No.470447

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 和人と明日奈の日常

本郷 刃さん

番外編の連続投稿です。
タイトル通り日常を描いて・・・・・・いると思います。
自信が無いです・・・。
とりあえずお楽しみ頂ければ幸いです。

続きを表示

2012-08-15 11:47:05 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:47037   閲覧ユーザー数:44440

前書き兼注意です。

この話しはネタバレを含んでおります。

ですのでネタバレが嫌な方々は、今すぐブラウザの戻るを押すか別のページにとんで下さい。

それでも読んでみたいという方々は是非お楽しみください。

全員が本名で登場しておりますので、オリキャラの本名が分からないという方々は

キャラ設定を参照してください。

ちなみに和人(キリト)と明日奈(アスナ)がイチャついているだけです。

時系列は『GGO』の『死銃事件』が終わってからというところです。

ではどうぞ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 和人と明日奈の日常

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

―――ピピピピピッ!ピピピピピッ!ピピピ…ピッ!

 

「ふぁ……ねむ…」

 

携帯電話のアラームに起こされて俺は目を覚ました。時刻は早朝の5時。

寝間着用のシャツとズボンからジャージに着替えて部屋を出る。

顔を洗いすっきりさせると、俺は玄関から外へと出て朝の日課であるランニングとトレーニングに向かった。

 

 

 

「ただいま」

 

「おかえり、お兄ちゃん」

 

ランニングを終えて帰ってきた俺に直葉が言葉を掛けた。

直葉は既に学校へ行く身支度を整えて、お昼の食事であろう弁当を作っている。しかし二人分だ。

 

「そうか、今日は刻の分も作る日だったな」

 

「う、うん////// あ、朝の分もすぐに出来るからね///」

 

直葉は彼氏である刻の分の弁当も作っていたのだ。それを照れた様子で話を逸らした。

そのあと朝食をとった俺達。直葉は部活の朝練なので俺に刻の弁当を預けて出掛けた。

俺も身支度を整えて、7時半になる前に家を出てバイクに乗って明日奈を迎えにいく。

 

和人Side Out

 

 

 

明日奈Side

 

―――~~~♪~~~~~♪~~…ピッ!

 

「んっ、んん~~~、ふぅ…」

 

携帯電話のメロディアラームでわたしは起きた。時刻は5時45分。

ベッドからでて顔を洗い、濃いグリーンを基調にしたブレザーの制服に身を包み、キッチンに向かう。

 

「よし! 今日もおいしいのを作っちゃうぞ~」

 

わたしは毎週月・水・金曜日の日は和人君の為に昼食を作ります。

前回はお弁当だったから今日はサンドイッチにしようかな。そうと決まれば早速お料理開始!

 

 

 

「うん、出来た!」

 

後片付けを全部終わらせてから一度部屋に戻って学校用の鞄にサンドイッチの入ったお弁当箱を入れて準備は終わり。

今度はリビングに向かう。

 

「おはよう。父さん、母さん」

 

「おはよう、明日奈」

 

「あら。おはよう、明日奈」

 

リビングには父と母がいて席についていた。どうやらわたしが最後みたい。

 

「おはようございます、お嬢様」

 

「おはようございます。橘さん」

 

わたしが席に着くとお手伝いさんの橘さんが朝食を運んできてくれた。

 

「「「いただきます」」」

 

わたしがSAOに囚われるまでは中々家族で一緒に食事をとる事が少なかったけど、

SAOからの解放と『ALO事件』を境に家族での時間が増えるようになった。兄さんは出張中だけど…。

食事をとり終えた後はみんなで談笑する。そこに…。

 

「お嬢様。和人さんがお見えになりましたよ」

 

「えっ? もうそんな時間ですか?」

 

時計を見るとまだ7時20分ほどだった。いつもならもう少し遅いのに。

 

「バイクで御出でになさったようですので」

 

「それなら少しの間上がってもらおう」

 

「ふぇ?」

 

橘さんがそう言うと、父さんがそんなことを言ったのでわたしは思わず変な言葉を口にしてしまった。

 

「それはいいわね。そろそろ和人君ともお話ししたかったし」

 

「え?」

 

母さんまで父さんに賛成してしまった。わたしを抜きに話が進んでいるような気が…。

 

「そうおっしゃると思いましたので、もうお上がりになっていただきました」

 

「おはようございます。彰三さん、京子さん」

 

「おぉ、おはよう和人君」

 

