No.510841

魔法少女リリカルなのは聖伝 ~ヒーローズサーガ~ ステージ4(前)

龍牙さん

悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。

2012-11-21 23:23:41 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2189   閲覧ユーザー数:2164

過去の作品は此方です。

 

 

プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896

ステージ1:http://www.tinami.com/view/488611

ステージ2:http://www.tinami.com/view/494108

ステージ3(前):http://www.tinami.com/view/502528

ステージ3(後):http://www.tinami.com/view/505890

 

 

「あ、あの、ありがとうございました」

 

「危ない所をありがとうございました。あの、あなたは一体…」

 

ヴァイエイトとメリクリウスを倒したオーズ(総矢)へとなのはとユーノのコンビがそう礼を述べる。

 

「オレは…今の姿は、仮面ライダーオーズ」

 

そう言って総矢はオーズへの変身を解除する。

 

「本当の名前は『天地総矢』だ」

 

「あ、あの…私、『高町なのは』って言います。あの、昨日助けてくれた…ロボットさんも、えっと…総矢くん、なんですよね?」

 

「ああ。あの姿は『ダブルオーガンダム』って言うんだ」

 

少なくとも、過去なのは達の前で見せたヒーロー達の姿はダブルオーとオーズだけだ。今の所、最後の姿であるウルトラマンゼロの姿はまだ見せていない。

…少なくとも、ゼロの力は短期決戦型でどうしても長期戦には向かないし、何より…ごく一部、稀に出現することが有る、本来の巨体を持った怪獣と戦う際にはダブルオーやオーズよりも向いている為になるべくゼロは温存しておく必要が有る。

 

「あの…君は一体何者なのか答えて欲しいんだけど…」

 

「っ!? フェレットが喋った…」

 

なのはとそんな会話をしているとユーノが声を上げる。その姿に知ってはいたが、怪しまれない様に態と驚いてみせるが、不自然にならない様で安心した。

 

「あっ、ぼくは『ユーノ・スクライア』と言います。それで、君の力は何なんですか? あの質量兵器を持ったロボットの姿や、今ぼく達を襲ったロボット達を倒したあの姿は…。それに、ぼく達を襲ったロボットや怪物の事も、知っているなら教えて欲しい」

 

ユーノは真剣な声でそう問いかける。残念ながら、フェレットの外見の為に表情は分かり辛いが…。

 

「ユーノくん…」

 

「…まあ、大した答えでもないから答えるけど…。あの姿はガンダムと仮面ライダー。オレに力を与えてくれた…世界を守った“三人”のヒーロー達の姿だ」

 

「「三人?」」

 

総矢の言葉に思わず声を上げる。三人と言われても見せられたのは二つだけなのだから、三人目のゼロの力の存在に対して疑問の声を上げる。

 

「あのロボット達はオートマトンとMD。両方とも無人戦闘兵器で、昨日君を襲ったのは『ヤミー』と言うオーズが戦った怪人の中の昆虫型のヤミーって所になるな」

 

そう言った後、空を見上げながら何処まで話すべきかと暫くの間迷い、

 

「…両方とも、親玉が居ないと誕生しない相手だ。気をつけた方がいい、君達が探しているジュエルシードは、かなり厄介な奴らも探している」

 

「っ!? どうして、ジュエルシードの事を!? それに、ジュエルシードを探している奴らって…」

 

ユーノの言葉に『しまった』と思いながら、一呼吸すると、

 

「…ジュエルシードって言うのは…別の場所で戦った奴から聞いて知って居ただけで。…奴らって言うのは、正体は知らないけど…心当たりだけはある」

 

ジュエルシードを知っていた事をなのは達に誤魔化しつつ用意していた警告を告げる。

実際、ある程度の設備さえあれば量産可能なMDからは敵の情報は掴めない。寧ろ、その為の施設として時の庭園を利用している可能性も有るのだし。だが、ヤミーだけは分かる。ヤミーを生み出せるのはグリードだけ。そして、

 

「…MDの方は分からないけど、ヤミーを生み出せるのはオーズと戦った相手、欲望の王『グリード』だけだ。そして、昆虫型のヤミーを生み出せるのは…昆虫の王『ウヴァ』だ」

 

「欲望の王」

 

「ウヴァ」

 

昨日アゲハヤミーに襲われた時の事を思い出したのだろう、二人の顔色が悪くなるのが見て取れる。

 

少なくとも、現在の所存在を掴めている相手はウヴァだけだ。グリードが相手なのは不幸中の幸いなのだろう。グリードと戦う事でコアメダルが手に入れば、オーズの他のコンボが使える可能性も出てくる。

 

今回現れたオートマトンやMDの場合は安易にガンダム系の敵と考えるのは危険だ。科学力で言うならば、ライダー系やウルトラ系の勢力でも量産できる可能性は十分にあるのだし。

……少なくとも、揃って幹部級になった転生者集団の中にはウヴァ以外に高い科学力を持った敵が居るのは間違いない。

ウヴァが転生者集団とは関係ない可能性もあるが、此の際強敵揃いの幹部級の集団が一人増えた所で大差ないだろう。…………いや、ある意味では大問題かもしれないが。

 

