貸してもらっていた鎧を着て、双振りの刀を持って行く先は城
ちなみに斬馬刀は置いてきた、まだ実戦で使うには早いと判断したからだ
……金が無かっただけです
「お疲れ様です、親に挨拶して来ました」
城の入り口にいる門番にさり気なく挨拶をする
「そうか、もう既に準備は始まっているから急げよ」
「はい」
「その武器はどうした? 城のか? だとしたら見た事ないが」
「いえ、父からの餞別です」
「そうか……親が待ってるんだ、死ぬなよ」
「はい……あ、華雄隊はどこか分かりますか?」
「華雄隊は汜水関だったな、もうそろそろ出発する頃だな、中庭に急げよ」
「はい!」
一度来た時にある程度道は覚えた、
中庭なら迷わず着くだろう
なんとか一般兵に紛れ込むことに成功する
兜により顔はよく見えていないはずだしバレる事も無いだろう
そんなことを考えながら兵列に加わる
「これより汜水関へ向かう! 我ら董卓軍に楯突くものを蹴散らすために!」
紫蓮の仕事姿を初めて見るが、いつもの彼女とは違う雰囲気が漂っている
店でバカやっている姿はなりを潜め、そこにいるのは将軍、華雄であった
隣には霞達もいる
「我が優秀なる兵達よ! 進め!」
「「応ッ!!」」
城に華雄隊の声が木霊する
「それじゃあ、先に行ってくる」
「ウチもこの後すぐ行くからな、ウチが着くまで待ってるんやで」
「ふん、遅ければ私が袁紹の首を取ってしまうぞ」
「……マジで待っとときぃや」
「……じょ、冗談だ」
「紫蓮の冗談は分かりにくいのよ」
「ふ、月よ」
「はい」
「安心しろ、お前の命は私が守る」
「……どうか御無事で」
「あぁ」
「絶対こっちから攻めるんじゃないわよ! 攻城戦は籠城側が一方的に有利って決まってるんだから
ね!」
「だから紫蓮殿、絶対に死ぬなです!」
「分かってる、それでは行ってくる」
目指すは汜水関
汜水関に着いた華雄隊は戦の準備を進める
紫蓮の将としての実力は相当なものであった
見張りを立て、石を用意し、矢を大量に砦の屋上へ配置する
門を固く閉ざし、相手の侵入を防ぐ
兵の指揮からも周りの兵からも信頼されているようだ
「この位か……張遼隊の到着を待つ、各自戦に備え準備しろ」
「此方から攻めないので? いつもの華雄将軍なら攻めてるかと」
「ふん、そんな事をしたら優秀な軍師達に合わせる顔が無いのでな」
それから一日遅れて張遼隊も汜水関へ到着し
着々と汜水関の防御を固める
「お、ちゃんと守ってるやないか」
「ふん、開口一番それか」
「やって前まで籠城なんて馬鹿らしいとかいうてたやん」
「ふん、あの時と今とじゃ状況が違う、月達の命が懸っているのだ」
「ふぅん」
「な、なんだその顔は」
「いや、そこまで紫蓮が人の事を考えるなんてな」
「……私も不思議だよ、霞」
「これも一刀のお蔭か」
「そうだな、あいつが居なければこうして霞、貴様とこう仲良く話す事も無かっただろう」
「なんとしても月達を守らんとな」
「あぁ」
そして数刻後、斥候が一本道を進んでくる反董卓連合を発見したとの情報が入る
汜水関に反董卓連合が到着するのは、そう遅くなかった
紫蓮と霞が話している内容に聞き耳を立てる
「斥候によると先陣は劉備軍との事です」
兵が状況を伝える
劉備……関羽や張飛、諸葛亮、鳳統と言った武将、軍師共に優れていたのを思い出す
兵は少ないが、油断していたら痛い目を見るのは明らかだ
「ふん、烏合の衆には変わらん!」
「華雄将軍、指示を」
作戦は籠城あるのみ
そもそも攻城戦は籠城側が有利であり、攻城側は3倍の兵を用意しなければならないのだ
こちらの兵数は汜水関のみで5万
前持って放たれた斥候によると相手の総数は15万で丁度相手の3分の1
机上論では汜水関時点でイーブンと言った所だろうか
「出撃準備に取り掛かれ!」
「ちょ……待ちぃや! 賈駆っちの命令は汜水関の死守やで!? 出撃してどないすんねん!」
あと数秒霞の突っ込みが遅ければ俺が突っ込んでいた所だ
「ふん、冗談だ、どうだ? 緊張は解れたか?」
てか、それは冗談にならない冗談だぞ
「……寿命が縮まったかと思ったわ」
「どうせここで勝たなければ死ぬのだ、気にするな」
「はは、それもそうやな」
「華雄隊! これから籠城戦に入る!」
「張遼隊も同じくや! まだ馬の出番はあらへん、休ませてやれや! せやけど準備はしとけよ!」
汜水関に2人の猛将の声が響き渡る
周りには震えているもの、名を上げるぞと張り切っているもの様々だ
よし、それじゃあやるとしますか!
