まえがき コメントありがとうございます。今回は恋ちゃんの出番です。というか董卓軍全員出ると思います。恋ちゃん、月ちゃん、霞姐さん好きなので誰得と聞かれると俺得ですwそれではごゆっくりお楽しみください。
一刀たちと曹操たちが黄巾党討伐の協力関係を結んでから三ヶ月が経過した。一刀たちは曹操軍から不足している兵站と装備を分けてもらい、曹操軍の統率のとれた指揮能力を自分たちの隊にも生かせるように何名かの間者を曹操軍に潜り込ませた。曹操と出会って約一月の間は、一刀たちがそれこそ無謀なのではないかと思いたくなる状況時に突撃命令を受けることは少なくなかった。しかしそれは曹操軍の特殊部隊の囮であり、曹操の考える効率の良い戦法的にこれが一番だったのだろう。雛里曰く、
「駆け出しの弱小軍より自分のとこの特殊部隊を使用した方がすぐに片が付く。それを行うには囮があった方が仕事の効率は高い。そのように考えていらっしゃるのでしょう。」
だそうだ。確かに俺たちはまだ駆け出しでそこいらの諸侯と比べても劣る箇所は山積みのは明確だ。俺たちも頑張らないとな。一刀たちは今洛陽の街の中の茶店で一息ついていた。なぜ一刀たちがこのような場所にいるのかというと、この洛陽から南にある南陽という場所に大規模の黄巾党の一隊が目撃された。冀州にある黄巾党本陣とまではいかないが、その数三万となれば見過ごすわけにはいかない。しかし、冀州や予州、揚州といった場所にも黄巾党の部隊が存在したため、一刀たちは曹操から洛陽に行くように伝えられた。ということでその他の各地の黄巾党の部隊は曹操たちが撃破しておくので、洛陽と南陽の国境で待ち構えて黄巾党の一隊を討伐するようになった。一度はそのまま国境まで行こうと考えたのだが、南陽といえば確か正史では呉・孫策の領地だったはずだ。それゆえ、洛陽で一息ついて、そこで作戦を練ることにした。兵士たちは装備から街にいた時の服装に着替えさせてひと時の休息をとってもらうことにした。
「さて、国境での黄巾党討伐のことなんだけど、誰かいい案ある?」
「えーと、一つ提案があります。いいですか。」
「朱里、いいよ。」
「ここの諸侯の方に協力をお願いするのはどうでしょうか。」
洛陽の諸侯・・・。誰だったっけ?
「ここの諸侯って誰か分かる?」
「先日戻ってきた方なので名前は分かりませんが、街の雰囲気を見ても良い人だと思いますよ。」
「そっか。じゃあ朱里の提案を採用しようと思うんだけど良いかな?」
「いいよ。ご主人様に任せまーす。」
「じゃあもうすぐしたら行こうか。・・・ん?」
店の外から何か視線を感じる。敵の視線とかじゃなくて、ご飯を食べてる時に感じる鈴々の視線と同質のようなものだ。悪意はなさそうだからいいんだけど。視線を外に移すと紅の髪を持った女の子がこちらを見ている。じーーーーーっと見ている。俺じゃなくて俺の皿にのってる胡麻団子。これくらいならいいかなと思って一刀は店を出てこちらを見ていた彼女に話しかける。それを見ていた桃香たちは何事だろうとこちらを見ていた。
「こんにちは。」
「・・・こんにちは。」
「お腹空いてるのか?」
「・・・(コクッ)」
「じゃあ一緒に食べないか?お金は俺が出すから。」
「・・・いいの?」
「うん。」
彼女と店の中に戻ると店員さんに胡麻団子を注文した。
「胡麻団子で良かった?」
「・・・(コクッ)」
「ご主人様、その子は?」
「俺の胡麻団子見てて、お腹空いてるようだったから呼んだんだ。」
「ねぇ、名前は何ていうの?私は劉備玄徳。」
「俺は北郷一刀っていうんだ。」
桃香もどっちかというと人懐っこい方だからな。彼女はクリッとした目でこちらを見ている。おとなしい犬みたいで可愛いな。
「・・・呂布奉先。」
呂布奉先・・・。呂布!?この子が・・・。側にいた愛紗や星も驚いているみたい。
「呂布ちゃんはここの諸侯の人知らない?私たち、その方に協力を求めたいんだけど?」
「月(ゆえ)のこと?」
「月?」
「月・・・董卓が恋の手助けしてくれてる。」
「じゃあ呂布さんは董卓軍の武将ってことでいいのかな?」
