No.505890

魔法少女リリカルなのは聖伝 ~ヒーローズサーガ~

龍牙さん

悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。

2012-11-08 23:21:10 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1386   閲覧ユーザー数:1364

過去の作品は此方です。

 

 

 

ステージ3(前):http://www.tinami.com/view/502528

ステージ2:http://www.tinami.com/view/494108

ステージ1:http://www.tinami.com/view/488611

プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896

 

 

 

ステージ3(後)

 

 

 

 

 

高町なのはが神社で二つ目のジュエルシードを封印していた時、無機質な大量のカメラアイがその様子を捉えていた。

 

人型をしておらず筒状のボディに四脚の脚部を持った『ガンダム00』の世界の無人攻撃兵器『オートマトン』、四角いモニターの様な顔を持ったMS『リーオー』、巨大なビーム砲を背負った一本の角を持ったMS『ヴァイエイト』と盾を守った二つの角を持ったMS『メリクリウス』。

 

地上攻撃部隊として編成されたのはオートマトンを除いた全機がMD(モビルドール)と呼ばれているガンダムWの世界に存在している戦闘人形。地上に存在して居る敵の全てが一切の躊躇も感情も無く命を奪う為の殺戮兵器だ。

 

MD達に下されている指示(コマンド)の一つに、攻撃開始はジュエルシードの封印後とされている。MDではジュエルシードの封印処置が出来ない事も理由に挙げられるだろうが、何より…………なのはもユーノもこの時点では戦闘の経験等ない、終わった直後には多くの隙が生まれるだろうと予想した結果だ。

 

《マスター!》

 

「えっ!?」

 

なのはの持つデバイス『レイジングハード』の中に封印されたジュエルシードが収納されると、無人兵器達は起動する。それを探知したのかレイジングハートが警告を送るが、時は既に遅い。

 

最初に動き出すのは四脚型でMSよりも小型のオートマトンの一団だ。小回りの効く小型のボディと四脚に内蔵された車輪による機動性を活かし、一斉になのは達の進路を塞ぐ様に立ち塞がる。

 

続いて到達したのは量産型MSであるリーオーの部隊。先陣をオートマトンに任せ障害物の多い森の中を急ぐ事無く確実に向かっていくと、オートマトンによって進路をふさがれたなのは達と対峙する様にオートマトン達の後方に横一列に整列する。

 

最後は二機のメリクリウスとヴァイエイト。指揮官ユニットとして存在しているあろう二機はリーオーとオートマトンの部隊による包囲が完了してから動き出し、リーオーの後方に待機する。

 

「ふぇ、な、なに?」

 

「君達は一体…?」

 

突然の相手の動きになのはとユーノが疑問の声を上げるが、意思の無い命令に従うだけの人形が応える訳がない。返事の変わりに向けられるのはオートマトン達の機関銃とリーオー達の向けたビールライフル。

 

「え、えぇ!!!」

 

「質量兵器!? 危ない、なのは! 急いで逃げないと!」

 

「で、でも!」

 

逃げられないだけでは無い。其処に居るのはなのは達だけではない。ジュエルシードによって変異してしまった子犬とその飼い主の少女も倒れている。だが、殺戮兵器達はなのはが決断する時間など与えず一斉に攻撃を仕掛けようとする。

 

「させるかぁ!!!」

 

緑色の粒子による軌跡を描きながら、ダブルオーの振るうGNソードⅡがオートマトン達を切り裂き爆発させる、その爆煙がリーオー達の視界を奪う。

危険と判断したリーオー達が後退しようとするが、それよりも早くダブルオーはリーオー達のビームライフルを切り裂く。

 

「あ、貴方は、昨日の!?」

 

「っ!?」

 

なのはの声に答えるよりも早く赤く染まっていたダブルオーの体から赤い輝きが消え、同時に襲い掛かる虚脱感。それはトランザムの制限時間の到達を意味していた。

 

「…時間切れか…。なら!」

 

リーオー達がビームサーベルを抜いてダブルオーへと切りかかろうとした瞬間、ダブルオーへの変身を解く双麻。そして、

 

「変身!」

 

《タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ! タトバ! タ・ト・バ!》

 

独特の歌と共に仮面ライダーオーズ・タトバコンボへと変身しトラクローを展開しリーオー達を迎え撃つ。

 

