(伏見城城門前)
学歩:う・・・・・
升太:うごぅ・・・
戦いに勝ったとはいえ、二人の重傷者を出してしまった事実は拭えなかった。先ほどは戦いに転じないとならない事態だったので後回しにしてしまった事だが、洗脳されていたとはいえ、この二人に手を下してしまった事の“責”を、改めて痛感してしまっているのは、他ならぬ“レン”だった。
レン:学歩さん・・・升太さん・・・俺のせいで・・・“すいません“なんて「安い謝罪」じゃ・・・許されないですよね・・・
リン:レン、この二人、今、喋ることもやめた方がいい状態なのよ。ミクさんと二人で、治癒の陰陽術を必死にかけている所なの
レン:リン、ミクさん、ありがとう
ミク:ミクミク・・・とにかく予断は許されない状況ミク。こんな“応急処置”じゃなく、とにかく宿に帰って、“医者”を呼んで、医学的に本格治療しないと、だめミク
役小角:うむ。召還! 牛頭鬼! 馬頭鬼!
バシュ!
ゴズキ:へいへい、今度はなんすか?
メズキ:どうやら今度は“怪我人の搬送”らしいですね
役小角:メズキ、ご名答だ。この大柄の重傷人二人の搬送は、我々ではきつい。“変装の陰陽術”をかけるので、すまんが、この二人を宿まで搬送していってくれ
役小角は目を閉じて術を唱えてから、カッ! と開いて、ゴズキとメズキの方を向いた
役小角:変装陰陽術! “普通の町人”!
もわもわもわ・・・
ゴズキとメズキは、大柄の普通の町人の姿に変わった。
ゴズキ:お! これなら、仕事の後、一杯飲めるな!
メズキ:それより、二人を背負いましょう
二人は重傷の二人が集められている所まで行き、ゴズキは学歩を、メズキは升太を背負った。
学歩:ぐほぉ! う・・・もう・・すこし・・やさしく・・頼む・・
ゴズキ:男の子だろ! コレくらい我慢しろ!
升太:メズキはさすが・・心得ているな・・巧い背負い方だ・・
メズキ:これでも戦場経験は多いのでね。召還される身はつらいですよ
役小角:差し出がましいようだが、すまんが学歩の代わりに“現場指揮”をさせて貰う。リン、ミク、海斗、メイコ、ミキ、テト達は、とにかく彼らに同行して、宿に帰り、医者と共に治療に専念してくれ。医学だけでなく、体力回復などは陰陽術を使う方がいいだろう
レン:俺も行くよ!
役小角:だめだ。回復術を持たないお前が行っても、細かい雑用しかできない。そういうことは、同行する仲間に頼めばいい
レン:でも、俺が原因なんですよ!
役小角:だから、お前は、ここで大事な事をやらなければいけないんだ。現状、お前しか出来ないことだ
レン:俺しかできないこと!?
役小角:そうだ。それも含め、私とレン、そして、元ヘリの3人は、ここで色々やらねばならない。3人はわかるな?
ネル:おう! 俺達の“相棒”に代わる、“新しい相棒”を作らないといけないからな
役小角:“アレ”、直せそうか?
ハク:ヘリも戦車も運良く爆発してませんし、これならできそうです
てと:(・∀・)
役小角:とにかく怪我人の事が先決だ。ゴズキ、メズキ、それと同行者達、頼むぞ!
リン:はい! 分担して急ぎます!
