キキSide
「へぇ、さすがに絵になるな。あの二人」
俺は料理を食べながらホール中央で踊っているリオンとルイズを見た。
「確かにねぇ。それよりも、あなたたちは踊らないの?」
と、男子生徒を引き連れて近くにきたキュルケがパーティー開始から料理を食べ続けている俺とタバサに呆れたような表情で話しかけてきた。
「俺はダンス出来ないからな」
「料理」
俺とタバサはそれぞれ理由を言って、食事をし続ける。
「まったく! 今日の主役はフーケを捕まえたあたしたちなのよ。楽しまないでどうするの? 料理なんていつでも食べられるでしょうに。あの堅物のルイズだって踊ってるってのに・・・、ほら二人とも踊ってきないさいよ。少しぐらいぎこちなくても別に恥ずかしいことじゃないんだし」
キュルケは俺とタバサを踊らせたいらしく、一気にまくし立ててきた。が、俺とタバサは黙々と食事を続けた。
「はぁ~。あなた達って意外と似てるわよねぇ。こう、マイペース過ぎるというか、なんというかって・・・あら?」
キュルケが話していたら窓の方から一羽のフクロウがタバサの足元へやってきた。タバサは表情をわずかに硬くさせ、フクロウから書簡を取り、それを読んだ。
「あら? もしかして出かけちゃうの?」
「ああ、みたいだな」
キュルケは手紙を読んだタバサを見て顔をしかめた。
「まったく! せっかくのパーティーなのに水を差すなんて、デリカシーがないわね」
まあ、あのデコ娘にそういうのを期待するのは酷と言うものだと思うが・・・。タバサは手紙を懐(?)へ仕舞うと、人気の無いバルコニーへ歩いて行き、俺もその後について行く。タバサはバルコニーに出ると口笛を吹いた後、手すりを乗り越え飛び降り、俺も直ぐにタバサの後に続いて飛び降りると丁度のタイミングでシルフィが通り過ぎ、その背に着地する。そして、俺たちはガリアへ向かった。
「きゅいっ!いきなり呼んだと思ったら、飛び降りるなんてチビ助はバカなのね! きゅい!」
上空に上がったシルフィは開口一番にそう文句を言った。が、タバサは言い返さず、相変わらず無言で本を読んでいる。ってかその本は何処に持ってたんだ?
「きゅい~!お兄様も!なにやってるのね!」
「・・・・・・・・・おお、悪かったな。でも俺はお前を信じてたからな。まあ、驚かせたことは流石に悪いし、向こうに着いたらなんか美味しいもん食わしてやるよ」
「きゅい!やったのね!楽しみなーのねー!きゅいきゅい」
こう言っちゃなんだが、ホントちょろいな。その後はいつも通りに、タバサは本を読み、俺はシルフィの話にテキトーに相槌を打ちながら城へ移動した。
「外」
と、イザベラの部屋の前まで来ると、タバサが少し怒気を含んだような声で俺に言った。何故タバサがこんなことを言うのかというと、普段だったら俺はシルフィと外で待ってるんだが、今は夜。外はそこそこ寒かったのでタバサの後を黙ってついていったら、不機嫌になりおった。
「いや、外は寒いぞ?」
ゴンッ!と杖で頭を殴られた。タバサは嘆息するとしょうがないというような雰囲気で部屋のドアを開けた。
「ああ、来たか」
ドアを開けると、何かしらの書類を書いていたアッシュがこちらを向いて言った。部屋の中を見ると、前に来た時と違い、メイドや兵士は居らず。それどころか、部屋の主であるイザベラはベットに倒れこみ、安らかな寝息を立てていた。・・・・なんか、もう原作乖離し過ぎて面白いことになってるな。
「・・・どうしたの」
タバサも気になったらしく、アッシュに聞く
「あ?・・・ああ、ソイツか。朝から政務の仕事や勉強をさせてたからな。少し前に疲れて寝ちまいやがった。ったく、王族のクセにコレくらいで倒れやがって。これだから甘やかされて育ったクズは」
アッシュはタバサの質問に答えながら、机の引き出しから指令書とお金の入った袋を取り出しタバサに渡した。
「指令書と今回の任務のための資金だそうだ。一度しか言わねぇからよく聞け。任務はベルクート街って所にある賭博場だ。そこでクズ貴族どもが金を巻き上げられているらしく、軍警による取り潰しは体裁が悪いと言う理由から、こんなくだらねぇ依頼がこちらに来た。ここまで言やぁ分かってると思うが、簡単な話、その賭博場を潰せってことだ。はっきり言ってクズどもがいくら巻き上げられようが知ったことでじゃねーが、あの手のバカどもが鬱憤を溜めると色々と面倒を起こしかねないからな。以上だ」
アッシュは不機嫌なのを隠しもせずに任務をタバサに言った。タバサはそれを聞く驚いたように少しだけ目を大きくし、そして直ぐにいつもの表情に戻りコクリと頷いた。
「他の詳しいことはソレに書いてある。部屋は用意してあるから、今夜はそこで休むといい」
アッシュは最後にそう言うと、また机に戻ってしまった。聞くことはもう無いと判断したのか、タバサと俺は部屋を出て行った。
タバサSide
私たちは部屋の外にいた兵士に案内され、用意された部屋に着いた。
「着替える」
「ん?ああ、そうか。分かった」
私は部屋に用意されていた寝巻きに着替えるため、キキに告げると彼は直ぐに部屋の外に出て行った。私はドレスを脱ぎ、寝巻きに着替える。
「・・・・・・」
ふと、着替えの途中で私は自分の身体を見た。もう15であるのにも関わらず友人であるキュルケとは違い、膨(ふく)らみの無い胸、凹凸の少ない身体、おまけに背も低い。実際、実年齢よりも3、4も歳を低く見られるのは当たり前な自分に彼はどう思っているのだろう?
「・・・/////っ!!」
な、何を考えているのだろう。私は頭を振り、手早く着替えを済ませる。それから、ドアを開けてキキを入れる。
「そういえば、詳細は指令書に書いてあるって言ってたよな。なんて書いてあるんだ?」
キキが部屋の椅子に座りながら、指令書の中身を聞いてきたので、私は内容を伝た。
「明日、あなたは私の護衛兼執事、シルフィードは荷物持ちになってもらう」
「おう、わかった。んじゃ、寝るか」
キキは詳細と明日の予定を聞き終わると、椅子に座ったまま寝ようとしたので、私は彼に近づき
「ベット」
「あ?」
「それでは疲れが取れない」
ベットで寝させようと、彼を引っ張る。
「・・・・・いや、でもタバサはどこで寝るんだ?」
「一緒に寝る」
私がそう言うと、キキは驚いた顔をした。
「あ、あー? いや、ベットに二人って狭いと思うんだが・・・」
「問題ない」
キキはベットを見たあと戸惑いながら言ってきたが実際ベットは大きく、二人程度なら全然問題無く寝れる。
「・・・・・まあ、うん」
キキは渋々と言った感じだったが、椅子から立ち上がりベットへと移動した。彼はベットの端っこに寄り寝始め、私もベットに入り寝た。
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25話