No.476615

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 snow wind -episode17-

久しぶりの更新。
でもあんまり進んでません…

2012-08-28 13:56:58 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:828   閲覧ユーザー数:772

あれから四人でリーンボックスの街を見て回ったりクエストを何個か受けたりして数日後。

わたし達は未だにネプギアさん達と合流できないでいた。

 

「もぉー! あいつらはどこにいるのよーっ!!」

「これはルウィーで別れる前に連絡先交換しとけばよかったかもですねー」

「…それをすっかり忘れてたよ」

 

頭を抱えてそう答える。

アイエフさんとか携帯持ってるの知ってたのに…はぁ、バカだなわたし。

 

「…あ、あれ…ネプギアちゃん達…?」

「え?」

 

そんなとき、ロムちゃんが指差しながらそう言い、ラムちゃん・アリスと共にその方向を見つめる。

そこには紫・茶・桃・青・赤・黄とカラフルな髪の色の集団がいた。

…こう見ると結構目立ってるよね、あの集団。二人くらい知らない人がいるけど。

と、その集団の先頭の紫髪――ネプギアさんがこちらに気付いたようで、手を振りながらこっちに向かってきた。

 

「もうリーンボックスに来てたんだ、フウちゃん達」

「数日前くらいから来てましたけどね。まぁ連絡を取る方法が無かったので会えてよかったです」

「…そういえばすっかり忘れてたわね」

 

アリスの言葉を聞いて思い出したように言うアイエフさん。

ホント、しっかりしとくべきだったよね…

 

「会えてよかった…」

「それはそうとして、その後ろの人達は?」

 

合流を喜ぶのもいいけど、わたしはそれよりも会ったときから気になっていた事をネプギアさん達に聞いてみた。

 

「あぁ。えっとね、この二人はリーンボックス特命課のケイブさんとツキさん。ちょっと色々あって一緒に行動してるの」

 

リーンボックス特命課…って、なんだっけ。

…まぁ、リーンボックスの事なんて別にどうでもいいけど。

 

「あ、貴女は…」

「? なんですか…?」

 

とかそんな事を思っていたら、そのリーンボックス特命課とやらの一人がわたしを見て驚いていた。

…? どこかで会った…って訳でもないよね、この人の顔なんて記憶にないし。

 

「フウちゃん、どうしたの?」

「フウ…?」

「…? 確かに、わたしはフウって名前ですけど…」

 

わたしの名前まで知っている…えぇと、ツキさん? の様子を見て、一度真剣に思い出そうとしてみる。

でも、やっぱり彼女とは過去会った事も話した事もないはずなんだけど…ラムちゃん達と会う前までほぼ独りだったし。

 

「……いや…確かにあの子にそっくりだけど…どこか雰囲気が違うし名前も違う……」

 

ツキさんはというとなにやら一人でブツブツ呟きながら何かを考えている。

もう、ホントになんなのさ。

 

「まず、身長が低すぎるしね……ごめんなさい、人違いだったわ」

「そう、ですか…? …っていうか初対面で失礼なっ!?」

 

そりゃ、確かに小さいさ、ラムちゃん達と変わらないくらいだよ?

でもわたし、これでも記憶喪失になってから14年は生きてるんだからね? なんで14年前から身長が全然伸びないのかはわたしだって知りたい。

……まぁ、人違いなら別にそれでいいけど。

 

「それはそうと、ゲイムキャラにはもう会えたんです?」

「それなんだけど…」

 

と、アリスがネプギアさん達にゲイムキャラについて聞くと、ネプギアさんはこれまでの経緯を話し始めた。

 

「…あの変な人に船、止められちゃってたんだ…」

「そっちもそっちで苦労してるんですねー」

「そんなことより、犯罪神崇拝規制解除!? この国の教祖は何を考えてるの!?」

 

ネプギアさんの言った事に驚き、同時に軽い怒りを覚える。

なんだってそんな事を…ここの教祖はバカなの?

