その日から、俺はルカ、コンウェイと一緒にメシを食うことになった。
「僕、野菜とか冷蔵庫に入れてくるね!」
ルカはスーパーから帰るなり食材を冷蔵庫に入れに行った。
ここはルカの家だ。
俺はいつものように野原の河川敷で寝ていたのだが、偶然ルカがやって来ていっしょに買い物に行こうと誘ってきた。断る理由もなかったので――暇つぶしになるし――買い出しに一緒にスーパーへ行くことにした。そして、そのままの流れでルカの家でメシを食うことになった。
「ルカくん、そんなに急がなくても大丈夫だよ」
走っていくルカにそう注意したのは、コンウェイだ。こいつはルカが俺のところにやって来たとき、ルカと一緒にいた奴だ。胡散臭そうな奴だが、ルカはこいつを慕っているようだ。ルカといつも買い出しに行ったり、メシを食ったりしているらしい。今日もそれが理由でルカと一緒にいたようだ。
「スパーダくん、僕らも行こうか」
「・・・ああ」
俺が考えていると、コンウェイが俺に呼びかけてきた。突然のことに少し驚いた。
ルカの家に初めて来た俺は、勝手が分からなくてコンウェイの後を付いて行った。廊下を進んで最初の部屋がリビングだった。そこでルカが食材を冷蔵庫に入れている。冷蔵庫の上の方に食材を入れようとしているが、どうやら手が届かないらしく、必死に手を伸ばして入れようとしていた。それを見たコンウェイは、ルカのところへ行き、ルカの代わりに食材を冷蔵庫に入れてやった。
「上の方に入れるのは、置いといていいって、言ってるだろう。僕が入れるから」
「うっ・・・そうだけど・・・もう届くかなって・・・」
ルカは悔しそうな顔をしてそう呟いた。コンウェイはルカのそんな様子を見て笑っている。
「ルカくんはまだ小学3年生なんだから、仕方ないよ」
「もう小学3年生だよ!」
ルカが頬をふくらませて、コンウェイに反抗した。でも、コンウェイはそんなルカが面白いのか、クスクス笑っている。
それを見ていた俺は、自分だけが遠くにいるような気がした。
自分がいない世界
自分が入れない世界――――入ってはいけない世界
そんなことをつらつらと考えていると――
「スパーダ!」
「えっ・・・・・・」
「夕ごはんの準備をしよう!」
ルカがそう俺に呼びかけた。コンウェイはルカの横でいつもの微笑で俺の方を見ている。
「そうだよ。お邪魔しているんだから、手伝いくらいしないとね」
俺はコンウェイの余計なセリフにイラついて、何か言ってやろうとしたが、ルカが先にコンウェイに向かって文句を言った。
「コンウェイ!僕は、そういうつもりで言ったんじゃないよ!」
「ふふ。分かっているよ」
コンウェイは笑いながらルカの頭を撫でている。ルカは頬をふくらませて怒っているようで、コンウェイをちょっと睨んでいる。
その様子を見て、俺は思わず笑ってしまった。
安心してしまった――――――何にかは分からないが。
俺が笑っていると、ルカが不思議に思ったようで俺に問いかけてきた。
「スパーダ。どうして笑っているの?」
ルカが怒っていたのを忘れてしまったように、小首をかしげて俺に聞いてきた。
それがおかしくて、楽しくて―――――
心の中で、暖かい感情がたゆたっていた。
でも、それを知られるのは恥ずかしくて、気づかれないように返事をしようとした。
「何でもねぇよ!」
が、――――口調と違って、声色をごまかすことはできなかった。
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TOI-Rの現代パロの8話目です。