No.485817

魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)--22 力への切望--

ケイさん

再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。ホテルでの戦闘で、ミスショットをしたティアナ。その失敗を繰り返さないよう練習をするティアナに対して刹那は……。魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。

2012-09-18 21:58:40 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10806   閲覧ユーザー数:9977

本編10話目。

--力への切望--

 

『出現したガジェットは全て撃破しましたが、召喚士の存在は確認できませんでした』

『トレースもしましたが、振り切られました』

会場内で通信回線を開いてやり取りするわけにはいかないため、はやてはオークション会場から出て、廊下でロングアーチからの報告を聞いていた。

「そっか……。まぁ、オークションは無事に始まったし、参加者への被害がなかったから、今回のところは及第点かなー」

『引き続き、ホテル周辺の警戒を行います』

「うん。よろしく」

『はい』

通信を終えて、はやてが一息つくと一人の男性が近づいた。

「はやて」

「……ロッサ?」

「やあ。久しぶりだね」

白いスーツを着た、長い緑の髪の男性が軽く手を挙げた。

「そうやね。ていうか、珍しいなー。ロッサがこないな場所におるなんて」

「仕事だよ。そういうはやては? おめかししちゃってどうしたのさ?」

「私もお仕事。オークション会場の警備や。会場に入るにはドレスが必要やったから……ね」

「そうか。とっても素敵じゃないか」

「ありがとー。お世辞でも嬉しいよ」

「僕は本当のことを言ったまでだけど?」

「ホンマかー?」

「本当だとも」

ロッサと呼ばれる男性が微笑んだ。

「まぁ、素直に褒め言葉として受取っておくわー。で、ロッサは?」

「要人警護ってところかな」

「ロッサが要人警護? てか、警護ならその人の傍におらなあかんやろ」

はやてにそう言われると、男性は会場の扉に視線を移す。

「今は、会場内だよ。出品される古代遺失物(ロストロギア)の説明を行っているよ」

「へぇ~」

「因みに、はやても知っている人だよ」

「ホンマ?」

「うん。……おや?」

「?」

男性の視線がはやての後方を見つめていたため、はやても体を少し動かして自分の後ろを見た。

廊下の奥から歩を進めてくるのは、茶色の制服を着た黒髪の男性。

機動六課の民間協力者、刹那・F・セイエイである。

「どうやら、はやてに用事かな?」

その言葉に、はやてが刹那に体を向ける。

「取り込み中なら後で報告するが?」

「平気や。丁度いい機会やから紹介しておくな」

はやてがそこまで言うと、後に控えていた男性がはやての横に並んだ。

「僕はヴェロッサ・アコース。よろしく」

ヴェロッサが刹那に右手を差し出した。

少しの間を置いて刹那は握手に応じた。

「俺は……」

「刹那・F・セイエイ……だよね?」

「……」

「そんなに睨まないで欲しいな。君のことは、はやてやクロノ君から少し聞いている程度だよ」

「クロノ?」

「ロッサはクロノ君と友達なんよ」

「それで俺のことを知っていた……と?」

「そう。クロノ君は六課の後見人筆頭だし、はやては妹の様なものだ。自然と耳に入ってくるんだ」

ヴェロッサが微笑む。

「ロッサの妹ね~?」

「あれ? 不満かい?」

「カリムの妹っていうのはええけど、ロッサは……な~?」

「ひどいな~」

はやてとヴェロッサのやり取りを見ていた刹那が態度を和らげた。

「おっと。はやてに用があってここに来たんだよね?」

「ああ。まぁ、警備ついでに姿が見えたから話しておこうと思っただけだがな」

「だそうだよ?」

「ロッサに聞かれても問題はないし……どうぞ」

はやてに促された刹那が肯いた。

「既にシャリオ達から報告を受けていると思うが、ガジェットは全機撃破した」

「うん。ついさっき報告を受けたところや」

「ホテル自体への被害はない。多少、木々や道路に被害は出たが、戦闘である以上これは仕方がないだろう」

「そうやね」

「それから、これは関係あるか分からないが……」

「?」

「裏手の駐車場に停めてあったトラックの荷台が荒らされていたそうだ」

「トラック?」

「警備員に気づかれずにトラックに接近し、荷台に積まれていた何かを奪った。並の人間には出来ないことだ」

「……刹那君はその情報をどこから?」

「ホテル側の警備員に聞いた」

「そっか……」

はやてが口元に軽く手を当てて思案した。

「持ち場を離れた俺のミスだ。すまん」

「え? そないなことは……」

「もう少し聞いておくつもりだが……」

「その件については刹那君の判断にお任せするわ」

「了解した。次の指示があるまで警戒を続ける」

「うん」

「ではな」

刹那が踵を返し、はやての元を立ち去った。

その背中にはやてが軽く手を振り見送った。

「なるほどね……」

「ん?」

ヴェロッサが顎に手を当てて呟いた。

「はやてやクロノ君が彼に期待するのもわかる気がするよ」

「あんまり刹那君に期待するのも悪いんやけどね」

「そうなのかい?」

「うん。詳しいことは話せないのが心苦しいところやけど……」

「構わないよ」

刹那が去った方向を二人は暫く見つめていた。

 

ホテルから出た刹那は六課へ通信を行っていた。

「ロングアーチ聞こえるか」

『はい。刹那さん』

「シャリオか。すまないが、少し頼まれてくれ」

『はい。なんでしょう』

「召喚士が魔法を発動させた地点を教えてくれ」

『発動地点ですか?』

「ああ。正確には、最初に計測した地点だな」

『少し待ってください。今、データを送ります』

「ああ」

《マスター。どうされるのですか?》

「別に、ただ見に行くだけだ」

『今、エクシアにデータを送りました』

《受領しました》

「よし。助かったシャリオ」

『いえ』

シャーリーとの通信を終えて目的の場所へ歩き出した。

 

「ホテルからだいぶ離れた場所だな」

《そうですね》

「計測地点はこの辺りか……」

特に変わったところは見当たらないか……。

「ん?」

刹那が片膝をついて地面を凝視した。

僅かにだが、地面が窪んでいる。

形からして獣ではない。

人間……しかも小さい。

小柄か……子供か。

後者は考えたくないが……。

「エクシア。これを撮影できるか?」

《可能です》

「頼む」

《了解しました。……撮影終了》

「足の向きからして……あっちか」

立ち上がり、地面を見ながらゆっくりと歩を進める。

足跡を見つけた場所から少し離れたところに、もう一つ足跡を見つけた刹那は再び片膝をついた。

「こっちは大きいな。エクシア」

《はい》

他に足跡は見当たらない。

最低でも二人一組。

大人と子供の可能性が高い。

《終了しました》

「よし。ホテルに戻る」

《はい》

 

