序 章 一刀降臨編 07話 『 御使いの布石 』
・・・話は、前話から2ヶ月後のことである
いつもの朝の恒例行事?から抜け出し、雪蓮と日課の”朝の修行”を終えると
雪蓮が作った朝食を摂るために食堂へ行き、いつもの決まった席に座る一刀
雪蓮が二人分の食事の用意を整え終え着席すると「「いただきます」」と合掌し二人の元気な声が合わさる
最初にお粥の味見をしてから、納得した後、少し酢醤油をかけてゆっくりと食事を摂り始める
一連の一刀の所作に安心したのか 雪連がようやく自分の朝食に手をつけ始めるのであった
・・・いつの頃だったか雪蓮が、「今日から一刀の”嫁”である私がご飯を作ってあげる」と宣言し皆を驚愕させる
驚愕したのは”嫁”という言葉にではなく、”ご飯を作る”方にである・・・くれぐれもお間違えなきように・・・
皆の記憶上、雪蓮がご飯を作っていた処をついぞ見たことがなかったのである 冥琳がその場にいれば止めさせたのだろうが・・・
皆(冥琳を除く)が静かに戦況?を見守る中・・・そんな事を知らない一刀は
雪連の作った料理を喜んで最初はいただき・・・途中信号機のように顔色がみるみる変化し
・・・全て平らげた後力尽き・・・意識を手放していた それから数日寝込むことになるのだった・・・
冥琳がその惨状を知るのは、一刀が意識を手放した後のことで・・・一刀の状況に頭を抱えるが、もはや手遅れだったのである
後に雪蓮はこの料理を「ん~直感? 味見? 愛さえあれば・・・どうとでもなるの♪」と悪びれた風もなくこう蓮華に評している
雪蓮からそう聞き、素直に実行に移す蓮華の料理?の最初の犠牲者となる一刀であった・・・
謝りシュン・・・とする雪蓮に「朝食限定ならいいよ」という一刀に「嬉しい一刀♪」と満面の笑みを湛え抱きつく雪蓮・・・
冥琳達は”やれやれ・・・甘いんだから”という溜息をつく
とりあえずは一刀としても前回のように力尽きたくない訳で
料理修行(雪蓮曰く花嫁修行)も一刀が手とり足取り一から教え込むのであった・・・
「「ご馳走さまでした」」と再度合掌し声が合わさる一刀と雪蓮の二人
「ねぇ 一刀 今日の出来はどうだった? ねぇ どうだった?」と待ちきれない様子の雪蓮に
「塩加減がもう少しあった方が俺の好みだったよ でも十分美味しかったよ」
一刀はそう返すと、雪蓮が突き出した頬に軽く”キス”をする
そのキスという”一瞬の至福”を得たいが為に、甲斐甲斐しくせっせと毎日一刀の朝食を作る雪蓮さんなのでした・・・
「もう少し周りに配慮しろ 朝から目の毒だ」とは冥琳大都督(予定)様の言であるが
雪連は全く気にした風もなく「皆に見せびらかすのがいいんじゃない」と臆面もなく言い放っている
皆も朝からはさすがにご遠慮したいのか、自然と一刀達とは時間をズラして食事を摂っているようである
ちなみに”緋蓮さん”と”祭さん”はそんな事は気にしない、むしろ喜んで面白がるタイプではあるが
酒を過ごす事が多いので、自然と一刀達より遅く朝食を摂っているという”オチ”である
「・・・それじゃ 冥琳達 後は頼むわね 行ってくるわ」と見送りの皆にいう緋蓮