こうして、二人をそれぞれ背負ったゴズキとメズキは早足、リン達はトリンに乗って、急いで宿に向かった。
しかし、一人だけポツンとしている人物がいた。レンだけが、まだ“自分の用事”を教えて貰ってなかった。
レン:俺は何をすれば・・・
ネル:“制御装置の完全破壊”だよ。レンの“城斬り”の小型版でやってもらわないとだめなんだ
ハク:あれ、結構、頑丈ですからね
役小角:知っての通り、あの城にあった“制御装置”で、安土城は浮遊している。先ほどの“城斬り”で制御装置が破壊されたのなら、あの後すぐに、安土城が落下する“音”が聞こえてくるはずなのだ。“あの巨大な城が地上に落ちた音“は、遠方であっても聞こえてくるはず
ネル:それにあの装置が及ぶ“範囲”はそんなに広くない。つまり“安土城”は、現在はこの近辺にあるはずなんだ
ハク:まだ落下音が聞こえてこないなら、まだ装置は健在。だから“完全”に壊して欲しいんです
役小角:あの装置も“未来の機械”で出来ている。つまり、レン、おまえの“天叢雲剣”でないと斬れないのだ
レン:それが、“俺だけ“しかできない仕事・・・
役小角:そうだ。ネル達だけでなく、私もその場所を知っている。私とお前で装置まで行き破壊する。ネル達には、あの衝突して機動が停止した“ヘリとタンク”から、新武装を作ってもらう。そういう分担なのだ
レン:わかりました! ネル達、頑張って“新しい相棒”を作ってくれ!
ネル:おうとも! すげーの作って待ってるよ!
ハク:そちらも気を付けて下さい。壊れたとはいえ、“自動防衛装置”位は働いていると思いますので
役小角:うむ、心得ている。レン! 行くぞ!
レン:はい!
こうして、役小角とレンの二人は、真っ二つになって壊れている“伏見城”に入っていった。
ネル:さて、あーは言ったものの、本当に大丈夫かいね~、あの2つ・・・
ハク:私の見立てでは、“2つで1つ”位は出来そうですよ
ネル:ちょっと違うが“ニコイチ”か・・・。まぁいいや、作業に取りかかろう!
こうして、ネルハクてとの3人は、衝突して機動を停止しているヘリとタンクの所に急いだ。
(ヘリとタンクの場所)
ガガガ ガチャ カチャン・・・・
運良くタンクのコクピットに突き刺さる形で衝突していたヘリは自重により、はずれて地上に落ちていた。ネルはそのタンクのコクピット周りを見ていた。
ネル:・・・よし! AI装置は衝突で破壊されているけど、“マニュアル操縦システム”は、無事だ! さすが“同時代”から持ち込まれたらしいマシン、“ヘリのCOMPカートリッジ”をそのまま転用できそうだな
ハク:ネル~、こっちの“タンクの武装”はダメだけど、ヘリの“陰陽武器”は使えそうだよ!
ネル:良かった! それをアテにしていたんだよ! ヘリのCOMPが使えるから、タンクにヘリの武装を積もう! タンクの主砲とミサイルポッドは取り外してくれ。陰陽術で肉体強化していれば、なんとかなるだろ
ハク:うん。陰陽術! 剛腕力!
メキメキメキ!
ハクの腕が男性の物のようになり、タンク後方のミサイルポッドがメキメキ音を立てて、ユニットとして切り離された。同じく主砲もユニットとして切り離されたため、車体後方と、主砲があった前部はガランと隙間になった。
ネル:よし! あとはヘリの武装をミサイルポッドの所に積み込んで、主砲があった所は、コクピット用防御装置として、ヘリの装甲でも貼り付けておこう。ヘリの主翼、副翼が生きていれば飛べるように出来たと思うけど、へし折れてるしな。まぁ仕方ない
カキン・・・カキン・・・ ガチャガチャ
30分ほど、積み込み接続作業が続けられた。
ハク:ヘリの武装の“霊力ジェネレーター”とタンクのヤツを繋いだよ! ちょっとテストしてみて!
ネル:よし。まずはCOMPの起動だ
カチ
ネルはタンクのシステムスタートキーを入れた。
・・・・・・
タンクは沈黙していた。
ネル:ありゃー、だめか? んもぅ! このやろ! 起きろ!
ガン!!!!!
ネルはタンクのコクピットを思いっきり蹴った!
ハク:ネル~! 壊れちゃうよ!
ネル:この手の事は昔から“荒療治”で直るんだよ! さっさと起きろ!
ガンガン!!!!!!
・・・ピーーーーン!!!!!
COMP:イタイデスヨ! ネルさん!
ネル:おー! “ミリアム”ちゃん! 起きたか!
ミリアム(COMP):マッタク、コッチに移っても、荒っぽいデスネ。まぁイイです。これからタンクのシステムを書き換えて、ワタシが掌握します。少々オマチを
キーーーーーーン!!!!!
