バチバチバチ・・・・バチンッ!!
「・・・・ん?着いたか?」
先ず目を開けると、何処かの研究室のような場所に出た。
周りには何かの資料やらインスタント食品やら変な食い物?までもがある。
取りあえず、かろうじて人が住んで居るであろう事が分かる状態だ。
そして――――
「君・・・誰?」
後ろから声を掛けられた。
俺は咄嗟に声を掛けた人物を無力化しようとしたが、嫌な予感がMAXで感じたので動きを止め、後方に退がった。
「おお~!君、すごいね!よく私の防衛装置が作動しているのが分かったね?そのまま私に触れてたら君、蜂の巣だったよ?」
危ねぇ!?コイツ危ねぇよ!?
「え?・・・・ウサギ?」
っていうか、目の前の人物は実に・・・・個性的な女性だった。
「あ、これ?可愛いでしょ?」
頭にウサ耳を付けているのだから・・・・。
普通の人なら恥ずかしさで付けないと思う、うん。
でも、あのウサ耳・・・なにか機械っぽい感じがする。
「それ・・・何かのセンサーか?」
「あ!やっと喋ってくれた!私は興味の無い人とは話さないけど、君はとても興味深いからね!いきなり空間に異常が発生したかと思えば、男の子が出てきたんだよねー!これには束さんもビックリだよ!」
あ、やっぱり見られてたんだ?
「束?それは・・・お前の名前?」
「そうだよー?篠ノ之束、それが私の名前。で、君は?」
随分明るいっていうか、脳天気な雰囲気な奴だな?
「俺か?俺は、篠崎煉。」
「歳は?」
「18」
「ふ~ん・・・・」
俺を観察して興味深そうにしている篠ノ之。
「それで、君・・・何処から来たの?空間の異常から考えて『転移』ってのが一番しっくり来るけど、今の凡人達の技術レベルから考えてに現実的じゃないよねー。この束さんより技術力が上な人は先ず居ないから、もしかして・・・並行世界からでも来た?なんちゃって♪」
コイツ・・・お茶目な感じで言ってるが、その目つきは鋭い。普通の奴なら気づかないが、数々の修羅場を経験した今の俺なら分かる。
見たところ、コイツは科学者だ。それも天才の部類に入る厄介なものだ。
「後者が正解だ。俺は別世界から来た人間だ」
「やっぱりねぇ~。それで、君が目的でこの世界に来たの?やっぱりISかな?でも、並行世界を渡る技術があるのにISを欲しがったりするのかな?」
「いや・・・目的は無い。何も・・・無い。ただ、生きるだけ」
そう、俺はただ刺激が欲しかっただけ。それだけが目的なんだから・・・。
「うーん、それは予想外な回答だねぇ。・・・で、それを信じて欲しいと?」
可愛らしく言っているが目は笑っていない。
「信じられないならそれで構わない。どうせ俺に不都合はないのだから・・・な!」
「っ!?」
【おはようございますマスター】
俺は一瞬で『ナインボール・セラフ』を起動し、ルシフェルが挨拶する。その瞬間、マシンガンの様な物が天井、壁、床から現れ、俺に向かってフルオートで乱射する。
だが、シールドを張っているおかげで機体のダメージは皆無だ。
【こちらに向けての発砲を確認。敵と認識します。敵数8。パルスキャノンを推奨します】
俺は両腕に固定武装として付いているパルスキャノン『Stardust』をそれぞれの防衛装置へ的確に打ち込む。
それだけで防衛装置は爆散する。
止まっている的を撃ち抜くだけだ。これほど簡単な作業は無い。
「うそ!?IS!?なんで!?」
ああ、これってISなんだな。今気づいた。いや、やけにサイズが小さいかと思ったんだけど・・・もしかしてオーディンがこの世界に合わせたのかな?
「ああ、これはとある元々大型機動兵器を変態科学者達がこのサイズに縮小したらしい。ま、詳しい事は知らない」
「・・・さっきの君の目的・・・あながち嘘じゃないかもね」
お?信じてくれるのか?・・・・ってか、何か目がギラギラ光っているのは気のせいか?
「ねぇ篠崎くん?ちょーーーーっとだけ・・・・私にそのIS、調べさせてくれないかな?ものすごーーーーーく興味があるんだ~?」
っ!?な、なんか怖い!?こ、断ったら何か危ない気がしてきた・・・。
「・・・俺に一切の敵対行動を取らなければな」
「うん!勿論だよ!」
束は嬉しそうにはしゃいでいる。そして今理解した。コイツ・・・変態科学者達と同類だ。
そして俺は篠ノ之束にISを・・・・取り出すことは不可能なので、スキャニングによる分析を始めた。
すると―――
「え?ちょっ!?何コレ!?」
もの凄く驚いていた。
「武装も凄いけど、装甲がこの地球のどの金属とも合致しないし、動力が・・・アンチプロトンリアクター!?この研究所を吹き飛ばす気!?それに・・・AIが組み込まれてる?」
【こんにちわDr.束。私は『このナインボール・セラフ』の独立支援戦闘ユニット『ルシフェル』です。以後、お見知りおきを】
そして俺は説明が面倒なので、ルシフェルに任せた。そして・・・・
「こ、この天才束さんを超える高い技術力に未知の金属・・・・も・・・」
何だか束が震えている。
ってか・・・・も?
