No.476905

真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 拠点:霞 神速と聖桜

syukaさん

何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

2012-08-29 02:08:53 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9778   閲覧ユーザー数:7239

まえがき コメントありがとうございます。今回は拠点ということでまずは霞姐さんの出番です。戦いの様子を表現するのは苦手なのでそこはご容赦ください。それではごゆっくりお楽しみください。

 

拠点:霞 神速と聖桜

 

一刀は張遼と模擬戦の約束をしていたので桃香や月たちと別れて外の広場に出た。張遼さんは槍を携えて悠々と待ち構えていた。

 

「北郷はん、遅かったやないか。どないしたん?」

「すみません。ちょっと月や桃香・・・劉備たちに捕まってて。」

「まぁええわ。はよかかってきぃや!」

 

これは少し心の準備をさせてほしいとか言える雰囲気じゃないよなー。一刀は聖桜を抜くと張遼の正面に立った。

 

「じゃあ準備はいいですか?」

「ええで!」

 

一刀は聖桜を構える。一呼吸して精神を落ち着かせると眼前の張遼を目標と定めた。

 

「行きます!」

 

一刀は張遼目掛けて駆け出した。張遼も駆け出した。

 

「うちの飛龍偃月刀の一閃!避けれるもんなら避けてみろやー!」

 

張遼の斬りおろしが一刀を襲う。一刀はそれを真正面から刀で受け止めた。

 

「ほう、やるやないか。けど、まだまだ行くで!」

 

突き、薙ぎ払い、斬り上げ、全て一刀は真正面から捌いて見せた。

 

「なんや、反撃に来ないんか?」

「いえ、張遼さんの一振りが早くてなかなか反撃に出れないんですって!」

 

会話をしながらも張遼は剣を振るうのを止めない。一刀は反撃に出れないと言うものの、反撃の機会を見つけるため、全ての斬撃を捌いていた。

 

「どうした!捌くだけじゃうちには勝てんでー!」

 

そう言うと張遼の斬撃の勢いが増した。しかたない、一度弾いて距離を取ろう。一刀は張遼の刀は弾き少し後退した。

 

「やるやないか!あの斬撃を弾くなんてなー。これじゃあ埒があかんし、次で終いにしたるわ。うちの蒼竜神速撃!怪我してもしらんでーーー!」

 

これまでとはあきらかに雰囲気が違った。張遼が繰り出した突きは常人では切っ先も見えることはないだろう。神速の異名を持つに相応しい突きだ。しかし影刀の北郷流の応用と美桜の気の習得まで修了させた一刀には見切れないものではなかった。一刀はぎりぎりのところまで引きつけると体を右に逸らし、張遼の後ろに回り込んだところで聖桜の刃先を彼女の首筋寸前まで持って行った。その間、わずか五秒である。それに気づいた張遼は刀を下ろし両手を挙げた。

 

「降参や。」

「ありがとうございました。」

 

一刀が聖桜を鞘に戻すと、張遼は一刀の方に顔を向けた。

 

「いやー、完敗や。鍔迫り合いしてたのもうちの動きを見るためだったんやろ?」

「ばれてましたか・・・。」

 

あははと苦笑いすると張遼さんは俺の隣に来た。

 

「よっしゃ。北郷はんにうちの真名を預けたるわ。」

「いいの?」

「ええよ。その変わりにうちも一刀って呼ばせてもらうわ。」

「はい。」

「うちは張遼文遠。真名は霞(しあ)や。」

「よろしく、霞さん。」

「霞でええよ。」

「じゃあ、よろしく、霞。」

 

「おう。こっちこそよろしゅうな、一刀。」

 

そういうと霞は一刀の後方に回り込み背中に飛びかかるようにもたれかかった。

 

「霞!?」

 

なんで俺の背中にもたれかかってるの!?

 

「うちの周りって女ばっかりやんか。男もおるけどそれは正規兵や義勇兵ばかりで武将並みのやつはおらん。せやからどないなもんかなーと思ってな。」

 

なんか大きい猫みたいだなー。気分屋というか突拍子のないというか。これはこれで悪くないんだけどね。

 

「そういえばそうだね。うちにいる武将や軍師も女の子ばっかりだし。」

「なんかこうしてると落ち着くわー。一刀は何か特別なんやろうな。」

「一応天の御使いってことにはなってるけど自覚はないし、どこにでもいる普通の男だよ。」

 

そう言うと霞はいやいやと首を横に振った。

 

「そないなことはあらへん。男でうちに、しかも余力を持ったままで勝つやつなんて見たことあらへんもん。女でさえうちが負けるのは恋・・・呂布くらいやし。華雄には勝てる。一刀んとこの関羽と張飛には苦戦しそうやけど。」

「恋でいいよ。俺も真名を許してもらったし。月や詠、ねねも真名を許してくれたんだ。」

 

それを聞いた霞は驚いた顔をした。そんなに驚くことなのか?