「おはよう。和人君」

 

そして和人くんが部屋に入ってきた。あ、あれ? 和人くん、なんか自然な流れに乗ってるような…。

 

「おはよう、明日奈」

 

「あ…おはよう、和人くん//////」

 

結局そのまま20分ほどみんなで談笑してから、わたしと和人くんは学校へと向かいました。

 

明日奈Side Out

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

バイクに乗って学校へと着いた俺と明日奈。駐輪場にバイクを止めてから下駄箱に向かう。

 

「それじゃあ、和人くん。またあとでね」

 

「ああ……と、明日奈ちょっと…」

 

「なに「んっ」んっ!? か、かずとくん/////////!?」

 

明日奈の唇に軽くキスをしておく。

 

「今日はまだだったからな。これで今日も頑張るさ…」

 

「もぅ……/////////」

 

彼女はまだもの欲しそうに俺を見上げてくるが、さすがにこれ以上はヤバいと俺は思う。

 

「続きはあとでな……」

 

俺がそう言うと明日奈は小さく頷いて自分の教室へと歩いて行った。俺も自分の教室に向かう。

 

 

 

「おはよ」

 

「……おはよう、和人」

 

「オッス、カズ」

 

「はよ、カズ」

 

「おはよう、桐ヶ谷君」

 

「おはよ~」

 

教室に入ると景一や前後の席で仲の良い興田と村越、クラスメイトの女子や男子も挨拶をしてきた。

 

「カズ頼みが「断る」まだなんもいってねぇよ…」

 

「どうせ昨日出された課題をみせてくれ、だろ?」

 

「うぐぅ…ならせめて、俺が今日当てられるところだけでも~!」

 

「はぁ、その部分だけだぞ…」

 

興田が言い切る前に俺がツッコんだことで一度項垂れたが、すぐに提案をしてきたので、

俺は溜め息を吐きながらも気心のしれる友人に教えてやった。

 

「マジで助かったよ。サンキュ、カズ」

 

「興田、偶には自分でやれよな」

 

「そう言う村越だって聞いたりするじゃん」

 

「俺はやり方だけ聞いてるんだよ。後は自分でやってるっつぅの」

 

興田と村越のやり取りに俺は苦笑し、クラスの中でも笑いが起こる。

 

「……ふっ」

 

前まではあまり感情を表に出さなかった景一も、最近では少しだが笑うようになった。

 

「そういえば、今日も詩乃を送ってきたのか?」

 

「……ああ、学校が違うからな。せめて朝は一緒にいてやりたいのでな」

 

「お~いみんな~。席に着けよ~」

 

俺と景一が話していると、担任の男性教師がやってきてHRを始める。今日も授業が始まった。

 

和人Side Out

 

 

 

明日奈Side

 

「おはよう~」

 

「おはよう、明日奈」

 

「明日奈か。おはよう」

 

「おはようさん」

 

「結城さんおはよう」

 

わたしは教室に入ってみんなと挨拶を交わす。

里香と志郎君、クラスの男子と女の子が挨拶を返してくれる。

わたしは自分の席である里香の隣に座った。

 

「おっはよー!」

 

「おはよう、高畑さん」

 

「おはよ。今日も無駄に元気ねぇ」

 

「いいじゃないか、元気なのはさ…」

 

いつも元気なクラスのムードメーカーである女の子、高畑さんが入ってきた。

わたしと里香が挨拶を返して、志郎君は里香の言葉に応えている。

だけど、彼女は顔をニヤつかせながらわたしに近づいてきた。

 

「みたよ~、結城さん!」

 

「えっと……なにを?」

 

な、なんだろう、いやな予感が…。

 

「ふっふ~ん。さっき下駄箱で二年の桐ヶ谷君とキスしてたでしょう~(ニヤニヤ)」

 

「にゃっ/////////!?!?」

 

「「「「「なにーーーーー!!!!!」」」」」

 

「「「きゃーーーーー!!!!!」」」

 

高畑さんのいきなりの一言に否定する事ができず、みんなに知られてしまった//////

男子の皆は驚愕の、女子の皆は黄色い声を上げている。

 

「あのね~明日奈。するなとは言わないけど、学校なんだから少しは自重しなさいよ」

 

「あ、あれは和人君が勝手に…//////!」

 

里香がわたしに注意してくるので、ありのままあの時のことを説明した。

 

「それじゃあ本当なんだ!」

 