 

「…って、何?」

「えぇと、犯罪組織を信仰してもいいですよ、ってことじゃないですか?」

「はぁ!? そんな事するなんてバッカじゃないの!?」

「フウちゃん、ラムちゃん、落ち着いて…」

 

ロムちゃんにそう言われ、一度深呼吸をして自分を落ち着かせる。

すぅ…はぁ……

 

「…ともかく、ホントにその人は何を考えてるんだか。教祖ともあろう人がそんな…」

「とにかくそのチカってヤツを懲らしめちゃえばいいじゃない! そいつが悪いヤツなんでしょ?」

「そんな単純な話だったら私としても楽で良かったんだけど、ねぇケイブ?」

「えぇ。…チカの言動がおかしくなったのはここ数日の事、まだ悪と断定するには早いと思うわ」

 

ふぅん…

 

「ねぇ、ネプギアさん達がチカさんに初めて会った時は、もう変だったの?」

「私は特にそうは感じなかったけど…」

「がすとは変だと思ったですの。怪しい感じプンプンでしたの」

「…そういえば、ネプギアさん達ってここに来る前にあの下っ端って人に足止めされてたんだよね?」

「うん、ほんっとに頭に来るよ! あの下っ端!」

 

日本一さんが憤慨しながらそう言う。

………いや、確かに髪の色は一緒だけど…いや、まさかね…

 

「…わかった! そのチカって、きっとニセモノなのよ!」

「偽者?」

「そ! 悪いヤツがチカって人にすり替わってるのよ。それならツジツマが合うわ!」

「…そう言う絵本、前に読んだことある」

 

ラムちゃん、そのドヤ顔はなんなのかな…

 

「…その可能性は低いんじゃない? 偽者だったら流石にこの二人が気付くでしょ」

 

まぁ、そうだよね――

 

「…いいえ、多分気付かないわ」

「「…え?」」

 

そんな予想外の返答に、思わず聞きなおしてしまう。

え、リーンボックス特命課…えっ?

 

「私は人の機微には疎いから…外見が同じであれば、簡単に騙される自身があるわ」

「ケイブ、それ自信持っていう事じゃないわ。…ちなみに私は教祖に会う事自体殆ど無かったから分からないわ」

 

…リーンボックス特命課、ダメじゃん。

でも、そうなると…調べてみる価値はあるかも。

 

「でも…偽者の可能性が出たと言っても、どうやって調べるですか? わたし達も以前の教祖さんは知らないですし…」

 

コンパさんの言う通り、問題はそこだ。

前までの教祖について知ってる知り合いがいればよかったんだけど…生憎リーンボックスの詳しい知り合いどころか仲の良い人が三人しかいないからね。ちょっと前まではぼっちだったものですから。

 

「うーん……、あ、ユニちゃん! ユニちゃんなら様子がおかしくなる前に会ってるかもしれません!」

 

どうしたものかと考えていると、ネプギアさんが誰かの名前を挙げる。

もちろん聞いた事無い名前だけど、誰だろう。

 

「…なるほどね。ま、一応探してみましょうか。素直に協力してくれるといいんだけど」

「フウちゃん達も一緒に来る?」

 

どうするかを決めたネプギアさんがそう聞いてくる。

 

「わたしは構わないけど…ラムちゃん、どうするの?」

「ま、まぁ、あの時約束しちゃったから、仕方なくよ! 仕方なく!」

「ロムちゃん…!」

「素直じゃないですねぇ~」

「う、うるさいっ!」

 

というわけで、ネプギアさん達と無事会う事ができたわたし達はルウィーでの約束通り、ネプギアさん達と一緒に行くことになった。

 

で、そのユニって人を探す為に行動を開始したんだけど…とりあえずどんな人なのか聞いてみる事にした。

 

「……えぇと、ネプギアさん」

「うん? なぁに? フウちゃん」

「あの、今探してるユニさんって人はどんな人なの?」

「え? えっとね…ユニちゃんはラステイションの女神候補生で、私のお友達なの」

「ラステイションの、女神…」

 

それを聞いた途端、なんだか不思議な感じになる。

なんだろう、この…モヤモヤした感じ。

 

「フウちゃん? どうかしたの?」

「あ、ううん、なんでもない……んだけどさ」

 

このモヤモヤも気になるけど、今はそれよりも…

 

「うん、どうしたのかな」

「………なんでネプギアさんはものすっごく自然にわたしを抱き上げてるんでしょうか?」

 

…この状況をどうにかして欲しい。

 

「もしかして、嫌だった…?」

「いや、嫌…というか、なんというか…」

 

いつも知らぬ間にネプギアさんの腕にいるから地味に心臓に悪いってのはまぁ、あるんだけど。

 

「…ネプギアさんはどうしてわたしを抱っこしたがるの?」

 

気になるのはここ。

気のせいか会う度にこうなってる気がする。

 