「・・・(コクッ)」
「お待たせしました。胡麻団子になります。」
胡麻団子が出てくるとその皿を呂布さんの方にやった。
「どうぞ。召し上がれ。」
「・・・(コクッ)ありがとう。」
そう言うやいいながら胡麻団子を頬張りだした。皿にのっていた胡麻団子があっという間に彼女の胃袋の中に消えていく。
「(もぐもぐもぐ・・・)」
和むなぁと思っていたら向かいに座っていた愛紗の表情が崩れていく。
「はぁぁ~~~~。」
愛紗って可愛いもの好きなんだな。呂布ちゃんを見ているお客さんたちの表情が綻んでいた。
「呂布よ、この胡麻団子も食べていいぞ。」
愛紗が手を付けていなかった自分の胡麻団子を呂布さんのもとにやった。
「・・・いいの?」
「あぁ、存分に食べてくれ。」
すると愛紗の分も呂布さんが食べ始めた。
「はぁぁ~~~~。」
再び愛紗の顔が綻ぶ。俺としては呂布さんのもふもふ顔も顔も可愛いけど愛紗の破面している顔も可愛いな。隣に座っている桃香が、呂布ちゃんを見てると何か和むね~と呟いた。桃香、同感だ。
「お兄ちゃん、鈴々も何か注文していい?」
「いいぞ。」
鈴々が杏仁豆腐と胡麻団子を注文し、出てくると相変わらずの勢いで杏仁豆腐が消えて行った。呂布さんは鈴々が食べた杏仁豆腐の皿を凝視していた。
「・・・もしかして、杏仁豆腐食べたいの?」
「・・・(コクッ)」
「すいません、杏仁豆腐一つお願いします。」
杏仁豆腐が出てくると呂布さんもすごい勢いで杏仁豆腐を完食してしまった。
「そろそろ出ようか。」
「そうですね。」
俺たちは会計を済ませ外に出た。
「呂布さん、お腹はたまった?」
「・・・(コクッ)ありがとう。」
外でみんなで話していると、後方から女の子がこちらに走ってきた。
「恋殿―!どこですかー?恋殿―!」
すごい勢いでこちらに走ってくるのだが、あれは止まれるのか?
「ちんきゅ・・・。」
「あっ、恋殿!」
走ってくる子の女の子の勢いが加速した。加速した!?やばい!ぶつかる!俺に!
「ご主人様!危ない!」
「大丈夫だから、任せて。」
彼女がぶつかる寸前に体を少し後ろに引き、彼女を抱きとめた。
「大丈夫?」
「あ、ありがとうなのです。」
彼女をはなすと呂布さんの方に顔を向けた。
「恋殿、こちらの方たちと一緒にいたのですか?」
「・・・(コクッ)ご飯食べさせてもらった。」
「そうですか。親切なお方たち、ありがとうなのです。」
「いえいえ、一緒にご飯食べれて楽しかったし。気にしないで。」
「はい。恋殿、詠から召集がかかっているです。」
「・・・(コクッ)」
「えーと、俺たちもついて行っていいかな?」
「?」
俺はそのお付きの子?に今の俺たちの状況を説明した。
「そういうことですか。しかし、それはこちらの軍師に聞かないといけないのでついてきてもらえますか?」
「ありがとう。ついていかせてもらうよ。」
ついて行こうとしたら俺たちの前方からまた何かが走ってくる。人ではない。あれは・・・犬!?結構な勢いで・・・。これは、デジャブかな?どんどん近づいてきてその犬は一刀に飛びかかった。なかなか大きい犬だったため一刀は耐え切れず尻餅をついてしまった。
「ご主人様!?」
桃香たちの心配をよそにその犬は一刀の顔を舐めていた。
「こら、くすぐったいって。あははは。」
「わう!」
倒された一刀はというと舐められているのを気にせずに頭を撫でていた。世話焼きで動物好きな一刀としてはこれはこれで楽しいものだった。
「セキト・・・。めっ。」
「くぅ~ん。」
呂布さんがその犬の頭をこつんと叩くとセキトと呼ばれた犬は名残惜しそうに一刀から離れた。
「その犬は呂布ちゃんの犬?」
「・・・(コクッ)恋の家族。セキト。」
「わう!」
セキトは元気に吠えた。尻尾を振って、見るだけで嬉しそうなのは分かった。それにしてもセキトか。史実の呂布は赤兎馬を乗り回したというがまさか犬とは。確かにほんのり赤い毛並で賢そうな犬だ。
「けど不思議。セキトが他の人に初対面で懐くの、あまり見たことない。」
