No.479135 魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)--21 涙--2012-09-03 00:25:33 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:12096 閲覧ユーザー数:11164 |
本編九話目。
--涙--
「本日の任務を確認するですぅ」
リインフォース
「骨董品オークション会場となるホテル・アグスタ」
「オークション出品物の中に取引許可の出ている
なのはとフェイトが交互に説明を始める。
「レクッリ以外の
2人の説明に刹那が単純な疑問を口にした。
「正確な事は分からないけど、レリックの発する波動みたいなものに似たものに反応するみたい」
「そうか……」
「それからもう一つ。ガジェットの製造者について報告しておくなー」
はやてがホテルの画像から一人の男性へと切り替える。
「名は、ジェイル・スカリエッティ。広域指名手配されている次元犯罪者」
「彼についての捜査はフェイトさんが行いますけど、一応みんなも覚えておいてくださいね」
「「はい」」
はやてとリインフォースの説明に
「あれ?」
「どうしたの? キャロ」
一通り説明を終えたところで、キャロが小さく声を上げた。
「いえ。その……刹那さん」
「なんだ?」
「宝石――エクシアの色が少し変わったような……」
気のせいかなと、キャロが首を傾げた。
キャロの言ったとおり、エクシアは海鳴へ行く前に比べて色彩が少し明るくなり、光に反射する輝きが増していた。
《マスターにメンテナンスしてもらったお蔭だと思います》
「メンテナンスですか?」
「六課が始まってからまともに見ていなかったからな。海鳴から帰って来てからメンテナンスを行った」
実際には強化作業を行った為だが、それはまだ誰にも打ち明けていない。
唯一知っているとすれば、シャーリーだけだ。
「それはそうと、シャマル」
「あら、なーに?」
刹那の右隣に座っていたシャマルに刹那が話かけた。
「足元にあるその大きなケースは何だ?」
「あ、これ?」
シャマルが足元にあるケースに一度視線を落とす。
「隊長たちのお仕事着よ」
刹那に視線を戻して、シャマルが微笑んだ。
ホテルの屋上にヘリを停めて、ホテル内へ向かう。
前日から警備に入っているヴィータとシグナム、他の隊員達と一旦合流するためロビーに集まった。
はやて、なのは、フェイトの隊長陣は会場内の警備のため、更衣室でドレスに着替えた。
「はやてちゃん素敵ですぅ」
「ありがとうなー。リイン」
髪を纏め上げ、左右の耳には金色の十字架のピアス。
白と水色を基調としたドレスを身に纏ったはやてに、リインフォースが感嘆の声を漏らした。
「なのはさんとフェイトさんも素敵です!」
「ありがとう」
スバルの言葉になのはとフェイトが微笑む。
なのはは、サイドポニーテールを解いて髪を下ろし、赤とピンクを基調のドレス。
首元には真珠のネックレス。
フェイトも普段の黒いリボンを外して、紫を基調としたドレス。
首元にはアクアマリンの宝石。
はやて、なのは、フェイト。
管理局内外でも人気のある美女達。
そのドレス姿を見れば、きっと誰もが絶賛するだろう。
その場に居るはずの人物が一人いないのだ。
「あれ? 刹那は?」
「刹那さんなら先程外に出て行かれました」
「え?」
フェイトの疑問にエリオが答えた。
「何でも周辺を少し見ておきたいと」
「そ、そう……」
「あ、あははは……。刹那君は仕事熱心だね」
ティアナの言葉にフェイトとなのはがガックリと肩を落とした。
「あの……?」
「あー、心配あらへんよ。2人とも刹那君に感想を言ってもいたかっただけやもんな~?」
「にゃ!?」
「違っ!」
はやての言葉になのはとフェイトが真っ赤になった。
「フフ。2人ともかわええな~」
「「うう」」
「刹那君には後で見てもらうとして、今はお仕事や」
「「はい……」」
やや気落ちしているものの、なのはとフェイトが、まずは仕事と気持ちを切り替える。
「私達3人は会場に入るから((FWフォワード|))4人は副隊長の指示に従ってね」
「「はい!」」
「それじゃあ、よろしくなー」
「はい」
シグナムの返事を受けて、隊長陣3人は受付へ向かった。
「さて、アタシ達も警備につくぞ」
「シャマルとリインは屋上に上がって全体監視を。エリオとキャロ、ザフィーラは私と一緒に」
「スバルとティアナはアタシと一緒に警備だ」
「「はい!」」
ホテルの正面は送迎用の車両等の出入りが多いため、道が整備され開けている。