「だって、フウちゃん可愛いんだもん!」

「か、かわ…っ!? わ、わたしなんかよりラムちゃんとかロムちゃんの方が可愛いって!」

 

顔に熱が集まるように感じて、思わずそう叫んでしまう。

で、でもホントに二人の方が可愛いと思うし…

 

「お、お願いだから離してくださいーっ!」

「ダメ! 離さない!」

「あわわ…ぎゅーってしないでーっ!!」

 

その頃、他の人達はといと。

 

「…なんか、あの子がいるとネプギアがおかしくなる気がするんだけど…」

「でも、ギアちゃんの気持ちはわかります! フウちゃんってなんだかぎゅーってしたくなる感じがしますです!」

「フウちゃん、可愛いから…」

「ろ、ロムちゃんの方が可愛いわよ!」

 

とかなんとか言ってたとか。

見てないで助けてくれたらよかったのに…

 

「…なんか騒がしいと思ったら、アンタ達?」

 

と、そんな所に黒い髪をツインテールにした女の子が声をかけてくる。

 

「あっ、ユニちゃん!」

「ネプギア…アンタこんな街のど真ん中で何してんのよ? アンタが大騒ぎしてるから注目の的よ?」

「え…?」

 

言われて辺りを見回してみると、こちらに注目する通行人の皆さんが。

少しの沈黙の後、わたしは無言でネプギアさんの腕から抜け出す。

 

「…と、とりあえず! 場所を移しますよっ!」

「あ、フウちゃん待ってー!」

 

そしてそれだけ言って、さっさとその場を後にする。

今のわたしはとにかくその場を離れたい、それだけしか頭に無かった。

「……ふぅん、それで教祖が偽者かもしれないって思った訳?」

 

場所を移動して、ユニさんにネプギアさんが教祖についての考えを話す。

 

「うん。ユニちゃん少し前にチカさんに会った事ある?」

「この国に来た時、挨拶程度にね。確かにあの時は犯罪組織に折れるような人には見えなかったけど…」

 

どうやらユニさんはその変になる前の教祖に会ってたみたい。

それなら偽者がどうかもわかるかな。

 

「それならえっと…ユニさん? もう一度教祖さんに会ってそれを確かめてほしいんですが…」

 

それなりにネプギアさんから距離をとりつつ、ユニさんにそう頼んでみる。

っていうか、わたしが言う事じゃないか。

 

「うん。ユニちゃんお願い」

「私からもお願いするわ」

「ケイブに人を見る目さえあればわざわざ女神サマに手間かけさせるようなことも無かったのにねぇ」

「…ツキ、少し黙ってもらえる?」

 

ネプギアさんとケイブさんもユニさんにそう言う。

 

「い、嫌よ…なんでアタシが、アンタの頼みなんて…」

 

あ、あくまで眼中にあるのはネプギアさんだけですかそうですか。

…何さアリス、そんな顔してわたしの肩に手を置かないでよ。なんか腹立つから。

 

「ユニちゃんにしか頼めないの…だからこの通り!」

「……アタシにしかできない…?」

 

手を合わせ、いかにも「お願い」といったポーズでユニさんに頼み込むネプギアさん。

この人なんかひねくれてそうだからなぁ……それで承諾してくれるのか……

 

「…ふ、ふん! そこまで言うなら仕方ないわね」

 

…思ってたより単純でした。

というより、どうもわたしの『誰々は聞いてくれるか…』みたいな予想は外れるみたいだね…

 

「やってくれるの!?」

「えぇ、任せておきなさい。偽者とやらの正体、バッチリ暴いてやるわ!」

 

まぁ、やってくれるのならそれはそれでいいけどさ。

…でも、なんだろうな。ユニさんを見てるとなんていうか…なんだろう?

 

「…フウちゃん? どうしたの…?」

「あ、ううん、なんでもないよ」

 

ぼーっとしているとロムちゃんがわたしの顔を覗き込みながら不思議そうな顔をしていたので、そう答えてネプギアさん達の後を追うように教会へと向かった。

という事で移動をカットしてリーンボックス教会。

外見は違うのに中はルウィーの教会とあんま変わんないなぁ。

 

「こんにちはー。チカさんいらっしゃいますかー?」

 

そんな事を思っていると、ネプギアさんが広間の扉を開きながら教祖の名を呼んでいた。

 

「…はい、私はここにいますよ?」

 

アレがリーンボックスの教祖、箱崎チカか。

…なんか違和感を感じる……なんだろう。

 