ミリアムはタンクに接続された部分から、ヘリのシステムプログラムを流し込み、タンクのシステムを書き換えた。
ミリアム(COMP):はい、オーケーです。これで、ヘリの物だった“陰陽武装”だけを武器とした、新型ホバータンク、“ミリアム”、が誕生シマシタ!
ネル:えー、自分の名前を付けちゃったのー
ミリアム(COMP):まぁイイジャないですか。それと、アノ“水晶体”をCOMP装置に取り付けて下さい。そちらも起動できます
ネル:おし!
ネルは風呂敷に包んであった、“ヘリの水晶体“を、タンクに積んだCOMP装置の接触端末に取り付けた。
・・・ビーーーーーン!!
水晶体が光った事から、ミリアムの言うとおり、このパーツも運用できたようだった。
ミリアム(COMP):機動安定性テストクリアー。システムチェック終了。コレで完了です。では簡単にレクチャーします。主武装はヘリの陰陽武器ですが、ヘリの武装の様式そのままだと使いにくいので、残っていたタンクの武装システムを組み込みました。武器は、“陰陽ホーミングミサイルポッド”、つまり、ヘリの時のワタシを撃墜した“反応弾”です。同時発射弾数は残念ながら同じく4発。溜めの時間は10秒かかりますから、オキヲツケテ。ソレト、“陰陽アサルトライフル”。これはタンクの“主砲”のシステムを転用しました。砲身が可変型なので、前方にも撃てます。同時発射弾数は1発ですが、溜めの時間は5秒ですから、結構連射が効きます。武装は減ってしまってこれだけですが、勿論、移動手段である“ホバリング”はそのまま使えます。それと動力炉である“エネルギージェネレーター”は陰陽武装から抽出してますから、ほぼ無限ですね
ネル:了解。まぁ操縦席周りは小さくなっちゃったから、3人乗ってキュウキュウ状態なのが“たまにきず”だけどね
ミリアム(COMP):それと操縦方法がヘリと大分違いますから気を付けてください。同じホバリングでもこちらは接地面に対してのエアー噴射です。慣性の感覚なども違いますから
ネル:それはやっているうちに慣れることにするよ。よし! これで新しい相棒が出来たな。まだ二人は戻ってくる気配がないから、じゃあ、ここで“機動試験”を行う事にするよ。反応弾の構成霊力の出力は最小限にして、一通り試験する。じゃあ二人とも乗って!ミリアム、行くよ!
ハク:はい!
てと:ヾ(*´∀`)ノ
ミリアム(COMP):Ready
こうして二人が帰ってくるまで、かなり広い“元戦場”を使って、機動試験を行うことになった。
(破壊伏見城・城内)
ガコン! パラパラパラ・・・
レン:うわ! また崩れた!
役小角:派手に破壊したからな。そこらじゅうで柱が折れて、崩れやすくなっている
レン:ところで“装置”はまだですか?
役小角:うむ。城は崩れているが、別に“一階より上”にあったわけではない。装置は地下にあるんだ。地面の破損があまり無いことから、地下は無事だったようだ。逆に“城斬り”は地下には及ばなかったようだな
レン:とりあえず“この目で見て”破壊できるわけだから、良かったと考えておきます
役小角:うむ。さて、確かここら辺から地下に下りるはずだが・・・
役小角は止まって、周囲の地面を手で探っていた。そしてある地点にあった“四角の溝”を見つけた。
役小角:ビンゴだ。ここから地下に入れる! レン、剣の準備をしておけ。ここから先は“防衛システム”がまだ働いている状態だ
レン:はい!
役小角:それと餓鬼では目立つから、これを使うとしようか。“式神”!
レン:え!?
役小角の腕から、人間の姿をかたどった“紙人形”が10体ほど現れ、役小角とレンを包んだ。
レン:え!? なんで“賀茂保憲”の武器を使えるんですか!?