 

「恋が真名を許してくれたんか!はぁ~、そりゃうちも一刀を特別って思うわけや。恋は基本的に動物と同じなんや。本能のまま生きてると言っても過言やない。」

 

そう言うと霞は何か思いついたようでそうや!と言って俺に一つ提案を出してきた。

 

「一刀、恋を模擬戦してみたらどうや?うちにこんな風に勝てるのはおそらく恋だけや。実際、うちは十本やって二本取れたら良い方や。それでも恋は本気やない。一刀なら良いとこまで行けると思うんやけど。」

「そうだねー。恋ちゃんと一戦交えたいとは思うけどあの飛将軍とまで言われてるんだ。俺が勝てるかどうか・・・。」

「心配せんでええ。うちが保障したる。」

「・・・その根拠はどこから?」

「うちの武将としての勘や。」

 

・・・もう何も言うまい。

 

「恋ちゃんが応じてくれるかは分からないけど、頼むだけ頼んでみるか。」

「おう、その調子やで!」

 

俺は立ってるのも何なので地べたに座ると、霞はまたしも俺の背中から覆いかぶさってきた。

 

「また!?」

「嫌か?」

「嫌って訳じゃないけどさ・・・。」

「じゃあ何や?」

 

こう言うのも何だけど、言っておかないとこの状況が変わることはないだろうし・・・。

 

「俺と霞も男と女なんだからさ、その・・・あんまり近づいてたら妙に思われたら大変だから少し離れた方が良いと思うんだ。」

「一刀はうちを女として見てくれてるんか?」

 

霞を見て女だと思わない方が少ない、いやいないと思うんだけど・・・。

 

「あ、当たり前だ!っていうか、霞を見て女の子って思わない人はいないと思うんだけど・・・。可愛くて勇ましくて、それでいて堂々としていて。そうだね、気さくで優しいお姉ちゃんみたいな。」

「・・・そういう風に言ってくれたのは一刀が初めてや。」

「そうなの?」

 

「そうや。うちは武人やから大概は槍を振るっとるし、自分の武に誇りを持っとる。うちは月や詠の手助けをせなあかんからな。そんな中におるのは猪の華雄にいつもどっかをふらふらしている恋。それと恋にいつもべったりなねねや。あとはうちらの部下たち。みーんな、一刀みたいに言うてくれる人はおらんかった。それにうちは生粋の武人やから女らしゅう恰好や仕草もできひん。そんなうちにそないなこと言うてくれる人はおらんと思っとった。けど一刀はうちにそんな嬉しいことを言うてくれた。せやから一刀。」

 

そういうと霞の表情は満面の笑みに変わった。

 

「ほんまおおきに!」

「こんなことで嬉しく思ってくれるならいつでも言ってあげるよ?」

「ほんまか?」

「本当。」

 

一刀ってほんまええやつや。恋が真名を預けたのも分かる気がするわ。霞は背中ごしから一刀に覆いかぶさっている状態で、一刀の体をぎゅっと抱きしめた。

 

「そないにうちを嬉しくさせても何も出らんで~♪」

「俺はみんなが笑ってくれてたらそれだけで満足だから。」

「じゃあみんなが笑ってたら一刀も笑顔になるか?」

「もちろん。」

「ならええわ。」

 

一時の間、二人はじっとしたまま、しかしどこかすっきりした気持ちで数分の時が流れた。

 

「そうや。一刀って天の御使いなんやろ?」

「まぁそう言われているね。」

「一刀が天にいたころの話聞かせてーな。ちょっと聞いてみたいわ。」

「じゃあどこから話そうかな・・・。」

 

一刀が現代の話をする少し前、霞と一刀の模擬戦が終わり霞が一刀の背中に覆いかぶさる少し前まで遡る。星と鈴々、愛紗と華雄も模擬戦を終え、清羅も広場に降りてきた。

 

