No.481812

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第010話

久しぶりに"恋姫"を投稿。

実を言うとね・・・ネタがホントに浮かばなかったww

それでも少しずつ書いて、やっと投稿出来た次第です。

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2012-09-09 15:54:11 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1977   閲覧ユーザー数:1796

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第010話「鬼の所業」

重昌「さて、それでは3人とも、かかって来なさい」

 

ただ今、重昌先生による小手調べ。相手は椿(愛紗)、瞳、胡花。傍観者は一刀と香蘭。

 

胡花「しかしよろしいのでしょうか?いくらなんでも椿さんと瞳さんまで相手では――」

 

椿(愛紗)「その心配はない。私達の攻撃如きで打ち崩せる、義父上(ちちうえ)ではないさ」

 

瞳「義叔父(おじ)さんの攻撃を打ち崩せる人なんて、恋歌様ぐらいのものだもの。あぁ、恋歌様は義叔父(おじ)さんの正室ね」

 

胡花「{……正室って事は、側室もいるのかな?実はこの人も一刀様と同じ女たらし?}」

 

3人は重昌に対し、円を描く様に囲む。しかし取り囲んだだけで動かない…いや、動けない。

 

香蘭「一刀さん。何故椿さん達は動かないのですか?」

 

一刀「”動かない”のではない”動けない”のだよ」

 

香蘭「動けない?」

 

一刀「重昌さんの気・構えからは隙は無く。さらに着物…重昌さんが着ている服の事ね。そこからはみ出る僅かな肌に、付いている傷跡からは、歴戦の士(つわもの)の風格が醸し出される。重昌さんと戦う時は、いかにして隙を作るかが一番の難点だ」

 

暫くすると、最初に動いたのは瞳だ。

自分の背中より種子島・改を取り出し1秒とかからず火薬を詰めて弾を放つ。

種子島・改は特殊改良製なので、3発連射をするが、重昌はそれを鉄扇で防ぐ。

彼が瞳に対応している間に、椿(愛紗)と胡花が切りかかる。

胡花は前方より剣で。彼はこれも鉄扇で防ぎ、椿(愛紗)はがら空きになった後方へと攻めかかるが、重昌は振り向かずに自らの感覚で、攻撃を鉄傘で防ぐ。

 

胡花「つ、強い」

 

椿(愛紗)「わかったであろう?だが、義父上(ちちうえ)の強さは、こんなものでは…無い!」

 

椿(愛紗)はより果敢に攻め始め、重昌は胡花を弾き、彼女から繰り出される猛攻を食い止める。

 

瞳「鬼の目!」

 

瞳は右目の眼帯を取り外し、力を解放する。

力の解放により瞳の動きは倍化、そして彼女の目には敵はスローに見えるが、持続時間は10秒だけである。

瞳も天弓で攻勢に加わり、胡花も重昌に攻撃を繰り出す。

彼は椿(愛紗)の攻撃を鉄扇で・・・瞳と胡花は鉄傘を広げ、全員鍔迫(つばぜ)り合いの様な状態になる。

 

重昌「うん。椿は熱くならずに、しっかり私の攻撃を見ている。瞳も力を制御している。それに加え必要な時のみ力を使い、まだまだ力は残しているな。胡花ちゃんは・・・流石一刀君の弟子だ、まだ剣戟は軽いが剣筋は鋭い。・・・さて。それでは私も本気を出そう…瞬脚!」

 

重昌は一瞬で胡花の後ろに周り、延髄を軽く殴り気絶させる。

 

椿(愛紗)「集団戦の時は」

 

瞳「真っ先に弱い奴から」

 

香蘭「え?は、早すぎて全然見えなかった!」

 

一刀「今のは”瞬脚”。”陸上競技”と言う足の速さを比べたりする、まだこの時代には無い競技がある。元々その競技をしていた重昌さんは、戦乱の世の中に来た時、自らの鍛え抜かれた脚力を活かし、編み出した独自の能力さ」

 

