過去の作品は此方です。
ステージ1:http://www.tinami.com/view/488611
プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896
ステージ2
なのはをアゲハヤミーから助けた後、総矢は…
「ここが、本格的な拠点か…所で一つ聞いても良いか?」
総矢はふと自分の意識の中に居る三人のヒーロー達へと問いかける。
『何?』
「…なんで和室の押入れの中に拠点キューブへの入り口が有るんだ?」
『押入れを閉めないと開かないし、向こうからロックすれば開かないよ』
今現在、総矢が居るのは本格的な拠点となるロストヒーローズでヒーロー達の拠点となっているキューブに似た施設と、地球での住居となるマンションの間にある和室の押入れの中。
押入れの中に入って壁を開く事で拠点キューブに移動できるらしい。
…これはこれである意味強力なセキュリティーかもしれない。態々押入れの中に入って入り口を閉めて中を調べる等と言う行動は、普通どころか家捜ししたとしても誰もやらないだろう。間違いなく。
なお、便宜上『拠点キューブ』と呼んでいるが、キューブと呼ばれる施設は現在確認出来ている限りでは此処以外に存在していない。
拠点キューブは虚数空間の中に存在しているらしいが複雑にその存在を隠されている為に通常の方法では発見不可能と聞いている。唯一の例外が押入れの奥の入り口なのだが…そっちはそっちで拠点側からロックも可能。
また、この拠点キューブでは次元世界の情報を調べることも可能で他の次元世界での悪意の出現や情報も調べる事が出来る一人で戦い続けていた半年の間の家になった場所だ。
…時空管理局の情報の一部とは言え簡単に調べることの出来るヒーロー達の科学技術に時々恐ろしい物を感じる。
「…取り敢えず、オレ一人しか居なくて良かった」
中に入って拠点キューブに移動したら押入れに入った人間が次の瞬間には消えたり、突然人が押入れの中に現れると言う絵図…。絶対に大騒ぎになる。
『まあ、お前は他の連中とは違うからな。そもそも、この世界に家族は…悪い』
「気にしなくても良い。事情が事情だから、此処までバックアップして貰っている訳だからな」
何気に三人のヒーロー達の仲間達がこの世界での彼の生活基盤を予め整えてくれていたらしい。お蔭で地球での住居も拠点キューブと言うのも避けられた。
…付け加えるなら、拠点キューブには『ライドマシン』も有るが、それは一種の次元航行艦らしい。…他の武装は兎も角、次元航行艦のドリルは何に使うのか一度聞いてみたい思いだった。
「ガーディアンは出るのか…?」
『…悪意から誕生する事は無いと思うけど…』
つまりそれ以外の原因で出現する可能性はあるらしい。ライドマシンは対ガーディアン用なのだろう。
……間違いなく巨大なガーディアンが次元世界の間を歩き回るようになったら時空管理局も泣きたくなるだろう。うん、そうなったら管理局の本部を囲んでるガーディアンの絵が簡単に想像できるし。
「…止めようか…考えたくないし」
『うん、それが良いね』
『考えてもしょうがないしな』
『ああ』
そう結論付ける一同。流石にこれ以上押入れの中に閉じこもっている訳にも行かないので外に出る。
「…ところで、一つ聞きたかったんだけど…良いか?」
『何だ?』
「…幹部クラス以上の敵が出てくる可能性は…?」
『………』
その質問を投げかけると黙り込む。転生者とこの世界の人間の間には持っている魂の器の差が有るらしく、幹部級の最上級を生み出す悪意はこの世界の人間の魂の器には収まらないらしい。
だが、転生者の魂の器にも収まらない悪意が存在する。………それが幹部クラスである最上級の上、ランク付けする事さえ不可能な“首領クラス”の敵だ。
納められる器が無い以上誕生しないと考えるべきだが…彼らの態度から誕生する可能性も有るらしい。考えられる可能性としては…。
