No.486808

IS-インフィニット・ストラトス-きゅー組物語 9

ロジーナ先生戦闘中でございます。

遅くなりまして、申し訳ありません。

追記。戦闘描写って難しいですね。

2012-09-21 17:16:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1263   閲覧ユーザー数:1230

しかし、見れば見るほど異様な光景だ。

 

「………おいおい、あれだけ偉そうな事言っといて自分のISは特別製かよ、センセーさんよぉ!」

 

ロジーナの機体は“XB-38 カーペンター・ビー(熊蜂)”。不良少女の使う量産機と比べて、大きさが二倍近くもある。さらに何故かコンテナを背負っているため、サイズの比率がとんでもない事になっている。

 

だが一般的なISのサイズとはかけ離れているこの機体は………

 

「確かにコイツは特別な機体だが、ビビる事は無ぇぞ問題児。コイツはなぁ、第一世代の機体だよ。」

 

そう。ロジーナの機体は“旧世代”の機体なのだ。

 

 

 

 

Side ロジーナ

 

目の前で、聞きわけの無いジャリガキが吠えている。

 

何でも、コイツが特別製でズルイとか………

 

 

けっ。笑わせてくれる。

 

アタシの機体は、間違いなく第一世代型だというのに。

 

 

コイツのコンセプトは長距離巡航、大搭載容量だ。

 

………ISは、現代最強の兵器と言われている。

確かにその通りだ。軍艦、航空機、戦闘車両、そして誘導兵器。どれもISの前では鉄屑だ。

 

 

………だが、それが戦争の総てではない。

 

ISに致命的に欠けているモノ………

 

戦略性である。

 

 

 

 

この“XB-38 カーペンター・ビー(熊蜂)”はIS同士の戦闘を想定しては居ない。

 

自軍の基地から、敵国の主要都市まで飛べる巡航距離。ICBM(大陸間弾道ミサイル)の弾頭を運んでなお余裕のあるペイロード。

 

IS登場以前のコンセプト、技術。それをつぎ込んだのがこの機体なのだ。あくまで兵器としての完成を、そして可能性を模索した機体。それが、コイツ………

 

だが、時代はそれを許さなかった。ISに兵器としてではなく、あくまで個人の武装としてその性能が求められたこの時代………

 

 

そう、よりコンパクトに技術を詰め込む第二世代や第三世代とは違うのだ。

 

 

そんなコイツは元々米軍の機体だったが、どういうわけかこの学園の保管庫で埃を被っていた。

………元居た組織に不要の烙印を押された存在。春告や私にお似合いの機体。一目で気に入って、使わせてもらえるように学園に(春告が)お願いした。いやぁ、苦労したなぁ。(春告が)

 

 

 

時代遅れの推進機構(ガスタービン)が、ISの物とは思えない爆音を発する。

この機体の名前の由来だ。

 

 

「さて、始めるかねぇ。やんちゃな生徒にお灸を据えなくちゃなぁ!!!」

 

 

 

ビィッ

 

Side 春告

 

試合開始のブザーと共に、両者が動き出す。

ロジーナの機体が横に滑るように動いて、不良少女のアサルトライフルを躱す。不良の方は射撃と同時に上昇し、上を取ろうとする。教科書通りの動きだ。

 

だが、ロジーナはそれを許さない。

両腕のアンカーワイヤーの内、まず右の一本を相手に向けて射出する。これは、難なくよけられてしまう。だが続けて射出した二本目、これは直撃コースだ。

 

バシッ!

不良少女はライフルを盾にして、直撃を避けた。

 

「くそっ!」

盾となったライフルは、マガジン付近にアンカーが刺さり使い物にならなくなる。

不良少女はライフルを捨て、新たに武装を呼び出す。

彼女の右手には、ショートバレルのショットガン。左手には格闘用のブレード。

 

「………何というか。」

それを見たアルセリアがぽつりと呟く。

「見るからに、近距離大好きな装備だなぁ。」

恐らく後に続くであろう言葉を、俺が引き継いだ。

 

 

 

ロジーナの装備は、中遠距離戦には全く役に立たないものばかり。最初にライフルを破壊出来たのも、相手の残りの武装が近距離向きの物ばかりだったのもロジーナにとっては幸運な出来事。

 

「どうしたジャリガキ、さっきの威勢はどうしたよ?」

 

「黙れよ、クソババァ!!」

 

「バッ!?!?………よぅし、よおぉぉぉぉっく分かった!!お前は、地獄のお仕置きコース確定だ!!!足腰立たんようにしちゃる!!!」

 

お互いが沸点に到達した所で、両者は再度動き出す。

不良少女が一気にスピードを上げ、上からブレードで襲いかかる。それをサイドステップで躱すロジーナ。

すれ違いざまに、不良がショットガンを構え至近距離で発砲。コンテナを盾にして銃弾の嵐を防ぐロジーナ。哀れコンテナは、一度も本来の役目を果たすことなく穴だらけになった。

 

 

 

「………コンテナって、幾らしたっけ。」

いや、そこまで高くは無かったと思うんだけど………。装備破損の報告と、再発注の書類提出をしなくちゃならなくなった。頼むからこれ以上装備を壊さないでくれよ………

 

 

そんな心配を余所に、戦いは続いていった。

 

 

 

両者のシールドエネルギーが程良く削れていった。散弾が掠めたり、素手でどつかれたり。

優雅さの欠片もない泥臭い戦いだ。

 

………少し気になるのはロジーナの様子だ。途中から相手の挑発に対する反応が無くなっている。

 

 

 

 

約十分間が過ぎた辺りでロジーナが此方に声をかける。

 

「アルセリア………」

 

そう言うと、ロジーナはアンカーを再度射出した。コンテナに向けて。

 

「しっかり見てなよ。お前達が扱うISってのが………」

 

そしてロジーナは大きく後退、同時に最大スピードでアンカーを巻き戻す。

 

「ちぃっ!小細工を!!!って、うおっ!」

 

悪態をつきながら上方へ回避を図る不良生徒だったが、ロジーナが腕を振る事でコンテナが彼女を追いかける。何とか避ける事に成功したものの、大きくバランスを崩してしまう。

 

その体勢を立て直す隙を狙い、ロジーナはもう一本のアンカーを射出。

 

ガキッ!

 

という音と共に、相手の足に絡みつくアンカー。

 

「どんな代物なのかをなぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

それからの試合は見て居られなかった。

アンカーに捕まった不良少女を、ハンマーの様に振り回すロジーナ。地面やアリーナの防御シールドに叩きつけられ、思いっきり振り回された事で強大なGがかかる。

 

ISのシールドエネルギーも操縦者もぼろぼろだ。

というか不良少女はGに耐えられず気絶した模様で、戦闘不能の表示とブザーが試合の終了を告げる。

それでも嗜虐的な笑みを浮かべたまま、止める気配のないバーサークロジーナ。

 

「ちょ!!ロジーナ!ストップストップ!!!」

 

俺からの制止の声で、やっと動きを止めたのだった。

 


 
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