No.488611

魔法少女リリカルなのは聖伝 ~ヒーローズサーガ~ 

龍牙さん

悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。

2012-09-25 23:38:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2309   閲覧ユーザー数:2248

過去の作品は此方です。

 

プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896

 

ステージ1

 

 

 

 

 

 

 

主人公SIDE

 

『スキャニグチャージ』

 

 

「せい、やぁ!!!」

 

仮面ライダーオーズの基本フォーム・タトバコンボの必殺技『タトバキック』によってMSザクと纏めて後ろに守られた此処のボスらしい怪人…アノマロカリスドーパントを吹飛ばす。

 

「…お、鬼か…お前は?」

 

爆散する前のアノマロカリスドーパントの最後の一言がそれだったりする。

 

「…? 何を言う…ただゼロで“普通に”戦っただけなのに」

 

まあ、近づく事もできずに一方的に攻撃されたなら言いたくなっても無理ないだろうが。どうも、ライダー系の怪人って全体的にウルトラマンと相性が悪かったりする。

 

『いや、どう考えても鬼だろ、お前』

 

「…失礼だな」

 

頭の中に響く声に突っ込みを返しつつ無言のまま研究所らしき施設の中で近場に有るカプセルにパンチを放ち、その中にある物を取り出す。

 

「…ガイアメモリか…」

 

『それが有るって事は、多分ダブルの戦った相手も生まれている筈だ』

 

無言のままにそれを握りつぶす。今まで次元世界を渡りながら、世界に誕生した歪みから誕生した敵と戦い続けていた。

 

それによってこれまでに分かった事は幾つか有る。

 

 

一つは、歪みから誕生した相手は元となった存在と同じ思考で行動すると同時に、互いを常に仲間・味方として理解しているらしく、潰しあう事は無く寧ろ互いに協力して行動する。

 

一つは、一部の上位の存在は下位の存在を従える事が出来る。これによって上位の相手は下位の存在を大量に従えている事になる。

 

一つは、ドーパントやヤミーの様にガイアメモリやセルメダル等を使って間接的に生み出された怪人達は世界を滅ぼす事を目的とせず、元々の存在と一切変わらない存在となる。

 

 

この三点にあと一つを付け加えて四点の事実に尽きるだろう。どれも厄介この上ない。敵同士が目的の違いから互いに潰しあう事も考えてはいたが、上の二つの理由から残念ながらそうはならなかった。

 

「…何て言うか、敵の行動が掴み難いな」

 

世界を支配するのではなく滅ぼす事が目的なのだが、元となった存在の思考の元に行動している為に余計に行動が掴みづらい。

 

『だが、オレ達は奴等を駆逐するしかない』

 

「…そうだな、この世界を守るためにも、な」

 

そして、彼、『天地 総矢』はダブルオーへと姿を変えて研究所を後にする。

 

向かうべきは大きな戦いの舞台…この世界の物語の主な舞台となり、それぞれの世界でも悪意より誕生した存在の元となった者達がそれぞれの目的の為に行動した地…『地球』。

 

「…急ごう、ガイアメモリの工場を潰すのに思ったよりも時間が掛かった。そろそろこの世界の物語が始まる。一応、この工場の事は知らせておいたしな」

 

……最後の一点、かつてヒーロー達と死闘を繰り広げた最上位に位置する存在、幹部クラスへと至れるのは、転生者を取り込んだ悪意だけと言う点だ。

過去に苦戦の中で倒した最上位の相手は一体限り、それでも比較的弱い固体を相手に誕生して直ぐに対処できたのだが…もう一度戦って勝てる自信は今も持っていない。実際、あの時の自分が勝てたのは奇跡に近いだろう。

 

転生者から最上級の存在が誕生する理由は異質さが生み出した、幹部クラスの存在を納める事の出来る魂の器にあるらしい。

 

「…急ごう、最上位が誕生しているかもしれない…」

 

ダブルオーは緑色の光の軌跡を残して飛び去っていく。

 

 

 

 

 

「キャア!」

 

その日、地球に住む少女と次元世界からの迷い人が出会った日、一人の白い魔法少女『高町 なのは』の運命が動き出した時、地球に落ちた21のロストロギア『ジュエルシード』の一つの思念体を封印した夜…本来の歴史ならば、現れるはずの無い相手が存在していた。

 

封印した事で油断が生まれたなのはへと襲い掛かる人型をした蝶を思わせる怪物、仮面ライダーオーズの戦った怪人であるヤミーの中の昆虫系ヤミー『アゲハヤミー』。

 

「ソレヲ…ワタセェー!!!」

 

「ねぇ、あれは何!?」

 