「いいなぁ~。イケメンで優等生の彼氏さん…」

 

「さ、さすがはキリト…じゃなかった。桐ヶ谷だ」

 

「ああ。さすがは【姫】の【王子】だな…」

 

女の子達の羨ましげな声と男子の驚きの声が聞こえてくる。

うぅ~////// 和人君にはあとでお説教だよ~///

 

「は~い。みんな、HR始めるわよ」

 

担任の女性教師が教室に入ってきたおかげで、なんとか追及から逃れる事ができた。

 

明日奈Side Out

 

 

 

 

 

 

和人Side

 

「くっは~~~。疲れた~~~」

 

「さすがにな~」

 

「……ん」

 

「同感」

 

午前の授業が終わってだれている俺達。

興田が背伸びをし、村越は机に上半身の乗せ、景一は肩を揉みほぐし、俺は教材を片付けている。

この後は昼食兼昼休みだ。

 

「んじゃ学食にでも……って、カズは【姫】と飯の日か?」

 

「そ、だから今日はパスな」

 

興田が思い出したようにそう言った。俺は明日奈と昼食を取ることになっているのだ。

 

「オッケー。ケイはどうする?」

 

「……私は学食のつもりだから、一緒でいいか?」

 

「うし、んじゃカズ。また後でな~」

 

「ああ」

 

村越に聞かれて景一が答えると、興田が二人と共に教室から出ていった。

 

「さて、俺も明日奈のところに…って忘れるところだった……」

 

俺は直葉から刻への弁当を預かっているのを思い出し、その弁当を持って一年の教室に向かった。

 

 

 

刻のいる一年の教室の前に着いた俺。

 

「ねぇ、あれって二年の桐ヶ谷先輩じゃない?」

 

「ホントだ~。どうしたんだろうね?」

 

「誰か失礼な事でもしたんじゃないか?」

 

「まさか~………まさかな…」

 

一年生の女子や男子がなにやら遠巻きにヒソヒソと俺のことを話されているが、聞こえない事にしよう、うん。

開いている扉から教室を覗いて、目当ての人物を見つけた。

 

「刻」

 

「あ、和人さん! どうしたんっすか?」

 

友人達と話していた刻は俺に呼ばれるとすぐに近づいてきた。

 

「ほれ、直葉からお前にだ」

 

「ど、どうもです///」

 

俺が直葉からの弁当を刻に渡すと、そのまま受け取った。ふむ、爆弾でも落とすか(笑)。

 

「よかったな、愛妻弁当だぞ(ニヤニヤ)」

 

「「「「「な、なんだってーーーーー!!!???」」」」」

 

「「「う、うそだーーーーー!!!???」」」

 

「ちょっ、和人さん///!?」

 

俺がそう言うと、クラスの男子と女子が一斉に声を張り上げ、刻は顔を紅くしている。

 

「どういう事だ、月乃! 彼女か、彼女がいるのか!?」

 

「お、おわった……」

 

「神は……なんて残酷なの…」

 

一人の男子が刻に詰め寄り、女子達は崩れ落ちている。

くっくっくっ、かなり面白いな、こういうの。

 

「それじゃあな、義弟(おとうと)よ」

 

「「「「「!!!???」」」」」

 

「あ、あんたって人はーーーーー//////!!!」

 

俺が再び爆弾を投下し、クラスの生徒達は硬直、刻は叫んだ(笑)。

 

「まさか、桐ヶ谷先輩の妹さんだというのか!?」

 

「こうなったら……全部吐いてもらうわよ! 月乃君!」

 

男子と女子に詰め寄られる刻を後目に、俺は教室から出てさっさと明日奈のところに向かった。

教室からはいまだにけたたましい騒ぎ声が聞こえるが、放っておこう。面白そうだし(笑)。

 

 

 

いつも明日奈と昼食をとる中庭についた。ベンチに座っている明日奈に歩み寄る。

 

「ごめん明日奈、待ったか?」

 

「あ………ふん!」

 

明日奈は俺に顔を向けると嬉しそうな表情をしたが、すぐに不機嫌な表情になってしまった。

 

「どうしたんだよ…?」

 

「どうしたもこうしたもないよ//////!」

 

不機嫌というよりかは、怒っているようだ。ふむ……。

 

「今朝の下駄箱での事か?」

 

「そ、そうだよ///! 人に見られてたんだからね! だから今日のお昼は無し!」

 