「よかった、やっと会えたわ。頼まれたモンスターを倒して以来ずっと会えなかったから逃げられたのかと思った」

「……。そそ、そんな。逃げるなんてやましい方のすることでしょう?」

 

…アイエフさんの言葉にも動揺してる…確かに怪しい。

でも、だかといって決めつける訳には……世の中には同じような声の人だっているし。どっかの影と白女神みたいに。

 

「そーいえば、ゲイムキャラの情報くれるって約束だったよね。すっかり忘れてたよー」

「あ、あーっと……その件は現在こちらも調査中でして…ん?」

 

と、ここで教祖がユニさんとわたし達に気が付いたみたいでこっちを見てきた。

…とりあえず、睨み付けてみる。

 

「「…………」」

「あ! テメ……じゃない。あなた達はラステイションとルウィーの女神候補生とそのお供…な、なんでここにいらっしゃるのかしら?」

 

お供…まぁ間違ってないけど…でも…

 

「あら、アタシの事ご存じなんですか? 初めてお会いするのに光栄です。ねぇ?」

「え? え、えぇ! よく知ってたわね!」

 

ユニさんに話を振られ、動揺しつつもふんすっ、とそう言うラムちゃん。

……なんか最近、このラムちゃんの強がる仕草が可愛いと思うようになってきたんだけど。

 

「う、あ…そ、それは……きょ、教祖として、女神候補生の顔くらいは存じてますのよ。そちらのお供の方の事も。えぇ」

 

若干引き攣った顔をしながらもなんとかそう答える教祖。

わたしの事も、ねぇ…

 

「…わたし、最近雇われたばっかりなんだけどなー。情報早いなー」

「うぐっ……そそそ、それは……」

 

おーおー、ボロ出すの早いなー。

 

「…なんで私、気付けなかったのかしら」

 

後ろでアイエフさんが頭を抱えながらブツブツ言っている。

そういえばアイエフさんって諜報部だったよね、プラネテューヌの諜報部ってみんなこんなレベルなのかな。

 

「それにこいつ、多分……」

 

ふと、そんな呟きが聞こえたのでユニさんの方を見てみると目が合った。

あ、すっごい悪い笑顔。

 

「あ、ごめんなさい。よく考えたらお会いするの初めてじゃなかったですね」

「えぇ? そ、そうだったかしら? 最近どうも物忘れが激しくて…」

 

もはやバレバレなのになおも偽装を続ける教祖チカ(偽)

……あれ、なんか今のわたしの言い回しにデジャヴを感じたような…

 

「そうね、大分前の事だもんね。ラステイションでアタシにぶっ飛ばされた事なんて都合よく忘れてるわよねー」

「だ、誰が忘れるかよ! テメェみたいな生意気なクソ小娘なんぞにやられた屈辱……あ」

 

これでもう言い逃れはできないね。

にしても…変装自体は良い感じだったけどなんでネプギアさん達は声で気づかなかったんだろう。

 

「あ…もしかして…下っ端さん、ですか?」

「すごい…ユニちゃん、どうして分かったの?」

「どうして分かんなかったのか逆に聞きたいわよ」

「というか私思ったんですが、どう聞いても声が下っ端さんではないですか?」

 

驚くネプギアさん、コンパさんにため息を吐くユニさん。

そしてアリスがそう一言。ですよねー。

 

「分からなかった……諜報部失格だわ…」

 

うん。ぶっちゃけクビになっても文句言えないと思う。

 

「く、クソッ! この完璧な変装がバレるなんて……けっ! 今まで簡単に騙されやがって、頭の中までめでてぇ連中だぜ!」

「ん? 完璧? 声そのままだったのに? ボイスチェンジャーでも使ってからそういう事は言った方がいいんじゃない?」

「う、うるせェぞ!」

 

本当の事を言ったら怒鳴られた。

事実じゃん。

 

「本当に偽者とすり替わっていたのね……本物のチカはどこ? 答えなさい!」

「面倒だからさっさと答えなよ、チェーンソーの錆になりたくなければね」

 

と、ここでリーンボックス特命課の二人が武器を構え下っ端に言い放つ。

っていうかそうだ、問題はそこだった。

 

「おー怖ェー。脅されようがテメェらに答えてやる義理はねェよ! 目的の殆どは果たしたんだ、ここはトンズラだぜぇ!!」

 

下っ端はそう言うと目にも止まらない早さで教会から逃げ出す。

早っ! 逃げ足早っ!!