重昌は流れる様に続き、2人に襲い掛かる。

まずは瞳を閉じた鉄傘で思い切り弾き吹き飛ばす。

鉄の傘を地面に突き刺し、鉄扇をしまう。

椿(愛紗)に対し、アクロバットに飛び回り、猿の如く襲う。”猿拳”だ。

相手の動きを惑わす様に、縦横無尽に飛び回り、相手に襲い掛かる拳法。

後ろから突き、右より蹴りなど彼は放ち、椿(愛紗)はそれを冷艶鋸(れいえんきょ)で弾くが、徐々に動きが鈍ってくる。

彼女に隙が出来た頃に、重昌は彼女の獲物を持つ手を弾き、獲物を落としたところで溝に一撃を打ち込む。

椿(愛紗)は『ガハッ』と息を吐き倒れこむ。

次に吹き飛ばされた瞳が”鬼の目”を開放して重昌にかかっていく。

彼は千鳥足で、酔狂人みたいな動きをする。

彼女がいくら攻撃しようとも、ふらふらしている彼に紙一重でかわされる。

香蘭「何故、倍速になった瞳はんの攻撃が当たらへんの!?それにあんなふらふらしたの…まるで酒に酔っとるみたいや」

 

一刀「素に戻っているぞ。あれは”酔拳”。字の通り酔う拳、避ける時は滑らかに柔の如く、攻める時は身を省みず豪の如くの、諸刃の剣な拳法だ。それに瞳の動きは倍化したが、戦い方を変えている訳ではない。癖を見抜きその動きに合わせているだけだ。重昌さんを倒すには、力が切れる前に隙を見つけて一撃与えるしか、今の瞳に勝ち目はない」

 

やがて鬼の目の力が抜け始めると、瞳の動きが鈍くなる。

それから重昌は攻勢に出た。

手は酒の酌を持つ如く。親指と人差し指で作った突きを放つ。

この突きは相手の肉を同時に摘み、これに引っ張られると、肉を引きちぎられた感覚に陥る。

突きを数箇所打ち込まれると、彼は浴びせ蹴りを喰らわせ、瞳を戦闘不能にする。

 

重昌「確かに皆修行の成果は出ている。後は実戦で使えるかどうかだな。さて、3人を手当ての為に帰ろうか」

 

彼は3人を担いで、一刀と香蘭も後に付いて行く。

軍儀中…ちなみに椿(愛紗)達の手当ては終えています。

 

重昌「今日の軍儀は近辺の賊の討伐だ。最近流行の黄巾党の様で、数は4万。北郷よ、北騎隊の連中共は使えるか?」

 

一刀「はっ!ご所望とあらば、いつでも動かしてみせます」

 

椿(愛紗)「お館様。将の割り当てについてはいかがいたします?」

 

重昌「そうさな、それならば・・・」

 

先程の飄々とした重昌の空気と一転して、一刀も椿も瞳も普段と違う空気を見せていたので胡花と香蘭も、何故か緊張して固まってしまう。そしてこっそり小声で耳打ちする。

 

胡花「ねぇ香蘭。あの人は・・・一体誰だろう?」

 

香蘭「だ、誰って・・・一刀はんやないの?」

 

胡花「素に戻っているのは、何も言いません・・・一刀様、あんな表情もするんだ」

 

普段彼女の見ている彼は、天然の女垂らしなところか、軍を指揮している時ぐらいなものだ。

指示を貰い受けている一刀はそれらとは違い、彼女たちが見てきた中で一番生気に満ちている表情をしている。

そんな事を考えていると二人は重昌よりお呼びがかかる。いきなり呼ばれたので二人はつい声が上擦ってしまう。

 

重昌「姜泊約!徐元直!」

 

胡・香「は、はっ!」

 

重昌「相手はたかが賊。同じ兵力で勝ってもおもしろく無い。我が領の治安も安定しており、兵の精度も高い。これら以外で一気に諸侯に名を轟かせる何か案を述べよ。指揮、作戦についての一切を、全てお前たちに任せる。将は北郷、関、伊達の3名は使用不可とす」

 

突然、重昌に何か案をフられる。

 

胡花「そうですね。やはり敵より遥かに劣る兵力で迅速活無傷で勝利すれば、簡単に名が轟くかと?」

 

重昌「ほう。ならばその方法は?」

 

香蘭「ここら一帯の、地図か何か無いですか?」

 

彼女の言葉を聞き、重昌は兵に地図を持ってくるように指示をする。軍議室の円卓の机に広げられた地図を指差しながら、香蘭は作戦を出す。作戦内容は――

虎「さて、北騎隊の2軍師のお手並み・・・見せてもらおう。まず私が北騎隊2,000を連れて、40,000の賊に喧嘩を売る。程よく当たり、程よく引き、頭にきさせながら後方の溪谷までおびき寄せると」

 

~回想~

 