ぐっ、明日奈の弁当を楽しみにしていたんだが…。仕方が無いか…あまり言いたくはなかったが…。

 

「明日奈……」

 

「……なに?」

 

「明日奈は俺のだ」

 

「ふぇっ/////////!?」

 

「それに、俺は明日奈のものだ」

 

「っ/////////!?」

 

俺の言葉に明日奈は顔を真っ赤に染めていく。だけど俺はさらに続ける。

 

「明日奈は今、みんなになんて呼ばれてるか知ってるか?」

 

「えっと…【姫】、だけど//////」

 

そう、明日奈はみんなに【姫】と呼ばれているのだ。特に男子生徒達にだ。

まあ俺も一部の生徒に【王子】と呼ばれているが……。とまあそれはどうでもいい。

 

「俺はな……自分の彼女を他の男に【姫】って呼ばれて、我慢できるほど大人じゃないんだ」

 

「あ、あの、和人くん…//////?」

 

「俺の独占欲がかなり強いのは……明日奈も知ってるだろ?」

 

「え、きゃっ/////////!!?」

 

俺は明日奈の腰に左腕をまわして抱き寄せ、右手で顎を上に向けさせる。

 

「ここの中庭、カフェテリアからよく見えるんだよな。それに、屋上や教室からも……」

 

「か、かず…と、くん……/////////」

 

「俺は別に見られても構わないからな……。どうせ、明日奈しか見ないんだから」

 

「ぁ……ぅ…/////////」

 

明日奈は完全に茹蛸状態になってしまっている。

 

「俺も一部の生徒から【王子】とかって呼ばれてるけど、明日奈しか見てないのが分かったよな?」

 

「わかった、から…はやくはなしてよ~。は、はずかしい……/////////」

 

俺が明日奈を離すと、彼女はへなへなとベンチに座り込んだ。

 

 

 

「(もぐもぐ、んく)うん。やっぱり明日奈の料理は美味いな」

 

「えへへ~////// よかった~(もくもく、こくん)」

 

明日奈が落ち着いてから、彼女が作ってきたサンドイッチを食べる俺達。

さっきとは打って変わってご機嫌な様子だ。

 

「(もぐもぐ、ごくん)ふぅ、ご馳走様でした」

 

「はい、お粗末様です♪」

 

明日奈のサンドイッチで空腹を満たした俺は大満足だ。

さらに明日奈は水筒に入れて持参した、紅茶をコップに注いで渡してくれた。

 

「ありがとう」

 

明日奈は料理だけでなくて、紅茶を淹れるのも上手い。彼女の淹れる紅茶はお気に入りだ。

俺が明日奈にコップを渡すと彼女もコップに紅茶を注いでからそれを飲んだ。

 

「明日奈…。先に俺に飲ませたのはそういう意図があったと思っていいのかな?」

 

「(ビクッ)……その…はぃ//////」

 

明日奈は俺が口をつけた場所に、自分も口をつけたのだ。つまりは意図した間接キスだ。

 

「なら、もう一杯貰えるか?」

 

「(コクッ)//////」

 

頬を紅く染めながらも、もう一度紅茶を注いでくれた。俺も同じ場所に口をつけて飲み干した。

うん、いつもよりさらに美味い。その後、俺と明日奈は中庭にある木陰でゆっくりと昼休みを過ごした。

 

 

 

 

 

 

しばらくして昼休みが終わる時間が近づいてきた。

 

「和人くんは午後の授業はどうなってるの?」

 

「科学と数学だよ。まぁ、学校で習う授業なんてもう頭の中に入ってるけどさ」

 

「頭良いもんね、和人くん。成績も学年トップだし…」

 

明日奈は何故か落ち込んでいる。そういえばこの前理数系の勉強を俺が教えたんだよな。

もしかしてそれが原因か?