「一刀 気をつけていってらっしゃい 母さま、琥珀 一刀のことよろしくね」 「「いってらっしゃい(ませ~)」」という紅と穏に対し
「うむ」 「お任せください雪蓮様」と答える緋蓮と琥珀
「緋蓮さんや琥珀もいるし大丈夫だよ 雪蓮、俺がいなくても毎日修行は欠かさないようにね じゃ皆 行ってくるよ」
と元気な言葉で別れを言い終えた3人は、騎乗し一路琥珀の商家へ出発する
そう現在 雪蓮さん10歳 一刀さん推定10歳ぐらい?とは到底思えない行動と会話内容だったりする
ちなみに緋蓮さん 紅さん 祭さんのお三方に関しましては、年齢が”禁忌コード”となっておりますので悪しからず・・・
(作者だって命が惜しいの~♪)
「さぁてと一刀達を見送ったことだし・・・ 紅 私達も洛陽へ行くとしましょうか」と紅に対して声をかける雪蓮
紅「そうですね 姉さんと一刀くんの出会いも見届けたい処ですけれど・・・」と本当に残念そうに答える紅
雪蓮「それを言うなら蓮華と一刀も面白そうだけれど♪」
紅「ふふっ こっそりと後をつけましょうか♪」
雪蓮「いいわね それ♪」
紅「でしょう?♪」・・・という楽しそう?な会話が成立していたり・・・
・・・苦笑しつつ溜息をつく冥琳・・・
「伯符 子綱殿 冗談はそれくらいにして 今は洛陽の方が危険なのだから気をつけてよね」
「「はぁい(残念)」」と落ち込んだ”振り”をし冥琳の死角で舌を出す二人は素早く騎乗すると
「それじゃ冥琳 穏 お留守番よろしく」
「冥琳 穏 行ってくるわ」と仕切り直し二人に声をかける雪蓮と紅
「ええ こちらの事は任せて 雪蓮も紅殿も元気でね」
「雪蓮様も紅様もお達者で~」と返す冥琳と穏
「「行ってきます」」と言うや二人は馬首を返して馬なりに走らせる
「雪蓮様も紅様も相変わらずですねぇ~」 「はぁ~そうだな 気苦労が絶えん」 「あはは~♪」
・・・見送り終えた二人の師弟は会話を交わしつつ、館の軍師室(参謀執務室)へと引き返していくのだった・・・
歴史的ズレがなければ、荊州・南陽に拠点をもつ袁術なのだが・・・
ズレにより発生した権力闘争(十常侍派VS将軍派)の影響により、荊州は”劉表” 豫州は袁術と
この”時期”にも関わらず、支配地が綺麗に分割され対立していたのである
何故一刀・緋蓮・琥珀達3人は、琥珀の実家である商家へ向かったのか・・・
理由の一つとして、ずっと商家に滞在してましたという”アリバイ作り”である
最近、帝や一部の朝廷の臣に珍しい贈り物をしているーその影には天の御使いありと”まことしやか”に囁かれている噂である
それを聞きつけた美羽(袁術)・・・というより、七乃(張勲)の指示で袁家に珍品を確保すべく実態を調査し始める
するとよく琥珀の実家の”魯家”へ出入りしていることを突き止める
その報告を聞いた七乃は、すぐさま間諜達へ魯家内部の調査を命じるのであった・・・が
七乃より指示を受け監視している間諜達には、どうしても琥珀の商家内部に忍び込みたくない
又は躊躇し外よりの監視とならざる負えない”理由”があった
間諜達が商家に侵入して監視をしたくない・・・ 躊躇する理由とは!?