「燃えてきたよーーーー!!!」
・・・・は?
「凄い!凄いよこのIS!反陽子生成炉で半永久的に動力供給があるおかげで絶対防御フィールドがエネルギー切れを起こす事は無いし、なによりこれだけの技術や空間圧縮の特性を持つ未知の金属・・・・メタトロンだっけ?を使っているのに拘わらずの安定感!もはやこれは芸術だよ!!」
ああ、コイツはやっぱり変態科学者だ・・・・。
「そ、そうか・・・で、これから俺をどうするつもりだ?」
「ん?どうするもこうするも、私には決定権は無いよ?だってこの子、間違い無く世界最強のISだし、天才科学者といえども一瞬で殺されちゃうよ」
あ、それもそうか。
「う~ん・・・どうしようか?俺、行く宛てもないしなぁ・・・」
本当に困った。
「あ、それなら私の護衛として雇ってあげようか?今なら衣食住に加えて美人科学者が付いてくるよー?」
おお、それは魅力的だ。ただ、一つだけ言わせて貰おう。
「変態科学者の間違いだろ?」
「ひっどぉーーーーい!!こんな美人なお姉さんを捕まえといてその言い草は無いんじゃないかなー!?」
ま、まあ・・・美人であるのは確かだな。スタイル抜群だし・・・その・・・む、胸が・・・
「わ、悪いが・・・服装を正してくれ。その・・・目のやり場に困る」
見えそうなんだ!!
いや、俺だって健全な男子ですよ?胸が見えそうだとついそっちに目が行っちゃうんです!!
「へ?・・・はわわ!!も、もぅ・・・君は意外とスケベなんだね!」
「違うわ!!見せたのはお前だろ!?・・・ったく。それと・・・俺の事は煉でいいから」
「え?あ、うん。私も束でいいよ?あ!束お姉さんやお姉様でも「却下」・・・ぐすん、酷いよぉ」
泣き真似をしても無駄だ。ここに来る前に世話?になった女性科学者も同じ手を使っていたからな!
「はいはい。取りあえず、束でいいか?」
「うん、いいよ!」
くそ・・・コロッと表情を変えやがって・・・
「それじゃあ、しばらく私の手伝いをしてくれるかな?」
・・・指を顎に当てて首を傾げるのは反則だと俺は思いたい。
「・・・分かった。何をすればいい?」
「それじゃあ――――」
そして俺の刺激的な生活が始まった
束と過ごしてISと言う物がどういったものか分かってきた。
ただ、疑問が一つある。
何故、ISは女性しか乗れないのか?
これだけはどうしても理解できないし、束も分からないと言う。
あ、それと・・・今、俺は束の秘密基地?の上空を飛行中だ。と言っても、低空飛行だけどね?
どうやら束は世界中の国々から追いかけ回されているらしい。
それはそれは・・・ご愁傷様ですって言ったらジト目で見られた。
『煉くーん、調子はどおー?』
「問題無い。良好だ」
『取りあえずご飯だから戻って来てね-!』
「・・・・ああ」
俺は公園で遊んでいる子供か!?
ま、お腹は減ったので帰還するとしよう・・・。
「と言う訳で、ちょーっとだけ調べたい事があるんだよねー」
食事の最中に束はそう切り出した。
序でに食事は俺が島の海岸で態々素潜りしてまで捕った魚介類だ。
何故か伊勢エビらしきものが混じっていた気がするが、とにかくフライにして美味しくいただきました。
「断る」
「即答!?」
理由?簡単だ。コイツが変態科学者だからだ!
「どうせ碌でもない事を企んでるんだろ?」
「違うよ!?・・・・というか、今回はちょっと真面目な案件なんだよね」
・・・・ほう?
「未確認の情報だけど、私が開発したISにAIを搭載した無人機を作ったっていうのを耳にしたんだよ」
束が静かに言う。
「私の開発したISを勝手に改造して・・・・その上、無人機?見つけたら絶対に許さない・・・潰してあげる」
こりゃ本気で怒っているな・・・。まあ、自分が開発した物が勝手に弄くり回されたら怒りもするわな。
俺が開発したわけじゃないが、ナインボール・セラフを改造や量産とかされたら俺も怒る。
っていうか、確実に戦争が起こるね。
「分かった。協力する」
衣食住の礼はきっちり返さないとな。
「といっても、基本的には煉くんのルシフェルの力を貸して欲しいんだけどね♪」
おいコラ!!
Tweet |
|
|
6
|
1
|
追加するフォルダを選択
第一話『天才と最強の出会い』