「ふむ……やはり出てこないな、星」
「それはそうだ愛紗よ、分かりきってた事ではないか、砦という有利な条件を捨てて突出して来る筈
が無いと」
「そうだが……さて、どうやって誘き出すか」
「ふむ……後ろに袁紹が目を光らせているからな、怠ける訳にも行かない」
「それでは」
「うむ、ここは一つ」
「雛里の案を使ってみるか」
さまざまな罵声が華雄に向かって浴びせられる
「お、抑えるんや紫蓮」
「分かっておる」
その紫蓮の表情はいつも通りだ、だが肩は小刻みに震えている
意気地なし! お前のかあちゃんデベソ!
勇将と言われてもこの様か!
「いや、勇将とこれは別やからな?」
「知ってる」
お前の武はその程度か! 自身が無いのか!
「その程度や無いで、それはウチらがよーく知っとる」
「霞うるさいぞ!」
「やってぇ、不安なんやもん」
「ふん、生憎私の武はそう安売りしてはない」
「せや! その調子や!」
「ふむ」
「出て来ないな」
「どうする、星よ」
「どうしようもないではないか」
「そうなのだが……ここは一つ」
「?」
私は平原の相、劉備が一の家臣! 関雲張! そこに居るのは董卓が猛将華雄と心得る!
もしその名が嘘でなければいざ尋常に一騎打ちを申し込む!
汜水関で華雄に関羽とかかなりやばい、演義ではここで華雄は命を落とす
だけど顔見知りの関羽さんなら俺にとってはチャンスだ
俺は急いで支度する
「……」
「紫蓮……ウチも武人や、言いたいことはよう分かる」
「霞、すまん」
「ええって、相手もここまでするんや、仕方あらへん」
「華雄将軍! 兵が一人出て行きました!」
「な!?」
「だ、誰や関羽に向かってそんな事するんわ!」
「わ、分かりません!」
「くっ……私が不甲斐無いばかりに!」
「その馬鹿を止めろ!」
背後で門が閉まる音が聞こえる
2人の怖い声が聞こえてきたがそれは置いといて
目の前の関羽さんと対峙する
「貴様が華雄……では無いな……その顔……その武器……」
ヤバい、さっそく感付かれそうである
ここでバレても仕方ない
バレるタイミングはここでは無い
「いかにも、俺がここに居るのは俺の意思、華雄将軍は関係無い」
「……私は華雄と一騎打ちがしたいと言ったのだが」
「ふん、それは私の屍を超えてから言ってもらおうか関雲長殿」
「それはどう言う意味だ」
「越えられなければ華雄将軍と戦う資格などない、と言う事だ」
煽る、煽ってなんとかごまかす
「ここで大人しく帰れば逃がしてやろうと思ったが……仕方ない! 関雲長、参る!」
全軍が注目する中、汜水関の目の前でそれが始まった
「ハァッ!」
関羽の渾身の一撃を刀で受け流す
流石関羽と言った所か
青龍偃月刀から繰り出される攻撃は呂布のそれとも引けを取らない
「その武器! 貴様! 北郷か!」
あっという間にバレてしまった
だがタイミングとしてはドンピシャだ
距離を無理やり詰める
「関羽、お願いがある、このまま聞いてくれ」
「何だ! この場で命乞いは醜いぞ!」
青龍偃月刀と双振りの刀で競り合いながら小声で話す
「この戦は無意味だ」
「……どういう意味だ!」
一端距離を離し
再び武器をぶつけ合う
衝撃が手を痺れさせるが我慢だ
「張譲は生きている、董卓はその人柱になっているだけだ」
「それで? 何が言いたい?」
「だから今日の夜、この汜水関を空にする、門を入って右の階段を上ったところに部屋がある、そこ
で待つ、と思う」
「……思う?」
「まだ華雄や張遼に話していないから説得する、だからもし出来たらそちらに合図を送る」
「信じられると思うか? そんな話」
「信じてくれ」
「嘘だったら?」
「この頸を好きしてくれ」
「割に合わないな、もし嘘だったら我ら劉備軍は反董卓連盟の愚か者と呼ばれるのだぞ」
最もだ
ここで易々ハイと言われたらそれはそれでそちらの事を心配する
「この難攻不落の汜水関を少数で落とした、と名が立ってもか?」
「……それはそうだが」
思案する様子を見せる関羽
「分かった、桃香様と相談するとしよう、その条件が呑めれば夜にそこで、呑めなければその時は……」
「分かってる、感謝する」
「で、ここはどうやって決着をつける? ここで急に止めれば怪しまれるぞ?」
「ここは俺の負けにする。1、2、3、で思いっきり突き飛ばしてくれ、逃げ帰るフリをする」
「その後は?」
「……頑張って生き残ってくれ、で、夜会おう」
「ふ、会えたら、だ」
「それじゃあ行くぞ、1、2」
3!