実は琥珀の実家である魯家は、琥珀の”一族を除く”奉公人全ての人間が
孫呉が率いる間諜に関わっている人々のみで構成されている、一大間諜拠点だった事が大きな理由である
屋敷中至るところに、琥珀考案の”忍び返し”ならぬ”間諜返し”の罠絡繰が口を開けて待ち構えていた
さらに一刀の世界の”忍び屋敷で使用していたとされるモノ”もいくつか助言し導入されているので
より強固な”間諜殺し”の屋敷に変貌を遂げていた
それを知らない袁術の間諜達は、ゴキ●リホイ●イに掛かるが如く次々と捕まえられ
七乃の元へ無事に帰れるものが皆無であった
余りにやりすぎると、袁術達に翻意を疑われかねないので、孫呉的お灸措置だったのであるが・・・
この不測の事態に対し、七乃の間諜達は震え上がり・・・
自身の命が惜しい間諜達は、琥珀の商家へ容易に踏み込めなくなっていた為
外より監視せざる負えない状況に追い込まれていたのだった・・・
以上の理由から、孫呉では”魯家”を隠れ蓑に各地へと散っていくルートが出来上がっていた
今回もまた、一刀達3人を完全に見失う大失態を演じることとなるのだが・・・
七乃(張勲)の処へ戻った際には、異常ありませんと虚偽報告し、敵の偽装工作の補助までする始末
・・・なので当然の事ながら、七乃が確保するという事は、万に一つの可能性もなかったのである
後にこれらの”間諜返し”の絡繰は、孫呉の到る処(天井や床下等)へも設置され、益々孫呉の情報不足に陥り
正確な判断をし難い状況に困惑する敵が、後を絶たなかったのである
そうでなくても、緋蓮・雪蓮の”勘”並びに一刀の”円”による気配察知能力は
間諜にとって”理不尽”と形容するに値するモノなのであるが・・・それに加えて”間諜返し絡繰”で追打ちをかけられる始末に
敵方間諜達がこぞって、孫呉にだけは忍び込みたくない・行きたくないとネガティブ思考をさせるに足る理由が
(間諜達の前に)純然と立ちはだかっていた為である
一方、監視の目を逃れて、寿春から一路南下した緋蓮・琥珀・一刀達御一行様は
数日かけて”保険”の試験的運用の視察の為『廬江』を訪れていた
(一方その頃、”雪蓮””紅”の二人はの~んびりと徐州へ移動中、”冥琳”・”穏”は寿春にて増えた竹簡と格闘中だったり)
ここ廬江へ来るまでにも、一刀注文の”鞍”と”鐙”の調整も兼ねていたりする
琥珀は一刀に対して改善点などを聞き、次々に竹簡に記していく また即微調整できるものは調整していく
そう、この時代の騎乗者は両足の大腿部で馬の胴を締め付けて乗馬しており
姿勢は極めて不安定なものであり、馬の激しい動きに追従するのは困難を極める
特に戦闘で利用する場合、武器を扱いながら馬を操るのは至難の業であり
自在に扱うのはもはや”特殊技能”と呼ぶ代物であり、幼い頃からの長期間の鍛錬が必須条件に近い時代であった
”南船北馬”という言葉にも象徴されるように、孫呉は船の扱いには長けた者は多いが、”馬”の扱いとなると・・・
将クラスでないと扱いきれていないのが現状なのである
一刀も乗馬は母・緋蓮より仕込まれていたのだが、現代の乗馬スタイルでの仕込みだった為
こちらの世界では、馬を扱いきれなかった一刀なのである
(緋蓮・雪連は”勘”と感覚 冥琳や紅に手解きを受けるも時間がかかりすぎて挫折という経緯があった)
そこで、琥珀に鞍と鐙の製作を依頼し、あれやこれやと出来あがった試作品を
一刀が視察を兼ねて試している処なのである
この鞍と鐙の有用性に関しては、呉の急所=泣き所であった騎馬兵の運用も今後視野に入れる事が出来る事
訓練すれば、短期間で武将級の働きを下級兵達ができた事から、”冥琳達軍師”からは”保険”以上の大絶賛だったりする
廬江に着いた3人は、屋敷で”蓮華こと孫権”・”王林こと張昭”・”楓こと程普”の三人と出会い
初顔合わせである一刀と自己紹介を交わす
「姓は『北郷』 名は『一刀』 字と真名はありません お好きな様にお呼びください」と一刀はお辞儀を交え挨拶をする
??「坊やがね~ ご丁寧なご挨拶ありがとう
妾(わらわ)は姓は『張』 名は『昭』 字は『子布』 真名は『王林(オウリン)』さね
妹の紅から坊やの自慢話ばかり届てる 坊やこれからも期待させてもらうさね」
ぼ坊や・・・(汗 でも紅さんが俺を? ・・・褒められて満更でもない一刀であるが・・・
いくらなんでも坊やはないだろう?と心の中でボヤく・・・が、10才ぐらいの体格に縮んでいるのを
すっかり頭の中から抜け落ちてしまっている一刀である
??「あたしゃ姓は『程』 名は『普』 字は『徳謀』 真名は『楓(カエデ)』だ
武であの祭を”けちょんけちょん”に負かしたそうだな聞き及んでいるぞ? あたしの手解きもよろしく頼む」
えぇ~なんかこちらもツッコミ処満載ですし・・・「よ・・・よろしくお願いします」と詰まりながら返す一刀
??「ふんっ 胡散臭い貴様に教える名など持たぬ お母様やお姉様達を誑かして、貴様は何をするつもりなのだ?」
皆が何かを言おうとする前に、一刀は皆を”視線”で制すると
「孫呉を我が手に・・・「なっ 本性を」とでも言うと思ったわけ?
