第四十二技 嫌な予感
キリトSide
俺はいま血盟騎士団の本部前にて訓練のメンバーを待っているのだが、アスナも付いてきている。
本人曰く参加出来ないならせめて見送りを、ということらしい。
そうしていると本部から二人の男が出てきた。
「今回の訓練の協力に感謝する。私はゴドフリーという、よろしくたのむぞ」
体格の良い男がそう名乗った後、もう一人の男も頭を下げてきた。
「キリトだ。こちらこそ、よろしくたのむ」
「うむ。では早速だが訓練の内容を説明させてもらうぞ。
今回の訓練は50層迷宮区での実地訓練となっている。
迷宮にてモンスターの対処方法や団体行動のとり方が訓練内容だ」
いってみれば復習みたいなものか。
俺もソロとはいえ集団行動をとることもあるから丁度いいのかもしれないな。
「了解した。それじゃ、アスナ…。いってくる」
「キリト君。やっぱりわたしも…」
「だめだ。今の君はもう騎士団ではないし折角休みが出来たんだ。ゆっくり休んだほうがいい」
「でも…、なんか嫌な予感がして…」
「………」
不安がるアスナ、それは俺も分かる。本当は俺も朝から嫌な予感がしている。
しかもこういったのは当たるパターンのものだ。
だけど、だからこそアスナは連れて行きたくない。
「心配するな。むしろ信用してほしいんだけどな…」
「……うん。それじゃあ、気を付けてね…。いってらっしゃい」
「ああ」
そういって俺はゴドフリー達と共に迷宮へと移動した。
アスナはずっと不安そうな表情をしていた。
「まさか副団長のあんな姿をみられるとは…」
ゴドフリーがなぜか感慨深げにそういった。
「元、だろ?」
「はっはっはっ、そうだったな。失礼した」
下層へとついた俺達は迷宮前の広場へと向かっている。
昨日の事もあってか、他のプレイヤーが俺をみかけるとざわめいたりしている。
「一時の間は君も大変そうだな」
「原因はあんたんところの経理さんだけどな…」
本来ならば静かに行われるはずだった立ち合いもあの経理さんのせいで、あんな馬鹿騒ぎになってしまった。
しかも勝った事も相まってかさらに騒がれる始末だ。
「ははは、すまないな。っと、そうだ忘れるところだった…。実はもう一人合流するのだ」
「そうなのか?」
「うむ、迷宮前の広場で合流する事になっている」
ゴドフリーが言ったもう一人の人物が非常に気になった。
朝から付き纏うこの不安と嫌な予感が拭いきれないでいたからだ。
考えていても仕方が無いので取り敢えず広場に行くことを考えた。
広場に着いた時、俺は自分の嫌な予感が当たる事にこれほど嫌気が差したことはないと思った。
それと同時にアスナを連れて来なくて良かったとも思った。
そこに居るそいつは俺にとっては会いたくもない奴だった。
「なぜおまえが居るんだ……。
そう。そこに居たのは前に俺が
「どういうことだ、ゴドフリー……」
「いやなに、私とて君達の事は聞いているさ。
だが彼も謹慎が解けて、大分反省したようなのでな。
これを期に和解するのもいいと思ったのだ」
ゴドフリーは「はっはっはっ!」と笑いながらそんなことを言っている。
するとクラディールが近づいてきた。俺は警戒を緩めずに奴に視線を向ける。
「………なんだ?」
「あの時は本当にすみませんでした…。
あなた方にはこれ以降、近づかないようにいたしますので……どうか許していただきたい…」
「………わかった」
奴の言葉に俺はこうは返したが、正直まだこいつを許す気はないし信用する気もない。
だが、ここはこうしておいたほうがいいと思った。決して警戒は緩めないでおく。
「うむ、これで君達のことは解決だ。それでは行くとしよう」
俺はいまだに嫌な予感を抱えながらもゴドフリー達のあとに続いた。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
経緯は違いますがクラディール登場イベントでした。
一部の方々はある意味これを楽しみにしていた方もいらっしゃると思います。
このあとの展開を楽しみにしていてくださいw
それでは・・・。
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第四十二話です。
今回から新たなお話に入ります。みなさんご存じのお話ですけどねw
展開は原作に比べて少々変化します。
ではどうぞ・・・。