No.521484 ATTACK OF THE DES:Introduction佐倉羽織さん 2012-12-22 15:46:44 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:728 閲覧ユーザー数:724 |
飛び散る汗が歌になり
流した涙が星になる
私達は0048
たとえどんなに遠くても
会いに行くよ
ATTACK OF THE DES:Introduction
一次創作「AKB0048」
※作中「八代目篠田麻里子」という表現が出てきますが執筆時の想定値であり正しくは「九代目篠田麻里子」になります。本作は頒布版を正としますのであえて訂正しておりません。ご了承ください。
○briefing
星歴0055年。AKB0048では、既に多くの襲名メンバーの入れ替わりが行われていた。卒業したメンバーは、あるものは市井に帰り、あるものはその活動を支えるスタッフとなった。同時に在りし日のメンバーを継ぐ者も増え、その
ある日、
現プロデューサーであるカタギリ・ツバサは、近年、現行政権への介入ではなく、傀儡政権の樹立による反芸能勢力の拡大に転じたD.G.T.O.がこれ以上勢いづかないよう牽制する為、状況は厳しいとしながらも派遣を決意。本作戦は、「
メンバーは増えていながら、依然チーム00のみの一チーム体勢だった襲名メンバーを、全部で三チームに再編。その上で、今回は地上でのライブに六代目
ライブ当日、予定通り展開した各チームは、作戦開始起点時刻
○LINK DOWN
「あと三曲……」
フライングゲットブリッジの一段高い位置に新造された提督席で、麻里子様はつぶやいた。気がかりはある。部隊が駐留している割には、ライブ開始後のDES軍の動きが恐ろしいほど弱い。特に初動時において一個小隊しか送ってこないなんて……。確かにこの地は停戦状態にあるので、現政権を刺激したくないという思惑はあるのかも知れない。しかし00は正規軍ではなく、私兵、悪く言えば単なる
「麻里子、どうしたの」
キャプテンシートから振り返り、ゆきりんが聞く。
「うん、あまりにもDESがおとなしいと思って。さっしーは、何か言ってなかった?」
「特には……ただ」
「ただ?」
「最初に攻めてきた無人機、この宙域では明らかに形式の古いタイプじゃないかって」
機械に強い指原らしい意見だ。
「具体的には?」
「えっと、脚部ユニットが旧仕様で……」
柏木が思い出しながら話しているとき、LASから通信が入った。
「こちら指原莉乃。作戦時間5528、16時の方向に機影発見、照会を」
「こちらフライングゲット管制、識別レッド……」
フライングゲットオペレーターの報告はしかし、そこで途切れた。
「どうしたの」
ゆきりんが即座に尋ねる。オペレーターは無意識にインカムのマイクを押さえて肉声で報告を始めた。
「カチューシャ、
「!?」
柏木は驚きのあまり声が出ない。
「途絶直前にカチューシャからなにか送ってきてないの?」
麻里子様は慌てて聞き返す。オペレーターは答える。
「いいえ、音声系、映像系だけではなく、テレメトリ系も確認しましたが異常は検知出来ません」
単なる電圧異常に起因よるモノか、それとも奇襲を……。だが、現場の最高指令としては最悪の事態に備えるべきだと麻里子様は思った。
「指原、チームBのLASは一小隊残して全部会場に戻して。残りの小隊を指揮して16時の敵機、やれるわね」
「なん、とか……。亜美菜さん、移動機の指揮をお願いします」
「
「美織さん、華怜さん、行きますよ」
「指原、了解だよ」
「カレンさんにどーんと任せなさいって」
「こちら、フライングゲット管制。以下識別敵機群をレッド13とコール」
「こちら指原莉乃。レッド13迎撃の為、作戦時間
「管制より指原機、了解」
よりによってその三機か、と麻里子は思った。
「DESさんが心配ですね……」
ゆきりんはその気持ちを察して苦笑した。
「
カチューシャの艦橋は右上方からの突然の攻撃に緊張が走った。艦長の片山陽加が叫ぶ。
「回避!全員対ショック防御!」
しかし、レストアし電装系を中心にアップグレードしてあるとは言え、カチューシャが旧型戦艦であること、芸能支援艦であることは避けられない事実だ。新型艦に比べて余裕がないスペースのしわ寄せは、通常航行用の反応炉による駆動系に来ている。
「ダメです、エネルギー体、本艦右舷距離