「・・・うっ」 それに君の母である緋蓮さん 姉である雪蓮を始めとした重鎮の皆様方が
揃いも揃って悪人を見分けられない程”無能”だとでも?
「・・・ぐっ 貴様っ」 こちらから先に名乗った訳だし、儀礼上でいいから教えてくれると嬉しいかな?」と答える一刀に
「「「ぷっ はっはっは」」」と緋蓮 王林 楓の三人揃って大声で笑いだす 「蓮華様の負けですよ?」と琥珀が問いかける
紹介する切欠を失ったのか・・・一刀から目を逸らしたまま・・・黙り続けたままの蓮華である
「後、真名を預ける件なら、甘寧からも受け取っていないし、気にする必要はない
君が納得出来た時に預けてくれればいい・・・どうかな?」と一刀は助け舟を出してみる
「うぐっ ふんっ 姓は『孫』 名は『権』 字は「仲謀」だ・・・」と名乗るとサッと振り返り
一人でさっさと思春のいる洞窟方面へ歩いていく蓮華だった・・・
●人物紹介補足
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
・・・まぁ大方の予想通り、一悶着ありつつも”二人”とは真名の交換を済ませるのだが・・・
”この時点”ではまだ、孫権さんの真名を許してもらっていない状況である・・・
「先ほどの話の続きだが・・・ お嬢は悪気があって悪態をついた訳ではないんだよ」と心遣いを見せる王林
「蓮華様は高貴な者の心得を実践なさっておられるだけなのだ」とすぐさま補足する楓(程普)
「高貴な者の心得とは、素性の知れない者を近づけない 甘言を弄する人間を近づけない 金玉に執着しないの三点です」
琥珀が素早く補足してみせた
「皆さん・・・色々気を使ってもらって・・・ありがとうございます」と複雑な面持ちで答える一刀だった
処変わって、思春(甘寧)が束ねる孫呉水軍(海軍)の拠点は、現在『廬江』近くの大洞窟を利用している
孫呉水軍とはいうものの・・・後漢王朝からみれば、”賊”なのである
その”江賊”が代価を戴いて、”責任”を負って”荷物を届ける”とは可笑しな話である
後漢王朝の水軍が、思春達を含めたいくつかの江賊を抑えきれない為、逆に積荷等を略奪される有様なので
後漢王朝は仕方なく、最大勢力である”思春達=孫呉水軍”に”高額な保険料”を支払って
積荷を運んでもらうという、可笑しな構図が出来上がっていたのである
”損害保険”を実施するに辺り、雪蓮や冥琳達首脳陣は、”対抗勢力となりうる江賊”=荊州に属する江賊のいくつかを
壊滅・吸収して地ならしをしていたりする・・・
そんな訳で思春率いる江賊=孫呉水軍を襲う江賊などいるはずもなく・・・
今では莫大な利益の保険料収入を何の損害も出す事無く、孫呉は丸々儲けを手にしているのである
「冥琳も御使いも
緋蓮さんに臆面もなく言ってたりする王林(張昭)さんでありました
「雪蓮様や祭をあっさりと破ったとか 武も一流とお聞きしてますしね ワタシとも一度ゆっくり手合わせしたきものです」
とは楓(程普)の言である
「・・・北郷か いちいち言わなくても蓮華様からすでに聞き及んでいる・・・ 気の済むまで見ていくがいい」と一刀へ言い放つや
「お前らいくぞ」と颯爽と船へと去っていく
「孫権から?・・・ふむ」とそれ以来何も言わず黙り込み考え込む一刀
・・・一刀は寿春にて雪蓮や冥琳達との別れ際の言葉を思い出していた
一刀「雪蓮と違って真面目なんだね」
雪蓮「ぶ~ぶ~ 蓮華・・・あの子ね 意地っぱりなのよ 融通の効かなさが心配ではあるんだよねぇ・・・」
冥琳「ご自分の身分を弁え且つそれを誇りに思っておられる・・・今はただ孫家の血族として王者たらんとして、無理をされているだけだ」
祭「まぁ色々といい方はあるじゃろうが、孫家の人間として頑張っておられる方じゃよ」
穏「皆から愛されていらっしゃいますからね~」
雪蓮「先ずはお互いを知り合いなさい それが第一よ」
洞窟で船を停泊したまま訓練をしている甘寧達を眺めて思案に耽る一刀を、岩陰より静かに見つめ観察する蓮華の姿があった