香蘭「地図を見たところ、この渓谷の入口は広いのですが、出口に向かうに連れてだんだん道が細くなっているのですよ。ここに賊を連れ込んで下さい。聞くと、謙信様は兵の統制、扱いに関しては大館様を凌ぐとか?だからこそ、この一番重要な役目をお願いしたい」

 

虎「だが、いくら賊だといっても、そんな簡単に誘い込めるものか?」

 

胡花「大丈夫です。策はあります」

 

~回想  了~

 

虎「よしっ、皆の者!お前たちは北郷将軍によって鍛えられた騎馬隊だ!ならば私の動きにも、ついて来れると言うことだな?・・・私に続け!!敵をかく乱し、イラつかせ、誘導するぞ!」

 

北騎隊「おぉぉぉぉっ!!」

 

暫くして

 

胡花「おぉ!見えてきた見えてきた{ここで私は100の兵で陣を構え、逃げて来る虎さんに便乗して一緒に逃げると}」

 

~回想~

 

虎「わざと陣を捨てる?」

 

胡花「えぇ。私は渓谷までに、兵を100に分けた陣を5つ用意しておきます。それならば敵も、私たちが恐れを成して逃げ出したと思うでしょう」

 

~回想 了~

 

胡花「それでは皆さん、撤退しますよ」

 

そして賊を渓谷までおびき寄せることに成功する。

 

雑賊兵「頭。これ以上は追撃しなくてもいいじゃねぇでやすか?相手は騎馬ですし、追いつけそうにないですよ?」

 

賊頭「ふふふ。実はな、この渓谷は奥に行けば行くほど道が狭くなっている。そして出口は、大群が通れる程広くはない。だから俺らが騎馬でなくとも十分に追いつく」

 

雑賊兵「しかし、無理に追いついて蹴散らす程でも無いでは?」

 

賊頭「渓谷入って直後の兵糧や軍需物資の投げ出し様を見ただろ?きっとこの先にも軍の兵糧などがあるはずだ。それを奪っちまえば暫くは、餓えに苦しむこともないぜ。それに相手は少数でも精強な西涼部隊だ。倒せば俺達の名も上がるって寸法だ」

 

雑賊兵「なるほど!頭(かしら)、頭良い」

 

賊頭「がっはっはっ。それなら分捕りに行くぞ!!」

 

景気よく進軍する黄巾党の連中であったが、進んでいくと、渓谷には瓦礫の山が道を遮っていた。

 

賊頭「ちっ、どうやら軍は追いつかれないように、渓谷の上より岩や瓦礫で道を遮ったようだ。もしかしたらこの辺にも、兵を潜めているんじゃねぇか?」

 

雑賊兵「か、頭!どうしやしょう!?」

 

賊頭「うろたえるんじゃねぇ!こっちは4万の兵だ。そうやすやす、ヤられりゃあしねぇよ。それに一気に、渓谷を抜け出せば十分間に合う。なんせ土地勘はこっちの方が断然有利だ。余裕があれば、渓谷に捨ててあった兵糧も持ち去れるしな。おら、戻るぞ」

だが黄巾党が渓谷の入口へと戻っていると、先ほどより多い兵糧が目の前に散乱されており、渓谷の入口も瓦礫に閉ざされていた。逃げ道も閉ざされた黄巾党はどうするか慌てふためき、混乱している。その様子を渓谷の上よりある者達が観察していた。

 

三葉「ふふふ、兄さんが連れてきたあの人達、なかなかやるじゃない」

 

胡花「信廉さま。そちらの具合はどうですか?」

 

三葉「今は(重昌)先生もいないので、三葉で結構ですよ」

 

渓谷の上にいる三葉率いる1,500の軍勢に、今、虎と胡花、そして途中で合流した香蘭の軍勢が加わる。

 

~回想~

香蘭「それで、次は信廉様に頼みたいのですけども。信廉様は500の兵を率いて渓谷に兵糧箱などを散乱させて、黄巾党が渓谷奥深くに入った時に、入口を封鎖する工作をして欲しいのですよ。私はその間に1,000の兵で出口を塞ぎますので。これが黄巾党40,000の大群の動きを封じる策です」

 

三葉「兵糧の件についてはなんでもいいのですね?」

 

香蘭「・・・?はい。その件に関しては、そちらにお任せします」

 

三葉「・・・・・・そうですか」

 

しかし、香蘭は見逃していた。作戦の指示を受けた三葉が、不適な笑いを密かに見せた事を。

 

~回想 了~

 

