ。一体どうしたのだろうか? 束の奴、熱でもあるんじゃないのだろうか……?

 

「それで?」

 

「侵入者を警報が鳴ると、この子達が迎撃してくれるよ!」

 

 束が端末を操作すると庭の一部が開き、地面から大きさ70㎝前後の警備ロボが5体出てきた。

 

 赤い塗装に二基のバーニア…………何処からどう見てもミニチュアサイズのナインボール・セラフだった。

 

「…………おい」

 

「ん? なに?」

 

「……あれ、何処からどう見ても……」

 

「うん、ナインボール・セラフだよ? 私が作った警備ロボ『リトル・セラフ』、通称『ちびセラちゃん』だよー。」

 

 クソッ! 予想の斜め上どころか真上だった!

 

 …………落ち着け、落ち着くんだ。たかが外見を似せて作った警備ロボじゃないか。別に怒る理由は無いはずだ、うん。

 

「……それで、どうやって撃退するんだ?」

 

 時には我慢しようではないか。俺は結構我慢強いかr――――

 

「うん! 武装は固定武装として両腕部に9㎜弾を使用したマシンガンを搭載、それと、レーザーブレードも付けちゃいました♪

 これでサクッと撃退しちゃうのです!」

 

「アホかぁ!!」 

 

「あいた!?」

 

 俺は我慢できずに拳骨を入れた。

 

「なにが『サクッと』だよ!? 蜂の巣か蒸発の二択しかないだろ!? それにこれは『撃退』じゃなくて『撃滅』だ!!」

 

 捕まえるならまだしも、問答無用で殺す気か!?

 

 間違えて生徒が入ったらどうするんだよ!

 

「もー! そんなに怒らなくてもいいじゃんかー!」

 

 怒るわ!!

 

「……ったく、それで?」

 

「んー? えっとね、ちびセラちゃん達が撃退困難と判断したときにちょっとしたプログラムを仕込んでみたの」

 

 プログラム……? なんだろ?

 

「ちょっと見ててね。……ポチッとな♪」

 

 束が端末がボタンを押すと、一体のちびセラが目の前にある少し大きめの木にへばり付いた。

 

 え?……へばり付いた?

 

 すると……

 

 ドゴォーーン!!!

 

 パラパラパラ……

 

「へへーん! どうでしょ? 凄いでしょ!?」

 

 ……ああ、取りあえず……

 

「アホかぁああああ!!」

 

「あいたー!?」

 

 もう一回拳骨を入れておいた。

 

「もー! また殴ったー! 酷いよー!」

 

 うるさい!

 

「やかましいわ! プログラムって、ただの自爆装置じゃねぇか! 壊す気か!」

 

「大丈夫! カブラカンの装甲板はこの程度で壊れる程柔じゃないよ!」

 

 そう言う問題じゃ無いわ!

 

「俺が心配しているのは侵入者と学園だ!」

 

「どうでもいいよ、そんなもの」

 

 よくねぇ!?

 

「ま、いいや。次は家の中だよー」

 

 そうやって束のボケのような説明に俺はツッコミを入れていった。

 

 ちなみに、家の中にもセンサーがあって、警報が鳴ると俺と束に通報。そして、家中に取り付けられたセントリーガンが

 火を噴く仕組みになっている。

 

 中には実弾以外にもエネルギー弾を使用した物もあった。

 

 そして、地下に研究室があるんだが、何故か核シェルター並の強度だった。

 

「それにしても、二階建てにする必要があったのか? 束が住むのには広すぎるだろ?」

 

「何言ってるの? 煉君も一緒だよ?」

 

 え? 俺?

 

「ちょっと待て! 俺は寮があるんだが? それに、千冬さんが許す訳―――「ちーちゃんが許可してくれたけど?」……ちょっと待ってろ」

 

 俺はすぐに千冬さんにコールする。

 

『篠崎か。どうしたんだ?』

 

「織斑先生。束が俺と一緒に住むとか寝ぼけた事を言ってるんですが? 許可なんて出して無いですよね?」

 

『ああ、それなら私が許可した』

 

 なにぃいいいいいい!?

 

「ちょっと待って下さい! 一体どういうことですか!?」

 

『その馬鹿が『煉君と住まわせないとまた発明するよ? 今度は反物質爆弾を作ってやる!』って言うからな……仕方なく、だ』

 

 脅迫じゃねぇか!

 

「ま、お前一人が犠牲になる程度で世界が救われるのなら安いもんだろ?」

 

 こ、こいつ……生徒を売りやがった!

 

『それじゃ……頑張れよ?』

 

 そう言って千冬さんは通信を切った。

 

 ……アイツは鬼か?

 

「ね? 言った通りでしょ?」

 

「……はぁ。……分かった。もう寝よう……」

 

 もういい……諦めた。

 

「うんうん! 理解してくれて束さんは嬉しいよ! それじゃあ、れっつごー♪」

 

 え? ちょっと待て。何故俺の腕を引っ張る?

 

「お、おい? 何処に行くんだ?」

 

「何処って……ベッドだよ?」

 

 はい?

 

「いや……俺は自分の部屋で寝たいんだけど?」

 

「あ、言うの忘れてた。ベッドは私の部屋にしか無いから。もちろん、布団も寝袋も無いから」

 

 ちょっと待てぇええええ! 俺はそんなこと聞いてないぞ!?

 

「お、俺はソファーで寝るから!」

 

「ダ~メ♪」

 

「おい! 腕を掴むな! は、離せ! い、いやぁああああああああああああ!!!!」

 

 ……そうして俺はまた穢されてしまった……しくしくしく……。

 

 

 


 
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