少年は外を見ていた。外は嵐の真っただ中で、誰も外に出ようなどと考えない。そう思えてしまうほどひどい嵐だった。
しかし、少年は確かに聞いた。子どもの泣き叫ぶ声が。
これほどまでの激しい嵐。外は強烈な風の音のせいで、普通はそんな声などここまで届くはずがない。
しかし、確かに聞こえた。少年の耳ではっきりと。男女までは分からないが、子どもの泣き叫ぶ声だとはっきりと分かるくらいには。
少年は全身に寒気が走った。あまりの不気味な声にもう寝ようかと考えた。
すると、家の中から、「びしゃっ、びしゃっ」という濡れた足音が聞こえてきた。その音はどんどんと近づいてくる。
少年はあまりの恐怖に体を動かすことが出来なかった。そうしているうちにどんどんと少年のいる部屋に近づき、そしドアの前で止まった。
誰かいる。そう感じた。
だが、少年はドアを開ける勇気など無い。そして、いつまでたってもドアが開くようなこともない。しかし、確実にそこに誰かいる。
少年はどうしようかと悩んでいると、「トントン」とドアをノックされた。
その音に少年は心臓が口から飛び出しそうになるほどの恐怖を感じた。そして、再び「トントン」とドアをノックする音が部屋に響いた。
しかし少年は返事などしない。そして決して動こうともしなかった。この部屋に自分がいることを知られてはいけない。そう思ったのだ。
もう息をする音も聞かれてしまうのではないかと思った少年は、息すらも止めてしまった。
それがいけなかった。肺は新鮮な酸素を求め暴れ出す。暴れる肺を押さえつけようとなんとか頑張る少年だが、それも限界が達した。
「ぶはっ!!」
思いっきり声をだしてしまった。その声はおそらく外にも響いたことだろう。
そして、ドアの向こうにいる何かが、部屋の中に誰かがいるのを確信したのだろう、ドアノブが回された。
「ガチャ――」
部屋の中にドアが開く音が響いた。
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お題:怪しい嵐