「そんな処で見ていないで、こちらに来て少し話さないか?」と蓮華に声をかける一刀であった
・
・
・
「それと緋蓮殿・・・
大規模なものに発展するかは判らぬが、下々の者達の暮らしが一層苦しゅ~なりそうじゃ」
「そう・・・”江東”に飢饉の兆候も出始めているというし、寿春に帰り次第、至急冥琳と対策を練るわ」
「冥琳様に鞍と鐙の試験結果並びに至急状況報告を合わせた竹簡をしたためることにします」
と言うと急いで元来た道を戻っていく琥珀
「まぁ~妾(わらわ)達に関しては何の問題もないがの
”曹操”んとこと袁紹んとこの相場で、随分楽して稼がせてもらったからの フフフ アッーハッハッハーー」
ーーー(一方その頃洛陽では)ーーー
「かなりの備蓄米やらを蔵から放出してるのに・・・ 陳留の物価が全然落ないなんて・・・どういうこと?」
甲高い声でボヤく桂花がいたりする
この時点で、”稟”や”風”が加入していれば判明していたのだろうが
政務のほとんどを桂花がこなしていたので、全てを把握しきれなかったのである
桂花が司馬懿を頼れない理由=男であるというマイナス要因が曹操軍へ作用した格好である
当然の事ながら蝗害の情報も未だ掴んではいない・・・
「”農法”に関しては、●●へ”派遣”して今”代表者”と交渉しておるところじゃ
しかしのう? ”あ奴ら”が納得するとは到底思えんさね・・・」と王林(張昭)にしては珍しく少々困惑気味である
「まぁ~ 私も”あれ”に関しては、疑問なのよね~ 一刀君があれだけ力説している案だし一刀君に一任しましょう
これに関しては冥琳達軍師陣からも半信半疑だしね 一刀君には悪いけれど・・・
ダメで元々よ もう賽は投げられたのだから・・・」と答える緋蓮
「それにしても面白き御仁ですね 天の御使い・・・いや一刀君は アハハ」と豪快に話す楓である
「フフ 楓 貴方がそう言うの 私と会った時以来かしら?」
「ハッハ そう言われればそうかも」と二人の会話が弾む
「あたしらの誰にも理解できない事を実行しようとする 一刀君は何を見通しているんだろうね?」
と楓は緋蓮や王林に問い返すも・・・
「坊や以外の”全員が判らないモノ”を聞かれても・・・の?」と王林に言われ
「「違いない」」とその後声を大にして笑い合う3人の姿があった
合間に使いの者がきて、会話を楽しんでいる緋蓮に竹簡を渡して静かに立ち去る
会話が自然と途切れたと同時に、緋蓮は竹簡へと視線を走らせる
「一刀く~ん 子瑜(諸葛瑾)からの報告が届いているそうよ こちらへいらっしゃ~い♪」と緋蓮は一刀へ呼びかける
緋蓮「ふむ・・・私達はこのまま渡河して子瑜と合流する事にするわ・・・先方さん、案を飲む用意があるらしいわ」 「「ほほう~」」と関心する王林と楓の二人
「二人と今日は久々にゆっくり飲み明かすつもりだったのだけれど・・・ ”冥琳”もいないしね」
「「クックックッ 違いない」」と皮肉を”タップリ込め”苦笑し合う三人であった
緋蓮「楓 思春を呼んできてもらってもいいかしら?」
楓「承った 思春にはアタシから簡単に事情を説明しておこう」と言うと、楓は思春へと歩みを進めていた
「助かるわ お願いね楓」と感謝の念を述べる緋蓮
「
と急ぎ足で緋蓮へ向かう何も知らない呑気な一刀と、その後を追いかける蓮華の姿があった
・
・
・
次の日の払暁・・・
「思春 ”兄様♪”の事よろしくお願いね」・・・ 「・・・ハッ 蓮華様 お任せを・・・」と即答しかねる複雑な想いを胸に答える思春
「兄様♪ 身体には気をつけて・・・」と一刀に抱きつく蓮華に対し
「あぁ ”蓮華”もね」と躊躇なく抱き返す一刀
・・・”ツン子”よ 何があったんだ? 高貴な者の心得は? いつの間に真名まで許してたのか?等、次々に問が浮上してくるも・・・
一日で陥落し”デレ”に豹変した蓮華に一同驚愕し、4人の周りの”刻”だけが止まっていたのだった・・・
