「うぅん……」
翌朝、私はすずかちゃんに尚も抱きしめられながらも目を覚ましました。
朝はいつもランニングなどをしていた時期もありましたので、寝起きが悪いわけではなかったのですが、すずかちゃんに抱きしめられている状況でどうやって抜け出しましょうと思っていました。
無理にどかして起こしてしまうのはなんか嫌ですし、現に今は早朝の午前五時ですしね。まだ起こすのはどうかと思いますし。
しかし、どうにかしてここから抜け出したいのですが、かなりの抱きしめている力が強いのでそう簡単に抜け出せそうにありませんね。
「……どうしましょうかこれ」
一番いい方法はこのまま動かないですずかちゃんが起きるのを待つ事なんですが、すずかちゃんやアリサちゃんが起きる前に髪の毛を整えたりなどをしたいので、何とかして抜け出したかったのです。
いや、正確にはもう一つ理由があり、もしかしたらアリサちゃんが早く起きて私の寝室に来てしまったら、この状況を見て大変なことになるのが目に見えていたからです。
とりあえず、アリサちゃんが来る前に抜け出して何事もなかったようにしないと……
「なのは~ もう起き…て……る?」
……終わりました。一番来てほしくないアリサちゃんがやっぱりここに来ましたよ。
アリサちゃんはすずかちゃんが私に抱き着いている状況を見て、体が固まってしまったかのように動かなくなっていました。
こうなってしまった以上は本当の理由を言っても多分嘘だと思ってしまいますよね…… もうなるようになれ。
ってなわけでアリサちゃんには何も言わないでさっさと時間が流れて終わって欲しいと思った私はアリサちゃんの言葉を待つことにしました。
そして体が固まっていたかのようになっていたアリサちゃんはようやく状況を理解して、起きている私に向かって話しかけてきました。
「……なのは、これはどういうこと?」
「えっとですね…… これはすずかちゃんに言わないでと言われていますので秘密にしてほしいのですが、やはり昨日の誘拐が怖かったようで一人では眠れずに私の部屋で一緒に寝ることになったのです」
「ふ~ん…… それは納得できるけど。どうしてすずかがなのはに抱き着いているのかな?」
それはすずかちゃん本人に聞いてください。さっきから抱きしめ方が絶対に私を放さないかのように抱きしめてきているので、なんか別の意味で抱きしめているのではないかと思っていますし……
「……最初は怖かったから抱き着いたのかと思っているのに、朝にもなって離さないのはどういう事なんでしょう?」
「……ふ~ん。大体把握したわ」
「あ、」
声に出ていました。まぁ、別にアリサちゃんに隠す内容でもないしそもそもアリサちゃんには心を読まれますし……
ってあれ、なんか私忘れていませんか? そんな事よりももっと大変な事を読まれてはいけないと思うのですが……
「……まぁ、なのははほとんど嘘を言っているわけではないのは心を読んでわかったけど、さっさと寝たふりをしないですずかも起きなさいよ」
「え、」
突然すずかちゃんがそんな事を言い始め、私はその事に理解できませんでした。
しかし、アリサちゃんの言葉ですずかちゃんは突然目を開き、置き方からして寝たふりをしていたことが私にも分かりました。って、いつから起きていたんですか!?
アリサちゃんはすずかちゃんが目を覚ましたのを見て、すずかちゃんに話し始めるのでした。
「さて、どうして起きていたのになのはに抱き着いていたのか詳しく聞きたいのだけど」
「…………」
「あ、黙っていても私にはどうして抱き着いていたかは魔法で分かるの。だから黙っていたところでまったく意味ないから」
「……そう。じゃあ私が抱き着いていた理由を知っているならこれだけ言えばいいよね。
……って、ちょっと待て。今すずかちゃん何と言いました!?
アリサちゃんと同じ理由って要するにそういう事ですよねっ!? そうじゃないと信じたいけど、絶対にそんな感じがするのですが!?
なんか私、すごくここから逃げ出したいのですが……
「本当の事を言ってくれてありがとう。だったら、なのはから今すぐ離れなさい!!」
「別に私はアリサちゃんに従う必要もないと思うのだけど」
「確かにそうだけど、なのはが迷惑しているでしょう!!」
「それを言ったらアリサちゃんだって、今までなのはちゃんに迷惑をかけていたと思うけど?」
「うぐっ」
あ、とうとうアリサちゃんが言い返せなくなった。っていうか自覚していたのですかアリサちゃん……
あと、二人とも言い争うのは良いですが、私に迷惑をかけないという選択肢はないのですか……
「……こうなったらっ!!」
と、私がため息を吐こうとしていますと、突然アリサちゃんが私たちの方へと近づいて来て、そしてベッドの上に倒れてきてすずかちゃんの反対側から私を抱きしめてきました。
それによって私はアリサちゃんとすずかちゃんの二人に挟まれる感じとなり
「すずかがなのはを離すまで絶対に私も離さないんだから」
「ちょ、アリサちゃんっ!!?」
「なによ。文句言うのならすずかに言ってよ」
唯の駄々っ子ですかあんたはぁ!!
っていうかこれどうすればいいんですかぁ!? 挟まれたせいで余計に逃げられなくなったのですけど!?
いや、魔法で何とかすればすぐに済む話ですけど、なんかこんなところで魔法を使ったらなにかに負けるような気がしますし……
「アリサちゃん、今すぐなのはちゃんから放しなさい」
「それはこっちのセリフよ。すずかちゃんが離れたら私も離れるから」
「だったら、私だってアリサちゃんが離れてないなら離れるつもりはないから」
……誰か何とかしてくださいこの状況。私が何を言おうと絶対に離さないでしょうし……
昨日の私、今すぐ逃げてください。起きたら大変な事になりますから。
結局、この状態が二時間くらい続いて、ファリンさんが来るまで続くのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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