「昔は動物好きで・・・、動物好きなんだけど俺がいると犬やら猫やら鳥やらたくさん寄ってきて大変だったんだ。動物に好かれる何かがあるのかもね。」
「動物に好かれる人、良い人ばかり。一刀も、良い人。」
「ありがとう。」
呂布さんの頭を撫でると子犬の頭を撫でているような気持ちになった。呂布さんの隣にいたセキトも近づいてきて、こっちも撫でてと言わんばかりに俺の方を見てくる。目は口ほどに物を言うとはこのことだな。犬だから喋らないんだけど。なんだかんだでセキトの頭を撫でると満足したようで、呂布さんの隣に戻っていった。
「じゃあそろそろ行こうか。」
「はい。案内しますのでついてきてくださいなのです。」
俺たちは呂布ちゃんたちと洛陽の城に向かった。城の前で待たせてもらうこと半刻、呂布ちゃんとお付き?の子が出てきた。
「董卓様から中に通すようにお許しが出ましたので、どうぞお入りください。」
中に入り、玉座まで向かうと武官らしき人が二人、軍師らしき人が一人、それと中心に諸侯らしき人物が待ち構えていた。
「ようこそ、私は董卓仲頴と申します。」
「俺は北郷一刀と申します。皆からは天の御使いって呼ばれてます。董卓様、お会いしていただき感謝します。」
天の御使いの名に董卓さんたちが少し驚いた表情をしたがすぐにもとに戻した。
「私たちと協力して黄巾党を討伐したいと伺っています。お力をお貸ししたいのですが、まずはあなたたちがどのような方たちか教えていただきたいのです。お話してもらえますか?」
俺は旅の目的、今の俺たちが置かれている現状をこと細かく説明した。
「このとうりです。」
そこで董卓様の隣にいた軍師と思われる人物が口を開いた。
「僕は賈駆文和。話は聞かせてもらったわ。あなたたちに協力する。こちらからは、呂布と陳宮を貸すわ。」
「え?二人だけですか?」
桃香がそこでなんで?と言いたげに口を開いた。他のみんな同じような表情をしている。
「本当なら張遼と華雄も出したいのだけど、他にあてないといけないから。」
「大丈夫。恋だけでも敵を殺せるから。」
呂布さんの言葉に俺は少し戦慄を覚えた。その言葉に見合った実力が伴っているのだろう。
「けど!」
「大丈夫だよ。」
「ご主人様?」
「呂布さんはあの飛将軍なんだ。それに、俺や愛紗に鈴々、星に清羅もいるしね。作戦なら朱里と雛里もいるから十分だと思うよ。」
「・・・(コクッ)」
俺も史実にあった呂布の話は十分に理解している。飛将軍、天下無双、どれも一騎当千の武将ということはそれだけで窺える。呂布さんと共に剣を振るえることに自分の中の高揚感が高まっていくのを感じた。話が纏まったところで賈駆さんが口を開いた。
「じゃあ黄巾党討伐には一週間後に向かってもらうわ。それでいい?」
「了解した。」
「ではそれまでは洛陽でゆっくりしていってください。それにしても、他の兵の方たちはどこにいるのですか?」
「兵の皆には街を散策してもらっています一見、兵には見えない恰好をしているのでそちらの兵を威圧する心配はないと思います。勝手なことをして申し訳ありません。」
「いえ。その方がこちらとしても安心ですので、頭を上げてください。」
「ありがとうございます。」
「では解散にします。」
そうすると各々話をし始めた。お互いに自己紹介をしていた。俺は名前を知らない武官の人たちのものに向かった。
「呂布のことよろしくな、北郷はん。」
「任せて。改めて、俺は北郷一刀。天の御使いです。」
「うちは張遼文遠。神速の張遼とはうちのことや。それにしても、北郷はん、呂布とえらい仲ええやないの。呂布があんなに他の人のこと話すんは初めて見たで。」
「俺たちが食事していたら外から俺が食べてた胡麻団子を凝視してたんですよそれを見たらお腹を空かせてると思ってご飯をご馳走してあげたんです。そしたらなんかなんというか、気分的には子犬に懐かれた感じです。」
俺が思い出すように言うと張遼さんはうんうんと頷いた。
「分かる、分かるで。呂布の食事姿は見ていて癒し効果っちゅうんかそんなんが出てる気ぃするもんな。」
俺の隣で愛紗がうんうんと頷いている。そんなに首を振ったら首痛めないかな?
