No.512648 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2012-11-27 01:56:46 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:5973 閲覧ユーザー数:5395 |
第八十四話 …見ててくれたかい。
―皆さん、ついに完成しました。我々の開発した×××××××が完成しました。これで私達の世界は更なる発展をするでしょう―
誰もが、それを疑ってはいなかった。それは、開発者の一人である私自身すらも…。
「…そこまで」
「あ、あぐふ。…ありがふぉうごじゃいまふ」
今日は高町士郎さんのご厚意の元、彼の所有する道場で彼の息子である高町恭也さんと試合をしていた。
ガンレオンのチェインデカッターを一部展開する形で恭也さんの持つ木刀と打ち合っていた。
初めはお互いにその攻撃の動作を見せ合っていたが、どうにも俺の攻撃が荒すぎるという事で模擬戦兼指導をしてもらうことになったのだが…。
「高志君。君は攻撃に意識がいきすぎて、防御を疎かにしすぎだ」
しこたま恭也さんに木刀でボコられた後、ガンレオンを展開して戦うことも認められた。
一応、非殺傷設定と人間の限界速度を超えないようにセーブしてはいるんだが、恭也さんはそれに関係無く俺の攻撃をいなし、捌き、反撃していく。
一時間以上は試合をしていてまともに攻撃が当たらない。というか、かすりもしない。
本当にそれ木刀ですか?高速回転している鋼鉄の刃を受け止めて欠けてもいないなんて…。と、尋ねたら気で強化しているだそうです。
…気。かめはめ波でも撃てるんですか?
「その機械的な鎧でそこまで動けるのは性能のおかげなのかい?」
「は、ふぁい、そふぅおっ」
「少し、落ち着いてから話そうか。…休憩を入れよう」
こっちはスタミナ消耗も息切れも激しいのに、恭也さんは息一つ乱していない。
イケメン様のスタミナは無限か?!
「無駄な動きが多い、前動作が雑かつ振りかぶりすぎ。無駄に体力を消費する一番の原因だね。それに体力は君ぐらいの子どもにしてはある方だがまだまだ足りなすぎる。目線も一ヵ所しか見ていない。もっと相手の全体の動き。出来ることなら相手の動きではなく周囲の状況も把握できるようにしないと駄目だね」
多くの指摘箇所をありがとうございます!
俺が駄目すぎましたね!
「…高志君は武術の経験は?」
「な、無いです」
少なくても転生してからはガンレオンのパワーを当てることに集中しすぎて攻撃あるのみ。それにレンチやスパナといった工具を持つのも転生してからだ。電動ノコギリなんてめったに触れる物じゃないし…。
「いいかい。君は大砲の弾じゃないんだ。ずっと突撃ばかりしていたら、いくら頑丈でも何度も叩かれれば痛いし、その鎧はもちろん、中にある君の体も砕ける」
「むしろ大砲の弾の方がいいね。速いし」
遅くてごめんなさい!
プレシアに頼んでガンレオンの背中にブラスタのジェットエンジンでもつけきれないか相談しよう。
『…無理ね。ブラスタは重量を軽くしてあのスピードを実現しているのよ。あれ以上スピードを出せばエンジンが壊れるし、重くしても負荷がかかりすぎて壊れる。あの姿、あの翼は、最適最良の姿と言ってもいいわ』
そっすか。
あれからもう一時間程、稽古をつけてもらったがまるで幽霊を相手にしているかのごとく恭也さんはヒラリヒラリと攻撃を躱し、俺に忠告をしながら攻撃をしてくる。
ガンレオンの装甲は頑丈なのに、その装甲の上からも響く打撃(斬撃?)を何度も浴び続けることになった。
帰る前にプレシアにふと自分が考えたことを聞いてみた所、却下が出た。
恭也さん達も時間があったらまた稽古をつけてくれると言っていたので機会があれば是非と伝えて帰宅することにする。
ああ、こんな時ブラスタを扱えたら空を飛んで帰るのに…。
いまだにブラスタで空を飛ぼうとしたら☆になる。
しかも監督する人が誰もいないから誰も助けてくれない。仕方ないので疲れた体に鞭を打って帰宅することにした。
ヨロヨロと自宅へと歩いていく高志君の背中を見送りながら俺は父さんと彼の評価をする。
「…高志君は戦闘技術に関しては殆ど素人だね。あの鋼鉄の鎧の性能だけで今までを生き残ってきたに近い」
「…なのは達を守るどころか守られるに近いね」
なのはが魔導師という存在になった映像を見せられた時は驚いた。
遠距離から収束砲を見せられた時は何かの撮影かと思ったが実際にやって見せてもらうと我が妹ながら恐ろしさも感じさせた。
「だが、彼の
「…高志君にそんな才能があるようには見えないが」
「まるで盤上を見ている棋士のように無駄なく、有効な一手を指示して、相手を追い込んでいる。彼は自分という存在の周りは見えていないが、まるで戦場全体を上から見ているように戦う指揮官タイプだろうな」
父さんの見解だと高志君は後方指揮タイプらしい、が…。
「そうだろうか?俺はどちらかと言えば、彼は防衛線では
簡単に言うと、味方が逃げ切るまで我慢する役。
「…戦闘能力は素人。なのに戦術は玄人。だが、戦場に立つ度胸はある」
「どちらにせよ。彼が立っている間。彼と組んだチームはほとんど負けていない」
「逆に倒れれば総崩れしていた」