 

「あ! また逃げた!」

「追いかけましょう。何としてもチカの居場所を聞き出さないと」

「はいっ! 待ちなさーい!!」

 

逃げた下っ端を追うようにしてネプギアさん、コンパさん、アイエフさん、日本一さん、がすとちゃんと特命課の二人も教会を出ていく。

…あの人達、途中で撒かれないかなぁ。

 

「あ、待ちなさいよ! 人に仕事頼んでおいて置いてけぼり!? ちょっとー!?」

 

そして置いてかれたユニさん。可哀想に。

 

「フウちゃん! ネプギア達行っちゃったよ!?」

「……あ、そっか。一緒に行動するんだったっけ。…でももう見えなくなっちゃったから追えないね」

 

いやーうっかりしてた。てへっ☆

……心の中とは言えやって後悔した。

 

「…ま、まぁいいけど! 別に一緒に行きたかった訳じゃないし……ふんっ!」

 

あぁ。一緒に行きたかったんだ…

ラステイションの女神はツンデレって聞いたけど、ホントなのかな。

 

「…それで、ユニさんはこれからどうするんです?」

「アタシ? アタシはまぁ…シェア集める為にクエストにでも行くけど……アンタ達は?」

 

ふむ、クエストね…

連絡先の交換はしたし、わたし達も戻ってくるまで適当にやってればいいかな。

 

「えぇと、正直言って追うのめんどくさいし(ネプギアさん達を信じてあっちは任せて)、わたし達は戻ってくるまで適当に時間を潰そうかと」

「フウちゃん、本音と建前が逆です、逆」

 

おっと、思わず本音の方を口にしちゃった。

 

「そ、そう…。それじゃ、アタシは行くわね」

「はい。頑張ってくださいねー」

 

クエストを受けるらしいユニさんを見送って、教会に残ったのはルウィー組の四人だけになった。

……そういえば、さっきからロムちゃんとラムちゃんの二人が静かだな…

 

「ね、フウちゃん」

「…? 何?」

 

なんて思っていた矢先にラムちゃんがわたしを呼んできた。

なんだろう?

 

「あの、ね…? わたし達に、魔法を教えて欲しいの…」

「魔法? 二人とももう使えるでしょ?」

「そうじゃなくて、もっと強くなりたいって事! フウちゃんの魔法強いでしょ?」

 

えー、そうかなー。

 

「二人と同じくらいだと思うけど…」

「…フウちゃん、嘘つき…」

「そーよ! 明らかにわたし達のよりも強かったじゃない!」

 

そ、そう言われても…なぁ…

 

「あ、アリスー…」

「残念ですがフウちゃん、私が見ても威力の差はわかりましたよ」

 

あうう…あ、アリスまで…

うー…面倒な事になってきた…

 

「…はぁ……とりあえず場所を変えよ? こんな所で魔法なんて使ったら教会が大惨事になるだろうし」

 

炎上する教会なんてわたしは見たくない。

というか建造物が燃えてるの自体見たくない。

 

「では私は魔法に関してはからっきしなので……買い出しにでも行ってますね」

「そう? じゃあそっちはそっちで任せるよ」

「了解です。では何か欲しい物とかあります?」

 

欲しい物…ねぇ。

食べたい物って事でもいいのかな。

 

「んー…なんか甘い物が良いっ!」

「わたしも…」

「甘い物、と言いましても色々ありますし……それだけでは何が良いのかわかりませんよ」

 

甘い物、かぁ。

……そういえば。

 

「ねぇアリス、昨日街で見かけたクレープ屋さんとかどうかな?」

「あぁ、良いですね。お二人もそれで宜しいですか?」

「うん! いいよ! わたしいちごー!」

「…チョコレートがいい、な…」

「ふむ、いちごとチョコレートですね。フウちゃんはどうします?」

 

む、わたしか。

クレープなんてそうそう食べないからなぁ……それにどんなのがあるかよくわからないし…

 

「…わたしのは適当に、アリスのおまかせでいいよ」

「はい、了解しましたよっと。ではお先に失礼しますね」

 

わたし達から注文を聞き終えると、アリスは「行ってまいります!」と言いながら先に教会を出ていった。

 

「それじゃ、わたし達も行こっか」

「うんっ!」「…うん」

 

そんなアリスを見送ってからわたし達も教会を後にして、近場の平原へと向かったのでした。


 
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