No.483245 IS ―インフィニット・ストラトス― きゅー組物語 12012-09-13 05:39:01 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1598 閲覧ユーザー数:1572 |
「はぁー、だめだー。もー、やる気でねー。酒も足りねー。あー…はぁ。」
出雲 春告(いずも はるつげ)。それが俺の名前で、ココは俺の部屋。
現在、部屋はかなり悲惨な状況になっている。
床にはビールの空き缶や焼酎の一升瓶が散乱し、週刊誌やらビニ本なんかで足の踏み場も無い。
空気も悪い。タバコの煙で靄がかかったようになっている。最後に換気したのは何時だっただろうか。
「彼女も居ない、貯金も尽きかけ。再就職の当てもない………」
以下、回想。
「キミ、クビね。」
署長が俺に告げる。
「………やっぱり?」
言葉が見つからない。足元が崩れていくような感覚。
「あの場での君の行動で、救われた命はあったけどねぇ………。」
「………ハハハ。」
一週間前、とある家で火事があった。
付近の渋滞で消防車の到着が遅れて、現場に到着した時にはかなりの勢いの火がその家を包んでいた。
更に状況は悪化する。
いざ消火活動に移ろうかというときに、二階の床の一部が抜けて一階の入口が塞がってしまったのだ。
そんな中、家の主らしき老婆が叫んだ。
「誰か、誰か私の娘を助けてー!!!」
中にまだ人が居る!?
「お願い、お願いよ!!」
「おばあちゃん!中に娘さんが居るの!?何処に居るか分かる!?」
「三階、あの子の部屋が三階に在るの!!」
そうしている内にも火の勢いは強くなっている。最早、迷っている時間は無い。
俺はポンプ車に飛び乗り、エンジンをかける。
「入口がないなら、作ればいいだろうが!!」
そう叫び、比較的火の勢いの弱い家の壁に向かってアクセルを踏み込む。
「出雲ォォォ!!!」
隊長が、大声で俺の名を叫ぶ。
その直後、衝撃が俺とポンプ車を襲った。
「ぐあっ!」
一瞬意識が飛びそうになるが、気合でこらえる。
ここからは時間との勝負だ、一秒も無駄には出来ない。
黒煙で視界が悪い中、何とか階段を見つける。良かった、崩れては居ないみたいだ。
急いで、三階へ駆け上がる。
そして俺は、その娘さんを見つけた。
意識はしっかりしているようで、俺を見つけると駆け寄ってきた。
そして彼女は、泣き出したのだ。
「ニャーン。」
………猫かよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
回想終了。
突っ込んだポンプ車が天に召されたのが悪かったのか、マスコミに取り上げられて大事になったのが悪かったのか。
「じゃ、そういう訳だから。」
パタリという署長室のドアの音で、俺の消防士の道は終わってしまった。
あれから三ヶ月が経った。マスコミがしっかりと仕事をしてくれるお陰か、色んな所に顔が知られ再就職は絶望的。
飲む、打つ、寝る(最後のは文字通り寝るだけなのだが。)だけの典型的な駄目人間と化した。
「もー行くべ、樹海かどっかよー。」
そんな古い歌の歌詞を口ずさんで、見慣れた天井を見上げた時だった。
「出雲さーん、出雲春告さーん。いらっしゃいますかー?」
聞いた事の無い女性の声が、玄関の方から聞こえた。
そう、この瞬間から、俺の人生が、また動き出した。
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こんにちは、かーる・おかめごっちです。
改めて原作を読み直したところ、びっくりするほど原作の設定から乖離している事に気付きました。駄目です、このままだとシャルは本国に強制送還です。
一介のボーイッシュ好きからすると、そんなの困るのです。
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