「刹那!」

「フェイト。オークションは終わったのか?」

ホテルの近くまで戻って来た刹那に声をかけたのは、制服に着替えたフェイトだった。

「うん、無事にね。刹那はどこに行っていたの?」

「少しホテルから離れた場所を見て来た」

「そう? これから現場検証なんだけど……」

「問題ない。付き合おう」

「うん! それじゃあ……」

「フェイトちゃん! 刹那君!」

フェイトが刹那に頼む前に声をかける人物がいた。

「なのは」

フェイトと同じく、陸士隊の制服に着替えたなのはだ。

その横には眼鏡をかけた男性が並んでいる。

なのはが刹那とフェイトの元へ来ると、男性が真っ先に刹那に挨拶をした。

「お久しぶりです。刹那さん」

「……もしかして、ユーノ。ユーノ・スクライアか?」

「はい!」

「……大きくなったな。俺とそれほど変わらない」

「まぁ、十年も経ちましたし」

ユーノが苦笑した。

ユーノ・スクライア。

なのはが魔法に出会うきっかけを作った人物。

当初は自分の所為でなのはを巻き込んだという自責にかられていたが、なのは達と共にジュエルシード事件を終結へ導いたことで、その思いは断ち切られた。

「無限書庫で仕事をしているのではないのか?」

「今日は、オークションに出品される古代遺失物(ロストロギア)の説明に呼ばれたんです。一応、考古学者でもありますから」

ユーノが後頭部を掻きながら照れ笑いをした。

「そうか……」

「あ、エクシアも久しぶり」

《どうも、ユーノさん。お元気そうでなりよりです》

「うん」

エクシアの言葉にユーノが肯いた。

「この4人で集まると……懐かしいね」

「そうだね。アルフも居れば……」

なのはとフェイトが昔を懐かしむ様に目を閉じた。

僅かな時間であっても共に居た日々。

それは、刹那の中にも確かにある。

だが、今は……。

「ユーノ」

「はい?」

「仕事の話で悪いが、質問させてくれ」

刹那がユーノを真正面から見据える。

刹那の表情にユーノもいくらか緊張した面持ちで答えた。

「何ですか?」

「管理局が保管する古代遺失物(ロストロギア)を持ち出すことは、局員であれば誰でも可能か?」

「「!?」」

刹那の言葉になのはとフェイトが目を見開いた。

「どうだ?」

「私見ですが、おそらく不可能です。局で保管される古代遺失物(ロストロギア)の殆どが持ち出し厳禁の物です」

「殆どということは絶対ではないのだな?」

「はい。ですが、持ち出すにしても目的や所属、氏名等の明示や審査がありますから……」

「そうか……」

「刹那。もしかして……」

「ガジェットの内部から発見されたジュエルシード」

「刹那君は管理局を疑っているの?」

「……」

なのはの質問に刹那は沈黙を持って答えた。

「調査したけど、あのジュエルシードは地方へ貸出中だった。それが、奪われたって……」

「そうなのか?」

「うん。だから、誰かがジュエルシードを持ち出して、スカリエッティに渡しとは考え難いよ」

「……分かった。すまなかったな、ユーノ」

「いえ」

「なのはとフェイトも」

「ううん」

「刹那さん。僕は仕事がありますから、今日は失礼しますね」

「ああ。何かあったら力を借りるかもしれない」

「その時は、最優先で取りかからせてもらいますよ」

刹那と握手を交わし、ユーノとなのはは去って行った。

「……」

「刹那?」

「現場検証だったな」

「あ、うん」

「始めよう。俺は何をすればいい?」