役小角:私が復活した手順は、ドッグタグの吸収、ボディの修復、システムの再起動、だ。この“ボディの修復”に、“賀茂保憲“のパーツを使ったのだ。どうやらそのときに、一緒に能力として組み込まれたようだ。さすがに”能力封印“は引き継げなかったようだが
レン:凄い、召還師で式神師なんですね。なんかどんどん遠い存在になっていくような・・・
役小角:まぁ、能力は使ってナンボ。レン、行くぞ
レン:はい!
ギーーーー
役小角はその四角の“扉”を上に上げて、二人と式神は地下へと進んでいった。
(破壊伏見城・地下エリアB1F)
役小角は“式神”に気を付けながら、炎を召還して、“灯り”を採っていた。
役小角:“システムが生きている”とはいえ、さすがに“ランプ”は消えたか
レン:真っ暗ですね
役小角:・・・止まって!
二人はその場で立ち止まり、役小角は式神の1つを先に行かせた。
ビーーーー!! ボォ! メラメラ
式神は通路右上にあった自動監視装置からの“レーザー”で焼かれてしまった。
役小角:やはり“防衛システム”が働いているようだな。まず1つ目か
レン:どうしましょうか?
役小角:今ので装置の攻撃方法と場所は解った。なら破壊するまでだ
役小角は炎を召還している手と違う手のひらを上に向けて、術を唱えた。
役小角:召還、鏡晶鬼(きょうしょうき)!
すると、ピラミッドが上下1つずつ付いている、正8面体の物体が浮遊して現れ、先ほどの式神と同じルートをたどって前に進んでいった。
レン:え! だってこれじゃアレも・・・
役小角:アレは特殊なんだ
ビーーー!!!
予想通り、感知した装置から“レーザー”が発射され、“鏡晶鬼“、に命中した。しかし・・・
ビーーーーーン ビーーーーーン
鏡晶鬼:・・・・・・・・・反撃
ビーーー!!!! ブスブスブス・・・・
なんと、鏡晶鬼から“同じ”攻撃が発射され、その防衛装置を破壊してしまった!
役小角:よし! 防衛システムはこれと同じと考えて、この状態を維持して進もう
レン:あの“鏡晶鬼“ってなんなんですか?
役小角:あれは“光系武器”を受けると溜め込んで、“反撃”、する能力だけ持つ鬼なんだ。あまりに特殊だから、まず召還することがないんだけどね。久々に使役したよ
レン:はぁ、凄いなぁ
こうして、先頭に鏡晶鬼、その後ろにレンと役小角、そして二人の周りを式神で防御した陣形で、通路を進んでいた。
通路で、予想通り、最初と同じシステムが防御していたが、ことごとく鏡晶鬼の反撃で撃沈していった。そして、階段を降りて、B2Fの奥の部屋まで進み、目的の装置にたどり着いた。
(破壊伏見城・地下エリアB2F最奥・装置の間)
ウィーーーン ウィーーーン
部屋には球形の機械装置だけがあり、依然として稼働していた。その装置の外観特徴は、球形だけでなく、前面に“閉じた大きな一つ目”が存在している事も特徴の一つだった。
役小角:やはり装置は健在だったか。そして“最終防衛システム”まで健在か
役小角は鏡晶鬼を引っ込めて、式神で二人の周りを防御させた。
レン:・・・・あの“大きな一つ目”ですね
役小角:正直、アレに対抗する“防御手段”は式神だけだ。それとてあまり保たない故、“君の一撃”でとどめを刺して欲しい
レン:わかりました
レンは“天叢雲剣”を抜くと、刃先に溜めるエネルギーを柄に溜め始めた。
すると最終防衛装置の方も、一つ目が開き、部屋にアナウンスが響き渡った。
アナウンス:Warning! Warning! シンニュウシャをハッケン! 直ちに除去攻撃をカイシする!
役小角:ヤツも“溜め”に時間がかかる。レン、ヤツの攻撃までに準備できなかったら、こちらの負けだ
レン:は・・・ハイ!
アナウンス:10・・9・・8・・7・・6・・5・・4・・3
ビン!!
レンの剣の刃先が少しだけ出てきた。準備完了である。
レン:喰らえ! ビームランサー!!!!
ブーーーーン!!!!
一つ目の方も、目の中央が光って、準備が整った!