その間にも出航準備は着々と進み、緋蓮・一刀・琥珀達3人は一路『秣陵』へと出航していった
『秣陵』に到着し船から降り際に「真名は・・・思春だ 蓮華様が北郷に真名を許した以上、こだわる理由はないからな・・・」
とぶっきらぼう?に答える思春に対し、思考が追いつかない一刀を尻目にアジトへと出航していった・・・
■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン)
春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し
「江東の虎」の異名で各地の豪族を震撼させた
優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた
○張紘 子綱 真名は紅(コウ)
呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる
張昭と共に『江東の二張』と称される賢人
※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。
呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です
○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)
普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う
発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する
このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される
※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです
○張昭 子布 真名は王林(オウリン)
呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である
『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる
張紘と共に『江東の二張』と称される賢人
妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか
○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)
緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名
祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする
部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている
真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【あとがき】
雪月です 皆様毎度お世話になっております この度第7話めを無事更新する事ができました
毎回、多くの皆様に読んで戴き嬉しく存じます
この回はかなり難産で、初めから構成し直し・手直しを経て皆様にお届け出来ました
初期の文章ネタとは随分と違っていたります
その理由とは、オリキャラや蓮華を無理やり登場させたのが原因だったりします
本来、次の第一章での登場を予定していた”3人”なのですが
序章の拠点で”蓮華”さんストーリーを制作することを"失念"しておりまして・・・急遽の登板と相なりました(滝汗
さてこの度のオリキャラに関しまして、王林(張昭)さんと楓(程普)さんが登場となりました
設定上@何名かが追加されることになり、出ていない既存キャラを合わせると