「うにゃー!星、もう一回なのだ!」

「今日は私の勝ちで終わらせてもらうぞ。結構疲労も溜まったのでな。」

「くそ!関羽、今度は負けないからな!」

「あぁ。だが、今度も勝たせてもらうぞ。」

「四人ともお疲れ様。」

 

広場に集まった五人は一刀と霞の模擬戦を観戦することにした。

 

「お兄ちゃん、全然反撃しないのだ。」

「張遼の斬撃で手が出せないのだろう。」

「いや、主は張遼殿の出方を窺っているのだ。」

「私も星ちゃんの意見と同意見ね。」

「しかし、あぁも反撃に出ないのではご主人様に勝機はない。」

 

そして張遼と一刀はお互いに距離をとり、張遼が奥義の構えをとった。

 

「あれは張遼の蒼竜神速撃の構えだ。あれを使って倒れなかったのは呂布くらいだ。私もあれを使われて受け流すのは難しいだろう。」

「ご主人様ならどうにかできるだろうか。」

「主を信じるのみだろう。」

 

張遼の蒼竜神速撃が繰り出される。早い!私でもぎりぎり軌道が見えるかどうかだ。あれを受け流すのは至難の業だろう。だがご主人様はそれを当たる寸前のところで避けた。避けるとすぐに体勢を立て直し張遼の背後に回り込み彼女の首に剣先を向けた。これでご主人様の勝利だ。

 

「お兄ちゃんが勝ったのだ!」

「さすがはご主人様だな!」

「うむ。」

「あの張遼が負けたか。私も気を引き締めていかねばやられるな。」

「惚れ直したわー。」

 

その後、なんと張遼は一刀の背後から覆いかぶさったのだ。それを見た愛紗はかちーんと音を立てたかのように固まったあと、顔を真っ赤にして慌てふためいた。

 

「な!ご、ご主人様が、張遼に、だ、だだだ、抱きついて!」

「愛紗よ、抱きついたのは張遼殿の方だ。主は抱きつかれた方だ。」

「ご主人様・・・。」

 

無言ながら一刀の方に駆け出しそうな愛紗を星と清羅が両肩を掴んで静止させていた。愛紗は桃香たちが城から出てくるまでの間、餌が目の前にあるのにもらえない犬のような表情をしていた。

数分後、城の中から桃香と恋とねね、月と詠、その後ろから朱里と雛里が出てきた。

 

「みんな、お疲れ様~。」

「みなさん、お疲れ様です。」

「あんたたち、結果はどうだったの?」

 

模擬戦をしていた者たちは各々の試合結果を報告した。鈴々と華雄が悔しがって星と愛紗が至って冷静だったのは言うまでもない。少し談笑したあと、桃香と月はきょろきょろと何かを探しているような素振りを見せた。

 

「あれ、ご主人様は?」

「一刀さんの姿が見当たらないのですが・・・。」

「ほら、あちらですぞ。」

 

星は霞にくっつかれている一刀の方を指差した。

 

「あー!張遼さんばっかりずるーい!」

 

桃香は一刀の姿を発見すると、彼がいる方向に一目散に駆けだして行った。それにつられて月もゆっくりとした足取りで一刀の方に向かった。

 

「まったく、桃香様は・・・。」

「愛紗よ、先ほど私と清羅が止めなければお主もあのように飛び出して行ったではないか。」

「そうね。」

「ぐぬぬっ・・・。」

「朱里ちゃん、私たちも行こう。」

「うん。」

 

他の面々も一刀たちの方に向かった。先に駆けだして行った桃香は一足先に一刀たちのもとに着いた。

 

「桃香?そんなに走ってどうしたんだ?」

「張遼さんばっかり相手にしちゃ駄目!」

 

桃香はいきなり俺の胸元に抱きついてきた。何故かサンドウィッチ状態になってる俺・・・。嬉しい反面これは困った・・・。そして少し遅れて月が俺の右隣に来てぺたんと女の子座りをした。

 

「一刀さん、霞さんとの模擬戦はいかがでしたか?」

「有意義なものだったよ。霞の連撃は光るものがあった。あそこで一度距離を取れたのが俺の勝因だったな。」

「一刀は強いでー!月、恋と良い線いくとうちは思うんやけど、恋と一戦やってもらうのはどないやろうか?」

「恋さんとですか。恋さんはどうですか?」

 

いつの間にか俺の左隣にいた恋ちゃん。全然気づかなかった。いつの間にきたんだ?