「…この世界の重要人物達を生まれた敵だけじゃなく、悪意そのものからも守るべきか…」
『…ああ…そうだな…』
首領クラスを生み出す可能性は、この世界に大きく影響を及ぼす人間としか考えられない。少なくとも総矢はそう考えている。
其処まで考えた後総矢は今夜は眠ることにした。…現在の総矢の年齢は小学三年生のなのはと同年代で、手続き上の都合で明後日からなのは達と同じ学校への転校予定だ(それも手続き済み)。
「転校は明後日からだから、明日はジュエルシードを探索しよう」
三人の意思は総矢の言葉に同意の意思を示す。敵もジュエルシードを探している以上はなのはが見つけるまで放置する訳には行かない。そう考えながら総矢は眠りにつく。
『…流石に伝えるべきなんだろうけどな…』
『…今はまだ、あの事を知らせるのは、早いと思うし…』
『だが、何時かは伝えなければならないだろうな』
総矢が眠った後、三人のヒーロー達はそう言葉を交わす。時期が来るまで黙っていようと考えている一つの事実についてだ。
それを黙っていることに対して罪悪感を覚えるが、それ以上に今はまだその事を伝える訳にはいかない。
今後何時かは知る事になるだろうが、その事態には行き着かない方が幸せだと考えているのだから。
さて、翌日目を覚ますと総矢はジュエルシードの探索を兼ねて海鳴市を散策していた。主に狙って現れる敵に対する備えだ。
それぞれ戦ってきた相手…ヤミー等の怪人はオーズが、怪獣等はゼロが、MSやMAはダブルオーが相手の出現に気付くことが出来るのを利用してだ。少なくとも、悪意から生まれたタイプの敵が出現すればジュエルシードを求めて行動する可能性が高い。
(っ!?)
そんな事を考えていると近くで誰かが倒れた様な物音に気付いて周囲を見回す。
「…あっちか?」
『そうみたいだ。気を付けろよ』
「ああ」
忠告を聞きながら物音の聞こえた方向へと足を向ける。建物と建物の間にある路地裏。そこに誰かが倒れているのが見付かる。
「っ!? やっぱり、誰かが…」
『大丈夫、ヤミーとかの気配は無い。他のみんなも注意してくれているから…』
『気を付けろ』と言いたいのは直ぐに理解できる。総矢にとって最大の弱点ヒーローの姿に変身する前だ。
そんな事を考えながら倒れている人影に近づいていく。
「おい、しっかりしろ…」
「…うぅ…」
微かに声を出していて呼吸もある。だが、何かと戦った様子で傷だらけの姿で倒れていた。
『…嘘…』
『マジかよ』
『………』
「…この子って…」
近くに落ちている半分に折れた杖の様な物を拾い上げると、倒れている相手を抱き上げる。外見の年齢は総矢と変わらないだろう。元々はツインテールに結んでいたであろう金色の髪が片方だけ解けている。
「…『フェイト・テスタロッサ』…だよな?」
『…でも、こんな酷い怪我を…まさか、悪意に!?』
『だけど、オレ達は何も気付かなかったぞ! そりゃ、弱い奴は気付けない可能性もあるだろうけど…そんな相手に…ここまでボロボロにやられるなんて考え辛い!』
思わずボロボロになって倒れているフェイトに驚愕する。
『…そんな事は後で考えればいい。彼女の手当てを優先した方が良いだろう』
『『「…そうでした…」』』
驚愕する一同の中で冷静にダブルオーの声が響く。
『総矢、オレになれ。家に運ぶならその方が良い』
「…分かった…」
ダブルオーの言葉に答えて、総矢はフェイトを抱え挙げて彼女のデバイス『バルディッシュ』らしき破損したデバイスを拾うとダブルオーの姿に変身、そのまま自宅まで飛翔する。流石に誰かに目撃される危険も有るが、急いだ方がいいと考えたダブルオーの意見に同意した結果だ。
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悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。