学園祭の騒動は幕を閉じ、もう夕方になっていた。一夏は二次会の方へとグラウンドの方へ向かった。
「・・・・・・・」
一夏は胸ポケットからエボルトラスターを取り出した。
あの時こいつが力をくれた。ありがとな。
エボルトラスターはチカチカと光った。
「「あっ!」」
「ん!セシリア、ラウラ。今からお前達も行くのか?」
「え、ええ・・・」
「まあな・・・・」
二人は元気のない返事をした。
「どうかしたか?」
「・・・・・その・・・一夏さん。」
「?」
「ごめんなさい。」
いきなりセシリアがお辞儀をしてきたことに一夏は困惑する。
「い、いきなりどうしたんだよ!あ、頭上げて!」
「すみません。実は一夏さんを襲ってきた敵を取り逃がしてしまいした。
「私もいながらすまない。」
「いいって。それに伏兵がいたのは大方予想できたし、なによりお前らが無事で何よりだ。」
一夏の言葉に二人の顔は明るくなった。
「もうこの話は終わりだ。行こうぜ!」
「はい!」
「そうだな!」
「お~い、一夏~。」
「一夏さ~ん。」
「弾、蘭。帰ったかと思ったぜ。」
グラウンドに着くと蘭と弾の姿があった。
「お兄がライブの片づけで時間掛かっちゃって。私は一人で帰ろうと思ったんですけどおじいちゃんがダメだって。」
「それでここにいるわけだ。」
「そっか。まあ楽しもうぜ!」
「お~、なんか楽しそうだね~。」
「ほんとだ~。」
楯無とのほほんと虚が一夏達の方にやって来た。
「「あ!」」
「どうかしたか?」
「どうかしたの?」
一夏は弾に、楯無は虚に尋ねる。
「い、いや・・」
「な、なんでもないです・・」
二人は顔を赤めて顔を逸らす。
「ふ~ん。」
楯無は口元を緩めた。その状況を見ていた箒達も何なのかわかった。
(この二人・・・・ビンゴだ!)
「ねえ一夏君。」
「はい?」
「なんか面白いものない?」
「面白いものですか?う~ん・・・あっ!」
「なに!なんかあるの!」
「この前商店街で当てた・・・」
ビクッ!!
箒達の脳裏にあの記憶が蘇えってきた。
(まさか・・・またジュース!)
(今回はまずいですわ!)
(蘭もいんのにここでよったりでもしたら!)
(確実にヤバイよ!)
(もしそうなら奪回策を!)
「花火があります。結構多かったですから先生の許可をもらってから持ってきます。」
「じゃあ頼んだよ~。」
一夏は花火と許可を取りに行った。箒達は安堵の息を突く。
(助かった!)
弾は一夏が戻ってくるまで芝生に座り星を眺めながらジュースを飲んでいた。
「あ、あの・・」
「はい?」」
弾の後ろから虚が声を掛けてきた。
「と、隣いいかしら。」
「は、はい!」
弾は声を上げた。虚はおそるおそる弾の隣に座った。
「・・・・・星が綺麗ね。」
「そ、そうですね。」
二人はしばらく沈黙する。その光景を見ているのほほのん、蘭、楯無、箒達は歯痒いと思った。
(あのままくっつけばいいのに)
気まずい状況を虚が奪回する。
「そういえば・・・」
「はい?」
「あなたのライブしている姿を見たわ。」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ、結構上手なのね。」
「いやぁ、あいつに鍛えられたから・・・」
「あいつって織斑君のこと?」
「ええ。あいつ結構色々出来すぎて羨ましいです。」
「でも君には君のいいところがあると思うよ。」
「えっ・・・・・」
「あっ・・・・・」
二人の顔はゆでだこの如く赤くなる。
(ま、ままままままマジ!)
(ど、どどどどどどどどうしよう!今恥ずかしいこと言っちゃった!)