二人の評価はそんな感じだった。が、もし、高志が二人の意見に応えるとしたら大変なことになっていただろう。
まさかその才能が、ゲーム知識の応用です。と二人がなんと思うだろうか…。
はやてやなのはを長距離砲台に見立て、フェイトやシグナムを高速機動隊。シャマルとユーノを索敵係に置き、ザフィーラを相手拠点に見立て、シグナムやヴィータ。アルフを遊撃手に置き換えてもっとも彼等が得意とする戦術。苦手とする戦術をゲーム知識で組み立てた。
その戦い方は常に多数対一になるように機動力の無い自分が相手をひきつけ、他のメンバーに叩かせる。相手の機動力を削ぐために罠を張り自分が相手を拘束。そのあと、自分ごと相手を砲撃で沈めるなど思い切りのいい指示も出す。
「なんにせよ、頼りになるのかならないのか。不安で仕方ないよ」
「…同感だな」
何より、自分を過信しているのか。それとも味方を。もしくは相手側を信じているのか。
高志は率先して前線に立ち味方に指示を出す。
自分がいつ倒れてもいいように…。
「いやー、やっぱり俺には特殊技能の『底力』は無いんかね」
特殊技能の『底力』。体力が何割か減ると基礎能力が上がる。
ゲーム知識が現実に生かされることは少ない。といか、殆ど無い。
相棒がガンレオンだからあると思ったんだけど、現実はそう上手くいかないものだ。
高町恭也と士郎がもしこのコメントを知ったら高志への好感度は地に落ちるだろう…。
「時間もあるし、アースラに戻ってブラスタの練習もしておいた方がいいかも。…ん?あれは…?」
俺が帰り道である公園とそこには二人のAKIBA戦士がいた。
「………この世界にもいたのか」
ガリガリでぐるぐるメガネとボチャリバンタナ。
そして、背中にはポスターらしき物が生えているかのようなリュックサック。
軽い感動を覚えた俺は思わず携帯電話を取り出してカメラ機能を起動、AKIBA戦士を激写!
A戦士達も俺同様に少女を激写していた。
残念ながら少女は彼等の陰に隠れて姿こそ見えないが、かなりの薄着のようだ。
「き。ききき、君可愛いねー。写真いい?」
「水色の髪だなんて珍しいでござるよ?」
君等程でもないと思うよ?
この世界に来てからはピンクの髪を持った女の子も普通にいるし…。ていうか、黒髪率が低い。ここは本当に日本か!?
…あ。俺にとっては異世界日本でした。
「んうー?お兄さん達誰?僕は『砕けえぬ闇』を探しているんだよ?」
「お、おお、お兄さん。も、萌ゆる」
「し、しいし、知っているよぉー。お兄さん知っているよー」
…本当か?
なんだか怪しい雰囲気になって来たので見守らせてもらおうかな?
「本当!どこどこ!」
少女よ、そんな簡単に信じるでない。
君は疑うことを知らない俺の
「そ、それはねぇ、お兄さんの…」
「うんうん♪」
「こ、こここにぃ…」
少女の視線がA戦士の顔から下腹部に移り、彼等の手がベルトより下に…。
「アウトォオオオオオオッッ!!」
高志は(公園に設置された)ベンチを投げた。
A戦士。否、ぺで海な豚Aに命中。
黒歴史の扉を開かれるのを防いだ。
てか、とんでもない露出狂がいたもんだ!
「ぎゃふっ」
「S氏!?何者?!」
「A戦士を偽装する悪漢共め!お前達は俺を怒らせた!」
本物のA戦士はな、閉められた聖域(と○のあな等)の前で寝苦しい真夏の夜も、凍える冬の深夜にも、身動きせずに、マナーを守り、周りに迷惑をかけないように配慮して、苦労の末に手に入れた
「…え?なになに?…なんか格好いい♪」
少女は突然のことに驚きながらも俺の方を見て若干目を輝かせている。
だが、少女よ。俺はお前に気をかけている余裕はない。
「せめて、YESロリータ・NOタッチは守れや!」
「わ、我々は、さ、触ろうなどと思っていないでおじゃるよ」
「うう、うむうむ。激しく同意っ」
まだ言うか!
「だまらっしゃい!天と地!お天道様と御上が許そうが、この現『傷だらけの獅子』は許さない!」
「ワクワク♪」
「
ここで一度言葉を切りながら俺はまぶたを閉じ、一拍空けてから目を見開いて言い放つ。
「紳士に変わってO・SI・O・KIだ!」
プレシア式でなぁああああああっっ!!
それからA戦士を名乗る不逞の輩をしばいた俺は警察に突き出した。
あの時激写した写真が決め手となり御用になった変態。
「…全次元にいるA戦士達。…見ててくれたかい」
高志は握り拳を作りながら空を見上げる。
と、それはおいといて…。
次は少女への説教だ。
「という訳で何でもかんでも人の言うことは信じちゃいけません」
「うん♪わかった♪」
「うん。返事はいいけどちゃんと理解しているか?」
「してなーい♪」
「なんとー。…てぇ!?」
高志は見た。
空色の髪を有したフェイトにとても似た女の子。
雷刃と呼ばれていた女の子が目の前にいたのだが…。
「ふぇ、フェイトが、フェイトが…」
高志は『闇の書の欠片事件』の時、自分の事とアサキムのことで一杯一杯だった。
その為、マテリアル達のことなど知らなかった。ので、
「フェイトがぐれたぁああああああああっ?!?!」
盛大に勘違いすることになっていた。
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第八十四話 …見ててくれたかい。