「はぁ!」

 

最初に向かってきたリーオーの振り下ろすビームサーベルを避けるとオーズは両腕のトラクローをそれぞれ一閃、×字の傷が刻まれた瞬間背後に回りこみそのまま蹴り飛ばすと、ボディに受けた傷の丁度反対側に打ち込まれたキックは傷を中心にリーオーのボディを真っ二つに割る。

 

「きゃあ!」

 

「落ち着いて、よく見て、あれは機械だ!」

 

人型のリーオーが真っ二つになった事になのはは思わず悲鳴を上げるが、ユーノはそんななのはを落ち着かせる様に叫ぶ。

 

そんな外野を他所に仲間がやられた事を取り合わず残る戦闘機械(リーオー)達は最初に倒された固体を囮に一斉にオーズを突き殺そうと向かって来る。

 

「っ!?」

 

急いで其処から離れようとした時オーズの足を何かが掴む。最初に真っ二つにされたリーオーが離すまいとしっかりとオーズの足が掴んでいた。

 

「甘い!」

 

オーズの脚部がバッタを思わせる物に変化し、リーオーに足を捕まれたまま地面を蹴って空高く跳躍する。同時に周囲からビームサーベルを構えて向かって来ていたリーオー達は同士討ちする結果となる。

 

「お前も、離れろ!」

 

リーオーに捕まれた足を振り上げリーオーの位置を微調整した後、逆の足を振り上げてリーオーの頭部に踵落しを打ち込む。頭部に直撃したオーズの一撃に力が抜け、同士討ちとなった仲間たちの元へと落ちていく。

 

《スキャニングチャージ!》

 

「『せいやー!!!』」

 

赤、黄、緑の光の輪を潜りながらリーオー達へと打ち込まれる、現在の力を制限された状態でも打てるオーズの必殺技『タトバキック』。それによってリーオー達は爆散する。

 

『危ねぇ、避けろ!』

 

ゼロの警告が響いた瞬間、オーズは慌ててその場を離脱する。オーズがそこを離れた直後に地面が爆発し、小規模なクレーターが出来る。

その砲撃の主、背中に背負っているビームキャノンを構えたヴァイエイトは不意打ちを外した事に対して、何も思う事無く次の攻撃の為の準備に移る。

 

『奴は攻撃に特化している。攻撃を外した今がチャンスだ』

 

「ああ!」

 

ダブルオーのアドバイスに従ってオーズは地面に着地した瞬間地面を蹴ってヴァイエイトへと向かうが、

 

「っ!? やっぱり!」

 

ヴァイエイトへと振り下ろしたトラクローが、ヴァイエイトの前に現れた円盤状のパーツの作り出したバリアの様な物によって防がれていた。

その円盤状のパーツ『プラネットディフェンサー』の持ち主はヴァイエイトと対になる様な外見の赤いMSメリクリウス。

強力なビームキャノンによる攻撃に秀でたヴァイエイトとは対照的に高出力のビームサーベル内臓のシールドとプラネットディフェンサーによって防御に特化した能力を持つMSであり、元々ヴァイエイトと対となるMSとして作られた。二機での連携でこそ、この二機は最強のスペックを発揮する。

 

「くっ!」

 

バッタレッグによるキックを放つがそれはメリクリウスのシールドによって阻まれる。オーズが相手から距離を取ると、同時にメリクリウスはシールドからビームサーベルを展開、オーズへと接近戦を仕掛ける。

 

「っ!?」

 

大型の盾に内蔵された大振りな武器である為に、攻撃方法が限定されるメリクリウスのビームサーベルは避け易いが、逆にオーズの攻撃でもメリクリウスの防御を貫く事が出来ない。

 

『オーズバッシュやコンボチェンジが使えれば良いんだけど』

 

オーズの悔しげな声が響く、オーズバッシュの破壊力で一気に倒す事やコンボチェンジによって相手の隙を突く等の手段は有るのだが…そのどれも今の双麻の変身したオーズでは使えない。

オーズバッシュなら何とかなるかも知れないが、一度しか使えず消耗も激しい大技ではヴァイエイトを残して動けなくなると言うオチに繋がってしまう。

 

 

「ど、どうしよう、ユーノ君」

 