胡花「さて、それでは下の黄巾党の動きも封じた事ですし、降伏の使者でも送りましょうか?」

 

三葉「いえ・・・まだですよ」

 

黄巾党の動きを封じ切ったので、仕事が終わったと安心した胡花・香蘭含む北騎隊の面々に、三葉は冷めた声で呟き、右手で指を鳴らすと黒い布に包まれた、忍者の様な格好をした者達が大量の藁を持って現れた。

その物達は次々と大量の藁をどんどん渓谷下に落とし、虎が一本の火矢を一回り大きめの藁の塊に打ち込むと、藁は巨大な火ダルマとなり捨てたれた兵糧箱に落ちていく。

そして兵糧箱は次々と燃え出し爆発が起き始める。

釣られて次から次に他の兵糧箱に燃え移り、やがて渓谷の下は火の海地獄と化し、黄巾党40,000は焼死した。

 

胡花「・・・・・・」

 

香蘭「・・・・・・」

 

北騎隊面々「・・・・・・」

 

胡花達は渓谷下で断末魔を上げ、焼けただれながら死んでいく黄巾党をただ見つめていた。

 

虎「ふぅ、任務完了。皆様よくやってくれました。それでは撤退しましょうか?」

 

香蘭「ちょ、ちょい待って下さい!」

 

撤退しようと動き出した虎と三葉を香蘭が、静止させる様に叫ぶ。それに続き胡花も低い声で話す。

 

胡花「・・・あれは・・・何ですか?」

 

三葉「あぁ。あれは兵糧箱に大量の火薬を入れて、爆発に乗じて別の箱に仕込んでいた小麦粉を散らしやすい様に細工して、粉塵爆発起こさせ、藁は燃えやすい油を染み込ませt「そう言う事聞いとるんやない!なんでこんな酷(むご)い殺し方したんかって聞いとるんです!」・・・」

 

虎「言いたい事があるなら、戦果報告を終えてからにしろ。今は戻るぞ」

 

香蘭「ちょっ、ちょい待ちいぃn「まぁ、落ち着いてよ。香蘭」」

 

完全に頭に血が昇り、虎と三葉につっかかろうとした香蘭を、胡花が彼女の両脇から自らの腕を入れて、肘を”く”の字に曲げて止める。

香蘭「ちょ、胡花。なんで止めるんや!?」

 

胡花「落ち着いて。戻った後に、重昌さんに直談判しよう。私だって・・・納得しているわけじゃないけど」

 

香蘭「・・・・・・わかったわ」

 

彼女は胡花に説得され、なんとか落ち着きを取り戻す。

自らの仲間が、自分の体を抑えてる時、僅かに震えていた腕の感触を確かめながら。

 

こうして、城に戻り戦果報告を終える。

 

重昌「此度の働き見事。伝令兵長!「はっ!」早速西涼全体にこの情報回し、まだ西涼に残っている黄巾党にも勧告報告を触れ回れ。『大人しく従い、真面目に働けば生活も保護し、土地も与える。兵として働きたい者は、我が軍で面倒を見る。従わない者は、先の者達と同じ運命を辿る』そう伝えろ」

 

伝令兵長「畏まりました」

 

重昌の言葉を聞いて、伝令兵長は早速行動に取り掛かる。

 

重昌「さて、他に報告が無ければこれで終わりにするが?特に数人程から、凄い殺気を感じるのだが・・・気のせいか?」

 

実を言うと、軍議室には先程より冷やかな空気が流れていた。

4,000の隊長格の北騎隊と共に、膝を落として顔を俯かせていた胡花と香蘭が反発する様に立ち上がる。

 

胡花「ならば、申し上げます。大館様、今回の戦は、私達二人に全権を任せてくれるはずでしたよね?」

 

重昌「その通り。今回の功績は全てお前たち二人の物だ」

 

香蘭「・・・あの黒尽くめの、布に包まれた集団は何者ですか!?」

 

重昌「あれは我が軍の暗部隊。暗殺、諜報活動などを主(しゅ)におく集団だが、今のお前達に、賊と言えど無抵抗の者達を焼き殺せと命じても、まともに実行する者がいないと思ってな」

 

胡花「当たり前です!少なくても今回、黄巾党を追い詰め、無抵抗勧告させるのも容易だったはず。そうすれば、無駄な血も流れずに済んだ!!」

 

重昌「・・・・・・颯馬よ、説明してやれ」

 

一刀「御意」

 