 

「でも落ち込んでられない! 和人くんと同じ大学に行くんだもん!」

 

おお、今度は元気になった。明日奈の百面相はなんというか可愛いなぁ。

 

「おっと、もう戻らないとな」

 

「ホントだ~」

 

時計を見ると昼休み終了直前だった。

 

「じゃあ戻るか…「和人くん…///」どうした?」

 

明日奈に呼ばれたので振り返ると、上目遣いに顔を向けて瞳を閉じている。

やれやれ、さっきは恥ずかしいなどと言っていたのに。

俺は苦笑しながらも木の陰によって周囲からは見えない位置に立つ。

 

「…ん、…んむ…ちゅっ……」

 

「んぅ…ぴちゅ……んちゅ…、ふぁん…んん…/////////」

 

唇を合わせるだけのキスではなく、舌を絡ませる。これ以上はさすがにマズイと思い、唇を離した。

 

「ぁ……まだぁ…/////////」

 

「駄目だ、これ以上続けたら授業に出られなくなるぞ」

 

駄々をこねる明日奈だが、授業の事を考えるとさすがに無理だと理解したようだ。

 

「むぅ~~~//////」

 

むくれている明日奈、なんでこう可愛いことをするかな~。しょうがないか…。

 

「明日奈…今日、家に行っていいか?」

 

それを聞いて明日奈は瞬時に顔を真っ赤に染めた。

 

「で、でも…今日の集まりは……//////」

 

「早めに上がらせてもらえばいい…」

 

「直葉ちゃんは…///?」

 

「今日、母さんは昼には帰ってる…」

 

「えっと…お父さんもお母さんも家にいるし…」

 

ふむ、今日はお二人とも早いのか…。

 

「けど、彰三さんと京子さんが止めると思うか?」

 

「………余計に煽ると思います/////////」

 

「それじゃあ、いいよな?」

 

「……ぁぃ/////////」

 

これでよし。

 

「じゃあ、放課後で。授業頑張れよ」

 

「うん。和人くんも頑張ってね///」

 

俺と明日奈はそれぞれの授業に向かった。

 

 

 

「それじゃあ今日はこれまで。皆、気を付けて帰れよ~」

 

HRが終わって担任が出ていくとみんな次々と動き出した。

 

「終わったーーー!」

 

「ダリィ~……」

 

「……おつかれ」

 

「あぁ、おつかれさん」

 

興田は椅子から立ち上がり、村越は椅子の背もたれに凭れ掛かり、景一が俺に言葉を掛けてきたので返事をする。

 

「カズ達はこのあとは?」

 

「俺は明日奈を迎えに行ってから、そのまま帰宅」

 

「……私も詩乃、彼女を迎えにいく」

 

「いいよな~。彼女持ちはよ~~~」

 

村越に予定を聞かれたので俺と景一が答えると、興田が羨ましげにジト目を向けて言ってきた。

 

「まぁまぁ。そうだ、『ALO』はどうするんだ?」

 

「一応入るけどな」

 

「おし! 俺も今日はいこうかな」

 

村越はALOでの方も聞いてきたので、俺が答えると興田もやる反応を示した。

景一と村越の反応を見る限り、二人も入って来る気みたいだな。

 

「俺は帰るから、また後でな。ハジメ(・・・)ランマル(・・・・)ルーク(・・・)

 

「……それではな」

 

「おう!」

 

「じゃな、キリト(・・・)

 

俺達はワザとキャラネームを呼んで、別れた。

 

 

 

俺は三年の明日奈の教室前に来ている。どうやらまだHRが続いているが…、

 

―――ガラガラッ

 

教室から明日奈の担任の女性教師が出てきた。終わったみたいだな。他の生徒達も次々と出て来る。

 

「あれ? 桐ヶ谷君じゃない、どうしたの?」

 

一人の女子生徒が声を掛けてきた。よくみれば明日奈とよく一緒にいる人だ。

 

「明日奈を迎えに…」

 

「な~るほどね。中に入るといいよ」

 

「ありがとうございます」

 

俺が教室の中に入ろうとしたら…、

 

「明日奈~~~。王子様が迎えに来たよ~~~」

 

「えっ!?」

 

彼女がそう言ったので、明日奈が驚きの声を上げてこっちを見た。同時に周囲の視線が一斉に俺に向いた。

 

「【王子】が【姫】を迎えに来たぞ!」

 

漆黒の馬(バイク)に跨って、てか?」

 

「座布団一枚!」

 

「本当にお似合いのカップルよね~」

 

といった言葉が上がっている。いつもならここまでの声は上がらないんだが…。

 

「和人。お前が朝、下駄箱で明日奈にした事が原因だ…」

 

「あ~、納得…」

 

俺が疑問に思っていた事を志郎が教えてくれた。明日奈が見られてたと言ってたからなぁ。

 

「あんたはもう少し自重しなさいよね…」

 

「それは俺が決める」

 

「…その内、明日奈がこわれるわよ」

 

里香に呆れられたように言われたが、最終的に明日奈の方がせがんでくるんだけどな…。

 