「ハァっ!」
思いっきり突き飛ばされる、その力に乗って後ろへ飛ぶ
「うわーやっぱり俺じゃあ敵わなかったー助けてくれー」
主役を張れる完璧な演技と共に汜水関へ帰る
……さて、どうしてあの2人を説得するか
なんとか汜水関内部に入れてもらい一息つく
周りの兵からの目が痛いが仕方あるまい、勝手に突っ走って相手に背中を向けて逃げて来たのだ
そして目の前には鬼の形相をした将軍二人が待ち構えていた
「おい! 貴様! 勝手な行動をして! そのツラを見せろ!」
「あの関羽の前に出ていく愚か者は誰や!」
兜を脱ぐ
「……お、お前!?」
「一……刀……」
信じられない、と言った顔だ
仕方ない、料理人だと思っていた男がここに居るのだ
「どうしてここに!?」
「話を聞いてくれ」
外は膠着状態と陥った、劉備さんたちが頑張ってくれてるんだろう
霞達に今までの事を話す
孫策の元で客将をしていた事、
参加している劉備達とも面識があると言う事
そして関羽との会話を
「だから、話を聞いてくれるかもしれない」
「せやからここを空けろと、そう言うのか!?」
「んな馬鹿みたいな事できるか!」
「何でだ?」
「そりゃ……」
「上手く行けば月や詠を救えて血も流れない、流れるとしたら張譲のだけ……違うか?」
「せやけど……」
「下手したら?」
「俺の頸が飛ぶだけだ、その後虎牢関で恋と一緒に籠城すれば済む話だ」
「……」
「……」
「……分かった」
「紫蓮!?」
「ここの指揮権は私にある、だから私が決定する、なにか問題があるか?」
「……無い」
「ありがとう、紫蓮」
「ふん、それは虎牢関で会った時に聞こうではないか」
夕方まで弓が届くか届かないかの距離で牽制しあった董卓軍と劉備軍
後ろのほかの軍勢は呼吸があっていないのか、あまり上手く動いていない
その間にも少しずつ兵を虎牢関へと送り出す
日が暮れ、夜になる頃にはこの汜水関に居るのは俺と張遼、華雄、そして見せかけのための弓兵だけ
であった
周りが暗闇に染まった頃、俺は行動に移した
砦の屋上から、前列の兵ギリギリを狙ってを弓を射る
丁度足元で地面に刺さったようだ、完ぺきと言っても良いのではないか?
矢には手紙を付けてある
“張飛ちゃんによろしくね”
そこから劉備軍の動きは早かった
あっという間に門との間を無くし、他の諸侯が入る隙間を無くした
「じゃあ、2人とも一応お別れだ」
「……気ぃつけてな」
「一刀」
「なんだ?」
「虎牢関で会おう」
「あぁ、虎牢関で」
夜、
「お兄ちゃん! 久しぶり!」
「元気だったか? 張飛ちゃん」
「うん! 元気だったのだ!」
「回って来たが本当にもぬけの殻だな、人っ子一人いない」
「俺は嘘つかないぞ、関羽」
「ふふ、そうらしいな……所で北郷、相談があるのだが」
「なんだ?」
「この2人のお相手もお願いしたい」
そうして関羽の後ろから部屋に入って来たのは
「やっほー、一刀」
「久しぶりね」
「曹操さんと……雪蓮……久しぶり」
安全を確認した後、蜀の軍師、諸葛亮と劉備さんが遅れてやって来た
主役がそろった所で洛陽内部の事をすべて話す
「成る程ねー、董卓は矢面に立たされただけだと」
「可哀想なのだ……」
「信じられないわね」
「ここを約束通り空にしたからな、少しは信じて欲しいんだけど」
「まぁ、私は袁紹からの手紙からの情報しか知らないし、スズメの涙ほどは信じても良いのだけど」
ちなみに俺の後ろには思春と夏侯惇が怪しい動きが無いように見張っている
思春からとてつもない視線を感じるのは気のせいでは無いだろう
振り向……
「動くな」
首筋に刃が当たる
「はい」
雪蓮がにやにやしてる
笑う暇があるなら退けてもらいたいんだけど
「で、私達にはなんの恩恵があるのかしら?」
「そーそー劉備の所だけズルいわよ」
「そんなことを言われても……そもそもなんで貴方たちがいるんですかね」
「あの……袁紹さんを抑えてくれたのは曹操さんで、袁術さんを抑えてくれたのは孫策さんなんで