 

「恋も、一刀も戦ってみたい。」

「そうだね、じゃあ四日後とかでいい?」

「・・・(コクッ)。」

 

そんなこんなしているうちに皆が集まってきた。

 

「ご主人様、お見事でした。」

「愛紗、ありがとう。見ててくれたんだ。」

「主、愛紗はずっとあなたのことを見ておりましたぞ?」

「な!//それは星も同じだろう!」

「主の戦いを見るのは家臣として当然のことであろう?」

「くっ・・・。」

 

口先ではやはり星の方が上手か。愛紗が何とも言えない顔をしている。

 

「みんなが見ててくれるなら俺も嬉しいからさ、愛紗もそんな顔しないで。ね?」

 

一刀は愛紗に微笑みかける。それを見た愛紗は、はい!ずっとご主人様のことを見てます!と少し顔を赤らめて言った。

 

「ご主人様のあの笑顔には負けるのよね~。」

「うむ。主の秘密兵器といっても過言ではないものだな。」

「一刀さんの笑顔・・・//なんか、可愛いです。」

 

右隣に座っていた月が一刀の腕に抱きついてきた。

 

「一刀さん、お昼からは街を案内しますから、その時はよろしくお願いしますね。」

 

「あぁ。というか、こちらこそよろしくね、月。」

 

二人でふふっと笑い合っていると前から桃香が口を開いた。

 

「ところで、ご主人様は張遼さんと何を話してたの?」

「俺が天にいたころの話をしてたんだよ。」

「一刀の話は面白いで~。」

「一刀、嬉しそうですね。」

「話す分には楽しいし、向こうにいたころのことを思い出すんだ。家族がいて友人がいて。戦争もないから毎日が平和で。変わり映えのない毎日だったけど、幸せな毎日だったよ。」

 

一刀の話しているときの嬉しそうな表情に周りの空気も和やかなものとなった。そこで桃香が少し言いづらそうにしながらもじもじしていた。

 

「桃香、どうしたの?」

「そのね、天にいたころね、ご主人様に好きな人っていたのかな~って思って。」

「!!」

 

周りの全員が興味津々に一刀に近づいてきた。一刀は頬をぽりぽりと掻きながら苦笑いしていた。

 

「好きな人はいなかったかな。そもそも俺はモテる方じゃないし。仲の良い女の子ならいたけど、それも剣道の先輩だったからそういうのじゃないし。」

 

その言葉を聞いた全員が良かった~と心中で安堵した。隣にいた月が不意に口を開いた。

 

「一刀さん。私はお慕いしてますよ。」

 

すると後ろから霞が声をかけてきた。

 

「なんや、月も一刀のこと好きなんか~。うちも負けてられんなー。」

「わ、私も、ご主人様のこと好きなんだからね!」

「し、霞さん//。一刀さんの前でそんな//。へぅ。」

「私も!ご主人様のこと、お慕いしております!」

「雛里ちゃん、私たちも負けてられないよ!」

「あわわ。朱里ちゃん、さすがに恥ずかしいよ。」

「月!そんな、まだ会って間もない男に・・・。」

「恋も、一刀のこと、好き。」

「恋殿!そのような男にたぶらかされてはいけませんぞ!」

「星ちゃん、私たちも負けてられないわね。」

「そうだな。今度色仕掛けでもしてみるか。」

「ふふ、そうね。」

「鈴々もお兄ちゃんのこと好きなのだ!」

 

突如始まった大暴露大会。鈴々のはまた違うものだが。一刀は口をはさむこともできず、ただただ早く終わってくれないかと祈るばかりであった。そんなこんなで一刀たちは城に戻り昼食を済ませると各々の仕事に戻っていった。桃香も街を散策したーいと言ったが、愛紗に桃香様は書類整理が残っておりますのでと泣く泣く引きずられていった。俺の隣で月と一緒に苦笑いしながら桃香と愛紗を見送った。

 

「では一刀さん、行きましょうか。」

「あぁ。月、よろしくね。」

「はい。」

 

俺は月と共に城を出た。背後でご主人様~、助けて~。と桃香の声が聞こえたのは、・・・聞かなかったことにしよう。

 

あとがき 読んでいただきありがとうございます。霞姐さんが一刀にぞっこんになっちゃいましたw。思惑通りですww。家臣たちに嫉妬させてみたいとも思いましたが、なかなか上手くいきませんね。精進が必要です。月の分も書いていたのですが何でか消えてしまいました。そこは次回に持ち越しです。申し訳ありません。それでは次回 拠点:月 逢引!?へぅ// でお会いしましょう。


 
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