「/////////」

 

とうの明日奈はというと羞恥のあまりか、真っ赤になって固まっている。

 

「(クスッ)ま、それもそうだな。明日奈送るよ…」

 

「う、うん/// それじゃあみんな、またね///」

 

「はいはい、後でね」

 

「和人もな」

 

「バイバ~イ」

 

「またな」

 

俺が明日奈を連れだって教室から出る時、里香と志郎、他の彼女のクラスメイト達も声を掛けてきた。

そして俺と明日奈は学校をあとにした。

 

 

 

 

 

 

明日奈をバイクで家に送ってから俺も家に帰った。

 

「おかえりなさい、和人」

 

「ただいま、母さん」

 

帰宅していた母さんがノートパソコンで作業をしていた。どうやら仕事がまだ終わっていないらしい。

 

「コーヒーでも淹れようか?」

 

「うん、お願い」

 

俺はお湯を沸かして自分と母さんの分のコーヒーを淹れた。

 

「仕事終わってなかったんだ」

 

「ん、ありがとう。終わってないっていうよりも物足りないっていう感じかしらね」

 

俺が渡したコーヒーを受け取ってそう言った母さん。

パソコンの情報誌の編集をしている母は〆切前になるとあまり帰ってこないのだが、

今日は家で終わらせるつもりらしい。

 

「そうだ。俺、夕食の後明日奈の家に行くから」

 

「へぇ~、泊まり掛け(ニヤニヤ)?」

 

明日奈の家にいくことを告げると、ニヤつきながらそんなことを言ってきた。

まったく、この母親は…。

 

「違うよ。まあ、11時くらいには帰ると思うけど…」

 

「本当に泊まってきてもいいのよ」

 

「さすがに向こうの親御さんに迷惑が掛かるし、明日も学校だし」

 

「あら残念」

 

なにが残念なんだよ。予想はできるけれど…自分の親ながら呆れてしまう。

 

「あ~、俺ALOやってるから。夕飯前には終わるから」

 

「はいはい。……私もALOやってみようかしら?」

 

マジですか? でも親子でやってみるのもいいかもな。

 

「その時はレクチャーしてやるよ」

 

「ゲーマー歴は私の方が上。レクチャーなんて必要な~し」

 

そんな軽口を交わし合ってから俺は部屋に戻って着替えを終え、そして…、

 

「リンク、スタート!」

 

ALOへとダイブした。

 

 

 

「さて、取り敢えずホームにいくか。アスナも待ってるだろうし」

 

ダイブし終えた俺は早速、アインクラッドの22層にある自分の自宅(ホーム)へと向かった。

 

 

 

「ただいま、アスナ。さっきぶり」

 

「おかえり、キリトくん。さっきぶり」

 

「ユイもただいま」

 

「おかえりなさいです、パパ!」

 

自宅(ホーム)に着いた俺を待っていたのはアスナと娘のユイだ。

 

「あれ、課題やってるのか?」

 

「うん。みんなが来るまで、まだ時間があるし。キリトくんは課題ないの?」

 

「俺は授業の合間と休み時間で終わらせた」

 

「うっ、相変わらずはやいね…」

 

俺は今日出された分の課題を既に終わらせたので、後は気楽なものだ。

 

「アスナ。夕食を食べて、8時頃にアスナの家にいくから」

 

「あ、待ってるね//////」

 

アスナは頬を赤らめながら答えた。

 

「俺はクエストの準備でも始めとくかな」

 

「パパ、手伝うです」

 

「ありがとう、ユイ」

 

俺はユイと一緒にクエストの準備を始めた。アイテムと装備、クエストの内容確認を行っていく。

途中で課題を終わらせたアスナも一緒になり、次々とやってくるみんなを迎えて、

全員が揃ったところで最後の準備確認を行い、クエストに向かった。

 

 

 

クエストを終わらせた俺達はホームへと向かっている。

 

「ふぅ~、疲れたな~」

 

「いい感じに手強かったから丁度いいと思うけど…」

 

一息つくクラインにハクヤが返答し、

 

「遠距離攻撃を相殺させるの大変だった…」

 

「お疲れ様です、シノンさん」

 

懸命に遠距離攻撃を相殺させていたシノンにティアさんが労いの言葉を掛け、

 

「シリカ危なかったよね?」

 

「怖かったよ~~~」

 

「大丈夫ですか? シリカさん?」

 