(…昨日の怪物と同じだ…あのロボット達もジュエルシードを狙ってる…)「なのは」

 

ヴァイエイトとメリクリウスと戦うオーズの姿を見ながらユーノはそんな事を考える。少なくとも、この場で逃げた所で逃げられるとは思えない。

以前もそうだったが、青と白のロボットから人の姿を経て三色の仮面の戦士に変身した人は、少なくとも現時点では信用できる。

 

 

(一か八か、オーズバッシュで二機纏めて倒すしかないか…)

 

『だけど、それには相手のバリアが邪魔だよ』

 

“オーズ”の言うとおり必殺技のオーズバッシュでも、確実に二機を同時に倒す為にはプラネットディフェンサーによるメリクリウスの防御が邪魔だ。

 

だが今の現状を考えると追い詰められるのは自分、勝利する為には賭けに出るしかないと決断してメダジャリバーを取り出し、三枚のセルメダルをセットする。

 

(隙を見てオーズバッシュで…二体纏めて決める)

 

『分かった』

 

そう考えてオーズ(総矢)はメダジャリバーを構える。すると、メリクリウスが後方に下がっていたヴァイエイトの射線を開けようとする動きを見せる。…ヴァイエイトの護衛とビームキャノンのチャージ完了までの時間稼ぎは終わったのだろう。

 

「っ!?」

 

それは有る意味に於いてはチャンスだが、今の総矢の変身したオーズではなるべくならば避けたい状況だ。当然ながら、切り札や能力が制限されていると言うのは同時に基礎的な能力も本来の彼等に比べて遥かに劣ると言う点だ。

 

余談だが、本来の使い手のサポートまで受けている“特別な立場”にいる総矢でさえ、与えられた完全に扱える様になるまで時間が掛かるのに、転生者が“カミサマ”から貰った他人の能力は何気にオリジナルの…良くて八割、最悪は五割と言うのが最終的に発揮できる限度らしい。実際には八割も力を扱える者は百人に一人程度で、多くは五割だが。稀に総矢と同じく十全に扱える者も居るらしいが、そう言う例外に限って“安全”なのらしい(そう言う例外には総矢も含まれている)。

 

オーズ本来の能力なら基本フォームのタトバコンボでも上手く行くであろう僅かなチャンスも、今の総矢の変身したオーズでは上手く行かない可能性が高い。

何とかメリクリウスを常にヴァイエイトとの間に置こうと動いているが、逃げに徹している相手を逃がさないというのは結構辛かったりする。

 

メリクリウスもオーズの狙いを理解したのだろう、二機のカメラアイが光るとオーズから離れるのを諦めてシールドを前方へと向けて突進(タックル)を仕掛けてくる。

 

「っ!?」

 

メダジャリバーを盾にメリクリウスのタックルを受け止めると、一瞬だけヴァイエイトの動きが目に入る。

 

(しまった!?)

 

チャージが完了し、引き金を引こうとしている体勢のヴァイエイト。オーズがメリクリウスのタックルを防ぐ事を計算に入れ、オーズが防御した瞬間にビームキャノンを発射し、発射と同時にメリクリウスが離れると言う単純な作戦だ。

最悪メリクリウスが巻き込まれたとしても、MDであるメリクリウスならば何の被害もないに等しい。

 

それを理解してオーズが横に跳ぼうとするが、再びメリクリウスがオーズへとタックルをしようとする。

 

「アクセルシューター」

 

丁度その時、メリクリウスにピンク色の魔力弾が直撃し、一瞬だけとは言え動きが止まる。その隙を逃さずにオーズはその場を離脱する。

 

「「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」」

 

背後からヴァイエイトのビームキャノンに飲み込まれたメリクリウスも、メリクリウスだけを撃墜してしまったヴァイエイトも混乱する様に動きが止まる。メリクリウスの場合、そのまま爆散したのでそれは大した意味は無かった様子だが。

 

「今です!」

 

響くのはユーノの叫び声、混乱のあまり完全に動きの止まったヴァイエイトを、

 

《トリプル・スキャニング・チャージ!》

 

「『せい、やぁー!!!』」

 

オーズの必殺技『オーズバッシュ』が切り裂く。そして、オーズが露払いをする様にメダジャリバーを振ると、ヴァイエイトの体が斜めにズレ、そのまま爆散する。

 


 
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