かなりの大所帯となる予定の孫呉だったりします
”張昭”こと王林さん 紅さんのお姉さんな事から年上キャラを試行錯誤して出来たキャラだったのですが・・・
ある方から七武海の●姫じゃん・・・と突っ込まれました・・・
全く意識していなかったのですが・・・ 雪月の限界はここまでのようです(ぷしゅーーーー
”程普”さんに関しましては、真名はツッコミ処満載です こちらはそのまま一字を頂戴致しましたとも(開き直り)
祭さんと並ぶ重鎮の方が欲しくて登場の運びとなりました
歴史上でも「程公」と慕われた方とのことなので、”姐さん”としてがんばっていただきます
朱里のお姉さんこと諸葛瑾さんですが、今回は名前だけの登場です
紹介に関しては、次の一章の登場でお伝えできるかと思います
蓮華の一刀の呼び方に関しましては、賛?”否”両論(否だけのような気がしなくも・・・)あるかと思いますが
『ノーコメント』を貫かせて戴きます(逃亡━━━ΣΣΣ≡ヘ(*-ω-)ノ)
(またまたファンの皆様の怒りを買い、読み手さんが次々と去っていくのだった・・・)
・・・コホン 次に『第1回拠点キャラ決定戦の結果発表』に移りたいと思います ハイ
■【第1回拠点キャラ決定戦】
『前半戦』 『後半戦』
○周瑜 公瑾 冥琳 3票 ○周瑜 公瑾 冥琳 3票
○孫堅 文台 緋蓮 2票 ○黄蓋 公覆 祭 3票
○陸遜 伯言 穏 1票 ○張紘 子綱 紅 2票
○張紘 子綱 紅 1票 ○魯粛 子敬 琥珀 1票
【総合】
決定 雪蓮
決定 蓮華
==================
1位 冥琳 6票(当選)
2位 紅 3票(当選)
祭 3票(当選)
==================
4位 緋蓮 2票
5位 穏 1票
琥珀 1票
7位・・・0票
○小蓮 ○亞莎 ○思春 ○明命
無効得票1(雪蓮 理由:すでに決定事項の為)
※○ブービー賞が0票の場合・・・”3位”を ”1位・2位・ブービー賞”が同票数の場合は”人数分”決定となります
より今回のブービー賞は7位0票だった為→3位へ移行となり 2位と3位が同数票なので上記のように決定しております
【雪月 投票結果感想】
0票だった面々がちょっと”意外”だったり 私の事前予想ですとオリキャラばかりかと・・・思ってた訳ですが・・・
なので、琥珀はおまけ?的投票要素はありますが(出番もギリでしたしね^^; 不利が重なったワケですが)、
”紅”が当選・”緋蓮”さんが健闘と、少しは皆様方へ魅力を伝えれていたのかな~と一安心してたりします
緋蓮さん 2票・5位 穏 1票・琥珀 1票と投票をして下さいました皆様
この度は残念ながらという事で次回へ持ち越しという結果でございました
0票だった小蓮 亞莎 思春 明命には今回の投票方法ですと入れ難かったのかな~と推測されます
今回の反省を考慮しまして、第二回めには、1位・2位・3位の重複不可の推薦キャラを決めて戴き
1位には3ポイント 2位=2ポイント 3位1ポイントを付与して、前・後半で争って戴ければ
今回0票だったキャラにも得票がいくのかな?なんて思っております
次回投票時にはまたオリキャラの人数増えてるはずですので・・・
結局0票もあるかもなので油断は出来ないのですが・・・もう少し練ってみるとします
何か良い投票方法等ございましたら、コメントにて戴けますと嬉しく存じます
今回の拠点で当選しましたキャラに関しては、皆様のご期待に添えるような拠点を描けたらと思っております
今回はこれにて終了です 駄文にお付き合い下さいました 皆様に百万の感謝を
それでは またね( ´ ▽ ` )ノ
Tweet |
|
|
30
|
5
|
追加するフォルダを選択
初めまして 雪月と申します。
この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
設定としましては『呉ルート』を予定。
続きを表示