「えっと……」

フェイトの指示の元で刹那は現場検証を行った。

破壊されたガジェットを検分しながら刹那は考えていた。

先程、フェイトは管理局とスカリエッティの繋がりはないと言っていたが、刹那は自分の考えを捨ててはいなかった。

ジュエルシードが奪われたのは本当に偶然だったのか?

フェイト達は局員だ。

自分が所属する組織のことは信じたいだろう。

ならば自分は逆の観点から考える。

ジュエルシードの貸出が事実だとしても都合良く奪えるものなのか?

スカリエッティの情報収集能力がどれほどのものかは分からないが、貸出の日や場所まで正確に知り得るのは難しいはず。

もう一つは、必ず護衛もしくは警備があったはず。

ジュエルシードを奪取するとなると戦闘が考えられる。

もし、戦闘になりジュエルシードが奪われたとなれば局内で騒ぎになるはず。

しかし、フェイトが調査をするまで分からなかった。

隠蔽も考えられるが、そうでないなら護衛や警備の目を掻い潜って密かに奪取したとなれば、日時や場所をリークした者がいると考えられる。

「やはり、完全には払拭できないな」

 

「トラックの荷台から奪われた物は、オークションとは関係ない密輸品だった。被害届を出したことが持ち主にとっては裏目になったな。品は盗まれ管理局からは取り調べ。まぁ、同情の余地はないが」

「そっか……」

隊舎へ戻った刹那は、部隊長室へ隊長副隊長を集めて自分が集めた情報を報告していた。

「品物については取り調べが進めば判明するだろう」

「うん。ありがとう」

「……」

「刹那さん、どうかしたんですかぁ?」

黙ってしまった刹那に、はやての傍に居たリインフォースが尋ねた。

「もう一つ報告がある。エクシア、アレを出してくれ」

《はい》

刹那の言葉を受けて、エクシアが画像を出す。

「なんだこれ?」

「地面……だよね?」

ヴィータとなのはが首を傾げた。

「セイエイ?」

シグナムが説明を求めるように、刹那に視線を移した。

「よく見てくれ」

刹那の言葉に、はやて、なのは、フェイト、ヴィータ、シグナム、リインフォースが画像を凝視する。

「わかんねぇ……ただの地面にしか見えねぇ」

「同じくですぅ」

ヴィータとリインフォースが手を挙げ、他の者も同じような感じだった。

「ここだ」

刹那が画像の一点を指差した。

「……少し窪んでる?」

刹那が指し示した箇所を凝視したフェイトが呟いた。

「形をよく見ろ」

再びフェイトが凝視する。

「……足跡」

「そうだ。形からして人間。大きさからして小柄だ。もう一つは大柄……おそらく成人」

「この足跡がどうかしたのか?」

画像については分かったが、何故この画像を見せたのか。

その真意が見えないため、シグナムが再び刹那に説明を求めた。

「この足跡は召喚士の魔力を計測した地点で見つけたものだ」

「え?」

「本当に!?」

なのはとフェイトが声を上げた。

「ああ。シャリオに計測地点を教えてもらい、直接その場所に行ってきた」

刹那以外が唖然としている中で、刹那は説明を続けた。

「どちらの足跡が召喚士のものかは判断できないが、最低でも相手は二人一組。いや、三人一組かもしれないな」

「ど、どうして?」

「相手の召喚士がどんなヤツかは分からないが、キャロと同じだと仮定した場合。召喚士は接近戦に弱い。護衛が必要になる。そして、荷台から密輸品を奪った人物。これが最低でも考えられる組み合わせ」