す」
どうりで……
「どうして俺だって分かったんだ?」
「あなたの武器は珍しいのよ? 武器を聞いた瞬間分かったわ」
「ま、私は一刀の姿を見ただけでピーンって来たけど」
「嘘をつかないでください雪蓮様」
「斥候が一刀だって報告してきただけよ」
「さいですか……」
「それで北郷、貴方たちの条件は? ただ意味も無くこんなことをする意味ないでしょ?」
「降参する董卓軍の兵と将の命の保証、後、張譲を董卓として処罰して欲しい」
「ふーん、その約束を私たちが守ると思って?」
「白旗を上げた兵を殺すと言うならそれでもいいんじゃないか? その後どうなっても知らないけど
な」
良くは無いけど
「ふふ、それもそうね」
「その代わり貴方たちは何を出せるの?」
「汜水関、虎牢関の開城、洛陽までの道の安全、張譲の頸、後は努力次第で職に溢れた董卓軍の兵達
かな、と言っても汜水関は劉備さんにあげるつもりで、残る俺の持ち駒は虎牢関と張譲の頸なんだけ
ど……」
「そうね、なら私は虎牢関貰おうかしら」
「そう、なら私は頸でいいわ」
「早!」
「実はさっきまで曹操と話してたの」
「孫策は実、私は名って事」
「ならそれで決まりで良いか? 後、他の諸侯たちにバレてもそこまでは関与できないからな」
「えぇ、これ以上望んだら罰が当たりそうだしね、犠牲なしでここまで得られるのなら上出来よ」
「それと洛陽で張譲派がなにか問題を起こしてもそれは」
「えぇ、あなたの責任ではないわね、それは条件に入ってないもの、それにそう言う反発は予め考え
ておくものよ」
「それじゃあ最後に、一応名に誓って約束して貰えるか?」
「曹孟徳の名に懸けて」
「孫箔符の名に懸けて」
「劉玄徳の名に懸けて」
「北郷一刀の名に懸けて」
「それではそろそろ解散ね、やらなきゃいけない事いっぱい出来たし」
「北郷さん! ありがとうございます!」
「良いって、お蔭で血を流さず話せてるんだし……」
ツーっと首筋に血が流れる
「あ、あの思春さん?」
「ほら、思春も! 積もる話は洛陽でしましょ」
「……馬鹿一刀」
そういって一足先に出ていく雪蓮と思春
「それじゃあね、北郷」
「それでは、北郷」
それに続いて、曹操達と劉備達も出ていく
一息つく
「ふぅ……」
こうして汜水関を俺の血だけで開城する事が出来た
その足で虎牢関へ向かう、早速次の話し合いをしなければ
「一刀ぉぉぉぉぉぉ!」
「うわっと」
虎牢関の門を下った瞬間、霞に抱きつかれる
胸が当たって……おっほん
「…………無事」
「無事でやがりましたか」
「よ、恋とねねも元気そうだな、紫蓮も」
「あぁ」
「寝れなくてウチの所に来たのは誰やったっけ?」
「だ、誰だそれは」
「誰やろうな」
「紫蓮でやがります」
「ねね!?」
「で? どんな感じになってるんや?」
「降参する兵と将の命の保証と張譲を董卓として処罰する事、だからもう月は狙われる事は無いよ」
「そうか……それは良かった、これでウチらが戦う意味も無くなったな」
「ふむ、それなら兵たちも文句は無いだろう」
「で、お願いがあるんだ紫蓮、恋」
「……?」
「何だ?」
「張譲が洛陽から逃げないように見張っておいてほしい」
「分かった、そのぐらいお安い御用だ」
「……うん」
「それはあお願いするよ」
「それじゃあウチは?」
「月と詠の護衛を頼む、張譲派に何をされるか分からないからな」
「よっしゃ! 任せとき! それじゃあ撤退や! 折角死なずに済むんや! ちゃっちゃと洛陽に戻
るで!」
そこからの行動は早かった
雪蓮は自分の所の兵を使い虎牢関を開門させた風に見せかけ、名を知らしめることに成功し
その数日後には紫蓮に連れられた夏侯惇が張譲の頸を切り落とした
それを董卓の頸だと言い知らしめる事で表向きは董卓の死という結果で反董卓連合は解散となった
ちなみに顔は誰か分からない程になっていたのを付け加えておく
他の諸侯はなにが起こっているのか分からない言った具合らしい