「分からない、あんな奴は…始めてみる」

 

明らかに彼女達の入手したジュエルシードを狙って襲い掛かるアゲハヤミー。そんなアゲハヤミーの攻撃はなのはの持つデバイス『レイジングハート』の張っている障壁によって阻まれているが、僅か小学三年生と言う年齢の彼女では、その衝撃に耐えられず簡単に吹飛ばされてしまう。

 

「ヨコセ」

 

何度目かのアゲハヤミーの攻撃に耐え切れずデバイスを手放してしまうなのはと、そんな彼女に迫るアゲハヤミー。

 

絶体絶命の彼女の上空で∞を描く様な緑の光が輝き、

 

「グワァ!!!」

 

「え?」

 

其処から放たれた緑色の光がアゲハヤミーを打ち抜きその体を後退させる。

 

「ガンダム、ダブルオー…目標を…」

 

上空で翼のように∞を描く緑の光を背負いながらダブルオーは両手の中にある武器『GNソードⅡ』をライフルモードからソードモードへと変形させ、

 

「駆逐する!!!」

 

アゲハヤミーへと切りかかる。

 

「ガァァァァァア!!!」

 

ダブルオーの斬撃と共に刻まれる×之字の傷跡と、そこから零れ落ちるセルメダル。

 

『セルメダル!? あいつは悪意が生み出したヤミーじゃない、グリードが生み出したヤミーだ』

 

(だとしたら、この世界でもう最上級…グリードが誕生しているって事に…)

 

『うん。多分、この世界で生まれたグリードは昆虫系グリードのウヴァの可能性が高い』

 

ダブルオーの姿になった総矢の頭の中に、アゲハヤミーの体から零れ落ちたセルメダルを見たオーズの声が響く。

今まで戦った悪意の中にはヤミーも存在していたが、そのヤミーはセルメダルを落とす事はなかった。其処から考えると、目の前に居るのはグリードが誕生させた固体である可能性が高い。

 

 

「凄い…」

 

ダブルオーの戦いを観戦する形となったなのははダブルオーの戦いを見て呆然と呟く。

 

「…あれは魔力光じゃない…。あれは質量兵器、なのか?」

 

一方、彼女の近くに居た白いフェレット、『ユーノ・スクライア』はダブルオーの使っている力が魔力ではない事に気付く。

 

 

アゲハヤミーの攻撃を両手にある二本のGNソードⅡで捌きながらダブルオーは緑色のGN粒子を撒き散らしながら地面を蹴って空中へと移る。アゲハヤミーもそんなダブルオーを追いかけて上空へと飛び上がるが、

 

「甘い!」

 

空中戦では能力的にダブルオーの方に分があった。空中のダブルオーはアゲハヤミーの羽を切り裂くと、そのまま地面に向かって蹴り落す。

 

「グワァ!!!」

 

ヨロヨロとした足取りで立ち上がるアゲハヤミーを、

 

「トドメだ!」

 

すれ違い様に十字に切り裂くと、ダブルオーによって切り裂かれたアゲハヤミーはそのままセルメダルとなって崩れ落ちていく。

 

(…どう思う?)

 

『ああ、思ったよりもこっちに来るのが遅すぎたようだな』

 

『うん、この分だと他にも最上級が誕生しているかもしれない』

 

GNソードⅡを腰に納めてアゲハヤミーだったセルメダルの山を一握りだけ手に取ると、この場を離れようとする。

 

「あ、あの」

 

「ん?」

 

先程アゲハヤミーに襲われていたなのはがそう言って頭を下げると、

 

「さっきはありがとうございました」

 

「…ああ…。気にするな、こいつは元々オレの敵だった…それだけだ」

 

そう言って何処からかサイレンの音が近づいている事に気づく。既にジュエルシードの思念体を封印したのだろうし、その後でのアゲハヤミーとの一戦だ。間違いなく誰かが警察に通報したのだろう。そう考えると思わず引き攣った表情を浮かべる。

 

「あ、あの、私、高町なのはって言います。ロボットさんの名前は…どうしたの?」

 

ロボットと言われた所で思わずずっこけてしまうダブルオーだが。

 

「…ロボット…って間違ってない気もするけど…。ダブルオー…ダブルオーガンダムだ」

 

取り敢えず、この姿での名前を名乗りながら、

 

「高町なのはと言ったか、パトカーが近づいてる。流石に事情が説明できないだろうから、急いで此処を離れた方が良い」

 

「ふぇ!?」

 

内心では、セルメダルを残していくのが不安だったが、流石に地球の警察組織に見付かるのは拙い。なのはに急いでこの場を離れる事を伝えて急いで飛び去っていく。

 


 
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