(…まあ、敵の存在が一つだけでも浮かび上がっただけでも良しとするか…)

 

残念ながら、今回のMDとオートマトンから得られた情報はそれほど多くない。出来る事と言えば後は残骸の一部…ヴァイエイトにフレンドファイアで本体は撃墜されながらも、比較的キレイに残っているメリクリウスのプラネットディフェンサーでも拾って帰る事くらいだろう。

調べれば何か分かるかも知れないし、機能を回復させて使える様に改造すれば強力な防具である事には変わりない。

 

「あの…お願いがあるんです」

 

総矢の言葉を聞いて考え込んでいたユーノが決意を込めて口を開く。

 

「ジュエルシードの回収を、手伝って貰えませんか。貴方が言う様にあんな恐ろしい相手が狙っているなら、なのはだけじゃ危険なんです。だから…」

 

先日のアゲハヤミーは今回のMS部隊。どちらも魔法初心者のなのはや、魔力を消費しきっているユーノだけでは、勝てるどころか逃げられたかも分からない相手だ。容赦なく命を奪いに来る相手に二人では相手にならないのも無理は無いだろう。

其処にそんな相手と戦えるだけの力を持った人間が現れたのだから、協力を頼む以外の選択肢が取れる訳がない。

 

「お礼は必ず「分かった、協力する」…っ!? あ、ありがとうございます。で、でも、ぼくが言うのもなんですけど、もう少し考えた方が…」

 

「…まあ、オレの戦わなきゃいけない相手が狙っている以上、協力しないって言う選択は出来ないし、女の子一人に無理をさせる訳には行かないからね」

 

「う、うん」

 

先程まで会話の外に居たなのはへと話を振るとそんな返事を返す。

 

「まあ、オレもそう頻繁には手伝えないかもしれないけど、ジュエルシードを見つけたら連絡をくれれば駆けつけるから…」

 

そう言って携帯電話……仮面ライダーWのメモリガジェットの一つである『スタッグフォン』を取り出してなのはと番号とメアドを交換する。何気にこのスタッグフォン、他のメモリガジェットと一緒に拠点キューブに置かれていたりする。

 

そうしていると二人の視線がスタッグフォンに集まっているのに気が付く。珍しいデザインと言うのも有るだろうが…。其処まで考えた後、念の為にしておく必要が有る事に気が付く。

 

「あと、念の為にこれを渡しておくから」

 

そう言って渡すのは『ビートルフォン』とギジメモリ。

 

「え? 携帯電話?」

 

「電話としても使えるけど、これはメモリガジェットと言って…」

 

そう言って簡単にメモリガジェットの使い方を説明する。最低限なのは達の護衛として活動してくれるだろう。

 

「それじゃあ、オレは用事が有るからこれで…」

 

総矢はそう言って再度ダブルオーに変身する。

 

「じゃあ、またね」

 

「うん、またね」

 

なのはと軽く挨拶を交わすと自宅まで飛び去っていく。

 

 

???

 

―ここは?―

 

夢なのだろう。何処か分からない景色を見ている。

 

『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』『トランザム!』

 

五月蝿い位に響く『トランザム!』の叫び声。上空を覆うように飛び回っているのはMS『ガガ』の大軍。足どころか下半身を持たず両手で上半身を支える様な外見のトランザムを使用可能な特攻用のMS。

原典では何より恐ろしいのは一つの意思で支配された有人の特攻機と言う点だが、此方でもMDと違い独自の意思を持っているのだろう。

 

―っ!?―

 

聞こえてくる悲鳴に気が付いて後ろを振り向くと………地獄絵図が広がっていた。

 

―…酷い…―

 

かつては何かの施設として機能していたであろう廃墟に辛うじて動けるであろう人達。必死に抵抗した人間も全員がガガの特攻による飽和攻撃で力尽きて倒れている。抵抗する力を失った廃墟に執拗に特攻が続けられている。

攻撃と防御を削って常識を逸脱し過ぎた機動性と特攻に特化した無限に等しい数の敵の大群等悪夢以外の何物でもない。

 

『フフフフ…アハハハハハハ…』

 

まるでその地獄絵図を楽しむように笑うのは白いガンダムタイプのMS……ダブルオーの世界に存在していた最強の敵のガンダム『リボーンズガンダム』。

 

―幹部級の最上位…いや、あいつは―

 

直感的に理解するリボーンズガンダムは幹部級程度で納まるレベルではない。あえて言うなら…

 

―『最上級ランク』って所か。っ!?―

 

リボーンズガンダムはゆっくりと総矢へと視線を向ける。同時に背後にも視線を感じると、そこには赤いマントを羽織棍棒の様な武器を持った黒い凶悪な姿のウルトラマン。『ウルトラマンベリアル』いや、ギガバトルライザーを持った『カイザーベリアル』と言うべきだろうか…敢えて『ウルトラマンベリアル』と呼称すべき存在が其処に居た。

 

同時に別の場所には恐竜をイメージさせる紫のグリード、『恐竜グリード』の姿があった。

 

『楽しみにしているよ…君に会えるのを』

 

―っ!?―

 

リボーンズの声が響くと同時に総矢の意識は現実へと覚醒する。

 


 
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