アナウンス:2・・1・・0、駆逐
ビーーーーーーー!!!!!!
レンが付きだした天叢雲剣の刃先は瞬時に伸びていき、“一つ目の中央”から侵入し、装置を貫いた! 同時に一つ目から発射された巨大レーザーも、少しだけだが、レン達の周りの式神を燃やし尽くして、そして消えた
レン:俺の勝ちだ!
装置はガタガタしながら小爆発を繰り返し、そして、最終アナウンスが響き渡った!
アナウンス:Emergency! Emergency! これより自爆シークエンスを開始する! カウント179・・178・・
役小角:よし! 脱出だ!
レン:はい!
こうして、レン達は部屋を出て、急ぎ足で地下通路を戻っていき、地下への入り口を通り抜けて地上に出て、来たときに作って置いた“通り道”を突き進み、門を全速力でくぐった。
部屋のアナウンス:1・・0・・自爆
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・ン!!!!!
役小角:自爆したか
レン:城が・・・沈んでいきます・・・
ズゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・ン
地下の爆発により、伏見城を構成していた城跡の建材などが、丸くくぼんだ地下にめり込むように沈んでいった。
レン:これで、伏見城の一件は・・・終わりですね
役小角:ああ、最後は、“あの”安土城だ
レン:え!?
レンが役小角が指し示している方向へ振り向くと、ネル達とタンクが見え、その先で、空から城が落ちてきていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!
ネル:おー! 帰ってきたね! いや、また、今回も派手にやったね
ハク:それに、本丸“安土城”が落ちていくのを確認しました。水晶体の観測では、ここから5km程度の所ですね
ゴゴゴゴ・・・・・・ン!!!!!!!
役小角:完全に落ちたか。うむ。それに予想通り“近い”な。やはり安土城で攻めてくるつもりだったようだ。新武器も出来上がったようで、すぐにでも攻め込みたいのだが、とりあえず、二人が心配だし、こちらも陣を作り直さないといかん。我々も宿に戻ることにしよう。ネル、それで移動頼む
ネル:じゃあ、残ったトリンを上に座らせてちょうだい。こいつで宿まで送るよ
こうして、レン達全員でトリンをミリアムに乗せ、全員ミリアムの空いているスペースに座って、宿まで移動していった。
(山城国・三条大橋の温泉宿『麻呂眉屋(まろまゆや)』・男子部屋)
学歩:ぐ・・・・・・
升太:うぐぉ・・・・
二人は布団に横たわり、腹などを包帯でグルグル巻きにされていた。その横に、リン達が呼んできた医者が座っていた。
医者:しかし、あんたら悪運強いね。この突き刺し傷、急所をわずかに外しているよ。しかしそれを差し引いても重傷だ。当分、ここで世話人付きで安静にしてなさい
リン:レンの洗脳・・・やっぱり完全ではなかったのね
学歩:ぐぅ・・しかし・・・これから本丸戦だというのに・・・ぐっ!
升太:ここで・・・寝ていられるわけが・・・つぅ!
ミク:だからダメミクよ! 絶対安静ミク! ここで陰陽術の回復も必要ミク!
ガラッ
部屋の障子が開き、レン達が入ってきた。
レン:あの、二人の状態は・・・
リン:一命は取り留めたけど、絶対安静で最低でもミクの陰陽回復治療が必須ミク
ミキ:それと世話人が数名必要です
レン:あの・・・その・・・本当に申し訳ないです・・・
学歩:それは・・もういい。あの落下音はここからでも・・・聞こえた。とにかくこれから本丸戦なわけだが・・・
升太:さすがに俺達は・・・参加できないようだ。でもレン君・・・とりあえずその“忌まわしい鎧”だけは・・・着替えてくれないか?
レン:は! すみません! 女子部屋で着替えてきます! リン! 俺の着替えは?
