No.484089

IS-インフィニット・ストラトス-きゅー組物語 6

ついに9組の機体が出てきます。装備はこんな風になりました。

2012-09-15 04:32:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1149   閲覧ユーザー数:1120

さてさて、9組生徒との邂逅から三日が経った。今日はいよいよ生徒たちがISと対面する日である。

 

「よーし、ガキどもー。心の準備は良いかー?今日はお前らが扱うISについて実機を見ながら説明するぞー。」

ヴン。という唸るような音とともに、整備庫のライトが点灯する。

 

「こいつが、お前らの手足となる“打鉄-S型”だ!」

 

薄暗い整備庫に、機体の姿が浮かび上がる。

 

「「おー!」」

生徒たちが歓声を上げる。

 

この“打鉄-S”は通常型の打鉄と見た目が全く違う。打鉄の最大の特徴である鎧武者の様な肩部装甲と腰部及び脚部装甲が直線的な装甲に変わっており、それぞれに偏向スラスターが付いている。これは速度を出すためのものではなく、より重い物を運ぶ為に追加された。さらに胸部にも装甲が取り付けられているため、ほとんどフルスキンの機体となっている。カラーリングもまた、黒っぽい物から遠目からでも目立つ鮮やかなオレンジ色と白のツートンカラーに変更されている。

 

「かっけー!!!!」

アンナが興奮気味に叫ぶ。

 

「だろー?」

そして何故か得意げな担任教師。

 

「因みにこいつの最大の特徴は見た目じゃない、バススロットの大きさだ。普通のやつの倍もある!………ま、他は打鉄と一緒なんだがな。」

バススロットが大きいのは、多様な装備を格納及び使用するためだ。これにより、幅広い場面での活躍が期待できる。

 

「次に………」

ロジーナがその他細々とした仕様を説明する。スラスターの出力値、稼働時間、最大積載重量等々。彼女は意外と教え方が上手い。生徒たちの興味を誘い、本来なら退屈なデータの紹介も面白可笑しく伝えて行く。

 

「んじゃ、次は武装…じゃないや、装備の説明をする。じゃ、春告頼んだ。」

機体スペックの説明はロジーナ、イコライザ(後付装備)等の説明は俺の役目だ。因みに、ロジーナが言い直したのには理由がある。IS救助隊が武力を持たない組織であるという事を対外的に示す為にも、“武装”等と言った言葉が使用できないのである。

 

「じゃ、皆こっちを見てくれ。取りあえず今日は現在手元にあるものを幾つか説明する。どんどん増えて行く予定だからしっかり覚えろよー。まずは一つ目、腕部内蔵型小型ワイヤーアンカー。特殊鋼製のワイヤーは30tまで耐えられる優れものだ。動力系統がコアとは違うから、機能停止しても使える。」

 

 

「次のからはイコライザ(後付装備)だ。障害物破壊用の装備が3種類、大型のチェーンソー、ハンドアックス、後はパイルバンカーだ。因みにこのハンドアックスは3年整備科のお手製だ。何かあったらお礼言っとけよー。」

 

「「はーい。」」

うむ、皆素直でよろしい。

 

「次は消火用装備、こっちは2種類だな。一つ目はこの“1式散水砲”。これはセレクタを切り替える事でウォーターカッターにもなる。もう一つはこのグレネードだな。」

 

「せ、先生。火を消すのに爆弾使うんですか??」

と、困惑した表情でオリガが尋ねてくる。

 

「あー、こいつの中身は火薬と消火剤だ。無人の密室何かを一気に消火するための物らしいんだが………」

 

「何か問題でもあるんですか?」

今度は、セレネから聞かれる。

 

「………火事になった建物ってどうなるよ?じゃぁ………アンナ。」

と、アンナに質問してみる。

 

「燃える!」

元気に答えるアンナ。うん、元気が良いのは認めるけどね!それだけじゃ、誉めてあげられないな!!

「そりゃ火事だからな………オリガ」

 

「えぇっと………脆くなる、でしょうか?」

正解だ。

 

「その通り。そんな状態の建物でこいつを使ったら、天井が崩れる可能性が高い。まぁ、ひょっとしたら使うかも知れないから覚えとけよー。」

このグレネードは恐らく現場の意見無しで作られた装備だろう。こう言った現場の人間からすると敬遠したくなる装備や、足りない装備なんかがちょくちょく有る。新設組織だから仕方がないのかもしれないが、ちょっと勘弁して欲しい。

 

「あとは、バススロットに格納できない外付け装備だ。こいつは物資輸送用の大型コンテナ。高さ、幅、長さがそれぞれ3m、3m、5m。お前達が使うISの背部にアタッチメントが付いてて、背負う事が出来る。こっちの箱が救命パックで、包帯や鎮痛剤なんかが入ってる。以上が今俺たちの持てる装備のすべてだ。」

 

差し当たっての装備の説明が終わる。今後も完成次第続々と装備が届く予定だから、其の度に彼女たちに説明することになる。

 

「ココまでで質問あるかー?」

最後に質問を促すと、アルセリアがおずおずと手を挙げる。彼女は先日のHR時に、クラス代表に(あみだくじで)決まった。

 

「ん?何だアルセリア??」

 

「………先生。まさかとは思いますが、クラス対抗戦にこの装備で出るなんて事無いですよね??」

 

あー、クラス代表としては気になる所だよねー。

 

そういえばそこの所、俺は聞いていないなと思いながらロジーナに視線を向けると………

 

 

 

「んっふっふ………」

ロジーナは、いやーな予感をさせる笑顔を浮べていた。

 

 

「アルセリア・レーネンベルグ君、そのまさかだよ。君にはこの装備で試合に出て貰う。」

 

 

 

 

 

………いやいやいや!!!あんた、何ばいいよっと!!??

 

「ロジーナ、アンタなんば言いよっとね!!」

ついつい、地元の言葉が出てしまう。

 

「だって仕方ないじゃん。通常の武装と9組の装備、両方の訓練やる時間も無いしさー。」

むぅ、それは確かにそうなのだが………

 

「まぁ、任せなさいな。我に策有り、だ!!!大船に乗った気でいなさい!」

 

と、胸を張るロジーナ。

当事者であるアルセリアが、縋るような眼で俺に助けを求める。

 

………ごめんアルセリア、俺じゃ止めらんない。


 
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