ヴァルが戦闘中に危険な状態に陥ったことをシリカに訊ね、僅かに怯えた反応をするシリカをユイが慰めている。

 

「もう少し攻撃にも手をまわした方がいいかしら?」

 

「今のままでいいんじゃないですか?」

 

カノンさんが今回の反省点を考えて口にしたことに、リズが大丈夫じゃないかと言った。

 

「このメンバーだと脳筋系のビルドの奴が多いからな」

 

「それって僕達の事っすよね?」

 

「失敬だな」

 

エギルのそんな一言に、ルナリオと俺は訝しげな視線を向けた。

 

「でもあながち間違いじゃないよね」

 

「そうかもね」

 

「……反論できない」

 

「武器で戦う方が俺達にはむいてるからな」

 

エギルの意見に賛成するリーファとアスナ、ハジメは反論を諦め、シャインは仕方がないというように言った。

 

「夜はどうするっすか?」

 

「……竜退治のクエストでもいくか?」

 

「よさそうですね♪」

 

ルナリオが夜の予定を尋ねるとハジメが提案し、ティアさんが乗り気で応え、他のみんなも賛成している。

 

「あ~。盛り上がってるところ悪いけど、夜は俺パス」

 

「その、わたしも…///」

 

俺が言ったことにアスナも続くと、皆が視線を向けてきた。

 

「二人で会うのか?」

 

「そんな感じだ」

 

シャインが訊ねてきたので、俺が答えると黒衣衆は微笑ましそうにし、それ以外はニヤニヤしてる。

気にしない気にしない、そうこうしていると自宅(ホーム)に着いた。

 

「もう7時前だからあがらせてもらうぞ」

 

「あ、私もあがりますね。そろそろ夕食なんで」

 

「わたしも少ししたらあがりますね」

 

俺がログアウトすることを告げると、リーファとアスナも続いて言った。

 

「それなら竜退治のクエストは人数次第でいくか?」

 

クラインの意見にみんな賛同した様子だった。

 

「うし、それじゃあ一旦解散な!」

 

「それじゃ、また明日な。アスナはまた後で」

 

「うん。後でね」

 

シャインの解散の言葉に各自ログアウトしたり、自分達のホームに戻って行ったりし、

俺はアスナと話してからログアウトした。

 

 

 

 

 

 

「いってきます」

 

「「いってらっしゃ~い」」

 

夕食を終えて、8時前になったので俺はバイクに乗って明日奈の家へと向かった。

明日奈の家に着いた俺はインターホンのボタンを押した。

 

「こんばんは、桐ヶ谷ですけど…」

 

「和人さん、こんばんは。いまお迎えに参りますので少々お待ちくださいね」

 

インターホンが切れると玄関から橘さんが出てきた。

 

「どうぞ、お上がりください。お嬢様が待ちかねておりますよ」

 

「はい、お邪魔します」

 

 

 

リビングに案内されると明日奈が駆け寄ってきて、迎えてくれた。

 

「いらっしゃい、和人くん♪」

 

「ああ、明日奈」

 

ソファの方を見てみると彰三氏と京子さんも座っていた。

 

「こんばんは。彰三さん、京子さん」

 

「よく来たね。ゆっくりしていってくれ」

 

「こんばんは、和人君」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「わたし達部屋に居るからね」

 

挨拶もそこそこに俺は明日奈に手を引かれて連れていかれた。

 

 

 

明日奈の部屋に入った俺達。彼女がベッドに座って自分の隣を叩いたので俺はそこに座る。

 

「あす、んむっ……んちゅっ…」

 

「ちゅっ、んん…ちゅむ……ぴちゅっ…/////////」

 

いきなりキスされてしまった。珍しく今回は明日奈のペースだ。

 

「かず…ぅん、とくん…の、んちゅ…せい、だからね…/////////

 はむ…あさ……から…ぁん、焦ら…されて……ちゅぴっ/////////」

 

「んん…、でも……ちゅっ、嬉しそう…だった…んぅ、よな…?」

 

「んふぅ…。そう…だけど……/////////」

 

唇を離して聞いてみると、上目遣いに俺を睨んでくる。滅茶苦茶可愛いんですけど。

 

「でも焦らした分の責任はちゃんととるさ…」

 

「え…きゃっ/////////!?」

 

俺は明日奈を押し倒して覆いかぶさった。

 

「いいよな、明日奈…?」

 

「(コク)/////////」

 

そして俺と明日奈は体を重ね合った。

 

 

 

「/////////」

 

「俺、そろそろ帰るな…」

 

事を終えて風呂に入り、あがった俺達。明日奈は恥ずかしさのあまり顔が真っ赤だ。

 

「それじゃ「(きゅっ)」…明日奈?」

 

パジャマを着た明日奈が俺の服の裾を掴んでいる。どうしたんだろうか?