リン:女子部屋の風呂敷に入れてあるよ
レンは急いで女子部屋に行き、巫女服に着替えて帰ってきた。
役小角:さて、こういう事態だ。先にも述べたとおり、私が指揮を執ることにする。学歩殿、宜しいですね
学歩:ああ。残念だが、そうしてくれ
役小角:では、これからの“本丸戦参加者”について相談しようと思う。私の案になるが、参加者は、私、ゴズキ、メズキ、レン、リン、それと戦車隊のネル、ハク、てと、だけにしようと思う。他の仲間は全員ここで、学歩と升太の介抱をしていて欲しい。特にミクは陰陽治療役として、ここで頑張って欲しい
ミク:ミク~ン。仕方ないけど、それはやむを得ないミクね
ミキ:えー! ちょっと! 私だって闘えるよ!
役小角:これには理由がある。実は安土城が所有する“兵”は、おそらくいるであろう晴明と道満を含め、全て“機械兵”。攻撃が通じるのは、先ほどの仲間だけとなる。言うまでもないが、リンはミクの代わり、攻撃もそうだが、主に“回復治癒”などに廻って欲しいと思っているのだ
学歩:なるほど・・。浮いていて“食料”が届かないのに兵が生きているから、おかしいとは思っていたが、全部機械兵だったのか・・・
ミキ:う・・・・仕方ない、ここの世話をしてます・・・
海斗:あの、我々“忍び”の隠密行動は役に立たないのですか?
メイコ:そうよ! 忍びの調査能力は結構なものなのよ!?
役小角:・・・はっきり言おう。本丸戦は、“武力vs武力”の兵力戦争となる。もう“密偵”とか、知力の戦の段階ではない。参加者、こちらの召還鬼達、ミリアムのタンク、この兵力を持ってして、何が何でも城内に入り込み、途中にいるであろう、最後の門番である“晴明と道満”を撃破し、最奥の“第六天魔王信長”を倒さないといかん。城内戦が主軸のため、それほど大人数で移動するわけにもいかない。攻撃が有効である仲間だけで攻め込むしかないのだ
メイコ:ぐ・・・・ここまで来て参加できないのは悔しいけど、そういう事情なら仕方ないわね・・・
テト:(´・ω・`)
ミキ:・・・とにかく、私たちはここで頑張ってるから、あんた達、絶対に信長を倒してきなさいよ!
レン:はい!
役小角:陣中食はおにぎりでも作ってもらう。正直、あの城が落ちてきた以上、城内が安定したらすぐに機械兵を出してくるはずだ。時間がない。準備が整ったら、参加者はミリアムに乗り込んでくれ
レン:あれ? トリンは?
役小角:トリンが安全な場所はどこにもない。それにミリアムの方が移動では何かと便利だ。水路を使った侵入も出来るしな
レン:あの戦車、そんなこともできるの!?
ネル:ああ、できるよ。出力が上がっているし、ホバー駆動で重量を減らしたから、水路も移動できるよ
役小角:では、全員! これからが最終戦である“本丸戦”だ! 正直、城内に入るまでは知略戦が必要ない兵力戦、そして城内はほぼ未知の世界。晴明も道満もいるはず。今までのが手ぬるいと思うような戦闘になるはずだが、頑張ってくれ!
レン達全員:おーーーー!!!!!
学歩:ああああああ・・・・・、それ、言いたかった・・・・
こうして、最終戦に向けて、各人が準備を始めたのだった。
(続く)
CAST
巫女・鏡音リン:鏡音リン
巫女(?)・鏡音レン:鏡音レン
巫女・初音御貢(ミク):初音ミク
拳の升太:墓火炉 升太
アホ毛のミキ:miki
人形のテト:重音テト
懐刀の侍・神威学歩:神威がくぽ
忍者・海斗:KAITO
くノ一・女威虎(メイコ):MEIKO
めぐみ:???
陰陽師“役小角”:Prima
カラクリのネル:亞北ネル
深酒のハク:弱音ハク
人形の“てと”:重音テト
ホバータンク(ミリアム)のCOMP:MIRIAM
その他:エキストラの皆さん
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○ボーカロイド小説シリーズ第9作目の” 戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝“シリーズの第9話です。
○巫女の鏡音姉弟(?)が主役の擬似タイムスリップジュブナイルです♪
○メインは和風の妖怪とか陰陽師とか出てくる、バトル物でもあります。
☆安土城前のイベントと、新武器開発編です。
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