「それにしても北郷はん、相当腕が立つと見たんやけど、後で模擬戦せぇへんか?」
「神速の張遼と剣を交えるのは光栄だな。是非お願いするよ。」
「約束やで!」
お互いに握手すると張遼さんはガッツポーズしたあと駆け足で槍を取りに行った。
「そうか。北郷は武官なのか。私は華雄だ。」
「武官だけど軍師のお手伝いもしているんだ華雄さんも武官でしょ。」
「あぁ。文官の仕事はできないが己の武には誇りを持っている。どうだろう、私とも一戦お願いできないか?」
「今日は張遼さんとだからなー。明日でどうですか?」
「分かった。」
「では私が相手をしよう。いいか?華雄殿?」
「そなたは?」
「私は関雲長。幽州の青龍刀だ。」
「よろしく頼む。あとで下の広場に来てくれ。」
「分かった。」
華雄さんも外に出て行った。次は賈駆さんのとこに行こうと思ったら鈴々が俺の服を引っ張ってきた。
「お兄ちゃんも愛紗もずるいのだ!鈴々も戦いのだ!」
「ずるいって言われてもなー。一週間あるんだからその間にすればいいんじゃない?」
「鈴々!早くしたいのだ!」
「鈴々!あまり駄々をこねるな!」
「どうどう、愛紗もそんなに言わなくてもいいって。」
「しかし・・・。」
鈴々と愛紗が頬を膨らませていると星がこちらに近づいてきた。
「では鈴々、私とではどうだ?」
「星なら文句なしなのだ!早速行くのだ!」
鈴々は一人で駆け出して行ってしまった。
「星!あまり鈴々を甘やかさないでくれ。味を占めたら面倒なことになる。」
「姉バカ殿も十分思うのだがな。」
「誰が姉バカだ!」
「私としても槍を振るいたいと思っていたのでな。主、明後日に私とも一戦頼みましたぞ。」
そう伝えると星も外に出て行ってしまった。俺、何も返答してないんだが・・・。
「ご主人様も大変ですね。」
「俺も対人戦に慣れとかないといけないからね。そういう意味では丁度いいって思っているよ相手が歴戦の武将ばかりだから苦戦するのは覚悟しておかないと。」
「そのように言っている時点で結構余裕が余っていると思いますよ。」
朱里たちと一緒にいたはずの清羅がいつの間にか隣にいた。全然気づかなかった・・・。
「そうかな?緊張しているんだけどなー。」
「大抵の方なら三日連続で模擬戦、しかもあの三人となんてしようとは思いませんよ。私はその空いた時間にでもご主人様と街を回りたいのですが、いかがですか?」
あとで清羅を誘おうと思っていたから丁度いいかな。俺が気を失っていた時に介抱してくれたお礼もしたいし。
「分かった。じゃあ、明日でいいかな?」
「はい。ふふっ、楽しみに待っていますね。」
清羅はどこか機嫌良さそうな表情を浮かべながら星たちの模擬戦を見に外に出て行った。
「ご主人様、嬉しそうですね。」
愛紗はどこか不満そうな顔をしてそのようなことを呟いていた。何か気に障るようなことをしたかな。
「愛紗、俺が何かした?少し不機嫌そうに見えるけど・・・。」
「そのようなことはありません!あっ・・・。すみません・・・。大声を出して。」
愛紗は罰の悪い顔をしている。うーん、ますます分からなくなったな。
「愛紗も今度・・・明後日くらいに街に出かける?」
「いえ!そのようなことは・・・。」
「俺と出かけるのは嫌か?」
「うっ・・・。」
そのような子犬が捨てられたような表情をして・・・。そのように見られたら私も断れなくなってしまうではありませんか・・・。ご主人様と出かけるのは嬉しいのだが、このような無骨者と一緒にいても楽しくないのではと考えてしまう。ここは正直に言おう。
「嫌というわけではありません。私もご主人様と出かけに行きたいと思っています。ですが、このような無骨者の一緒にいても面白くないでしょう。」
それを聞いた一刀は?マークを頭上に浮かべていた。
「そんなことないよ。愛紗みたいな可愛い子と出かけられるのは俺も嬉しいし、楽しみだよ?」
「か、かわ!~~~~~~//」