まぁ汜水関、虎牢関があっという間に開いて、あっという間に洛陽まで来れたのだから仕方ないこと
ではあるか
それと董卓軍は董卓の
兵達は新たな職場を求めているが心配はなさそうだ
諸侯がそこらへんで兵を募集している、職には困らないだろう
そして洛陽の騒ぎもなんとか落ち着き始めた頃
俺達はと言うと……
「皆とはお別れやな」
「……そうだな」
「なに湿気たツラしとんねん、今生の別れでも無いんやから」
「そうだけど……」
「大丈夫、一刀あんたならこれからの乱世やってけるって、ウチが保証したる、それとあの夜一つ言
い忘れたことがあったんや」
耳元で囁かれる
「な!?」
「それじゃあ皆も達者でな~~一刀答えは今度会ったときなぁ」
「ありがとな、霞」
「じゃあね、霞」
「霞さん、今までありがとうございました」
「さらばだ、霞」
「…………霞、また」
「元気でやりやがれです~!」
霞は曹操さんに付いていった、なんでも曹操に覇道を感じたとか
やはり武人、いくら真名を預けあった仲とはいえそこらへんはちゃんと割り切っているのだろう
「それでは私も行くとしよう」
「そうか……またな紫蓮」
「あぁ」
「それとな、一刀、私も言い忘れたことがあった」
また耳元で同じ内容を囁かれる
「ーーーっ!?」
「これで私も返事を聞くまで死ぬわけにはいかなくなったな!」
「お、おい!」
馬で去っていく
紫蓮は公孫賛の所に客将として向かった
彼女なりに考えるところがあるのだろう
2人には部隊の殆どが付いていった、よっぽど部下の信頼が伺うことができる
「それじゃあ俺達も向かうか」
「で、何言われたのよ一刀」
「な、内緒だ」
「まぁ知ってるんだけどね」
「詠!?」
「ちなみに、わ、私も月も同じだから」
「……!?」
「え、詠ちゃん!」
顔を真っ赤にする2人
「ね、ねねは恋殿一筋です!」
「……?」
分かっていないのは恋だけみたいだった
俺、月と詠、恋、ねねは蜀に行くことに決めた
董卓と賈駆は名前を捨て、ただの女の子として生きていく事になった
事後承諾とはいえ董卓に名を捨てさせたのも
蜀で生きていくことになってのも半ば俺のせいなのだ
俺はその様子を確かめる義務がある
それに劉備の政治を見れる良い機会だと考えれば一石二鳥だ
恋達が蜀に行く理由は分からない、が
“蜀のご飯はおいしいのだ”
この張飛の言葉が一番怪しいと思ってる
ちなみに余談だが月と詠に俺がした事がバレてボコボコにされたのは言うまでも無いだろう
本郷一刀を探すために兵を洛陽へ放っていた雪蓮達
そこへ駆けてくるは箱を抱えた兵
「そ、孫策様!!」
「な~に~うるさいわねぇ、そんな急いでどうしたの?」
「そ、それが……これが馬と一緒に……」
「なにこれ」
「箱……だな、これがどうしたのだ?」
「とにかく開けてみて下さい!」
「そうね……」
「……って……え……これ……玉璽じゃない!!」
「なんじゃと!? ……本物のようだな」
「それと……手紙? ……ふふ」
「なんと書いてある?」
「ほら、冥琳と祭も読む?」
「……ふ、やってくれるではないか一刀」
「顔を見せず去った事を許してやろう、のう? 思春、亞莎」
「そうですね~これは許すしかないですね~」
“独立がんばってね! それとこれで許してくれたらうれしいな”
後書き
と言う事で反董卓軍終了
皆さんが思っていたのは違うと思いますが、許してください
董卓ちゃんの愛され具合が伝われば幸いです
家はちゃんとおやっさんに返してます、そこら辺りもそのうち書きたいと思います
ちなみにここで書きたい事は半ば終わってしまいました
なので次いつの投稿になるかは分かりませんが、その時はまたよろしくお願いします
最後に
匿名で構いませんので、感想改善点アドバイス誤字脱字等々ありましたらよろしくお願いします
それでは
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