「お~い。」
「「!!」」
一夏が水を入れたバケツを持ってやって来た。
「おかえりなさ~い。」
「許可もらってきました。」
「あれ?花火は?」
「ああ、今出します。」
一夏はポケットを探る。
「織斑君結構多かったって言ってたけど・・・」
「今からありえない光景が出ますよ。」
「「「「???」」」」
弾の言葉に楯無、のほほのん、虚、蘭は頭に?を浮かべた。
一夏はポケットから花火を出してくるのだが・・・・
ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ
「よし、全部出た。」
「「「「「「「「「どこに入ってたの、それ!」」」」」」」」」」」」」
明らかにありえない量だ。
「普通にポケットに入らないか?」
「入らねえよ!」
「それじゃあ何からするのだ?」
「じゃあ打ち上げ花火だな。」
一夏はチャッカマンで導火線に火を付ける。
ヒュ~~・・・・パァァァン
「「「おお~~~~!!」」」
「結構綺麗ですわね。」
「そうだね。」
「それじゃあ次、パラシュート行くぞ。」
キラーン×2
「「ゲットだぜ!!」」
弾と鈴はやる気を出す。
ヒュ~~~~・・・・パァァァン
「「出た!」」
「「レディ~~~~~、ゴーーーーーーーーー!!」」
二人は全力疾走で走り出す。
「あの二人早いよ!!」
「あっ!」
「どうしたの、おりむ~?」
「あそこら辺に確かライブで片付いてない材料とか置いてあんだった。」
「「「「えええ~~~~~!!!!!!!!!」」」」
ドコッ
鈍い音が空気を伝わり皆の耳に入る。そして痛い悲鳴が聞こえてくる。
「「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!」」
パラシュートは風に吹かれセシリアの元に。
「ゲットしましたわ。」
一夏は片手に四本のロケット花火を持ち点火。
「ロケット。」
一夏の飛ばしたロケットは空へ上がりそのまま九十度反転、そして弾の方へ。
ヒュ~~~~~~~
「?はっ!」
パパッパパパッパッパン
「ああああああああああああ!!!!!!!」
弾の悲鳴が響く。
「殺す気か!」
「わざとじゃない。」
PART2
「次はちゃんと飛ばせよ!」
「ああ。空へ。」
一夏は両手いっぱいにロケット花火を持つが・・・
ヒュ~~~~~~
パパッパッパパッパパッパパン
「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「あれ?」
「ねえ虚、特大ロケット飛ばすわよ!」
「ちゃんとセットしてくださいね。」
「わかってるって!」
楯無は空き缶に特大ロケットをセットする。
「わ~、楽しそうですね~。」
「ふふふ、いくわよ!」
楯無は導火線に火をつける。
「発射五秒前!」
「四!」
「三!」
「二!」
「一!」
ガコ
「「「あ!」」」
空き缶はバランスを崩し倒れる。ロケットは楯無達の方へ。
「わ~!」
「お嬢様!」
だがロケットはそのまま弾へ向かい弾は打ち上げられる!
「よもや!」
「線香花火で面白いこと思いついた!」
「なんだ、弾?」
「線香花火で長くついてた人が勝ちゲームしようぜ。」
「説明が要らないな。」
皆線香花火を持つ。
「準備はOK?」
「「「「「「「「「「OK!」」」」」」」」」」」
「それじゃあ。」
「「「「「「「「「「「「「レディ~、GO!!!」」」」」」」」」」」」
0,02秒
ポトン
弾の線香花火が落ちる。
「誰だ!!!!!!こんな悲しいゲームを思いついたのは!!!!!」
「お前だよ!」
「・・・最速だったね。」
線香花火は二本残り虚は少し考えた。虚は決意し弾の元へ。
「弾君。」
「はい?」
「いっしょにする?」
「は、はい。」
二人は線香花火に火をともす。二人は互いに幸せだと思った。
その光景を見ていた女子陣は少し微笑ましい光景に見えた。
あの子、いい相手に出会ったようね。
楯無は親のように虚を見た。
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オータムの騒動が終わり一夏はグランドに向かっていた。