愛紗はすっかり赤面してしまった。それを聞いていた桃香や朱里、雛里はいいなぁと思いながら、清羅は微笑ましいと思いながらも私もそのように言ってもらいたいと少しやきもちを焼きながら一刀たちの方を見ていた。
「ごほん。分かりました。では、明後日は空けておきますので。」
「ありがとう。」
そのときの一刀の微笑みに愛紗がやられたことは言うまでもない。一刀は今度こそ賈駆さんのところに赴いた。賈駆さんは董卓さんの隣にいた。
「賈駆さん、今回はよろしくお願いします。」
「気にしなくていいわよ。僕たちも黄巾党には困っていたところだし、あなたたちが来なかったら恋・・・呂布と陳宮に行ってもらったもの。こちらとしても助かってるの。」
「えと、北郷さんは天の御使い様ということは先ほどお聞きしたのですが、そしたら文字通り天から来たということですか?」
天か・・・。未来からということはそういうことでいいのかなって今でも疑問だけど。まっ、いいか。
「うーん、近からず遠からずってとこです。俺はこの時代から一八〇〇年後の未来から来たんです。まぁ、俺が知っている歴史とちょっと違うから天っていう解釈でいいと思います。」
「未来ですか・・・。」
「未来ね、少し興味あるわね。」
「今の時代の人たちが劉邦や項羽がいた時代に行くみたいな感じです。いきなり歴史上の人物がいてびっくり!みたいな。」
「なるほど。」
「まぁ、そういうのは気にしないで普通の文官として、一人の北郷一刀として見てくれれば嬉しいです。あまり堅苦しいのも苦手なので。」
一刀が苦笑いすると董卓さんと賈駆さんはくすっと笑った。
「北郷さんは面白い方ですね。初めてあったのにずっと前から一緒にいた気分になります。」
「そうね。話していると初対面の気がしないし。」
「ご主人様はね、とっても良い人なんですよ。私たちの手助けをしてくれたり、細かい気遣いがしっかりしていて。私の寝癖も直せちゃうんです。」
「桃香、寝癖を直せるうんぬんはいい人とあんまり関係ないよ。手助けをするのは、俺たちは仲間なのだから当然のことだよ。もちろん、董卓さんたちもね。」
一刀の優しさの権化とも言わんばかりの微笑みに董卓と賈駆は見入ってしまった。そして、自分たちを仲間だと言ってくれたこの人たちには真名を許してもいいのではないかと。
「あ、あの!北郷さん!」
「?」
董卓さんはえーと、と言いながら顔を少し赤くしてごにょごにょとしていた。どうしたのかな?一刀はどうしたの?と言いながら董卓に顔を近づける。
「へぅ//ち、近いので、少し離れてください。もう大丈夫ですので。」
「そう?」
董卓は顔を赤らませながらも深呼吸して落ち着きを取り戻したもう一度大きく深呼吸すると北郷さん!と言って一刀の瞳を見つめながら言った。
「私たちのことを仲間だと言っていただいたこと、大変嬉しく感じました。ですから、これかも、討伐が終わっても仲良くしていきましょうという証も込めて、私の真名をお預かりしてもらえませんか?」
それを聞いた俺と桃香たちは皆で顔を見合わせ軽く微笑した。そんなこと、最初から返答は決まっていた。董卓さんが言い出さなかったら桃香あたりが言い出しそうだったしね。
「うん。ありがたく預からせてもらうよ。」
一刀がそう答えると董卓の表情が満面の笑みに変わった。
「私は、姓は董、名は卓、字は仲頴。真名は月と申します。」
「月が真名を許すなら私の真名も預かってもらうわ。私は、姓は賈、名は駆、字は文和。真名は詠よ。」
月と詠が俺たちに真名を許してくれると呂布さんが俺の裾をくいと引っ張ってきた。
「恋のことも・・・、恋でいい。ほら、ねねも。」
「むむむ、恋殿や月が真名を教えたのならしかたないのです。姓は陳、名は宮、字は公台。真名は、・・・音々音!」
「月に詠、恋に音々音ね。ねねねはどういう文字を書くの?」
「音!音!音!さっさと覚えやがれなのです!それとねねでいいのです。」
何かさっきと俺に対する対応が違うぞ?何かしたか?