「召喚士に護衛が必要なのは分かるとしても、盗みを働いた人間が召喚士と同じ一味とは限らないんじゃねぇのか? もう一つ言うなら、この足跡が召喚士のものとは限らねぇ」

刹那の説明にヴィータが疑問をぶつけた。

「ヴィータの言うことは尤もだ。だが、密輸品の強奪が偶然と考えるよりもガジェットで引きつけている間にもう一人が盗む。この考え方が説明がつく。次の疑問については、近隣に民家はない。猟狩も考えたが、あの付近に獣は滅多に出ないそうだ。何より、足跡がまだ新しかった」

「何故、そう言い切れる」

断言した刹那に、今度はシグナムが声を上げた。

「昨日、あの付近は少量だが雨が降った」

「は?」

「数分程度の小雨だったそうだ。地面は若干だが湿っていた。だからこそ足跡は残ったし、召喚士のものと判断した」

刹那の説明にその場の者達が全員唖然とした。

正体は分からないにしても、刹那は独りで現場へ赴き情報を得てきた。

しかも、本当に注意しなければ分からないほどの足跡。

その足跡の形状と大きさから人間と組み合わせまで予測した。

誰もが思った。

刹那の凄さは、こういうところにあるのかもしれない。

「報告は以上だ」

「あ、うん。何か新しいことが分かったら教えてなー」

我に返ったはやてが頷いた。

「ああ。では、俺は部屋に戻る」

「ちょっと待った」

隊長室を出ようとした刹那をヴィータが呼び止めた。

「どうせだから、お前も同席してくれ」

「?」

「ティアナのことさ」

「ああ」と刹那が呟いてから、再び部屋の中央へ戻った。

「……なのは。ティアナには……」

「今日のことなら少し話をしたよ。ヴィータちゃんも注意したし、私から言ったのは無茶をしない約束」

「そうか……」

 

隊長室を出た刹那は、屋上の手摺に寄りかかって空を見上げていた。

既に日は傾き、空は茜色に染まっていた。

屋上から何気に見下ろした時、一人の人間が目に映った。

「あれは……ティアナか?」

《そのようですね》

クロスミラージュを構えて、光の球を出現させる。

右足を軸足としてそれを動かさずに様々な体勢で光の球へ向ける。

なのはの教導。

射撃型は動かずに視野を広く持ち、その場で状況に応じた弾丸の選択。

その教えを反復している。

「今日の失敗を繰り返さないための自主訓練か? しかし、前線メンバーは休息を言い渡されたはず」

《仕方ありませんよ。誰だって失敗はしたくないものです。ましてや、ティアナさんは前線で戦う者。失敗は敗北……悪ければ死に繋がります。それが、自分のミスショットとなれば、二度と繰り返したくはないでしょう》

エクシアの言う事は尤もだ。

屋上から訓練を見ていた刹那だったが、暫くしてその場を去った。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

夕方から始めたティアナの自主訓練は既に夜になっていた。

疲労により全身から力が抜けて、今にも倒れそうな感じだった。

それでも訓練を再開しようとするが、ティアナに声をかける人物によって阻まれた。

「そのくらいにしておいたらどうだ?」

「ヴァイス陸曹」

「精密射撃は反復練習が一番効果的かもしれねぇが、疲労困憊状態でやると逆に体に悪いぜ。下手な癖がつくかもしれねぇしよ」

近場の木に背中を預けて続けるヴァイス。

その言葉にティアナが少し表情を強張らせた。

ヘリパイロットに前線で戦う者の何が分かるのかといったような感じだった。

「ふぅ……。俺はなのはさん達とはわりと古い付き合いでよ。ちぃーとばっかし、教導の話を聞くこともあるんだよ」

ティアナの心を読んだかのように、ヴァイスが肩を竦めて答えた。

そのヴァイスに背を向けて、ティアナは再び光の球を出す。

「ありがとうございます。でも、無理してでも練習しないと上手くならないんです」

「そうかい。まぁ、止める気はねぇよ」

ヴァイスがその場を立ち去ろうとしたが振り返った。

「そうそう。これな……」

「?」

ヴァイスの言葉に今度はティアナが振り返った。

「幾ら何でも水分補給は必要だぜ」

そう言うと、ペットボトルを2本地面に置いた。

「置いておくぜ」

「……ありがとうございます」

一瞬の間の後、ティアナが素直に礼を言った。

「じゃあな」

軽く手を挙げて、ヴァイスはその場を去った。

 