 

「帰っちゃや……/////////」

 

……ぐはっ!? なんだ…この可愛い生物は…!?

いや、いつも可愛いけど……そうじゃなくて、いつも以上にやばい…。

 

「で、でもな、明日奈…」

 

「や…/////////」

 

……うん、諦めよう。彰三氏と京子さんにお願いして泊めてもらって、

母さんに連絡して泊まる事を伝えよう。それがいい…。

 

「わかったよ…。彰三さんと京子さんに話してくるから、ちょっと待ってろ」

 

「(コクコク)/////////」

 

完全に甘えんぼモードになっている。こうなれば俺でも耐えるのは至難の業だからな。

 

 

 

 

 

 

「……というわけですので、もし宜しければ泊めさせていただけませんか?」

 

俺は現在彰三氏と京子さんに事情を説明している。二人は静かに聞いていた。すると…。

 

「はっはっはっ! まさか、明日奈がそんな事になるとは。是非泊まっていってくれ、和人君」

 

「あの明日奈がそんな事に…。ふふ、孫の顔を見るのは早いかもしれないわね」

 

「は、ははは……。ありがとうございます」

 

あっさりと許可は下りた。加えて京子さんの言葉に否定できない自分が怖い。

さてあとは母さんに連絡だな。

 

「すいません。母に連絡をいれてきますね」

 

俺はそう言ってリビングを後にして、廊下に出ると携帯を取り出し家に電話を掛けた。

 

「もしもし、母さん? 和人だけど…」

 

『どうしたの、和人?……って言っても大体分かるけど。明日奈ちゃんの家に泊まるんでしょ?』

 

「正解。今回はちょっとねだられて…」

 

電話にでた母さんはあっさりとこちらの事情を見抜いて笑ったので、俺は苦笑してしまった。

 

『年頃の女の子はそんなものよ』

 

まったく仰る通りです、はい。

 

「明日、学校に行く前に家に帰るから…」

 

『分かったわ、ゆっくりしてらっしゃい。おやすみ』

 

「うん、おやすみ(ピッ)」

 

理解のある母親で良かったよ。でも、帰ったら色々と聞かれそうだな。

 

 

 

「明日奈…」

 

彼女の部屋に戻った俺は名前を呼んであげた、すると…。

 

「かずとくん…/////////」

 

この可愛らしい声と満面の笑顔で名前を呼ばれたら堪らない。

本当に可愛いなぁ、明日奈は(ほのぼの)。

 

「一緒に寝よう…/////////」

 

「(くすっ)ああ、寝ようか」

 

という事で明日奈のベッドに一緒に入る。

シーツが変えられているという事はご家族にもバレバレですね。さすがに照れてしまうな。

 

「かずとくん~(ぎゅ~)」

 

俺に抱きつく明日奈。俺も優しく抱き締める。おでこに軽くキスをする。

 

「おやすみ、明日奈…」

 

「おやすみ、かずとくん…///」

 

俺達はすぐに眠りに落ちた。

 

 

 

翌朝。

目を覚ました俺は結城家で朝食をいただき、

明日奈の準備が終わると一緒にバイクに乗って自宅に戻り、学校の準備を終えてから学校へと向かった。

まぁ、こんな一日が二週間に一回はある感じだ。

 

和人Side Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

和人と明日奈の日常でした。

というよりもイチャラブでしたねw

この話しは自分を支援してくださっている方からのリクエストで生まれました。

現実世界でのキリトとアスナの日常がみたいとの事でしたが、

なぜかこんなイチャラブ展開になってしまいました。

時間軸的には『GGO』の『死銃事件』が終わって少ししてからという感じです。

『聖剣エクスキャリバー』入手前と言った方が分かり易いですね。

ちなみに興田(ランマル)村越(ルーク)はクエスト前に合流して、終了後に別れました。

でも、これ消されないといいんですけど・・・大丈夫でしょうかね?

本編よりも長いのは一話完結にしたかったからです、はい。

それでは、以降も本編にて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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