ぎりぎり直撃は免れたものの、かなりの至近距離を通過したエネルギー体は、カチューシャに単に激し振動を与えただけで無く、各部に影響を与えるには十分な力を持っていた。
「電算系にダメージ、予備系に切り替え確認」
ブリッジ各員がそれぞれ読み上げる状況報告を聞きながら、かたはるはレーダー圏外からの高エネルギー攻撃の意味を考えていた。
「ロングレンジビーム……フロンティア級?」
フロンティア級なんて、準惑星制圧用の大型艦だ。多分DESの所属艦ではなくて借り物だろう。そもそもフロンティア級は銀河標準戦艦とは著しく互換性が低い艦で、戦艦と言うよりは移動プラットフォームに近い。極端に足が遅いので敵から反撃を受けたらそれで雌雄が決してしまう。だから、敵に気づかれる前に遠距離から、一発撃ってあとは待避する。まさに一撃必殺の兵器と言える。従って単艦なら現状、脅威に感じる必要はないのだが、DESもあの一発でこちらを沈められるとは思っていないだろう……。
「だめです、予備系、分散コンピューターの一部が反応しません」
起こりうる悪い事態は予想通り発生する。大昔に先生に聞いたっけ。
「こんな時にクラスター・アムネジアか……索敵系、兵装系を優先に再接続。欠損モジュールは停止した主系から融通して。最優先事項よ」
「了解」
やられた。おそらく作業終了までの数分、こちらは丸腰だ。
「敵旗艦より入電。『DES作戦指令よりカチューシャ艦長へ。AKB0048メンバー全員投降せよ。これは最後通告だ』とのことです」
なんだかんだ言ってもDESは正規軍なのだなと片山は思った。なるほど、星間戦時法の支配からは逃れられない訳だ。うら若き艦長は突然、いたづらを思いついた子供のような表情をした。普段00を
「『バカめ』、と返信してやれ」
「はぁ……」
「『バカめ』、だ。艦長名義でかまわん」
「了解しました。『カチューシャ艦長よりDES作戦指令へ。バカめ、以上』送信しました」
「艦長!左舷
「識別は?」
「識別……レッド、ダイダロス級確認、ダイダロスαと呼称」
挑発に乗って、教科書通りの行動に出るなんて、可愛らしいと、かたはるは思った。これでこちらはコンピューターの不調を回復する時間を稼げた訳だ。それにしても、小物だな。ダイダロス級なんて、揚陸艦に毛が生えたぐらいの大きさだ。フロンティア級のレンタル費用が高かったのか……。こっちがなめられているのか……。
「電圧制御系に異常。フライングゲット、
この異常は当面無視していいだろう。この状況下で地上に報告して意味があるのは、全て対応が終わったと言う事実だけだ。
「ドックに待機中のLASをスタンドアロンで展開。既に展開中の中隊を電信光学の両系で呼び戻して。砲手、ダイダロスα実体化直前に予想位置を砲撃、時間がないわよ」
片山は故郷が名だたる提督を輩出する星だったこともあり、幼少期より初歩の艦船指揮訓練を、基礎教養として受けていた。当時は数学とか国語とかと並ぶ単なる教科だったから特別な思い入れはなかったけれど、勉強はちゃんとしておくモノだなあと、そんなことを思っていた。散々やったな、艦隊指揮の古典『コバヤシマル・テスト』を。
「……そ、そんな……」
うろたえた声がする。即座に叱咤する。
「そこ!事実のみを報告!」
「か、艦長、左舷〇三一一に別のキララアウト反応が……」
そんなところまで『コバヤシマル・テスト』に似せなくてもいいのに……。
「識別は?」
「識別でました、識別コード――――――
【続きは頒布版にて】
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コミックマーケット83 1日目(29日) 東5ホール ハ13a 「マドカミ町奇譚」にて頒布します。
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ゲリラライブ作戦「OPERATION BLUE PLANET」の後方支援活動を実行中の戦艦カチューシャを襲うDESの強力な攻撃。艦長六代目片山陽加がその状況に『コバヤシマル・テスト』を思い浮かべ、覚悟を決めた時、星を越えて意外な援軍がやってくる。
テレビシリーズで描かれた襲名メンバーの、その後の世代による芸能禁止勢力との戦いを描いた小編。
【コミックマーケット83 1日目にて頒布予定作品の先頭部分を公開します】本篇は頒布物での公開のみになります。ご了承ください。