遮蔽物が少ないが、視界が広く持てある意味戦い易い。
いざとなれば、近場の木々を盾にすることが出来る。
だが、それ以外の場所は割と森が近い。
裏手に関して言えば、大概の建物が荷物の搬入口の位置にあたる。
出品物を搬送する車両もこの裏手に来る。
森も近くセンサー系を騙せればここが一番危うい場所となる。
『セイエイ、聞こえるか。私だ』
「シグナムか」
『今、どこに居る?』
「ホテルの裏手搬入口だ」
『そうか。そのまま、そこの警備を任せてもいいか?』
「構わない。他のヤツらは?」
『シャマルとリインは屋上から全体監視をしている。スターズは外を警備。ライトニングとザフィーラは会場以外の屋内警備だ』
「了解」
『ではな。ああ、言い忘れていた』
「なんだ?」
『後で、高町とテスタロッサのところに行ってやれ』
「?」
『ではな』
シグナムとの通信終えた後、刹那は首を捻った。
《マスター。シグナムさんの言うとおり、任務が終わる前になのはさんとフェイトさんに会った方がいいですよ?》
「何故だ?」
シグナムとエクシアの言っている意味がわからない。
《何故って、マスターはお二人が着替え終わる前に外に出てしまったじゃないですか》
「それがどう関係している?」
《……》
刹那の言葉に流石のエクシアも黙ってしまった。
「お前も時々変な事を言う。なのは達の影響を受けたか?」
戻ったらAIのチェックをした方がいいかもしれないな、と刹那はわりと本気で考えた。
『今日はザフィーラも居るし、出張任務の時よりも戦力が多いね』
「そうね」
ヴィータの指示に従い、ティアナはホテルの側面を警備しながらスバルと念話を行っていた。
『何があっても絶対大丈夫な気がするね』
「アンタは六課のことどう思う?」
『六課? 私はいい部隊だと思うよ』
「そういう意味じゃないわよ」
『?』
「いいわ。忘れて」
『う、うん』
「警備を続けるから一旦切るわよ」
『うん。また後でね』
「ええ」
機動六課は戦力が異常。
ニアSが2人。
シャマル先生やリイン曹長だっておそらくはAランク以上。
そして、刹那さん。
リミッター付きとはいえ、シグナム副隊長から一本取る程の実力。
おまけに、六課が始まる前……リミッターが付加されていないなのはさんとフェイトさんとも模擬戦をして互角に渡り合ったとか。
隊長陣の信頼も厚く、前線では独自行動が許されているし作戦指揮も取れる。
「どうして、民間協力者なのかしら。それほどの人なら管理局が放っておかない筈。何か理由があるのかしら……」
考えても仕方ないわね。
人のことより自分のこと。
六課がエリート部隊だってことは入る前から覚悟していたけど、現実を突き付けられると結構堪える。
隊長、副隊長は実力者揃い。
エリオとキャロは既に私と同じBランクを取得済み。
スバルは潜在能力が高く成長速度が速い。
私は……。
入隊時に比べれば、確かに成長はしたと思う。
でも、スバル達ほどじゃない。
訓練内容も基礎の繰り返し。
次のステップに進んでいない。
やっぱり、私には無理なのかな……。
そこで、何度も頭を振る。
「私は……強くならくちゃいけない。まだ、諦めるわけには……いかない」
ホテルの裏手で警備をしていると、ロングアーチから全体通信が入った。
『ガジェット反応あり、Ⅰ型とⅢ型が多数接近してきます』
「来たか」
『正面及び山側、裏手の三方向からです』
『シグナムとヴィータは前に出て正面のガジェットを。ザフィーラは山側。刹那君は裏手をお願い』
「了解」
『刹那さん。私達もそちらに!』
「いや。お前達はホテル正面でそのまま待機していてくれ。いざという時のためにな」
シャマルの指示に了承した時、ティアナがこちらのサポートに入ると言い出した。
『でも!』
「今回の任務は会場と参加者へ被害が及ばない様にすること」
『だから、前に出て全て破壊すれば……』
「破壊出来ずにガジェットがホテルを攻撃したら?」
『それは……』
「シグナム達は強い。シャマルやザフィーラも。だが、絶対ではない。眼前の敵が全てではないこともある」
『それは、どういう意味ですか?』
《マスター。ガジェットが向かって来ます》
「時間がない。通信を切るぞ。最終防衛と予測外の対応もお前達の仕事だ。行くぞ、エクシア」
《強化後の初戦闘ですね。如何なさいますか?》
「スカリエッティが後ろにいるのであれば、この状況を見ているはずだ。今までどおりで行く」
《了解しました。セット・アップ》
光に包まれ、エクシアの鎧を身に纏う。
「エクシア、刹那・F・セイエイ。迎撃行動に入る」
シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、刹那がホテルに接近するガジェットを破壊する様子を見ている者達がいた。
一人は長身の男性。
頬はやや痩せこけているが、大きな体格と左腕の金属の手甲が戦士ということを物語っている。
もう一人は少女。
薄い紫の髪と赤い瞳が特徴的であり、フードを深く被っていた。
親子には見えないこの2人が、何故ここで戦闘を見ているのかは定かではないが、そんな2人の目の前に空間モニターが展開される。
『ごきげんよう』
白衣を着た男――ジェイル・スカリエッティ。
「何か用か?」
男がスカリエッティを睨みながら応じた。
『そう邪険にしないでくれたまえ。実は、少し頼みたいことがあるんだ』
「……頼み?」
少女が呟いた。
『実験材料として使えそうな物があそこにあるんだ。協力して欲しい』
「断る」
男が即答した。
「レリック以外の事では互いに不可侵の筈だ」
『ふむ。……君はどうかな? ルーテシア』
「いいよ」
ルーテシアと呼ばれた少女が小さく答えた。
『ありがとう。君のデバイスにデータを送ったよ』
「ん」
『では、失礼するよ。騎士ゼスト。ルーテシア』
挨拶が済むと、空間モニターが2人の前から消える。
少女――ルーテシアがフード付きのコートを脱ぐと、ゼストと呼ばれた男性がコートを受け取った。
「いいのか?」
「うん」
ゼストから少し離れると、手袋の宝石が光りルーテシアの足元に魔法陣が出現する。
「インゼクト・ズーク」
魔法陣から触手のようなものが三つ現れ、それを破っていつくもの【虫】が飛んで行く。
「遠隔転送……」
木々とGNシールドを使い分けて、ガジェットの攻撃を防ぎながら、刹那はガジェットを破壊していた。
「ふっ……」
GNソードを袈裟斬りに振って、ガジェットⅢ型を切り裂く。
直後、ライフルモードへ切り替えて右から接近してきた2機のガジェットⅠ型に発射する。
しかし、この攻撃をガジェットが避けた。
「避けた?」
《動きが変わりましたね。……ヴィータさんがFWに合流するようです》
「後ろに回り込まれる可能性が出たか……こちらも早めに終わらせた方がいいな」
刀身を再び起こして構える。
すると、3機のガジェットⅢ型が刹那を囲みAMFを発生させる。
「AMFによる
一足で距離を詰め正面にいるガジェットⅢ型を立て一文字に切り裂くと、すぐさま右側のガジェットを横薙ぎで切り裂く。
最後の1機にGNソードを突きたて、バックステップで距離を取ると、ガジェットの切り口にライフルモードの弾丸を撃ち込み破壊する。
「
誰が聞いているわけでもないが、爆散したガジェットに向けて呟いた。
「残りを片付けたら俺達もFWに合流するぞ」
《了解》
ルーテシアの魔法によって、ホテル正面に転送されたガジェット11機を相手にFWは苦戦していた。
訓練やリニアレールでの戦いの時とはガジェットの動きがまるで違う。
さらに、ティアナの
ティアナは焦っていた。
これが自分の限界なのかと、自分にはガジェットを倒せる【
そこにシャマルからの通信が入る。
ヴィータと刹那が向かっているというものだった。
その通信が更にティアナの心に重くのしかかる。
副隊長たちの【
「全部ちゃんと倒します! スバル!!」
「おう!」
ティアナの心には一つしかなかった
自分にも出来ることを。
戦い抜けることを。
ランスターの弾丸が撃ち抜けることを。
それを証明する。
クロスミラージュに装填されているカートリッジを4発使用する。
カートリッジシステムの負荷に耐えながら、両手の銃を前方に向ける。
その周りにはいくつも弾丸。
スバルがウイングロードでガジェットの上空を駆け引きつける。
その隙を……!
「クロスファイア……シュート!」
弾丸が一斉にガジェットに向かって行く。
「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」
咆哮とも言うべき声を上げながら、引き金を何度も引く。
ティアナの放った弾丸は、次々にガジェットを破壊して行く。
しかし、そのうちの一発がガジェットから逸れ、ウイングロードで駆けているスバルに向かって行く。
多数の弾丸を制御するのことが難しい技術なうえに、カートリッジの負荷。
完全制御できなかった弾丸が暴走したのだ。
ガジェットを引きつけきったと安堵していたスバルは、自分の背に迫りくるティアナの弾丸に気が付いていなかった。
気がついた時は、避けることも防御することも出来なかった。
否、自分の身にそのようなことが起きるとは思っていなかったため、対処することを脳が忘れてしまったというべきか。
「スバルさん!」
エリオが声を上げる。
当たる!