重昌の代わりに説明しようとする、いつもと違う一刀に、香蘭はくいつく。

 

香蘭「一刀はん!一刀はんも、こんなん・・・おかしい思わないんですか!?」

 

一刀「いいか。西涼の西には五胡が控え、反乱も多く、大陸の中心に比べれば辺境の土地だ。黄巾党と言えど、この土地で育った元農民。夏の暑さ、冬の寒さにも強い。だから迅速に乱を抑えなければならない。ならその方法は何か?西涼兵の圧倒的な強さと、恐怖を植え付ける方法だ。10倍の兵を一掃する強さ、逆らった結果。これを見れば、残りの黄巾党も縮み上がって、素直に降伏する。他の諸侯がちまちまと賊が出れば叩き、賊が出れば叩きと、”モグラ叩き”している間に、俺達はこの一戦だけで乱の鎮圧に成功したというわけだ。それに加え、この噂が広まれば外領からは賊は恐れて攻めて来る事は無い」

 

胡花「しかし!もっと別の方法があったはず!」

 

椿(愛紗)「例えば、この戦いをあと20回以上繰り返すとする。一度の戦闘で敵、味方含め3,000人が死亡すると考えれば、計約60,000が犠牲になる。そう考えれば、この一戦で、40,000人で済み・・・それに加え、『逆らえば殺(や)られる』という意識を芽生えさせた。どうだ?実に合理的だ」

 

香蘭「恐怖で統治するなんて、暴君の考えや!」

 

重昌「その通り!私は”鬼”と言う名の暴君だ!従う者には善の心を持って歓迎するが、抵抗する者には鬼となる!人は私の事を”鬼善者”と呼ぶ!」

胡花「『民あっての国と王であり、王あっての民は”独裁”で保たない』恐怖では人は付いて来ない。いつか瓦解を起こし、国が乱れる原因が起こる」

 

重昌「悪いが私から言わせてみれば、『王あっての民』も『民あっての王』も正解であり、間違いだ。完全な正解の統治は、この世には存在しない。いつか国は瓦解し、滅ぶ。人がこの世に君臨する限り、欲と争いは耐えることは耐えることはない。私が望む支配は、まず圧倒的な力を見せつけ、従わせる。従った者には、善政を施し、二度と裏切らない様にする。力による支配で従っている民は、もし一揆を起こしても、後に待つのは”死”のみ。死人は強い。戦えば、こちらの被害も尋常ではなくなる。よって統治者は必死となり、賄賂、悪政が横行しないように善政を施す。それでも滅びれば、その”滅び”は必然だ。潔く定めを受け入れる」

 

香蘭「・・・そないな考えで、ほんまに国がまとまると思っとるんですか?」

 

重昌「思うか、思わないかではない。最終的に国の命運を決めるは、優れた統治者の”能力”だ。だから私は、優れた統治者・指揮官を育てる為の”@@@計画”を考えている」

 

香蘭「@@@・・・計画・・・?」

※@はまだ見せられません。

 

重昌「そうだ。詳しい事は、今はまだ言えないが、いずれ分かる日が来るであろう。それでは本日はこれで終いだ。解散!!」

 

彼(重昌)の一喝で、話は打ち切りとなり、彼は軍議室を去って行った。

勿論、反発した2人も言いたい事も山程あるだろうが、重昌によって打ち明けられた計画が引っかかり、自分が言いたいことを言えずにいてしまった。

次に一刀が、軍議室の重昌のいた大将席に座り、部屋に残った者達に発言する。

 

一刀「判っただろ?あれが我ら3人の主だ。俺達は地獄の底まで、あの人について行く。もし・・・あの人に不満があれば、いつでも遠慮はいらない。この地を去ればいい。止めはしない。だがあのお方に刃を向けるならば、その時は・・・ここに居る5人を殺して行くがいい。俺からの話は以上だ」

 

“ここに居る5人”とは、一刀、椿(愛紗)、瞳、虎、三葉の事だ。

北騎隊は全員片膝を付き、片手の握り拳をもう片手で包み、前に突き出して頭を垂れる。

結局・・・この話の後に、北騎隊を去ったのは0人で済んだ。

その中には、重昌のカリスマ性に心打たれた者や、考え方に納得出来ない者もいたであろうが、何よりも一番の理由は皆一刀の事を敬愛しているからだ。

去らなかった理由も、自らの主がこれほどの信頼を寄せている人(重昌)に、何も文句など言えるはずも無かったからである。

 


 
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