「了解、ねねちゃん。」
月たちの自己紹介が終わったところで桃香たちが自己紹介を始めた。
「私は劉備玄徳、真名は桃香です。中山靖王劉勝の末裔で、ご主人様と一緒に世直しの旅をしています。」
「私は、関羽雲長、真名は愛紗。幽州の青龍刀とは私のことだ。桃香様とご主人様のもとで一番槍をしている。」
「私は諸葛亮孔明。真名は朱里です。荊州の水鏡先生のもとで兵法や地理を学んでいました。」
「鳳統士元。真名は雛里でし。朱里ちゃんと同じく水鏡先生のもとで勉学を学んでいたでし。」
「雛里ちゃん、噛んでるよ。」
「あわわ。」
雛里のあわわを聞いた詠がくすっと笑った。
「あなたたちが噂に聞くはわわ軍師とあわわ軍師ね。」
「はわわ!」
「あわわ。」
はわわ軍師、あわわ軍師ね。何かお似合いな気がする。口に出したら怒られそうだけど。皆の表情に笑みがこぼれる。軍師二人は困った顔をしていた。というか妙な二つ名に軽く凹んでいるように見えた。
「俺は字と真名がないからさ、一刀って呼んでほしいかな。御使い様とか呼ばれるときもあるけどなんかくすぐったくて。」
「分かりました。一刀さん、あとで霞さん・・・張遼さんとの模擬戦が終わった後に時間があったら私が街を案内しようと思うのですが、いいですか?」
「いいよ。月といろいろお話もしたいからね。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
二人でぺこぺこと頭を下げながら、あははと笑い合った
「ご主人様、私ともお出かけ行こうね♪」
「あぁ。楽しみにしているよ。」
「やった♪」
「じゃあとりあえず割り当てる部屋に案内するからついてきて。」
咏の言葉に俺たちは詠と月についていった。ここで困ったことが一つ。
「部屋が四つしか余っていませんね・・・。」
「朱里と雛里で一部屋。清羅と星で一部屋。愛紗と鈴々で一部屋。俺と桃香が同じ部屋を使うわけにはいかないし・・・。桃香がその部屋を使って。俺はどこか宿を探すから。」
「私は構わないよ。むしろご主人様と同じ部屋がいいな♪」
俺の身が保たないって・・・。
「で、では一刀さん。私の部屋に来ますか?」
「ゆ、月!?」
ここにきて月の爆弾発言。いや、そこは桃香を誘うべきじゃ・・・。
「私も一刀さんとお話ししたいですし//」
「と、とりあえず皆と話してからにしよう。な?」
ん?みんなに話しても女の子しかいないからどうしようもないような・・・。一刀
は頭を抱えるしかなかった。全員と話し終えるころには修羅場になることは必至のようだ。一刀は今日も空は青いなぁと天を見上げ現実逃避することとした。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。第三節はまだ終わっていないのですが、これで投稿5つ目と区切りが良いので次から拠点フェイズに移ろうと思います。拠点は2人ずつにします。次は霞姐さんと月ですね。一刀の泊まる部屋ですが、一瞬あみだくじでも作ろうかと思いましたが、そこはどうにかします。華雄姐さんはオリジナルで真名をつけるかどうか迷っています。それと、ねねの敬語に少し違和感が・・・。それでは 次回 拠点壱 神速と聖桜・逢引!?へぅ// でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。