「どうだ?」

「ありゃあ駄目だな。今は何を言っても聞きゃあしないと思うぜ」

「そうか」

「てかよ。心配なら自分で言いに行ったらどうだ?」

「……暫くしたら、俺も声をかけてみる」

「……俺は隊舎へ戻るぜ」

「ああ」

「任せたぜ。刹那」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

ヴァイス陸曹が持って来てくれたミネラルウォーターは既に1本飲み干してしまい、もう1本も残り僅か。

それを一気に飲み干して口元を拭う。

今は何時だろう。

どれくらい練習をしていたかな。

正直、そろそろ体力の限界。

まだまだ練習が足らないけど、今日は切り上げた方がいいかな。

「もう体力も限界だろう。今日はやめておけ」

声のする方を向くと、暗闇から刹那さんが現れた。

「刹那さん」

「前線メンバーは休息の指示が出ていたはずだ。意気込みは買うが、休める時に休むことも重要なことだ」

この人は……どうしてそんなことを言うんだろう。

六課の前線で戦っていると言っても民間協力者。

まるで六課へ来る前にも戦闘経験があるかの様な口ぶり。

「私はキャロの様なレアスキルは持っていませんし、スバルやエリオほどの才能もありまん。刹那さんや隊長達の様に強くありません。凡人の私は人一倍。いえ、それ以上の練習をしなきゃいけないんです」

「俺は強くなどない」

「……それ、嫌味にしか聞こえません」

「どういうことだ?」

「刹那さんは隊長達と互角に戦えるほどの実力を持っているんですよ? さらに、自身の力を上げるスキルも持ってる。 それなのに、強くないって……弱い人間からしてみれば、謙虚ではなく嫌味にしか聞こえません!」

「……」

しまった。

思わず感情的になった。

「お前は強くなりたいのか?」

怒ったのかと思ったけど、刹那さんの口調は驚くほど落ち着いていた。

「……はい」

「今のお前は、強くなるというよりも力を求めているように見えるな」

「え?」

「俺も強くなりたかった。正確にはガンダム(ちから)を求めた。歪んだ現実を断ち切る力を……」

そこまで言って、刹那さんは夜空を見上げた。

そういえば、刹那さんは空を見上げることが多い。

「何を……」

「今日はもう休め。その状態で出動命令が出ても、まともに動けないぞ」

「……分かりました」

刹那さんは何が言いたかったのか、分からなかった。

でも、今は気にしていられない。

少しでも多く練習して、強くならなくちゃいけない。

 

翌日、刹那は日課の筋トレとシャワーを済ませた後、外を見回ると案の定ティアナが早朝訓練を始めるよりも前に自主訓練を行っていた。

思ったとおりだったが、予想外でもあった。

ティアナの自主訓練にスバルも加わっていたことだった。

早朝訓練よりも早い時間から自主訓練を行い、その後は通常のなのはの教導。

夜も遅くまで自主訓練を行う。

正直、かなり無理な訓練量だ。

まともに休めていない可能性がある。

それに……。

多少強引でも引き止めるべきだった。

そう思ったが、時は既に遅かった。

読了おつかれさまでした。

そして、更新が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。

アニメ本編で言う、ホテル・アグスタ(7話)~たいせつなこと(9話)は、序盤での重要ポイントだと思っています。

よって、ここの話をどう書いていくか非常に悩んでいます。

まず、刹那をどれだけティアナと絡ませるかですよね。

薄すぎるとこの小説を書いている意味がない。

深すぎると刹那(2nd)というキャラから離れてしまう気がする。

とはいえ、この小説の刹那は離れ過ぎている気がしますが(--;

ちょこちょこ修正するかもしれません。

それでは、また次回に。

 

ところで、おまけで書いた「新生CB」。

読んだ方は分かると思いますが、ベースがリリなのForceなんですよね。

ダグに追加するか、別に作った方がいいですかね?


 
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