誰もが思ったその時、スバルと弾丸の間に影が一つ割り込んだ。
そして、爆音とともにスバルが煙に包まれた。
「そんな……」
キャロが沈痛な面持ちで見上げ、ティアナは呆然としていた。
FWのフォローに来たヴィータも唖然としていた。
――撃墜――
誰もがその二文字を覚悟した。
爆煙が薄れて人の姿が見えてくる。
「「!」」
そこには、GNシールドを構えた刹那がいた。
《ティアナさんの魔力値が異常増大。カートリッジを4発使用した模様》
「4発? 無茶だ」
何故、そんな無茶を。
ヴィータが向かっていることは知っている筈。
なのに何故。
「考えても仕方がない」
裏手から少し離れてしまったため、FWの戦闘地点まで少し距離がある。
急いで向かった先で目に映ったのは、ティアナが弾丸を放った瞬間。
そして、一発の弾丸がスバルへ向かう。
「拙い! オーバーブースト!!」
《安全装置解除》
急加速でスバルの元へ向かう。
弾丸がスバルに当たる前に、GNシールドを突き出して何とか防ぐ。
ライフルモードで撃ち落とすことも考えたが、下手をすると相殺の爆発でスバルが巻き込まれる可能性が高いため、割り込んでシールドで防ぐことにした。
「刹那さん」
「大丈夫か?」
「は、はい」
どうやら、スバルの方に影響はなく無傷ですんだようだ。
「すまねぇ刹那。アタシがもっと早く来ていればこんなことには……」
「俺は大丈夫だ。それよりも……」
「ああ」
顔を上げたヴィータが未だ呆然としているティアナに向かって叫んだ。
「ティアナ! 何やってんだ!!」
「あ……」
ヴィータに怒鳴られたティアナが体を強張らせる。
そこにスバルが割り込んだ。
「待ってください。今のは、私が悪いんです! 私が……!」
「あぁ!? バカ言ってんじゃねぇ!」
スバルの言葉にヴィータが更に声を荒げた。
「ティアは悪くないんです!」
「お前本気で言ってんのか!? 刹那がカバーに入っていなかたっら今頃……」
「ヴィータ副隊長!」
「いい加減にしろ!!」
目の前で良い争いが続いているが、まだ戦闘中だ。
このままでは埒が明かないな。
「スバル・
「え?」
「他者を庇うお前の優しさは美点かもしれないが勘違いするな。今のお前の言葉は余計に
「!」
「自らの失敗を認められなければ成長は出来ない。お前の言葉はそれを妨げる」
「……」
スバルが力なく俯く。
「それと、今のお前達にこれ以上の戦闘は無理だ。下がって待機していろ」
「! そ、そんな……」
「当たり前だろ。刹那の言うとおり下がってろ。後は、アタシ達だけでやる」
「……はい」
シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、刹那の4人によってガジェットは全て破壊された。
念のため、周囲を警戒しながらホテルへと戻る。
ホテルの裏手では、警備を担当していた刹那が前線へ出てしまったため、抜けた分をティアナとスバルが警備をしていた。
「戦闘……終わったみたいだよ」
「そう」
「ティア……」
「先に戻ってて、私も直ぐに行くから」
「……」
――勘違いするな。
「わかった。また、後でね」
それだけ言い残して、スバルは走り去った。
一人残されたティアナは声を殺して泣いていた。
ガジェットを撃破できない弾丸。
ミスショットが招いた
ランスターの弾丸を証明するどころか、決定的な【((力|ちから】不足を付きつけられた。
「兄さん……私は……」
機動六課に配属されて、始めて涙を流した。
それを知る者は一人も居ない。
そして、その涙の意味を知る者も……。
読了おつかれさまでした。
更新が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m
最近、眼精疲労が酷くて、PC画面を見ていると目が痛くなるわ急激な眠気に襲われるわで作業が進みません。
おまけに、「ホテル・アグスタ」をどうやって展開したら良いか悩んでしまってようやく完成。
悩んだ挙句がこの始末。
自らの力不足を痛感いたします。
では、また次回に。
追伸
サブタイトルを付けずに始めればよかったと今更後悔。
いいタイトルが浮かびません。
そして、脳内では相変わらず「新生CB」のキャラが動いていて、StSのキャラが全く動いてくれません。
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再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。次の任務はホテルの警備。ホテルへ襲来するガジェットを撃破してく刹那達だが……。魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。